2009.7.26(Sun)

土日とも、なんの予定もない週末は実に2ヶ月ぶり! 天気さえ良さそうなら行きたいトコロはあったのだけれど、曇と雨のマークしかない予報では疲れを押して出かける気がしない。結局―――土日48時間のうち46時間くらいは寝ているか本を読んでいるかの、本当にダラけた週末を過ごしました。なのに空は青! 晴れ! ピーカン! 重ねて言うけど、あのね、晴の予報が出ていたら行きたいトコロはあったのよ!

頼むぜ気象予報士。

2009.7.22(Wed)_2

残業続きでちょと疲れていたので(週末の遊びすぎが原因では?という指摘は却下!)、ノー残業デーを言い訳に定時ぴったりに会社を飛び出し、まずは髪を切りに。「ばっさり軽くしてください」と枕が作れるくらいの量の髪を減らしてもらって、軽くなったところで『ハリー・ポッターと謎のプリンス』を観に行ってきました。公開1週目のレディースデーだけあって、ほとんど満席。間に合うか分からなかったので、事前にチケットを買っていなかった私はかなり前の席しか取れず、ちょっと見づらかったです。

さて感想。子供たちが大きくなったなーとか、マクゴナガル先生が老けたなーとか、ドラコ・マルフォイの虚勢はいいなーとか、なにこのトム・リドルの色仕掛けは!とか、いろいろ細かな感想はあるのですが―――今回の感想は、これに尽きます。

スネイプ先生、。゜+.(・∀・)゜+.゜イイ!!

もともと好きなキャラクターだし、原作を読んだときから、今回の彼は気になるトコロではあったのですが、なにあの存在感。今作の主役はスネイプ先生だと言っても過言ではありません! タイトルにも名前が入ってるしね。けっして「いい男」といえる顔じゃないのに(失礼)、だんだんカッコよく見えてくるじゃないですかー。もともと私、彼のような体格には弱いのです。最後のほうで黒いマントを翻して歩く姿は、悲鳴をあげたくなるくらいツボでした。あと声がとにかく良くてね!

ああ先が気になるな〜。来年と再来年、あと2作で終わり。それまで結末を知るのは保留にしておきます。やっぱりそうだとは思うんだけど。

2009.7.22(Wed)_1

家を出るときはしっかり雨が降っていたので、すっかり諦めてカメラも持たずに家を出た。仕事に没頭し(ホントか?)、ふと気付くとPCのタスクバーに11:12の時刻が表示されている。あっ、もしかして、あの時間? ダメかもしれない、けど、とりあえず外に出てみよう。ビルのエントランスに向かうと、明らかに仕事じゃない雰囲気で外に出ようとする人がちらほら。そして外からは、笑みを浮かべた人たちが戻ってきています。え? 見えるの?

道路に出ると、近くのビルからも同じように出てくる人たちがいて、空を見上げている。空はどんより曇りだけれど―――だいたいこの時間、太陽はどの辺にいるんだろ? 「あ――!」。見えた、見えました。雲の向こうに三日月のようになった、太陽が。ちょうどいい感じに雲がフィルターになってくれていて、太陽の形がはっきりとわかる。ああカメラ持ってくれば良かったなあ。他の人たちは携帯で写真撮ろうとしてたけど、携帯じゃやっぱ厳しいみたい。

雲の厚みで見えたり見えなかったり眩しすぎて形がわからなくなったりする太陽を、周囲の顔見知りとお喋りしながらしばし楽しみ、職場に戻りました。さっきすれ違った人たちみたいに、にんまりしながら。皆既日蝕が見られたらそりゃ最高だろうけれど、三日月になっただけでもなんとな〜くワクワクさせてくれるなんて、さすが今世紀最大の天体ショー。

2009.7.20(Mon)_4

≪つづき≫

木陰でちょっと一休みしたいトコロでしたが、しかしこのとき私の後ろには2人組がいました。私より早いなら抜いてもらうんだけど、どうも微妙〜に私より遅いみたい。後ろにピッタリ付いて歩かれると落ち着かないので、ちょっと間が空くまで少し足早に歩いたのが、またまた失敗でした。あ、ひんやりとした樹林帯は、なかなかいい雰囲気でした。苔がたっぷりで静かで、さっきの谷で見かけた人たちはさっさと先に行ってしまったかかなり後ろにいるかで、人の姿も見かけません。道が分かりにくいところもなく、相当急な斜面だとはいえ、いつもならもっと楽しめる森でした。

鳳凰三山鳳凰三山

左:木洩れ日が気持ちよかった、ような……(記憶があいまい)/右:黄花の山苧環(キバナノヤマオダマキ)

が、前後に人がいなくなって森を楽しめるようになった心の隙を狙ったかのように、足がギブアップしくさりました。CW-Xを履いているおかげか、膝の痛みはありませんが、とにかく膝が笑います。なにがおかしいのか笑います。ちょっと待て、まだゴールまで標高差500m以上あるんだぞ、と言い聞かせても笑います。その先が、ホントにホントに長かった―――。ちょっとつんのめったら踏ん張れずに斜面を転がり落ちそうで、慎重に歩こうと思っても足がどんどん自分のものじゃなくなっていく感じ。

ひっきりなしに地図を引っぱりだして、標高から現在地を推測します。(距離的にはもう半分は過ぎているけど、等高線がめちゃくちゃ詰まってるよ……(泣))。何回か出てくる梯子はしっかりしたものなのに、この足じゃめちゃくちゃツライ。梯子や段差のある場所じゃストックが邪魔だけど、もうストックにすがらないと歩けない。こんな状態になったのは初めてです。それでもなんとかヨロヨロと進み、あと100mも下れば舗装道路に出るはず―――って箇所で、もう限界。とうとう13:30のバスを諦めました(それまで、歩みが遅くはなっても休憩は取らずにいたのです)。

鳳凰三山

しっかりした梯子なのに、ツライ……

鳳凰三山

いつもなら(必要かな?)と思うような鎖も、今日はありがたく使わせていただきます

鳳凰三山

梯子を下りて橋を渡って。金属製の梯子より、こっちのほうが足に優しかったです

ザックを投げ出し、道端の岩に座って足を揉みます。……効きゃあ、しねえ! しばらく休んでいると、登山道の上のほうから熊鈴が鳴るのが聞こえてきました。久しぶりの人の気配です。これ以上休んでも仕方ないし、あと少しだろうし、その音をきっかけに立ち上がり先に進みました。後ろから近づいてくる鈴の音に追いかけられるように感じますが、でもやっぱり足は動きません。ボロボロよろよろと、それでもやっと、舗装道路に出てきました。

鳳凰三山鳳凰三山

両方とも名前わかりません。右はアジサイの仲間よね?

私のすぐ後に舗装道に飛び出してきた熊鈴の持ち主の男性と、「疲れましたね〜」と言葉を交わしふと時計を見ると13:15! 間に合う? ここからバス停まではCTで15分です。山道なら絶対ムリだけど、舗装道路ならまだ歩けるかも! 余裕があればこの道の辛さをもう少し語り合いたいトコロでしたが(←彼にとってはそれほどじゃなかったかも知れませんけど)、慌しくバス停方向に歩き出しました。と、一歩目を踏み出したその瞬間。

カクン、と膝が崩れました。

ぎゃっ、ホントに膝がダメになっている。こんなの、初めてだ。変な感覚です。死ぬほど疲れているかといえば、そうでもない。荷物の重さに耐えられないほどでもない(重さが堪えて死ぬほど疲れたのは初日のほうです)。膝だって、痛くない。なのに力が入らない。恥ずかしくて振り返れませんでしたが、先ほどの男性が私のほうを向いていなかったことを祈ります。傍目にも歩き方がおかしいのはハッキリわかったでしょうから……。ストックのおかげで転ぶのを免れたその後も、数歩ごとに膝がふにゃりました。見えない誰かに後ろから膝カックンをされているみたい。

それでも平坦な舗装道路を歩いているうち、だんだんと足に力が戻ってきました。広河原のバス停にはバスが何台も何台も何台も―――。やった間に合った! もう出発の時間ぎりぎりでしたので券売場に並んでやきもきしていましたが、バスに乗っちゃって車掌さんから買っても問題なかったみたい。甲府駅行きのバスは何台出たのかわかりませんが、最後の空いていた1席を確保するコトができました。良かった〜。バスが走り出し、落ち着いてからストックをしまおうと見てみると、新品同然だったストックが傷だらけになっていました。……今日は、ずいぶん邪険に扱ってしまったからね……ゴメンよ。

さてココからおウチまでの道のりが遠い遠い。まず甲府駅まで2時間バスに揺られます。出発点の夜叉神登山口も途中で通過。甲府ではお馴染み『小作』に寄って、ビールと馬刺3点盛り、ざる蕎麦で1人お疲れさま乾杯。店内には「今、山から下りてきました」という感じの人が複数組いらっしゃいました。

鳳凰三山鳳凰三山

左:鳳凰峠入口。この標識を見たときどれだけ嬉しかったか!/右:小作で乾杯。う〜ん、しみます

この日は水分補給はちゃんとしていたつもりだったのですが、バスに乗ってからはビールのために喉の渇きを我慢していたのが悪かったのか、ビールやお茶をごくごく飲んでも全部体に吸い込まれていく感じ。食後に、時間外だったけど「コーヒーはもうダメですか?」と聞いてしまいました。ダメ元で聞いてみるっての、若い頃はナゼかできなかったなあ(←年齢相応に図々しくなりました)。でも聞いてみると大丈夫なコトってけっこうあるもので、この店もコーヒーは15時までと張り紙してありましたけど、16時近いのにOKでした。

甲府から自宅までは約3時間。家に着いたのは19:30過ぎだったかな。その日のうちにザックから荷物を取り出し、洗ったり干したり洗濯機に放り込んだり、できました(そのまましまえばいいものは、出したまま山になってしばらくそのままでしたが)。遅い帰宅だと疲れ果てていて、数日後にザック開けて「しまったこれ出しとかなきゃいけなかった!」ってコトも多々あるので、これは助かった。やっぱ1時間半早いバスに乗れたのは大きかったです。

初日はどうなるコトかと思ったけれど、下りでは一生舗装道路に着かないんじゃないかと思ったけれど、終わってみれば行ってよかった山行でした。でも―――シーズン初テントのときはもうちょっとコースを選ぼうね>自分

南御室小屋(5:00)→薬師岳2,780m(6:20-6:25)→観音岳2,840m(6:55-7:15)→赤抜沢ノ頭(8:22)→オベリスクの途中(8:44)→赤抜沢ノ頭(9:07)→高嶺(9:55-10:18)→白鳳峠(11:00)→白鳳峠入口(13:15)→広河原バス停(13:28)

後日、会社の人に大変だった話をしていたら「なんでそんな思いをしてまで登るのか、さっぱり理解できない」と言われてしまいました。「う〜ん、確かに、なんでこんなコトしてるんだろうと思うことはあるんですけど、時間が経つと大変だったコトは忘れて、楽しかったコトばかり思い出してまた行きたくなっちゃうんですよね」と答えると、「えっ俺はヤなコトは絶対忘れないよ!」とビックリされました。……喉元過ぎれば熱さを忘れるおめでたいタイプ(キレイに言うならシアワセな記憶を大事に持っていられるタイプ)が、登山には向いているのかも、しれませんね〜。

2009.7.20(Mon)_3

≪つづき≫

赤抜沢ノ頭で重たいザックをまた背に戻して、いよいよ最後のピークの高嶺2,778mに向かいます。ここまでなんとかCTどおりに歩いてきた私ですが、そろそろ疲れてきたのか、微妙にCTから遅れるようになってきました。なので高嶺の手前の、「ここ?」と思うようなでっぱりに着いたとき、そこを高嶺だと勘違いします。標識も何もないのかな〜と思って見渡すと、ちょっと先のピークに標識と、休んでいる人々の姿が。あっちか!(←こうゆうの、ドッと疲れませんか?)。

鳳凰三山

奥のぽこが目指す高嶺です。登り返しがちょっとキツかった〜

鳳凰三山

似たような仲間がいろいろいるみたいだけど……
嘴塩竈(クチバシシオガマ)かしらねえ?

