ぷらぷら日記-2003年11月;グアム編-

初めて南太平洋の島へと行きました。噂には聞いていたけど、あまりにも日本語が通じすぎて、海外旅行気分はほとんど味わえませんでした。この旅の思い出で大事に取っておきたいのは、信じがたいほど碧い海に入ったときの感動だけな気が……。ああでもチャモロ料理はけっこう美味しかったな。

地元の方の居住エリアにはまた違った顔があるのかもしれませんが、観光客の活動エリアと完全に隔絶された感じで、それがとっても残念でした。「日本語通じて楽だわ〜」ってほど、まだ枯れてない。

帰国報告&印象

「ただいまー」です。昨夜、予定通りに無事に帰ってきました。グアムは天気が不安定で、私らが行く2日前までは雨と雷がすごかったらしいし、私らが帰る頃には台風がやって来そうで、帰れなかったらどうしようかとウキウキ ドキドキしてました。グアムの台風は半端じゃないそうなので、ホントに直撃されたら喜んじゃいられなかったんですけど。日本のニュースでも流れた昨年の台風での被害は、ほぼ1年が経った今でもまだ補修しきれてないくらいでしたもん。

ですので日々、地元のいい加減な天気予報をチェックしてました。「台風は西に向かっていてグアムの南を通りそうです。今日はときおりにわか雨が降りますが、晴れ間も見えるでしょう」って予報はイイとして、「今夜から明日にかけては台風の影響が出ますが、それがどうゆう影響になるのかはこれから台風の動きを見なくちゃわかりません」って予報はどうよ。…と、今書いてて思ったけど、私の直訳がマズいのかな。日本の予報でも「今後の台風の進路に注意が必要です」とか曖昧に言ってるんだから、大して変わらないかしら…。でも絵的に分かりづらい天気予報だったんです! ま、結果的には台風も南に逸れてくれて帰国便に影響はなかったんですが。

詳しい旅行話はこれからゆっくり書きますが、ダイビング目的で行ってよかった、とつくづく思いました。海外気分を味わいたかったんなら、すんごくガッカリしたと思う。ツアーで扱っているようなホテルに泊まって観光する限り、地元の人とはほとんど触れ合えません。ネイティブはどこにいるんだーって感じ。街を歩いているのは日本人観光客だけ。観光客相手の商売をしているほとんどの人がかなり達者な日本語を話し、街には怪しげな日本語の看板が氾濫しています。歌舞伎町を歩いているみたいでした。たぶん、観光客エリアと地元民エリアがかっきり分かれているんでしょうね。観光客エリアを離れた場所には素敵なトコロもあるのかもしれないけど、地元民のお友達がいない限り、そこに辿り着くのは難しいかも。

でも、海は素晴らしかったです。痛恨のエラーもしてしまったコトだし、グアムの海にリベンジしたい気はあるんですが……またグアムに行くかと問われれば、それはかなり微妙〜。海だけに行く方法があれば喜んで行くんだけどなーと、とりあえずの帰国報告でした。

(2003.11.25)

スコールでパニック

さて旅行話。グアムには5日間行ってました。初日と最終日は移動と散歩と買物でツブれたので、実質しっかり遊べるのは3日間。グアムの目的はダイビングですからホントはずーっと潜っていたかったのですが、怖い怖い減圧症ってもんがあります。連日ダイビングをした後には少なくとも24時間、できたら48時間経ってからじゃないと飛行機に乗るべきではないのです。ですので私たちは3日のうち最初の2日はダイビングをして、1日は大人しく海で遊ぶコトにしました。どうせならリゾートの海遊びの王道で、パラセイリングしたりバナナボートに乗ったりしようぜ!と、そうゆうのがパックで遊べるツアーに申し込みました。ダイビング2日目の昼過ぎから台風の影響で天気が崩れ始め心配しましたが、3日目も何とか晴れてくれました。

パラセイリングとバナナボートには特筆すべきコトはありません。普通に楽しかったです。ちょっと波が高かったからバナナボートは大人しめだったかな。誰も振り落とされなくて残念でした。台風のせいで外洋に出られないそうで、イルカウォッチングツアー(←私らはもともと申し込んでなかった)が中止になっていて、受付がドタバタしていてやたら待たされたってのもありましたっけ。人を集めるイベントでのお手伝い経験のある私たちは、「私らにやらせろー、10分で片ァつけてみせる!」とボヤいて時間をツブしました。いやでもあれはホントに手際が悪かった。昨日今日サービスを始めたワケじゃあるまいに。その場で10や20の改善策が浮かびましたよ。

ま、ともあれ海です。グアムの海は遠浅でした。ずーっと浅瀬が続いていて、その向こうに白波がたっています。そこから急に深くなって流れも速くなっているので、白波の向こうは遊泳禁止です。つまり遊べるのは浅いトコロだけです。白波のちょっとコチラよりには、屋根のついた大きなフロートがあります。ビーチとフロートの間は膝上から腿くらいの水深、フロートの周りは腰から胸くらいの水深ですので、シュノーケリングをしたかったらフロートの辺りまで行くしかありません。私らは最初泳いだり歩いたりしながらフロートに向かいました。……遠いです。マジで遠いです。なかなか近づかないフロートに向かって水をざばざば蹴立てて歩いていると「つ、次はカヤック借りて漕いでこようね!」と弱音が洩れるくらいです。いい運動にはなるけれど。


左:遠浅の海。いかにも南っぽい。
 右:シュノーケリングポイント。透明度が悪いのは台風のせい?

