2006.8.31(Thu)

≪つづき≫

昼食休憩を挟んでの2本目。レンズカバーも押したら直ったので、今回は写真を頑張るぞ〜と勇んで海に入ります。そして砂地で探したサンゴタツ。行ったらちょうど他の人がサンゴタツにカメラを向けているところでした。不安げに振り返りながら砂地をちょこちょこ歩く姿は、哀れを誘います。自分らも写真を撮りたがってるんだから言える立場ではないんですけど。その人が「どうぞ」と譲ってくれたところで、砂地を這ってサンゴタツへ近づきます。

タツはやはり何かに掴っている方が落ち着くんでしょうか。私らがある程度近づいたところでTさんが「そこまで」のサインを送ってきました。そしてサンゴタツの近くに、落ちていた棒を差し込みます。しばらくじーっと見ていると、そこに尾を巻きつけて落ち着くサンゴタツ。そこでやっと「近づいてよし」のサインをもらい、驚かさないようにそろそろと近づいてカメラを―――げっ! 液晶が暗くなって「バッテリー切れ」のサインが! 何なんでしょう、今日は。写真を撮るなという天の声なんでしょうか。

滅多に逢えない生き物ばかりなのにー。ぶー。……とふてくされていても仕方ありません。気持ちを切り替え、それからは照明係に徹します。他の人がカメラを向けた生物にライトを当てて撮りやすくしてあげるのです……くすん(←そう簡単に気持ちは切り替わりませんね)。あと見たのはタツノイトコやアミメハギ、小さなコウベダルマガレイに遠くにかすんだトビエイ。浅瀬ではまだ模様のはっきりしないチャガラ(yg)の群。2本目の方がちょっと冷たく、透明度も落ちてしまっていました。

今回のログはコチラ(177本目)。バッテリー切れのため写真なし。

2本を楽しんだ後はまた時間をかけてショップに戻ります。黄金崎の駐車場を出発するとき、皆がソフトクリームを買い込んでいたのに私だけ缶コーヒーを飲んでいたら「大人〜」と言われましたが、それはね、ショップに戻ってビールを飲むつもりだからなのですよ。半分うとうとしながらまた喋り続けてショップ到着。この日のうちに帰る私らだけは器材を干して、皆と一緒にログ付け。Taji嬢と9月の連休での再会を約束します。そして清算。

……なのですが。今まで書いてなかったかな? このショップには、1本潜ると1つスタンプを押してもらえるカードがあります。スタンプが20個貯まるとオリジナルTシャツがもらえます。……が、私のように行き続けているとカードがすぐに貯まってしまうのですね。1枚目のカードでグレイのTシャツを、2枚目では白いTシャツを、もう私はもらっていました。3枚目になったとき「もうTシャツはいらないよね」とポロシャツを作ってもらい、3枚目のカードをいっぱいにした人はポロシャツをもらえるコトになりました。

そして今回のダイビングで、私は4枚目のカードをいっぱいにしてしまったのですね(1枚目を除き、全部私が一番のりしているらしい)。「4枚目ですねーどうしましょう」と聞かれ、今までお願いしたいなーと思いながら遠慮していたコトを、私はお願いするコトにしました。「モノはいらないから講習してください」「講習?」「うん、マスク脱着講習」。実は経験本数が180本に迫る現在も、私はマスク脱着ができる自信がありません。情けないのでいつかどうにかしたい、と思っていたのです。「他にお客さんがいなくて海況もいいとき(←じゃないと怖いから)に教えてください!」。

この話、Tさんには先にしていたのですけど、Tさんは「そんなのSさん大喜びで教えますよー。To-koさんたちは皆教えれば上手くなるから、上手くしてあげたくて仕方ないんですよー」と言ってくれていたのです。何度も書いたとおり、このショップに初めて行ったときの私らはヒドかったですからね。Tさんの読み通り、Sさんは満面の笑みで「OK!」と言ってうくれました。やった! Cカード取得のときにパニック起こしたトラウマからずーっと苦手意識があって、最近はやればできるような気もしていたんですけど、いきなり試すワケにもいかず困っていたのですよ。マスク脱着を考えるとまだドキドキするけれど、ちゃんと教えてもらって克服だ!

手打ちになったところで、駅まで送ってもらいます。お泊り組は回転寿司の店に連れ立って出かけていきましたが、私らは駅の近くの中華屋であっさり済ませ、帰路へ。予定外のお泊まりダイブでしたけど、やっぱりのんびりできて楽しかったです。これから連休のある月が続くので、毎回来ちゃおうかな〜。ふっふっふ。

2006.8.30(Wed)

≪つづき≫

気持ちよく目覚めた26日、土曜日。顔を洗ってTさんの手作りパン(チーズパンとあんパンの2種類も焼いてくれた! うま〜。)に買ってきたサラダとスープで朝食を済ませます。うーん、やっぱり泊まりは朝のんびりできてイイなあ。この日は珍しく(というとSさんTさんに悲しまれますが)お客さんがいっぱい。前泊していたのが私ら含め5人、プラス電車でやってきたお客さんが6人! 11人のうち10人が女で、1人だけの男性がちょっとかわいそうでした。電車組の中にはTaji嬢もいます。「また会ったね〜!」

この日の天気予報は変でした。東伊豆は東の風、西伊豆は西の風……。どっちにしろあまりよくないという意味です。東の沖に低気圧があるので東は波が高いかも、という理由で、西伊豆は安良里、黄金崎に行くことに決まりました。車2台に分乗して出発〜。車中でUから、スーパーマンは地球の周りを飛び回っていたワケではなくて、あれは地球を逆回転させていたんだ、と教えてもらいました。なるほど!(……って納得してイイのかしら?)