鳳凰三山

八ヶ岳の上にもキレイに青空が広がりました

鳳凰三山鳳凰三山

左:この隙間から落ちたら……ぶるぶるっ/右:だいぶ小さくなった富士山、まだ傘を被ってます

鳳凰三山

山って連なっているんだよね……。早川尾根も、いつかきっと

鳳凰三山

着いた〜♪ 高嶺〜♪

朝食が朝の3時半頃だったので、この時間になるとおなかがぐるぐる鳴ってきます。ので最後のピークに辿りついたところで腰をおろし、展望を楽しみながらお握りを頬ばりました。あと朝食に食べ損ねたキュウリの塩漬けとミニトマト。風がかなり強いので、岩の隙間に嵌るようにして休みましたが、気休めですね。でも日差しも強いので、そんなに体を冷やさずにすみました。これが最後と周りを見回しながら、名残を惜しみます。

鳳凰三山

白峰三山。何枚撮ってるんだって感じですが、角度が変わるたび、陽の当たり方が変わるたび、撮りたくなっちゃうんですよねー

鳳凰三山

さあ、下りるとしましょうか

さて後は下るだけ〜、と、思ったのが甘かった。あのですねTo-koさん、舗装道路にぶつかるのは標高1,600mを切った辺り。現在地との標高差は1,200mもあるのですよ。そこを2時間40分で一気に下る辛さが分かりますか? あの時の私に皮肉たっぷりの口調でそう言ってやりたい。けど、このときの私はのん気です。進行方向右手の斜面を雲が這い上がってくるのが見えましたので(もう天気が崩れるかな? でも私が下りるのは反対側の斜面だから、下山までもって欲しいな〜)と願っているだけでした。

道が細くなったからか、この辺りからまた「お先にどうぞ〜」を連発するようになりました。つか、下りが苦手だからかな? 特にデカザックを背負ってぽんぽんとは歩けなくて、どんどん抜かれます。抜いていった人の中にはデカザックの人もたくさんいたけど―――きっと筋力が違うんだ。そうなんだ。あまり怖さを感じるような道ではありませんが、ときどき(ああここで転んだらこの隙間から落ちちゃうなあ)って場所が出てきて、余計に足が進みません。が、このときはまだそれほど疲れを自覚していませんでしたし、無意識のうちに抜いていった人のペースに釣られてしまったりして、自分本来のペースよりも少し急いでしまったようでした。

鳳凰三山

ぎゅぎゅぎゅぎゅーっと下ります

鳳凰三山

立って歩ける箇所も、かなり急坂

それでも稜線を外れる白鳳峠まではCTちょいオーバー。自分本来のペースってどれだけ遅いんでしょうね。峠のちょっと前で樹林帯に入るので、これで景色は見納めかと思っていたのですが、白鳳峠のすぐ先で木々は途切れ、岩のゴロゴロした広〜い谷をひたすら下っていきます。視線を上げると大きな北岳が迫力なコースでした。下からの照り返しもあるここで、たぶん一番日焼けしてしまったような……。白鳳峠から広河原に下りる道は分かりにくいかなと心配していましたが、さすが連休で前にも後ろにもかなりの人がいて一安心です。

鳳凰三山鳳凰三山

左:道が樹林帯に入っていきます/右:白鳳峠

鳳凰三山

樹林帯に入る直前、これが最後と撮った甲斐駒さま

しかしこのガレ場、長い! 足もとが不安定なので気が休まりませんし、この辺りで急に人に会うようになって、抜いたり抜かれたりでペースが乱れます。視線を上げると見える北岳が、いい感じに気分を盛り上げてくれるのが救いでした。その北岳に別れを告げるのは残念でしたけど、じりじり照りつける日差しがキツくもあったので、樹林帯に入ったときはホッとします。立ち止まって水分補給をしていると―――あれ? 足がぷるぷる震えている? ちょっとガンバりすぎちゃったかなあ?

鳳凰三山

広〜いガレ場。人が豆粒のようでしょう?

鳳凰三山

目の前には大きく北岳。顔を上げる余裕がないのが残念です

鳳凰三山

やっと日陰に入ってホッ……

≪つづく≫

2009.7.20(Mon)_2

≪つづき≫

次のピークは本日の最高峰、2,840mの観音岳。狭い山頂にはけっこう人がいて、標識の前では写真撮影の順番待ちをする人もいました。山頂の岩場の下にザックとストックを置き、ひょいとよじ登るとうひゃああああ〜。なんて素晴らしい景色なんでしょう。先客のご夫婦が周囲を見渡して、次から次に山座同定をしていらっしゃいました。隙を見計らって写真をお願いすると「じゃあ甲斐駒をバックに」「仙丈をバックに」「地蔵をバックに」と角度を変えて3枚も撮ってくださいました(ありがとうございました!)。この方たち、ホントに詳しくてそのうち周囲には「あれは? これは?」と教えを請う人続出。私もこっそりご相伴に預かりました。

鳳凰三山鳳凰三山

標識の後ろの岩によじ登ると、360度の展望が広がります

鳳凰三山

甲斐駒ヶ岳

鳳凰三山

甲斐駒さまの後ろに浮かぶ北アルプスをズームっ。
肉眼では槍も見えました

鳳凰三山

歩いてきたほうを見ると富士山

鳳凰三山

白峰三山(もう飽きた?)

鳳凰三山

これは「仙丈をバックに」と撮ってもらったもの。右手に甲斐駒さまも写ってますね。風が強くて髪が顔に当たって痛かったです

岩の上は狭いのでザックを置いたところまで戻り、みかんゼリーを食べつつ一休み。薬師岳辺りで追い抜いたおばさまグループがやっと来て「あなた早いわね〜」と褒めてくださいましたが、登り〜稜線でこの日私が抜かしたのはたぶんこの1グループだけ……。体が慣れたのか、昨日ほどザックを重たくは感じませんが、やっぱり早くは歩けません。ここで地図を広げてこの先のコースを確認していたTo-ko、余計なコトに気付いてしまいます。

この日のゴールは広河原。15時のバス狙いですが、遅れるコトも考えて14時に到着の予定を組んでいます。その予定より、今、1時間近く早い。まぁ時間短縮は歩くのが早かったからではなく、主に休憩時間の短縮なのですが、でも歩くのもCTとほぼ同じペースで歩けている。このままCTをキープできたら、1本前の13:30のバスに間に合うかも……? 広河原から家まではまだまだ遠いし、明日は会社だし、1時間半早く帰れると助かるなあ。

ダメならダメでもいいけど、のスタンスでいたつもりでしたが、この考えは頭の隅にずーっと残っていて、下山時に地獄をみる原因となったのでした……。

鳳凰三山鳳凰三山

左:人が多いとなかなかキミーが出せませんが、本日最高峰なので隙を見て三角点と/右:山頂手前で撮った苔桃(コケモモ)

しかしまだこのときは元気です。さあそろそろ行くか、と赤抜沢ノ頭2,750mを目指して歩き始めました。こうゆう稜線歩きは、次のピークが見えているのが嬉しいですね。ちょっと下って登って―――そろそろ、荷物が重たくなってまいりました。赤抜沢ノ頭にザックをデポして、空身で地蔵岳を目指します。え?こんなに下るの?ってくらい下って(ちょっと木々の間に入って視界が利かなくなるので遠く感じただけみたい。帰りはそんなに遠くはありませんでした)着いたトコロが賽ノ河原。お地蔵さんがずらっと並ぶその向こうに甲斐駒がくっきり聳えています。地蔵岳2,764mの標識もここにあったけど、ホントの山頂はオベリスクですよね?

鳳凰三山

観音岳からの道。下ったところが鳳凰小屋分岐点で「小屋まで30分」の標識があります。左側のピークが赤抜沢ノ頭。そこから右に下った鞍部が賽ノ河原。さらに右に登ると地蔵岳の特徴的なオベリスク

鳳凰三山

なんとなくフォトジェニックな枯木。「龍みたい〜」と言ってらっしゃる方がいましたが、確かに!

鳳凰三山鳳凰三山

左:なんだろう?/右:紅葉落葉松(モミジカラマツ)かな

鳳凰三山鳳凰三山

左:高嶺ビランジ(タカネビランジ)/右:鯛釣黄耆(タイツリオウギ)

鳳凰三山鳳凰三山

左:深山半鐘蔓(ミヤマハンショウヅル)/右:白花の蛇苺(シロバナノヘビイチゴ)?

鳳凰三山

この角度で見るとイルカに見えますね>オベリスク

鳳凰三山

赤抜沢ノ頭。この頃から青空が全面に広がりました。「地蔵岳山頂10分」とありますが、これは賽ノ河原までのCTだと思います

鳳凰三山

お地蔵さまがずらっと並ぶ賽ノ河原。バックに甲斐駒さま

というワケでオベリスクを目指します。一番上まで登れなくても、せめてロープの下まで―――と思ったのですが、登り始めてみるとけっこう怖いっ! 晴れているし、周囲の方々も次々登っていくしで、たぶん途中まではそんなに難しくはないんでしょうけど、一度怖いと思ってしまうともうダメです。登るコースからちょっと外れて写真を撮り、引き返すコトにしました。私の後に続いてきちゃったおじさんがいたので、記念に写真をお願いします。

鳳凰三山

ストップ地点から賽ノ河原を見下ろして

鳳凰三山

同地点から

鳳凰三山

もいっちょ。カッコいいなあ>甲斐駒さま

こっちからでも登れるでー、と言われたのですが、「や、私はもう止めておきます〜」と固辞。だって怖いもん。よく皆、ひょいひょいひょいひょい登れるなあ。「よっしゃ、じゃあキレイに撮ったるがな!」とカメラを構えてくださいました。そのままガシガシ登っていくおじさんを見送り、登ってくる人が途切れるのを見計らって、下へ。下りるときはそんなに怖くなかったから、手がかり足がかりはしっかりあったってコトですね。ビビらなければ登れたかも。

鳳凰三山

キレイに撮れてますか?

鳳凰三山

賽ノ河原まで戻ってきました。ナゼここに、地蔵岳の標識があるんでしょう?