餌付けをしているので、フロートの近くにはたくさんの魚がいました。色とりどりの熱帯の魚たち。ダイビングを始めたばっかりだったら「すごーいっ」と夢中になったかもしれません。しかし。私らはその前2日間で最高の海を堪能してるのです。今さらこんな浅瀬で餌付けされた魚を見て喜べましょうか。いや喜べない。「アタシたちー、もうこの辺の海は卒業って感じ〜い?」と上から見下ろす言動も出ようってもんです。うわーヤな感じ〜。でも浅瀬で安心感はあるので、シュノーケリングの練習に熱中し、それなりに遊んで一度ビーチに戻りました。昼食を取り、ビーチチェアで一休みし、もう一遊びしよう、今度はカヤックでフロートまで行こう、と私らは二手に分かれてカヤックに乗り込み、沖に向かって漕ぎ出しました。頭上の空は真っ青でしたが、沖に向かって右手には不吉な黒い雲がありました。

漕ぎ出してすぐに、その雲には気付きました。「あの下、降ってるねー。スコールくるかな」と話しはしましたが、その雲が近づく前にフロートにつけるだろう、そしたらそこで雨宿りすればイイや、スコールなら10分もすれば止むだろうし、と私らは沖に向かって漕ぎ続けました。ちょうどビーチとフロートの中間地点に来たときです。“晴天にわかにかきくもり”といった感じで、急に暗くなりました。ヤバッと思った次の瞬間、雨が降り始めました。通り雨って降り方じゃありません。雨が! 雨が! 雨が! 叩きつけてくるのです。「痛っ痛っ痛〜っ」と悲鳴をあげながら、私たちはフロートに向かって急ぎました。ところが今度は風が! 右手からびゅうびゅうと吹き付けてきてカヤックは左手に向かって流されてしまいます。視界も悪くなり、もうビーチもフロートも見えません。

そのさなかにも分かってはいたのです。その雨はすぐ止むだろうってコトは。ビーチもフロートも近くにあるってコトは。カヤックから降りれば足だってつくってコトは。でも怖かったんです。私らは慌ててビーチに戻ろうと、向きを変えようとしました。ところが最初左転回をしようとしたため、追い風をうけてカヤックは流されそうになりました。「だめっ、逆! 逆から回って!」。……ええ、わかっています。ここはグアムのお気楽ビーチです。傍から見たらめちゃくちゃ間抜けだったってコトは。でも気分はいかだを作って無人島から漕ぎ出した途端に暴風雨にあった漂流者です。必死です。脳裏に浮かぶのは同じメンバーで富士登山をしたとき。強い風にあおられて進むに進めず皆で手を繋いではいつくばって、「大丈夫ですかっ」と声をかけてきたお兄ちゃんに「私たちは大丈夫ですからっ! 先に行ってくださいっ!」と叫びかえしたあの日のコトです(いやあのときは状況がホントに大変だったんだけど)。なぜ、私らが遊ぶとこんな目に…。さっきまで海で遊んでいた人たちは何処に行ったの?(雲を見て賢明にも避難していたのであろう)。ああ、彼岸が見える…(ちょっとウソ)。

とにかく、私らは右に向きを変えようとしました。真っ暗な中で「右! 右漕いで!」と声をかけあい、やっとカヤックが右手を向いたとき…。右手の空はもう晴れ上がっていました。頭上と左手の空は真っ暗。でも雲がやってきた方向はもう晴れている。「……あ、晴れるね…」。この虚脱感をなんと表現すればイイのでしょう。自分たちのバカさ加減に赤面する元気もなく、私らは漕ぐのをやめて雲が行過ぎるのを待ちました。1分後、頭上まで青空が広がりました。「…どのくらい降ってた?」「…5分も降ってないよね…。3分くらい?」。ああ、でも長く長く感じた3分間でした。疲れました。ウルトラマンが闘える限界時間(ムダに)闘ってたんだから疲れて当然ですよね。ね!ね!

その後は何事もなかったような顔をしてシュノーケリングして遊びました。そしたら凶暴な魚がいて私と友達が噛みつかれ、足にキレイな円形のキスマークをつけられました。…後からいい笑い話になるハプニングによく出会う気がするのは気のせいでしょうか。比較的平穏だったダイビングについてはまた後日。

(2003.11.26)

グアムに潜る、直前まで

師走だからかSEEのせいか、ちょこちょこ忙しくて写真を整理する時間がないので、記憶が薄れてしまう前にとりあえずグアムでのダイビングの話だけは書くコトにした。ホントに良かったダイビング話を書いておかないと、グアムに行った意味がなくなっちゃう。

現地サービスは、自社ボートを持っているコトと、日本人スタッフがいる、という2点を条件にして選んだ。ダイビング以外なら日本人相手のツアーはなるべく避ける私たちだが、ダイビングに関しては完璧外国人モードのガイドをされてついていける自信がない。日本のショップのガイドはかなり至れり尽せりらしいのだ。手取り足取りはしてくれなくてもいいし、器材のセッティングを自分でやるのだって文句はないが、水中でときどき振り返って様子を見るくらいはしてくれないと、まだ不安だ。結果、日本人がショップオーナーで、日本人スタッフ・グアム人スタッフの両方を抱える「D」が選ばれた。出発前に何回かメールのやり取りをして、当日、11月21日の朝、ホテルでピックアップをしてもらう。