喋りとおして2時間弱。久しぶりの黄金崎に到着しました。空は今日も曇っていますが、海は思っていたより静かです。てゆうか、ベタ凪。さっそく準備をして2グループに別れ、水に入ります。あまりレベルに差がなかったらしくグループ分けも適当で、前泊組5人がTさん組になりました。ここは全体的に浅く、ゆっくりできるポイントです。透明度はいいところと悪いところでかなり差がありますが、浅いので光が入って明るいのがイイですね。

今のシーズン、海は幼魚たちが賑やかです。砂地をしばらく行くと、体長1.5cmくらいの小さ〜いウミテング! うっわーカワイイ! こんなちっちゃなの見たことない!と、喜び勇んでカメラを取り出しましたが……あれ? なんか変だ。真っ暗な液晶に一筋光が映っているだけ。確認するとレンズカバーがうまく開いていません。ナゼ!? オンオフを繰り返してみたけど、カバーがちょっと開いたところで引っかかってしまう状態は変わらず、結局この回はカメラをあきらめました。

途中でイザリウオを見たりしながら、砂地へ。砂地にはお約束のサビハゼですが、ここにはコロニー?と聞きたくなるくらい大量に群れています。ちょっと気持ち悪いくらい。名物のネジリンボウは引っ込んでしまっていて見られませんでしたが、小さなミジンベニハゼには会えました。一緒に潜った女のコ2人がミジンベニハゼの撮影に夢中になっているので、カメラなしの私は邪魔をしないように後ずさりし―――。

後ろの砂地で前日習ったフィンピボットなぞ練習してみます。Sさんに「BCDのストラップを緩めて重心を下に持ってきてみたら?」と言われたので、その通りやってみると……おっ、できる! できてるじゃーん。と、喜んでいたときでした。視界を白いものがよぎりました。わ、イワシだ! 書き忘れてましたが、この日もイワシの群は数度見ていました。見上げるたびに私と水面との間をイワシの群がよぎっていたくらいです。が。

今回のイワシは近かった! こないだもイワシのトルネードに逢っています(日記にはシラスと書いてあるけど、イワシです)が、あのときは私たちのグループ全体をイワシが巻いた感じでした。壮観で気持ちよかったけれども、イワシの渦と私らの間には数mはあったと思います。しかし今度のは近い。だってイワシの群が、振り向いた私の前方で2つに分かれ、私の後ろで合流してまた1つの群となるのです。イワシとの距離は1mもありません。手を伸ばしたら届きそうなほど。網を持っていたら取り放題。

いやもうホントにどう言ってイイのか……。気持ちがいいからか自分でもびっくりするくらい完璧な中性浮力が取れます。フィンの片方だけを砂地に軽くつけてバランスをとり、もう片方の足を組んで空気椅子みたいに座り、腕組み、なーんてコトまでできます。そのまま視線は前で分かれ、横を、上を通り過ぎ、後ろで一緒になる群を追いかけます。もう、もう、この群は私の群! ……だって、群のド真ん中にいたのは私だけなんだもーん。

ミジンベニハゼの撮影が長引いていたおかげで、私も思う存分イワシと戯れていられました。いやしかしどれだけの大群だったのでしょう。相当長い時間見ていたと思うけど、全然途切れる様子がありませんでしたよ。この後も巨大コロダイやコブダイの幼魚(成魚と全然違う)なんかを見たのですが、イワシの興奮覚めやらず、陸に戻ってからも顔が緩みっぱなしでした。

今回のログはコチラ(176本目)。カメラ不調のため写真なし。

≪つづく≫

2006.8.29(Tue)

いろいろと事情があってやむを得ず(←ホント)休みを取り、金曜日から土曜にかけて伊豆へ行ってきました。同行者はY。いつもと同じ時間の沼津行きは、さすがに平日で空いています。すぐに座れた座席で朝ごはんを食べ、お喋りをし、そしてテキストを開いてお勉強……。そう、5月20日にディープ・ダイブをやってから3ヶ月目にしてやっと、2度目のアドヴァンス講習を受けるのです。この日選んだのはピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー(=中性浮力)とナビゲーションです。

ショップには前日から泊りがけでアドヴァンスを取っているという、K池さんがいました。彼は前日に中性浮力とナビはやってしまったそうなので、今日は別々の受講になります。K池さんはSさんについてディープとナチュラリスト(水中生物の観察)、私たちはTさんに教えてもらいます。ショップで簡単なレクチャーを受け、車に乗り込んで向かうは富戸。最近続いていますが講習なので仕方ありません。空は残念ながら曇っていました。

正直、中性浮力はそんなに難しいとは思っていませんでした。だってほぼ取れていると思っていたんですもん。でもやってみると、これが意外と難しかったのです。まず最初のフィンピボット(肺での浮き沈みを確認する、中性浮力初歩の初歩)ができない! フィンを支点にして上体が浮き沈みする状態にならなきゃいけないのに、息を吸うと上体より先に足が浮いてしまいます。私の肺は足にあるんじゃないかと思ったよ! おまけでOKをもらいましたが、最初に躓いたのでちょっと凹んでしまいます。

次にBCDにちょっとだけ空気を入れて、中性浮力を取って水中でホバーリング。これもまた難しい。上手い人がよくやっているように、座禅を組んでぴたっと止まってみたかったのですけど、やっぱり足が浮くのです。足を下に持ってこようとするとひっくり返ってしまう。きちんとしたポージングは取れなかったのですけど、これもおまけで合格をもらいました。うーん、落ち込むなあ。

さて次はフラフープくぐり。中性浮力を取ってフラフープに近づき、どこもぶつけないでくぐり抜けなくてはいけません。これも、思ったより難しかった。上半身はいいのです。が、どうしても足がぶつかる。やっぱり上体よりも足が浮き気味の姿勢になってしまっているようです。2回失敗して、3度目。なるべくフィンを動かさないように、細かなキックで進むようにして、なんとか切り抜けました。Tさんが大きく拍手をしてくれます。うふふー。

難しかったけどこれは面白かったです。やればできる!という感覚があったので、負けん気がむくむくとわいてきて「もう1度」「もう1度」と挑戦したくなるのです。できたときは嬉しかったな〜。時間があったので、フラフープを潜って同じ水深でぐるっと周り、またフラフープの前に帰ってくるというのもやりました。Yがフラフープを引っ掛けてしまって、それに気づかずに重りごとフラフープを引きずっていってしまったのには笑いました。それじゃいつまでたってもフラフープに戻ってこられないってばー! 笑いすぎて息はできないわ、マスクから水が入ってくるわで死ぬかと思った。

そこまでやって講習は終了。海底からの距離を一定に保つ練習をしながら、陸に戻ります。最初はどうなるかと思ったけど、面白かった〜。陸にあがって「足が浮いちゃって……」という話をしたら、Sさんに「重心が上にありすぎるんじゃないか」と言われました。ウエイトをベルトではなくBCDのポケットに入れているせいなのかもしれません。お昼休憩に2本目について相談。ちょっと流れがあるのでナビ講習には向かない、とのことなので、迷うことなく「じゃあ講習やめます」と答える根性なしの私たちです。