鳳凰三山

賽ノ河原からオベリスクを振り返る。矢印の辺りまで登りました

鳳凰三山

縦走路の稜線まで戻ってきました。バックは北岳。これまたカッコいいなあ〜♡

≪つづく≫

2009.7.20(Mon)_1

≪つづき≫

その後もう1回目が覚めましたが、すぐに眠りに引き戻され、起床予定の3時のアラームで起き上がります。外に出ると、おおおおっ雲ひとつない暗い空に、数え切れない星がきらめいていました。月も細くて低いので、ホントにキレイに見えます。うわ〜さすが、山! 起きている気配のするテントもちらほらありましたが、真っ暗なこの時間にもう無くなっているテントがあるのにはビックリしました。稜線でのご来光狙いなんでしょうねー。

鳳凰三山

3:53

鳳凰三山

4:10

鳳凰三山

4:35

準備がトロくさいので起きてから出発できるまでは2時間と見積もっています。まず寝起きのコーヒーを飲んで、昨日の残りのシチューにご飯をぶっこんで朝食とし、散らかった荷物を片付けて、水場で水を補給して、テントを撤収して、最後にトイレに寄って、準備体操をしてさあ出発。時間はぴったり5時。ほ〜らね。テントは雨か朝露かでかなり濡れていましたが、今回も雨の中での設営だの撤収だのが無かったのは助かりました。夜の間も、山の上のほうでは風がごうごうと鳴っていましたが、小屋の周りは静かなものでした。

鳳凰三山鳳凰三山

左:まだ薄暗い、急な坂を登っていきます/右:いい天気になりそう♪

鳳凰三山

ふわあ〜、稜線に出るのが楽しみだ〜

5時前後に出発する人が多かったので、また「お先にどうぞ〜」を繰り返しながら坂を登っていきます。歩みはゆっくりだけど、しっかり寝たのでまだ元気! 木々の間から陽の光が差しているのも昨日と違って嬉しいものです。ときおり朝焼けに染まった山々がちらっと覗ける場所があって、稜線に出ればさぞやと期待も高まります。そろそろかな〜と思った頃、前方で歓声が聞こえました。おっと思って目の前の坂を登ればそこが砂払い。視界が一気に開けます。予想外に富士山が大きく、キレイに見えました。

鳳凰三山

ただし頭には見事な笠雲。笠雲が富士にかかると天気が崩れるというけれど、どのくらい後に?

鳳凰三山

いつかは歩きたい白峰三山

鳳凰三山

これから歩いていく方

鳳凰三山鳳凰三山

左:黄花駒爪(キバナノコマノツメ)/右:褄取草(ツマトリソウ)

鳳凰三山鳳凰三山

左:砂浜みたいな白い稜線を歩きます/右:見るたびに、何度も何度も撮ってしまう白峰三山

鳳凰三山

大きな岩がたくさん。スゴい風景だよな〜

稜線に出た途端に風がぴゅーぴゅー吹きつけます。ので雨具の上は着たまま。雲はありますが高く遠くまで視界が開け、当分雨の心配はなさそうなので、やっぱこうゆうときはウィンドブレーカー欲しいなあ。そこからの稜線歩きは、前日の嘆きを吹き飛ばすくらいとてもとても楽しいものでした。「なんでこんなコトやってるんだろう」の答えはこれですね。そこだけ樹木に囲まれた薬師小屋を通過し、三山の最初のピーク、薬師岳2,780mに到着〜。

鳳凰三山

起きたときは雲一つありませんでしたが、この頃は富士山方面にちょっと雲が広がってました

鳳凰三山

雲海に光が差し込みます

鳳凰三山鳳凰三山

左:白山石楠花(ハクサンシャクナゲ)/右:小岩鏡(コイワカガミ)

鳳凰三山鳳凰三山

左:薬師岳小屋/右:わかりません…

鳳凰三山

薬師岳にて。白峰三山をバックに

ここでちょっと休憩を入れるつもりでしたが、ホントに吹きっさらしで風がスゴいので、写真だけ撮ってもう少し先まで進むコトにしました。白砂の道で右にも左にも大展望の広がる、気持ちのイイ道。足もとには小さな花も咲いています。うふふ〜楽し〜い(←ゲンキン)。ちょっと進むともう景色が変わるので、あっちを撮ったりこっちを撮ったり、後から見たら同じような写真が何枚も何枚も。そんなもんですよね、ね、ね?

鳳凰三山

あの高くなっているのが観音岳かな?

鳳凰三山

おっ、八ヶ岳。会社の縞さんが行くと言っていたけど、今頃あの中を歩いているのかしら?

鳳凰三山

クラゲみたいなキレイな形の傘雲

≪つづく≫

2009.7.19(Sun)_2

≪つづき≫

どうやら目的地が夜叉神峠な方たちもいるようで、この先はちょっと人が減ります。おなかも満たしたし休憩はしたし足取り軽く―――歩けたのは、峠の先の平坦な道ほんのちょこっとだけ。すぐに肩に荷物が食い込みだしました。あれ? こんなに重たいもんだったっけ? 去年はこの重さのザックを背負っても、5時間までならそんなに大変じゃない体になっていたハズなんだけど、すっかり鈍ってしまったのかしら。杖立峠までが急登との前情報があったので、えっちらおっちら登ります。

鳳凰三山鳳凰三山

左:峠を越してすぐの辺り/右:森の感じはかなり好みでした。この木には宿り木がたくさんくっついてます

鳳凰三山

振り返ってこんな風景が見えると、どうしても期待をしてしまいます

鳳凰三山鳳凰三山

写真を撮れるのは道が平坦になったときだけ(笑)。
薄暗い道と、ちょっと開けた明るい道が交互に現れます

登ります。登ります。途中「もう雨は終わりに違いない」というくらい乾いた風が吹いたときもありましたが、次の休憩で雨具を脱ごうと思っているうちにまた雨が降る、の繰り返し。杖立峠から先はかなりしっかり雨になりました。うう、天気予報の嘘つき。杖立峠で地図を取り出し、標高を確認します。―――え? 登山口が1,380mだったよね? で小屋が2,420mで…その手前に2,524mの地点がある? え? 標高差1,200m近く、あるの?

鳳凰三山鳳凰三山

左:杖立峠/右:御前橘(ゴゼンタチバナ)

何を今さら、です。私もそう思います。CTだけ見て「行けるだろう」の判断を下すの止めろ>オレ。でも……でも確か、鳳凰三山はアルプスの入門コースだったハズ。ここがこんなにキツいなら、私、他の山なんか行けないよう。だいたい何で私、こんなコトやっているんだろう。重たいし、重たいし、重たいし、重たい。足は上がらない、肩は痛い、雨は冷たいし雨具の中は蒸れて暑い。花があってもカメラも出せやしない。うう……。

と、ホントはまあココまでブルーではなかったのですが、でもとにかく体がキツかった。登山道脇の樹木に木の名前を書いたプレートがかかっているのが、かろうじて気を紛らわせてくれました。晴れていれば気持ちいいであろう、開けた火事場跡(かな?)を通りすぎ、岩ゴロの道をひたすら登ります。地形図で見ると杖立峠の先はそんなに急登ではないハズなのですが、疲れがきてガタガタな体はそんなの認めちゃくれません。

鳳凰三山鳳凰三山

左:開けて休憩に良さそうなココが火事場跡かな?/右:岩弟切草(イワオトギリソウ)

鳳凰三山

晴れていればさぞや、の風景ですが、雲のからんだこの雰囲気もけっこう好き(自分が濡れていなければ)

鳳凰三山鳳凰三山

左:黄花駒爪(キバナノコマノツメ)/右:舞鶴草(マイヅルソウ)?

明日も雨だったらどうしよう……。稜線に出ずに来た道を下るか、それとも多少CTが短い地蔵から御座石温泉に下るコースを取るか……。体につられて気持ちもダウナーになってきた頃、ようやく苺平に到着しました。ここから、これまた展望のいい辻山に往復できるそうですが、とてもそんな元気はない。だいたいこの天気じゃ何も見えないもーん、と少し休憩をして小屋に向かうことにしました。ここでまた雨が上がったのですが、その途端に緑色の羽虫が大量発生したのにはビビりました。

と、ここへ反対側から数人のグループがやってきました。「地蔵は明日行くの? 晴れるといいわね〜。今日の地蔵は酷かったわよう。雨はときどきだったけど、とにかく風が強くて雲が流れて、嵐よ嵐!」というお話を聞き、1日伸ばしてよかったとしみじみ思います。明日が晴れれば、ですが。気をつけて下ってください、とお別れをし、小屋までひたすら下ります。苺平から30分の道ですが、やけに遠く感じて、小屋の屋根が見えたときにはホッとしました。ただ、夜叉神からのCTはかなり甘めです。こんなに疲れ果てていたのに、着いたのは予定の1時間前でしたもん。

小屋の前には「薬師小屋満員」の張り紙が出ていました。南御室小屋は空きがあったのかな? とにかく私はもう打ち止めです。小屋で設営料(1人500円)を払い、ほとんどいっぱいになっているテント場の空きに荷物を下ろしました。ありがたいコトにちょうど雨があがっていて、先客の中には雨具を干している人もいます。荷物から久々に使うテントを引っ張り出し、設営。手ごろな石はもう使われてしまっていたので、しっかりペグを打ちました。あと2本……というところで、また雨が降り出します。慌てて荷物をテントに放り込み、残ったペグを打って、私もテントの中へ。

鳳凰三山鳳凰三山

左:道の様子を撮ったのを最後に、雨がヒドくなってきたのでカメラをしまいました/右:そしていきなり、テント設置完了(笑)

鳳凰三山鳳凰三山

左:テントがいっぱい(矢印の辺りが私のテント)。手前のベニヤ製舞台には丸Hの文字があったけど、ヘリポートなの?/右:南御室小屋

ふう……。ドッと疲れた。銀シートを敷いてマットを出して、ああもう寒いなあ。シュラフも出していつでも潜り込めるようにしておきます。トイレに行きたいけど、行くのが面倒くさい……。それに落ち着くと、寒いかも。汗で濡れた長袖ジップアップを脱いで乾いたシャツに着替え、ダウンを羽織り、CW-Xもウールのタイツに替えちゃえ。出かけにタイツを放り込んだの、正解だったなあ。おっとそろそろ天気予報の時間だ、ラジオ出さなくちゃ。

疲れて動きの一つ一つがのろのろしてるし、明日のご飯も炊かなきゃだし、つか今日の夕食を作らなきゃだし、テント泊のときは暇を持て余すくらいのコトが多いのに、この日はなんだかあれやこれやそれやどれやをやっているうちに、いつの間にか時間が過ぎてしまったという感じでした。まぁそれでも文庫本を読んだりもしているんですが。あ、南御室小屋のトイレはすごくキレイでした(山基準で)。足でポンプを踏むタイプの水洗です。あと水が豊富なのも嬉しいトコロです。南アルプスの湧き水が汲み放題! 天気さえ良ければ、まったりできそうなテーブルも外に並んでいました。

鳳凰三山鳳凰三山

左:小屋周辺に咲いている花の名前を書き出してくれているのが嬉しい/右:車百合(クルマユリ)

鳳凰三山

トイレから戻ると、皆が空にカメラを向けていました。振り返ると、空には大きな虹。うわあ、こんなに大きな虹を見たのは久しぶりだなあ。

もうこのまま雨が上がるかと思いましたが、その後もずっと雨降りでしたので、テント内で料理に勤しみます。久しぶりのご飯は……やば、炊き方忘れてるし。下界で鍋で炊くのとは違うコツがあったというのは覚えているんですが、あれどこで強火? どこでかき混ぜて……こんなに時間はかからなかったハズだけど、合図のお焦げの匂いがしない……あっ最後に火を強くして水気飛ばすんだった!という具合。まぁなんとか食べられるものはできました。これでお握りを2つ作って、残ったご飯は朝食用です。

鳳凰三山鳳凰三山

夕食はバゲットサンド(中身はレタス、パストラミハム、チーズ、オリーブ)とシチュー。ワインを飲みながらいただきました。
……と書くとちょっと優雅なようですが、実はホワイトシチューのレトルトを買ったつもりがただのホワイトソースで、出発前日に慌てて肉と野菜を用意したのは秘密です(誰にだ)。

ったくさー、いつまで降り続けるつもりなの、と何度も何度もボヤきましたが、暗くなってからやっと雨が上がりました。ラジオで聞いた明日の天気は「曇でお昼までは晴れ間もみえる」です。近くのテントから聞こえてきた、「ラジオから明日も雨、とか聞こえてくるとガックリしちゃうけど良かったなあ」という声に、深く肯く私なのでした。8時頃だったかな? そろそろ寝ようかな〜と思っていると、外から「若者たち、きれいな星空だよ」と声が聞こえました。私にかけられた言葉じゃないのは明白ですが、そっと覗いてみると確かに、空の半分くらいに星空が広がっていました。残り半分はまだ雲に覆われています。あと半分、ガンバレ!

