2005.10.31

あらかじめお断りしておきます。今日の話は腐った話です。

同人活動に興味のある同年代の人はとっくに―――たぶん20年は早くデビューしてるんでしょうが、私、この年にして初めて自主的に「June系同人誌の即売会」ってヤツに行ってきました。過去にも、行ったコトはあるのです。コミケじゃなかったからコミティアというヤツでしょうか。(違うかも)。手作り作品のエリアに友人がミニチュア雑貨を出していて、その売り子を2回ほど勤めたコトがございます。違うエリアではいわゆる同人誌を売っていて―――つかそっちがメインで、交代で覗きにも行きました。あれももう10年近く昔になるかなあ……。コスプレの皆さまは覚悟していたのでともかく、ロリ系本のエリアに群がるいかにもオタクな男性の団体にドン退きした記憶がございます。

人におすすめ本を借りるコトはあっても、それ以来行きたいとも思っていなかった即売会に足を運んだのは、こないだBelneさんのコトを書いたせいです。商業誌で出ている『蒼の男』の続きはいまやそうゆうイベントでしか手に入らないと知ったせいでした。欲しい気持ちが盛り上がってしまった私は、恐る恐る1日限りの即売会に足を運びました。……が、このイベントは大人しいものでした。コスプレが禁止だそうで、女性客がほとんどであるコトを除けば、古書展の雰囲気とそう変わりません。列を作っているスペースもありましたけど、ほとんどは閑古鳥を鳴かせています。

目的はBelneさんだけなので、入場料(?)としてのガイドブックを買うのも複雑でした。(別に他に興味はないんだけどなー。フェザーン同盟があるなら欲しいけど、あれはどう考えてもJuneじゃないだろうし。これでもしBelneさんの本が売り切れてたら、入場料払ったのがバカみたいだ……)などと考えながら、会場配置図を頼りにBelneさんのスペースを探します。そうメジャーじゃないとはいえ、現役のプロの漫画家さんです。列の1つもできているだろう。売り切れていませんように……と願いながら辿りついたBelneさんのスペース前は、やっぱり―――がらがらでした。3人の売り子さんが暇そうにしています。

ここで小心な私はちょっと気後れしてしまったのですが、ここまで来て買わずに帰ったらバカみたいです。私は恐る恐る声をかけました。「あのぅ……『蒼の男』シリーズで、商業誌で出ていないのは……」。3人のうち、端に座っていた売り子さんが立ち上がって説明してくれました。「はい、ここからここまでが第一部になります。」(えっこんなにあるのか!)「第一部の最後がX Day です(←すっごく嬉しそう)。」(X Day ……X Dayって……ああそうかしかしX Day で通じちゃう私も何だかなー。しかもそれをこんなに嬉しそうにいうこの人って……。)

「で、ここから第二部になります。第二部はBelneの葬式から始まって、8冊で完結です」「はあ……」。売り子さんの熱弁に、完璧に呑まれている私です。(こうゆう売り子ってお金出るワケじゃないだろうし、やっぱBelneさんの作品に惚れ込んでやってるんだろうなあ。こんなに熱心に説明するなんて)。新刊らしき本もあってその表紙にもGさんやBelneさんが描いてあった気がするんですが、それが第三部なのか外伝なのかそれとも顔が同じだけで別の話なのか、怖くて聞けません。だって思ってた以上に冊数が多く、高く、第一部を買うだけで覚悟してた額の倍は行ってしまいそうなんですもん。ええ、相場を知らなかったのです。

「……とりあえず、X Day まで、全部1冊ずつください……」「はいっありがとうございますっ」。熱心に説明をしてくれた売り子さんは、中央に座っていた子に代金の総額を伝え、自分は私の買った本を目の前にぽんと置き、銀のペンを取り上げました。そしておもむろにサインをし始めたのです。Belne、と……。(え? ええええええっ? この人Belneさんっ? 本人? そそういえば、自画像にちょっと、似てる、かも……)。

まさか本人が会場で売っているとは思わなかったものですから、中央の売り子さんに代金を渡しながらも内心驚愕していたのですが、スケブを描いてもらうコトも握手をしてもらうコトも一緒に写真を撮ってもらうコトもせず、「ありがとうございます」とだけ言って、作品を抱えた私はその場を静かに立ち去ったのでした。イベント会場滞在時間、15分弱。―――……やっぱり、20年前にデビューしておくべきだったかも、しれません。

2005.10.30

南の青〜い海に潜って写真を撮りまくり友達と見せ合っている分には楽しいのですが、さてそれを加工してアップするとなるとつい面倒で、南の海に行くたびにダイビングログの更新がストップしてしまいます。が、目の前にまた南の海が近づいてきてまた大量に写真を撮るとなるともう手に負えなくなるのは目に見えていて、そこでやっと重い腰を上げて前回分の写真の整理に手をつけるのです……。とゆうワケで今年6月に行ったサイパンの写真をUPしました。見ていただけると嬉しい。あとまだ7〜10月の写真が未整理だけど。……ひーん。

写真といえばまたまた煩悩に負けて―――つかそもそもあまり抵抗する気がないんだけど―――デジカメを買い替えました。水中ハウジングがついている! マクロに強い! 専用バッテリーじゃない! で選んだPowerShot A610です。1台目もCanonだったので操作方法が似てるかなーとまたもやCanonに。いきなり初期不良で新品と替えてもらったり、付属のソフトもデバイスも私のOSじゃ使えないコトがたった今判明したり!(カードリーダ買わなきゃ?)してるものの、カメラ自体には今のトコ満足してにまにましてます。南の海でトラブりませんように!!

