2006.4.28(Fri)

山方面は宿泊所が確保できずに×。海方面への出発は決まるもダイビングは春濁りのせいで×。じゃあ空へ、と提案してみたのだけど、「どうせなら海外か北海道でやりたい」ともっともな希望をつけられ、×。贅沢な〜とは思うが、去年「この辺でもパラグライダーができるんだって」と水を向けられたときに、私自身が「え〜でも私タンデムならスイスでやったことあるしぃ。スイス以上の景色の場所じゃないとやる気しないなぁ」とド贅沢をぬかした記憶があるので、何も言えない(あ、今回私が提案したのはタンデムではない自力飛行)。ちょっと前の不調から一転して体を動かしたくて動かしたくてたまらないのだけど、何かできるかなぁ。

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椎名誠『あやしい探検隊 海で笑う』読了。GBRのコッドホールには去年の11月には行ったばかり。NZは長期滞在した大好きな国でMt.クックにも行ったコトがある。山形県在住ダイバーのブログのおかげで飛島は今ちょっと興味のあるダイビングポイント(でも遠い〜)。無目的無人島ツアーはぜひぜひぜひやってみたい体験で、「遊べる友達は人生の宝」と何の臆面もなく言い切れちゃう私にとってこの本が面白くないハズがない。おまけに中村征夫さんのステキな写真もたっぷり。ああいいなぁ。

本の中身は楽し羨ましでするする読めてしまったのだったが、巻末に入っている中村さんの奥尻島津波体験談は恐ろしかった。海を舐めているつもりはないし怖さも承知しているつもりだが、中村さんのようなベテランダイバーに「謙虚にならなきゃいけない」と言われるともう「はいごもっともでございます」と頭を垂れるしかない。津波の映像をTVで見るよりも、この文章のが怖かった。

海で怖い思いは何回かしているが、どれもどちらかと言うと自分の力量不足から起こったコトで、どんなベテランでもどうしようもないって状況には、まだ陥ったコトがないのだもの(つか、そんなトコロには近づく気もないが)。「本当の海の怖さを体験として知っているか」と問われれば、NOと答えるしかないだろうなあ……。こうゆう、本当の怖さを体験した人の話は、どんどん聞きたいと思う。

2006.4.24(Mon)

体調はいつの間にか本調子。毎日ワケもなくうきうきと歩いている。生活もちょっと立て直し傾向。このまま右肩上がりで行きたいなー。GWは近場でまったりする方向で進んでいます。ホントは久しぶりにダイビング仲間揃って潜りたかったんだけど、何せ春濁りの真っ盛り。ハッキリキッパリ断られてしまった。……だとすると? 何をしようか、ただいま情報収集中。

さて、ひきこもり日記も続く。DVD感想*3本分いきます。

■『ミリオンダラー・ベイビー』。えーーーーーっと……。中盤からの展開に唖然呆然としてしまった。こうゆう話になるとは、前半からは想像もできなかった。んで全体としてはどうだったかと言うと、はっきり言ってよく分からない。ツマラなくは確かになかったんだけど、だからどうって感じでもない。老トレーナーの行為に対してそれほど禁忌を感じないからかなあ。ああいう状況で本人が判断できるなら、それが一番いいと私は思う。どっちの判断をするのかは、それこそ個々人の問題で他人がいいとか悪いとか言えるコトじゃない。あ、老トレーナーが「モ・クシュラ」の意味をマギーに教えるシーンではじ〜んときた。

■『宇宙戦争』。H・G・ウェルズの原作は未読で結末を知らなかったから「えええっ」と思ってしまった。人類よりも知的な存在ならその辺ちゃんと調べようよーとか、乗り物が100万年も地上に埋まってたんなら乗り込んだ彼らは「こんな古いの操作できん!」とか思わなかったのかとか、だいたい埋めに来た段階でちゃちゃっと占領しちゃえば良かったんじゃないか何を待っていたんだとか、まぁその辺は置いておこう。置いてしまえば素晴らしいくらいの一方的な破壊活動で、そうゆうのが好きな人は映画館の大画面で見たら気持ちよかったかも知れん。