つーワケで、2本目はファンダイビング。講習だと思ってカメラをショップに置いてきたのが悔やまれますが、まぁたまにはカメラを持たないのーんびりダイブもいいものです。中性浮力のおさらいもできるしね。水に入ってすぐくらいにゴマサバの群、イタチウオにコガネスズメダイ、オオモンハタにキンチャクダイ。オハグロベラはケンカ中です。スズメダイやキンギョハナダイの幼魚もカワイイ。あと最近いわしの群がすごいです。食べるにはまだ小さいけれど、これだけたくさんの群を見ると、漁獲量も増えてくれないかなーと期待してしまいますな。

今回のログはコチラ(174本目)とコチラ(175本目)。写真なし。

ショップに戻ってログ付け&講習の答え合わせ。前回やったディープのテキストをやっていなかったので、K池さんと一緒に復習させてもらいました。そんなこんなをしているうちに、時間は18時を回ります。K池さんを見送った頃にはもうおなかペコペコで、次の日のダイビングのためにやってきたUを加えて、地魚の回転寿司を食べに行きました。お手ごろ価格でなかなか旨し。

翌朝はTさんお手製のパンが振舞われるはずです。それに合わせたおかずを買い込み、ショップに戻って温泉に入ってのーんびり。遅くにやってきた女の子2人(見覚えあり。たぶん以前会っている)とSさんと一緒に、0時近くまで喋りまくってしまいました。次の日ゆっくりできるからって、調子に乗りすぎ。海に一番近い部屋で、波の音を聞きながら眠りにつきました。

≪つづく≫

2006.8.28(Mon)

『スーパーマン リターンズ』を見てきました。『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』で予告編を見なければ、作られているコトさえ知らなかった映画です。先週――日曜だったかな。TVで昔の映画の後半だけ、見ました。今まで何本の映画があったのかも知りません。そして私の脳はホントに老化しているのかも知れません。映画館に入ったときは(げっ! 2時間半もあるの?)とイヤな予感に胸を打たれましたが、飽きることなく楽しんでしまいました。映画館を出たときの顔の緩み具合は『デッドマンズ・チェスト』よりヒドかったかも。

悪役のレックス・ルーサーが『腕力より知力だ』とか言っているのに、そんなコトないよーん腕力だよーん!とばかりに、笑っちゃうくらいの怪力振りを発揮するスーパーマン。ビバ腕力! なんか彼って他のアメコミヒーローに比べてマヌケでいいです。社会と全然かみ合ってない。バットマンはゴッサムシティにいるからいい(←社会と合っている)んだし、スパイダーマンはヒーロー活動と日常生活の両立に苦しんでいる(←合わないから大変)。スーパーマンはその辺無視!です。合わなくっても気にしない。いっくら仕事を抜け出しても素顔をさらしても、お約束だからバレる心配はないのです。社会が発展すればするだけ、その落差が際だって間抜け度はアップしていくことでしょう。

んー、しかしこの立ち位置は何かに似ている、と思えば、それは『ミスター・インクレディブル』なのでした。そういえば変身したときの体形(変身した途端に妙にむちむちするのも、また笑えます)もコスチュームも似ているなあ……あっ長いマントはダメダメ。エドナにコスチュームデザインをしなおしてもらわなくちゃ! とか、ついつい思ってしまいましたよ。カメラの前で車を壊したら訴えられちゃう〜!とかも。

一番笑ったのは彼が病院に運び込まれるところ。当たり前のようにコスチュームを脱がされていて、おおあれって脱げるんだ!とビックリしました。まぁ脱がなきゃ子供は作れないか。しかしいつの間に……。彼がどこかに行っていたのも知らなかったし、やっぱこないだTVでやってたのとは別の作品があるんだろうなあ。昔のをレンタルショップで探してこようかしらん。終わった途端に後ろの席のコが「何も考えないで楽しめる〜」と言ってましたが、同感。見た翌日には何にも残らない潔さですよ!

2006.8.24(Thu)

ピーコ『ピーコ伝』(聞き手:糸井重里)読了。ピーコさんが長く喋っているのを聞いたコトは全然なかったので、面白い……というかカッコいい人だったんだなあ! と初めて知りました。自分なりの価値観、美意識がきっちりあって、揺るがない。「身の程を知れ」「分不相応」という意味の言葉がよく出てくるんだけど、それがすんなり納得できる。要は自分にとって何が大事なのか、無理をしていないのか、ちゃんと把握しろってコトだと思う。

例えば若いころの、バブリーな話も出てくるんだけど、それもイヤな感じじゃない。人に迷惑をかけてる感じが全然しないんだもの。自分の始末がつけられる中で、ちゃんと遊んでる。もし何らかの原因で収入が激減したとしても遊び続けるために借金まみれになったりはしない、という感じ。これも「身の程」を知っているからだと思います。ご両親の話とか病気の話も面白かった。うん、やっぱり美意識のしっかりした人は崩れないんだなあ、ちょっとやそっとじゃ。逞しい。凛々しい。こうゆう人は好きです。

ところで本の感想とは全然関係ないんだけど。合間にちょこちょこ入る糸井重里さんのツッコミとか質問とかを読んでるうちに、(あれ? こうゆう会話したことあるなあ)とやけに懐かしい気になりました。一時期よく喋っていた人と私の会話に似ているな、と。話の内容がじゃなくて話し方なんだけど……そう、本の後半にピーコさんが「わたしは理屈じゃなくて好き嫌いがまず先に来るから」と言っているように、ピーコさんが感覚で喋っていて、糸井さんがそれを整理しようとする会話の、その傾向が似ている。

私もまず「感じ」が先にくる人間で、理屈はその後でついてきたりこなかったりする。んでその人は整理するのが好きな人で、「それってこうゆうコト?」「こういう意味?」ってよく聞かれた。その会話はとても面白かったし刺激的だったけど、整理しちゃうと消えてしまうものも多かった。分かりやすくなる分、周囲にある「なんとなくこんな感じ」というもやもやしたものは無くなってしまう。私はごちゃごちゃのまま、もやもやしたものを抱えている方が、「自分」からズレないような気がしていた。

