2004.12.28

来年に今年まで遡って日記書くのイヤだぞ!というワケで駆け足で書いておりますぷらぷら日記。そういえば書くの忘れてたけど、しばらく前にBBSへのリンクを外しました(まだ残ってるけど、時間ができたら閉じます)。また無いのが寂しくなったらつけるかもだけど、今はあるのが寂しいので。今まで書いてくれた人、どうもありがとう! ホントに一言一言が嬉しかったです。

さて、25日の土曜日は友人たちと『ハウルの動く城』を見に行ってきました。最初に言っておくけど、アニメを楽しもうとするなら原作を読んだのは失敗だったなー。アニメはアニメ、原作は原作、と割り切って見ているつもりでも、どうしても比べてしまうのです。ああもったいない。原作が先だとアニメのイメージに影響されずに自由に想像できるって点もあるけど、でも、うーん、違うな。アニメを見た後でも違った想像はできた気がする。けど、ソフィーの性格描写でぐっと掴まれて、わくわくしながら読んだあの興奮は、映画を見てからだったらやっぱちょっと薄れてしまっただろうな。……どっちが先が良かったんだろう。『指輪物語』だったら、絶対原作が先!と思えたんだけどな。うーん、今回は微妙だなー。

ここから、アニメおよび原作『魔法使いハウルと火の悪魔』のネタバレ含むので、知りたくない人は読まないでくださいませませ。まずビックリしたのは、戦争がかなり中心にもって来られていたコト。うーむ、今イチ狙いがよくわからなかったな。マルクルは可愛かった! でも原作の生真面目でちょっと弱気なマイケルも好き。カルシファーは最初イメージが違いすぎて違和感あったんだけど、途中で「これはこれ」と思えた。ハウルはワリとイメージどおり。カッコよすぎるけどねー。なんだか一途だし。キムタクの声は良かった。キムタクを感じさせないで。ソフィーもそんなにイメージとは違わないかな。荒地の魔女も、途中まではオッケー。そして何より、“動く城”の造形が好きです。原作読んだときのイメージとは全然違うけど、でも魅力的だった。足の短い犬はやたらツボ。

うん、だから、アニメはアニメで面白かったのだ。だけど原作を知っているが故に「あれが無くて残念〜」と思ってしまったのが、残念。原作を先に読んだのが失敗、ってのはそうゆう意味。無くて残念だったのは、レティーとマーサのエピソード全部。七リーグ靴。手強い呪文。ハウルのプレイボーイっぷり。アンゴリアン先生。でも全部入れてると時間がなー。ただでさえ「原作とはたぶん設定を変えていないんだろうけど、説明不足」って部分も多かったんだもの。ソフィーの性格描写だとか魔法の能力だとかって、あれじゃよく伝わらないんじゃなかろうか。なぜソフィーが魔女に呪いをかけられたのか、なぜカルシファーからハウルの心臓を返してもらっても「ソフィーなら大丈夫」なのか、なぜソフィーがハウルを好きになったのか、なぜソフィーはおばあちゃんになった途端に性格が変わってしまうのか、あれじゃ分からないよね?

ソフィーは、自分で自分を縛っているコなのだ。長女であることにコンプレックスを持っていて、だから自分は何をやっても成功しない、ガンバってもムダだ、と思いこんでしまっているコ(←私のツボ)。それが荒地の魔女に呪いをかけられて、かえって自分で自分に嵌めていた枷を外せたのだ。自分が自分でなくなったから。アニメのソフィーはそれとは逆な気がする。荒地の魔女に呪いをかけられて、自分で自分に課した枷を納得してしまったような。アニメの場合、魔女の呪いはきっかけにすぎなかったんじゃないのかしら。だけど、ソフィーはそれに納得してしまって、自分で自分に呪いをかけてしまったんじゃないのかしら。彼女がその気になったら、いつでも呪いは解けたんじゃないかしら。……そうでも思わないと、あそこまでソフィーの年齢が行ったり来たりする理由がわからない。明らかにソフィーの感情に合わせて上下していたよね?

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さてさて、今度は早回し。28日の今日は恒例の親戚行事で餅つきでした。今回は人出不足でちょと大変だったけど、毎年の楽しみの行事です。明日っから、田舎に帰ってのーんびりする予定。と、いうワケで今年の更新は今日が最後です。今年一年(でも途中からでも今日だけでも)、読んでくれた方々に感謝を込めて――「よいお年を」。

2004.12.27

体力はまだ底をついていなかったみたい。映画見に行って腹いっぱい食べてカラオケで3時間ほどがなってきたら、ほぼ良くなりました。明日は毎年恒例の親戚行事のため、今日は私の仕事納め。遅くまでがっつりガンバったのに、来年の仕事始めの日にしなくちゃいけないリストが伸びるだけでしたよ。あーもう会社行きたくなーい(←休み前の台詞かよ)。

さーて、またちょっと記憶を辿って17日の金曜日まで戻りやしょう。こんなに忙しい状況なのにワタクシは休みを取った。万障繰り合わせてでも、知人主催の某イベントのお手伝いをしたかったのである。前の日は24時まで会社にいたのだが、17日からは同じくお手伝い要員としてかり出された友人が狭き我が家に泊まりにくる。友人が来ているのに台所に篭るのはイヤだから、何かすぐに出せるようなものは作っておきたい。夜は外食になるだろうけど、朝はゆっくり食べられるしね。ああでも夜も菓子くらいは買っておくか。おっと部屋も汚すぎる。――とゆうワケで、お手伝いは昼からだったのに会社に行くのと同じくらいに起きて、掃除・買い物・料理。ちょっとヘロヘロ状態で現場へと赴いた。

イベントの手伝いは何度もしているし、一緒に動くのは気心の知れた人たちばかりである。毎度毎度毎度思うけれども、これが仕事だったらどんなに楽しいか。ウチらはホントにいいチームだと思うのだ。それぞれ得意なコトが違って、誰かが苦手なコトは誰かがカバーに入れる。リーダーがいて、参謀がいて、肉体労働班がいて。私は縁の下の力持ち―――に、なれてるとイイな。会社じゃ「しっかりしてる。任せておけば間違いない」と、どちらかといえば姉御タイプとして扱われる私だけれど、この面子に入ると自然に妹になってイジメられている。それがすごく楽しい。……って、マゾじゃないんだけどさ。でも皆、「敵わないなー」ってトコロのある人ばかりなんだもの。たくさん、刺激される。

金曜から土・日とひたすらお手伝い。走り回って寒い中で座って体力勝負の仕事もして夜は友達と喋って最後は打ち上げでゲラゲラ笑って。肉体的には疲れるんだけど、肩こりのヒドい私がこうゆう週末は肩こりを感じないってのはスゴいと思う。多分に精神的なモノなのかも。来年も、ちょっと違う形で、共同作業ができたらイイな、と思う。…や、イイな、じゃなくて、やらなきゃ、か。