事前にポイントのリクエストはしなかった。海外では1本目のダイブでさりげにレベルをチェックされて、その結果によって連れて行ってもらえるポイントが変わると聞いていたから、もうお任せするコトにしたのだ。ただ、ブルーホールに行ければいいね、とは話していた。ブルーホールはグアムの有名ポイントである。ホールに入って見上げると、角度によって頭上の穴の形がハート形にもグアム島の形にも見えるというのが売りのポイントだ。青い光の差し込むこのポイントの写真はよくガイドブックに載っているから、見れば「ああ!」と分かる人も多いだろう。魅力的なポイントである。しかし、深い。一番深いところまで落ちると80mある。80mというのはレジャーダイバーが行って安全な範囲を大きく越えているから、中性浮力が取れないで落ちてしまう人は連れて行ってもらえないそうなのだ。

グアムのダイビングショップ
対岸から見たダイビングショップDと、結局乗れなかった自社ボート。

ホテルのある地区からは、車で30分ほどでDに着いた。私たちと同様11月末の3連休に絡めてダイビングをしにきた客(客は全員日本人だった)が多く、店は混みあっている。混みすぎてDの自社ボートには乗り切れずもう1艘ボートを出すという。私たちはそちらに振り分けられたのだが、結果的にそれでも、あるいはその方が、良かった。その臨時のボートのキャプテンである白人女性がすごく感じのいい女性だったからだ。私たちのガイドはK。日本語が堪能なパラオ人だった。つかみのギャグは「ワタシのナマエはコニシキでーす」らしい。つまり、そうゆう体型の人。ボートには他に2グループが乗り込んだ。うち1グループを世話している日本人のガイドは沖縄からお手伝いに来たそうな。彼も感じがよかったのだが、名前を聞きそびれてしまったのが残念。彼には2日目、私の友達がたいへん世話になるコトになる。

グアム船着き場ダイビングボート
左:ショップから徒歩3分ほどで船着き場が見える。
右:私たちが乗り込んだボートのペガサス号。

人間と器材が乗り込んだトコロで、ボート出発。器材のセッティングをしているうちに出発してしまったからちょっと焦った。乗り物にそう強くないのだ。下を見てると絶対酔う。できる限り手早くセッティングを済ませ、椅子に座って遠くを見る。天気は雲が多目の晴れというか、晴れ間も見える曇りというか微妙な感じ。静かな湾内を走り、途中かなり波のある箇所を通り、そしてまた静かな海に。岸はすぐ近くに見えている。「1本目だから簡単なポイントになるのかな?」と思ったのだが、着いたのは“クレバス”だった。Kによるとけっこう深いそうである(後でガイドブックを見たら、上級者ポイントになっていた。いきなりかい!)。

簡単なブリーフィングの後、器材を身につけ、3グループの中で最後にエントリー。日本で今までやったボートダイブでは、アンカーロープので集合して全員一緒に潜降というパターンばかりだったから、「ロープので集合ね」というKの言葉に少しドキドキしながらジャイアント・ストライド・エントリーで海に入る。…うわっ、温かい! 30度近くあるんだから当然なんだけど、最近伊豆か三浦でしか潜っていなかったので、あまりの違いにビックリする。ボートからカメラを受け取り、アンカーロープが張ってある船の前方に水面移動しようと顔を水につけた私は、更にビックリして思わず息を呑んだ。

―――続く―――

(2003.12.10)

いきなり上級者向けポイント

―――続き―――

色が、全然、全っ然違うのだ。今まで海外で潜ったコトがないワケじゃない。グレートバリアリーフでも潜ったし、ペナンでも潜った。しかし、この青さは、蒼さは、今まで見たことがない気がする。深いのだ、色が。そいえばペナンでは体験ダイビングだった。グレートバリアリーフでももろ初心者向けのポイントだった。ここまで深い海外の海は初めてかも…。とにかく、ボートから海底にのびるアンカーロープが下の下まではっきりクッキリ見えている、というのにまず感激である。つまり海底がはーーーっきり見えるのだ。何も遮るものがない。あまりにも透明。グアムの海では、高所恐怖症の人は恐怖を感じるコトがあるって意味が、やっと実感できた。

グアムの青い海
これは2日目の写真なのでちょっと透明度が悪いのだが、それでも伊豆とは色が違うのがおわかりだろうか? 伊豆だとよっぽどコンディションが良くない限り、海の色は緑が強い。グアムの海はどこまでもどこまでもブルーである。……って、村上龍の本のタイトルにそんなのありましたね。

ビーチダイビングでなら伊豆でも、潜降するときに海底がくっきり見えているコトはあった。だって潜降ポイントの水深はせいぜい5mだもん。透明度が7〜8mもありゃ底は見える。しかしボートダイビングのときはいきなり水深15m以上の場所に潜る。その深さで、海面から海底を見通せたコトはなかったと思う。見えたとしても、ぼんやりとである。今年城ヶ島で潜ったときなんかヒドかった。海底に向かってのびているアンカーロープは、2m先で緑っぽい闇に溶け込んでいる。これを、これを手繰っていきさえすれば皆に会えるはず。ああでも私はどこに連れて行かれてしまうのー?と思うくらい、怖かった(透明度がそこまで悪かったのは水面付近だけで、下はも少し澄んでいたのだが)。