……なーんてコトを、本の内容とは全然関係ないところで、ふと思い出しました。私は今ももやもやごちゃごちゃしていて、ときどきそこから自分でもビックリするようなものが飛び出したり、そこに落ち込んだり、そこで遊んだり、もやもやごちゃごちゃしている。たぶん、ずっと。……ホントに関係ありませんね。失礼。

2006.8.22(Tue)

「例えばさー、悪役がゲドを捕まえるんだけど『夜明けとともに処刑する』とか言ってすぐに殺さないのね。何で待つのよ? 別に待たなくちゃいけない理由なんかないんだよー。殺しとけよそこで!と言いたくなるんだよねー」という友人の話を聞いて、『ゲド戦記』を映画館で見ようという気が一気に萎えてしまいました。「また説明不足なんじゃないか」という不安をもともと抱いていたんですが、どうもそれが現実になっているらしいので。

矛盾点があってもいいのですよ。ツッコミどころ満載でもいいのです。ただそれを気にさせないだけの勢いが欲しいのです。理由がなくても「そうだやっぱり処刑は夜明けじゃなくちゃね!」と感じさせてくれればいいのです。原作と同じじゃなきゃいけないなんて言う気はさらさらないけど、原作つきの作品を作る以上、「原作よりも面白い」か「原作どおり面白い」か「原作とは違うけど面白い」であって欲しい。面白い原作を面白くなくされちゃ、「原作は違うのに…」と言いたくもなりますわな。

『千と千尋』後の、最近の説明不足なジブリ作品には「理屈で考えるな、感覚で受け取れ!」的な甘えを感じます。受け取れないのは受け手が不感症だから、とでも言いたげな。んじゃなけりゃ「分かる人にだけ分かればいい」? それって作り手としてどうよ。作り手の愛に受け手を巻き込んで欲しい。「ちゃんと考えたら変だけど、でもイイの。面白かったから」って作品なら大歓迎です。

―――とか、文句言ってるくせに見てもいませんので、もしビデオで見て面白かったら暴言をお詫びいたします。さあて、『スーパーマン リターンズ』でも見に行くかなあ〜。

祖母が「善悪がハッキリしていて見てて疲れない」という理由で時代劇を見ていたのと同じ理由で、アメコミヒーロー実写映画を楽しんでいるんじゃないかと思えば、自分の脳の老化がちょっと不安になるお年頃。一昨日もTVをつけたらやっていた『スーパーマン』の後半をつい見てしまいました。なんで彼が地球をぐるぐる回ると時間が戻るのかさっぱり分からんし、どうせなら地震前まで時間を戻せばいいと思ったけど、でもいいの。笑えたから。

2006.8.19(Sat)

もう1週間も前の話になってしまいました。8月12日の土曜日はU・Yと一緒に伊豆に行ってきました。この3人の組み合わせって珍しい〜(常連のKがお休みだったので)。たいてい海へのお誘いはわたしからするコトが多いんですが、これまた珍しくUのお誘いでのお出かけでした。天気は……土曜日だけ悪い! 予報では「変わりやすく、晴れてもその後雷雨があるかも」って感じでしたが、ほぼ1日どんよりした曇り空でした。

最寄駅で他のお客さん2人と一緒に、Tさんに拾ってもらいます。ショップでは車組のお客2人と、前泊?のU野さんが待っていました。初対面の方ばかりです。U野さんとも初対面なのですが、古くからのお客さんでハゼ博士という噂はさんざん聞いていた人です。彼は海に入ると1匹のハゼの前で延々ねばったりするそうなので、他の皆とは入らず1人で潜ります。残り7人の中では私ら3人はベテラン(!)だそうなので、私らはTさんに連れられて、他4人はSさんに連れられて潜りました。

おっと! 場所は富戸です。これで3回連続の富戸なんで「え〜っ」と内心思ったのですが、今日のポイントはヨコバマ。それなら4月以来になるのでOKです―――けど、ヨコバマは車を置ける場所と潜降ポイントが離れているため、器材を持って延々歩かなきゃいけないのですねー。タンクは潜降ポイントにあるとはいえ、ウエイト6kgを入れたBCDその他を持って歩くのはキツかった〜。卸したてのピンクのウェットのせいで、余分に2kg入れてるYはなおさらだったでしょう。

さて水に入ると―――うん、悪くないんじゃな〜い? 透明度はいいとは言えませんが、曇りの割に明るいし、ウネったり流れたりしていません。潜ってしばらくすると細く長く続くアジの群とすれ違いました。浅瀬にはシラスの群れ。顔がしっかり分かる距離まで近づけます。クロホシイシモチは口の中に卵を抱えて、顎が外れそうになっていました。岩の隙間にはイタチウオ(後でもう1匹見つけました)、小さな可愛いコガネスズメダイ、角がカッコいいトラウツボ、ちょっと珍しいセホシサンカクハゼ。

1時間近くの〜んびり潜った後は食事休憩をちょっと長めにとって、2本目へ。「エントリー口から右手に行く、1本目と同じコースの方が魚の種類は多いと思うけど、どうします?」と聞かれましたが、違う方がいい!と左手の砂地へ下りるコースをお願いしました。「アオリイカの産卵床もありますよ?」「アオリイカは堪能したのでもうイイです」とTさんと話していたら、Yに「私はまだ見ていない!」と文句を言われました。そういえばそうか。

ん〜2本目の方が透明度悪いかなーと思いながら、砂地へ下り、産卵床へ。今回私は一番後ろを泳いでいたので、私の位置からは全然見えなかったのですが、UとYは大迫力のアオリイカを堪能したそうです。その頃私は一生懸命サビハゼを撮っていました。全然覚えられなかったハゼのうち3種をやっと覚えたので、今、私の中では第一次ハゼブームなのです。ダテハゼ・クツワハゼ・サビハゼしか分からないのですが……。Tさんには「アオリイカ無視してサビハゼ撮ってる!」と後で笑われました。

さてこの日の圧巻は、もうちょっと先に行ったトコロの砂地。水温がそう急激に下がったワケでもないのにすこーんと抜けて、青い。周りに誰もいない。そこにシラスの群がやってきました。うわーすごい大群だ写真を……あああ遠ざかってしまう〜とやっていたら、遠ざかっていく群と自分の間に更にもう1枚のシラスの層が! うわあっ!と前方を見るとシラスが私らを巻いているではありませんか。こ、これは……シラスのトルネード!!

