2008.8.31(Sun)_2

≪つづき≫

八ヶ岳

遠くのお山にはさーっと雨が降っているようです。

八ヶ岳

山頂からの景色、見納め

景色を堪能し写真を撮りまくり、名残惜しいですが山頂を後にします。が、タイミングが悪かった。下山道の頂上直下に、そう険しくはないのですがすれ違いが難しいちょっとした岩場がありまして。私らがそこにさしかかったとき、下から団体さんが登ってきました。先頭のガイドらしき人が「間隔あけて慎重にね〜」と後ろに声をかけています。登りが優先なので私らは道を空けましたが、全員が通り過ぎるまで何分かかったかなあ。5分以上はたっぷり待った気がします。もうちょっとだけ、山頂にいればよかった。

岩場はそこだけで、赤岩の頭までは気持ちよく下れます。赤岩の頭で赤岳の勇姿にお別れをして、オーレン小屋への道に入りました。すぐにハイマツが立ち上がってきて、木々が現れて、樹林帯へ。日差しがけっこうキツかったので樹林帯はほっとします。こっちの道はかなり狭くて急な箇所もありました。登りにこっちを使わないでよかったわ。

八ヶ岳八ヶ岳

左:赤岩の頭まで/右:今度こそ、赤岳見納め

八ヶ岳

あっちにもこっちにも、歩いて行きたくなってしまう

おなかが空いたのか、Yがキノコを見つけるたびに「美味しそう、食べられそう」を連発します。樹林帯の上のほうは苔もあんまりありませんでしたけど、小屋に近づくに従って道も広くなり、苔もい〜い感じになってきます。やっぱこの雰囲気、好きだなあ。そして今回は使用できなかった(使用しなくてよかった)テント場を通り過ぎて、オーレン小屋に帰着。小屋主さんが「おかえり〜」と迎えてくれました。

八ヶ岳

どんどん青空が広がってきているみたい

八ヶ岳オーレン小屋

左:美味しそう…?/右:ちょっと石ゴロ? テント場

オーレン小屋オーレン小屋

入浴もできる、イベントごとも多そうなオーレン小屋

オーレン小屋オーレン小屋

ストーブを囲んでの夕べは楽しかったなあ

預けていた荷物をまとめなおし、さよなら八ヶ岳。さよならオーレン小屋。この小屋は食事も美味しいし、スタッフさんたちが皆さん感じよくて、いい小屋でした。前日よりも天気がよかったから木漏れ日が気持ちよくて、花も沢もキレイに見えて、ここから桜平のゲートまでは撮影大会のようです。ちょっと歩いてはカメラを出し、ちょっと歩いては花を見つけ。なかなか進めません。かなりの時間をかけて夏沢鉱泉にに着き、ちょっと休憩を入れて桜平のゲートへ。

八ヶ岳

こう陽を浴びてると、苔じゃないみたい

八ヶ岳

来るときはこんなに花があるとは気付かなかった…!

八ヶ岳

ステキな森でした。

八ヶ岳八ヶ岳

また沢を渡って(橋を使わず突っ切る)、桜平ゲートへ

ここからはまたUとUの車が頑張ってくれました。未舗装道路をごとごと走って(登りよりは楽?)一般道に辿りつき、まずは尖石温泉縄文の湯へ。ここからキレ〜イに見えていたのは、車山ってやつかしら? 入浴料400円。温泉はなかなか。服を脱いでいるときに「あら、オーレン小屋の」と声をかけられました。同宿の方でした。「もう下りてきちゃったの?」と言われても……。

縄文の湯から縄文の湯

縄文の湯から。すっかり青空が広がりました。

しっかり汗を流して露天を堪能し、ここで昼食。お昼ご飯入浴料が安いせいか、地元の方もたくさん来ている風で、休憩室は町内の寄り合い所って感じです。私らみたいに空腹が極限じゃなかったら、食事は美味しい店を探してもいいかもね。お蕎麦そのものは美味しかったですが、つゆはソバツユ?って味でした。おろしきのこ蕎麦、530円。ナゼかキノコより山菜がたくさん入っていました。

さあ後は帰るだけー。なのですが、この帰り道がまた長いのですよね。中央道に入って、途中、境川PAでお八つ休憩。お昼ご飯このPAの売りだというジェラートをいただきます。桃のが、すんごく美味しかった! 私は黒糖きなこジェラートに黒蜜をかけ信玄餅をトッピングした信玄ジェラートにしました。きなこラヴ! 黒糖ラヴ! 信玄餅ラヴ! 黒蜜ラヴ!なのでたいへん満足。

道は好天のせいか時間帯のせいか、交通量がかなり多くなっています。交通情報も行き先の渋滞がどんどん長くなっているのを伝えています。それに途中から雨も降ってきました。かなりの土砂降りになっている場所もあって、緊張を強いられます(←Uが)。渋滞に突っ込んで、渋滞を抜け、降りるはずのICになってもナゼかカーナビは“そのまま進め”の表示を出しています。え? え? どこに行くのあなたは?

確認するととんでもない遠回りのルートが設定されてるのが分かりましたので、慌てて高速を降り、カーナビと地図を駆使して知っている方向に戻る努力をいたします。最後の最後にやってくれますカーナビ様。もう少し中間地点の入力が楽にできるとイイのになあ。変なところに迷い込んだりしつつも、知っている道に出たときはホッとしました。ホッとしたところで目についたガソリンスタンドに寄り、給油と洗車。セルフ洗車って始めてだったんだけど、お手軽でいいですね。未舗装道路で泥だらけになったUの車もぴかぴかになりました。

前菜盛り合わせ温野菜サラダ

夕食はU宅もかなり近い辺りで、石焼ピザの店へ。ピザ前菜盛り合わせ、温野菜のサラダ、ピザ、パスタを頼んで皆でシェア。ここまで来たので、私はビールも飲ませてもらいました。熟成ベーコンのピザ、美味しかったなあ。旅行中は欠かせない「食べたもの写真」、途中で食べるほうに夢中になって、パスタの写真を撮り忘れたのが残念。魚介たっぷりで美味しかったのにー。

今回は、高速以外は渋滞に引っかからずに済み、無事にU宅到着。ありがと〜〜。自宅までの1時間の電車内では気絶しそうなくらい眠かったですが、自宅にもちゃんと辿りつきました。無事に、楽しく終わってよかった〜。(でも当分、皆での山登りは無い、かな?)

■オーレン小屋(6:14)→夏沢峠(6:47-6:53)→硫黄岳2,760m(8:24-9:01)→赤岩の頭(9:26)→オーレン小屋(10:31-11:05)→夏沢鉱泉(11:51-11:58)→桜平ゲート(12:27)

2008.8.31(Sun)_1

≪つづき≫

2時半にふと、目が覚めます。覚めたついでに外のトイレに行きました。残念ながら星空とはいきませんでしたが、雨は上がっています。硫黄岳の黒いシルエットもくっきりと浮かんでいました。「どうぞこのままの天気がもってくれますように」とお祈りして布団に戻りましたが、ね、眠れない……。そりゃそうです。もう8時間近く爆睡しています。そこからはぬくぬくの布団の中でとろとろと時を過ごし、4時半を回ったところで諦めて起床しました。

オーレン小屋が、これが良かった。朝食は5時半からと聞いていましたが、5時をちょっと回ったころに「朝食できました〜」と声がかかります。身支度は済んでいたので、すぐに食堂に行けました。ちょっとずつのおかずが嬉しい、野菜もたっぷりのメニュでしたよ。

またもや余分な荷物は小屋に預け、今日は硫黄岳に向けて出発です。Kも様子を見ながら歩くことになりました。そりゃここまで来てどこにも登らないってのは、寂しいよね。ゆっくり無理せず行こう! 夏沢峠まではほぼ平坦な、歩きやすい道でした。ここも苔がキレイ。苔の道って雰囲気あって大好きです。

八ヶ岳八ヶ岳

昨日歩いた道にも増して、苔苔♪

八ヶ岳八ヶ岳

左:夏沢峠。小屋は営業していないようでした。後ろには迫力の爆裂火口壁がそびえています。/右:夏沢峠から。雲海からどこかのお山がぽっこり頭を出していました。

夏沢峠からまた少しだけ林に入りますが、すぐに抜けて、その後はずっと展望のいい道を歩けます。行き先が見えているのは、私は好き。この日は曇だったので遠望はきかないかと覚悟していたのですが、ちょっと登って振り返ると……「あれ、ひょっとして北アルプスじゃない?」。特徴的な尖がりが槍のような気がしたのです。地図を見てみると当たり! やっぱ槍ヶ岳でした〜。

八ヶ岳八ヶ岳

左:“少しだけ林”に入る前/右:ちょっと登る辺り

八ヶ岳

おっイイねえ、とか言っていたら……

八ヶ岳

ふぉぉぉぉ〜。北アルプス〜!