鳳凰三山

テントの灯りって暖かく見える。たくさん並んだテントそれぞれに灯りがともっている風景が、なんだかとてもステキでした

隣のテントが若者グループで「俺、エロトークしてぇ」とか賑やかなので(してもイイけどさ〜もう少し声を潜めないと君のエロ嗜好は周囲一帯に筒抜けだ)とか思っているうちに睡魔に襲われ、“ふごっ”という音で目が覚めました。え? 今の私? 私、いびきかいてた……? 時間を見ると23:40で、おっとまだ日付も変わっていません。隣のテントからはエロトークではなく恋愛トークが聞こえました。寝ぼけた頭で(うるせぇ…)とか思ったけど、寝ている間にうるさかったのはきっと私。周囲のテントの皆さま、ゴメンなさい……。ぐー。

夜叉神峠登山口(10:30)→夜叉神峠(11:30-11:45)→杖立峠(13:08-13:13)→苺平(14:48-14:56)→南御室小屋(15:25)

≪つづく≫

2009.7.19(Sun)_1

去年は天気のせいで諦めた鳳凰三山に、テントを担いで行ってきました。去年、夏の間に何度かテント泊をして、体が慣れたところでいざ―――と予定していたのと同じコースを、今年初めてのテント山行に持ってくるのはどうかと思わないでもなかったのですが、今年も本当は6月にもうちょい軽いコースをテント装備で歩いておくつもりだったのですが、でもまぁこうなってしまったものは仕方ありません。何とかするしかないでしょう。

木曜日の夜に、食糧を除く荷物をパッキングします。久しぶりなんで何を持っていけばいいんだか、どう詰めるんだかすっかり忘れていて、えらく時間がかかりました。どうにかこうにか詰め込んで迎えた金曜日の朝のTVは、大雪山での遭難のニュースの速報で大騒ぎでした。……服、追加しようかな。ダウンの上着はもともと詰めていましたが、ウールのタイツを追加します。それと行動中の服も、長袖ジップアップ+Tシャツだったのを、長袖ジップアップ+長袖シャツに変更。こないだの尾瀬でも思ったけど、ポケットに入るくらいの薄手のウィンドブレーカーが欲しいなあ。

で、天気予報をチェックします。たしか水曜日くらいまでは、三連休の天気は3日とも曇ときどき晴の行楽日和だったハズです。なのにだんだん悪くなっていって、1日目に雨マークがつき2日目にも、金曜日の夜の段階で雨マークがついてしまいました。う……。2日とも雨は、イヤだ。でも中止にする気になれないのは、3日目の月曜日の晴マークが消えていないからです。土日で行くつもりだったけど、日月にしようかな。日曜日の雨はお昼だけみたいだし、降水量だって少ない予報。きっと小雨がパラつくくらいだ。休養日がなくなるのは痛いけど―――と金曜の夜遅くまで迷って、日程の変更を決めました。

月曜日に休養できないなら今だ、と土曜日はだらだらと過ごします。寝る前にまた、天気予報サイトをチェック。よし予報は変わっていない。Goだ。翌朝は始発電車に乗るので早寝を心がけ、そして日曜日。どんより曇った空の下、出発です。始発に乗り、途中で朝食代わりのコーンミール入りホットケーキ(ホットじゃないけど)を齧りながら3時間強。8:10に甲府駅に到着しました。バスの時間は9時だからホントはもうちょい遅くても大丈夫なんだけど、途中で不測の事態があるかもしれないし、バスに飛び乗るのもイヤだしね。

時間があるのでトイレに寄って、靴下を2枚履きしたりサポートタイツを履いたりと、身支度を整えます。やっぱ早めに来てよかった。そしてバス停に行くと「ザックを並べて順番を取ってくださ〜い」と係の方が誘導してました。先にザックを置きに来ちゃえばよかったかな? 私が着いたときはまだ早かったので、ザックの数は15個くらいでした。皆さんやっぱり、早朝の1番バスに乗るのかな〜と思っていると、その後から人が来るわ来るわ。バス停いっぱいにザックの長い列が並びます。壮観。結局この日、バスは4台出ました。

最初のバスに乗って1時間ちょっと。10:10に夜叉神登山口に到着です。茶屋あり、きれいな水洗トイレあり。バスに乗っている最中も、空は晴れたり曇ったり雨が降ったりと、目まぐるしく変わりっていました。登山口に着いたときは、しとしと小雨。う〜ん、思ったより早く降り始めちゃったなあ。仕方ないので雨具を上下着込み(暑いだろうから長袖シャツはザックへ)、ザックにカバーをかけます。テント泊装備なのでダブルストックを伸ばして、さあ行こうか―――って、雨、止んでるんですけど!

鳳凰三山鳳凰三山

出発の準備をする登山者で賑わう、夜叉神峠登山口

ま、どうせまた降るでしょう。このまま歩くといたしましょう。登山届をポストに入れ、歩き始めます。ゆっくり準備をしていたので、さっさと登っていってしまった人もかなり多く、それほど道が混雑している感じはありませんでした。雨がさっと降っては止むような天気のなか、「お先にどうぞ」を繰り返し、ゆっくりゆっくり登っていきます。テントの入ったデカザックはやっぱり重たいなあ。そして風の通らない樹林帯は暑い。予報より早く降り始めたから、予報より早く止んでくれるかもしれない。そしたら脱ごう、と思いながら歩きます。

鳳凰三山鳳凰三山

左:歩き始めはこんな/右:うーん?

鳳凰三山鳳凰三山

左:ううーん?/右:千手岩菲(センジュガンピ)

歩き始めて約1時間。疲れだした頃(←もう?)、夜叉神峠に到着しました。茶屋があり、外にテーブルもありましたが、もう先客が使っています。また雨がぱらぱら降ってきたので、大きな木の下にザックを置き腰を下しました。ここでお握りの昼食。南御室小屋までのCTは5時間半。休憩時間を考えにいれての到着予定は16時半と遅いので、あまりゆっくりもできません。ここからの眺めも素晴らしいそうなのですが、私が着いたときは周囲は白い霧の中。お握りを食べている間に雲が流れて、近くの山が見えたり消えたりしていました。

鳳凰三山鳳凰三山

左:夜叉神峠小屋/右:最初はな〜んにも見えなかったのが

鳳凰三山

ときおり近くの山が現れます。白峰三山はまだ雲の中ですが…

≪つづく≫

2009.7.11(Sat)_2

≪つづき≫

22時前に眠ったので、6時のアラームでぱっちり起きられました。起きてまずは天気をチェックします。昨日より雲は多いですが、雨は降りそうもありません。そして海も穏やか。漁に行くのか、港から船が何艘も水面に線を描きながら滑り出して行きました。朝焼けに空がピンクに染まって、キレイ……。しばらくベランダから景色を楽しみ、お風呂に行きます。朝のお風呂は私1人で貸切。すっかり満足して部屋に戻ると、やっと起き出したTさんが入れ違いでお風呂に出ていきました。

朝焼け朝焼け

朝焼け

ベランダから眺めた朝焼け。ホント、見とれてしまいます

朝食時間の7時間際になって、やっとKが起きてきます。よく寝るなあ。私は夢もみずにぐっすりだったので、ご飯のすすむおかずが並ぶ朝ご飯さすがに今日は頭がすっきり。体調も良くて朝食もぺろっと平らげました。お世話になったお礼を言って宿を後にし、向かうは昨日と同じ石浜のビーチ。鍵のかかったゲートの前でちょっと待っていると、Wさん・タカさんがやってきます。Wさんは「今日は2本ともばっちり案内するよー」とやる気満々。「今日は2本潜ったら帰らなきゃいけないし、2日目だからそう長くはならないだろう」というSさんの予測は……?

着替えて準備をして、前日1本目と同じく男性/女性チームに分かれて海に入ります。私らのガイドは今日もタカさん。前日は私だけでなく、皆がピン呆け写真を量産していたので、それぞれが見たい生物をあげてリベンジをお願いしました。私とKはクチバシカジカをリクエスト。やっぱり目玉生物は押さえておきたいし、撮れそうなのに撮れないから悔しいのよ〜。Tさんのリクエストはフサギンポだったかな?

海に入ったタカさんチームは、とりあえずクチバシカジカに直行します。……とその前に、前日も会ったエムラミノウミウシを教えてくれました。その先、タカさんが進む方向とはちょっとズレた場所に、またまた自力でウミウシ発見〜。これが見たことのないキレイなコで、すっかり嬉しくなってしまいます。写真を撮っていると前方でタカさんがライトをぐるぐる振って―――はいっ今行きますっ!

飛んでいくと、そこでタカさんがクチバシカジカを探し出してくれました。ぴょこぴょこ動くそいつを、撮りまくります。前日の結果で「質より量だ! 撮りまくって偶然ピントが合うのを祈るしかない!」と悟っていたので、ここだけで何十枚撮ったかなあ。Tさんと場所の取り合いをしながら、満足するまで撮らせてもらいました。それから見たのはムスジカジ、イボトゲガニ、カムチャッカモエビ。カムチャッカモエビは名前だけできゅん!ですが、やっぱりピントが合わなかった〜。悔しい!

