≪先月の日記です≫
Yの転倒がショックで先週末は鬱々と過ごしてしまいましたが、いつまでも沈んではいられないと、行ってきました伊豆の海。でもなー。天気予報悪いし春濁り来てるし、海は期待できないなぁ。験直しには、なりそうもない(←いかんまだ鬱が入ってる)。こんな天気じゃ他のお客さんも少ないんだろうなあ、といつもの駅まで行くと、迎えに来てくれたのはSさんでした。案の定私が唯一のゲストで、しかもガイドのTさんも不在とのコト。えーじゃあSさんと2人きりなのー?(いや別にイイんだけど)。
伊豆の空も東京と同じでどーんよりしていて、空気も冷え冷えとしています。東は波もあるので、今日は西伊豆に行くコトになりました。西のほうが波が無いし、情報によると透明度も15mくらいあるそうです。ま、話半分で7mくらいだったとしても東よりマシよね。そんな感じで出かけました。ところが西に近づくにつれ、雲間から光が射してきます。青空も見えてきます。見えた海は凪ぎ凪ぎ。富士山の頭もくっきり。見下ろす大瀬崎の湾内は海底が見えるほど。道路脇には花が……車からだったからハッキリしないけど、たぶんシャガが咲き乱れています。なにこれなにこれ!

井田から。あ〜たま〜をく〜も〜の〜う〜えに〜だ〜し〜♪
一気にテンションは急上昇。ドライを着ると暑く感じるほどです。海に入ると、情報どおりの透明度! 全然話半分じゃなかったよー。井田のぐぐーっと深くなる地形には、いつもどおりスズメダイやネンブツダイ、クロホシイシモチ、キンギョハナダイが群れています。ウミウシもたくさん、ツリフネキヌヅツミやベニキヌヅツミを見つけ、好物のアオサハギを教えてもらい……。Sさんはお目当てのハナタツを見つけられなくて残念がっておられましたが、私は十分満足でした♪

こんなに青いと、井田の地形でも引きこまれそうな気はしません

クロホシイシモチも呑気に散らばっています
最後の最後、足がつくぐらいの深度までぎりぎり潜っていたら、Sさんに「全然浮かないねえ。ウエイト減らす?」って聞かれます。うーん、確かに重めなんですが、このくらいのほうが安心なんですよね。さすがに最後のほうは寒さを感じましたが、50分以上潜ってもガマンできるレベルでしたよね?とダイコンを確認すると、なんと水温は18℃もあります。透明度といい、これ、春の海じゃないよ! ちょっと風が強かったので車の中で昼食休憩だったのですが、窓ガラス越しの陽射しがぽかぽかと暖かくて、眠りに誘われそうになりました。
1本目はちょっと流れがあったので、2本目は「流れていて戻ってくるのがツラいようだったら、流れた先でエキジットして歩いて戻ってこよう」と、出たとこ勝負になりました。入ってみると1本目より透明度が落ちています。緑の、藻が溶けたような浮遊物もあって、やっぱ春濁りは来ているみたいでした。潮の流れは逆になっていたから、これなら帰ってくるのは楽ですね。頭上を見上げるとアオリイカが6〜7匹、ひらひらと海を渡っていました。6月の産卵シーズンに見る個体と比べると、体はまだ小さいです。
1本目に見た生き物に加え、2本目はマトウダイも出てきてくれました。しばらくして、あ、透明度が戻ってきたなあと思っていると、Sさんが「戻るよ」の合図をしてきます。OK、と向きを変えると……あれ。帰りは潮に乗って楽に泳げると思ったのに、また向かい潮になっているー。それでも流れはそれほど強くないので、歩いて帰るほどではなく、そのまま進みます。私より少し深い場所で、Sさんが何か見つけたようです。えっ……そろそろDECOが出そうだから、深度を上げたいなあと思っていたんだけれどなあ。
ところが、Sさんが見つけたのはクロスジウミウシでした。これはあまり見かけないから、写真が撮りたい。まだ少し余裕があったので、Sさんのトコロまで深度を下げ、シャッターを押します。もうちょい粘りたいけど……とダイコンを見ると、ひゃー、DECOが出るまであと1分! ヤバい。Sさんに「DECO危ない〜」と合図をしながら、浅瀬に向かって移動します。もちろん浮上速度は要注意です。水深15mくらいになってやっと少し余裕ができたので、「もう平気」の合図をして、そこからは緩やか〜に深度を上げつつ移動しました。
途中で、高速で移動するボラの大群に出くわします。私らよりもかなり浅い場所を通っていたのですぐには気がつかなかったのですけど、それでもそこからずいぶん長いこと群れが続きました。Sさんによると、ボラは私らを避けて浅瀬に移動したんだとか。え〜何もしないから、近くを通ってくれれば良かったのにぃ。も少し先ではアカネキンチャクダイも姿を見せてくれました。んで今度もまた、ぎりぎりまで水中で粘ってエキジットです。ああ、楽しかった〜。休憩中に体を冷やさなかったのが良かったのか、2本目は最後まで寒さを感じませんでした。