ともあれ、グアムの海の透明度は半端じゃなかった。下の方に先に潜ったグループが見える。他のボートから降りてきたダイバーも見える。けど透明度のおかげで視界が広いので、全然気にならない。「だって海はこんなに広いんだもーん」って感じで。あまりのキレイさに緊張も吹っ飛んだ私は潜降もスムーズに済ませた。皆が集合したところでKに続いて泳ぎ始めると、そこにはポイント名の“クレバス”のとおり、深い亀裂が…! これがスゴイ。スゴイスゴイと語彙の貧困さが堪らないけど、ホントにスゴイ。だってね、平坦な海底を泳いでいくと、いきなりすこーんと割れてるんだよ! あたかもカザド=デゥムの橋のかかる深淵の如くに。亀裂の上は水深20mくらいで、そこから一気に30m近くも落ち込んでいるの。浮力があるのでいきなり落ちたりしないとは分かっていても、亀裂の上に出るときはちょっとドキドキする。そこを思い切って出てみると……うわ、空を飛ぶのってこんな感覚!?という浮遊感を味わえるのだ。ああ、上手く言い表せないのが悔しい。

グアムの青い海グアムの青い海
左:我らがガイドKと、トゲチョウチョウウオ。
右:これはクレバスの上辺りかな。

ちょっとだけ深度を下げ、亀裂に少し入る形で泳ぐ。壁から大きなオオイソバナが突き出していて、豪奢な扇のようなその見事な形に見とれてしまう。ふっと腕につけたダイコンに目をやると、げっ、深度が30mを越えようとしている。Kはもっと深い場所にいるけど、つられて潜らない方が良さそう。その深度をキープするよう注意して、しばらくその浮遊感覚を楽しんだあとは、もう少し浅い場所に移動した。こちらの方が魚の種類は多い。変わった尾の持ち主のアカモンガラや、いかにも南の魚のチョウチョウウオをはじめとするカラフルな魚たちの群に夢中になっていると、何かが視界の隅をふっとよぎった。慌てて振り向くと、そこにいたのは今まで見てきた中で、一番大きな魚であった。

グアムの青い海グアムの青い海
左:2mくらいありそなオオイソバナ。肉眼でも白っぽく見えたが実は赤いらしい。くっそー、フラッシュ焚けばよかった〜!。/右:特徴的な尾のアカモンガラ。たくさん群れてました。撮影Y(←Yについては後日)。右上に写っているのが私のフィン。

―――まだ続く―――
(すみませんすみません出し惜しみしてもったいぶってるワケじゃないんです書く時間がないんですあと2、3回続くかもー)。

(2003.12.12)

大物に遭遇

―――またもや続き―――

魚との距離は、遠い。10mは離れている。けどこの澄んだ海では問題じゃない。つか、けっこー凶暴らしいから遠くてよかったくらいだ。問題はその魚…オニカマスの大きさである。1.5mはあるのだ(2m近くあったとホントは思うけど、水中では何でも膨張して見えるので控えめに言ってます)。それが、ちょっと離れた水中を、ゆーったりと泳いでゆく。私たちはしばし呆然とその姿を目で追った。そして、彼(だか彼女だか)が悠然と姿を消したあとやっと顔を見合わせ、「見た!? すごかったね! うわ、感動〜」とゼスチャーと顔の表情とで語り合った。大きいモノってそれだけで迫力があって感動を呼ぶのである。なんでしょね、あの感覚は。ダイバーの夢でよくあるのが「いつかジンベイザメ(←体長15〜20m)に出会うコト」らしいから、大物好きって感覚は一般的だと思うんだけど。ま、ジンベイザメは先のお楽しみとして、今はオニカマスである。今までの経験で最大のオニカマスの出現に、私たちは有頂天になった。しかしまだこれだけでは終わらなかったのである。

オニカマス
これが噂のオニカマス。比較物がなくて大きさが分からないのが残念〜。

オニカマスが去って間もないというのに、今度は反対側からまた大きな魚が近づいてきた。………ナポレオンフィッシュ!!! ケアンズで会いたいと思っていながら会えなかった、ナポレオンフィッシュ! ダイバーの人気モノ、ナポレオンフィッシュだーーーっ。大きくなると2m以上になるナポレオンフィッシュだが、私たちの見たのは1mくらいとまだ若い。しかし嬉しい。もう興奮して息が荒くなっちゃうよおじさんはって感じである。何言ってんだか私はって感じである。

ナポレオンフィッシュナポレオンフィッシュ
左:ナポレオンフィッシュと初対面。感激。
右:ナポレオンフィッシュとアカモンガラ。

ところで今回、友人Yはダイビングのためにデジカメを買った。彼女の買った最新型のデジカメは古い私のよりもシャッターを押してからのタイムラグが短く、初めての水中撮影だというのにYはキレイな写真を撮りまくった。私よりよっぽど上手である。…カメラじゃなくて腕の差かも知れんが。んで、彼女の撮ったナポレオンフィッシュがあまりに見事なので、私は「ホームページに使ってもいい?」とお願いしてみた。彼女は私のサイトを知らないにも関わらず快諾してくれたのであるが、その際の条件が「コメントをつけてくれるなら」であった。「Y撮影」というのは彼女の撮った写真である。そしてその写真は「Yさんが傷だらけになりながら初めて撮った記念すべき力作です」。えー、強調部分が彼女ご希望のコメント。手も足も出したレンタルウェットを着た彼女は、珊瑚に刺されたりどこかにぶつけて血を流したりしていたのだ。それでもYはカメラを離しませんでした。