2005.10.26

ロバート・ゴダード『千尋の闇』読了。なんと言えばいいのか……小説としては上出来だと思うんだけど、価値観に賛同できないっつーか、「それでいいの?」と言っちゃいたくなる、だから「面白かった!」とはならない、そんな話。以下、謎解き部分のネタばらししますので、ご注意あれ。

作中では誰も責めないみたいだけど、私がまず気になったのはエリザベスがストラフォードの話を聞かなかったコトね。もし私に、彼女のように愛してる人がいて、他人に「実は彼はすでに結婚してる」と言われたらどうする? まず彼に話を聞くよなあ。たとえその話を仕入れてきたのが信頼に足る人だったとしても、その人自身が騙されてるとか勘違いしてる可能性だってあるし、役所の手違いかもしれないし、戸籍を勝手に使われたかもしれない。

あとまぁこれは時代とか個人とかの価値観によると思うけど、たとえ結婚が事実だったとしても、どうしてそれを隠していたのかで印象はずいぶん違うじゃないか。それなのに、いろいろと想定できる事情のなかから「わたしの体が目当てだったのね!」に飛びつくのがわかんない。それまでの2人の関係を考えれば疑問も湧くだろうに、話もさせないってどうゆうコトよ!……とまあ、ここで憤ってしまったので、その後いかにエリザベスが素晴らしい女性かを力説されても、今イチ納得がいかない。「あのとき話を聞いてさえいれば」って悔悟さえないのは、不満です。

でも彼女がそう思い込んでしまったのもムリはない。だってこの作者の判断基準がそこなんだと思える主人公をみると。主役のマーチン、女に――つか、自分の性欲に弱すぎ!! もうヤれるんだったら善悪も信念も未来もどうでもイイらしい。それでもそれが彼のポリシーなんだったらまだ認めようもあるけれど、徹頭徹尾被害者面してるトコロがなんとも情けないわ。生徒に手を出したっつー過去にしろ、隠された真相があるのかと思ったらただ単に誘惑に弱いだけじゃんねえ。誘惑されたにしろ、それに乗ったのは自分だってのを自覚してない、そうゆう態度は大キライ!!

終盤にある登場人物から取引を持ちかけられた彼が、「考慮すべき他の人間がいて問題がさまざまにある以上、いかな意志薄弱のわたしでも彼の言葉に惑わされずにすみそうだった」とか語るんだけど、失笑しちまいました。あんたが惑わされないのは相手が中年の男で、抱かせてあげるとか言わなかったからでしょー!って。エンディングでああ報われる価値なんかあるのかね、彼に? あとセリックってそんなにヒドいコトを望んだのかしら? ストラフォードを殺したのは別にしてだけど、その事実が判明する前からエリザベスは殺す気満々だったよね?

と、ことほど左様に「それでいいのー?」感に満ち溢れた作品でした。

*****

今週見たDVD感想をちらっと。まず『オーシャンズ12』……キャストの豪華さ以外に、受ける理由が分からない。11の方が面白かった。12の状況説明の仕方には、おばちゃんついていけなくて。ぽーっと見てるだけじゃ状況が分からないし、真剣に観るほど面白くない。だいたい12人いる必要ないじゃんねぇ。あとは『シュレック2』。長靴をはいた猫が強烈にカワイイ。1でも映像のキレイさには感嘆したけど、2は更に絵がキレイ。話も1より好きかな。相変わらず毒はそれほど感じないけれど。

2005.10.24

週末は久しぶりに三浦に潜りに行ってきた。金曜夜からダイビング仲間のKの家に行き、その日の海の様子を聞く。Kと、やはりダイビング仲間のUは金曜日に城ヶ島で潜っていたのだ(私も誘われたが、さすがに休みも取りづらくなっていたので今回はパス)。台風20号がいい影響を与えて去ったって噂のとおり水温もあがり、なんと透明度は30mもあったという。30! まぁ翌日私らが潜るのは葉山なので30mは夢のまた夢だろうけど、ちょっと期待してしまうではないか。北から下りてくるという予報の寒気団さえ邪魔しなければ……。も一人の仲間、Yもやってきてしばらく喋ったトコロで、U帰宅。次の日潜る3人も早めに床についた。

22日土曜、目覚めると空は隈なく雲で覆われていた。……ガッカリだ。金曜と次の日曜は快晴だったのに間だけってどうゆうコトだ。最近うちの天照大御神は調子が悪い。が、曇っていようが雨が降ろうが出来るのがダイビング。Kが作ってくれた朝食を腹におさめ、9時前にKの自宅前までやってきた迎えの車に乗り込んで、葉山のダイビングショップへ。この日はショップ主催のバーベキューがあるそうで、2本まとめて潜ってしまうらしい。私らの担当ガイドはいつものO姉さんだ。私らと何度も潜っているので、私らのレベルもわかってくれていて、こちらも安心。