2004.12.24

ワタクシの余り余って垂れ流さんばかりの体力もとうとう底を尽いたかも。昨日爆睡したから回復したかと思えばさにあらず、かえって気が緩んでしまったみたい。くしゃみ鼻みず頭痛発熱のフルコース。思い切って21時に帰ってきてしまいました。ホントにありがとう、神さま。最高のイブだわ!(←そろそろ自分で自分がイタくなってきた。)

さーて、記憶をさかのぼっての日記。<寝ろよ。先週の月曜日、13日は劇団ファントマの『三蔵』を観てきた。思えば初めてファントマを観たのがこの芝居。今回の再演は本当に楽しみにしていたのだ……が、正直言って面白くなかった。だって覚えているんだもの。ストーリーもギャグも。同じ本を何度も読める、記憶力のなさにかけては定評のある私が、ネタを振られただけでオチまで思い浮かべられるなんてハッキリ言って奇跡である。それだけ印象が強かった、面白かったってコトなんだけど、でも再演にしてはこれはガンだった。せめてギャグだけでも変えるべきだったわ。

それから、ファントマの魅力は遊びの面白さにもあるのだけど、今回は遊びのシーンがツマらなかった。本筋とは関係のない、あってもなくても全然かまわないシーンが、結局一番笑えたりもするのだ。ダメな人はとことん受付けないだろうけど、根がくだらない私はファントマのそうゆうトコロが大好きなんである。なのに、今回の遊びの「蜘蛛の糸」は笑いどころが分からなかった。長いよ!と思ってしまった。あとラストに明らかになる最重要キャラをやった人が、前回とは違う役者が演っていたのに、前回の演技をそのままなぞっていて気持ち悪かった。前回の演技だって好きじゃなかったのにー。それをなぞったら更に更にダメじゃないよー。演技しづらくないんだろうか。

美津乃さんもえん魔さんも浅野さんも(しかし彼の髪の毛はますますヤバくなっている。あんまイジっちゃダメよぅ)、中心どころは安定しているけど、だからこそ空回りしてる感が強かった。ざーんねーん。次回は新作らしいので、次回こそ、と楽しみにしている。

2004.12.22

うわー、何の前フリもなく1週間も空けちゃった! 無駄足を踏まれた方、すみません。週末は忙し楽しく、週日は忙し苦しく過ごしてました。楽しい方はおいおいさらっとでも書きます。週日の方は―――今書いちゃえ。20時21時でぶーぶー文句言ってた残業時間が、もう22時23時24時のレベルにまで行っちゃって、ひーひー言ってました。ただでさえ忙しいのに、年末の挨拶のための雑用が入り、四半期決算に向けての準備もあって、その上突発で勉強会だの研修だのに出ろと言われ、許容量ぱんぱんです。あと会社に行くのは24日と27日だけですが、たぶんどっちも22時越えです。例年は年賀状を出さない代わりにクリスマスカードを出すのですが、そんな余裕はありません。神さま、ステキなクリスマスをありがとう! 起きたら毎朝まぶたが腫れ上がっているわ、夕方になると目の下にくっきりクマができるわ、弁当を作る気力さえ失うわで、ああエビゴローのような嫁が欲しい……っっ! この際ハジメ兄の方でも文句は言いません。

んなワケでしばらく更新が途絶えがちになるかもしれません。2月ごろには暇になってペースを取り戻している予定ですので、思い出したらまた寄ってくださいませ。……とか言いつつ、短めの文章ででも更新はなるべくしたいなあ、とは思っています。書きたいコトはいっぱいあるのです。無駄にいろいろ考えてます。

2004.12.15

今日は仕事で浦和に行ったのだけれど、浦和の街を歩きながらずーっとリンダの「うっらわーうっらわーきたうらわーひがしににしになかうらわーみなみーうらわーむさっしうらわーうらわはななつのえきにある」をリフレインしていた私のくだらない脳みそを誰かどうにかしてください。……リンダの、じゃないか。という前振りとは全然関係なく、昨日の日記にちょっと追記しました。

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気持ちよく晴れた12/11の土曜日(人が海に行かないときに限って晴れるのはどうゆうワケだ)は、長年の念願が叶ってカーオーナーになった友人のお誘いで、三浦半島一周ドライブに行ってきた。彼女は私のダイビング仲間でもあるのだが、私らがその前の土曜日に伊豆に行ったときは呆れた眼で見送っておいて、その隙にちゃっかり車を手に入れていたのである。今まで、旅に出た機会にレンタカーで危なっかしい運転をする練習仲間でもあったのに、一人で卒業してしまうのだ。くっすん。でも私たちの行動半径がまた広がるのは嬉しい。

彼女が車を手に入れた翌日の12/5の日曜日、ダイビング器材のオーバーホールついでに落ち合った後、大胆にも助手席に座って一緒に夜の高速を走ったワタクシ(ちょっとドキドキした!)は、一週間後にも助手席でナビ係と化していた。別の友人の家に立ち寄ってもう一人仲間を引き入れ、一路、城ヶ島へと向かう。車は軽でかなり小回りがきくハズなのだが、やっぱりときどきちょっとヒンヤリできる、スリルあるドライブである。カーナビの操作をはじめ、車線変更やバックのときに、後続車や対向車、後ろの安全などを確認するのも助手席に座った者の務めなので(すぐ運転に慣れるだろうから、今のうちだけだろーけど)、なかなか忙し楽しい。

葉山の海は珍しく凪いで静かである。……つか、今の季節がたぶん潜り時なのだ。「静かだねー、今日潜ったらどんなかな」「絶対いいよ!」とついつい考えてしまうジャンキーな私たち。「プリンが美味しい店があるから休憩していこう。ちょっと高いんだけど」「いくらくらい?」「700円」「ええええっ!(←貧乏To-ko)」「でも店で食べるともうちょっと安いんだよ」というやり取りの末、MARLOWEへ。有名店らしい。入れにくい場所に見事に車を入れさせてくれた、駐車場の係員の兄ちゃんの素晴らしい誘導っぷりに感銘をうけ、「助手席に座る人はあのくらいできるようになってね」とノルマを課せられる。む、ムリだと思う……。

MARLOWEは人気があるだけあって、いい店だった。横に広い窓からは葉山の海が一望できる。暖かかったのでテラスに出てもよかったが、あいにく席が埋まっていた。14種類あるプリンはどれも美味しそうで、選ぶのが大変。私の選んだウィスキープリンは味の予想がつかなかったけど、すごく美味しかった! 友達の食べた季節限定のアップルプリンも◎。それに紅茶が特筆モノに美味しくて、うん、また行きたい店でありました。プリンと飲み物で950円ってなら、普通の値段だしね。パウンドケーキもめちゃめちゃ美味しそうだったので、友達んちに行くときの手土産にイイかも。

そこから城ヶ島まではすぐである。出発が遅かったので、薄暗くなりかけた頃に島に到着。ちょっとだけ散策する。城ヶ島には去年の7月に一度だけ潜ったコトがあるのだけれど、そのときの海の状態はかなり悪かった。今はどんな感じかなーと船着場の辺りを覗き込むと、ビニール袋などのゴミは浮いているものの……「ちょっとちょっと何! この透明度!」「浮遊物が全然ないっ」「あの白いの、底じゃない?」「うわー、下手すると20(m)はあるね!」「今日天気良かったし、絶対良かったよ!」「潜りたい〜〜〜っ!!」。……すいません、中毒者なもんで。