すっげー気持ちよかったです。群に巻かれるのって快感。大好きです。また小型の魚は動きがキレイなのですよねー。一斉に向きを変えるとキラキラと太陽を反射して、銀の壁が出来たかのようです。帰り道途中にはゴマサバの群とも遭遇しました。私は遠目に見ただけですが、Uは近くでばっちり見えたそうで……いいなあ! あ、私はクツワハゼ(……だったと思う)がシラスを捕食するところも、目撃しました。器用に呑み込んでいましたよ。ゴマサバとの遭遇を、U野さんはやたら羨ましがってくれました。あとTさんは産卵床じゃない、自然の場所に産み付けられたアオリイカの卵を見て喜んでました。珍しいんだって。

今回のログはコチラ(172本目)とコチラ(173本目)。写真あり。

私らが富戸を離れる頃に雨がぽつぽつ降り出し、ショップに戻って器材を洗っている頃には近くで雷鳴が。しかしログ付けをして次回の予約をした頃には治まってくれていたので、安心して夕食を食べてから帰るコトにしました。U野さんと、次の日潜るためにやってきたE川さんも一緒です。席についたとたんにU野さんのマシンガントークが始まりました。

教えてもらったコト=ダテハゼは日本の伊豆〜四国にしかいない、世界的に見ればレア種。学名にはジャポニカがついている。ネンブツダイやスカシテンジクダイが昼間群れているのは、寝ている。他にもガイドの言う“レア種”を信用するな、とか、店は自分で当たって選べ、とか、昔はどのポイントにもスロープなんかなかった、とかいろいろ教えてもらいました。……自立したダイバーは私も目指していますが、スロープの使用は許して欲しいなあ。いや無いトコロでは頑張りますけど。葉山とか。

と、ここまでは問題なしの1日だったのですが―――駅に行ってみたら落雷で電車が止まっていたらしく、次がいつ来るか分からないわ、やっと乗ったと思ったらひどく混んでいるわ、次に乗り継いだ電車も大雨の影響で遅れまくるわ、しかも途中で車両故障おこして乗り換えなきゃいけないわ、最後の最後にどっと疲れてしまったのでした。伊豆から家が遠かった……。

2006.8.16(Wed)

田舎から訃報。私は、父母だけでなく、何人もの大人に育てられたと思っていますが、彼女はそのうちの1人でした。

2006.8.14(Mon)

マンガ雑誌のおすすめ映画コーナーで季節柄戦争特集をやっているのを読んでいたら、単純にも戦争ものが見たくなり、おすすめされてる3本をそのまま借りて来ました。『西部戦線異状なし』、『Uボート』、『フルメタル・ジャケット』。最後のだけはずっと昔に見た覚えがありますが、後は初鑑賞です。名作と言われる映画をホントに見ていないのですねー。時代はそれぞれ、第一次世界大戦、第二次世界大戦、ベトナム戦争。

ちょっと映画の感想とはズレるんだけど。生きるか死ぬかの極限状況の中で、美しいドラマが現実に展開されるコトを否定はしません。つか私はそうゆうドラマを愛していると言ってもいいかもしれない。実話を基にした戦争モノの映画や文学で、あるいは実際に戦地で戦っている人の手紙や、戦時中の回顧録で、ぼろぼろ泣かされたコトは何度もあります。軍服がカッコいいのを認めるのだって、やぶさかではない。私にそうゆう趣味はないけど、武器に機能美を見出す気持ちも分からないじゃない。

が。戦争をやってみたいとは思わないし酔うコトはできません。戦争に変な憧れもってる人って、それこそ妄想と現実の区別がついてないんじゃないかと思うよ。それか想像力が貧困すぎるのか。それかよっぽどおめでたいか。……たぶん全部なんだろうなー。妄想女王の名において、そうゆう傍迷惑な妄想は許可したくないトコロです。視野狭窄者の妄想ってのは質が悪いですもん。

私ゃ主義も主張もないですからねー。……それは嘘か。あるけど私の主義主張が万人に共有されるべきとは思ってないから、そのために人を殺したりする必要はないのです。私の主義主張は私の中にありゃいいの。変わるしね。『女王陛下のユリシーズ号』を読めば「ドイツ戦艦から逃げ切れ〜!」と思うし、『Uボート』を見れば「イギリス艦隊に見つかるな!」と思う節操無しです。ま、この2つの作品はどっちも「自分たちは正義の側にいるんだぜ! 敵をやっつけるぜ!」って感じじゃないんですが。やんなくちゃいけないコトを、ただやっているだけって感じ。

そう。上記の3つの作品のうちでは『Uボート』が一番面白かったです。まず乗組員たちがカッコいい。冒頭のどっかのシーンに映る役者たちが、揃いも揃って高く細い鼻梁を持っているのに感嘆しちゃいました。あと艦長の白眼がとても美しい。顔はどんどん汚れていくので、目の白さが際立ちます。この作品は変な人間関係の葛藤とかお涙頂戴のシーンとかがなくて、良かった。下に引用した佐藤亜紀さんの感想はTV版に対してのものですが、私も似たような感想を抱きました。TV版の方がもっと土木工事なのかしら? 機会があったらゼヒ見てみたい。

何しろ前半は不漁の漁船みたいな話だし(グランドバンクスまで出漁するんじゃないかと心配したよ)、クライマックスは二十時間撃沈されていた間に猛然と修理するだけだしね、別に誰もドジ踏んで死んだりしないしね、自己犠牲もなしだしね(どうしても必要なのか、あれは)、ストレスでいきなり神経切れる奴はいるけど、しゃあなくて復活して来るしね。しかしイギリス軍が見てたらすごい光景だっただろう。いやあ、浮いてこないね、そろそろ二十時間だね、死んだかな、とか言ってたら、ざっぱぁーん、と浮上して来て、凄い勢いで逃げていく、ってのは。

≪佐藤亜紀さん 2005.8.26の日記より≫

『西部戦線異状なし』と『フルメタル・ジャケット』は時代は違うけれどなんか似ていて、やりきれない気持ちになります。そういう環境におかれたら私も残虐になるのかな。なるのかもな。なりたくない。なりたくないね。