ショップでウェットを着込み、ポイントまで車で出発する。最大の寒さ対策をしているので、空がどんよりしていようが雨がぽつぽつ降ってこようが、陸上ではちょと暑い。ポイント近くの道端で器材のセッティングをし、海へ。葉山に潜るのは久しぶりだが、器材を背負って歩く距離が長いのは相変わらずツライ。この日は潮が満ちていたし、波がなくて足元がちゃんと見えたので、かなりマシだったけれど。さて期待していた透明度は……うーんやっぱり城ヶ島には敵わない。10mってところだろうか。でも、葉山にしてはかなりいい方だ。これで太陽が出ていたら、もっと明るくて見えるような気になっただろうに、と思うと残念。

しかし水面移動中にも水面近くにボラの群がいるわ、カゴカキダイもいるわ、海の賑やかさには期待できそうだ。葉山でハズレだとひたすらウミウシ観察になるものね……。いやウミウシもキライじゃないんだけど、私はウミウシマニアじゃないので、そればっかりだとちょと寂しい。1本目は権太郎岩沖、2本目は砂地〜170度の根を潜ったこの日、珍しい魚はいなかったがキヌバリやカゴカキダイの群、ハナハゼの群、イシダイの幼魚たち、トウシマコケギンポ、クロユリハゼ幼魚、マツバスズメダイの幼魚の群、と観察対象には事欠かなかった。もちろん、ウミウシもたっぷり。いつもいるムカデウミウシは数える気にもならないくらいだったし、砂地で見つけたセスジミノウミウシはキレイだった。

葉山の海は浅いので1本目、2kgのウエイトでは上がり際がキツく、2本目は1kg増やしてみる。浅い方にはちょっぴりだけどうねりがあったので、その方が安定するようだ。しかし腰はキツかった。両方とも1時間を越えるダイビングだったので、40分を越した辺りから腰は痛くなるわ寒くなるわ。一度体が濡れると気化熱で体温が奪われてツラくなるのだけれど、天気の割にこの日の休憩中は寒くなかった。ショップが用意してくれた温かい麦茶をガブ呑みながら、「甘いものの方がいい」と贅沢をいう私たち。普段あまり甘い飲み物は取らないんだけど、ダイビングのときはやけに美味しいのだよねえ。甘〜い紅茶とかココアとか最高。

今回のログはコチラから(132-133本目)。写真あり。

2本を潜り、ショップに帰って器材を洗ってシャワーを浴びて着替えてログ付け―――したのは、バーベキューを申し込まなかった私らだけ。他の人たちは着替えたところですぐさまバーベキューに突入している。昼食を食べていない私らに「肉いる人〜!」「冷たいビールちょうだい!」という声はキツい。漂ってくる香ばしい香りはもっともっとキツい。申し込まなかったのを後悔する。まさか、こんなに早くバーベキューに突入するとは思わなかったんだもの! この日小坪に潜っていたショップオーナーのKMさんとこのとき初めて顔を合わせ、サイパンツアーのお礼を言う。

食欲をそそる匂いから逃げるようにしてK宅へ戻り、Kダンナに連れられてやっと待ちに待った食事!! 「何が食べたい?」と聞かれ、いつもは魚を主張する私が「肉!」と答えたのは、やっぱりバーベキューのせいだ。じゃあ、と美味しい葉山牛を食べに行く。んー、久しぶりに肉の塊喰ったぜ! でもこの日は相当おなかが空いていたらしい。食事に出る前につなぎでポテチを貪り食ったくせに、たっぷり1人前を食べても腹八分目って感じだった。

この冬と来年のスケジュールたてないとね、と次の打合せを約束して、この日は解散。ケアンズ旅行の後は某イベントのお手伝いがあるしケアンズ旅行で撮ったビデオと写真の上映会やらなきゃならないしそろそろスキーも考えなきゃだし2月に海外行きたいとか言ってる人はいるし(←私はこれはたぶんムリ)富士山に登るならその前に2回は他の山で足慣らししたいし合間にダイビングも入れなきゃだし、予定たてないととてもとてもこなせないのだ。

2005.10.21

自分の“自分基準”っぷりに呆れる今日この頃です。それまで気にしてもいなかったのに、自転車を買おうと決めたとたんに人の乗っているバイクが気になり、自転車を買ったとたんに人がどう乗っているのかが気になりはじめました。つかその前にもっと頻繁に乗れっつーのですがまぁそれはおいといて、私が最近憧れの視線を向けているのは、メッセンジャーの皆さま。今まで気にも留めていなかったので気付かなかったのですが、赤坂や六本木辺りを歩いていると、幹線道路を走り抜けるその数の多さにびっくりします。へー、自転車便ってそんなに使われてるもんなんだ!

何がいいってまず車道を走ってるトコロです。やっぱ歩道では邪魔モノだと思うのですよ、自転車って。自分が歩行者ならムカつきます。でもじゃあ自分が幹線道路の車道を走れるのかというと、それは怖い。そこを当たり前のようにシャーッと走っていくのを見ると、それだけで「カッコいい!」と思っちゃいます。車線変更とかもスムーズだし、バイクもカッコいいし、あと私は手フェチなトコロがあるので、駐車車両を避けるときにちょっと振り返って後続車両を確認し、「先に行っていいよ」って感じで指でちょちょっと合図を送ってるところなんか見ようものなら、もうもう!

