2007.2.21(Wed)

≪つづき≫

「ダメですか…?」「ダメかもしれませんっ」。私たちが目指しているのは江間いちごセンターで、初めて行く私にはそこまでの距離が分からない。しかし車はほんとうにちょびちょびとしか進んでくれず、私は半分諦めた。しかしさすがサービス業。Sさんたちは諦めなかった。「あっちの道の方が早いかも!」とわき道を抜け、やっと有料道路にたどり着く。時間は15時30分。

「16時まで? いや16時までに入ればいいんだよね?」。しかし有料道路も、詰まっていた。40分…45分…。「あと出口2つ!」。私はもうほとんど諦めた。どうやら少し先にSAがあるらしい。苺ソフトを売っているらしい。「仕方ないですねー。間に合わなかったらSAでソフト買って帰りましょうよ」。ここで不満そうな態度をとったら、ここまで一生懸命連れてきてくれたSさんたちに申し訳ない、と思ってそう言った。ら。

「何言ってるんですか! そんな簡単に諦めちゃダメですよ! 私は走ってでも行きます! 走って窓口に滑り込んで6人分のチケット買ってみせますから!」と勢いのいい台詞が返ってきてしまった。―――Tさん……好きだわ〜。でもホント、間に合わないと思った。だって江間の出口が見えたのが15時50分。いちごセンターは出口のすぐ近くにあるとはいえ、駐車場に滑り込んだのは55分ごろだったんじゃないだろか。入口には「入場受付は終了しました」の看板が出ていた。

が、Tさんは走った。入場受付の窓口にはまだ人も並んでいる。私たちも後を追った。Tさんがその辺をうろうろしていたセンターのおじさんに聞いたら「並んでみれば〜? ひょっとしたら入れるかもよ〜」と言われたそうな。ただTさんはそのおじさんに「まだ入れますよねっ!」と聞いたらしいが、その後「明日の入場は何時からですか?」と聞いた人は、時間を答えられて並ばずに帰ってしまったらしい。勢いって大事だなあ!

私らは、最後の最後のグループの先頭に入るコトができた。自分たちの車に戻って、先導係の軽トラについてビニールハウスの並んだ敷地を走る。走る。走る。……どんだけ広いんだ、このいちご園は。とあるハウスの前で車を降り、入口で練乳の入った容器を渡されて、さあいちごの楽園へ。入ってしばらくは私らともう一組くらいしかいなかったのに、後から団体さんが入ってきて、ちょと焦る。

イチゴその1イチゴその2

ハウスのいちご。まだ青いのもあるけど、食べ頃のもたくさん!

が、焦るコトはなかった。ハウスに最初に入ったのは私たちだったのに、最後までいたのも私たちだった。しかもTaji嬢と私はグループの中でも最後で、外からTさんが「お客さーん、閉店ですよ!」と声をかけてくるのを無視して食べ続けた。だって―――美味しかったんだもん! いちごセンターは5月頃までやっているそうだが、3月を過ぎると味がかなり落ちるらしい。まだ最初のこの時期のいちごが、一番美味しいいんだそうな。

これを42個…!やっと諦めて外に出て、へたの数を数える。入る前にTさんが「勝負しましょう!」と言ってたからだが、勝っても別に特典はない。結果は、42個で、私が優勝だった。「あの大きないちごを42個…!」。後からTaji嬢にからかわれたが、しかしTaji嬢も39個。3個の違いくらい、体格の差だ! 売店で、潜り仲間にいちごジャムのお土産を買って帰る。うふふ、嬉しいなあ。

しかしさすがに42個はキツかった。おなかを壊したりはしなかったが、ショップに戻ってログ付けをしても、まだいちごで腹が膨れている。「東京に着く頃には空くと思います〜」と、結局この日は食事もせずに帰京。ダイビングが終わったときから気持ちがいちごモードで、器材洗い場にグローブを忘れてしまったらしく、捜索をお願いしておく(←後日無事に見つかった)。Taji嬢はまだ次の日も潜るそうな。いつもながらタフだな〜。

ショップのバーベキューや鍋パーティーに参加したことはあったけど、いちご狩りは初めてだった。毎年行ったという報告を見て羨ましがっていただけに、今年は大満足! 楽しかった〜。