ナポレオンフィッシュナポレオンフィッシュ
左:Y撮影。迫力のナポレオンフィッシュ。
右:Y撮影。下に小さくダイバーがいるの、分かります?この写真、大好き。

盛り沢山の1本目が終わり、ボートに戻った私たちは1時間ほど休憩をとった。この間シュノーケリングをして遊んでいた人もいたが、ちょっと潮の流れがキツかったのと体を冷やしたくなかったので、私は大人しく休憩をしていた。友達の1人は珍しくゲロゲロしそうになっていた。朝食の怪しいお握りが悪かったのだと思われる。また余談だが、グアムのセブンイレブンで買ったお握りはマズかった。ダイビングに行くときの朝は早い。従って、前日に朝食を買っておかなくてはならないのだが、私らが選んだのはお握りであった。普段なら絶対買わない。海外に行って日本食なんて!と思う人間だ、私らは。幸い胃も丈夫だし。しかしダイビングに関する限り、私たちは異常なほど慎重になる。「…お握りなら、おなかに優しいかも」という気弱な理由で、つい購入してしまったのだ。そしてそのお握りはびっくりするくらいマズかった。固くてぱさぱさで、形になっているのが不思議なくらい。蝋細工の食品サンプルを食べているような気がした。やっぱり先人の知恵は尊ばねば。郷に入っては郷に従えである。

休憩ポイントテディ
左:2本目のポイントの近くで休憩。
右:テディ。水が嘘みたいに澄んでいるでしょ?

それでも基本的に丈夫な私はぴんぴんしていたが、友人は2本目潜れるのか心配になるくらい、気分が悪そうだった。ボートキャプテンの投げるフリスビーとしばらく戯れていた彼女の飼い犬テディが心配そうに友人を舐めにやってくる。うーん、動物は弱っている人が分かるってホントだなー、と私は薄情にもそれを眺めて感心していた。しかし、彼女は海に入るとすっかりいつもの調子を取り戻した。2本目はバラクーダ・ロックというポイントである。水深も20m弱と浅めで、陽光がよく差し込み明るく、何のストレスも感じずにゆったり遊ぶコトができるお気楽ポイントである。魚も多い。ポイント名にもなっている岩にはトンネル状の穴が開いていて、そこを通り抜けて遊ぶのも楽しい。

休憩ポイントテディ
左:このブルー!この魚影の濃さ!
右:Y撮影。カメラを構えて何かを追いかけている私。

こうして初日のダイビングは、友人1人の不調を除けば、文句ナシに楽しく終わった。彼女も潜っている間はちゃんと楽しめたのだから良かった。2本のボートダイビングが終わってから島に引き返し、仕出し弁当の昼食を食べてログ付け。そしてホテルまで送ってもらった。部屋に帰ったのは4時くらいだったと思う。ホテルの部屋のテレビでは、めちゃくちゃ分かりにくい天気予報が、グアムに近づきつつある台風の情報を伝えていた。

―――まだまだ続く―――
(すみませんすみません話が長くてすみませんあと1、2回続きますー)。

この日のログはコチラ(45本目)コチラ(46本目)。写真あり。

(2003.12.13)

憧れのブルーホールだったのに…

―――更にまた続き―――

ダイビング2日目(グアム3日目)、目覚めてすぐに天気予報チェック。状況が分かりにくいが、台風は直撃ではないらしい。でも「この先どうゆう影響があるかは今後の台風のご機嫌次第」ってな感じのコメントつきで不安は解消されない。うーむ。夜の間は雨が降ったり風が吹きすさんだりしてたけど、今は一応陽が照ってる。ただし、風は強め。「何とか今日1日もってくれるとイイねえ」と神頼みをしつつ、ショップのお迎えの車に乗り込む。この日は前日より更に混んでいるらしい。私らが今日もお世話になるペガサス号には、日本人スタッフがもう1人増えていた。紛らわしいので、前日からいた感じのいい日本人スタッフをMさん、新しい彼をUさんとしよう。

何をされたというワケではないのだが、このUさんは感じが悪かった。彼は普段たぶんSというショップのスタッフなのだ。そのショップのケアンズ店には世話になったコトもあって、そのとき私らのガイドをしてくれた女のコもあまり当たりではなかったので(悪いコじゃなかったがプロとしてはどうかと思う態度だった)、「Sってショップは避けた方がいいかもねー」という評価が私らの中で育ちつつある。多分店によってはガイドの入れ替わりが激しくて、その時々で雰囲気が全然違ったりするんだろうけど、客にとっちゃたまったま当たったガイドが全てなのだ。スタッフ教育はしっかりやった方がいいと思う>各ダイビングショップのオーナーさん。

ま、Uさんはどうでもイイや。ボートに乗り込む前、Kが「今日はブルーホールいくよ〜」と教えてくれたので、私たちはたいへん興奮していた。湾を出てすぐの辺りに波の高い箇所があってかなり揺れるのだが、はしゃいでいる私たちにとってはヘでもない。昨日ゲロりそうになっていた友人も、この日は酔い止めを服用しているので元気である。私も何の不安も感じていなかった。だって前日潜ったばかりである。海も青く、ポイント近くでは波も穏やかときては、心配になる要素がないではないか。がしかし、そうゆうときにこそ落とし穴は現れるのであった。前日と同じようにエントリーをして、前日と同じように潜降をしようとした私は、いきなり耳が抜けなくなっているコトに気付いた。