八ヶ岳

下界も見えてきました。

そこからはもう振り返り振り返り歩きます。標高を上げるにしたがって山脈の連なりがはっきりと見えてきて、また北アルプスのすぐ上には雲があっていつ見えなくなるか分からなくて、目を離すのがもったいないくらいでした。小さな花を見つけたり、飛び回る鳥(ホシガラス?)を観察したりもまた楽しい。ゆーっくり登ったのですが、それでも歩き続けていればいつかは辿りつくもので、山頂近くのケルンがだんだん大きくなってきました。

八ヶ岳八ヶ岳

左:ずっと展望が開けた道を歩きます/右:狛犬岩(K命名)

八ヶ岳八ヶ岳

ウメバチソウと、ホシガラス(たぶん)

八ヶ岳

夏沢峠を振り返る。奥に頭が見えているのは、
昨日行けなかった根石岳かな?

八ヶ岳

右下にオーレン小屋。左のぽこが峰ノ松目?

八ヶ岳

ふぉぉぉぉ〜!、再び。霧ヶ峰方面。

そして、爆裂火口に到着〜。この辺りから山頂まで点々とケルンが積んであります。マンガ読みすぎのKは例によって、「ここで人が……」と震えていましたが、でもあれは道標でしょう(だよね?)。火口は覗き込むと迫力モノです。いつ噴火したのかなあ? 相当昔っぽいけれど。そこからしばしで広〜い山頂に到着。わお!

八ヶ岳

点々とケルンが続く

八ヶ岳

火口壁を覗いてみます。

八ヶ岳

赤岳へと続く稜線。稜線上にいくつか山荘が見えます。
ああいうところに泊まったら、気持ちイイだろうなあ〜。

八ヶ岳

赤岳〜中岳〜阿弥陀岳(で、合ってる?)

八ヶ岳八ヶ岳

左:山頂のこの小さな小屋は――? 中腰でしか入れません。
雷のとき逃げ込むとか?/右:硫黄岳2,760m

最高峰の赤岳を中心に、横岳や阿弥陀岳が視界に飛び込んできます。その向こうに見えるのは瑞牆山や金峰山。富士山は赤岳の向こうになるのかなあ? 振り向けば登ってくる途中ずっと見えていた北アルプス、その手前は霧ヶ峰。ちょっと離れているのは御嶽山かな。もちろん南アルプスも。なーんていい景色なんでしょう。瑞牆山方面には低い雲があって裾野は見えませんが、反対側は街まで見えてきました。こんな展望が得られるとは、昨日の段階では予想もしていませんでした。嬉しい〜。

八ヶ岳

爆裂火口

八ヶ岳

峰ノ松目の向こうにも景色が広がる

山頂に近づくに従って増えていた白い蕾。帰ってからネットで調べてみたらトウヤクリンドウかな。これが咲くともう秋だそうですが、咲いたら圧巻だろうなあ。山頂を歩きまわって思い思いに写真を撮り、お湯を沸かしてコーヒーを飲みました。さすがに2,760mで空気はちょっと冷たいですが、風もそんなには吹いていなくて、雨具を羽織って風を除けていれば問題ありません。

八ヶ岳

あとどのくらいで咲くのかなー?

≪つづく≫

2008.8.30(Sat)_2

≪つづき≫

お勧めされた夏沢峠は明日も通るから、今日は天狗方面に行ってみたい。天狗岳までは時間的に無理だから(私らにとっては、だけど。私らが食事中に、若め女性の3人組が「行ってきま〜す」と天狗岳に向かって出発していきました)、途中の根石岳までどうかなあ……。ダメ元で言ってみると、UとYが同行してくれるコトになりました。もともとあまり体調が良くなかったKは小屋でお休みです。

そうと決まれば。余分な荷物は全て小屋に置き、身軽になって出発します。この先はずーっと樹林帯なので、雨がそう気になりません。苔の豊かな、歩きやすい道です。途中で振りかえると、硫黄岳の爆裂火口が見える場所も。が、「あ、見える! もうちょっと上がったらもっとよく見える!」と思って少し上がって振り返ると、もう雲に隠れています。

八ヶ岳八ヶ岳

雨の似合う森です(でも晴れて欲しい〜)。

チラ見せに焦らされながら登り続け、箕冠山(みかぶりやま:2590m)に到着。びっくりするくらい地味な山頂です。展望も全然ありません。途中で森林限界を超えるのかと思っていましたが、最後まで林の中でした。ただ、山頂からちょっとだけ進むと、いきなり視界が開けます。下って登ったところに山頂が! 登山者の姿もはっきりと見えます。根石岳だ! 山の斜面に雲が渦巻いていて、カッコいい!

八ヶ岳八ヶ岳

箕冠山山頂は展望ナシ

根石岳が視界に入ったときはまだ目の前に邪魔な枝があったので、その枝を過ぎたところで写真を撮ろうと思って歩いたたった30秒。その30秒の間に根石岳は掻き消えてしまいました。すんごい速さで雲が登ってきたのです。ひーん。箕冠山から少し下って根石山荘に着きましたが、根石岳はもう姿を見せてはくれませんでした。これじゃ根石山まで登ってもガスガスでな〜んにも見えないだろうし、もうこの山荘でコーヒーでも飲んで引き返すコトに決定です。

が、小屋に入って「すみませ〜ん」と声をかけるも、誰も出てきてくれません。小屋の外にお兄さんがいるのですが、私らが入ったのは見ているハズなのに忙しそうに外を駆け回っていて、コーヒーを頼むのも申し訳ない感じ。ちょっと待っていましたが状況は変わりそうもなく、仕方ないのでそのまま帰るコトにしました。何しに小屋に入ったんだこの人たちは、って感じです。

八ヶ岳八ヶ岳

根石山荘。小さい小屋ですが、60人まで泊まれるそうです。
靴箱を見る限りこの日の宿泊客はいないようでした。

コマクサ小屋の周りには植生保護のために囲ってあって、最後のコマクサが残っていました。ああ、いつか盛りを見てみたいなあ。

下りは黙々と歩きます。雨もコンスタントにしっかり降るようになって、今日はもう夜までこのままという感じ。ああもう今日はイイよ、今のうちに降って明日は上がってくれ〜。このときは私の高度計が大活躍。「あとどのくらい〜?」の問いに、「あと100m下れば」「あと60!」と返せるのでいい目安になったようです。ほぼ予定していた時間通りに、小屋に戻ってこれました。雨でも、行ってよかった。ナゼか楽しかったです。

さて眠っていたKを起こし、山小屋では嬉しい檜風呂へ。私たちが行く直前まで、団体さんが交代ばんこで入っていたようでしたが、タイミングよくお風呂を貸切にできました。石鹸もシャンプーも使えないけど、汗を落とせるだけで気持ちいい〜。オーレン小屋その後は薪ストーブのある大部屋に行って、チューハイ(\300)を飲みながら、団体さんたちとお喋りをしました。

26人の団体さんは奈良から来たそうで、とても賑やか。60代中心だそうですがとてもお元気で、かなりたくさんの山々に登っていて、いろいろと面白いお話が聞けました。明日は硫黄岳に行く、と言うと、「あら〜硫黄なんてちょろっと行くだけじゃない。赤岳まで行きなさいよ、赤岳まで」だそうです。や、私たち、今回は“ちょろっと”が目的ですから。

オーレン小屋オーレン小屋

17時半からの夕食は小屋の名物、桜鍋。オーレン小屋山盛りのお肉に野菜に、馬刺や天ぷら、デザートの西瓜まで出てきて、とても山小屋とは思えません。美味しかった〜。かなりの量で最後は苦しかったですが、何とか完食しました。

食後はまた薪ストーブの部屋で―――といきたいところでしたが、前夜ほとんど寝ていない私たちはもう限界。歯を磨いた後は布団に直行、19時前には爆睡していました。

■桜平ゲート(9:45)→夏沢鉱泉(10:30-10:45)→オーレン小屋(12:00-13:15)→箕冠山(14:12)→根石山荘(14:20-14:30)→箕冠山→オーレン小屋(15:12)

≪つづく≫

2008.8.30(Sat)_1

≪つづき≫

ほとんど眠れないままに、予定どおり3時起床。トータルで1時間くらいは寝たのでしょうか……。ただ、それほど眠さは感じません。雨はまだ降っています。準備をして4時にU宅を出発しました。暗いなか、ときおり強まる雨のなか車を走らせます(←Uが)。「途中で道が冠水してたらやめようね……」「雨が続くなら観光に切り替えようね……」。出るのは弱気な言葉ばかり。

中央道に入ってすぐ、朝食休憩。起き抜けにUがフルーツを振舞ってくれたのですが、それが呼び水になったのかすんごくおなかが空いていて、朝からラーメンを食べたのは私です。一応一番あっさりの和風ラーメンにしたんだけど、でもやっぱちょっともたれた……。時間帯のせいか天気のせいかこの日の中央道は空き空き。順調に距離を稼ぎ、八ヶ岳PAでもコーヒー休憩を入れました。

このときはまだ朝食がこなれていなかった私たち。が、ベーカリーに売っていた八ヶ岳パイシューがあまりに美味しそうで、1つだけ買って4人で分けて食べました。ウマウマ〜。この辺りでは雨はぽつりぽつりと思い出したように振る程度。さっきまでは雲に隠れていた八ヶ岳が、このPAからはとってもキレイに見えました。

カーナビ様の言うとおり諏訪南ICで中央道を降り、目的地として設定した尖石縄文考古館を通りすぎ(本当の目的地、桜平駐車場は林道終点にあるのでカーナビでは設定できず)、別荘地を走り抜けて、さあいよいよ未舗装道路へ。山道慣れしていないUが悲鳴をあげながらも頑張ってくれ、Uの車も初めて走る悪路にギブアップすることなく走ってくれ、途中で沢を渡ったりもして、やっと! 桜平駐車場に到着しました〜。

駐車場というか、道の脇のそこここにスペースが何個もあるって感じ。ゲートにほど近い空き場所を探して車を停め、雨具を着こんで準備をします。雨は降ったり止んだり。でもそう強くはありません。ここから夏沢鉱泉までは今まで走ってきた林道の延長みたいな道路です。夏沢鉱泉は宿泊客の送迎もやっているそうなので、車も通れる道なのですね。実際、お客さんを乗せた車何台かに追い抜かれました。

オーレン小屋へ

いきなり滝のお出迎え

オーレン小屋へオーレン小屋へ

苔苔の森を歩き、橋を渡り

オーレン小屋へ

雨を浴びてイキイキしてる

オーレン小屋へ

夏沢鉱泉直前の川。硫黄の匂いがするような?