もう足が着きますよー(^^
帰りの車で爆睡し、目を開けると空はどよよ〜んの灰色に戻っていました。今日は西伊豆で大・大・大正解だったなあ。器材を干し、私にしては慌しくログ付けをして、帰路につきます。ダイビングは一緒にできなかったけど、今日はUと飲む約束があったのでした。久しぶりに沖縄料理の店に行って、よく食べよく飲みよく話して、締めくくりまでいい一日でした。鬱はどこかに行っちゃった。やっぱ私には、外に出て人と逢うのが一番の薬です。
≪先月の日記の、つづき≫
次に現れるのが、兜岩。スリルある断崖のトラバースがあって、さらにその先に第2の鎖場が待ち構えています。こ、ここの鎖場、初心者向けらしいけど、私にはこれで十分だー。けっこう緊張しましたよ。登りきってしばらく行くと、前方から賑やかな声が聞こえてきます。稚児落としかな?と思ったけれど、これは天神山。狭いスペースで、5〜6人のグループが宴の最中でした。

中央の三角の岩が「兜岩」になるのかな。この手前がトラバース部分

こんな感じです。掴まる場所が無ければムリ〜

トラバース直後の鎖場を、上から


左:馬酔木(アセビ)の花がどっちゃり/右:眼前がひらけると、左手にさっきまでいた岩殿山が見えます


天神山の山頂には祠があり、その中には菅原道真像が
朝は雲ひとつなかったのに、お昼を過ぎた辺りから雲が増え始め、やがて空は灰色一色になってしまいました。18時ごろからは雨の予報だったけど、早まったかな? なんとか下山までもてばイイねえ、と先に進みます。ここから稚児落としまでの山道は明るく歩きやすく、静かな雰囲気を楽しめます。いつしか、うるさかった音楽も消えていてホッとしました(イベント主催者の皆さま、ごめんなさい)。そして、稚児落としの大迫力の断崖がぽんと現れます。道はそんなに際についてはいないんですが、でも怖いっ。このスリルがたまりません。

うわ〜、この岩壁の縁を歩いて行くのか〜

岩場にも菫ちゃん♡

「落城の際、泣き声で敵に見つかるのを恐れて投げ落とされた子供は、後に僧となった」らしいけど、よ、よく助かったなあ!
稚児落としの端っこまで行って振り返ると、断崖の全貌がよくわかります。うひゃー。後から歩いてきたカップルが手を振っていたので、こちらも振り返しました。すごいなあ〜。ここからの景色は大迫力だったのですが、風があって休憩には不向きだったので、もう少し下った場所で平らなスペースを見つけてお茶にします。今日はホントにのんびりまったり。岩場も楽しかったし景色はいいし、いい山歩きだったなあ〜。すっかり満足したら、後は下るだけです。下りに入った途端に木の根に足を引っ掛けて転びそうになったので、自戒もこめてYに声をかけました。「下山は足が疲れてるから、慎重に歩こうね」。……なのに。