≪終わり。……さあ、次の旅だ!≫

2007.2.20(Tue)

≪またまたつづき≫

三連休の中日、11日の朝にはこれまた顔馴染みのE川さんがやってきた。天気は予報どおりに快晴。風は西。私もTaji嬢も潜る場所にはこだわらないので、ポイントは前日と同じIOPになった。E川さんのほかにMieさんも参加し、SさんTさんも含めて6人で車に乗り込む。天気はいいし前日から河津の桜まつりが始まっているしで、かなり道が混んでいた。

前日よりも賑やかなIOPに到着し、さくさくと準備。この日の1本目は2のまでの遠征である。とは言っても飛んでる感覚を楽しめる透明度ではないので、途中も遊びながら移動することになった。極小ウミウシ好きのTさんとTaji嬢は後ろで自分たちの世界を作り上げている。私とE川さんはSさんと一緒に先の方を泳ぐ。

終わった後にE川さんは「何にもいなかった」と言ったが、そんなコトはない。いなかったのは珍しい生き物だけだ。ミナミゴンベもいたし、ブチススキベラもいた。「撮って」と言わんばかりのオルトマンワラエビもいた。私がしばらく見とれたのは若いアオリイカの編隊飛行。何度見てもキレイな生き物である。それに2の根付近はソフトコーラルが美しい。色鮮やかだし種類も多いのだ。よく見ると海草だってキレイだし。

お昼休憩を挟んでの2本目は、近場の1の根へ。「見える範囲で好きなコトしてて」というのが唯一のブリーフィングだった。まぁ1本目みたいに別れてしまうと、片方が珍しいもの見つけても離れすぎて呼べない、という話からそう決まったんだけど。こうゆうのもけっこう楽しくて、ときどきSさんを確認しながら、私も自分の世界に没頭する――けどねー。見つけられないんだよ、これが。TさんやTaji嬢はどんな目をしているんだか。

最初の間、かなり長いこと浅瀬にいたので油断していたら、最後の最後になってDECOが出そうになってしまった。他の皆はもうちょい深めでアヤトリカクレエビを撮っていたが、私はパスだ。(皆がんばるな〜)と思っていたら、E川さんのエアが急に(?)危なくなったみたいで、急いで引き返す。浅瀬でもそんなにのんびりはしないで、そのままエキジット

今回のログはコチラ(205本目)とコチラ(206本目)。写真ありあり。

そうそう、この日は私のドライのファスナーを開け閉めした人が揃って「うわ、スゴい! 軽い!」と叫んでいた。前日塗った蝋が効いていたんだけど、あまりの効果に笑ってしまう。これからはこまめに手入れをしなくっちゃね。さ〜あ、急いで器材を片付け、車へ。なーんとなく1日急ぎ足だったのには、ワケがある。私らはこれからイチゴ狩りに、行くんである。

しかし。冷え込むと言われていたワリにこの日もぽかぽか陽気だった。車に乗り込んだ途端に、私もTaji嬢もE川さんも気持ちよく眠りこけてしまう。「間に合うかな…」「ヤバいかも…」。SさんとTさんのひそひそ声に目を覚ますと、車は、渋滞のドツボにはまり込んでいた。動かない。時間は15時を過ぎている。東の道は混むのが確実なので、あえて遠い西の、しかし大きいイチゴ園を選んでくれたのに、それが凶と出てしまうのか……?

≪つづく≫

2007.2.18(Sun)

≪つづき≫

なんだかこの日はやけにゆっくりした1日だった。1本目のダイブを終えて、風呂に入りつつのーんびりお喋りして、お昼を食べながらまーったりお喋りして。結局2時間近く休憩をしたのかな? 途中で排気バルブについて話したら、「ああグリースが切れたんだね。それだけ潜ったってコトだよ」と言われた。Taji嬢も先週同じ症状を起こしたらしい。1本目が終わる頃にボタンが戻るようになっていたので、後でグリースの塗り方教えてもらうコトになった。

コゲラ?コゲラ?

休憩中に軽快な音を響かせて木を突いていた―――コゲラ?