夏沢鉱泉までCTでは30分。私らは45分かかりました。歩くペースもゆっくりだし、お喋りしたり写真を撮ったり休憩をちょこちょこ入れたりして、4人で歩くとたいていCTの1.5倍かかります。夏沢鉱泉では少し長めの休憩をとり、小屋番のお兄さんとお喋りしました。今日はオーレン小屋停滞かも、と言うと、「夏沢峠まで登ればいいよ。あの峠から見る硫黄岳が一番好き」と勧めてもらいます。

オーレン小屋へオーレン小屋へ

夏沢鉱泉を過ぎると道はちょっと狭くなります。
でもまだまだ歩きやすい、なだらかな道。

さてここからオーレン小屋まではCTで50分。夏沢鉱泉のお兄さんに「早けりゃ40分、ゆっくりで60分。それ以上かかったら、相当ゆっくりしたんだね〜って感じ」と言われていましたが、私らはもちろん1時間以上かかりました。道はよく整備されていて、広め。とても歩きやすかったです。途中でKがトリカブトを教えてくれました。ナゼ知っているのか、ちょっと怖い……。

オーレン小屋へ

水が流れる景色って、大好き

オーレン小屋へオーレン小屋へ

左:苔だらけの岩の間を水が走り、木々から植物がたれ下がる
/右:このときはまだ雲が高く、稜線が見えていました。

オーレン小屋へ

右下がトリカブト(覚えたぞー)

小屋に着く直前に、さーっと雨が降ってきました。今まではぱらぱら降ったり止んだりだったけど、これはちょっと本降りっぽい。ま、とりあえず小屋に入って昼食を食べましょう。宿帳に記入をし(1泊2食で\8,500)、部屋に案内してもらいます。「今日は朝からキャンセルの電話鳴りっぱなしだよ〜」だそうで、予約した時点では大部屋だったけど、個室に入れてもらえることになりました。やった!

オーレン小屋オーレン小屋

左:オーレン小屋に着いたどー/右:角部屋の個室

昼食はカレー(\800)をお願いしました。昼食ぺろっと美味しくいただきます。着いたときは小屋主さんも「雨は降っているけど山頂がきれいに見えるから、展望は悪くないはずだよ」とおっしゃっていましたが、食事をしている間に雲がずんずん降りてきて、さっきまで見えていた峰ノ松目も硫黄岳も隠れてしまいました。さて、どうする――?

≪つづく≫

2008.8.29(Fri)

仲間たちとの夏のお出かけ第2弾(第1弾は上高地)は八ヶ岳へ。頑張って歩くコースは皆に却下されるので、駐車場から1時間ちょっとのオーレン小屋を基点に、1日目は天狗岳へ、2日目は硫黄岳へ登る予定をたてました。私はテントを持っていって、皆は小屋に泊まってもらおう。名物の桜鍋の夕食だけは一緒に食べよう、と。

ところが小屋に問い合わせてみると「テント泊の人は夕食は食べられない」と答えが返ってきました。がーん。ヤマケイには「グループがテント泊と小屋泊に分かれた場合は、テント泊でも夕食が食べられる」と書いてあったのに!(そりゃちょっと前の記事だけど!)。友達と一緒に行って食事も別々というのはあまりにも悲しすぎるので、今回は私も小屋泊に変更。

と・こ・ろ・が。山行を予定していた週末の前の1週間の天気はヒドいものでした。雷雨、豪雨、雷雨。特に木曜日の夜は“記録的豪雨”とやらで、金曜の朝のニュースは各地の被害状況でもちきりです。金曜日の東京は青空さえ見えているおだやかな日中でしたが、こらヤバいんじゃないだろうか……。オーレン小屋に電話して登山道の様子を聞いてみるコトにしました。

「あ、大丈夫ですよ〜。こっちはそんなに降ってないです。登山道も問題ありません」。え? あら、意外。そういえば山梨や長野に警報は出ていなかったっけ。天気予報でも土曜は雨マークだけど、日曜はちょっとマシそうだ。土曜の天狗は諦めても、日曜の硫黄は登れるとイイな。つか、現地に行くまでのが問題かしら。避難勧告も出た八王子を、通るんだよねー。

とりあえず、行けるところまで行ってみるコトにしました。金曜日、会社から一度自宅に戻ってシャワーを浴び夕食を食べ、荷物を背負ってさあU宅へ―――行こうとしたときです。ぱらぱらと雨が屋根をたたく音がしました。あ、やっぱ降るんだ。夕方まで青空だったのにホント最近の天気は変わりやすいなあ……なーんてのん気に考えていると。

窓の外がぴかっと光り、ほぼ同時に地面が揺れたかと思うくらいの轟音が響きました。え? 雷? しかもいきなり真上に? 何の前触れもなく? なんて考えている間にも、ぴっどおおおおーーーんぴっどおおおおーんと光と音の連続が続きます。こ、怖い……。雷がとくに苦手ってワケじゃないですが、さすがにこれで外に出る気はしません。住宅街で歩いてて落雷に遭うってあんま聞いたコトないけど、でも怖いもん!

もう登山靴を履いてしまっていたので、しばらく玄関でうずくまっていると、10分もたたないうちに雷はだいぶ遠くなったようでした。が、雨が! バケツをひっくり返したようなというか、天の底が抜けたようなというか、とにかく激しい。これまた外に出る気がしないんですが、でもそろそろ出ないと―――と決意を固め、ほんの少し雨足がゆるんだかなーという気配に、外に飛び出します。そして駅まで走ります。……つ、疲れる……。

電車はちょっと遅れ気味であったものの、無事にU宅の最寄駅まで到着できました。が、電車の運行状況が表示されているモニタを見ると、私が使った路線の電車、私が降りたあとに落雷で止まっているではありませんか。どしゃ降りのなかに飛び出した行動はどうやら正解だったようです。こちらでも雨は降っていたものの、だいぶ小止みになっていました。

U宅にY、K、私の全員が集まり、翌日の予定をざっと決めたところで(「もう天狗は諦めようよ〜朝をSAで食べて〜昼を小屋で食べて〜(←食べ歩きかい!)後は天候次第かな〜」)就寝。外では空がぴかぴかと光り、そんなに近くはないですが雷鳴も聞こえ続けていました。ね、眠れないよぅ。

≪つづく≫

2008.8.27(Sat)

不思議なんだけど。自分がしないコトをして怪我をしたり命を落としたりした人に対して、厳しい人が多いと思う。海外で不慮の事故に巻き込まれれば「危機管理意識がない」と言われるし、山や海で事故を起こせば「自然の怖さを知らず無謀にも突っ込んだ」と言われる。でも自分も巻き込まれかねない街でだと、いきなり追求はゼロになるのね。ナゼ?

どんな事故に対しても、原因はちゃんと知らされるべきだと思う。海や山で無謀な人はそりゃいるし、海外での危険にあまりにも無知な人だっている。でも危険を知っていて自分のできる範囲でそれに備えていたって、事故に巻き込まれることはありうるし、危険を承知であえてそれに挑んだ人の考えも知らずに責める能力があるんだろうか、私たちには?

と。話がズレた。街での奇禍について話したいんだった。街はもちろん管理されているものだし、山や海と同じには語られないだろう。でも街でだって、人間の力じゃどうしようもないコトは起きる。街での事故はすぐに管理責任の話になってしまうし、その追求が必要な場合も多いとはわかっているけれども、でも個人の責任がなくなったワケじゃないでしょう?