振り向くと、どんなトコを歩いていたのかよくわかります

道はこんなで、そんなに怖くは感じないんだけど……

人が歩いているのを見ると、やっぱ怖いな〜
下りはけっこう急な斜面でした。さらに乾燥した土がよく滑ります。それでも別に危険だとか、怖いとか思うような道じゃありません。よくあるレベルの登山道です。ですので問題なく、浅利の集落が見える位置までやってきました。「家が見えたよー。もうちょっとで車道だね」なんて話した、その直後。背後から小さな悲鳴と、ずるっと滑る音が聞こえました。振り返るとYが尻餅をついています。あはは、転んだねー、と言おうとするも、どうも様子がおかしい。「足が痺れて、力が入らない……」。
捻挫したようだ、と言います。でも捻挫で、足が痺れるかな……? 骨折は?と聞くと、折れてはないと思う、との返事。じゃあ神経でしょうか。靭帯とか? 最近、靭帯が切れたときの話をKから聞いていたので、「ぶちって音がした?」と尋ねると、そんな音はしなかったと言います。う〜ん、私の乏しい知識ではもう何だかわからない。救急セットにテーピングテープ入っているけど、巻いて意味あるの? セルフレスキューの本の内容を思い出そうとするも、適当な知識が出てきません。困った。
とりあえず、Yが歩けないのは確かなようです。少し休んでも、ちっとも状況は変わりません。道は急でしかも細く、私が肩を貸したり背負ったりするのは、無理。「どうする? 車道まであと少しは、自力でガンバってもらうか、助けを呼ぶしかないんだけど……」。Yは、とりあえず行ける場所まで行ってみると、座った状態で手を使って進み始めました。偉い! 私が手助けできるのは、Yの荷物を持つことと、なるべく楽に進めるコースを選ぶこと、Yを励ますことぐらいしかありません。―――無力だ。情けないなあ。
座ったまま移動するには、急な斜面がかえって助けになったかもしれません。Yには長い長い時間に感じたでしょうが、実際には10分くらいで、急坂の下まで辿りつきました。そこから車道までは迂回路(路面補修のためのようです)、と案内が書いてありましたが、迂回路のワリに道はしっかりしていて、平坦です。これなら、私がYを、背負えるかもしれない…! Yに「荷物を先に持っていって戻るから、ちょっとだけ1人でガンバって! 戻ったら背負うから!」と声をかけ、足早に先に急ぎます。
5分ほど歩いたところに小さなスペースがありました。ここから車道まではまだ距離がわからないし、一気にYを背負える自信もない。荷物を運び、Yを運び、荷物を運び……と少しずつ進んだほうがイイかもしれない。それに長い時間1人にしていたら、Yが心細いだろう。そう判断してこのスペースに2人分の荷物を置き、Yのところに引き返します。―――と、私の目に入ってきたのは、見知らぬ4人の男女グループがYに話しかけている光景でした。あっ……後ろから歩いてきた人たちがいたんだ。
大丈夫ですか、と声をかけてくれた彼らにざっと事情を説明し、その直後に私の口から出たのは「でも、自分たちで何とかしますから!」でした(……これ、前に富士登山のときにもやっていて、後でその場にいた4人で「ああいうときに頼る可愛げがないから、私らモテないんだよ…」と反省会したのに……)。私の言葉を聞いた4人は揃って「ええっ」と目をむいて、すぐに「いや無理ですよ」と返してきました。……そ、そうでしょうか。私がアタフタしている間に、彼らはYの靴を脱がせ、手早く三角巾で足首を固定してくれます。そして、男性の1人がYを背負ってくれました。
そこから車道までは、歩いてみると10分足らず。途中で私たちの荷物を回収し、車道に出たところで1人が民家に走り、タクシー会社の電話番号を聞いてきてくれます。とても頼りになる方々で、申し訳ないながらも結局は甘えっぱなしになってしまいました。タクシーもすぐに来てくれるそうなので、駅まで歩く彼らに何度もお礼を言って、先に出発してもらいます(でもまだ冷静ではなかったらしく、連絡先を聞くのも忘れてしまいました。ちゃんとお礼がしたかった……)。
ここらで雨がぽつぽつと降ってきましたが、傘を出そうとしたところにタクシーが到着します。Yを乗せ、途中で助けてくれた彼らを追い抜き、まっすぐ病院に運んでもらいました。ここで診察を受けた結果は、まさかの骨折! 両松葉杖姿になってしまったYを自宅の最寄駅まで送り(大月駅はエレベーターもエスカレーターも無くて、階段を上り下りしなくちゃいけなかったから大変)、タクシーに押し込めるトコロまで付き合ったので、帰宅がかなり遅くなり、おなかもペコペコになっていました。Yと「ほうとう食べて帰ろうね〜」なんて言ってたのに〜。
私もYも、今日は軽〜い山歩きな気分でした。いや、最後の転倒さえなければ、そうなっていた筈です。なのにあんな低山であんな人里に近い場所で(←これは不幸中の幸いでした)、骨折するなんて……。もっと上部で転んでいたら。もし私が歩けなくなっていたら。もし単独だったら。考えると怖くなります。でも、それでも私は1人で山に入るんだろうな。そのためには、事故らない実力、事故ったときの対処法、どちらも身につけなきゃいけないなと、強く強く思いました。
どんなに低くても、山は山。今回の教訓です。
■大月駅(9:42)→岩殿山ふれあいの館(10:12-10:38)→岩殿山634m(10:55-12:07)→兜岩分岐(12:11)→兜岩(12:46)→天神山592m(13:13)→稚児落とし(13:26)→お茶休憩→Y転倒(14:20)→浅利の車道合流点(14:45)
上:ジオライン3Dサーマルロングスリーブジップシャツ+TNFウィンドストッパー、mont-bellダウンジャケット(休憩時のみ)。下:mammutアリィパンツ。他:フリース手袋、タオルマフラー。携行のみ:サンダーパスジャケット、patagoniaレインパンツ、帽子(クリマプラス)、SEILEN防水手袋。カメラ:Powershot A610