(どのくらいフェチかというと、LotRにファラミアが出てきたときに最初は「イメージと違う!」と思ったものの、ゴラムを捕らえるときに部下たちに手で指図をしてるのを見て「きゃーファラミア!」になっちゃったくらい。ハウルの片手卵割りとかもたまりません。)

そんな風なんで、ふと(そういえば『メッセンジャー』って映画、あったなあ。確か草g剛と飯島直子ので)と思い出したとき、前にテレビ放映されてたのをみた気はしたものの、迷わず借りてきてしまいました。“毒にも薬にもならないTVドラマ映画”ってくらいしか覚えてなかったし。んで話はといえば覚えていたとおりで、鈴木の態度は会社の代表としてどうよとか、飯島直子はけっこう好きだけどこの役には浮いてるとか、エンドロールはことさらキツいとか、京野ことみみたいな一歩間違えるとバランス崩しちゃいそうな顔は好きだなーとか、それくらいっしか思わなかったんですが、やっぱり以前とは違う見方もしてしまうのでした。

つまり。(うーむ自転車はTREKか……メッセンジャーにしてはこいつらのタイヤは太すぎないか? 一生懸命漕いでる演技なんだろうけど上体を左右に振るのはみっともないなあ。うんうんトラックは怖いよね。あ、飯島直子のヘルメット、私のと同じメーカーだ。お、タイヤが細くなってきた。うー、信号無視を警官に見逃してもらってバイクに勝つってのはいただけないわ。鈴木がやってるのが振れ取りなのかな? しかしこいつら何台自転車持ってんだ? メッセンジャーバッグって肩凝らないのかなあ。荷物をどう持つかって迷うよね。ああまた交通法規無視して!)、なんて感じ。

だけど一番「おお!」と思って、最後にもう一度巻き戻して見ちゃったのは、仕事が軌道に乗り始めたとき、話も進まず台詞もなく、ただただ自転車が車道を走っていくシーンでした(でもあれ、スタントだよね? 急に乗り方が自然になったもん)。まぁもう見るコトはないでしょうが、今回はあの1分のおかげで見た後悔はしませんでした。ああいう橋を、車がいない車道をあんな風に走ったら、気持ちイイだろうなあ……!

2005.10.19

塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』読了。沢木耕太郎が巻末の解説で、彼女の政治信念がどうの世代がどうのと長々と書いた後に「チェーザレに対する愛情のようなものさえ感じられる」とか書いているんだけど、違う、違うよ。最初にくるのが“愛”だよ。これは彼女の萌え小説よ!(←きっぱり)。

実際、歴史上の人物としてチェーザレは魅力的だ。若く、美しく、誇り高く傲慢で、法王という強力な後ろ盾がありながらも、嫡子とは認められないから血筋に頼りきってるわけにはいかなくて(つかあの時代は王家の正統な血筋でも安穏とはしてられなかったようだけど)、野心に溢れ、何に対しても(女に対しても)精力的で、困難をねじ伏せるだけの才能に満ち、冷酷で裏切りには容赦ないくせに、彼に心服し拷問されようが法王に敵対しようが彼を裏切らない部下がいて、若くして道の半ばで斃れている。

そう。そこが大事。天寿を全うしちゃったらダメなのだ。「この人が生きていたら歴史はどう変わっただろう」と思わせられる人ほど想像をかきたてられる。歴史に「もしも」は禁物だと言うけれど、歴史に「もしも」をぶつけたときに“物語”が生まれるんじゃないか。

ところで沢木耕太郎は「それまでのチェーザレ像を変えた」みたいなコトも書いてるんだけど、そうなの? 私の抱いていたイメージとはそう違わなかったけどなあ。今は塩野さんの描いたチェーザレ像が一般的に流布してるのかしらん? 川原泉さんの作品に出てきたみたいな、孤独なイメージも広まってそうだけど―――って、私のチェーザレ像はどこから出てきたんだろう?……なんて考えながら、私も萌え萌えしながら読みました。ああ楽しかった。

2005.10.17

2日続けて海に入り、1日仕事をして次の日、12日の水曜日にはまた海に行ってきました。はい、平日です。でも仕方がないんです。今年1月にCカードを取って以来潜っていない妹と、去年11月にCカードを取って以来1度しか潜っていない母が、潜りに行くというんですもの。姉として娘として、放っておくわけにはいかないじゃないですか……!(なんちて。)

前日から泊まりに来ていた母と、妹と連れ立ち、伊豆へ。途中駅で隣の車両に、居るはずのない人が見えました。ダイビング仲間のUです。あれ? 「なんでいるのーっ?」「えへへ…仕事帰り」。徹夜明けの仕事帰りだそうです。ああビックリした〜。Uの住んでいるのは伊豆に向かう途中の駅なのでした。連休とはうって変わってのいい〜天気になりかけていたので、「このまま乗って行きたいな〜」とぶつぶつ言いながら、Uは自宅駅で降りていきました。気持ちは分かるけど、徹夜でダイビングはムリだよ…。

そしてUが降りたのと入れ違いに、今度はKが入ってきました。しっかりとダイビング器材を抱えています。ニヤリ。やっぱり来たね。実は2日前別れるときに「仕事がなんとかなりそうだったら乱入するかも…」と言っていたので、よっぽどのコトがない限り来る気だなーとは思っていたのです。でもハッキリした答えは聞いておらず、母たちにも言っていなかったので、彼女らはビックリ。こうして“To-ko家スキルアップツアーwithなぜか居るK”一行は、伊豆でショップオーナーのSさんに迎えられたのでした。(この日、残念ながらガイドのTさんはお休み)。