城ヶ島は誘惑の島である。特におなかの空いている状態でさまようのは危険である。あちこちから焼きハマグリ、焼きイカ、焼きサザエの匂いが漂ってくる…。私らはこの後、マグロを食べに行こうね、と言っていた。それなのにふらふらと誘われてしまうのだ。「……ゲソくらいなら……」。誰ともなくこう言い出すまで、時間はそうかからなかった。ゲソを片手に灯台のある高台に登り、冷たくなりだした風に吹かれながら、くるくる回る灯火と海を交互にぼんやり眺め、とりとめもない話をする。シアワセ。完璧に暗くなる直前に車に戻り、くろば亭へと向かう。

私たちは何年か前に「三崎のまぐろを食べに行こう」ツアーをしたコトがあった。そのときにくろば亭の前を通りかかり、ちょっと気になったのだけど、そのときは外まで人が並んでいて入れなかったのである。後からそこが三崎名物の有名店だと知った。今日も混んでるかな……と覗いてみると、時間が18時前と早かったおかげか、まだ余裕で入るコトができた。メニューを書いた短冊がカウンターの上に隙間なく貼られ、すんごく目移りしちゃう店だ。そこからはひたすらマグロマグロマグロ……。私は基本的にはあっさりした白身の魚を愛しているんだけど、たまにはマグロも美味しくいただける。

食べて食べて、前回の心残りは解消したんだけど、「あのメニューもいっときたかったなあ」と新たな心残りが発生してしまった。また行かなくちゃ、だ。その後、別れる前に入った某所のAfternoon Tea! ちょっとさー、紅茶店のくせして紅茶煮出しすぎ! 渋かったよもう。最後でちょっとケチがついちゃった。でも楽しいドライブでした。朝はときどきヒヤヒヤした友人の運転が、帰る頃には見違えるくらいに安定していたのにもビックリ。この先がますます楽しみです。

2004.12.14

ミネット・ウォルターズの『蛇の形』読了。今まで読んだ彼女の作品の中で一番面白かったんだけど、それとは関係なく、頭の方の「人は、土地や人々にその人を縛りつけている感情的な絆が断ち切られると、気分が一新するのだ」 という一文を読んで、しばらく前に読み終わった本に書いてあったコトを思い出した。その本(読書録を見てもどの本に書いてあったのか思い出せず。ダメじゃん)には「よく“自分探し”のために海外へ一人旅をしに行く人がいるけど、それはおかしい。自分っていうのは生活している場所にいるのである。自分を取り巻く環境や、自分に関係のある人から離れて、どうして自分を探すコトができるのか」というようなコトが書いてあった。私ゃそれを読んで「わかってないなー」と思った。

海外生活をしたら自分が見つかるなんては、言わない。“自分探し”が必要かどうかもおいておく。見つかる人もいるし見つからない人もいるし必要な人もいるし必要じゃない人もいるしってのは他の多くのコトと同様で、当たり前の話だからだ。だけど、いつもの環境の中では、自分が何を望んでいるのかわからなくなっているってコトは、確かにある。生活をしているだけで、自覚の有無にかかわらず、誰かから、何かからプレッシャーを受けてる。多少にかかわらず、責任も持たなきゃならない。親と生活していれば、親の「こうなって欲しい」という願いに影響されずにいるのは、難しい。一人暮らしをしていたって、世の中の「これがマトモだ」という風潮を感じずにいるのは、難しい。その意見や風潮に賛成であれ反対であれ、だ。

それから離れてみて初めて、違う価値観の中で暮らしてみて初めて、「ああ、今まで気にしていたアレはたいしたコトじゃなかったんだ」とか「コレをやらなきゃ、と思ってたけど、コレ好きじゃないなー。やりたくないな」とか「自分にはムリだと思ってたコレ、向いているかも」と気づくコトは、実体験からして、ある。彼(筆者は男だったと思う)が何と言おうと、ある。「“自分探し”に海外に行きたい」って人の少なくとも一部は、自分がプレッシャーを感じていると、無意識に知っているんじゃなかろうか。ちょっとキツいから逃げたいな、と思っているんじゃなかろうか。

それを現実逃避と言ってしまえばそれまでだけど、キツいコトから逃げるのは、悪いばかりでもないと思う。逃げた方がいいコトもあると思う。自分の責任とれる範囲内でやるべきだ、とは思うけど。

*****

12/15追記:上手く言えないんだけど……。自分にかかるプレッシャーの正体を知っているかどうかってのは、大事だと思う。その正体を把握してさえいれば、「自分はこれがちょっとツラいけど、でもあの土地にいるプラスの方が大きいから、戻ろう」、「あの人といるのはキツい部分もあるけど、でもやっぱり離れてると寂しいや」となるのも、別にいいのだ。何も根無し草生活を勧めているワケじゃない。“土地や人々にその人を縛りつけている感情的な絆”っていうのは、大事に育てられたらステキなものだし、私にとってもなくてはならないものだ。でも、自分が何に押さえられているのか知らない状態ってのは、実にツラい。―――これも実体験からして、本当なのだ。

2004.12.10

サトエリのKOSEのCMを見るたびにモゾモゾする。どうしてああ全部に力入れて踊るかな。途中は抜くんだってばさ! メリとハリだってばさ! 見るたびツッコミいれたくなる。それさえ直せば上手くなりそうな気がするだけ、余計に気持ち悪いよ〜。

≪つづき≫

2本目は一番近い1のへ。水面移動中に、海中を泳ぐタンクを背負ったサンタを目撃。IOPのどこかにはツリーも立ててあるらしい。シーズンだねえ。潜ってすぐのトコロには、ツユベラの幼魚がいた。すぐ近くに小さな生き物が頭だけを覗かせていたので、苦労して撮影(が、今イチよく写らなかった。トウシマコケギンポらしいのだが)していたら他の3人に遅れてしまい、慌てて追いかける。ウェットが一回濡れてしまったせいか、体が一度冷えてしまったせいか、10分もたたないうちに寒くなってきてさすがに焦った。申告するにも、いくら何でも早すぎる。

動き回っていると寒くならないので、あっちを見たり、こっちを見たり。2本目に探していたのは、クマドリイザリウオである。いないかなーと思って泳いでいたら、ターニングポイント辺りに人が群れていた。根の上あたりにあるコーラルを覗き込んで、かわるがわる写真を撮っている。私たちは壁の外側に浮かび、他の魚と遊びつつ、空間があくのを待った。しばーらく待ってやっと順番が回ってくる。近づいてみると、やはりクマドリである。黄色。コーラルの中に潜り込んでしまっているので、「横から撮りたいなー」と思いつつも、上からの姿を撮影する。「ちょっと出てきてポーズとって」ってワケにはいかないもんね。

……と思ったら、後でSさんからヒドい話を聞いた。Sさんは横入りされないよう、私らがちょっと離れて遊んでいる間も、クマドリの近くで順番を待っていてくれたんである。だから私らの前のグループがクマドリをどう扱っているのか見ていたそうなのだが、なんと、横からの写真を撮るために、コーラルに潜り込んでいるクマドリを指示棒でつつき出していたというのだ。「あれじゃ死んじゃうよ!」。……まったく、そのときだけいい写真が撮れればイイの? それより魚の生活を観察したり、成長を見守ったりした方が、ずっとずっと長く楽しめるじゃん! ダイバーが海に入るだけで海は荒れるのに、積極的にダメージ与えるなんて、何考えてるんだろう…!