私ももちろん含めてだけど。都市に住んでいる人間は危険を感知する能力が低すぎると思う。いつもは大丈夫な場所だって、状況によっては危険な場所になる。いつもは管理されているものが、管理の手を離れてしまう場合もある。「ここは危ないから行っちゃダメですよ〜」と人に言われなきゃならないの? 「あ、ヤバい」という判断くらいは自分でくだせるようでありたい。子供じゃないんだから。

2008.8.24(Sun)

妹の仕事関係のパーティーに行ってきました。たまたま暇だったのと、高いパーティーチケット代を祖母が出してくれるというので、初めて足を運んでみたのですが―――やっぱ、こそばゆい。だいたい妹が“先生”とか呼ばれている時点でもう、こそばゆい。

妹のいる業界にはホントに馴染みがないもんで、部外者ならではのお気楽目線で楽しませてもらいました。おー宝塚ー、とか、おーホストー、とか。舞台さえ与えられればいくつになっても女優になれる女性がいかに多いか、とか。まぁでも皆さん楽しげで、良かったです。コースのお料理もまあまあだったし。

しかして寒い。ずっと雨が降り続いています。心配になって田舎に電話したら案の定、「今年の米はダメだ」だそう。開花の時期にこれじゃあな。私が行ったときまでは元気だったのに。

2008.8.16(Sat)

この日は今回の帰省のメインイベントで、高校時代の友人2人に会ってきました。Uを街まで送って某ホテルへ。駐車場に車を入れるのにホテルの周りを3周もしたのは、まぁいつものご愛敬。今回会う2人はどちらもママなので、子供たち4人を含めての昼食会となりました。久しぶりに会うお子さんたちに、ちょっとドキドキ。

しかし4人ともいい子たちだよー。不器用なおばちゃん(←私)相手に臆することなく、きゅっと手をつないできてくれたのが嬉しかった〜。一人っ子の一番上のお姉ちゃんは他の3人を上手に遊ばせてあげているし、3人姉妹の上の2人は、前に会ったときに比べると私相手にははにかむようになっていて可愛いし、一番下はまだまだ遠慮なく甘えてくる。前に会ったときはまだ一番下が産まれてなかったよねー。

ホテルでのランチバイキングの後は図書館に行って公園に行って。今にも降り出しそうな空だったけど、お別れするまでなんとかもってくれました。広〜い公園で子供たちは元気に駆け回り、遊び甲斐もありそうで、晴れてさえいれば最初っからここにビニールシート広げてピクニックランチってのも良かったかもーと思わせられます。台風め!

おチビちゃんが水場にばしゃんと入ってしまい、大人3人が「あ〜ああ」と声を揃えたのにビックリしたのか、しゃん!と立ち上がってぴっ!とポーズをとり「大丈夫!」と言ったのがこの日一番のヒット。タイミングといいポーズといい口調といいおかしくておかしくて、大爆笑してしまいました。

なかなか別れがたく(たぶん子供たち同士も)、「帰ろう」と言い出してから実際に車に乗るまでにも相当な時間がありましたが、おかげで久々のお喋りを楽しめました。数年先にやってくる某区切りの温泉旅行は、ぜひ実現させたいね。そのときは万障繰り合わせて、全員参加で。

帰り道の運転はまたハラハラものでしたが、何とか無事に戻ったので割愛。

2008.8.15(Fri)

短い夏休みで、東北の田舎に帰っていました。今回はUが一緒です。14日の木曜日に、事故渋滞が3件もあって1時間半も遅れた高速バスで東北入りし、家に着いた途端に雨が降り出します。ま、その日は風呂に入って刺身を山盛り食べて、まったり。夜更かしもせずにさっさと寝ました。

さて金曜日。Uは16日にもう帰ってしまうので、遊べるのはこの日だけです。前日になって天気予報が変わり、どうにか1日は持ちそうだったので、近くの渓谷へ。途中で引き返してしまった前回のリベンジです。今回は「渓谷の名前でググればいろいろ出てくるから予習しておいて〜」とUにお願いし、自分でもググってみたところ、「ハイキング気分で行くようなところじゃない」とか「ちゃんとした装備が必要」とかいう記事が次々出てきます。おや〜〜〜?

というワケで、Uはきっちりした登山靴、私はスニーカーで渓谷へと踏み込みました。ちらちらと木漏れ日があって最初のうちは気持ちよかったのですが、最初の滝を過ぎ(滝の脇の梯子を攀じ登っ)た辺りから、蒸し蒸しと暑くなってきます。道も細〜くなったり急登になったり、たまには岩をへつらなきゃいけなかったり。鎖がついているのでそう怖くはないのですけど、調子に乗ったら確かに怪我をしそうです。

東北の某渓谷東北の某渓谷

最初のうちは平和な風景です。

東北の某渓谷

木漏れ日と苔が美しい、私の好きな光景

東北の某渓谷東北の某渓谷

左:「廻り淵」。ここまでは鮭・鱒・ヤマメ等がのぼって来るとあります。ヤマメはともかく、鮭や鱒?/右:そのすぐ上。この辺りから、大小の落差を水が落ちる風景が続きます。

東北の某渓谷(←苔むした東屋。こんなのがあるのは最初のうちのココだけです。)この渓谷、一般的なコースで歩くと1周4時間、かかります。沢に沿って歩くのが3時間、その後の山歩きに1時間という感じ。最初は「ま、無理だと思ったら引き返そうよ」と言っていたのですが、途中から「今まで来た道を戻るなら先に進んだほうがいい」という心境になってきます。お盆休みなので、ときおり他の人に追い抜かれていたのですが、沢歩きの半ばを過ぎた頃に会ったカップルはスゴかった。

東北の某渓谷東北の某渓谷

「トッカケ滝」。トッカケは方言で「最初の場所、初めてのコト」だそうです。この滝から梯子や鎖が出てきます。

東北の某渓谷東北の某渓谷

左:こんな梯子が次から次へと出てきます。/右:「鷹の見降し」

東北の某渓谷東北の某渓谷

左:名もなき滝?/右:この滝の落ちる先が「釜ん淵」(だったかな?)

東北の某渓谷東北の某渓谷

倒木の下をくぐり、橋を渡り

東北の某渓谷

こうゆう、のんびりした場所もあります

東北の某渓谷東北の某渓谷

片鞍滝

東北の某渓谷東北の某渓谷

左:途中から丸太の橋に。ちょと怖い/
右:ウォータースライダーになりそうな「龍門滝」

「あの〜、地図あったら、見せてもらえますか? このまま進んだら駐車場に戻れるんですよね?」と声をかけてきたのは、女性のほうでした。足もとを見ると街歩き用の小洒落たサンダルの、底から半分くらいまで色が変わっています。地図を見せて「もう半分過ぎているから、戻るより進んだほうがいいかも」と話していると、彼氏が追いついてきました。彼氏の足もとは、なんとシャワーサンダル。そ、それはさすがに……。

東北の某渓谷東北の某渓谷

滑りやすい一枚岩を鎖を使ってよじ登り、
滝の上部の急流脇を鎖を頼りに歩き

東北の某渓谷

龍の寝床

東北の某渓谷東北の某渓谷

左:……だ、そうです/右:「龍の寝床」を上部から

彼氏の足もとを見て固まってしまった私たちに気付き、彼は照れくさそうに言いました。「軽い気持ちでうっかり踏み込んじゃったんですよねー」。「―――そのサンダルじゃ、大変ですね……」「はあ。僕の人生、間違いばっかりです」。ま、彼らはその装備でもしゃきしゃき進んで行きましたし、その後の道でも会わなかったので、たぶん無事に戻れたんでしょう。

東北の某渓谷東北の某渓谷

左:心字の滝/右:鹿の子滝

東北の某渓谷

奥に小さな滝が二つあるので「三連の滝」。ただし読み方は「みれんのたき」。ここで渓谷歩きがお終いで未練が残るから、だそう。

ホトトギス道が沢から離れる辺りで、雨が降ってきてしまいました。えーっ今日は1日もつって予報だったのに。仕方なく道沿いの木の下で雨宿りをしながら、持ってきたお握りやゆで卵をパクつきました。後から考えると、陣取った場所が場所だったんで、後続の人が来なくて良かったです。最後の滝に目をやってさあ山だ、と方向を変えた途端に目に入る、暗い木陰に蹲る女2人―――。ぎょっとされたに決まってます。

タチギボウシ?さあ後は山歩きだけ。私らの歩いた「ゆっくりコース」は、そんなに歩きにくい道ではありません。雨も途中で止んでくれて、雨具も出さずに済みました。けど「ここから30分」の標識が出てからがけっこう長い! そりゃ私たちのペースはかなり遅いですけど、でもあそこから30分はかなりの健脚だと思いますよ。途中でまた別のカップルに出会いましたが、へとへとの彼女を彼氏がなだめすかして歩かせていて大変そうでした。

お昼はゆっくり落ち着いて、という雰囲気ではなかったので、渓谷を抜け出してから場所を見つけて、コーヒータイム。お疲れさまのコーヒー前日の雨で水がちょっと濁ってしまっていたのが残念でしたが、無事のリベンジ成功に乾杯しました。岩場が苦手なUも渓谷の最後のほうではだいぶ落ちついてきて、やっぱ慣れなんだと分かったし。

後は練習あるのみなんだけど……その練習の機会を持つのが、なかなか難しいのですよね。

2008.8.9(Sat)