さて2本目は1のへ。1本目では不調だったドライの排気は直っていたし、耳抜きも調子よく「うひゃ〜ストレスのないダイビングって楽〜」と舞い上がる。TさんとTaji嬢は極小ウミウシワールドに突入。私も自力で何か見つけようと思って探したのだが、ムカデミノくらいしか見つけられなかった(葉山にごろごろ生息しているばっかりに、見飽きてしまってちーっともありがたみのない、可哀想なウミウシである)。くすん。

ところで1本目の潜水時間は56分だった。「ちょっと長かったね」とSさんが言っていたので、どうしても体が冷える2本目は当然短くなるのだと思っていた。なのに、最後の浅場に戻ってからが長い。安全停止に十分な時間が過ぎても、まだSさんは浮上する様子を見せない。な、なんで? 水温は14度。そう冷たくはないが、でもそれも40分までだ。そろそろキツいんですけどー。トイレに行きたくなってきたんですけどー!

「トイレ行きたい」サインを出すかどうか迷っていたとき、やっとSさんが何を待っていたのか分かった。こんなエントリー口に近い場所に、ダンゴウオがいたのである。赤くて肉眼でも表情のわかる、お手頃サイズ。1月にも会っているのだが、やはりカワイイもんはカワイイ。このときばかりは尿意も忘れて写真を撮り、撮り終わったところでやっとエキジット。なんと67分も潜っていた。

今回のログはコチラ(204本目)。写真もちょこっと。

IOPの菜の花IOPの春の芽

IOPの春。去年も似たような写真を撮った気がするが、気にしな〜い。もう春のお約束ってコトで。

ショップに戻ってログを付け、順番に温泉に入ってTaji嬢と夕食を食べに行く。いろいろ話しても最後はダイビングの話に戻る私らだが「結局私らってどこで潜っても何を見てもいいんだよねー。潜りさえできれば」ってのが結論みたいだ。SさんTさんに言わせると、そうゆうタイプが一番長続きするんだって。何か具体的な目標があって潜ってると、それを達成できないとツマラナイと感じてしまうそうな。私らはお得なタイプなんだな。

その後、ドライの排気バルブの分解方法を教えてもらう。けっこう色んなパーツが入っていて、自分一人でやったら最後に部品がいくつか余りそうで怖い。あと一部分サビていたのが気になる。Sさんは「オレらのに比べたらキレイなもんだよ」と言ってくれたけど、プロとは使用頻度が違うじゃん。それからファスナーに蝋を塗る。今まではドライ購入時についてきた潤滑剤を使っていたのだけど、なくなってしまったのだ。でも……蝋の方が効くんじゃないか? 塗った後、軽〜くなっていて驚いた。

その後、お泊まりの時のお約束で、SさんTさんTaji嬢とお喋り。次の日はまた別のお楽しみがあるのだ。

≪つづく≫

2007.2.17(Sat)

2月10日からの三連休には、また伊豆へ行って来た。またもや仲間全員にフラれ、たった1人での伊豆紀行。しかし私には勝算があった。たとえ天気予報が雨といえども今回は連休だ。しかも暖冬で暖かい。他に何人かお客がいるはず。その中にはきっと顔見知りがいるはず。こないだみたいな貸切にはならないはず!

ショップ最寄の駅に着くと、ガイドのTさんが迎えに来てくれていた。「今日はTajiさんも来るんですよー」。……へ? 顔見知りのなかでも、彼女は予想していなかった。いや去年しょっちゅう会っていて、初めての顔合わせからまだ1年経っていないとは思えないほど馴染んでいる彼女ではあるが、だって先週も来ていなかった? この季節に毎週の伊豆通いかい?