後から聞いて腹を立てたが、そのときはそんなコトとは露知らず、クマドリイザリウオが見れたのでほくほくしながら、ダイビングを続ける。ツノダシが1匹だけ泳いでいく。アオブダイが何匹かウロウロしている。大きなニシキウミウシにも遭遇。カワイイ、というにはちょっと大きすぎる〜。2本目もけっこう深めではあったので、浅瀬に戻ったところで安全停止をかねて遊ぶ。SさんとTさんが次々に魚を指し示して教えてくれる。1本目に教えてもらわなきゃゴミと間違えそうなブチススキベラを何匹か、自力で見つける。今年はやけにたくさんいるそうだ。楽しいは楽しいのだが、泳ぐのをやめた途端、忘れていた寒さが戻ってきた。

「そろそろ自己申告しようかしら…もう40分は潜ってるし、いいよね」と思ったちょうどそのとき、Sさんが「寒い?」と聞いてきた。もちろん「寒い〜っ!」と返す。Sさんは大笑いして「戻ろう」と合図をよこした。足のつく場所まで泳いでいき、ロープに掴まりもせずにフィンを脱ぎ、がつがつ上陸。たくましくなったなあ、私ら! 前は同じ場所で這ってあがった覚えがあるよ。IOPはエントリー口とエキジット口が同じだから、ロープを使わないと移動できないグループに当たっちゃうと、延々待たされるのだよ。特に夏場の混むときは。この日も、ちょっと年配の人ではあったのだけれど、立ち上がりもできない人がいて「おいおい」と思った。年配って言ったって40代くらいなのにー。

器材の片付けをしてる間、足がかたかたかたかた震えていた。次はドライだ、こんな寒さはこれで最後だー、と自分に言い聞かせながら、器材を洗ってまとめる。やっと熱いシャワーに入れたときには、ホッとした。ショップに戻ったのは、かなり早めの15時半。東伊豆だと移動距離が短くて楽だわあ。ログ付けの前に、今日来た目的、ドライの申し込みをする。セミオーダーで申し込むつもりだったが、ちょっと測ってみたら、私もKも標準サイズから微妙にハズれることが判明し、「セミオーダーがムリだったらフルオーダー」に切り替えた。

切り替えるのはいいのだが(財布にはちょっと痛いが)、フルオーダーのためには、体にありとあらゆるサイズを測らなくてはいけない。3サイズどころではないのだ。太ももも、2の腕も、下腹部も、全部全部測られるのである。そういえばウェットを買ったときもそうだった。とても恥ずかしかった…。「ヤだなあ! 全部サイズがバレちゃう〜」とぶつぶつ言っていたら、Tさんがにこやかにキッパリ「サイズを気にするような年じゃないじゃないですか」。……Tさんって、ときどきにっこり人を斬るよなあ! 客が私ら2人だけだったのだけが救いかも。

羞恥プレイの後は楽しい色選びである。一番安いのはのっぺり一色で、それに1万円のプラスをすると、両脇にラインが入れられる。「ラインだけで1万違うのかよ」と思ったものの、そこは女のコ。ライン入りのを選んだ。色生地見本を見せてもらいながら、すんごく迷って色を選ぶ。小さな切れっ端から全体像を予想するのって、至難の業だ。オレンジを入れたいなーと思ったけど、オレンジだと他の色との組み合わせが難しい。本体がオレンジでラインが黒だとバイオハザードの防護服みたいになりそうだし、逆にすると地味すぎる。

「同系色でまとめた方が無難だよ」だの「寒色系の方がすっきり見えるよ」とSさんがアドバイスをしてくれるのだが、私らは「無難にしたくないんですー」「明るい色が入ってなきゃイヤ。水の中で目立つのがイイ」と聞く耳もたない。水の中で目立つってのは、別に注目を集めたいワケではない。ぱっと見てすぐに「あ、To-koだ」とわかるようにしておいた方が、はぐれる心配がなくなるからである。結局、悩みに悩んで、本体はブルーベリー、ラインはレモンで決めた。ブルーベリーは水に入ったら沈みそうだけど、ラインがかなり目立つ色なので、分かりやすいだろう。

まとまったトコロでログ付けに入り、18時過ぎに伊豆を発つ。出来上がりが楽しみである。途中で友人と待ち合わせて食事をし、家に帰る。かーーなり疲れていたので帰りの電車で寝過ごしそうになった。ハードな土曜日。

今回のログはコチラ(92本目)。写真ありあり。

2004.12.9

さすが12月で忙しいですよー。会社の忘年会とか会社の忘年会とかで。胃の膨張が怖いです。『ハウルの動く城』はいつ見にいけるかしら……。

さあて、ダイビング話。え? 終わったんじゃなかったっけ、ですと? ヤだなあ、違う海ですよお!

12/4の土曜日、伊豆にダイビングに行ってきましたあははー。季節外れの台風27号が沖縄に接近し、全国的に大荒れの予報で、それがなくても伊豆で、ウェットで潜るのはかなり無謀な時期である。しかし私とダイビング仲間のKは決行した。何故なら馴染みのショップで破格の割引になっているドライスーツ購入を決意していたからである。ドライを申し込むためだけに伊豆に行くなんてもったいない→じゃあ潜ろう!とあっさり決まった11月。今回は購入を見送った残り2人のダイビング仲間は、私たちをあきれた目で見送った。

月初の仕事が忙しく寝不足気味だというのに、遊びとなると飛び起きて、一路伊豆へと向かう。空は曇っているが、雲は高く、運が良ければ夕方くらいまでは持ちそうだ。しかも曇っているおかげで湿度が高く、気温も高め。ショップ最寄の駅に着くと、Tさんが迎えにきてくれていた。さすがにシーズンオフで、客は私ら2人だけである。ショップに行き、Sさんも含めてどこに行こうか相談する。「海はIOP(伊豆海洋公園)が面白いらしいけど、温泉に入りたかったら富戸だね。どうする?」と聞かれ、海を選ぶ。IOPには今年6月から、半年近く行っていなかった。

沖縄の話をしながら、4人でIOPへと向かう。島のショップを紹介してくれたTさんSさんによると、私らが「もう少し放っておいてくれてもイイ」と思ったNさんのカメラの指導ってのは、彼にしては大サービスだったそうだ。普通、海の中でスレートに文字を書くコトもしないらしい。「海人だったでしょー」と言われる。「海の中ではオレがルールだ!」というのを海人と言うなら、確かにその通りだった。陸ではにこにこしてる人なのにねー。IOPに到着し、準備。Kは寒さに異様に強いが、私はどっちかと言うと寒がりだ。ウェットの下に持っている限りの防寒グッズを着込む。