ところで、このメンバーの中で一番エアが早いのは私です。言っておきますが、一般的にはもつ方だと思います。ただ鰓呼吸をしているといわれるくらい異常にエアがもつKや、ガイドのTさんと比べられるのは分が悪すぎる。おまけに寒いので、いつもの自分のペースよりはちょっと、空気の消費が多かったかも知れません。なので、ここまでになったら教えてと言われている残圧に最初になるのは毎回私。毎回私から申告があるので、タカさんは私の息が続く限り潜るコトに決めてしまったようです。気付くと時間はもうとっくに1時間を越えていました。

少し前に残50を報告してはいたのですが、まだタカさんは上がる様子を見せません。でも、私がちょっと不安そうに見えたのかな? 「もうエキジットポイント近いから」とスレートに書いてくれました。エアの心配より私は寒いんですけどー。でもホント、波も流れもないベタ凪の海況だったし、水深は浅いし、それほど遠くまで泳いでいないのは分かっているし、エアに関してはあんまり不安はありませんでした。結局この1本もこのツアーでの潜水時間最長を更新し、77分潜ってました。上がるとSさんがまた「長いね〜」と呆れ顔で待っていました。

今日もログ付けをしている時間はありそうもないし、今を逃したら他にチャンスがない!と、お昼ご飯を食べているタカさんの座る堤防に押しかけ、前日からの写真を見てもらいます。あ、私らは「2本さくっと潜ってからお昼を食べてお土産買って帰る」という予定だったので、この休憩中には腹つなぎのお菓子をちょろっと食べただけでした(←が、この予定、Wさんたちには伝わっていなかったみたいで……)。

この日の朝、タカさんからSさんに「昨日見た魚です〜」とメモ書きが渡っていたのは知っていたのですが、なんせ自力で見つけた生物もあります。聞いておかないと、名前を調べるのが大変。さすがにタカさんは詳しく(ゆっくりログ付けできなかったのが残念です。魚の生態とか語らせたらいくらでも話してくれそうな方でした)、次から次へと同定していってくれました。

昨日「フサギンポの子供では?」と疑いのあったギンポは、残念ながらアキギンポだったと判明します。大きな目の可愛いコでした。で、私が見つけた中でタカさんが唯一「教えてないのに見つけたの? すごい」と言ってくれたのは、この日1本目で見つけたキレイなウミウシ。シロホクヨウウミウシというそうです。宮城の海が生息の南限だとのことでした。やった〜、伊豆には絶対いないウミウシゲット〜。

そしてとうとう、ツアー最後のダイビングです。2本目はもう一度、フサギンポに逢いに行きました。前日も見ているので、フサギンポが出てくる穴の上に場所を取り、シャッターチャンスを狙います。タカさんが見せるホヤにつられて出てくるフサギンポ、何度か出てくるうちに「この上にいる人間も餌を持っているのでは?」と思ったのか私のほうにぐぐんと近づいてきました。チャンスだったのに思わず身を引いてしまったのが悔しい……。脇から見ていたTさんは「To-koさんのほうに行った後、あっ違うと思ったらしくて仰け反っていて笑えた〜」と言っていました。それ、私も見たかったなー。

最後と思うと、あちこちにいるリュウグウハゼもヤナギアナハゼも名残惜しい。なのにタカさんはまた次から次へと生き物を紹介してくれる。珍しいコモンカスベも出てきたりして、寒いなと思いながらも海に夢中になっていると、Kが「エアがあと50」とタカさんに訴えているのが目に入りました。その途端、タカさんがまず私を探してエアを聞いてくるのが笑えます。そりゃ今までだったらKが50のときに私は10くらいでもおかしくないですけど、このときはまだ40ありました。だいぶ慣れてきたのかなー。Kは「50」と言ってもまだしばらく遊ぶつもりなのが態度に出ていましたが(私も実は、もうちょっといける気がしていた)、タカさんの「浮上」の合図にしぶしぶビーチに向かいます。……んで、上がってみたら今回も潜水時間はピッタリ77分でした。あははー(もう笑うしかない)。

1本目も2本目も女性チームが77分潜ってしまったので(2本で2時間半以上ですよ!)、この時点で予定をずいぶん押していました。なので急いで着替えて器材を片付けて、Wさん・タカさんと一緒にショップに向かいます。(時間がない!)と思ったのか、車の中ではSさんから「ログブック書く人は、サインもらうだけにしてね」と注意があったのですけれど、ショップに着くとWさんが「せっかく来たんだから工場見ていけ(←Wさんは某メーカーの器材のオーバーホールを一手に引き受けているそうです)」とSさん、Tさんを工場見学ツアーに連れ出してしまったので、この隙に!とタカさんに2本目に見た生物の名前も教えてもらいました。

今回お世話になったショップそんなこんなでWさんとタカさんにお世話になったお礼を言ってショップを出発したときは、かなりいい時間になっていました。16時頃だったかな? お土産を買うどころか、昼食を食べにどこかに寄る時間もありません。すぐさま高速に向かいます。おなかペコペコではあったものの、車に乗ってすぐに猛烈な眠気に襲われ、気絶するみたいに眠ってしまいました。私がタカさんを質問攻めにしていた休憩時間に昼寝をしていたKはこのときは元気で(あ、落ちた)と思ったそうです。最初のトイレ休憩でようやく目が覚め、お土産コーナーのおかげでお土産もなんとかゲット。

ここで、おなかを宥めるためにコーヒーとドーナッツ購入。これで少し落ち着きました。後は眠たそう〜なSさんを(ガンバレ!)と心の中で応援したり、Kとお喋りをしながら、残りの時間を過ごします。途中のSAで夕食休憩はしたものの、Sさんは宮城から渋谷までずっと1人で運転してくれました。途中でTさんが「代わろうか?」と申し出ているのに、どうもTさんの運転を信用してないみたいで「いや、もう少しやれる」で結局最後まで。―――お疲れさまでした。

渋谷に着いたのは22時くらいだったかな? 現在無職のKと、「絶対疲れる!」と予測して月曜日に休みを取っていた私は、翌日仕事のU野さんとビナさんに「明日お仕事頑張ってくださ〜い」と手を振ってイヤがられます。Sさん、Tさんにも別れを告げて、またまた重たい荷物を引きずって家へ。さすがにこの日は布団に倒れこみましたが、翌月曜日は気持ちよく晴れ、持ち帰った器材を全部洗って干すコトができました。

初めての宮城ツアー、すごく楽しかったです。Sさんたちも「面白かった〜」を連発していたので、またツアー開催してもらえるかも。そしたらゼヒ参加したいです。―――でも、11月もいいよ、と言われてその気になっていたKに付き合う気はありませんけど(寒すぎるっ!)。

2009.7.11(Sat)_2

≪つづき≫

さて2本目。ハゼ博士のU野さんが「ハゼに張り付きたい」というので、Sさんがそれにお付き合い。女性チームにビナさんを加えた4人が、またタカさんに案内してもらうコトになりました。2本目の目玉はフサギンポです。行きの車の中で「ギンポって言ったらこのくらい(親指と人差し指を広げたくらい)だと思うでしょ? でもフサギンポはデカいよ〜、これくらいあるよ」と両手で40〜50cmの長さを示していて、想像がつかないながらも楽しみにしていました。

……楽しみにしているんですけど、我らがガイド、タカさんが海から上がってきません。実はタカさん、お昼を食べ終わっていつの間にか、1人で海に入って行ってしまったのです。2本目のスタート時間近くになって、もうだいぶ浅瀬に戻ってきているのは吐く息の泡でわかるのですが、そこからちっとも動かない。

「タカさん、戻ってきてからすぐに行くのかな?」とか話していると、時間ギリギリにざばーっと上がってきてタンクを取替え「さあ行きましょうか!」。さ、寒くないの…!? 私らは2本目に備えてせっせと太陽の熱を体に取り込んでいたというのに。(後で分かりましたが、タカさん、私らに見せるといった生物の居場所を確認して回ってくれていたみたいです。)

1本目と同じ場所なのに目新しさはちっとも薄れず、あっちをキョロキョロこっちをキョロキョロ。タカさんに呼ばれてウロウロ。1本目からそうでしたが、Tさんがすごく興奮していてもうただのお客さんになっちゃっているのも楽しいです。写真は一応「お先にどうぞ」とは譲ってくれるものの、少し経つと「私にも撮らせて」オーラをばしばし出してきたり、生き物見つけて「これ何? 何?」とタカさんに教えてもらったり。楽しんでいるなあ〜。

もちろん私も楽しみます。2本目になって目が慣れてきたのか、自力で生物を見つける頻度も高くなりました。……が、コケギンポにハマって写真を撮っていると、タカさんが「そんなのはいいからこっち見ろ!」と呼んできます。分かってますよう。確かにコケギンポは伊豆にもいますよう。でも好きだし、自力で見つけると可愛さもひとしおなんですよう!(もちろんタカさんが教えてくれたギンポも見ましたけど)。しかし宮城の海、なになにギンポとかなになにカジカってのが、多すぎです。渋いな〜。

そして楽しみにしていたフサギンポ。これも住み着いている岩が決まっているらしく、タカさんがその前でホヤをナイフで切って誘うと、うにゅ〜んと飛び出してきました(……餌付けって、見るの初めてかも。最近は禁止のところが多いですもんね)。「これからコケギンポが出てきます」と事前に言われたワケではないので、最初見たときはウツボかと思う大きさでした。でもよく見ると、確かにギンポ系の顔をしています。へええ〜。ホヤに喰いついては引っ込み、引っ込んではまた出てくるフサギンポに、しばらく釘付け。

その後、休憩時間に潜ってまで探していてくれたウミクワガタ(小さい!)を見せてくれ、そして最後、あがる間際にタカさんが教えてくれたのがギスカジカ! これが、ワタシ的には大ヒットでした。だってすんごく見事に石に擬態しているんですもん。色といい質感といい、波に磨かれて丸くなった石にそっくり! よく見ると鰭や目玉がついていて(えっ魚?)とビックリしちゃいます。へええ〜。大満足で上がると、Sさんが「ずいぶん長く潜ってたね〜」と迎えてくれました。時間は1本目より少し長く、70分超え……。この水温で70分以上……。ひー。

石浜

2日間潜った石浜ビーチ。ベタ凪でした。

寒い寒いと言いながらも、外気温は高いのですぐに体が温まります。助かる〜。器材を片付け、着替えて、この日のダイビングはこれで終了。ログ付けってのは、ないのかな? ポイントからショップと宿は反対方向なので、タカさんは分岐点まで先導してくれ、そこでお別れです。私たちは今夜の宿『海泉閣』へと向かいました。石浜の港からは車で15分くらいだったかな? 早割りで予約をしたときには「山側のお部屋になります」と聞いていたそうですが、Wさんが電話をしてくれたおかげで、着いた私たちが案内されたのはたぶん宿で一番いいお部屋。海と港が一望できる、広い広いベランダ(?)が付いていました。

石浜

部屋からの眺め。気持ちいい〜。

食事前に、まずはお風呂に入りに行きます。前日のビジネスホテルとは違って、ここのお風呂はちゃんと大浴場でした。しかも大きな窓から海が見下ろせます。普通のお湯と、漢方効仙薬湯(浸かっていると漢方薬の匂いになります)の2つとシンプルですが、本当に気持ち良かった〜。おまけに他の宿泊客は男性ばかりだったので、女湯は毎回私らだけで占領できて、気兼ねなくゆったりまったりできました。お風呂あがりにとりあえずビールで乾杯し、ベランダから海を眺めてのんびりしていると、やがて「夕食の準備ができました」と連絡が入ります。待ってました〜。

そしてまたまた広いお部屋に用意してもらった夕食。これが美味しかった〜。こうゆう、ちゃんとした夕食のつく宿に泊まったのが久しぶりだったので、大はしゃぎです。さすがに最後は食べ切れなくて男性陣に手伝ってもらいましたが、残さないで済んで良かった〜(←食べ物残すの、大きらい)。食後はKの撮ったビデオや私の撮った写真を皆で見ながら、石浜の海を振り返ります。せっかく珍しい生き物をたくさん見せてもらったのに、やっぱり透明度が悪いんですねー。ほとんどの写真がピン呆けでガックリです。

石浜

先付、梅酒、お刺身、カニ、茶碗蒸し、フカヒレスープ、炊き込みご飯にアサリの酒蒸し、茶そば、デザート。どれも美味しかった〜。

コケギンポ以外にも私が自力で見つけたギンポがいて、これは普段伊豆で見るのではないな〜と思ってTさんにも教えたのですが、それがひょっとしてコケギンポの子供なんでは?と喧々諤々。Sさんはじめ伊豆の海には詳しい皆も、さすがに宮城の海だと「わからないな〜」を連発してました。明日、なんとか時間を見つけてWさん・タカさんに聞かなくちゃ!