Yと一緒に伊豆へ行ってきました。花火が見たいというYの希望で決めた日付でしたが、調べてみるとこの日の花火は祭りの前夜祭で10分だけ。イベントごとを愛しているYは、じゃあ次の日も潜って祭り本番の花火を見て帰る!と即断しましたが、このところ毎週末出歩いて部屋がカオスとなっている私は10分間の花火を楽しみ、日帰りすることにいたしました。

ちょっと雲が多く蒸し暑い、伊豆のいつもの駅に降り立ち、迎えのTさんの車に乗り込んだのはYと私の2人だけ―――。え? 8月なのに? いやいやちゃんと他のお客さんもいました。賑やかな常連のK原さんと、男性の2人組が店に先に着いていて、その他にも3人が車で向かっているところ(渋滞で遅れたらしい)だそうです。男性2人組が富戸でやっているサンセットダイブを希望していたので、私たちも便乗するコトにしました。

Tさんは店で遅れてくる方たちを待っていなくてはならないので、残りの面子が先に富戸へ向かいます。さすが夏休みで、富戸にも家族連れがたくさん来ていました。テントとチェアを広げお酒を飲んだり本を読んだりしている彼らと、ウェットスーツに身を固め重たい器材を背負ってがつがつ海に入っていく私たちの間には、深くて暗い河があるようなないような。

まず1本目は、ソフトコーラルの浅瀬を越えて先に行くいつものコース。浅場ではあまり遊ぶな、と言われたのですが、体長1cmちょいくらいのカワハギの子供が可愛くて可愛くて、つい写真を撮ろうと夢中になってしまいます。1度、他のグループに巻き込まれて仲間を見失ってしまったのですが、それっぽい方にちょっと泳いで行くとYが心配そうに待っていてくれました。ごめん!(でも水中でYが私をちゃんと見ていてくれるのって珍しい……。バディなのに)。

前回の川奈に引き続き、この日の水温も高いです。でも透明度は段違い。浅瀬はそれほど良くありませんが水が青くて明るいし、深場に行くとちょっと水が冷たくなって(それでも23℃あるんです)視界が広がります。こりゃ15mくらいはあるんじゃないかしら。Sさんが教えてくれたナヌカザメの卵の中では、小さなサメが元気に動いているのが見えました。ハッチアウトの瞬間、見てみたい〜!

浅瀬に戻ったときは、見たことないくらい大きなタカノハダイを見かけました。後でSさんが「タカノハダイは死ぬまで大きくなるから、運良く生き残れた個体なら大きいのがいてもおかしくない」と言っていたけど、ホントかしら?(←ときどき騙される)。こないだTVでやってた『アナコンダ』でもアナコンダについて同じような説明をしてたけど―――。

1本目と2本目の間にのんびりお昼休憩です。遅れて入ったTさんは上がってきて一緒にお昼を食べましたが、Tさんが連れて潜った3人組はいずこ? 温泉丸で長湯しているのかしら?(この暑いのに?)。不思議なことに、この日、この3人とは結局ちゃんと顔を合わせないままに終わってしまいました。

2本目は砂地のほうに潜ります。残念ながら、透明度はすとんと落ちてしまっていました。1本目よりも体が冷えているので、さっきより寒くも感じます。目玉は小さい小さいネジリンボウでしょうか。最初何を見ているのかさえよく分からず、見えても写真を撮れる気はしませんでした。引っ込めてしまうのが怖くて寄れないし〜。あとはアオリイカの子供たちかな。

さてこの日、富戸は特別に最終エキジットが18時まで延長されています。17時エントリー目標だったので、横になっているうちにうとうとしてしまい、目が覚めたら体がちょっと冷えていました。(3本目を潜らないTさん、3人組、K原さんも消えていました)。3本目に備えて温泉丸に浸かって体を温め、ウェットを着てエントリー口に向かいます。

エントリーは予定より早い16:40。でもなー。サンセットダイブっていっても暗いワケじゃないし、2本目とそうたいして違わないのじゃなかろうか? という私の予想は見事に覆されました。明るさは確かにそんなに変わらないのに、何が違うのでしょう。魚たちの活動がずっと活発で面白い! あんまり1匹の魚をずーっと見ているコトなんてないけど、これもまた楽しいもんですね。

「日暮れ時はヤマドリの求愛行動がさかんだから、それを見ましょう。まずはヤマドリを探してください」とSさんに言われ、エントリー早々にSさんが見つけたヤマドリに張りつきます。が、このオスはあっちこっち相手を探してうろちょろするものの、残念ながら近くにメスがいそうな様子がありません。がんばれよ〜と声援を送り、私たちは別の個体を探しに離れました。

途中でオハグロベラのペアも見ます。どうやらこのペアは産卵の真っ最中みたい。オスとメスが絡み合いながら上昇していって、すーっと戻る行動を繰り返していました。卵は見えなかったけど、上手く産めたのかな? 砂地ではハナアナゴ、ハリセンボン、お久しぶりのゴンズイ玉なんかもいました。

そろそろ戻るかなーって頃に、2匹目のヤマドリ発見!(Sさんが)。おまけに近くにはメスもいます。これは求愛活動を見られるかなーと期待して輪になって観察する私たち。見回すとあちらこちらでダイバーの輪ができあがっています。中にはそれぞれのヤマドリペアがいるのでしょう。デバガメの集団だ……と思うと、ちょっとおかしくなりました。

さて我らがヤマドリペアはどうなったか。オスはメスにゆっくりゆっくり近づいていきます。そしてメスの前で背鰭を広げ、どうだっ!とアピール……した瞬間でした。メスがぷいっと顔を背けて去っていってしまったのは。彼の背鰭の何が気に入らなかったのかはわかりませんが、どうやら彼はフラれてしまったようです。あらら〜可哀想に〜(←棒読み)。

これを最期に海から上がります。出て時計を見ると―――18時! ギリギリじゃん! なんと74分も潜っていました。あんまり深場には行かなかったし、直前に温泉丸に入ったおかげでちっとも寒さを感じずに潜れましたよ。うふふー。器材を洗うのもシャワーも、昼間より空いていて快適です。この日は外に食べに行く時間がないので、コンビニでご飯を買ってショップに帰りました。

器材を干したりご飯を食べたりログをつけたりしているうちに、ドーンと音がして花火が始まりました。慌てて外に出て、湾の向こうにあがる花火を眺めます。10分間だけだけど、風も雲もなくキレイに見えて、なかなか楽しめました。たまにはこうしてゆっくりショップに留まるのも、いいな。

自宅には、終電で帰宅。

2008.8.7(Thu)

泉康子『いまだ下山せず!』読了。山岳遭難のドキュメンタリーで、著者は遭難者が所属する山岳会の創立メンバーで、捜索隊の中心(主にサポート)にいた方です。プロではないのに文章を書かれるのがとても上手い方で、下手な山岳小説よりよっぽど臨場感に溢れ、読み始めたら途中でやめられませんでした。

まず凄いな、と思うのがその組織力。その山岳会では初めての(ですよね?)遭難事故であるにもかかわらず、捜索隊を組織し、情報を収集し、各方面に連絡をとって……と、最初っからフル回転でするべきコトをなさっています。捜索に協力する方たちの力の入れようも、また凄い。自分の生活を犠牲にし、自らの命を懸けてまで遭難者たちを見つけようとする人が次から次へと……。

そして捜索のために山に入った彼らが抱く想い―――。「捜索なのに、山に入っただけでワクワクした」。「遭難の事実を忘れるくらい、山がキレイだだった」。この想いが、なんだかとてもリアルに感じました(『岳』で同じようなエピソード読んだときは、ちょっとピンと来なかったのに)。

遭難にはちょっと個人的な思い入れもあるのですが、この本はいいです。本当にいい。ありがとう、と思いました。

2008.8.3(Sun)_3

山の荷物をざっと片付けた後は、動く気力が湧かなかったので、録っておいた『海猿』をだらだらと見ました。やっぱ2より最初のが面白いなー。ま、感想は最初見たときとほぼ同じ。前の日記には「残圧30で戻れないか?」とかムチャなコトを書いていますけど、無理、ですよね……。でも教官たちが救助より水面休息を優先するのは、どうしても解せないなあ。

そう言えばこの“残圧30”の問題の答えが出ないコトに、伊豆のダイビングショップオーナーSさんが文句つけてたのを思い出しました。「でもあれって正解のない問いなんじゃないんですか?」と言ったら、「えっそうなの? オレ一生懸命考えちゃったよー」と拍子抜けな顔をしていたっけ。ちなみに彼の答えは「1人がレギュで呼吸し、その人の吐いた息をもう1人が吸う」でした。……そんな羽目には陥りたくない……。

あと今回やたら気になったのが、研修生たちの軽器材。特にフィンはもろファンダイバー仕様で笑っちゃいました。仙崎のフィンなんか、私が一番最初に買ったフィンよ? 根性なしダイバーの私でさえ買い換えた柔らかフィンよ? 三島と仙崎がヘリの中でがっしと手を握り合う感動シーンでは「そのグローブ……うぷぷ」。