今年初めての顔合わせだったので「今年もよろしく」の挨拶を済ませてから聞いてみると「G.W.に海外で300本記念狙っているんでガンバってるんです」。―――ってあなた、去年も似たようなコト言ってなかった? 200本記念のためにって。年間100本とは凄すぎる……。年間50本でけっこうガンバっている気になっている私はまだまだ甘い(いやけどこれ以上は予算的にムリ!)。

IOPの桜結局この日の客は私とTaji嬢の2人だけ。え〜〜〜〜連休なのに〜〜〜? 客とガイドが同数というこれまた贅沢な人数構成で、向かったのは伊豆海洋公園、IOP。天気は予報よりもよくて曇り。しかも妙に暖かい。日曜は冷えるというので着てきたダウンじゃ暑いくらいだ。こないだは4分咲きくらいだったIOPの桜は、なんともうだいぶ散ってしまっていた。いくらなんでもちょっと気が早いんじゃないのか。

風は朝のうちは西、そのうち東という予報だったので、波が少しちゃぷちゃぷしている。そのせいか天気のせいか、連休なのにIOPに来ているダイバーの数自体が少なかった。おかげで余裕で席を確保し、のんびりセッティングをして、並ばずに海に入れる。Taji嬢は先週、私も先々週IOPに来ているので、目玉の魚はあえて狙わず、1本目は砂地で適当に遊ぶことにした。

水に入ると、あれ? ひょっとして海の中も気が早い? もう春濁り来ちゃってる? 透明度は10〜15m。悪くはないんだが、すこーんと抜けていた先々週からするとだいぶ落ちた。春っぽいふわふわした浮遊物が目立つ。去年は3月いっぱいくらいまで冬の海を楽しめたのに〜。やっぱり2月の後半にもう春濁りが入っちゃった一昨年の海は、年間通してあんまりよくなかったんだよなあ。同じパターンにならなきゃイイけど。

そのうえ潜降時からちょっとおかしいな、と思っていたんだが、ドライに異常が。ドライスーツには中の空気を抜くための排気バルブってのがあって、それをオートかロックの状態に切り替えられる。オートにしておけば余分な空気を勝手に排気してくれ、ロックの場合は手動でボタンを押さないと排気しない。慣れればロックの方が楽で、私はいっつもロックにしているんだが、このボタンが押した状態のまま戻らなくなってしまっていた。

つまり排気バルブのついている左手に空気が集まると、どんどん勝手に抜けていってしまう。ひーん。どんどん給気していかないと沈んでしまうので、入れて入れて入れて。まぁ抜けなくなるよりイイけど、何でだ。なるべく排気バルブに空気がいかないように、体の左側を下にして斜めになって泳ぐ。潜降してからしばらく耳が抜けづらかったコトもあって、久しぶりにちょいとストレスのあるダイビングとなってしまった。

今回のログはコチラ(203本目)。余裕がなかったため写真も2枚だけ。

≪つづく≫

2007.2.15(Thu)

昨日の雨は凄かった。会社を出た瞬間に急に台風みたいな降り方になって、たたきつける雨を傘で必死に防ぎながら、川のようになった道路を靴をびしょ濡れにして歩いた。家にたどり着いてホッとして靴を脱ごうとしたら、かがんだ私の肩越しにかなりの量の水がどしゃっと玄関の床に落ちた。うひゃあ! ……あービックリした。上着のフードに水溜めて歩いていたみたい。

さて。えらく久しぶりに書く気がする読書感想文*2冊分。まずは小林恭二の『短歌パラダイス ―歌合二十四番勝負―』。いやこれは面白かったです。短歌に興味がなくっても、へえ〜へえ〜と楽しく読める。歌合のルールも初めて知ったんだけど、さすが風情があるねー。チーム戦で、自分のチームの歌を応援し、相手チームの歌の瑕を突くする人を念人(おもいびと)という、とか。

この本は歌合合宿の記録で、1日目と2日目で対戦方法が違うんだけど、特に1日目の部分が面白かったのは、この念人たちのやり取りがしっかりと書いてあったからだ。へえそうゆう読み方があるのか!とか、うわ鋭いなー!とか、ときどきはかなりキツイ意見も出たりして、ぞくぞくする。2日目のは「〜〜という意見も出た」くらいでまとめられてしまっていたのが、残念だった。

こうゆうの、もっと読みたいなあ。私は歌をまずストレートに受け取ってしまうんだけど、その後の小林さんの「こう読んだほうが面白い」という読み解きとか、念人たちの攻撃や弁護とか読むと、ときどき“目から鱗”な感じだった。言葉に対する感覚の敏感さや鋭さ、言葉選びの確かさにも、参りました。質の高い批評ってのは、素人から見ても面白いに決まってる。