前夜の睡眠時間が短かったので、もう1度お風呂に入って部屋に戻ると、先にあがっていたTさんがもう爆睡していました。Tさん! まだ21時前ですよ! ……とツッコむ暇もなく、21時半にはTさんに続き爆睡している私たちなのでした……(男性陣は22時過ぎまでガンバっていたらしい)。

≪つづく≫

2009.7.11(Sat)_1

≪つづき≫

ツアー2日目の朝は早い。まだまだ行程は残っていますので、出発は朝6時です。ホテルの窓からは、仙台の山々がキレイに見えていました。どこのお山か登れるのか気になる今日この頃ですが、今回のツアーは海です海。待ち合わせのロビーで皆が揃うのを待っていると、運動部らしきジャージ姿の中学生(?)たちが、元気に集合して飛び出していきました。はああ〜ビジネスホテルなんか、使うんだ、今は。この時間ではホテルの朝食は始まっていませんので、途中のコンビニで適当に買って車の中でパクつきました。車はさらにさらに北へ。

数時間後到着した石巻市は、知りませんでしたがマンガの街らしいです。石ノ森章太郎の出身地かなにかなんでしょうか? 商店街のシャッターにマンガが描いてあったり、ロボコンの像があったり。極めつけは“石ノ森萬画館”。たまたま前を通りましたが、い〜い感じの形の建物で「おおおお〜」と車内から歓声があがりました。ちょっと、見てみたいかも。そしてその近くに、今回お世話になるダイビングショップ『B』があります。ここのオーナーのWさんとSさんが知り合いで、「一度、宮城の海を見に来い」と言われていたのが今回のツアーのきっかけとのコト。

ショップで私たちを迎えてくれたのは、Wさんとガイドのタカさんでした。Wさんは午後に用事があるので、午前の1本は2人で、午後の1本はタカさん1人でガイドしてくれるそうです。Wさんが「こないだダンゴのハッチアウトの瞬間が撮れたんだよ」と見せてくれた動画は、ダンゴウオが卵から孵る瞬間がハッキリと写っていて、ホント可愛くて感嘆モノでした。これTV局にでも持っていったら、ニュースになるんじゃないのかな。滅多に撮れないものらしいから。「本邦初公開」と言われちゃ、嬉しくもなるってものです。

さて本日潜るポイントは石浜。昔はいろんなショップからが入っていたけど、海が荒れてしまって入場に規制がかかり、車で浜まで入れるのは『B』の関係者だけだそう。車で30分くらいの場所にあるそうで、途中でお昼を買い込みポイントに向かいました。鍵のかかったゲートを過ぎ、未舗装の細い道を走った突き当たり。湾を囲む防波堤の根元にある浜は、Wさんいわく「俺の海」。施設はもちろんトイレもなくて、山用のトイレセット(紙と黒いゴミ袋)を持ってこなかったのは失敗でした。

水温はと聞くと、15度?との答え! 伊豆の最低温度(先シーズンは12度)よりは高いけれども、真冬のインナー(上*3、下*3)より上下とも1枚づつ減らしています。前回潜ったのは30度近くもある沖縄の海だったんだけど、だ、大丈夫かな……。ちなみに寒さに強いKはさらに薄着で、おまけにフードもナシでした。人間じゃないよ! ドキドキしながら準備を進めてふと気付くと、Wさんが波打ち際で「早く潜ろう!」のオーラを出していらっしゃいます。どうやら午後の用事に早く向かいたいみたいです。

あわわわわわわ、すみません! グループ分けなども何もまだ決めてませんでしたが、もう男性チームと女性チームでいいや!と、先に準備が終わりそうだった男性チームが、Wさんと一緒に潜るコトになりました。ので私らは落ち着いて準備をして、タカさんに連れられてエントリー。水に入った瞬間に、その冷たさがわかります。うひゃああ。私のは大丈夫だったけど、Kのビデオは水に入れた瞬間にレンズが曇ってしまったそうな。気温と水温の差がそれだけあるってコトですね。

水は、予想していたよりずっと良かったです。透明度3〜5mと聞いていたし、なんとなくイメージで汽水域の茶色っぽい海(潜った経験はありませんが。そして宮城の海に失礼でした、ゴメンなさい)を想像していましたが、実際の海は青。透明度は5mいくかいかないかなのですが、水の色が青いだけで気持ちいいのですよね〜。春濁りの伊豆よりもいい感じです。長〜い海草が水面に向かってゆらゆらと揺れていて(PADIの教材の海のようだ……)と思いました。教材の海は、あれはアメリカ?

そして、生き物が。すんごく楽しかった〜。地味といえば地味なのですが、伊豆とはまるっきり違うものばかりだから、何を見ても珍しい! そしてタカさんがまた、生き物を次から次へと見せてくれるのです。何かを教えてもらって写真を撮って、撮り終わって顔を上げるともう次の生き物のところでタカさんが呼んでいる、という感じ。しかも他のモノを見ているとライトをぐるぐる回して合図するので、全部見なくちゃ終わりません。それでも隙を見て自力で見つけたウミウシは、これは派手でキレイなものでした。

タカさんが教えてくれたのは、リュウグウハゼ(あちこちにたくさん)、ニクハゼ、カドリナウミウシ。ダンゴウオも何体も見つけてくれましたが、小さすぎる。指されてすぐに分かるような大きさのは1体もいず、え?どこ?どれ?と凝視しているうちに、やっと目玉が見えてわかるものばっかり。目玉といえば目玉生物のクチバシカジカ。「必ず見せてやる」と事前に約束があったそうで、言葉どおりちゃんと見つけてくれました(つか、基地を知っているみたいです)。ウミテングのミニって形で、ぴょこぴょこ動き回っていました。あと海草の回りによくいたヤナギアナハゼは、これは伊豆ではけっこう珍しいヤツじゃないかな〜。

あっちこっちとタカさんに引っぱられるままに動き回って、なんと初っ端から1時間を越えたダイブとなりました。水深は浅いけどささささ寒いのよう〜。水から上がると、太陽が迎えてくれるのがホント、つくづく、ありがたいです。天気が良くてよかった〜。先に水に入っていた男性チームはもう水から上がっていました。Wさんは、その夜の宿に「今日行く6人は俺の知り合いだから、サービスしてくれよ」と電話を入れてくださってから、午後の用事のために帰ってしまします。私らはのんびりお昼休憩。日光を取り込んで2本目の寒さに備えました。

≪つづく≫

2009.7.10(Fri)

6月末に一週間の旅行に行って、次の週末は夜行バス日帰りプランで至仏山登りに行って、さあ次はそろそろ休むパターンでしょ? という常識的な声を振り切って、行ってきました宮城県。だっていつもお世話になっているダイビングショップが、珍しくツアーをやるというのだもの。毎年恒例の阿嘉島ツアーじゃなくて、オーナーのSさんも行ったことのない宮城の海に潜るというのだもの。ガイドのTさんも行くので、スペースの都合上限定4名のツアーだというのだもの。惹かれます。

どう?と直接会う機会があったUとYに聞いてみたところ、2人とも用事があってNG。まあ1人でもいいか〜、宮城ツアーはある程度の常連さんしか受け付けないと言っていたから(ドライ必須ですもんね)、他の参加者もきっと顔見知りだろうし。と思いながら、参加申込のメールをショップに入れます。んで同時に、Kにもどう?とメールを。この時点ではKの参加はムリだろうな、と思ってました。ここ何年も誘いを断られ続けているもんで……(涙)。

ところがビックリ。「実は私も気になっていた」とメールが返ってきます。となると俄然気になるのが残席。「行くなら早く参加申込して! 一緒に行きたいし!」と即行で返信し、予約OKの報告メールに一安心。嬉しいなあ。そんな経緯が1ヶ月前にありまして、さあ迎えました出発日。なるべくなら会社を定時退社してご飯食べてシャワー浴びて出かけたいトコロでしたが、仕事が終わりません。そろそろ帰らないと間に合わないって時間に会社を飛び出し、帰って着替えてラーメン食べて(←喰うんかい!)、器材一式の詰まったキャリーバッグを引っぱって渋谷に向かいます。

しかし、いつもショップに器材を置きっぱなしにしているので、バッグの重さが堪えます。6月の旅行のために持って帰っていなければ、車に積んで持って来てもらえたのにー。内心でボヤきながらムシムシする街を早足で歩き集合場所に着くと、もう他のメンバーは全員集合済み……。ゲストの中では一番自宅が近いのに、スミマセン。当日まで面子を聞いてはいなかったのですが、Sさん、Tさん、ビナさん、ハゼ博士ことU野さん、Kと私が今回のメンバーです。やっぱり全員(と言っても他のゲストは2名ですが)顔見知りでした。

集合が渋谷に20:30(これにはちゃんと間に合ったんですよ!)で、今夜の宿は仙台。カーナビによると到着予定時間は0時近いそうで、うわ、長い旅だな〜。頑張って>Sさん。ショップのワゴンに乗り込んで、首都高から東北道へ……。このメンバーで夜の街を走っているのが、なんだか変な感じです。皆さん疲れているのか、東北道に乗る頃には爆睡していらっしゃいます。運転手のSさんのほかにずっと起きていたのは、私とKだけだったかな。会うのが久しぶりだったので、後部座席でお喋り倒してました。

トイレ休憩を挟みつつ、車は一路北へ。1日目の宿はビジネスホテルで、高速のインターを下りてすぐの場所にありました。直前にSさんが「なにか買うものがあったら」とコンビニで停めてくれ、「なにかある?」「とりあえずビールかな」「……さすが!」という会話が、私とKの間で交わされたのでした。どっちが誰かは伏せておきますが。んでチェックインしたビジネスホテル。Sさんがガンバってくれたので、到着は予定より早く23:30頃でした。私とKがツイン、他の4人はシングルです。

お風呂が翌2時まで入れるというので、部屋のユニットバスに1人ずつ入るよりは……と2人で大浴場に向かいました。そしたら。大浴場ってよくも言うよな〜と笑っちゃうような小さなお風呂! 3人入ればいっぱいです。運良く、先客は若い女性1人だったので何とかなりましたけど、これいつもの仲間4人で来てたらそれだけで入りきらないよ〜。これで「温泉大浴場完備」と謳っててイイのでしょうか? さっと汗だけ流して、部屋に帰ってビールを飲みつつまたお喋り。明日があるんだから、と切り上げたのは1時過ぎだったでしょうか……。

1人の参加でも仕方ないと思ってたけど、やっぱり仲間と一緒で嬉しい。一緒が嬉しい。へへへのへ。

≪つづく≫

2009.7.5(Sun)_5

≪つづき≫

コーヒーでもいれて、のんびりまったりしかったのに〜(あ、コーヒー切らしていたんだっけ)。ひーん、これじゃ鳩待峠で時間が余っちゃうよーと思いながらも、虫に追い立てられるようにして再出発。オヤマ沢田代で最後の湿原(て、今日はほかに見本園しか歩いてないけど)に名残を惜しみ、樹林帯の中に入っていきます。前回の記憶では、樹林帯に入っちゃうと後はもうあまり楽しみはなかったような気がしていましたが、いやいや前半はときおり景色も開けてくれますし、なかなか楽しいじゃないですか。

尾瀬

オヤマ沢田代

尾瀬尾瀬

左:岩鏡(イワカガミ)/右:岩銀杏(イワイチョウ)かな?

