2014.11.23(Sun)_2

≪つづき≫

まだまだ先は長い。けどこの時はまだ気持ちに余裕がありました。空は青いし陽は高い。(蕨山辺りでコーヒーでも飲めたらいいな〜)なんてノンキに考えながら、川苔山方向、仁田山への分岐に向かって歩きます。そこまでは一度は歩いた道だし、あまり大きなアップダウンもないので気が楽でした。が、30分くらいたって「有馬山」への小さな道標に従って道をわけると、その先タタラノ頭までは破線ルート。さらにその先の蕨山までは未知の道です。鳥屋戸尾根に続いてここでも先行者(今度は単独男性)がいたのが嬉しい。あっという間に引き離されたとしても。

蕎麦粒山

のんびり緩やか。連休なのにこんなに静かなのが魅力です

蕎麦粒山名栗湖へ

左:仁田山への分岐点/右:こちらもよく踏まれていそう

名栗湖へ

冬枯れの、尾根を歩く

分岐から下って行くとすぐ鉄塔が目の前に見えてきて、その下をくぐります。鉄塔の下は開けていて、この日歩いたなかで一番の開放感でした。有間峠まで車で入れるからか、この道はよく歩かれているみたい。鳥屋戸尾根で会ったのは山ガール1人だけでしたが、こちらでは何人かとすれ違ったり追いぬかれたりしました。トレランの人が目立ちます。ただ、林道が近くを通っているので、バイクの音は気になります。天気が良くて紅葉の季節だからか、ひっきりなしにバイクが通っていました。林道を見下ろしたり錆びたワイヤーに首を捻ったりしながら、仁田山到着。

名栗湖へ名栗湖へ

鉄塔と、鉄塔下からの名栗湖方面

名栗湖へ

広くひらけた反対側

名栗湖へ

やっと名栗湖が見え……えっと……遠いな……(ズームしてます)

名栗湖へ名栗湖へ

左:何に使われてたワイヤー?/右:仁田山1,211m

山頂写真を撮ったらすぐに再出発です。……というのも、ですねえ。薄々気づいてはいたんですが、登山計画、失敗しました。登りにかかる時間を甘く見積もったのに加えて、CTの足し算間違えて途中で25分がどこかに消えている。長い距離を歩くというのに余分な時間は45分だけ(お昼30分とお茶休憩?)。なのにゴールのさわらびの湯には16時に到着する予定です。えーっと日没は何時だったかな。ちゃんと調べてこなかったけど、16時半には暗くなり始める気がする。山だともっと早く暗くなるかも。今の時点で30分遅れで不明の25分を足して余分な休憩15分を引くと、CTどおりに歩いたらゴールは16時40分?

名栗湖へ名栗湖へ

左:有馬峠近くで林道を見下ろします。足元が人工物だと急に怖くなるのはナゼ?/右:有馬峠。いいお天気で、遠く名栗湖が見えます

ヤバいヤバいちょっと急がないと。そう気ばかり焦りますが、なかなか足が前に進みません。有間峠から有馬山(橋小屋ノ頭)の、いくつもある小さなアップダウンが辛いです。この辺りはゆっくりのんびり歩いたらきっと気持ちいいのに、こう急いでしまうのはもったいない。けど(暗くなってもいいや)とはさすがに思えません。名前に惹かれたタタラノ頭(製鉄に関係あるのかしら)を過ぎ有馬山を過ぎ、紅茶が尽きたので休憩所(逆川乗越?)で飲み物の補充をし、こないだは踏み損ねた蕨山最高地点を踏み、やっと蕨山に。