この中で私の好きなのは「まず燕来よつばくらめ来よ」の歌、「門」で詠まれた二首、神御衣の歌。ぱっと意味がわかる、あんま読み解きが難しくない歌がやっぱいいんだけど、でも「門」の「背にふくらむ」の背が、門の背じゃなくて自分の背だって読み方は“目から鱗”の一つで、説明読んだ途端に自分の抱いていたイメージががらっと一変したのが、ちょと快感なくらいだった。

*

2冊目は、ジェローム・K・ジェロームの『ボートの三人男』。方向性は全然違うけど、これまた面白かった〜。しかもビックリしたことに、ええええっこれって19世紀に書かれたもんなの? ちーっっっとも古くない! いやノスタルジックな雰囲気はあるんだけれども、内容が、話が、ちーっとも古くない。もともとユーモア小説を書くつもりで書いたんじゃないってトコロが、きっとこれだけ面白い理由なんじゃなかろか。

内容は3人の男と1匹の犬が舟遊びをしてるだけなんだけど、舟遊び(というか旅行)に行く理由から荷造りから通り過ぎる村々の様子から3人の会話から、どこをとっても上質のユーモアに満ち満ちている。これで「笑わせてやるぜ、ほーら面白いだろ?」臭をちょっとでも感じてしまったらもう台無しなのだが、そうじゃないんだなー。風景描写もよくて、イギリスで田舎町を旅したときの印象がぶわわわ〜っとよみがえりました。

惜しむらくは、最後がちょっと駆け足になってしまっているコト。通り過ぎる村の紹介だけでなくて、無駄話をもっと続けて欲しかったなあ。あと地図とか、川からの風景のスケッチなんかが入っていると、嬉しかったかも。ああでもこれは手元に欲しい本だわ。今でもどこかで買えるかしら。緑豊かな公園にあるオープンカフェでゆっくり読みたいような、そんな雰囲気の小説。

2007.2.9(Fri)

電車に乗って本を読んでいた。座席は全部埋まっていて、ちらほら立っている人もいる。そんな混み具合だった。どこかの駅に着き扉が開いたが、私の降りる駅はまだまだ先で、私は顔も上げずに本を読み続けていた。「空いてる席はありますか?」。男性の声がした。私がその声の出所を見つけるより早く、今度は女性の「どうぞ!」という声がした。顔を向けると、斜め向かいの席に座っていた女性が立ち上がって、扉近くにいた、白い杖を持った男性に手をかし、今まで自分の座っていた席に彼を誘導しているところだった。席に落ち着いた男性がお礼を言った。女性の席の隣に座っていたおじいさんが、どちらの連れでもないのに、やっぱり彼女に礼を言っているようだった。そのまた隣に座っていた20歳前くらいの兄ちゃんが、今度はその女性に席を譲ろうとした。40歳くらいで、まだ若い女性は、笑って断っていた。

不意をつかれて、ちょっと、涙が出そうになった。

2007.2.6(Tue)

1人で潜りに行った必然として、TさんやSさんとべらべら喋っていたのである。ダイフェスに行ったコトや、11月の海外旅行の行き先が急遽浮上して盛り上がっているコトなんかも話したんである。と、Sさんが言った。「あの辺って、危ないんじゃなかったっけ? 何か事件があったんじゃなかった?」。

―――やっぱり? 実は、そうなんじゃないのかとはうっすら思っていたのだ。ペナンに行ったときに(いつ行ったんだっけ……このサイトを始める前だったから、2000年とか、その辺か?)あの辺の治安状況について調べて、ペナンの側は大丈夫だと思ったのが、記憶の片隅に引っかかっていたのだ。今度行きたい場所は、大丈夫じゃない側ではなかったっけ……?