バンドウ教官の「……はい」のシーン、やっぱ好き。巻き戻し巻き戻しで3回も見ちゃいました。ほんの一瞬の、そのシーンだけを。

2008.8.3(Sun)_2

≪つづき≫

尾瀬

(たぶん)日光方面、再び。空に飛んでいるのはアキアカネ。

混みっ混みでしたが、そんなものは気になりません。だって、だって360度の大展望が! ちょうど団体さんが腰をあげたところだったので、空いたスペースにザックを置き、カメラを持って四方を撮ります。山座同定盤(ちょっと方角がズレてる)で確認すると、雲海のうえに浮かぶ島はいずれも名のある山ばかり。燧ヶ岳、日光白根山、男体山、谷川岳、平ヶ岳、会津駒ヶ岳、……うわ〜うわ〜うわ〜。

尾瀬登頂写真を撮るのも順番待ち。私も何人かを撮ってあげて、撮ってもらいます(←めっちゃ嬉しそうな顔して写ってます)。

ちょっと興奮がおさまったところで、お八つタイム。他の方の山行記録を真似して持ってきたみかんゼリーがやったらめったら、美味しい! 山には重いんじゃないかとか思ってゴメンなさい! こりゃ暑い時期は絶対毎回持ってこよう!と決心させるくらいの美味しさでした。私が山頂に着いたころから風が止み、気持ちよくて、塩せんべいを齧りながら景色に見惚れます。

尾瀬

うひー絵になるー(カッコつけてるモデルまで!)

「あっ尾瀬ヶ原が見える!」という声に見下ろすと、いつの間にか雲が切れ、燧ヶ岳と尾瀬ヶ原が一望できるようになっていました。やった〜〜! 山頂はずっと晴れていましたが、足もとの雲の動きは早く、周囲の山の表情はどんどん変わっていきます。遠〜くにうっすら富士山が見えたときもありました。見ていて飽きなくて、ずっーと山頂にいたいくらいでしたが、そうゆうワケにもいきません。

尾瀬

燧ヶ岳と尾瀬ヶ原

団体さんがそろそろ出発しそうだったので、巻き込まれないように先に下るコトにしました。まずは小至仏山に向けて出発……したのですが、また足が進みません。だって景色が良すぎて―――。遠くの山々の稜線も素晴らしいのですが、至仏山そのものもまた美しいのです。山肌の緑と、蛇紋岩のコントラストがたまりません。また、「日本じゃないみたい……」と思ってしまいます。違う、違うの! 日本には私の知らないいろんな景色があるってコトなの! ああ日本って素晴らしい……!(←ハイ状態。)

尾瀬

左が小至仏山へと続く道。右側は笠ヶ岳かな?

尾瀬

この辺では、スイスを思い出しました。ハイジな感じ。ホントに楽しくって嬉しくって「これこれ〜! 私が山に求めてるのはこれなのよ〜」って感じで、もうニッタニッタしながら歩いてしまいます。1人なのに……。ツアーで来る方は鳩待峠からの往復が多いらしく、山頂から急にすれ違う人が多くなりましたが、そんなもんでは私のハイに水を差すことは出来ません。

尾瀬

小至仏山からも尾瀬ヶ原がよく見えます。

尾瀬

山々から、雲がすっかり取れました。

尾瀬

雲があるのもまたイイのですけどね〜♪

小至仏山を通りすぎ、ここからはひたすら下ります。森林限界に辿りつくまでは景色が素晴らしく、疲れもまったく感じませんでした。森林限界の辺りだったかな? 小さな湿原があったのは。ここで湿原は見納めです。樹林帯に入ってからは―――現金なものですね。急に疲れてきました。途中、そんなに長くはないですが、道が抉れてしまっている箇所もあります。だいぶおなかも空いてきました。

尾瀬

ひたすら木道を下ります。

尾瀬尾瀬

左:そろそろ樹木が見えてくる頃…/右:最後の
湿原がありました。(オヤマ沢田代?)

尾瀬

さよなら、湿原。また逢う日まで。

尾瀬

山道で出会った花々XI (左:タテヤマリンドウ、中:モミジカラマツ、右:ヒオウギアヤメ、かな〜?)

で、途中写真はアヤメを1枚撮っただけで、鳩待峠に到着〜。舞茸定食(\980)をパクつき(お汁は山から下りてきた人間にとっても塩分キツすぎ。でもご飯はとても美味しかったです)、乗合タクシーで尾瀬戸倉まで移動します。発車時刻は一応決まってはいるのですが、人数が集まれば時刻前でも出発してくれます。料金は大人1人900円。

ネットで調べた温泉センターに行くつもりだったのですが、運転手さんが「昔はあったけど今は営業していない」と言うので、運転手さんオススメのかもしか村ってトコロに連れて行ってもらいました。シャンプーやリンスも置いていない素朴な温泉で、入浴料は500円。私が入ったときは誰もいなくて「やった貸切だー、そんな大きくないけど1人じゃ全然問題ナシ!」でしたが、途中でどやどやと16人の団体さんが―――! あのお風呂、一度に入れるのはせいぜい10人までだと思います。

尾瀬尾瀬

左:鳩待峠の舞茸定食/右:かもしか村のビール

温泉後はやっぱりビールでしょう。かもしか村の入口の蕎麦屋さんに「ビールだけでもいいですか…?」とお伺いをたて、ナゼか「ビールだけならOKです!」と席に案内してもらいました。窓から入ってくる風が気持ちよくて、の〜んびりと冷たいビールを楽しみました。付け合せのニンニクも美味し〜。これからバスに乗るんだけどな、と思いつつもばくばく食べてしまいます。

さあ、あとは帰るだけ。尾瀬戸倉15:10のバスで、新宿到着は20:30。途中渋滞でピクとも動かなくなったりして「今日中に帰れなかったらどうしよう……」と不安になりましたが、到着予定より30分遅れただけだったので、最初からかなりの渋滞を見込んでスケジュールを立てているのでしょう。21:30前には自宅に辿りつけ、今回の大満足の山行は終わったのでした。

ああ、楽しかった……。

■山ノ鼻(6:05)→至仏山(8:47-9:22)→小至仏山(10:00)→笠ヶ岳分岐(10:25)→鳩待峠(11:30)

2008.8.3(Sun)_1

≪つづき≫

………ぐぅ。……いつの間にか、寝入っていたようです。この夜はいつになく、よく眠れました。今までテント泊のときは夜中に必ず何度か目を覚ましたものですが、この夜は1回肩が寒くて起きてしまっただけで、そのときもシェラフを首まで引っぱりあげた途端に意識をなくし、次に目を開けたのは周囲がざわざわしだしてからでした。

まだ薄暗かったので(ああまた早いパーティーがいるんだなー。3時頃かな?)と時計を見ると、なんと4時10分! え? 4時にかけたアラームはどうなったの?(時計をはめた腕をシェラフに突っ込んでちゃ聞こえませんって)。慌てて跳ね起きます。テントで寝過ごすなんて、初めてです。ああ、4時起きの人たちが多くて助かった〜。

朝ご飯身支度をし、朝食。メニューは生野菜(キュウリ&ミニトマト)とパスタスープ、野菜ジュース&コーヒー。散らかし放題だった荷物をパッキングしなおし、起床から2時間後(もう少し迅速に行動できるようになりたいな〜)、お世話になった山ノ鼻に別れを告げて出発です。

尾瀬

朝日を浴びる至仏山。よ〜し、行くぞ〜。

登山口から薄暗い樹林帯に突入してしばらく歩いた頃、後ろからザッザッと重たい足音が聞こえてきました。軍隊の幽霊……ではなくて、隣のテントだった学生さんたちです。どう見ても向こうの方が早いので、とっとと抜かしてもらいました。抜かれるときに数えたら、13人+引率の先生?4人。彼らは長めの休憩を何度かとっていたので、この後何度か抜きつ抜かれつをするのですが、後ろから追いかけてくるこの足音はちょっと怖かったです。

尾瀬尾瀬

左:登り始めはこんな感じ/右:30分も登ると
そろそろ展望が開けそう(でもその先はガスってる感じー!)

山ノ鼻の標高は1,400mでしたが、そこから200mちょっと登ったところに「森林限界」の標識がありました。至仏山は蛇紋岩でできているため植物が生育しづらく、森林限界が他の山に比べて低いそうです。標識を越えてしばらくすると、目の前が開けてきます。ここまでで尾瀬の感想を聞かれれば「良かったよ〜」となったでしょうが、その感想が「素晴らしかった!」に変わったのは、実はここから先があったからでした。

尾瀬

山道で出会った花々VII
(左:花?葉っぱ?/中:クルマユリ/右:何の蕾だろう?)