2006.8.11(Fri)

鬱々としていてもツマラないので、仕事がぽっかり空いたのをいいことに、1日休んで気分転換を図るとしました。週末にやりゃいいんですけど、いつも週末は遊びか自堕落かに費やされてしまうので―――(←言い訳にもなりゃしませんが)。休むコトにした日の早朝、屋根を叩く雨の音で目が覚めました。TVをつけると伊豆沖を台風7号が通過している模様です。開けてあった窓を閉め、(休みでよかった……)と思いながら、再度眠りにつきました。

次に起きたのはもう9時。雨は小止みになっています。TVによると台風は、あら、もう千葉沖? 速度をあげたのでしょうか。午後には雨もあがるかなー、と期待しつつ、ゆっくり朝昼兼用の食事作りにとりかかりました。時間に追われないで自分の好きなものを作って食べるだけで、なんだか元気になりません? 私はなります。この日作ったのは具沢山のクラムチャウダーとオープンサンド。

ゆったり朝ごはん■クラムチャウダー(あさり・玉ねぎ・人参・じゃが芋・コーン・エリンギ・ベーコン)とオープンサンド(レタス・焼き野菜(茄子・イタリアントマト・ズッキーニ)・ささ身の黒胡椒焼き)。ちょと焦がしちゃった。

ゆっくり食事をした後は、ネットで遊んだり、溜まっている(←また)ログブックのお絵かきをしたりして、時間になったところで『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』を見に行きました。『ゲド戦記』とどっちにしようか迷ったんだけど、この日は自分に気持ちのいいコト以外する気はなかったので、『ゲド』には賭けず。『海賊』の方は「昔のアメリカンコミックみたいなバカバカしさが良かった」という友人の太鼓判があったんですね。

前作、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(←感想)のストーリーは、はっきり言って全然覚えていませんでした。でもジャック・スパロウさえ覚えていりゃ、問題ナシ!です。さすがに長すぎてダレる部分もあるんですけどね。お父さんとの感動シーンなんかいらなかったんじゃないかしらん。でもいやいや面白かった! ディズニーランドの『カリブの海賊』と同じシーンもきちんと作ってくれているし、ギャグはベタだし、海は美しい!

前作ではオーランド・ブルームの大根っぷりが目立ってましたが、今回はそれも大丈夫。上手くなったなー。まだ上手とは言えませんが、浮かなくなっただけでも大きな進歩。エリザベスは強いし、ジャック・スパロウは相変わらずはじけてる。デイヴィ・ジョーンズの船の“潜航”もたまらない。クラーケンといい「さまよえるオランダ船」といい、どうも前作に輪をかけてばかばかしく、しっかり“お約束”を押さえていてくれてるんじゃないかと思えます。

ところで船が沈んだときに水中に翻るドレスを映すのって……これも“お約束”? こないだの『海猿』でもやってたし、たしか『タイタニック』でもやっていたような気が……。あと前作に出てたキャラをあんまり覚えていなかったのは残念でした。いや筋を把握するのに問題はないんだけど、鍵束を咥えた犬も、たぶん前作から出てたんだろうし―――。前作もまた見てみようかな。

映画館から出たらすっかり雨もあがり、雲の隙間に青空が見えました。気分? すっかり浮上しましたよ。お手軽に。まだまだ何とでもなる!って根拠のない自信が、戻ってきました。根拠のない自信って怖いよね。根拠がないから根強いです。

2006.8.10(Thu)

さあ! 久しぶり(?)に仕事のグチ言いますよー。時給をあげてもらって「しばらく辞めるつもりはない」と書いてから1ヶ月しか経っていないというのに、急激に仕事に対する意欲を失っております。いや仕事全般に対してではなく、そのうちの一部に対してなんですが、その一部に対して最近新しく入った上司が「To-koさんのやってる仕事って何の意味があるの?」と言ったからです。

例えるなら医者に「なんで病人治さなきゃいけないの?」、漁師さんに「なんで魚捕まえなきゃいけないの?」、コックに「なんで料理作らなきゃいけないの?」と言っているようなもんです。しかも実は私のやってるデータ作成は、本来ならばその上司がやらなきゃいけない仕事。彼が私に依頼しなくちゃいけない仕事。要するに彼は分かっていないんですが―――これほど意欲を失わせる台詞ってあるでしょか。

別に手を引いてもいいんですけどねえ。私の栄養管理がウザイから、体調管理くらい自分でできると言っておきながら、暴飲暴食を繰り返しておなか壊して「To-koさ〜ん、治して〜」と言ってこない、と約束していただけるなら―――って、ああヤダヤダこんなグチ。怒りをぶちまけてすっきりするコトもあるけれど、今回のはグチっても虚しい気分になるだけです。読んでも楽しくないですよね。ゴメンなさい。ちょっと落ち込んでいるのかも。

2006.8.8(Tue)

佐藤亜紀さんの『検察側の論告』読了。小説かと思って読み始めたら、またもやエッセー集だった。前回読んだ『ブーイングの作法』と未読の『でも私は幽霊が怖い』とこの本で“佐藤亜紀辛口エッセー三部作”なのだそうである。『ブーイングの作法』は映画や音楽評で、私はそちら方面にはとんと疎いので「作品を知ってたらこの評も楽しめたかも」という感想ばかりを抱いて終わってしまったのだが、今回の『検察側の論告』は書評集。書評集となると作品を知らなくても、あらら、とっても面白かったのであった。

んでもたぶん、いや絶対、私と佐藤亜紀さんは本の読み方が違う。つか佐藤さんの言う“正しい本の読み方”ってのが、私にはよく分からない。彼女が、いい大人になったら卒業するものだとしている、登場人物に共感し世界に嵌るお子ちゃまな本の読み方しか、私はできない。「読書の本当の魅惑を知らない」という佐藤さんの言葉は、小心者の私の劣等感をちくちく刺激する。もやもやとした気分になる。―――だからと言って本の読み方を変える気は、今のところ無いのだが。

なのに。本を読み進めているうちに思うのだ。「ホントにそんなに本の読み方が違うのかなあ……」と。だって見よ。私の“読みたい本リスト”には、この本で紹介されている小説が20冊近く付け加えられたではないか。彼女の言葉の力、文章の巧さはもちろんあるが、それだけでこんなに“書評に共感”できるかなー? 読書の価値を全然違うトコロに置いていたら、彼女の感想を読んで面白そうだと思うかしら?