列車の窓からは海は静かそうに見えたのですが、近くに行くとやっぱりちょっと波が立っています。「今日も東はキツい」というので、2日前に行った黄金崎にまた行くコトになりました。この日はビギナー2人優先です。私とKは適当に近くで遊んでいるだけのつもり。黄金崎の海は2日前よりも更にいい感じでした。なんせ天気がいいのです。海の中が明るくて、お日様の光を感じられるだけで、水温まで高くなった気がします。実際はそんなコトないんですけどね。エントリーして潜降ポイントまで水面移動している途中、母たちとSさんの間にうっかり入り込んでしまったら「ビギナーとガイドの間には入らない!」と怒られてしまいました。はーい。

海の中はこの日も群! 群! 群! イサキの子供はカッコいいし、スズメダイは動きが面白い。見渡す限りのクロホシイシモチの中を、カンパチやブリが泳いでいる。この日は本当に縦の視界がキレイで、水面を見上げると吐いた息の作る泡がキラキラと上っていって、とてもとても気持ちがいい。Sさんは初心者あわせでいつも以上にゆーっくり泳いでいるし、私もKも、とにかくのんびりできました。妹は初ファンダイブにしてはけっこう上手かったし、母もちょっと浮き気味ではあったものの、こないだよりは落ち着いているようで、あまり心配しなくても良かったのです。

あ、でもちょっとトラブルも。1本目、妹はフリー潜降に手間取っていました。母はすんなり潜れて、私やKと一緒に海底で待っていたのですが、妹とSさんだと思ったのでしょう。ふーっと別のグループの2人組についていきそうになったのです。そのときSさんたちはまだ水面にいました。「違う、違うよ」と飛んでいって腕を引き、Sさんたちを示そうとしたのですが、母は私が腕を掴んでいるのにすぐには気付かず、私がすぐそばにいるのにまだ泳ごうとしています。そのとき母のフィンが私のレギュを蹴り飛ばし! ええ、片手で母を引きとめながら、もう片手でレギュを探して咥えなおさなきゃいけませんでした。もう!

まぁでも泳ぎ始めてからは、2人をSさんに任せて好き放題。砂地でしばらく遊んで、ゴロタの浅瀬で群を眺めて……。ああ気持ちいいなあ〜と、思っていたときでした。Sさんがいきなり「待て」の合図をして自分の前に母と妹の2人を座らせ、おもむろにマスクを外したのです。ななななな何をやりだすのSさんっ! まさかいきなり講習モードに入ってしまったというのでしょうか。マスクの全脱なんて私らでもやらされたコトはないのに、初心者相手に…っ!? 私はKと顔を見合わせました。「まさかだよね?」

でも「はいやって」と言われるコトはなく、Sさんはマスクを再装着。後で聞いたらマスクのストラップが切れてしまったのを、なんとか引っ掛けて直したそうです。うー、私らもできるようにならなきゃいけないのは分かってるんだけどー。その後は平和に過ぎ、1本目終了。お昼を食べてからの2本目は少し透明度は落ちてしまっていましたが、やっぱりのーんびりしてました。2本目はウエイトを1kg増やした妹がずいぶん落ち着いていて、母が1本目よりも更に浮き気味になってしまってました。平常心を保てないと、浮くのよねえ…(←いつか来た道)。

2本目は、こないだも見たミジンベニハゼがメインでした。この日もかなり近くまで寄れて、正面からの顔が撮れたのが嬉しくて。やっぱカワイイ魚です。浅めの海だからか、初心者を連れているにしては長めに潜れ、私もKも黄金崎を堪能できました。秋の賑やかな海ですよ。前回と同じように現地でログ付けをし、東へ戻って、ずーっとショップに置きっぱなしにしていた器材を担いで、家に帰ります。途中駅で母と食事をして別れ(母は祖母のウチへ)、自宅に着いたのは22時過ぎ。平日だからか、人数が少なかったからか、ちょっと早めに帰れました。

さてせっかく器材を持って帰ってきたので、関東付近でもう1度くらい潜ります。そしてその後は潜って食べて潜って潜って食べて潜って寝てのダイビングツアー。あと1ヶ月ちょっとまで迫ってきました。うふ、うふふふふ……。

今回のログはコチラ(130本目)とコチラ(131本目)。写真あります。

2005.10.13

≪つづき≫

明けて10日、体育の日の休日です。目覚めてもまだ雨音は続いていました。「予報だと月曜日は曇りだったのにー」とボヤきながら、身支度をして朝食。9時ちょっと前に、残りのダイビング仲間、UとKがやってきました。昨日は東風で散々だったため、今日は西伊豆まで足を伸ばして潜りに行きます。場所は相談の結果、黄金崎公園に決定。井田って海もいいのですが、天気が雨となると温かいシャワーや屋根と壁のある休憩所など、設備がしっかりしている黄金崎に軍配があがります。東伊豆からだとちょっと遠いのが難ですが、寒さに震えるのは哀しすぎますもん。

U、K、元気になったY、私の4人はTさんの車へ。前日お世話になったK原さんとその彼女、前日は初心者グループにいたカップル(名前聞きそびれたけど、2人とも元気で感じのいい人たち)の4人はSさんの車に乗って、一路、西へ。峠を越えた辺りから薄日が差しはじめ、ときどきは青空も見えるようになってきました。これなら井田でも良かったかなーとか思いながら、約1年ぶり、懐かしの黄金崎へ到着。着いたときにはまた曇り始めていましたが、でも前日よりは明るく、何とか雨は降らずにいてくれそうです。風はときどき強かったけど、海は凪ぎ凪ぎ。西に来て良かった〜。