しかし! 海は良かった。水の状態は今年の伊豆で一番良かったかもしれない。朝のうちは吹き荒れていた風もほとんどなくなっている。透明度は10〜15mだったが、縦の視界はもっとあった。20数mの水深で水面を見上げたら、海面がハッキリ見えたもの。見上げた先に濁りがなく、水面との間にはただ魚が浮かんでいるだけ。自分がどこにいるのか見失うようなこの一瞬が、私はとても好きだ。「慶良間もいいけど、戻ってきて伊豆に潜ると、伊豆もやっぱり面白いんだよねー」とSさんTさんが言っていたが、その通りだと思う私は立派な伊豆ダイバー。

おっと。先走ってしまった。まず1本目に行ったのは「2のというポイントで、PADIのサイトでポイント情報を見ると、一応、中級者以上向きとなっている。私は去年一度行って、頭痛と共に戻ってきた経験があるのだが、Kは初めてである。私よりもKの方が上手いので、ちっとも心配はしなかったけど。「長いダイブになっちゃうから、寒いかなー」とSさんたちが気にしてくれたが、「まあ1本目だから大丈夫でしょう。寒くなりそうだったら引き返すってコトで」と、いつものごとく、軽く出発してしまった。

入ってみると、特に縦の透明度がいい。2の根は遠いので、行きは水深5〜6mをキープするのだけど、今回は海底までハッキリ見える。頭が痛くならないようにしっかり息をしなくちゃ!と思っていたけど、先頭を行くTさんがゆっくり泳いでくれるので、ときどき上を向いて泳ぐ余裕もある。沖縄とは色が違うし気分も違うが、これもまた気持ちのいい海だなーとすっかり嬉しくなってしまった。2の根につくと、そこはドロップオフになっていて、根の向こう側にキンギョハナダイが群れている。シラコダイの群れも。深いからか、そこだけちょっと暗かったが、いる魚は南国系だった。

そこから根の先を回るようにして深度を下げ、ちょっと泳ぐと、Tさんが根の壁についているソフトコーラルを指差した。見ると、キンチャクダイが泳いでいる。派手で目立つ魚ではあるが、わざわざ指差すほど珍しい魚ではないので、「?」と思ってよく見ると、そこには沖縄でもお目にかかったクダゴンベがいた。沖縄で見たのより、ちょっと色が薄い気がするのは気のせいか? それにちょっと寒そう……。写真を撮ってふとダイコンを見ると、水深は34m近くになっている。ぎゃっ! いつの間に!

DECOが出るまで6〜7分って感じがその後しばらく続いたが、そこから徐々に水深を上げ、浅い場所でかなり長く遊ぶ。この寒いのに、南洋系の魚の幼魚がたくさんいた。途中「寒い?」と聞かれたけど、意外なコトに、そんなに寒さは感じていなかった。水温は19度だったから、防寒グッズの効果がかなりあったってコトだろう。水に入った瞬間は「冷たっ」と思ったのにな。わりと長めのダイビングができた。

水からあがるとさすがに寒い(それでもすぐに温水シャワーに駆け込まなかったら「寒さに強いね!」と驚かれた)ので、温かいシャワーを浴びながら全部脱いで、乾いた服に着替える。着込んでいるので脱ぐのも一苦労だ。「次からはドライだー、この手間からは卒業だー」と思いながら、30分近くかけて着替える。昼食を食べ、1時間半強の休憩(うち、脱ぐのに30分、着るのに30分)。

≪つづく≫

今回のログはコチラ(91本目)。写真も少し。

2004.12.7

≪とうとう最後、のつづき≫

旅行5日目、最終日である。夕方には飛行機に乗って羽田へと向かわねばならないのだが、15:00くらいまでは余裕があるので、3月にも行った首里城にまた行くコトにした。友人はやちむん通りと国際通りでショッピング三昧をする予定なのだが、母がそんなに長時間のショッピングを楽しめるタイプではないので(私も、だけど)、沖縄初めての母に付き合っての再訪である。3月には一緒にこなかった友人の1人も首里城グループになって、午前中は2-3に分かれての別行動となった。

余分な荷物はホテルに預け、ゆいレールで終点の首里まで。そこから15分くらい歩いて首里城に入る。この日の那覇は快晴で気温が高く、おいおい沖縄に来てから一番天気がいいんじゃないのーって感じだったが、島の天気は違うかも、と考えて自分を慰める。しかし歩くにはちょっと暑く、Tシャツでいても汗ばむくらいだった。首里城近くの円覚寺跡や弁財天堂、龍潭もさらっと眺めながら歩き、入場料を払って首里城の中へ。私は見たばかりだから……と思ったが、さすがにトリ頭で、2度めでも充分楽しめた。

首里城公園
雲一つない上天気。

アカギの大木首里城見学の後、まだ微妙に時間があったので金城町石畳道に行ってみた。16世紀の主要道路だったそうだが、幅は細く、かなり急だ。これを使って城に物資を運びあげるのって、大変だったんじゃないのかなあ。雰囲気のある道路で、途中にご神木であるアカギの大木もあって、気持ちよく散歩のできる道だった。かつては首里城の周りには多くのアカギの大木があったらしいが、第二次世界大戦でほとんど焼失してしまったいう。ああ! 残ったご神木(沖縄だと呼び方が違うのよね? 何だったっけな)には年に一度神さまが降りてくるんだそうな。その際願い事を一つだけ叶えてくれるそうなので、お祈りをしておく。

石畳道を歩き終わって車通りに出たところで、タイミングよく通りかかったタクシーを捕まえ、国際通りへ。母と友人が「買い物はいいけど泡盛を買いたい」というのに付き合って、昨日名刺をもらった酒屋へ行く。母が欲しがっていた泡盛はもう生産中止になっているそうで、棚に残っている現品限りだった。友人は送料無料で送ってくれる店を探し、次から次へと試飲。私もつきあって数種類を味見して、3種類をオススメした。10年以上経った古酒が、私は好み。あと度数の高いヤツ。

最後の昼餐そこで買い物コースを辿っていた友人2人と合流し、初日にも行った牧志市場に乗り込む。ここでも調味料や食材の土産を買い、鮮魚部で魚を選んでまた調理してもらう。この日は最終日なので、少し奮発して伊勢海老を入れたコースにした。魚数種と伊勢海老の刺身、グルクンの唐揚げ、伊勢海老の味噌汁で材料費2千円、調理費500円/1人。ちょっと高いかなーと思ったが、とても美味しかったので満足しちゃったからイイや。食後は国際通りをホテルまで歩き(途中でぶくぶくコーヒーを歩き飲み、琉球ガラスのグラスを購入し)、荷物を受け取って空港へ。

いつまでいても「せめてあと1日あったらなあ」と思うのだけど、ホントに終わっちゃうのが惜しい旅行だった。また一緒に行けたらいいな。つか行こう!と約束して羽田で別れる。楽しかったね。