視点が一般市民から離れないのは良かった。身の回りで何が起きているのかは分かっても、世界で何が起きているのか、政府はどういう対応をしているのかが、ほとんど分からんのがイイ。友達に“行っちゃ行けないところに考えなしに行くようなキャラ”にガマンのならない人がいるんだけど、彼女だったらあの息子の行動は許さんだろうなーと思いながら、見た。私も彼が何をしたかったのかサッパリ。最初の頃のトム・クルーズのヤな親父っぷり(人の話を聞かない、自分を説明しない、すぐキレる、物に当たる)もリアルで、子供が反発するのもさもありなんって感じだった。

■『キャットウーマン』。主役のハル・ベリーのお尻がキレイだった。キャットウーマンの扮装をしてるときより、ジャージのときの方がそのキレイさは際立つけどね。あんな体をしてたら見せたくなるのも分かるけど、キャットウーマンのときは露出しすぎでしょー。メイキングで「露出させつつ必要な保護は与えた」ってのは嘘だと思う。猫っぽい動きは今イチ。ちらっとしか映らなかったんだけど、メイキングで演技指導してた女性のが断然上手かった気がする。あとこれはCGの罪なんだろうが、ときどき「猫じゃなくてゴキブリだろ…」と思ってしまう動きがあった。

DVD特典にあった『歴代のキャットウーマン』は面白かった。初期の頃のキャットウーマンを演じたアーサー・キットが案内役で出てるんだけど、ハッキリ言って怖い。今や化け猫っつか猫又っつか(←すみません正直で)。あ、話の方はいかにもアメコミって感じだった。設定とか人物とか細かいトコロは全部置いておいて、頭をカラにして楽しむのが吉かも。それにしてもホント向こうじゃコミックって子供のためのものなのね。演じた人さえ「私は大人だからコミックは…」と言ってるのがおかしかった。

2006.4.21(Fri)

宮田珠己『ウはウミウシのウ−シュノーケル偏愛旅行記』読了。献辞の三行目にうっかりウケてしまったので、その後の天然から半歩くらいウケ狙いにはみ出している文章も気にならずに読めてしまった。第一印象って大事だねー。著者の宮田さんは“シュノーケル偏愛”とタイトルに謳っているだけあって、もちろんシュノーケラーなんだけど、ダイバーとして1つだけ反論しておきたい。

ダイビングが面倒くさいってのは、イイ。確かに面倒くさい。器材は重いし減圧症の心配はしなくちゃいけないしバディにも目を配らなきゃいけないし金はかかるし危険である。シュノーケルやってて死ぬ人もいるけど、まぁいい。ダイビングの方が危ないってのは認めよう。シュノーケルでぷかぷか浮かんでるのが気持ちいいってのも、いい。一度水に入ってしまいさえすればダイバーだって中層でぷかぷか浮いていられるんだが、シュノーケルとはやはり身軽さは違うだろう。だからやりたくもない人にムリにダイビングを勧めはしない。シュノーケルがお子ちゃま遊びだとも思わない。スキンダイビングはきっちり習いたいくらいである。が。

「深く潜っても見られるのは魚だけ。魚なんて同じような形だから“ヘンな生き物ハンター”としちゃ面白くない」って意見には大いに異を唱えたい! だいたい宮田さんが“三大見たい生き物”に挙げているウミウシだってイザリウオだってエイだって、ダイビングで見る方が簡単だと思うぞ。より多くの種類が見られるし。ウミウシフリークなマクロ派ダイバーなんて珍しくもないもんねー。

その他にも。ヒレがキレイで足が不気味なトゲカナガシラ。踏み潰したみたいな大口ゴチ。びらびらとドレッシーなミノカサゴ。清水玲子さんのマンガに出てきそうなゴンズイ(玉)。軽石みたいなサツマカサゴ。豪華な模様のフリソデエビ。目がおかしくなりそうなゼブラガニ。背負いすぎてるモクズショイ。砂の中で何を考えてるんだか聞いてみたくなるキアンコウ。透けてどうするハクセンアカホシカクレエビ。ドラクエスライムみたいなダンゴウオ。