まぁ表面的な読書しかできていないと言われれば、ちょっともやもやしつつも、それを認めるのにやぶさかではないけどね。感想を共有できないものも多いし。例えばアゴタ・クリストフの『悪童日記』三部作なんて、なんであんなに評価が高いんだか(世間的にも)、私にはさっぱり分からなかったんだから。

2006.8.6(Sun)

7月最後の土曜、29日は伊豆へダイビングに行ってきました。7月前半が6月に行った沖縄話を書くのに使われたとはいえ、このところ遊んだ話か買い物した話が続きすぎじゃないか? To-koの経済状態は大丈夫なのか?と余計な心配をしてくださっている方―――、あなたは正しい! 7月の出費はもう大変なコトになっています。箍が外れるってこうゆうコトなのね〜。8月はちょと大人しくするつもりです(ダイビングは行くけど)。

それはともかく29日。いつもは間際になってから参加を表明するKにも今回はフラれ、たった1人での伊豆入りです。んでも花火とBBQの日だったんですもの。7月にまだ1回しか潜っていないんですもの。寂しく電車に揺られていつもの駅に着くと、Tさんがお迎えに来てくれていました。電車組は他に初対面の方が2人。ショップには車組と前泊組のゲストがあと5人いました。顔見知りのE川さんや阿嘉ツアーで一緒した原さんもいます。お友達の原さんがいるので、今日はMieさんも潜るみたいです。

さてこの日は富戸に行くか海洋公園に行くか。「To-koさん以外はアオリイカ見てないんだよねぇ……」と、前回富戸でアオリイカを堪能済みの私に、Sさんに遠慮がちにお伺いをたててきます。私は潜れればどこでもイイので「別にカブってもイイですよー」と快諾。車2台で富戸へと向かいました。梅雨明け宣言はまだ出ていませんが、天気は快晴。海もベタベタです。今まで出足の鈍っていたダイバーたちが一斉にやってきたのか、こないだと比べて富戸はかなり混んでいました。

顔見知りチームということで、私とE川さん、Mieさんと原さんがそれぞれバディとなり、Tさんに連れられて潜るコトになりました。残り4人のゲストはSさんチームです。エントリー口に張ってあるロープには長蛇の列。うひー。潜降ポイントにも人が群れているので、私らはかなり浅めのところで潜ってしまいました。最近南国で潜ってばかりいたE川さんは潜降に苦労しています。ダメだよーちゃんと伊豆でも潜らんと。全員が海底に揃ったところで移動開始。

透明度は10m超くらいでしょうか。こないだよりも少し遠くまで見えます。それにやっぱり日が照っているのが大きい。水が青くて気持ち良いのです。しかしダイバーが多いせいか、目玉のアオリイカの産卵床の周りだけは、5〜6mくらいの透明度しかありませんでした。私はこないだたっぷり見た余裕で他の人に場所を譲り、ぼんやりイカの求愛ダンスを眺めます。この日は大きめの個体がたくさんいた気がしました。帰り道ではネンブツダイたちに会います。口にはオレンジの卵を抱えているはずですが、なかなか口を開けてはくれませんでした。

昼ごはん休憩を挟んでの2本目は、も少し遠出をして砂地に行きます。後でログ付けのときにTさんが「何もいなくて申し訳なかった」みたいなコトを言いましたが、私は楽しかったです。別に珍しい魚に会えなくてもいいのですよ。馴染みの魚もよく見るとキレイだったり愛嬌があったりして、飽きません。この日はヒラタエイがあっちこっちにいましたし、ハナアナゴは珍しく泳いでいるし、ベラギンポやクロエリギンポもふわふわ浮いていて、賑やかでした。

2本目の目玉は砂地で会えるとは思わなかった、5cmくらいのイザリウオでしょうか。小さめだしオレンジの色もヴィヴィッドで、とても可愛かったです。しかしイザリウオに会った辺りで、急に流れが出てきました。止まって浮いていると、ふーっと流されてしまいます。これが陸地の方に流れてくれりゃ楽なんですが、残念ながら反対方向だったので一生懸命泳いで帰りました。一番流れが強いところではなかなか進まず、ちょと焦りました。

今回のログはコチラ(170本目)とコチラ(171本目)。写真も少々。

早め早めで2本を終えてショップへ戻り、器材を洗ってログ付け。最近パン作りにハマっているTさんが、この日はパウンドケーキを焼いていてくれました(うま〜)。それからBBQの時間までは休憩。お泊りの人は部屋に戻って仮眠を取ったりしていましたが、私は日帰りなのでログルームでE川さんともう1人のゲストの方とお喋りしたり、冷房で体が冷えたところで温泉に入ったりして時間を潰しました。そして計画よりちょっと遅めの19時ごろからBBQタイム。

買出しと材料の下準備はTさんやMieさん、原さんたちがしてくれたので、私は焼く方で貢献しようと思ったら、これが忙しい忙しい。人数のワリにコンロが小さめだったので、焼く端から持っていかれてしまいます。またこの日集まった人たちがよく食べる! 焼きながら自分のを確保するのはかなりワザがいりました。一通り食べて一段落したところで、ショップ目の前の湾を挟んだ反対側で上がる花火を眺めます。ちょと遠いけど混雑なしでゆっくり見られました。

この日の花火は小規模なもので30分ほどで終わったのですが、終わった途端にまた食べ始める面々。なんで皆そんなに元気なの〜!? 私もせっせと焼いていたのですが、すぐにタイムリミットが来てしまいました。私以外は全員お泊りなので名残惜しいったらありゃしません。デザートのすいかまで行きつけなかったのも、残念でした。そしてこの日は電車の中で爆睡。行きと違って帰りは寂しさを感じる暇もありませんでした。うん、1人でも行って良かった。

2006.8.1(Tue)

≪つづき。SDカードを伊豆に忘れたので写真は後日。≫

「甲府まで行って何したの?」「んー? 山の店で買い物!」というのは寂しいので、この後むりやりワイナリー見学に行きました。事前にちゃんと調べて行かなかったので、甲府駅の観光案内所に唯一パンフのあった『シャトー酒折』が目的地になります。小高い丘の(山の?)上にあるワイナリーで、車で登るのもキツい坂を酒折駅から歩いて登ってきたという女のコたちは「途中で何度もやめようと思った〜」と言ってました。