名栗湖へ名栗湖へ

左:地形図では「有馬山」になっているタタラノ頭1,213m/右:タタラノ頭から行く手を望む。次のピークがすぐ橋小屋ノ頭だといいのに……

名栗湖へ名栗湖へ

左:有馬山(橋小屋ノ頭)1,163m/右:タイミングよく現れてくれた休憩所。ここまでは車で入れるみたいです

名栗湖へ名栗湖へ

左:山頂標識ばかりが続く写真の撮り方に、余裕の無さが現れています。蕨山最高地点1,044m/右:蕨山展望台1,033m

名栗湖へ

蕨山展望台から。気温が高いせいか、遠くは霞んでしまっていました

時間は14時。前回蕨山に来たときはもうさわらびの湯に着いてた時間です。ぎゃ。山頂の道標には、下山口まで7kmの文字がありました。う……平地なら余裕で歩ける距離だけど、山の7kmは遠いぞ。名郷へは3.5kmで、そっちに下りた方がいいんじゃないかと迷います。1回歩いた道ではあるけれど……しかし手元の「奥多摩」の地図には蕨山から名郷への道は載っていない。となるとやはり、当初の予定通りに歩いたほうがいいでしょう。ガンバれ私。秩父側はすっかり冬枯れで、やはり北側だからかな〜と思いながら歩いていましたが、藤棚山を過ぎると少しずつ紅葉が見られるようになりました。ピークは大ヨケノ頭の手前、林道を見下ろす辺りでした。

名栗湖へ名栗湖へ

左:樹林帯に入ると暗く、陽がもう傾いてしまった気がして焦ります/右:藤棚山920m。下山口まであと5.8km

名栗湖へ

藤棚山から少し下った辺で、やっと紅葉が

名栗湖へ

名栗湖へ

思わず「おお!」と声をあげてしまいます。陽が高いうちだったらきっともっとキレイだった

名栗湖へ

足元にも紅葉。こうゆう小さい紅葉も好き

名栗湖へ名栗湖へ

左:大ヨケノ頭771m/右:林道を横切る

名栗湖へ

そのちょっと手前に、街を遠望できる場所がありました。日が傾いてきたからか、かえってよく見えるみたい

林道にぶつかる寸前、前方から熊鈴の音が聞こえました。お、私以外にもこんな時間まで歩いているばかがいる、と嬉しくなりましたが、あっという間に遠ざかっていくその人らは、マウンテンバイクにまたがっていました。なーんだ。そう言えば、前に来たときもマウンテンバイクで走っている人を見かけたのを、思い出します。人気のコースなのかしら。中登坂で名栗湖ネイチャートレイルに入ると、やっと(なんとか明るいうちに下りられそうだな)と、少し安心できました。長くは感じましたが、とっとこ歩いて金比羅神社跡を過ぎ、16時をまわって車道に到着。温泉に隣接したお休処の営業が終わっていて、名栗まんじゅうが買えなかったのは残念。

名栗湖へ名栗湖へ

左:中登坂/右:しばらく見えてなかった名栗湖がやっと視界に

名栗湖へ名栗湖へ

左:金比羅神社跡/右:「ヤマノススメ」が迎えてくれるさわらびの湯。バスも「ヤマノススメ」のラッピングバスでしたよ〜

名栗湖へ名栗湖へ

さわらびの湯にて。こんな時期に桜?と思いましたが、「十月桜」という、秋から冬にかけて咲く種類の桜だそうです

さわらびの湯は一番混んでいる時間帯らしくて、洗い場の空きを待つ行列ができていました。それでもゆっくり汗を流し、17:37のバスに乗って東飯能駅へ(バス料金618円也)。けっこう時間がかかったので、座れて助かりました。東飯能からは拝島駅に電車で戻り、駐車場隣りのお蕎麦屋さんで食事をして帰路につきます。最後が車だとビール飲めないのがツラいな。帰りは渋滞の中央道から逃げてきた車のせいか一般道も混んでて、行きよりずいぶんと時間がかかりました。

長い、キツい、でも終わってみれば充実の一日でした。

*****

■川乗橋バス停(6:46)→笙ノ岩山1,254m(8:54-9:01)→蕎麦粒山1,472m(10:23-10:57)→仁田山分岐(11:24)→仁田山1,211m(12:05)→有間峠(12:17)→タタラノ頭1,213m(12:57)→橋小屋ノ頭1,163m(13:20)→蕨山最高地点1,044m(13:54)→蕨山展望台1,033m(14:00-14:05)→藤棚山920m(14:25)→大ヨケノ頭771m(14:51)→中登坂(15:11)→さわらびの湯(16:06)