ちょーっと思いつくだけで、これだけ変な生き物はいるんである。フリソデエビとキアンコウ以外は、私が逗子や伊豆で実際に会った生き物たちである。ダイビングしたって変な生き物が見られるワケじゃあるまいしって偏見は捨てていただきたい。……とゆうようなコトは、宮田さんはちゃんと分かっているんだから言うだけ野暮だと思うけど。何たってタイトルに“偏愛”とあるんだものね。偏見あるぞーと宣言してるようなもんである。

2006.4.19(Wed)

上手くは言えないんだけど。人にはいろんな事情や義務があるのは分かっているんだけど。「アレをしなくちゃいけない」とか、「これはムリだからああする」とか、「ああしてもイイし、こうでもイイ」とかじゃなくて。何ができるのかじゃなくて、あなたは何をしたいのかが、聞きたいな。私は。

2006.4.18(Tue)

食欲もあるし眠れるんだけど体調が悪いの。だって階段を駆け上がったりワケもなく走り出したりする気になれないんだもの。……とゆうのは贅沢な悩みでしょうか。体が勝手にエネルギーを発散し始めて「あれ? 私なんで走っているんだろう?」ってときが一週間に一度もないっつのは変なのですよー。

ところで。家でPCをいじる時間がめっきり減ってから、日記サイトへの巡回もホントにしなくなってしまった。読みたいなーとは思うんだけど、まずPCを立ち上げる気がおきない。立ち上げてもここの更新とメールチェックだけでおなかいっぱい、という感じ。代わりに、ダイビング日記やら自転車日記やらを憑かれたように読み続けてしまうコトが増えた。お気に入りのサイトがあってそこを定期的に覗くというより、「うおーダイビング話読みてえ! 検索だ! 片っ端から読んでくぜ!」といった感じ。

んで、こないだ山の店に行ったあと、急に登山話が読みたくなって検索検索をして辿りついたサイトに、ここしばらくハマっていた。何年もまともな山に登っていないのに、むしょ〜に登りたい山も見つけ(その人の日記から)、山岳地図も買ってしまった。友達に声もかけた。「アクセス悪いしね、登り始めが急らしいんだけど、とにかく展望が素晴らしいんだってー。山小屋も人気なんだってー。2,700mなんだけど、天気のいい日を選んで行こうよぅ!」とダダもこねた。富士がダメでもせめてこっちを!

まぁ7月下旬までは残雪があるらしいから、行くとしても秋。それまで熱が冷めないように祈るとして、件の登山日記を読んでいてふと思い出した文章がある。ダイビングに関する本に載っていたんだと思うが、ダイビングと登山が似ていると書いた文だった。他のスポーツと違って途中で止めるコトができない。初心者にも難しくないポイント(山)があり、とっつき易い。難しいところでは、それなりの装備と技術が必要となる。技術がないと死ぬコトもある。技術や準備が万端でも、天候の急変なんかで死ぬコトがある、等々。

なるほどなー、と思った。特に「最後に頼れるのは自分だけ」ってトコロが、似てると思う。こう書くとなんだか殺伐とした話のようだが、要は自分が大変な目に遭っているときには、一緒にいる人も大変な目に遭ってる可能性が高いってコトだ。器材の不調や体調不良なら、助けてもらえる可能性は高い。でも海の中でがんがん流れてて視界も悪くて、あるいは山で道に迷って雨に降られて……といったシチュエーションだと、同行者も同じ目に遭っているのである。ハッキリ言って「自分のコトで精一杯で他人を助ける余裕なんてない!」って場合は、多い。