私らがワイナリーに着いたのは15時ちょうどくらい。前述の女のコ2人連れと、私らの4人だけでの工場見学となりました。無料だけあって割合あっさりした見学コースです。団体さんが帰ってしまった後とかで、工場のラインが止まっていたのは残念でした。15分くらいの見学の後は、やっぱり無料でワインの試飲ができます。いつもなら喜び勇む私ですが、この日はドライバーなので悲しくぶどう100%ジュースを舐めていました(美味しかったです)。この日の夜のためのワインを1本買った頃には16時になっていたので、ここから宿泊地の増富温泉郷へと向かいます。

どうせカーナビがついているさ、と地図を持って行かなかったので、カーナビがインターに連れて行こうとしていると知ったときは思わず舌打ちをしてしまいました。だって免許を取ってから、高速なんて走ってないんだものー! どきどきしながらも高速走行を何とか乗り切り(すっげー緊張しました。後部座席に座っていたKによると、バックミラーやサイドミラーをひっきりなしに覗いているので、前を見ているかどうか心配になるくらいの挙動不審っぷりだったそうです)、17時40分くらいに宿の『金泉閣』に到着。渓谷の際に建つ老舗……ですが、水嵩の増した渓谷がちょと怖い。写真を撮ったUが「ダメだ……災害現場の写真にしか見えない」と呟きます。まぁ溢れそうな感じではありませんが。

美味しかった夕食この宿には長逗留の湯治客―――つまりお年寄りが多いせいか、宿の食事はあっさり目。量はあるのですが、野菜や魚メインで薄味ですので、するっと食べられます。デザートに桃が1人1個ついたので喜んでいたら、これは前日雨の影響で水道が止まったコトに対するお詫びだった、と後で他のお客さんから聞きました。水を問題なく使え桃も食えた私らはラッキー。増富のラジウム温泉は……うーむ、寒い季節には来たくないですね。32度くらいの源泉に30分浸かって、温かい上がり湯にはさっと入るだけ、というのがオススメの入浴法なのですが、30分のうちに寒がりの私は鳥肌がたってしまいました。

この日は『シャトー坂折』で買ったワインを飲んで、早めに就寝。あ、新しい靴にはたっぷり防水スプレーをしておきました。翌朝、窓の下を流れる川を見ると―――おおっ! 前日と全然違う! 濁流だった川が清流になっているではありませんか。予報どおり雲の切れ間から時折太陽も覗きます。これなら何とかなるかなー。宿から出発点となる瑞牆山荘へと車を走らせ、無料の大駐車場に止めます。他の車は3〜4台。それほど混んではいませんね。途中川を渡る箇所があるので増水してないかだけが心配ですが、まぁ行けるところまで行こう、と8:30頃歩き始めました。

ここからが……けっこう大変だった、かな。普段でもコースタイム+αはかかる私たちですが、この日はコースタイム+α+βという感じ。つまり、めちゃくちゃ遅かったのです。たぶんこの日同じ山に登った中で一番遅かったんじゃないでしょうか。林間学校らしき小学生の集団からお年寄りまで、まんべんなく抜かれてしまいました。久しぶりの山歩きとはいえ、う〜ん大丈夫かな〜燕岳。私ともう1人は元気だったのですけど、残り2人がかなりキツそう。うち1人なんかは「心臓が痛い」とか言い出すので怖いです。

瑞牆山1↓途中で見かけた岩。恐竜の卵ですか?と聞きたくなる丸みと割れ方。

山そのものは気に入りました。変化があって面白いです。瑞牆山荘から林の中をずーっと歩いて富士見小屋へと辿りつき、そこからちょっと下って天鳥川を渡ります。川は濁ってもいず、飛び石を踏んで渡れました。そこから足元に岩が増え、ときどき手を使いながら急な斜面を登ります。途中、木々の間から山頂が見えるのですが「え〜っあそこまで登るの〜」ってくらい高く、遠く見えます。しかし歩き続けているといつかは着くのですねー。

瑞牆山2瑞牆山のシンボル、大ヤスリ岩。頂上は晴れているのに、霧がすごい勢いで昇ってきます。

頂上まであまり景色は開けないのですが、その分頂上からの眺めは絶品です。この日はまだ雲もあり、たぶん最高の景色ではなかったんでしょうが、それでも気持ちのいいものでした。遠くにうっすら富士の山頂も見えます。瑞牆山のシンボル、大ヤスリ岩も壮観。以前登ったときにUはここでロッククライマーを見たそうです。よくやるなあ。雲がだいぶ低かったらしく、雲海がかなり下にあり、上昇気流にのってときどき霧がさーっと昇ってきます。それを眺めながら弁当を食べ、早めに撤収。山は登ったら下りなきゃいけないのですよねー。

瑞牆山3瑞牆山4

左:瑞牆山登頂の証拠写真。2,230mで日本百名山の1座です。右:終わりかけのシャクナゲ。

新しい靴なので靴擦れを心配していましたが、私のは足に合っていたらしく、快適でした。Uのは履き慣らさなきゃいけないみたい。わざわざ買ったインソールにも慣れが必要なようです。ところで数年前、私と同じときに靴を買ったYですが―――この日、登る途中に靴底が剥がれてしまい、最後は靴底無しで登りました(何層かになっているので何とかなった)。久しぶりの登山だから揃って壊れたんだろうけど、3人の靴底が一気に剥がれるってスゴいなあ。

“やっと戻ってこれた”瑞牆山荘でお茶をして一息入れ、帰りには日帰り入浴施設の『増富の湯』に入って帰ります。ここは源泉もあるけど温かい風呂もたくさんあり、いろいろ楽しめました。ゆっくり入っていたかったけど、ここからまだ遠いので1時間ほどで切り上げ、18時には甲府に向かって出発します。帰りはちょっと飛ばして、何とか営業時間内に車を返し、駅弁を食べつつ東京へ。お疲れ組の2人は食後爆睡でした。私はサポートウェアが効いたのか、ほとんど筋肉痛もなし! 好調でした。

―――けど、うーん。ホントに燕、どうしよう……。

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