西に来るにしては時間が遅かったので、ちょうどイイ感じに他のグループと時間がズレました。私らがセッティングをして海に入る頃、他のグループは1本目を終えて休憩時間に入っていたので、海の中では混んでるって印象はありません。この日の1本目はUの100本記念。水中で集まって写真を撮ったあと、4人ずつのグループに分かれてのーんびり潜りました。私らは前日に引き続き、Tさんにガイドしてもらいます。海の中はかなり明るく、入ってすぐに群! 群! 群!の気持ちよさ。イサキの子供やネンブツダイ、クロホシイシモチなんかがすーぐ近くまで寄ってきます。終了間際にはスズメダイが細い列になって泳いできて、その列が延々続いていているのが壮観でした。

途中の砂地では、黄金崎の名物、ネジリンボウが2〜3組見つかりました。ナゼかよくいる普通のネジリンボウじゃなくて、ヒレナガネジリンボウってヤツだそうです。それから嬉しかったのは、ミジンベニハゼ! 黄色くって小さくってダイバーに人気の魚なんですけど、初めて写真に収められました。空き缶とか貝とかに住んでて、大勢で見てるとすぐに引っ込んでしまうので、今まで近寄れもしなかったのです。それが今回は他の3人がTさんと何かの魚を覗き込んでるのをいいコトに、貝の中のミジンベニハゼを独り占めしてゆっくり写真を撮れました。嬉しい〜。

てな具合に海の中は堪能しましたが、黄金崎の海は浅めの海。そこにじっくり1時間近くも潜れば体も冷えます。陸に上がれば強い風に体温を奪われ、ガクガクブルブル。ちょっと面倒くさいですがウェットを脱いで、水着の上にフリースとウィンドブレーカーを着込み、体温保持に努めます。温かいものを胃にも流し込んだおかげで、1時間強の休憩が終わったときには「よしもう1本!」の元気が出てきました。でも2本目は防寒のために靴下を履いてしまいました。寒さ知らずのKが羨ましいです(しかしこの日、Kはドライを着こんでました。必要ないじゃーん!)。

2本目はゴロタと砂地の境目くらいの浅いところをひたすら泳ぎます。ヒレナガネジリンボウのほかに、今回はヤシャハゼを見られました。大きなライトを点けて本格的に撮影をしている人がいたので、あまり近くには寄れませんでしたが、肉眼ではぴーんと伸びた背びれがハッキリと見えました。それから2本目には大物が何種類か。まず入ったばかりの頃に6〜70cmクラスの大きなヒラメがひらひらひらっと泳いで行きました。それから終わりかけの頃に、大きなニザダイの群が岩に群がって何かを食べていました。更に特大の、7〜80cmのコロダイ! うひゃーっと興奮しちゃう大きさでした。群と大物は、私の大好物です。

今回のログはコチラから(128-129本目)。写真ありあり。

そうそう書き忘れてました。この日はKのビデオデビュー。魚だけでなく、私たちの泳いでいる姿もこれでチェックできるようになりました。うひひー。でもまだ買ったばかりで専用の重しを付けていなかったため、水中に入れると風船のように浮きたがります。その浮力がけっこうスゴくって、途中で撮影を代わろうとビデオを受け取った途端、体が浮き上がりそうになってしまいます。慌ててBCDから空気を抜いて事なきを得たものの、浮力をすっかり忘れて今度はビデオを返した瞬間からずどんずどんと砂地に落ちてばっかり。「なんでこんなに重いのー私!」と思ってしまいました。

西から東へ帰るためには峠越えをしなくちゃいけないため、ログ付けまで西でやってしまいます。この日は人数が多かったせいか、いつもより遅く東へ帰ってきました。それから食事をしてはるばる家へ……。自宅の最寄駅到着がちょうど23時ごろでした。次の日仕事ってのがちょっとキツいです。でも久しぶりに海を堪能できて良かった。かなり寒かったですけどね。

2005.10.11

やっふー! 久しぶりの海日記〜。連休の9日10日は泊りがけで行ってきましたいつもの伊豆へ。が、天気はダメダメ。日本列島に沿って秋雨前線が伸びていちゃあ逃げようがありません。日曜早朝、ダイビング仲間のYと待ち合わせたときには空はど〜んよりしてるだけでしたが、伊豆に向かう最中にとうとう雨が降ってきてしまいました。ここまで天気が悪いのは久しぶりです。「寒いよねーきっと」と言いながら、伊豆入り。さすがの連休でゲストがちょっと多くて、私たち含め12人でした。

潜るのはショップの前のいつもの海。「朝は西風だったんだけど、東風に変わっちゃって……。ちょっと波が高いかも」という状況だったので、私ら含めた“一応経験あり組”の6人の1本目はボート(2本目は海況見て判断)、初心者組6人は1本目からビーチというコトになりました。ショップオーナーのSさんは初心者組とビーチへ向かい、私たちは港で用意をして、ガイドのTさんといつものように漁船に乗り込みました。