尾瀬

綿菅(ワタスゲ)もすっかり乾いてふわふわ

尾瀬

樹林帯に入っていく

尾瀬尾瀬

左:三葉黄蓮(ミツバオウレン)/右:またまた岩鏡(イワカガミ)

尾瀬

苔も、くるっと丸まったシダ類も、いい感じ

後半、周囲が薄暗い林の中に入ってからも、木の根元には小さな花が咲いているし、それなりの楽しみがありました。前はテン泊装備だったから、この辺では完璧バテていたんでしょうね〜。ガイドツアーなのかな? いろんな説明をしてもらいながら歩いている3〜5人くらいの小グループがいくつかいて、その中の1人に「ほら、あそこにシラネアオイが咲いてるよ」と教えてもらいました。見ると道から見下ろす川を挟んだ向こう岸に、花が咲いているようです。せっかく教えてもらったんだから、とカメラで精一杯ズームしたけど、この距離じゃ厳しいなあ。

尾瀬

……と、思ったけどけっこう撮れてるじゃん。白根葵(シラネアオイ)

尾瀬尾瀬

左:そのまたちょっと先の登山道すぐ脇に、1輪だけ咲いていた白根葵(シラネアオイ)/右:藪手鞠(ヤブデマリ)かな?

尾瀬

燧ヶ岳と尾瀬ヶ原の見納め。またね〜

尾瀬

この辺り、ちょっと気持ちいい

尾瀬

武尊山の方面かしら?

どの辺でだったかな? 樹林帯に入ってかなり歩いた頃、1人の男性が下から登ってきました。それまでも何人かとすれ違っていて、ずいぶん遅くに行動開始だなーと思っていたのですが、その男性が特に気になったのは、1人で、ジーンズ姿で、荷物はペットボトル1本だけ、だったから。え? どこまで行く気なの? 至仏まで登ったら、下りてくる頃には暗くなってるよ?(という時間でした) 大丈夫なの? 心配になってしばらく気にしていましたが、30分もしないうちに今度は後ろからその彼が下りてきました。え? この時間じゃ森林限界までも行けなかったよね? 何がしたかったの? ……よく分かりません。

尾瀬

舞鶴草(マイヅルソウ)が固まって咲いていました

そして、バスの出発時間まで1時間半もあるというのに、もう鳩待峠に戻って来てしまいました。ま、仕方ない。靴がドロドロなので、トイレ前の水道で洗って流し(行列ができていました)、ビールがアレなので氷結を買ってお疲れさま乾杯。なんてしているウチに、14時、バスがやってきました。私と同じく急かされたような気持ちになったのか、もう戻ってきている客が1/3はいます。私もバスに乗り込んで、涼しいシートに座ったとたん眠り込みました。

尾瀬尾瀬

左:バス待ちの人でいっぱいの鳩待峠/右:私もその仲間に入って、梢の上にちらっと覗く至仏山に乾杯〜

目を覚ました14:30には1組を残して皆が戻ってきていましたが、最後が5分前まで戻ってこなかったので、出発は定刻どおり15時でした。そうゆう心臓、見習いたいなあ(嫌味じゃなくて、ホントに)。途中に尾瀬高原ホテルでお風呂休憩があります。今回は余分な荷物を持って歩かないでよかったので、着替え一式を持ってこれ、サッパリしました。お風呂は、予想以上に小さかったけど。でも汗を流せるだけでありがたいものです。

尾瀬尾瀬

左:鳩待峠の駐車場の鳥/右:行き帰りに寄った尾瀬高原ホテル

途中、無性にコーヒーが飲みたくなってトイレ休憩でSAに停まったときに自販機にダッシュしたり(中毒?)、うとうとしていたら耳が痛くなって目が覚めて耳抜きするのに大変だったり(ペットボトルもぺっこり凹んでいました)、個人的ないろいろはあったものの、バスはプチ渋滞に巻き込まれながらも比較的順調に帰路を辿り、予定の20時前に新宿に帰りつけました。

しかし夜行バス利用の、実質日帰りの旅の記録に5回もかかるとは。恐るべし、尾瀬。長々とおつきあいくださって、ありがとうございました。

鳩待峠(5:21)→山ノ鼻・植物見本園(6:12-7:43)→至仏山2,228m(9:52-10:21)→小至仏山(11:10)→休憩(11:32-12:00)→オヤマ沢田代(12:04)→鳩待峠(13:20)

2009.7.5(Sun)_4

≪つづき≫

空の様子はどうなったかというと、雨はまだ降らなさそうです。尾瀬ヶ原も見えている。ただ、尾瀬ヶ原と反対側の斜面には低い雲がかかっており、さーっと流れては視界を遮ります。それでも近くの蛇紋岩の赤茶けた色と、そこに張りつくようなハイマツの緑、点在する白や黄色の花々……。なんか、イイんですよね。頂上の隅っこの岩に座って、周囲の会話を聞き流しつつ、しばらくぼんやりと雲の動きを眺めていました。

尾瀬尾瀬

左:燧ヶ岳にも黒雲が迫る/右:どんどん低く下りてくる

尾瀬尾瀬

左:近くの岩しか見えない場所も/右:しばらくずっと見ていると

尾瀬

ここまで見えます!(……が、この日はこれが精一杯)

が、湿った風に吹かれていると徐々に寒くなってきます。そろそろ先に進みましょう。ただCTより早く登ってきたので、このまま行くと鳩待峠でバスをずいぶんと待つコトになっちゃいそう。少しゆっくり歩こう……と、出発します。―――ゆっくりしか、歩けませんでした。道が、ぐっちゃぐちゃ。山ノ鼻からは木の階段も多く、岩が滑る以外はそれほど大変とは思いませんでしたが、至仏山頂を過ぎてからの道はヒドかった。ぬかるみに足を取られて気も取られて、うひゃ〜。

尾瀬尾瀬

左:姫石楠花(ヒメシャクナゲ)/右:分かりません…

尾瀬尾瀬

行き先も、茶色い岩の向こうも雲の中

尾瀬

雲の中から、次のピークの小至仏山が現れます

それでも足を止めて周囲を見回せば、やっぱり「来て良かった」の風景が広がっているのです。うっすらと見える尾瀬ヶ原。あっちにもこっちにも小さな花の群生。マキハラ・キレイゴト・ノリユキがなんと言おうと(ファンの方、ゴメンなさい)、花たちは生存競争を勝ち抜いてこんなにキレイなんだぞー。だいたい花屋に並んだ花には整形美人も多いんだしさ、パリコレのモデルだけ見て「人間にはいろんなタイプがいるけど、人間は誰もが美しい」と言ってるようなもんじゃんか―――って、なに私はこんな風景の中でこんな黒い考えに耽っているんでしょうか。

尾瀬尾瀬

山の上にこんな艶やかな花が!……と思ったら、高嶺薔薇(タカネバラ)だそうです

尾瀬尾瀬

左:白山石楠花(ハクサンシャクナゲ)/右:小さな星がたくさん!

尾瀬

星は近づけば細葉爪草(ホソバツメクサ)

尾瀬

低い雲がちょっと途切れた瞬間。小さく見えるのは「ならまた湖」かな?

尾瀬尾瀬

左:ならまた湖、ズーム!/右:中腹に小さく雪が残っていました

尾瀬

固まって咲いていたのは稚児車(チングルマ)。見本園ではもう花は終わっていたのにね

尾瀬

一瞬だけ! うっすらと! 遠くの山並みが見えました。日光方面。

平和なんだか平和じゃないんだか(←私の頭の中が)分からないまま、小至仏を通過して、オヤマ沢田代のちょっと手前のテラスでお昼休憩にします。曇ってきたせいか、山頂では全然気にならなかった小虫が、頭の周りをぶんぶん飛び始めました。刺されると、小さなくせにけっこう痛い。慌てて防虫効果があるという帽子をかぶってみましたが、効きゃぁしません。首筋をけっこう刺されてしまい、頭にかぶる防虫ネットが欲しくなりました。そんな中で落ち着かなく、カップラーメンの昼食を済ませます。

尾瀬尾瀬

左:小至仏山頂(2,162m)/右:御前橘(ゴゼンタチバナ)

尾瀬尾瀬

左:ちょっと痛んでしまっているけど、これが深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)?/右:んでこっちが信濃金梅(シナノキンバイ)? 逆?

尾瀬尾瀬

左:下りてきた道を振り返る。登山道の脇にも、けっこう大きく雪が残っていました/右:白山一花(ハクサンイチゲ)、かなあ?

尾瀬

山肌の緑。岩の間から花。遠くに尾瀬ヶ原。いいね〜

尾瀬

笠ヶ岳への旅も計画しなくっちゃね

尾瀬

お昼を食べたテラスからの眺め。黒い雲が無ければなあ〜

≪つづく≫

2009.7.5(Sun)_3

≪つづき≫

覚えていたとおり、1,630m付近でもう森林限界がやってきます。後ろを振り返ると、うひゃー、尾瀬! 燧ケ岳の頭は雲に隠れていますし、尾瀬ヶ原もちょっとモヤっていますが、でも全体を見渡せます。ここからは振り返り振り返り、尾瀬ヶ原を楽しみながら登れます。徐々に岩も大きく、多くなり、そして足もとはぐっちょぐちょに……。日が当たる場所は乾いてるだろうなんて甘かった。粘土質の土がぬかるんでいて、そこを踏んだ足で蛇紋岩に登ると滑ること滑ること! 気を抜けません。

尾瀬

朝歩いた見本園(一部)と至仏山荘。その向こうに尾瀬ヶ原

そしてこの辺りからときどき、渋滞にぶつかるようになりました。やっぱ人は多いなあ。後ろに人がいても全然気がつかない人がいたり、かと思うと、ちょうど一息入れようかなと思ったときに「どうぞどうぞ先に行ってください〜」と言われ、後ろから追い上げられてしまったり。ま、お互い様な部分も大きいので、あまり気にしないほうがイイのかもしれませんが、未熟モノなのでときどきイラっとしてしまいます。せっかく山に来ているのにいかんいかん。

尾瀬尾瀬

左:小さな花が集まって1つの花みたいになっているのは、よく見かけました(名前不明)/右:深山大文字草(ミヤマダイモンジソウ)の色合い、ホントに可愛い。お菓子みたい

尾瀬尾瀬

左:岩銀杏(イワイチョウ)/右:立山竜胆(タテヤマリンドウ)

尾瀬尾瀬

左:雪割草(ユキワリソウ)/右:尾瀬草(オゼソウ)

尾瀬尾瀬

左:四葉塩竃(ヨツバシオガマ)/右:一輪草の仲間…?

尾瀬

登山道沿いのこのお花畑!