しかも間の悪いことに、この日はフリー潜降だった。潜降ポイントの水深が昨日よりも深く、アンカーロープが底まで届かないらしいのだ。ボートから海中に流れるロープの長さは海底までの距離の半分くらい。これじゃ頼りなくて掴まれない。事前ブリーフィングでも「ロープは目安にするだけにして、フリーで潜降するように」と言われていた。はるか下ではKを始めとするバディたちが心配そうに私を見上げている。(ひーん、ゴメンなさいゴメンなさい!)と焦っても、急に耳が抜けてくれるワケではなく、ちょっと潜っては耳に痛みが走り(ダメだ!)とちょっと浮上して耳抜きをやり直し…。海はこんなに蒼いのに、泣きたくなってくる。それでも騙し騙し何とか海底まで辿り着く。ホントに申し訳ない気分で「耳が抜けなかった」と合図を送って謝る。この後は全然問題なく潜れたのに、この失敗で取り乱してしまった私はブルーホールの写真を一枚も撮れなかったのである…。(ああバカバカ私のバカッ。滅多にいけない場所なのに! 痛恨のエラーとはこのコトだ。これを挽回するために、もう一度グアムの海(だけ)に行きたいよー!)

ブルーホールブルーホール
そんなワケでブルーホールの写真は全てYが撮ってくれたものである。
左:Y撮影。写真右下の暗くなっている辺りがブルーホールの入り口である。
右:Y撮影。ブルーホールは潜降ラッシュ。先に潜った人の吐く泡がカーテンのように立ち上る。

しかしブルーホールは噂に違わず素晴らしかった。深度のせいか場所のせいか、海の蒼さは前日よりもよりいっそう深い。私たちは上の穴から入って横穴から出て行くというルートを取ったのだが、穴の周囲で待っていると、穴の中から何人ものダイバーの吐く泡が次々と浮かび上がってくる。どこか幻想的。ここでKは先に穴に入ってカメラを構え、穴から差し込むブルーの光をバックに私たち4人が手を繋いで輪になって、スカイダイビングのように落ちてゆくってアングルの写真を撮ってくれた。すごく嬉しい。穴に入って見上げたときのあの光景は、あの蒼さは、何と表現すればいいのだろう。許されるのならばしばらくぼーっと見上げていたかった。自分の吐く泡が、細かな泡の固まりが、黒に近い藍から深い蒼にそして光の中へと立ちのぼってゆくのを見ていたかった。たまたまかも知れないが、ホールの中に魚の姿も見えず、とてもとても静かだった。

ブルーホール
Y撮影。ダイバーが穴に飛び込んでゆく。

しかしそれは許されないのだよ明智くん。ナゼならその時点で私たちは35mより深い場所にいるから。ぼーっとしていたら体にどんどん窒素がたまって減圧症になってしまう。それでも暫しの間その光景を楽しませてから、Kは私たちを横穴へと促した。この横穴ではなるべく上の方を泳ぐように注意したのに、私のダイコンは深度38mを示していた。後から聞いたら友人らは40mを記録したそうな。すげー。そんな深さまで潜ったので、ダイコンの体内窒素量を示すバーグラフはかなり伸びている。あと少しでDECOマークが出てしまいそう。私たちはKに連れられて浅瀬を目指した。あとは浅瀬でのんびり遊ぶのだ。遊んでいる間に体から窒素も抜ける。私もこの頃にはすっかり落ち着きを取り戻していたので、陽光ふりそそぐ浅瀬でサンゴに隠れたカニを探したりして楽しんだ。

グアム浅場の海サンゴとカニ
左:浅場はホントに明るく、いかにも南の海って感じ。/右:サンゴに潜むカニ。

1本目が終わると、ボートキャプテンとガイドたちは何やら相談を始めた。台風のせいで透明度が落ちそうなので、予定してた2本目のポイントを変更するらしい。そして私らが連れていかれたのは、来た道をそのまま引き返した湾の中だった。波の高い場所を通るときは、かなりドキドキした。朝よりも荒れているのだ。その中でボートを操るキャプテンは『パーフェクト・ストーム』の女船長のようで、ちょっと惚れ惚れ。途中、湾から出ようとしている大型タンカーとすれ違った。「どうして移動してるか分かる? 台風が来ているからよ。湾の中では逃げ場なくて、ぶつかってしまうから」とキャプテンが教えてくれる。……えーっと、そんなにスゴイ台風なのですか…?