もちろん技術の差で相当の差はつく。慣れた人の方が適切な処置を取れ、助かる可能性も人を助けられる可能性も高くなる。だから、練習する。山に関して何か言える立場ではないので(だって全然登ってないんだもの…)海について言えば、平常心ってのがホントに重要。私はもともと海が怖いのだ。最初の頃はちょっと波が立っているだけで、ちょっとうねりが入っただけで、ちょっと透明度が悪いだけで、あっという間に余裕がなくなっていた。それが回数を重ねるに従って、その状態でも楽しめるようにまで、なる。

楽しみながら練習して、練習が楽しくて、できるコトが増えていくのが嬉しくて。ときどき手に余る状況にぶつかって自分の技術の拙さに落ち込んでは再チャレンジ。そういう遊びが、私は好きなのかもしれん。

―――とか偉そうに言っといて、途中で死なないコトを祈る。死なないようにガンバるけど、どんなに上手くなっても死ぬ可能性はあるからなー。あと海も山もヤバいと思ったら入らない。この鉄則は忘れちゃダメだよなー。

2006.4.12(Wed)

生活を立て直さなきゃ!と思いながらもだーらだら。今日も今日とてDVD鑑賞。感想*3本分、行きまーっす。

■『ミスティック・リバー』。重たいけど好きだわ。これも全体的に暗い画面が多かったが、『マイノリティ・リポート』みたいに気にはならない。俳優の名前をちっとも覚えないので、見終わった後に「ティム・ロビンスって他に何に出てる人?」と思って調べてみたら、『ショーシャンクの空に』ですか! うわー印象が全然違う。老けメイクもしてるんだけろうど、それだけじゃないなあ。彼の存在感が圧倒的だった。これでアカデミー助演男優賞って聞いて「え? 彼が主役じゃないの?」と思ってしまったくらい。ああショーン・ペンの方が主役ですか。なるほど。

いやでもショーン・ペンも良かった。娘のために足を洗った悪党が、娘の死をきっかけにまたドロ沼に足を突っ込んでいく様子が。「あなたは王なのよ」と何もかもを肯定しちゃう妻の理屈も凄くて、あの夫婦はこれから更に更にドロ沼にハマっていくんだろうなあ。最後の手下どもを従えた(としか見えない)彼はまさに“王”。しかしだからって、これが“王”を肯定する映画だとは思わないぞ。彼はそのうちにケヴィン・ベーコン演じる刑事に捕まるんであろう。デイブが2度目に車に乗り込むシーン、1度目とほとんど同じに作ってあって「乗っちゃダメ〜!」と思ったよ。あと低所得者って設定の彼だが、いい家に住んでるなあ…。

■『素晴らしき哉、人生!』。これぞ甘々〜。「自分が居ない世界」が悉く悪くなってて良かったね! これで皆がよりハッピーになってたら、救いがない。まあ、居なくなったら世界が良くなるような人間だったら、そもそも天使が助けになんかこないか。悪役のポッター氏が自殺しようとしてても放っておくだろうもんね。最後に、彼の執事(?)が金を返しにくるんじゃないかと思ったけど、無かったなあ。執事ラヴの私としちゃ、残念。戦争があっても誰も死なないトコロも、甘い。けど基本的にハッピーエンド好きなので、甘々だなーと思いながら楽しめる映画。古いボロ屋を改装するのも、イイよね。白黒の画面とあいまって、そんな時代は知らないのに“古き良き”って感じがした。クリスマスシーズンに欠かせない映画ってのは、よく分かる(今はちょと季節外れだったわ)。

■『スウィング ガールズ』。前半タルくて、主人公の友子の性格が好きになれなくて、(いいからさっさと目覚めて本気になれよー)と思っていたのだが、自分の楽器を手に入れる辺りから面白くなって、ラストのステージは30〜40回繰り返し見てしまった。なんせ人が踊ったり歌ったり楽器やったりしてるのを見るのが大好きなのだ。最後の曲のときの皆はホントに魅力的で、友子のサックスも様になってきたし(ただし彼女のリズムの取り方はあまり好きじゃない。彼女の上手隣の子のが好き)、トランペットの良江の高音は『天使にラブソングを…』のシスター・ロバートの高音のように気持ちいいし、ドラムスの直美は貫禄あるし(彼女がリズムを刻めるのは腹筋ベルトのおかげなんだろうね? 1分間に60回、とか)、黒一点の拓雄くんは見ている方も嬉しくなっちゃうくらい楽しそうで、可愛い。そしてトロンボーンの関口さんの立ち姿のカッコいいコト! 客席の吹奏楽部の部長もイイ。うん、このラストのステージは皆いい人ばっかで楽しくて、シアワセになれるシーンでした。