湾内は、静かでした。でも岬を回って外に出た途端に波が高くなり、船は波の上を跳ねるようにして進んでいきます。下手したら跨ぐようにして座っている板から落ちそうで、必死で内股に力を入れる私たち。このくらいの波で潜ったコトはありますし、たぶん潜ってしまえば何とかなる……とは思ったのですが、ちょっとドキドキしました。なんせ私は1ヶ月以上潜っていないのです! エントリーして波の谷間に入ってしまったら、集合場所のブイも見えなくなりそうです。がんばって泳がなきゃ!と思いました。

予想よりもうねりが強かったため、当初の予定より少し手前のブイで船を泊め、まずはTさんが飛び込みます。それに続こうと用意をしていたとき……いきなり大きな波がやってきました。間が、悪かったのです。その直前までYは板を跨いでいました。が、板に腰掛けるようにしてフィンを履こうと屈みこんだときに、波がやってきたのです。私の視界の端っこで、Yが座った姿勢のまま、宙に投げ出されるのが見えました。本人はその瞬間「海に落ちる!」と思ったそうです。私もうわっと思って腕を掴みましたが、片手で人一人の体重は支えきれません。Yは腰から落ちるのと同時に背中から倒れこみ、船の縁に頭をぶつけてしまいました。

派手に飛んだし、すんごい音がしたので、一瞬のうちに全員が事故に気付きました。船長が一人飛び込んでしまったTさんに「戻って! 戻って!」と叫んでいます。Yは倒れたまま一言も発さず、私も血の気が引きました。自分もタンクを背負っていて身軽には動けない状態で、声をかけるくらいしかできません。「Y、大丈夫!?」と口に出したる瞬間、なに言ってるんだ大丈夫なワケないじゃん!と思ってしまい、次に叫んだのが「生きてる?」ですから相当パニくってました。「意識ある? 喋れる?」と次々に声をかけ、やっとYから返事が戻ってきたときは本当にホッとしました。

Tさんが戻ってきたところで、船を港に戻します。船長や他のゲストの方々には本当に申し訳なかったけれど、みんないい人ばかりで、イヤな顔一つせずすごく心配してくれました。特にK原さんという男の人は本当に面倒見がよくて心強かったです。「頭は怖いから動かしちゃダメ!」とYを船底に寝かせたまま、船は進みました。「救急車呼んどくか?」と船長に聞かれましたが、その頃になるとだいぶ回復してきたYが大丈夫だと言ったので、タクシーでも拾って病院に行くコトになりました。Yは病院もいらないと言ったのですが、頭は怖いから、と他の人たちに説得されました。

予定外の帰港だったので、港に着くと船をつけるスペースが空いていません。「おぅ、ちょっとつけさせてくれよぅ! ケガ人いんだからよう!」と船長が怒鳴ったので、港にいた他のショップのダイバーもざわめきます。なんだかだんだん大事になってくるので身の置き所がなかったよー、と、後でYが言っていました。港の親方も飛んできて、結局「早く行った方がいい!」という周りに説得され、親方の奥さんの軽トラでYは病院へと運ばれました。私らは結局その日のボートをキャンセルし、私を除くゲスト4人はTさんとビーチへ向かいました。結果が出るまでは心配だったので、私はショップで待機です。

しばらくすると親方の奥さんから、検査の結果異常はなかったと電話が入りました。車に乗り込んだときのYの様子から、大丈夫そうだなとは思っていたものの、やはり安心します。30分後くらいに「すぐ潜っても大丈夫って(医者が)言ってたよー」と、奥さんがYを連れて帰ってくれました。さすがに本人は「今日は潜るの止めておくよー。少し頭冷やして寝てる」としょんぼりしてましたけど、寝るときに「お昼ご飯のときには起こしてね」と付け加えたので、ああこりゃもうホントに大丈夫!と思えました。ので私も2本目は潜りに行くコトに。

トラブルでずいぶん後ろにずれ込み、2本目を潜ったのは14時頃でした。私が参加しなかった1本目のときは水中も明るく、群がたくさんいたそうですが、2本目は残念ながらあまり良くありません。雨は降っていないものの、空も重〜い感じになっていて、水中での透明度は7〜8mってトコロでしょうか。でも私はそれなりに楽しみました。珍しい魚はいなかったけど、いつもの伊豆の魚、タカノハダイやシラコダイ、シマウミスズメ、クロホシイシモチの群なんかはいたし、自力でヒラタエイの子供も見つけました。体長20cmくらいのヒラタエイはとても可愛かったです。

今回のログはコチラ(127本目)。写真もちらっと。

この日は結局昼を食べないままになってしまいました。水から上がってくると風が冷たく、震えながら器材を洗って、温泉へ。ゆーったり温まっているうちに、5時近くになってしまったのです。「おなかが空いた〜」と、すっかり元気を取り戻したYと一緒に夕食を食べに行き、ついでに次の日の朝食を買ってショップに戻ります。この日はショップに泊まる予定なのです。ログ付けをささっと済ませ、その日2本目を一緒に潜ったS野夫妻とお喋りをし、この日は終了。Yは災難だったけど、大事にならずによかったです。明日はもう少し回復してくれれば……と思っているうちに、また雨が降ってきました。雨音を聞きながら眠りにつきます。

≪つづく≫

2005.10.6

■連休は久しぶりに海に行く予定なのに、なによこの天気! 秋晴れプリーズ。体育の日に雨なんてありですかー?