しかしまだ湾内は静かだった。潜るポイントはアメリカン・タンカーである。第二次世界大戦で沈んだアメリカのタンカーが横たわる海に潜るのだ。やった、初めての沈船ダイブだ! 「透明度の悪い日にはぴったりのポイントよ、中にも入れる」とキャプテンが教えてくれたので、「えっ、中に? ちょっと怖いな」と呟くと、「大丈夫、簡単だから。初めての沈船ダイブ向き」と返された。外人の大丈夫ってあんま信用ならないんだけど…。一応「じゃあ、あなたを信用するからね!」と答えておく。

ところで前日調子の悪かった友人は、いつもなら一番海が得意な人であった。彼女はダウンしてしまったのが悔しかったらしく、「今日は意地でもやる」とばかりに今イチ透明度の悪い湾内でシュノーケリングを始めた。キャプテンが「その辺にタンカーがある」と指し示す場所に、水鳥の如く潜っては浮かび上がるのを繰り返す彼女。しかしタンカーの姿は捉えられないらしい。タンカーは水深20m強の場所に眠っているそうなので、透明度10mを切る海ではちょっと見えないだろう。そこに、ガイドのMさんも加わって潜りはじめた。海況を確かめようとしたんだと思う。ボートに残った私たちはのんびりと2人が潜るのを眺めていた。と、友人が焦った顔で浮かび上がって何か言うと、Mさんがいきなり海中に消えた。何? 何だか様子がおかしい。「どうしたのっ!?」。

―――も少し続く―――
(すみませんすみませんたぶんあと1回で…終わるか、な…)。

この回のログはコチラ。写真あり。

(2003.12.16)

沈船に興奮

―――しつこく続き―――

私たちが心配してかけた声に、友人は「フィン! フィン落とした!」と叫び返してきた。「えっ!」と驚いている間にMさんが浮上してくる。彼の手には彼女のパールブルーのフィンが握られていた。見つかったんだ、よかった、と一瞬思ったが、まだ友人の表情は晴れていない。しかもMさんが急いでボートに引き返してくる。彼の後ろから友人が叫んだ。「もう1つも落としたのーっ」。……は? どうやったら両方のフィンを落とせるというのだろう。何かあったのか? 素早くボートに辿り着いたMさんは、キャプテンとKが手際よく用意していたタンクを肩にかけると、「もう1つに追いつかなかった…」と言い残して、また海中に消えた。…カッコいい。さすがプロである。ただの調子のいい兄ちゃんだと思っていたのに。

ちょっとの間彼の消えた海面を見つめつつ、ボートに残っている友人たちと「素早いねー。潜りながら器材背負うのかな」と話していた私がふと目をやると、フィンを落とした彼女はどんどんボートから離れているトコロだった。いや流されているトコロだった。潮がけっこうキツいらしい。「戻ってきなよ!」と叫ぶと、Mさんの消えた辺りを私たちと同じように呆然と眺めていた友人は、やっとボートに向かって泳ぎだす。フィンがないと潮に逆らって泳ぐのは大変そうだったが、そこは海が得意な彼女である。時間はかかっても無事にボートに戻ってきた。這い登ってきた彼女は当然ながら「迷惑かけちゃった」としょぼーんとしている。「大丈夫だよ、見つかるよ」と気休めを言っていたら、キャプテンが話に入ってきて「どうやったら両方いっぺんになくせるの? そんな人、初めて見た!」とからかうフリで慰めてくれた。優しいなあ。

「大丈夫だよ」と言いながらもかなりの時間が経ち、透明度は悪いし流れはあるし、という友人の話で私たちが諦めかけた頃、かなり離れた場所にMさんがぽっかり浮かび上がってきた。手には何も見えない…と思った次の瞬間、Mさんはフィンをかざした。「あっ見つけたんだ!」。自然にボートから拍手が沸き起こる。戻ってきたMさんは恐縮する友人に「思ったよりも深いトコロにあったよ。30mくらいかなあ」と笑っていた。ああボートに彼がいてくれて良かった…。ちなみにこの時、スタッフもお客さんも含めてボートにいた全員のうち、「まったくよー迷惑なんだよなー」という顔をしていたのはUさんだけだった。まったくよー。(しかしマジメな話、ダイビングガイドをちゃんとやってる人ってスゴイといつも思っている。頭が下がる。体力的にもキツいし人の命がかかってるし初心者のカバーは大変だし…。いつもいつもありがとう。なるべく早く迷惑かけないダイバーになりますので、も少しよろしくお願いします。)

ガイドの1人が予想外のダイビングをしてしまったので、ちょっと長めの休憩を取った後、待望の沈船ダイブが始まった。ブルーホールはちょっと期待していたけど、まさか沈船ダイブができるとは思わなかったので、もうドキドキである。事前ブリーフィングで「船の中には空気が溜まっている場所があって顔も出せるけど、キレイな空気じゃないのでレギュのセカンドステージを咥えたままでいるように」と注意があった。ひょっとしてタンカーが沈んだときの空気がそのまま!?と胸が躍ったが、後で調べてみるとダイバーが吐いた空気が溜まっただけらしい。当然か。

さて湾内の海は…濁っていた。透明度7〜8m。まるで伊豆のようである。しかし沈船が見えたとき、「透明度が悪いときは沈船がいい」と言われた理由がわかった。不気味なのだ。視界がきかないので、目的地に近づくとタンカーが幽霊船のようにぼーっと浮かび上がってくる。うわっ雰囲気あるー! 廃墟好きの血が騒いでしまうではないか。透明度のイイときもまた別の魅力があるのだろうが、悪いときだって悪くない。つか、好きだこうゆうの。何十年も前に沈んだ船だから、船にはサンゴやらイソギンチャクやらがくっついている。ちょっとタイタニックな気分(映画の冒頭のトコロね)。エバーブルーな気分(PS2のゲーム)。すっかりハマって見惚れている私たちを、Kが促した。船の中に入るのだ。