2006.4.10(Mon)

8日の土曜日はまたまたKと一緒に伊豆に行ってきた。ホント、伊豆への回数券が欲しいくらいである。朝のうちは曇ときどき雨の予報のとおり、どんよりした空模様だったが、伊豆に近づくにつれ日ごろの行いがモノを言い、青い空が見えてくる。駅で一緒にショップのお迎えを受けたのは、こないだも一緒に潜ったTaji嬢。GWの海外旅行で200を達成できるよう、着々と本数を重ねているそうだ。今回も土日連続で潜るんだって。元気だなあ!

この日は夜にUやYと落ち合ってGWの予定をたてるつもりだったので、近めのポイントをリクエストし、去年の夏以来である富戸へ。ショップ近くの海はちょと波が高かったが、富戸の辺りは静かなもんだった。ただし沖の方には白波が。ぱぱぱとセッティングをしていると、Tさんがウエイトを何kgにするか聞いてきた。普通アルミのタンクを使う場合は、スチールの場合の+2kgだが11kgは重い。スチールで9kgってのは今の私にはちょと重めである。頑張ればなんとかなるかも知れない。「10kgでお願いします!」。

用意を済ませて海に入り、潜降ポイントまで水面移動。バディのKと「準備OK!」のサインを出し合って、潜降……。が、潜れない。しかし私は慌てなかった。だって私は潜降が上手くない。特にドライの場合は成功する方が少なくて、たいてい頭から強引に潜ってしまうのである。そこでヘッドファーストに切り替えたのであるが……あれ? まだ潜れない。下を見るとKが心配げに見上げている。さてどうすべえ。とりあえず水面で考える私。

初心者の頃は人を待たせてしまっているだけで焦って余計に潜れなくなったものだが、中級者になり、技術はともかく心臓だけは強くなっていたらしい。うーん全然潜れる気がしないなあーとりあえず落ち着けー呼吸を整えろーとやっていたら、すぐにTさんがぽっかり浮いてきて「1kg足しますか?」と言ってくれた。もちろん迷わず「お願いします」。後で聞いたら不器用な水鳥(ときどき見かけるよね? 水に頭だけ突っ込んで一生懸命空中で足をバタバタさせているの)のように潜れない私の姿を見て、「こりゃウエイトが足りてないや」と思ったそうだ。

重りが増えたところで無事に潜降を果たし(頭から)、落ち着いて周りを見回してみると――うわあああははは。春だなあ〜! とうとう春濁りがやってきて、海の色が緑になっている。薄暗い、ぼんやりとした水の中を進んで行くとまず出会ったのがカワハギのペア。背びれにひょろろ〜っと紐が付いているのがオス、とSさんがスレートに書いてきたので(うーむ今日は期待できないのかしらー。カワハギなんか普段はわざわざ書かないのにー)と思ったのだが、そうでもなかった。

サンゴの陰のベニイザリウオ。つぶれたラッパみたいな形のソフトコーラル(?)の中にはイソカサゴとコガネスズメダイ。ぼーっと白く浮かぶのはアジの群。その向こうから幽霊のように現れるミノカサゴ。ぼーっとしてたり幽霊みたいだったりするのは透明度が悪いからなんだけど。40分を超えた頃にSさんに「寒い?」と聞かれたんだけど、ウエイトが11kgも必要なくらいインナーを着込んでいたおかげで、「大丈夫!」と返すコトができました。寒がりのSさんはガッカリしていたけど。