■9月末に出たよしながふみさんの『大奥』がやっと手に入った。雑誌で読み逃していた第一話を楽しみにしていた―――のに、なんだ状況説明と水野の話だった。紀州時代の吉宗と久道の話かと思ってたのにー。掲載時には久道の印象が強かったのだが、1冊通して読むと思ってたより出番が少ない。もっと久道が活躍しますように(←“当りが柔らかくてなめられるが実は切れ者のNo.2”萌え)。あと越前守も面白そうだから、もっと出てきて欲しいなあ。

■アガサ・クリスティー(メアリー・ウェストマコット名義)『春にして君を離れ』読了。いやー、“ミステリじゃない”ぐらいしか前情報がなかったから、先が気になって気になって一気に読み通してしまった。―――やっぱ上手いなあ! 文章が軽くて読みやすいからか、あまりにもたくさん書いているからか、アガサ・クリスティーを軽く見る人もいるけれど、私は彼女の小説は好きだわ。イジワルで。ミス・マープルも、優しげだけどイジワルだよね。結末を読んで、やっぱりなあ、と思う。イジワルで、怖くて―――そして、どこにでもありそうな話。

2005.10.4

重松清『疾走』読了。文章は上手いし世界に破綻はないし(←まともな作家さんに対して失礼な言い草だが)価値観だって相違はない。つまり私の好きになれないタイプの人をヒーローとして崇め奉るようなコトはしていない。だけど読んでいてどんどんどんんどんイヤ〜なイヤ〜な気持ちになっていく小説を、面白かったとは言えないや。この話に「暗い」と文句をつけるのは、ホラーに「笑えない」と文句をつけるようなモンだろうけど。

どんなに暗くて救いようのない話でも、どこか1箇所でも欲しいのだ。救いが。救いも何にもない小説をなんで読まなきゃならんのか。映画『オープン・ウォーター』を見るか見ないかという話をダイビング仲間のYとしたとき、「2人とも死んじゃうなんて話見たって、ダイビングが怖くなるだけじゃんかー」という私にYは「例え、実話を基にしていて実際には2人とも死んでいようと、映画なんだから絶対に救いはあるはず。どっちか1人は助かるはず」と力説していたが、今その気持ちがよく分かる。

話はシュウジって男のコにいろいろあって彼がどんどんどんどん追い詰められていくだけなんだけど、その中でシュウジが心の支えにしてるのが、孤高の人、エリなのね。シュウジはエリのコトを強い強いと言うのだけど、でも私はエリを強いとは思えない。終盤で彼女は自分の弱さ(のようなもの)を見せるけど、そうじゃなくて最初から、私はエリを強いとは思えない。強い人ってのは、どんな状況でも人生を楽しめる人のコトだと思う。どんな状況でも人を好きになれる人、人に優しくできる人だと思う。

となるとこの話の中で「強い人」は神父ってコトになるんだろうけど。私はこの神父がキライだ。彼は優しいんじゃなくてズルい。何もしないでただ心配そう〜に見守っているだけ。褒めてくれなくても、決して断罪せず、ただ受け入れてくれる存在ってのが、欲しくなるときはたしかにある。必要だと思う。だけどこの神父がそのポジションにあるとは思わない。「私はあなたを心配してますよー」って目線がウザったい。シュウジに「信じなさい。シュウイチが何をしていようと丸ごと信じなさい」とか言ってるくせに、あんたはシュウジもエリも信じてないよね。「絶望してはいけない」と言ってるくせに、あなたには希望が感じられない。

だから終盤に神父が語る“一条の光明”なんてのも信じられない。ウソくさい。なーんにもしなかったあなたが言うな。そう思う。んで多分ココが信じられないから、「救いも何にもない小説をなんで読まなきゃならんのか」となってしまうのだ。くそー。どうしようもない状況ってのはあるんだろうけど、私は今のところまだ、ばかみたいに信じているのさ。人間を。

さーてと、口直しにローレンス・ブロックの『処刑宣告』でも読もうかなー。(←おい!)

2005.10.3

「ねぇマスター……聞いてよ……哀しい女の愚かな話をさァ……こないだ話したわよね……クロスバイクを買ったその日に大ゴケして血だらけになった話は……あれはもう1ヶ月も前よ……だから週末、そろそろまた自転車に乗ろうと思ったの……怪我も治ったしね……家から1kmほど離れた場所に図書館があってね……そこから更に4kmほど離れたところに、デジカメのショールームがあるのよ……往復で10km……適度な距離よね……天気もよかったしね……最初はとっても快適だったわあ……でも図書館の手前でね、前輪に違和感を感じたのよ……見てみるとペチャンコになってるじゃない……もっとよく見てみると、画鋲が刺さっていたのよ……え? どうしたかって?……決まってるじゃないの、まず図書館に行ったわ……そしてインターネットで付近のチャリ屋を探したの……でも一番近いチャリ屋はどうやら自宅から2分の店らしくてね……えぇ、押して帰ったわ、1km……そしたらチューブの複数箇所に穴が開いててね……チューブ交換よ……2,000円もかかったわ……おまけに混んでて1時間もかかるっていうから、思わず家に戻って庭の草むしりしちゃったわよ……ショールーム? 行ったわ……チャリで走るのは気持ちよかったけど、帰りは真っ暗になっていたわね……笑ってちょうだい……ふふ……」

とかグチりながら、シングルモルトを飲み干したい気分です。わーん、都会の道路なんか大っキライだあーーー!!

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