不安になった私は、一緒に行く予定の仲間にメールを打った。「そうゆう悪い話を聞いちゃったから、各自調べて欲しい」と。そして帰宅してから自分でもインターネットで調べまくった。結果は―――う〜ん、微妙〜。外務省の情報では、一応危険度2になっている(危険度は4段階。一番上だと退避勧告)。

むか〜しインドに行こうという話が出て、取り止めたコトがあったのだが、その時の危険度は3だった。たしか赤痢か何かが流行っていたのだが、後から考えると惜しいコトをした。あんな長期の旅行は滅多にできなかったし、てんでばらばらなトコロに行きたがる私たちの希望を満たすツアーってのは、あれ以来見たコトがないからだ。

となると、この外務省の情報をどこまで信用するか、になる。これが当てにならないという話は、何度か聞いたコトがある。それに私たちが行ける範囲の国、東南アジアのかなりの地域は、危険度1か2に指定されているんである。それに今警告の出ない国に行ったからといって、このご時勢ではテロに遭わないという保障はない。……むー。じゃあこの警告はいつから出てるの? 最近も事件は起こっているの? 実際に行った人の感想は?

こうゆうとき、インターネットがあってよかったなーと思う。ちょっと探せば個人の旅行記がぞろぞろ出てくる。外務省の情報を頼りに行き先を変えた、という人もいたが、行った人もたくさんいるみたいだ。いくつのも旅行記にざっと目を通したが、どれも「治安は事件後よくなっている」「治安が悪いと聞いていたけど、そんな感じはしなかった」というものばかりだった。他にもちょこちょこ調べての、私の結論は「GO」。当然の警戒は必要だろうが、他の東南アジアに比べて、特別危ないというコトもないようだ。

よっぽど運が悪ければ事件に巻き込まれるかもしれんが、それはどこに行っても同じだろう。私は大丈夫だと判断した。正しいかもしれないし、間違っているかもしれないが、あとはもう結果論だ。いっとき不安になったけど、今はもう10ヶ月先の旅行が楽しみで仕方ない。青い海、素朴なリゾート。わお。

駄菓子菓子。同行者が1人でも「不安だ」と言うのなら、旅行先は変更するつもりです。同じ情報を見ても、例えば「警備員がいる」という情報を得て、それで「警備員がいるなら安心」と思うか「警備しなきゃいけない場所なんだ」と不安になるかは、人それぞれだもの。不安を抱えて行かなきゃいけない理由はない。

2007.2.4(Sun)

さてさて28日、日曜日。寝不足でヘロヘロだというのに5時半に飛び起き、20kgもある荷物を引っ張って駅へと急ぐ私。我ながらよくやる。しばらく前からこの日の予報は雨で、こりゃこないだみたいになるかなー、今年の潜りは幸先悪いわーなぞと思っていたのですが、曇天とはいえ何とか降らずに済むんじゃないか、という空の色。今回はツレがいないのがちょっと寂しいです。

電車を乗り継ぎ、伊豆のいつもの駅に着くと、ガイドのTさんが笑顔で迎えてくれました。なんとこの日は他のお客さんはゼロ。つまり私の貸切なのでした。うわ〜こんなの久しぶりだ〜! ショップで準備を済ませ、オーナーのSさんも加わった3人で、ポイントのある伊豆海洋公園(IOP)へと向かいました。ゲスト1人にガイド2人って……う〜ん、贅沢。つか、正直言うとちょっと申し訳ない気分になります。私1人のために2人がかりで……って。

さてIOP。この日の気温は肌寒いくらいでしたが、気の早い桜(河津桜?)がもう開きかけています。まぁ今年は暖かいからなー。ダイバーズエリアには、夏や秋ほどではないですが、大勢のダイバー。スペースはほとんど埋まっていました。「昨日は天気よくて暖かかったけど、ちょっとうねりがあったんだよねー。今日の海はいいよー」と言われエントリーポイントに目をやると、おお、ホントに静かな海。安心して入れそうです。

もたもたと支度をして(って別に私は支度が遅いワケじゃないんですが。でもプロにはかないません。他にお客さんがいないと、自分がえらくグズになった気になります)器材を背負い、前日に買った安グローブをはめてエントリー。水面移動をしているときは(あれ? そうでもないかな?)と思ったのですが、潜降してみると素晴らしい透明度でした。優に20mは超えています。陽の光さえ差し込んでいれば、30くらいあったんじゃないでしょうか。