潜った後は昼食。こないだのようにピクニックランチを広げようとしたら、どわーっと風が吹いてきて天気雨の通り雨。遠くでは落雷があったりしてこのまま悪化しちゃうのかと心配したが、避難した車の中で昼食を食べてお喋りしているうちに雲は通り過ぎてしまい、またもとのような晴天に。やっぱ日ごろの…(以下略)。ゆっくり休んでからの2本目は砂地へ。とは言っても回るコースが違うだけで、エントリー口は一緒。腰に喰いこむウエイトが重い。

2本目にもいろんな生き物に会えた。ビックリしたのはダイナンウミヘビ。最初Tさんが指し示したときは、巨大な貝柱か何かかと思った白い棒状のものは、砂から一部だけ見えていた胴体。そのかなり離れたところにダイナンウミヘビの顔がある。しかしこんなにデカいのを見たのは初めてで、これは本当にダイナンウミヘビなの? と思っていたら、Sさんがスレートに「ハモ」と書いてきた。胴体の方に水をぶつけてみると、頭がにょっにょっにょっ…と伸びてやがて全体が――うわ1.5mはあるよ! ハモ……いったい何人前あるんだろう……。

しかし後でログ付けのときに判明したんだが、これはやっぱりダイナンウミヘビだった。Sさん曰く「俺、普段見てるのが大人だと思ってたけど、今日のが大人なんだなあ!」。普段見るのって60cmくらいかな? とにかくこの日見たのとは胴体の太さからして違う。ガイドのSさんが初めて見たくらいだから、珍しいのかなあ。ダイナンウミヘビの顔って、ちょっと困ったみたいな表情で、デカいからって怖くはないんだけどね。迫力だった〜。

その他にもカイワリの幼魚や海草に隠れるアミメハギ、元気に泳ぐ月日貝(すんごい勢いで泳いでいったんでこれまたビックリ!)、目玉の寄ったナガレメイタガレイ、ひょこり顔を出してたモンガラドウシ(顔からカエルウオみたいなのを想像してたら、ウナギみたいな体をしてるそうな)、よくいるワリに久しぶりに見たコウベダルマガレイやダテハゼなどを楽しんで2本目終了。この日も前回に続いてほぼ1時間ダイブで、終わりの方になると寒い〜。1本目は平気だったが、体の冷えた2本目はやはり切羽詰ってしまったのだった。ホントに何とかならないものか。

今回のログはコチラ(151本目)とコチラ(152本目)。写真少々。

店に戻ってログをつけ、店に残るTaji嬢とSさんTさんに別れを告げて、帰路の途中でU・Yと合流。GWの予定はまだ「どうにかして日程を合わせてどこかに行こう(←仕事やらなにやらでそれぞれ都合があって、なかなか合わないのだ)」としか決まらなかったが、今年の秋に私の登りたい山には一緒してくれそうだ。富士山のリベンジはどうなるかなー。前回高山病で倒れた某が頑なに拒絶反応示してるからムリかしら。何とかその気にさせたいんだけどなー。つかその前に、体力作りしなくちゃね。

2006.4.5(Wed)

映画を観た後は、横浜に出て遅めのお昼と買い物ツアー。同行者のUとの買い物は危険である。1人で行くよりも楽しいし、1人なら見逃してしまう掘り出し物を見つけてくれるから、いい買い物ができる。しかし、1人で行くより金を使ってしまうのである。彼女は人の購買意欲をそそるのが上手いので、「これ、イイよね〜」と話しているうちに、いつの間にか財布を開いてしまっているのだ。

まず行ったのは、ダイビング器材の量販店。水中ライトにつけるリストストラップと、ゲージをBCDにつけるゲージホルダーが欲しかった。どちらも千円くらいの小物である。が、いつものように魚図鑑を物色したり新しい器材の品定めをしたりしているうちに、Uが欲しがっているデジカメがもう出ているのが判明し、顔馴染みの店員さんとずいぶん長い間立ち話。デジカメと小型のビデオカメラの性能を比較したり、マニュアル撮影の面白さを教えてもらったり。欲しかった2品の他に、ギアに落書きできるインク(?)も買う。