≪長々お付き合いいただきありがとうございます、の終わり≫

2004.12.6

≪やばいだいぶ記憶が薄れてきましたよ、のつづき≫

さて旅行4日目の月曜日は、とうとう島での最後の一日である。午前中に2本潜り、夕方の船で那覇に戻る日だ。「8本だからたっぷり潜れる〜と思ってたけど、あっという間だったね……」「帰りたくないよう」とボヤきながら、1〜2日目と同じように準備をすすめた。私ら4人+母+年配グループ6人+男性1人客にガイド2人と、船の上は今日も賑やかである。「このショップでお客さんが10人以上って滅多にないんだけど、ま、今回は運が悪かったと思って」とはNさんの言葉。でも他に多少お客がいた方が自由行動ができていいかも…と思うのは失礼かしら。

1本目のポイントは、嘉比島のブツブツサンゴ。正式名称はコモンシコロサンゴというそうだが、言いにくいのでこの名前で呼ばれているとか。ここはサンゴがメインのポイントである。浅めで明るく、いろんな種類の、いろんな色のサンゴの森があって、いかにもダイビング雑誌の写真に使われそうだ。サンゴの枝の上にはデバスズメダイやミスジリュウキュウスズメダイが群れている(←やっと名前を覚えたのに、もうお別れなんて〜! 悲しい!)。本来ならばリラックスして遊べる場所であるハズだが、最初の頃の私はそれどころでなかった。だって。

初ファンダイビングの母が危なっかしくて仕方ないんである。フィンの使い方が下手だから全然進んでいないし、左手はBCDのインフレーターをしっかり握り締めている。(気持ちは、分かる。給排気ボタンをすぐに押せるように、持っていないと不安なのだよね。私も初期の頃はそうだったという証拠写真が残っている)。しかも途中でパニックを起こしかけた。ナゼかレギュの中に水が入ってきてしまったというから、仕方ないんだけど……。

とにかく本人が緊張しているのと、技術が下手なのが丸分かりで、ハラハラどきどきしっぱなしだった。でもつきっきりで面倒見たのは、ガイドのKさんである。人の下手さが分かるようにはなっても、人の面倒見るまでにはまだなっていないのだ私は。途中からは母もかなり落ち着いて、一緒に「Cカード取得おめでとう!」と書いたスレートを持っての記念撮影もしてもらった。ダイビングも運転と同じで、最初にがーっと潜って体で覚えてしまった方がいいのだけど、母は私みたいに頻繁には行けないだろうし、この先もまだまだ修練が必要だろうなあ。

後半は横目で母を見守りながら(←見守っているだけ)も、自分はあっちの魚、こっちの魚とカメラを持って追いかけまわし、ちゃんと楽しんで1本目終了。タンク交換のために港に戻り、2本目はニシバマのアザハタポイントへ。最後の1本は「やはりアザハタを見ないと」と、Nさんが気を利かしてくれたのである。1日目には先を越されたアザハタブイも、今日は片方が空いている。もう片方のブイに係留した船からは、ダイバーが次々に飛び込んでいるトコロだ。「アザハタの周りでかち合わないように」と、長めのブリーフィングでもう片方の船とは時間をズラし、私たちも海へ入る。

「アザハタがいる場所まではちょっと遠くて、中層を泳いでいかなくちゃいけないから、初心者のお母さんはちょっとムリ。お母さんにはもっと近いで遊んでもらうコトになります。To-koさんはどうする? お母さんと一緒に遊ぶ? それとも待っててもらってアザハタに行く?」と聞かれ、「アザハタ行きます!」と即答した娘甲斐のないワタクシ。母にはもちろんKさんが付いていてくれる。残り全員は、Nさんの後ろについて泳ぎだした。トウアカのときの教訓を活かし、深い呼吸を心がける。

確かに遠いは遠かったが、トウアカの後ではすごく近く感じる距離に、アザハタはいた。砂地に根ともいえないくらいの小さな岩があって、キンメモドキやその他小さな魚の中で、そこの主のように大きな2匹がアザハタだ。けっこう深いので黒っぽく見えるが、フラッシュを焚くと鮮やかな赤い魚が写る。50cmくらいとは聞いていたが、もっと大きく見える。カメラを向けても全然逃げずにいてくれるので、嬉しくなって何枚も写真を撮った。が、深いので長居はできず、全員が満足したところで引き返す。

船のかなり近くまで戻ったところで、母と合流。が、母の残圧があまり残っておらず、よっ!と挨拶をしただけで、母はエアの早かった2人と共に先に船に戻らされてしまった。残された私たちは、今まで母がいた根で遊ぶ。そう大きな根ではないのについている魚の種類は多くて、なかなか楽しめた。(この根までしかこれなかった母は「もの足りないくらいだった」と言っていたが。遠くまで行きたかったら早く上手になれよ〜)。ゆったりと遊び、慶良間でのダイビングはこれで終了。

宿の近くに咲く花←宿の周辺に咲き乱れていた花。
今回のログはコチラ(89本目)とコチラ(90本目)。写真あり。

着替えと片付け、昼食を済ませた2時間後、ホテルにやってきたKさんとさーっとログ付け。Kさんは残りのお客さんを連れて3本目に行くので、大急ぎである。荷物をまとめ、ダイビング器材は家に送りつけ、食事の美味しかったホテルに別れを告げ、港まで歩いていく。船が出るのは夕方。3本目から戻ってきたNさんの船とすれ違わないかなーと思って、デッキから行き交う船を眺めていたが、残念ながら分からなかった。慶良間の内海から出たところで、波が高くなってきたので、船内に戻る。戻りは酔い止めを飲み忘れたので、微妙に気持ち悪くなってしまった。

阿嘉島の港本島と慶良間を結ぶ船
左:台風で壊れた阿嘉島の堤防/右:本島と慶良間を結ぶ船

那覇についた後は、1泊だけするホテルにチェックインし、すぐさま国際通りに繰り出す。3月に来たときに美味しかった店を再訪し、今度は人数が多いので前回食べられなかったものを堪能し(ゴーヤの天ぷらがめちゃウマ!)、さっきは素通りした国際通りを冷やかし歩きながら、またホテルに帰る。いかにも土産物屋!という、呼び込みをやっているような店には入らなかったのだけど、気になる店を回るだけでもけっこうかかった。自分土産として、一目惚れしたサバニ競技のTシャツ購入。先に帰ってしまった母の欲しがっていた泡盛を扱っている酒屋を見つけたので、店の名刺ももらっておく。ついでに試飲もしておく。

≪あと1回、つづく≫

2004.12.3

旅行記書き終わってないのに、もう次の海ですよ奥さん! この日記読むと、海に潜るコトと本読むくらいしかやってないみたいよねぇ私。……ま、その状態からはさほど遠くはないけれど、さ。

≪まだまだ、つづき≫

この日はちゃんと着替えてから食事に行き、ホテルのベッドに戻って軽く昼寝。うん、やっぱこの方が楽だ。2時間後、また港に戻ると、船が混雑している。他のメンバーが到着したのだ。つか、彼らは午前の船で島に到着し、私らが昼休憩をしている間に1本潜ってきたらしい。元気だなー。ただ、ご夫婦の奥さんは体調を崩して、残念ながらダイビングはお休み。残った11人(私ら含む)で、3本目は阿嘉島の前浜に向かう。おじさんおばさんも元気いっぱいだ。おじいさん、と言いたいくらいの風貌の人もいる。いいねえ。