こうゆうときは2のです。遠いので根に着くまで中層を泳いでいくのですが、下にな〜んにもない感じで、飛んでいる感じが味わえるのですよ。この日はうねりも流れもなく、遠くてもゆったり泳いで行けました。根の向こうはちょっとしたドロップオフになっていて、クロホシイシモチやタカベやイサキが群れています。中にはレンテンヤッコやルリハタの鮮やかな色も見えます。

根からはぐぐっと水深を下げ、コブダイの子供(とは言ってもけっこうデカい)に付きまとわれたり、壁のウミウシを撮ったりして遊びます。途中でSさんが「ここで待ってて」の合図をして、たぶん30mくらいの深さまで下りて行きました。つられて潜ってしまわないようにダイコンをちらちら見ながら、私はその上空をついていきます。Sさんの探し物は見つからないようでしたけど、ここでもまた飛んでる感覚を楽しめました。

ここまで透明度がいいと魚がいなくてもそれなりに楽しいのですが、この日は魚も賑やかでした。つか、海も暖冬? 秋の魚がまだ生き残っています。1の根のクマノミ城にはクマノミの赤ちゃんも、ミツボシクロスズメダイもいました。水温も15度。こないだに比べれば3度も上で、全然寒くは感じませんでした。……40分くらいまでは、ね。15度でも1時間は長いよ!>Sさん。

お昼休憩を挟んでの2本目は、1の根から砂地を回るコース。ちょっと珍しいタツノオトシゴの1種が最近の人気者だそうで、ちょいと会いに行ったのです。途中でイロイザリウオも撮り、砂地に来ると先着ダイバー2グループが輪を作っていました。けっこうな人数がいたので長時間待つかと心配しましたが、意外にあっさりと散ってゆきます。あとでSさんに聞いたのですが、2番目のグループのガイドさんは、その目当てを見つけられなくて、ヤマドリの子供を指して誤魔化していたそうです。

それもムリはないと思われるくらい、すんごく小さなタツでした。どんな形なのか分からなかったので、それらしき姿を探したんですが、私が見つけたのは小さなタツノイトコでした。Sさんが見つけた目当てのタツは海草の中に隠れていて、しかも箸の先くらいに小さい! これは写真はムリだろうなあ、と思いながらも一応カメラを構えたら、Sさんが周りの海草をどかそうとしてくれました。

が。人目にさらされていい加減ストレスが溜まってしまっていたのかも、しれません。Sさんが海草を持ち上げた途端に、そいつは砂地の上をすぐ隣の海草の塊まで逃げて行ってしまいました。おかげで全体像はよく見えたけど、Sさんは「生き物を動かしちゃダメだっていつも人に言ってるのに、オレがやっちゃったよ……」と落ち込んでしまいました。私の写真は全滅でしたが、マクロレンズを使って撮ったTさんの写真には、肉眼ではわからなかった模様や顔までちゃんと写っていました。……写真で見た方が、カワイイ。

その後砂地をうろついて(ウチワザメを探していたらしいが、これもまた見つからなかった)DECOが出そうになったところで浮上を開始します。透明度がいいと自覚のないままに深場に行ってしまうから、危ないなあ〜。Sさんが「DECO大丈夫?」と聞いてきたときに、私に残っていた無減圧ダイブ可能時間は3分だけでした。いつものように5m付近の浅瀬で安全停止もして、エキジットします。

今回のログはコチラ(201本目)とコチラ(202本目)。写真ありあり。

とにかくの〜んびりできた1日でした。1人で夕食を取るのは寂しいだろうから、とTさんSさんに誘われ、夜もご一緒。ログ付け後、私が温泉に浸かっている間にTさんが食べきれないほどのおでんを作ってくれました。うま〜。おっと、それからこの日は今年初めての伊豆だったので、お店のカレンダーをもらいました。ゲストの撮った写真で作るカレンダーで、6枚しか採用されてないその中に、私のカシワハナダイも入っていました。かなり嬉しいです(……カジキの写真を入れられれば、もっと嬉しかったですけどね……)

2007.2.2(Fri)