振り向くと、尾瀬ヶ原が眼下に広がっています。ホントならその向こうに燧ヶ岳が見えるハズなんですが、残念! ガスっていてうっすらとも見えません。見上げると山頂のほうも雲がかかったり取れたりしています。こりゃ尾瀬ヶ原もいつ見えなくなるかわからないなーと、振り返り振り返り登ります。高度を上げるにしたがって、尾瀬ヶ原がどんどん広〜く見えてきました。

尾瀬尾瀬

肉眼だともうちょっと見えたのですけど。
ガスっていても燧ヶ岳が見えなくても、ステキな風景でした。

そうそう、前夜のスライドショーのあとに、ビジターセンターの人が日曜の天気予報は「晴のち曇」に変わったと教えてくれていました。ふっふっふ、日ごろの行いがイイからね(←木曜に天気予報が悪くなったときは「誰か雨男か雨女が尾瀬にくるのか?」と思った。悪いときは人のせい。良くなったら自分のおかげ。こうゆうのをポジティブシンキングと言います(?))。

森林限界を超えてから、滑りやすいという蛇紋岩が多くなってきます。樹林帯では活躍してくれたストックも徐々に邪魔になってきたので、途中でザックに収納。ときどき手も使って登ります。階段もあったりするのですが、ぽんぽんと登れる階段はいいとして、少し傾いた階段はちょっと怖いです。大きなザックを背負っているからバランス崩したら転がり落ちそうで、ゆっくり慎重に踏みしめて登りました。

尾瀬尾瀬

左:滑りやすい蛇紋岩。ここには鎖もかかっていました/
右:この頃が一番ガスっていたかなー。でも、写真では分かりづらいけれど手前の緑の中に花がたくさん咲いているのです。

尾瀬

ほらね? 山道で出会った花々VIII (中はツリガネニンジンか?)

でも! この辺りの花畑が嬉しくて嬉しくて。山道を登ったところに広がるお花畑って、憧れだったのです。ニッコウキスゲも尾瀬ヶ原より元気な気がするし、下では見られなかった花もいっぱい。とちゅうで霧がすーっと下りてきて、せっかく見えていた尾瀬ヶ原も山頂も見えなくなってしまいましたが、山肌の緑と花を見ているだけでじゅうぶん楽しい。花を撮ってカメラをしまって少し進んではまたカメラを出して―――。あ〜ん、進みません〜。

尾瀬尾瀬

左:立派な階段。こっち方面には青空も/
右:こっちはまだ雲がかかってます。蛇紋岩がご〜ろごろ。

尾瀬

山道で出会った花々IX (左はハナニガナ、右はホソバコゴメグサ)

尾瀬

山道で出会った花々X (中はタカネナデシコ)

そんな風にしばらく登り、ふと振りかえると! 雲のうえにぽっこり顔を出している山が―――。あれは、もしかして、燧ヶ岳のてっぺん? うわ〜なんだかかっちょいい〜。周りでも「今のうちに撮っとけ撮っとけ」とカメラを構えています。ほかの、名前のわからない山の稜線も頭を覗かせていて、これまたかっちょいい。雲の下では尾瀬ヶ原、雲の上では燧ヶ岳。両方をいっぺんに見ることはできなかったけど、これはこれで嬉しいなあ〜とほっくほく。

尾瀬尾瀬

左:山頂には青空が/右:振り返ると――なんか見えますよ?

尾瀬

ズームっ! 燧ヶ岳の頭です。

尾瀬

うお〜こっちもかっちょいいぞー(たぶん日光方面)

雲のうえに出ると、頭上にはキレイな青空が広がっていました。風がちょっと強く、歩いているときはイイけど休憩時は寒いかな? 左手のぽこがきっと小至仏だなーと眺めつつ歩いていると、行く先から賑やかな話し声が―――。山頂? そう、ぽっこり山頂へ出ました。山頂は、混みっ混みでした。

≪つづく≫

2008.8.2(Sat)_3

≪つづき≫

まずは至仏山荘で受付をして(1人1泊\800)、教えてもらった場所にテントを張ります。通り道から丸見えなので、観光客の皆さまがもの珍しそうに覗き込んでゆきます。けっこう早い時間に着いたと思ったのに、すでに先客が5張くらいありました。水場がすぐ近くなので水を汲みに行く必要もなく、テントの中に荷物を放り込んで、周囲をぷらぷら散歩しに出かけます。

尾瀬尾瀬

左:テント設営。ちょっとは慣れてきたかしら/
右:この時点ではこんな感じ。奥の小屋は火気厳禁の無料休憩所

尾瀬尾瀬

左:たっぷり水の出る炊事場。調理台もありましたが、1グループずつしか使えない広さです。/右:テントの申込みをした至仏山荘

まずは1周30分の植物見本園をぷ〜らぷら。特に植物の種類が多いってワケでもなさそうですが、とりあえず人がいなくてのーんびりできます。くるっと1周して(後半は笹薮がちょと……)至仏山荘の売店を冷やかして、さあそろそろビールかな。まだ15時前だし暑いしよく頑張って歩いたし、今日はロング缶にしちゃいましょう。人の少ない植物見本園入口のベンチに座って、至仏山に向かって乾杯〜。

尾瀬

まったりできる、植物見本園

尾瀬

出会った花々VI(右はミズチドリ?)

尾瀬尾瀬

乾〜杯〜

こーんな景色を見ながら飲んでるんですもん。気持ちよくないワケがありません。ああ〜とベンチにごろんと横になって、気付くとちょっと時間が飛んでいました。ヤバ! こんなトコで寝たら日焼けはするわ虫に食われるわだいたい脇を通る人がビックリする!―――というワケでテントに戻って寝なおします。疲れていたのかエアマットも敷かずに爆睡でした。

尾瀬1時間ほどして目覚めると16:30になっていました。そろそろ晩御飯の支度にかかろうかなー。外に出ると、おっとビックリ。さっき散歩から帰ってきたときもテントが増えていましたが、またさらに増殖しております(写真は散歩から帰ってきた時。寝る前までに手前の空きスペースにさらに3張のテントが張られました)。うわーこんなに混み混みのテント場、初めてだ。隣に赤い大きなテントが4張くらいあって、これは中学生?高校生?の団体のようです。やーん君たち、夜、ウルサくしないよね?

時間はあるのでだらだら準備をします。まず米を水に浸して、その間におつまみ作成。いんげんとチーかまのホイル蒸し。……チーかまのチーズの部分って、こんなに少なかったのね……。イメージだともう少しとろっとするハズだったんだけど。今度は普通にチーズでやろう。んで出来上がったそれをつまみながら、ご飯を炊きます。今回はちゃんと量を考えたけど、水加減に失敗。ゆるいご飯になってしまいました。

尾瀬尾瀬

今日の晩ご飯

今夜のメニューは麻婆丼(レトルト)。あと春雨入り酸辣湯。雲取山のときのように大量のブヨはいませんが、もっと小さな黒い虫が顔の周りを飛び回ります。この虫、小さいくせに咬まれると痛い! 虫除けも効かず。料理ができあがったところで早々にテントの中に退散しました。

食後のコーヒーのあとワインに切りかえのんびりしていたら、なにやら外がざわざわしています。なんだろ?と耳をすましてみると、どうやら19時からビジターセンターでスライドショーの上映会をしてくれるみたい。せっかくなので見に行くコトにしました。職員の方による、尾瀬の説明です。尾瀬の広さや四季や植物や動物や……。お喋りはそんなに上手じゃありませんでしたが、けっこう面白かったです。

スライドショーが40分くらいだったので、テントに戻ったのは20時ちょい前でした。外はもう真っ暗。テント場もほぼ寝静まっています。あちこちから鼾も聞こえますが、ウルサくて眠れないほどじゃありません。私はしばらく残りのワインを飲んだり本を読んだりしていましたが、20時半くらいには寝る態勢に入りました。心配していた隣の学生くんたちのテントもし〜んと静まり返っています。えらいえらい。

―――と思ったら! 違う側の隣のテントのおじさんたちがウルサい! ぺちゃぺちゃ喋っていて会話がなくなったのでやれやれと思ったら、しばしの沈黙のあと今度は1人がさっきのスライドショーの説明を始めました。気になるなら全員で見に行けばよかったのに! しかもその説明が間違っているのです。

「オコジョってのがいてよーリスの仲間なんだってさ。自分より大きなウサギを襲ったりもするんだって……」(違う、リスの仲間って言ってたのはヤマネ! オコジョはイタチ科! リスがウサギを襲うかよ!)。内心ツッコミを入れまくりで眠るどころじゃありません。そのうち彼らは眠れない眠れないとボヤき始めました。眠れないのはこっちだっつーの!

≪つづく≫

2008.8.2(Sat)_2

≪つづき≫

沼尻から見晴に向けて歩き出します。ちょっと歩くと湿原があって「いよいよ尾瀬らしい尾瀬か」と心も弾みますが(しかも人がいなくて独り占め気分)、またすぐに森に入ります。ここから見晴まで、かなりしっかり“山道”。展望も全然ありません。

尾瀬尾瀬

左が来た方。右が行く方。白砂田代の湿原を独り占め。

ギンリョウソウ山道で撮った写真はギンリョウソウのこの1枚だけ。態度が露骨です。かなり疲れた頃、見晴に到着。立ち並ぶ小屋の中から、無料休憩場のある原の小屋に入りました。尾瀬はあちこちに休憩できるポイントがあるのがイイですね。冷たいお蕎麦でも食べたかったけど、メニューにないので「山の幸ソバ」(\800)を頼みます。ふつーの山菜ソバです。でも薬味の紫蘇の実は美味しかったです。

尾瀬尾瀬

無料休憩所の外観と内観

尾瀬尾瀬

メニュいろいろ。“檜枝岐村郷土料理ばんでいもち”が
ちょっと気になりました。次の機会にはきっと!