尾瀬尾瀬

左:上州吾妻菊(ジョウシュウアズマギク)/右:天然の、小さな花束(名前不明)

尾瀬尾瀬

左:白山千鳥(ハクサンチドリ)/右:白山一花(ハクサンイチゲ)

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左:稚児車(チングルマ)/右:岩鏡(イワカガミ)

尾瀬

そしてこれが、稜線付近での一番のお気に入りの細葉雛薄雪草(ホソバヒナウスユキソウ)。見た瞬間、おおっエーデルワイス!と喜んでしまいました

お花は、盛りだくさんでした。あっちにもこっちにも。写真を撮るために足を止めるたびに一息入れられて、歩くのも楽な気が。森林限界を超えてから日差しがじりじりと首の後ろを焼き、だんだんと暑くなってきます。ときおり吹く風が気持ちいい〜。残念ながら遠くの山並みは見えませんが、この天気なら上等でしょう。と、思っていたのですが。頂上も間近という頃になって、冷たい湿った風が吹き始め、黒い雲が広がってきました。あれ? 夕方まではもつんでしょ? 降らないよね?

尾瀬

こんなにステキなお天気だったのに

尾瀬

不穏な黒い雲がモクモクと……

ちょいと危なげな天気の中、頂上に到着しました。あれ? 思ったより早かったな〜と思いましたが、考えてみればほぼCTどおりで登った前回は、テン泊装備の大荷物を背負っていたのでした。まだ昼食には早い時間でしたので、座ってちょっと休憩を入れます。狭い山頂に人がひしめき合い、あっちこっちでお茶を沸かしたり食事をしたり……。隙をみて登頂証拠写真を撮り、山座同定盤を覗きます。今日は遠くは全然だな〜。あ、前回(方向がズレているのでは?)と思いましたが、盤の中央に至仏山がないだけだと今回初めて気付きました。……て、分かりづらいって!

尾瀬尾瀬

三角点と山頂標識

尾瀬

至仏山はこの山座同定盤の端っこにあるんだよー

≪つづく≫

2009.7.5(Sun)_2

≪つづき≫

食事を終えたところで、植物園をぐるっと回るといたしましょう。遠目にもレンゲツツジの赤やコバイケイソウの白が目立っていましたが、歩いてみると小さな花々がなんともたくさん。山ノ鼻までの木道沿いではまだあまり咲いていなかったニッコウキスゲも、ここでは咲き始めていました。前回はちょっと遅かったし、今回はちょっと早かった。次は狙ってこようかな? ぐるっとコースの最後の辺りには、ヒオウギアヤメが咲いていました。尾瀬ヶ原のほうに行く人が多いのか、見本園は静かで快適でした。

尾瀬尾瀬

左:稚児車(チングルマ)/右:雨にぐっしょりの綿菅(ワタスゲ)

尾瀬

池塘のある風景、いいですね〜

尾瀬

日光黄菅(ニッコウキスゲ)も咲き始め

尾瀬尾瀬

左:蓮華躑躅(レンゲツツジ)/右:小梅尅吹iコバイケイソウ)

尾瀬

この見本園を歩くだけでも、充分楽しめますね

尾瀬尾瀬

左:野薊(ノアザミ)の蕾かな?/右:これは分からない

尾瀬尾瀬

左:固まって咲いている場所も/右:檜扇文目(ヒオウギアヤメ)

尾瀬尾瀬

左:坪菫(ツボスミレ)?/右:深山唐松(ミヤマカラマツ)?

尾瀬尾瀬

不明なんだけど、閉じたトコロと開いたトコロ

尾瀬尾瀬

左:褄取草(ツマトリソウ)/右:花苦菜(ハナニガナ)

尾瀬

至仏山。これから行くから待っててね〜

山ノ鼻に戻ったところでビジターセンターに寄り、今の時期咲いている花をチェックチェック。ふんふん、こんなのが見られるのね〜。そしてトイレ(利用料\100)に寄って、さぁそろそろ登りましょうか。ちょっと早いような気もしましたが、でも天気が崩れないうちに尾瀬ヶ原を見渡しておきたいものね。登山口で登山届を提出し、出発です。道は覚えていたよりじめじめ―――いや、そんなレベルじゃないわこれ。水が流れているじゃないの。これは雪融け水? それとも昨夜の雨? でもまぁ気をつけて歩けば大丈夫。上のほうに行けば道も乾いているでしょう―――と、このときは甘い考えを抱いていました。

尾瀬尾瀬

古い木から新しい木が生えたのに、古い木が朽ちてきてしまって新しい木の根っこが宙ぶらりんに……。大丈夫か。

尾瀬尾瀬

左:花盛りだったのは……/右:ピンクのラッパ、谷空木(タニウツギ)

尾瀬尾瀬

紅更紗灯台(ベニサラサドウダン)。色といい形といい好み♥

尾瀬尾瀬

左:七竈(ナナカマド)/右:雉筵(キジムシロ)かなあ?

尾瀬尾瀬

登りでの一番のお気に入り、深山大文字草(ミヤマダイモンジソウ)。花の中心が黄色だったり赤だったろで、なんとも可愛らしいのです

尾瀬尾瀬

左:これも可愛らしいですね(名前不明)/右:米栂(コメツガ)

尾瀬

そして視界が開けるポイントに

≪写真が多くて全然旅が進まないなぁ。続きます≫

2009.7.5(Sun)_1

6月は結局高尾山しか登っていなくて、ちょっとウズウズしてきた今日この頃。去年見たあの風景が忘れられず、どうせ行くなら今度はもうちょい早めに行ってみたいと狙っていた至仏山に、行ってきました。とは言っても、決行を決めたのはなんと出発当日です。金曜日までは尾瀬の天気が悪いので、多少マシそうな山梨方面を予定していました。ところが土曜の昼に一応チェックしてみると、どうやら夕方までは天気がもちそうではないですか。

この先の週末は予定が詰まっているし、行けるなら行っておきたいとバスツアー会社に電話します。残席3とのことで、無事に席は取れました。一応友人らに声をかけてみますが「さすがにムリ!(急すぎて)」と返事が返ってきます。そりゃ、そうだよね。バスは22時過ぎに出発なので、決めたのは直前でも買出しをして荷物を作る時間はたっぷりありました。迷ったのは、どこを歩くか。現地での滞在時間は約9時間、あります。んで鳩待峠から至仏山をぐるっと回るCTは6時間ちょい。ん〜〜。

気になっている笠ヶ岳も行くコースも考えたのですが、それだと時間がギリギリになってしまう。もし遅れたらバスツアーだから他の人に迷惑をかけちゃうし、間に合うにしてもCTどおりにちゃきちゃき歩かないといけない。初めてのコースでそれはないなあ。お花狙いなんだからもうちょっとのんびりしたい。じゃあ尾瀬ヶ原を牛首辺りまで往復しようかなー。それとも山ノ鼻でのんびり朝ご飯して、植物見本園をぐるっと歩くくらいにしておく?

尾瀬ヶ原か見本園か。決めかねるままに荷物を背負い、新宿へと向かいます。集合場所に停まっていたのはマイクロバス。そっか、大型バスの入れない鳩待峠へ直行ということは、新宿から小さなバスってことか。しかし別に座席が狭いワケではないので問題ナシです。他のお客は―――あらなんだか若い人が多いわ。しかも女性が多くって嬉しい。ホントに山に登る女が増えているのですねー。しっかり登山の格好をしている人と、観光っぽい人は半々くらいでした。

新宿を22:30に出発し、23時過ぎに1回目のトイレ休憩。こんな時間なのにSA食堂の券売機前には長蛇の列でビックリです。日付が変わって2時くらいに2度目のトイレ休憩。4時に尾瀬高原ホテルで3度目の―――。夜行バスって、なんでこんなに頻繁に停まるんでしょうね? 寝るなってコトかしら。それともエコノミー症候群の予防かしら。まぁ休憩で起こされなくても、座席ではうとうとするのが関の山です。今回は、夜行バスにしてはよく眠れたほうかもしれない。高原ホテルでの長めの休憩の後、バスはほぼ予定どおりに鳩待峠へ到着しました。

鳩待峠からは、木々の向こうに至仏山の頭がちろっと見えます。朝日を浴びるなだらかな曲線、懐かしいなあ〜。荷物をバスに置いておけるので、お風呂セットなどの余分な荷物は持ち歩かなくていいのが嬉しいです。軽くストレッチをして歩き始めた、山ノ鼻への道は初めての道。あ、このときには山ノ鼻でぷらぷら時間を潰して至仏山へ、というコースに心を決めておりました。帰りのバスの出発は15時だけど、14時から待ってますので……とか言われたので、早めに帰ったほうがいいのかなと思って。

尾瀬尾瀬

左:鳩待峠から。山のうえには雲がかかっていました
/右:スタート地点。さあ行くぞー

鳩待峠から山ノ鼻までは、ひたすら木道をゆるやかに下っていくだけ。気持ちよ〜く歩けます。空気はかなりひんやりで、通気性ばっちりの長袖では肌寒いくらいでした。薄手のウィンドブレーカーがちょうどイイかも。持ってきた裏起毛の上着では暑いだろうな〜と思ってそのまま歩き続けましたが、下りで体力もそう使わないので、手の指先がずーっと冷たいまんまでした。小さな橋を渡ったり、川沿いを歩いたりする水気たっぷりの道。木道の両脇にわしゃわしゃ生えているのは、水芭蕉でしょうか? 一度、花のシーズンにも来てみたいものです。

尾瀬尾瀬

整備された歩きやすい道。雨が降ったのか、しっとり濡れていました

尾瀬尾瀬

左:紅葉唐松(モミジカラマツ)かな?/右:矢車草(ヤグルマソウ)?

尾瀬

尾瀬

しっとりとした、雰囲気のある光景が続きます

尾瀬尾瀬

左:アジサイ系? 開いたらどうなるのでしょう/右:6月には木道脇に水芭蕉の花が咲いていたんでしょうねー

尾瀬

小梅尅吹iコバイケイソウ)と蓮華躑躅(レンゲツツジ)が人目を惹きます。ところで……カタカナの羅列より漢字のほうが覚えやすいかと花の名前を漢字にしてみましたが、なんでこんな難しい漢字なのー!?

尾瀬尾瀬

左:小梅尅吹iコバイケイソウ)はこんな小さな花の集まり/右:谷空木(タニウツギ)も花盛りでした

途中、空気が緑色に思えるような空間もあり、ホントに嬉しくなってしまいます。そして懐かしの、テント場が見えてきました。昨日の夜の雨で濡れたテントの始末をしている人が多かったです。炊事場で水を入手し、見本園に入ってすぐのベンチで朝ご飯にします。見本園の風景も、大好き。至仏山にはまだ雲がかかっておらず、淡い色に輝いています。人もいなかったので、お湯を沸かしてインスタントスープとパンの朝ご飯。至仏山に向かう人、三脚担いで見本園に乗り込む人、と次々人がやってきますが、食後のコーヒーまでの〜んびりと楽しみました。

(ここでプチショック。荷物を作るときに、食料袋にコーヒーのスティックが2本入っていたので補充しなくていいか、と思ってしまったのだけれど、うち1本はアミノ酸だった……! のんびりするのにコーヒーは欠かせないのにー)

尾瀬

ここの空気、緑でした。ホンっト、気持ち良かった〜

尾瀬尾瀬

左:懐かしの山ノ鼻のテント場。前日かなり降ったみたいで、地面もぬかるんでいました/右:朝食の準備。袋のラーメンは昼食用です

尾瀬

この景色を眺めながらの食事が、美味しくないハズありません

≪つづく≫

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