長らくサボって……とは言っても10日か。ずいぶん長いコト日記を書いていなかった気がします。平日は私生活がほとんどない状態だったから、長く感じてしまったのかしら。

遊びで忙しい場合は、1日が短く感じてあっという間に時が経ってしまったように思えても、思い返せば「あれもやった、これもやった。……なーんだ、別に短くなんかなかったじゃん」と思えるのに、仕事で忙しいときはその逆ですね。1日がやけに長くて、振り返ると何にもやっていなかった気がします。―――って、つくづく仕事人間にはなれんタイプですわね。

で。キリギリスとしては、何もやっていなかったワケじゃないのを書いておきたい。忙しくってもちゃんと遊んでいたよ!>未来の私。まずは先週の土曜日、1月27日は、冬らしからぬぽかぽか陽気の中、ダイバー仲間2人とビッグサイトでやっていた≪ダイビングフェスティバル2007≫に行って参りました。前に行ったのは―――えーっと、2年前ですね。

前回はブースを出してるショップからタダ券をもらっての入場でしたが、今回からは入場無料! さぞや賑わっているかと思いきや、あれ? どうも規模が縮小されているようです。入場無料になったのも人が来ないからなのかと疑いたくなる。まぁ私はお目当てのメーカーの商品が見れればそれでイイのですけれど。あと今年末に行く海外ツアーの目安なんかも、つけられたらイイな。

―――が。2度目なせいもあってか、全体を回るのに2時間半くらいしかかかりませんでした。もう少しイベント上手な人が仕切ればいいのになあ。どこに何があるのか分かりづらいし、行ったときにはステージでどこかの海底遺跡のスライド見せていて、それは面白そうだったのに、いつの間にか下手な歌が始まって五月蝿くて仕方ないし。メーカーの人の説明が聞こえないっつーの。

お目当ての商品(WDのウィンターグローブ)はかなりイイ感じだったのですが、量販店のブースで売っていた安いグローブをついフラフラと購入。WDの3分の1もしない値段だったので、試しに。ついでに妹に買ってあげると約束していた、カメラ用のフックも購入。この場では買わなかったけど、TUSAの出していたドライスーツ用インナーも買おうと決めました。軽くて温かそう。

「海外ツアーのブースがあんまりないね」と話していたら、最後の最後になってつかまったブースで、とあるツアーの案内をもらいました。隣のエジプト紅海のツアーも魅力的だったけど、皆が忙しい現状ではちょとムリそうです。ホントはモルディブに行きたいけど、こっちも日数的にムリ。長くても6日となると、東南アジアかサイパン辺りかに限られてしまします。

会場を出て昼食を食べながら話しているうちに、なんだかどんどんそのツアーが魅力的に思えてきてしまいました。お? おおお? いいんじゃないいいんじゃない? ちょっと行っちゃう? 行き先や旅行社についてのリサーチは必要だけど、考えちゃう?―――実際行くのは10ヶ月も先なんですけどねー。盛り上がっちゃったものはどうしようもありません。

食後、2月末のスキー旅行のためにスキー用品見に行きたい、という私の希望で、神田まで移動します。ところでさっきツアーの案内をくれた旅行社の事務所も、神田にありました。イベント中は落ち着いて話を聞ける状態ではなかったので、ちょっと寄っていくかと事務所を訪ねたら、「わざわざ来てくれたから」と1500円のガイドブックを無料でもらってしまいました。ホントは買い物のついでで寄っただけなんだけど。ほとんどの社員さんはダイフェスで出払っているそうで、詳しくは後日担当からってコトになりましたが、でも事務所の様子を見られたのは良かったです。

さてその後行ったスキー用品の店でも迷う迷う。私はここでもやっぱり、グローブを購入しました。今使っているのは慌てて買った安物だから、防水加工が全然効いてないんですよね。ただ、店員さんの話によると「転ぶならどんな防水加工がしてあろうと濡れる」らしいですけど。友人らも買い物をしたので、結局20時過ぎまでお買い物。さすがに足が棒になりましたよ。

それから飲みに行って、お茶しに行って「明日があるから」と解散。そう、次の予定は今年初の伊豆でのダイビングです。朝の6時前には家を出なくちゃなりません。……生き急いでるなー。

ところで―――緊縮財政はどうしたよTo-ko!←自分内では新パソを諦めるコトで折り合いがついているらしい。←いいのかそれで。←いくない。←いくない。 よくない。

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