さてここからがホントの“尾瀬らしい尾瀬”。日差しを遮るものはなくて一気に暑くなりましたが、でも開けた場所を歩くのはいいですね。歩いていく先には至仏山(……あれ、登るの? ホントに?)。振り向けば燧ガ岳。池塘に周りの山や青空が映り込みます。花もたくさん。ぎゃーー気持ちイイ〜〜(でも荷物が重い〜)!! 自分の生活圏内にない風景を見ただけで「日本じゃないみたい」と言ってしまうのはなんだかなーとは思うんですが、でもこの辺りの風景はNZのトレッキングルートを彷彿とさせました。

尾瀬尾瀬

小屋の建ちならぶ見晴を出ると、いきなりこの景色。
道の先に見えるのが至仏山です。

尾瀬

ずずんとズーム。あの…正面にまっすぐ白く見えるのが(分かります?)登山道でしょうか? 思いっきり直登なんですけどー!

尾瀬尾瀬

左:わお、池塘だー/右:何度も振り返る燧ガ岳

尾瀬

山道で出会った花々IV(左から:クルマユリ
→ニッコウキスゲ→ミヤマワレモコウ、で合ってるかな?)

尾瀬尾瀬

左:途中で歩荷さんにも出会います。すごい……/
右:休憩のための広いスペースがあるのも嬉しいところ。

風景のおかげで、肩に食い込む重荷の辛さよりも歩く楽しさのほうが勝っていたのですが、牛首分岐の辺りで耐え切れず、ザックを下して一休み。この辺りに来ると観光客もずいぶん多くなっていて、空いている休憩スペースを探さなくてはなりません。ザックの上蓋に入れておいた、尾瀬沼休憩所でもらったお菓子が煮えていたので慌てて食べてしまいました。

尾瀬

いかにも尾瀬なこの景色♪

尾瀬

山道で出会った花々V(中はサワギキョウ、右はヒツジグサ)

尾瀬尾瀬

左:地塘が珍しく嬉しくて/右:明日登る至仏山をバックに

尾瀬

地塘に山が映る空が映る雲が映る

休憩後にもうひと歩きして、宿泊地、山ノ鼻につきました。

■大清水(5:21)→一ノ瀬(6:14-6:23)→三平峠(7:36)→尾瀬沼休憩所(7:52-8:17)→南岸分岐(8:37)→沼尻(9:12-9:23)→見晴(10:42-11:25)→竜宮十字路(11:25)→牛首分岐(12:26-12:36)→山ノ鼻(13:05)

≪つづく≫

2008.8.2(Sat)_1

≪つづき≫

時間調整のため、尾瀬戸倉ではしばらく停車します。注文していた人に朝食のお弁当を配ったり、帰りのバスの説明をしたり。「最近、尾瀬で事故がたて続けに起こっているので気をつけろ」という注意もありました。4時半、鳩待峠行きの人たちが別のバスに乗り換えるために降りて行き、バスは一気にがら〜んとしました。大清水に行くのは私を含めて3人だけです。

大清水大清水には5時ちょっと前に到着。バスは3人だけでしたが、大清水はけっこう賑わっていました。ウィダーインゼリーと野菜ジュースで素早く朝食とし(食べた気が全然しないけど)、サンダルから登山靴に履き替えパッキングをしなおしてトイレに行ってストレッチをして、さあ出発。

尾瀬尾瀬

左:大清水登山口。ここからスタート/
右:山神宮。「楽しく歩いて無事に帰ってこれますように」

大清水から最初の1時間は、林道歩きです。登山靴で林道を歩くのってあまり好きじゃないけど、傾斜もないしまぁ歩き始めの体慣らしにはいいのかもしれない。両脇にいろんな花が咲いているのも、気を紛らわせてくれました。

尾瀬

林道で出会った花々(左下:オオウバユリ、左中:ノリウツギ?)

尾瀬尾瀬

左:まだ営業の始まっていない一ノ瀬休憩所/
右:この先から、だいぶ登山道らしくなってきます。

尾瀬尾瀬

沢沿いをしばらく歩きます。小さな滝があったりも。

大清水が1,180mで尾瀬が1,400mですので200ちょっと登ればいいんだ楽勝楽勝と思っていたら、登る登るまだまだ登る。そんなに急ではありませんがひたすら登り続け、1,500mを越え―――あれ? 休憩時に地図を見たら、尾瀬沼に行くまでに一度、1,760mの峠を通過するんでした。地図読めよ、最初に!

尾瀬

山道で出会った花々I(右はヤマオダマキ?)

尾瀬尾瀬

左:途中の水場。ここで水筒をいっぱいにします/
右:見晴らしのいい場所も。これは何山?

1,762mの三平峠を通過し、あとは下って尾瀬沼のほとりに建つ尾瀬沼休憩所へ。途中尾瀬沼もちらちらと見えました。休憩所前にはたくさんのベンチがあったので、ここでザックを下して長めの休憩を入れます。途中、前後して歩いて言葉を交わしていたグループからお菓子をもらいました。草紅葉の時期にも来るといいよ、と勧められます。

尾瀬尾瀬

尾瀬沼休憩所

尾瀬尾瀬

左:花豆ジェラート(\400)で木の間にちょろっと見える
燧ガ岳に乾杯〜/右:SIGGボトルにアキアカネ

ここから沼尻までは、尾瀬沼のふちに沿ってぐるっと歩く形になります。道は木道がきちんと整備されている箇所と、腐ったり壊れたりしてる箇所が半々ぐらいでした。でもそう歩きづらくはありません。道幅がないのですれ違いはちょっと気を遣うかな。尾瀬沼の反対側に緑の気持ち良さそうな場所があり、人が歩いているのが見えました。

尾瀬尾瀬

左:沼っぺり歩き/右:向こう岸は尾瀬沼キャンプ場の辺り?

尾瀬

山道で出会った花々II
(左:モミジカラマツ?、中:ノアザミ、右:ゴゼンタチバナ)

尾瀬尾瀬

尾瀬沼に映る燧ガ岳を何枚も何枚も撮りました。

尾瀬尾瀬

ブルーベリー色の実が成ってたり
(葉っぱが全然違うけど)、キノコが生えていたり。

尾瀬尾瀬

左:小沼湿原/右:沼尻休憩所が見えてきた!

尾瀬

山道で出会った花々III(中はキンコウカで右はコバギボウシ?)

尾瀬尾瀬

沼尻でもまた休憩。ここの休憩所は、かっちょよかったです。

尾瀬尾瀬

左:白くぽちぽち見えるのはワタスゲ?/
右:ニッコウキスゲもちょっとだけ残っていました。

≪つづく≫

2008.8.1(Fri)

“今年行ってみたい山”でリストアップした中に、尾瀬の至仏山がありました。今の時期は暑いのかな〜と調べてみると、あら意外に涼しそうです。こりゃ天気が良かったら行ってみようと天気予報を睨み、7月30日の水曜日に「土曜:曇、日曜:晴のち曇」を確認して、夜行バスのチケットを取ります。この時点でもう満席だったバスもあるのですが、1人だったので2社目でぎりぎり取れました。

木曜の夜にパッキングを済ませ、金曜日に天気予報をチェックすると、日曜の予報が「霧か曇。のち雨」に変わっていました。ええええ〜。ま、あんまり天気が悪いようなら至仏山は諦めよう……と会社からいったん家に帰り、シャワーを浴びて食事をして、新宿の都庁下のバスターミナルへ。ちょっと早めに着いたらまだ受付もなく、ザックを背負った人がぽつりぽつりといるだけでした。

22時の集合時間近くになってやっと、受付のためのテーブルが組み立てられます。「バスが遅れている」という説明どおり、私たちのバスがやってきたのは出発10分前くらいでした。普通の大型観光バスより、ひと回り小さいバスです。テントの入った大きな荷物を床下の荷物スペースに入れてもらおうと思ったら「入らないよ!」。ええっ!? 私のだけじゃなく、客のを入れるスペースがない、というコトのようです。長距離なのに? 山に行く人も多い路線なのに?

仕方がないので客席に持ち込みましたが、当然棚に上げられるような大きさじゃなく、通路に置かざるをえませんでした。私の隣の人も大きなザックを通路に置いたので、トイレ休憩のたびに「すみませんすみません」と他の客に謝って荷物を座席に引き上げて―――。こんなのアリ? 長距離バスでこんな状況、初めてです。ナゼか2回目のトイレ休憩で「1個だけなら入るよ」と私のザックを床下の荷物スペースに入れてくれましたが、入るんだったら最初から入れてよ!

ほぼ予定どおり、22:30に新宿を出発したバスは、途中2回のトイレ休憩を入れて4時前にたぶん尾瀬戸倉に到着しました。いつもどおりちゃんとは眠れず、とろとろしたのみ。

≪つづく≫

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