Kと先頭をきった友人に続き、開口部に手をかける。思っていたより小さな入り口で、中を覗き込むと真っ暗である。えっこんなに暗いの? キャプテンは入ったらすぐに出口が見える簡単なダイブだって、初めての沈船ダイブにはぴったりだっって言ったのに! 思わずビビるが、すぐに続かないと友人を見失ってしまいそうな暗さに、思い切ってえいやっと頭を突っ込む。入るとそこは狭い通路になっていて、すぐに左に曲がっている。友人の足はすでにその曲がり角に消えようとしていた。慌てて後に続き、角を曲がり、もういっちょ今度は右に曲がると、急に開けた場所に出た。船窓もあり、扉があったであろう開口部もあり、光がたっぷり差し込んでいる。暗いのは入り口のホンのちょっとだけだった。分かってみるとそれも「迫力あってよかった」になる。ゲンキン。

アメリカン・タンカーアメリカン・タンカー
左:Y撮影。Kがタンカーに入る瞬間。
右:この曲がり角の向こうに明るいスペースが。

空気が溜まっているのはこのスペースの天井だったので、そこに顔を出してみたり、船窓から外を眺めたりしてしばらく遊ぶ。窓の外を魚が横切っていく様は、ちょっと不思議でステキ。在りし日には、このスペースは何に使われていたんだろう。大きさとしては操舵室くらいだけど、何の機器も残っていないから違うだろうなあ…。その先の通路をもうちょっとだけ探検して、タンカーの外に出る。外から眺める風景もまた楽しい。あちこちに中に入れそうな口がある。梯子が伸びていたりすると、その先を探検したくなってしまう。ココをねぐらにしている魚もいるんだろうなあ。なんでだか妙にワクワクして嬉しくなって写真を撮りまくってしまった。沈船ダイブってたっのしい〜!

アメリカン・タンカーアメリカン・タンカー
左:こんなのとか。/右:こんなのとか。

アメリカン・タンカーアメリカン・タンカー
左:こんなのとか。/右:Y撮影。こんなのを見ると興奮しません?。

これでブルーホールでの失敗のガッカリ感も払拭され、最高の2日間!最高の4ダイブ!と気分は舞い上がる。初めて見る景色、初めて見る魚、初めて見る海の色、初めて見る沈船。グアムにはガッカリするコトもあったけど、海は予想以上だった(それでも最高のコンディションではなかったそうだけど)。ボートキャプテンもKもMさんも乗り合わせた他のお客さんも、みんないい人たちだった。ありがとうありがとう。皆に感謝。海に感謝。崩れなかった天気に感謝。姿を見せてくれたオニカマスとナポレオンフィッシュに感謝。ああダイビングやっててよかった。友人たちと来れてよかった。…そうゆう気分になりました。

アメリカン・タンカーアメリカン・タンカー
左:フラッシュ焚くとこんな色。
右:タンカーに元気に根付いてます。

―――終わり。おつきあいありがとうございました。―――
(終わるのはダイビング話。後はこぼれた旅行話を、ちょっとだけ書きます)。

この回のログはコチラ。写真なし。

(2003.12.17)

やるじゃんリゾッチャ!

旅行のこぼれ話というか何つーか、書かずばなるまいJALのコト。グアム旅行での「びっくり」の一つは、リゾッチャ!のサービスの良さだった。今までの経験からJALの飛行機には全く期待していなかったのだ。ペナンに行ったときなんか普通に座ってても膝がつかえる狭さで、ちょっとでも座席を倒してリラックスしようとしたらもう通路に足を出すしかなく、その状態で一晩過ごすのはとってもツラかった。だから今回もどうせそんなモンだろ、と思っていたのだ。ま、3時間ちょいだからガマンすればイイや、と思っていたのだ。そしたらまあ座席は広々してるわ(前と比較すれば、だけど)、サービスにはこまめにやってくるわ…。どうしたのだJAL。エコノミー症候群とか騒がれたから改善したのかしら。

食事もなかなか美味しかった。今回の機内食はランチだけだったけど、食事の後にデザートが出てくるわスープが配られるわ菓子(デザートとは別)が配られるわ。いったいいつからこんなにサービス良くなったの? 今はどの路線もそうなのかなー。それともリゾッチャだけ? どうせなら長い時間過ごさなきゃいけない路線を優先して改善してくれているのだったらイイのだけれど、帰りの飛行機はリゾッチャ機じゃなかった(ペインティングされてなかった)ので少し狭く、どうも全体的に改善されたんじゃない雰囲気がある。ま、急に全部というのはムリだとしても、少しずつ良い方向に向かってくれるとイイな。長時間固まっていなくちゃいけないってのは、ホントにホントにツライもの。

それから今回、友人の一人がベジタリアンミールに挑戦してみたのだけど、それがなかなかイイ感じ。どうせ飛行機に乗ってる間はブロイラーになるのだから、野菜が多目のメニューってのは助かるかも。にわかベジタリアンになった友人が「えっ」という顔をしたのは、デザートのアイスクリームの代わりにバナナを渡されたときだけ。それ以外はやけに美味しそうだった。サンドイッチも、普通のメニューで使っているのとは違うパンが使ってあったりするのね。次は私がにわかベジタリアンになろうかなー。「一人はベジタリアンで一人はヒンズー教徒で一人はイスラム教徒なんです」とやってみたいけど……さすがに怒られるだろうねえ。

(2003.12.18)

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