その次に行ったのは、山の店。チャリ用のバッグの品定めをするだけのつもりだったが、ここでも顔馴染みの店員さん(山男)に捉まってしまう。山の店には年に1度行くか行かないかなのに、しっかり顔を覚えられていて必ず話しかけられるのだ。「最近登ってる? ダメだよー、登らなきゃ」から始まって、いかに道具が大事か、軽いとかかさばらないとかで選んじゃダメか、を長々と聞かされたうえ、GWの涸沢を強烈にお勧めされた。「山には登らなくていいのよ、涸沢小屋まで行って雪山見て来いって言うの。テラスでビールでも呑みながら、登山者眺めてりゃイイのよ」。……あのぅ、写真見るとGWの涸沢小屋だって雪だらけなんですけど……。「6本爪のアイゼンつければ大丈夫」って…。

あと、今年再チャレンジするかも知れない富士についてもアドバイスをもらう。こないだ登ったときの話をして(「一応頂上まで行ったんですけど、天候が悪化してお鉢巡りができなかったのが心残りで…」)、キツかった?と聞かれたので「いや実はそれほどキツかった記憶はないんですよね。1人高山病になって、すんごくゆっくり登ったので」と答えたら、「ああ、1人ツブしちゃうと楽なんだよねー」と、ターゲットのツブし方を教えてもら―――アドバイスじゃないか、こりゃ。でもいいコト覚えた!

結局小型のザックを買ってしまった頃には、もう外は暗くなっていた。おかしいなあ。映画見て食事して買い物して、早めに家に帰るつもりだったのに。さて次はダイビング器材の量販店で話を聞いたカメラの実物を見に、ヨドバシへ。カメラもハウジングも置いてあったので、また説明を聞き、実物に触って……。ISO1600ってどんな世界なのー? マニュアル撮影したいんじゃなかったら、私が欲しいくらいだ。が、あいにく私は去年の秋に買い換えたばかり。

自分が買えないなら友達に買ってもらうのがいいと、「買いなよ」攻撃をしていたんだけど、Uの抵抗はなかなか激しい。ここでも「考えてみます」で場を離れようとしたら、決算期だから? 店員さんが「今買ってくれるなら3,000円引きます!」と引き止めてきた。ビックリ! その後、Uの交渉でハウジングも一緒に買うなら5,000円引きって話になって、手打ち。うひー、ヨドバシでそんな売り方みたの初めてだよー。カメラ買うなら3月末がイイのかしら。

歩き回ってまたおなかが空いてきたので、夕食を食べていたら、結局終電に近い時間にまでなってしまって、家に帰ったのは日付が変わってから。思いっきり遊んでしまったけど―――まあ、イイか。いつものコトだ。

2006.4.4(Tue)

先月、久しぶりに映画館に足を運んで、『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』を見てきた。最初に文句を言っておこう。まずは原作に。私は子供の頃、ナルニアシリーズが大好きだった。今でも魅力的な登場人物は多いと思うし、物語も好きである。ナルニアが、来る者を選び不要な者を容赦なく切り捨てる、その一点を除いては。そう、『さいごの戦い』でスーザンが切り捨てられたのを、私は未だに許すことができないのだ(スーザンの方が忘れたのだ、というのは違う。あれはストーリーのために登場人物が捻じ曲げられ、“忘れさせられた”のである)。

そして映画。その伏線へ向けてか、原作よりもスーザンの態度が悪い。原作では家に戻りたがってはいても、その反面タムナスさんを助けなきゃ、と言っているのに、映画では「戻ろう、戻ろう、だからさっき引き返そうって言ったじゃないの」の不平屋さんである。箪笥から持ち出すワケじゃないんだからコートを着ようと言ったのも、原作ではスーザンである。ルーシーには「退屈だ」とハッキリ言われてしまっている。

その他でも、原作では“英雄王”“正義王”という呼び名は、長年の治世で自然に生まれるものである。改心したとは言え、あの時点でアスランがエドマンドを“正義王”と呼ぶのは違和感がある。サンタクロースはビーバー夫妻にもプレゼントをあげて欲しかった。悪役に「お前たちの戦いではないのだから家に帰れ」とか言わせるな。etc.etc.