ちょっと風が出てきたから静かな場所で、と選ばれたポイントだったが、残念〜透明度はちょっと落ちていた。Nさんが「伊豆みたい?」とスレートに書いてくる。前日私らが「これで透明度が悪いなんて贅沢! 伊豆からきたら天国ですよ!」とさんざん言ったからである。ちょっとそうかも、とハンドシグナルで返したが、ホントは「伊豆のいいときみたい」が正しい。だってまだ10m以上は見えるんだもん。ブリーフィングによると、今回の目玉はに貫通している横穴に、ぎっちりと詰まったキンメモドキである。孵ったばかりで、この季節にしては珍しいそうだ。

ちょっと遊んで噂の根に行くと、おおっ! 前回Nさんたちが潜ったときには、横穴の出口が見えないくらいのキンメモドキの幼魚がいたそうなのだが、私らが行ったときには、それほどのキンメモドキはいなかった。その代わり、根の周りで10匹ほどのカスミアジががんがん泳いでいる。穴の片方から入ってはキンメモドキに襲い掛かり、もう片方から出て、ぐるっと根を回って、また穴に入っていく。大勢の人間が近づいたら普通逃げそうなものだが、カスミアジも興奮しているのか、捕食をやめようとしない。30〜40cmクラスの魚が何匹も何匹も、間近で泳ぎまわるのはなかなか壮観で、ワクワクして、しばらくそこに留まって眺める。

砂地で遊んでの終了間際、ロープに掴まっての安全停止中にハプニング発生。といっても原因は珍しく私らではない。一緒に潜った年配グループの一人が、漂流事故に備えてのマーカーを持っていたのだが、その蓋が開いてしまったらしいのだ。突然海の一部が黄色く染まる。はー、こうなっているのかあ。期せずして非常用グッズの実演を見てしまった。それ以外は平穏無事に、2日目のダイビング終了。前日と同じように夕食(この日のメインはラフテー)後にショップに行き、ログ付けをする。何とか講習をこなしてダイバーの仲間入りをした母も、次の日は一緒に潜るので挨拶に行った。いきなり賑やかになったショップで、わいわい騒ぎながらログ付けをする(でも、「ボクの話を聞いて聞いて」のおじさんがいたせいもあって、正直ガイド2人では捌ききれてなかったよー。海でなら平気なのにね)。

≪明日は早いので、短めで終了。もっとつづく≫

今回のログはコチラ(88本目)。写真あり。

2004.12.2

シアワセになりたくて、久住昌之さんの『小説 中華そば「江ぐち」』再読中。初読時の感想はこんな感じなのだけど、読み返してもやっぱり頬が緩んでしまいます。教えてくれた須藤真澄さんにはつくづく感謝!

≪またまた、つづき≫

旅行3日目の日曜日。1日の流れも天気も前日とほぼ同じであるが、今日の3本目からお客さんが増える。50〜60代のお達者(というほどの年でもないか)グループ6人と、私らと同じくらいの年代のご夫婦が一気にやってくるのだ。が、まだ午前中は私ら4人の貸切である。前日と同じように慌しい朝をこなし、港へ。予定通り講習をこなせば、最後の日だけ一緒に潜れるって予定になっている母は、この日はまだ別行動である。

1本目に連れて行ってもらったのは、渡嘉敷島の海人(うみんちゅ)というポイントである。日本で見られるクマノミは6種類いるのだが、そのうちの5種(クマノミ・ハマクマノミ・カクレクマノミ・ハナビラクマノミ・セジロクマノミ)は3月に沖縄に来たときにすでに目撃している。……つか、前日のダイブでも、一気に5種に再会していた。1本目は、残る1種、トウアカクマノミを見に行くコトになっていた。「覚悟してねー。遠いよ。ひたすら泳ぎます。トウアカのいる場所に着くまでは、途中に何があっても無視して泳ぐ。泳ぐのも中層! 絶対に着底しないように」との事前ブリーフィングがちょと不安をあおる。

結果、慶良間で今回潜った8本のうち、これが一番ハードなダイビングになった。私の技術が足りないせいと、フィンが長距離に向かないタイプだったせいである。私たちの使っているフィンは脚力のない女性向けの柔らかいフィンで、軽くて疲れない分、推進力には欠けるんである。ゆーったり泳ぐタイプのダイビングをするなら全然問題はないけれど、流れの中で泳いだり、今回のように遠くまで泳いだりするには、ちょっとキツい。泳いでも泳いでも、進んでる気がしなくて焦ってしまう。

初めての場所で、具体的にどの程度遠いのか分からなかったのも、悪かったと思う。中層を泳ぐのは、好きだ。今回のように下が白い砂地で、透明度が良くて、自分と海底の間に何もない状態ってのは、好きである。まるで飛んでるような気分になるのだ。だからゆったり構えていれば良かったのだが、遠くまで泳がなきゃ!という気が先にたって、無意識に息をセーブしてしまったらしい。先を行くNさんと深度を合わせるようにするってのも、けっこう神経を使う。途中に作られている、ジャングルジムのような形の人工漁礁は、ぱっと見廃墟のようで、ここを横目で見るだけで通り過ぎるのは残念だった。

やっと辿り着いたトウアカの巣で、撮影会。ところがこんなときに限ってデジカメにシリカゲルを入れるのを忘れてしまったので、レンズが曇って、私が撮った1本目の写真は全滅……。しょぼーん、だ。はるばる私たちを引っ張ってきたNさんは、やはり「トウアカを撮らせなくちゃ!」という意気込みで、あっちの角度から、いやこっちの角度から、と私らのタンクを掴んで引きずり回す。えーーっと。砂地にぽつーんと、トウアカの居ついているイソギンチャクだけがあるので、撮影会の後はまたはるばる泳いで帰るのだ。帰りは行きほど中層にこだわらなくても良かったし、距離も分かっているので気楽だったのだが、ここで行きの息の仕方のツケが出てきてしまった。久しぶりに酸素不足による頭痛である。

原因は分かっているので深呼吸を心がけつつ、でも、ひーん頭がガンガンするよう!と思いながら、船の近くまで戻ってきた。ここで残圧の低かった友人1人が先に船に戻らされてしまった。残り3人は、今度はNさんが見つけたモンハナシャコの撮影会である。私が一番いいポジションにいたのに、先述の通り、カメラが曇っていて全然撮れなかった。キレイなシャコだったのに、残念! もしかすると、を期待して、一応数枚撮ったトコロで、場所を明け渡すためにちょっと浮かび上が―――ろうとした私の足首を、Nさんがぐっと掴んで引っ張った。

なーによう! 誰かの邪魔したか?と思って振り返ると、Nさんは何かを指差している。何? その指の先を見ると―――うおおおおおっ! マンタっ!―――と、一瞬、思った。が、頭のカッコウが違う。けど、大きなそれはすぐ近くを、ゆったりと飛んでいった。すすすすげえっ。やっぱ私、大物好きだっ。後から聞いたら、それは伊豆でも何度かお目にかかったトビエイだった。が、伊豆で見たトビエイは、羽の先から羽の先までの距離が、せいぜい1m強だった。せいぜい、とか書いているが、見かけたときはうわああっと興奮したものである。それが今回のはあなた! 優に2mは超えている。腹の白さも際だっていて、伊豆で見たのとはまるで違う生き物だ。嬉しい〜。

前半は疲れたものの、最後の最後で大興奮させられて1本目終了。一度港に戻っての2本目は、阿嘉島の佐久原(さくばる)に連れて行ってもらった。3月にも潜っているココは、地形が面白いポイントだ。前回はココでクロガシラウミヘビに襲われかけて(←主観)、恐怖体験もあったのだが、それでも面白いポイントでは、あった。今回はそのときとはちょっとズレた場所で、隠れ根の周辺に潜った。途中に谷を渡る場所があって、これが楽しい。中性浮力を保って中層を泳ぐのって、1本目みたいに周りに何もない場所でも飛んでる感じがして気持ちいいのだけれど、私は谷や裂け目の上を飛ぶのが好きだ。その方が、宙に浮いてる感が強いのである。高さが実感できるし。

浅い辺りには、私がずーーっと「一度見てみたい」と思っていたハタタテハゼが、ありがたみがないくらいたくさんいる。1本目と2本目の間の休憩時にちゃんとシリカゲルを入れていたので、念願のハタタテハゼはしっかり写真に残せた。うひひー。他にもヒトスジギンポやメガネゴンベなどを狙って、撮りまくる。おのおのが勝手に獲物を追いかけている、こうゆう写真の撮り方は好きなのだ。さんざん遊んで、2本目、終了。

≪さらに、つづく≫

今回のログはコチラ(86本目)とコチラ(87本目)。写真あり。

2004.12.1

なんだか体力が余っていて、意味もなく駅まで走ってみたり、無性に元気なワタクシ。どうしちゃったんだろ? また仕事が忙しくて、21時過ぎまで椅子に縛り付けられているからかしら。

≪さて、つづき≫

疲れ果てた母をホテルに残し、20時、ショップへ。NさんKさんが泡盛を用意して待っていてくれた。「ダイビング前だから…」と言っても「大丈夫! 泡盛は残らないから!」と返されるのだ。おいおい(←と言いつつ、ちょっとだけ飲んだらしい)。写真を見ながら魚の名前を教えてもらう。4人がそれぞれ撮っているので、Nさんたちも大変だ。これが伊豆なら、私らもどれが珍しくてどれがよくいる魚なのかだいたい分かってきたのだが、沖縄だとありふれた魚までログブックに書いて、「そんなのわざわざ書かなくったって…」と言われてしまう。いいじゃんー、私らには珍しいんだもんよー。

ログをつけながら雑談もしたのだけれど、私らが3月に使ったショップについて、イヤな話を聞いてしまった。3月の時点では、私らはそのショップ、Tに悪感情は持っていなかったのだ。激安ツアーについているようなショップだったから、大人数で出かけるのも、ログ付けがゆっくりできないのも、器材を洗うスペースが小さすぎるのも、仕方ないなと思っていたし、ガイドの感じはとても良かったんである。2日間ガイドについてくれた女のコは2人とも元気で明るくて気持ちよく、楽しく潜れたと思っていたのだ。

が、沖縄から帰っていつもお世話になっている伊豆のショップに行き、のど元過ぎればの気安さで面白おかしく恐怖体験を話していたら、「危ないなあ!」と言われてしまったのだ。私らはドリフトとか経験がなかったし、流れてる場所では珍しくない、けれど初体験だから“私らにとっては”怖かった〜、という話をしたつもりだったんだけど、伊豆のSさんは「それはやっちゃいけないガイドだよ」と言うのである。その状況で何か一つ間違いがあったら、事故になっていた、と。他にも、生き物の扱い方とか、「それは良くない」と言われてしまった。

潜った場所がかぶらないように、と、前回のログをNさんに見せると、Nさんは「Tね……」と苦笑した。「那覇のショップってマナーが悪い店が多いんだけど、Tは中でも評判が悪い」んだそうである。今、慶良間の海では那覇のショップが潜れないポイントがたくさんあるそうだ。那覇の店のボートがアンカーをがんがん落としてサンゴ礁を壊してしまうので、慶良間の漁協が怒って潜水禁止にしてしまったとか。座間味村の船は係留を許可されているが、アンカーを落とさないで、ブイに繋ぐように決まっている。ブイによっては、一度にもやえる船の数も決まっているのだそうな。

前回潜った場所の1つが、那覇の船は入っちゃいけない場所だったらしい。アンカーを落とさないドリフトだったので、「まあまだマシか」と言われた。他にも、那覇の船が慶良間で事故を起こしたのに、全国ニュースで「慶良間で漂流事故!」と流されて、まるで慶良間のショップが悪かったような印象になってしまい、迷惑を蒙ったとか、島と那覇との間にはいろいろあるようである。

うーん…。悲しくなってしまうなあ。ホテルに戻ってから友人らと話したのだけれど、話を聞いてもやはりTのガイドさんたちが悪い人だったとは思えないのだ。彼女らも、知らなかったんじゃないかしら。講習でもそうなんだけど、ショップによって、インストラクターによって、教えるコトが実はかなり違う。習ったとおりにやっていても、他のショップに行くと平気で、「それ違うよ」と言われてしまうのだ。だから両方の「なぜそうしなくちゃいけないのか」の理由を聞いて、理にかなっていると思う方を自分で選ぶしかなかったり、する。教える方はどっちも、自分が正しいと思っているんだもの。

ガイドの間でもそれはあるんじゃないのかしら。1つのショップでは別に悪いと認識されていないコトが、他のショップに行ったらヒドい行為だったり、するんじゃないのかな。特に海の中でのマナーとか。Tのガイドさんたちも「慶良間には島の船しか潜れない場所があって」とか、「海は傷つけちゃいけないから、アンカーは下ろさない」とか言っていたんだもの。潜っちゃいけないポイントに行ったのも、知らなかっただけじゃないのかなあ。Tのガイドさんは入れ替わりが激しいとも言っていたし、来たばかりだったりしたら、教えられたとおり信じちゃうんじゃないのかな。

知らなかったからしょうがない、とか、そういう話じゃなくて。Tのガイドさんは知らなくても、お店の上部の人は知っているんだろうし、Tに問題はあるんだと思う。でも、その中で知らずに悪いコトをやってるガイドさんがいるのは、悲しいなあ。そこを使ったコトで罪悪感を覚えなくちゃいけないのも、悲しいよ。長い目で見たら、サンゴ礁壊すなんて自分の首絞める行為なんだし、業界的になんかもっとできないもんかしら、とつらつらマジメに語ってしまった島の夜でした。楽しく末永く潜りたいよ、私ゃ。

≪つづく≫

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