しかししかししかし。これらの文句を置いておけば。そして実際に置いておけるのだが、予想もしなかったくらい、面白かった。実はこの映画に、私はあまり期待してなかったのである。2匹目だか3匹目だかのドジョウを狙っているのは明らかだし、原作の文体もいかにも“児童文学”で、しかもディズニーだ。あの『LotR』を楽しんだ後で、満足できるハズがあろうかいやない、と思っていたのだ。が、私が間違っていましたすみません。まず冒頭のロンドン空襲でビックリさせられた。そして続く母との別れ……。げ、原作どおりではあるんだけど、こんなツラい状況設定だったとわ!

ピーターたち年長組のエドマンドに対する扱いもいい。そりゃ反発したくなるよなあ。タムナスさんはもうちょい小柄なイメージだったけど、映画の彼の顔もいいなあ。ルーシーが心を許しちゃうのがわかる。ナルニアの世界は『LotR』ほどこだわりが見えないし、真似っこ?と思っちゃうトコロも生物もあるけど、でもそれなりに美しい。ルーシーは、原作を読んで私が抱いていたイメージよりも、可愛い。ときおり兄たちや姉をからかうくらい、物事をちゃんとわかっている。私のキライな、後先考えない正論吐きじゃない。

動物たちもよかった。ビーバー夫妻は原作どおりキュートだし(ミシンの出番がないのは残念だったが)、フィリップの「もう年ですから」には吹き出してしまった。黒髪のセントールはなんでああピーターに忠実なんだかさっぱり分からないがカッコよかったし、セントール族の女性たちも魅力的。ところで原作で醜いとされているのは“女性が加わる戦い”限定だが、映画ではただの“戦い”で、女性が当然のように戦いに加わっているのは、時代の流れか?

そしてそして何より、映画のお手柄は魔女! 見終わった後に「タムナスさん可愛かった〜」と言う友達に、おそるおそる「あの、ゴメン……私は冬の女王が……カッコよかった…」と言ってみたら、彼女も「うん! カッコよかった!」と勢いよく同意してくれたので、そこでひとしきり魔女がいかにカッコよかったかを語り合ってしまった。最初のうちは(ん〜怖いガラドリエル様か〜)と思ってしまったし、衣装もなんか変な形だったので、それほど評価はしていなかったのだが……、春になってからの彼女と言ったら!

暖かくなったからか、真っ白だった彼女の顔にも微妙に血が通ってきて、どんどんキレイに見えてくる。石舞台では原始の女王といった風格だし、戦いのときの貫禄と言ったら、もうもう……! 雪が溶けたらそりはどうするんだという心配をよそに、堂々と手綱を取る彼女のなんと美しく恐ろしいことよ。そして2本の剣を操る彼女の殺陣のなんと見事に様になることよ。「力で戦ってる感じがしないよね!」「うんうん、相手の力を上手く受け流して利用してるのがわかるの!」「顔の前で2本の剣を平行に構えるトコがカッコよかった〜」と、褒め言葉にも熱がこもる。

そういえば、観終わったときは「何で?」だったのに、後から謎が氷解したコトもありました。「何でプリンじゃないの〜!?」「あの美味しそうなプリンが見たかった〜」と、友達と嘆きあっていたんだけど、帰宅してから確認した原作の後書きに、『ターッキシュ・ディライトは日本では馴染みがないので、プリンに変えました』と書いてあった。なーるほど。もともとがプリンじゃなかったのね! 「今はプリンじゃ魅力がないから変えたのかなー」とか、余計な気を回しちまったよ。でもプリン見たかった〜。

これ、残りのシリーズも撮るんだよね? 現金にもこの先が楽しみになってきましたぞ。うふふ、先に楽しみがあるってのは嬉しいなあ。

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