上:mizuno速乾長T+MUSSHU山シャツ+mello'sフリース。下:Phenix裏地つきパンツ。他:綿手袋、クリマプラス帽子。携行のみ:タホジャケット、ピークシェルジャケット、patagoniaレインパンツ、BAILESU手袋、ネックウォーマー。カメラ:Powershot A610

2014.11.23(Sun)_1

この連休は山に行こう、とはずっと前から考えていました。1週間前になると天気が期待できそうなのもわかりました。でも……どこ行く? テント泊? 小屋泊まり? しかし高山にはもう雪が降っていそうなこの季節、ぱっと行きたい場所が出てきません。奥多摩から大菩薩が良さそうだけど、テント、寒そうだなあ〜。荷物重いのイヤだなあ。小屋も混んでいるだろうなあ。疲れているのかどうも気分が盛り上がりません。なら、もう日帰りにしちゃえ。そしたら準備も後片付けもゆっくりできる。

というワケで新緑か紅葉の時期に狙っていた鳥屋戸尾根に行くコトにします。まぁ今年は紅葉はもう終わっちゃってるだろうけど、冬枯れの山道もまた良しだ。泊まりじゃない分、せめてガッツリ歩こう。奥多摩から秩父に抜けて、さわらびの湯に入るコースがいいかな。かなり長いコースになるから、日没の早い今だと始発のバスに乗らなきゃキツい。んでも始発のバスにはウチからだと間に合わないし……入山口と下山口が違うから車もダメだし……。地図とにらめっこしながら頭をひねり、(途中まで車で行けばいいんじゃん!)という単純な結論に達します。

んで連休初日の昨日は家の用事を片付けてから登山計画書を作り、荷物を詰めます。3:30には出発したいからできたら21時、遅くても22時には寝ようと予定していたんですが、結局電気を消したのは22:30頃。でも4時間ちょいは寝られるハズだったのに、ナゼか0:30くらいに目が覚めてしまい、そのまま寝られなくなりました。遠足前の小学生か。結局その後は布団の中であっちを向いたりこっちを向いたり、ちょっとはとろとろしたのかもしれませんけど、自覚的には全く寝られず2:45にセットしたアラームが鳴ってしまいます。ひーん。

仕方ないので起きだしてお湯を沸かし、熱い紅茶をサーモスに詰めます。そしてほぼ予定通りに寝静まった住宅街を出発。さすがにこの時間では途中の道もガラガラで、目的地の拝島駅近く駐車場には始発の4:59の電車に間に合う時間に到着できました。2本めの5:18の電車でも始発バスには間に合うけれど、それだと奥多摩駅でトイレに寄る時間がないもんねー。青梅駅で乗り換えた電車が着いた奥多摩駅はまだ薄暗く、停まっているバスの中は冷えきっています。バスの乗客はどんどん増え、出発の6:27には満員でした。

川乗橋バス停では多くの乗客が降りましたが、ほとんどは川苔山を目指すようです。軽くストレッチをしてから、さあ出発。車止めのゲートを過ぎ、林道をちょっと歩くと左手に「蕎麦粒山」の道標があって、ここが入り口です。いきなり始まる急坂を見上げている私の脇を、単独の山ガールが通り抜けていきます。おお、あなたも鳥屋戸尾根ですか。ちょっと心強いです。ちょっと歩くと暑くなってきたのでフリースを脱ぎ、もう少し歩いてさらにシャツを脱ぎ。気温が高くなったこの日は結局、ほとんど速乾長Tだけで過ごせました。それでも汗がびっしょりです。

鳥屋戸尾根鳥屋戸尾根

左:出発は川乗橋バス停/右:ここから鳥屋戸尾根へ

鳥屋戸尾根鳥屋戸尾根

左:急坂をがしがし登る山ガール/右:1時間ほど登ると広葉樹が出てきました。陽もあたるようになってきて、いい感じ

しかし急です。ときどき息を抜ける場所もありますが、ホッとする間もなくまた次の急坂が待っています。坂の途中で振り向くと、今登っている坂の急っぷりがわかります。ちょっとバランス崩したら下まで転がって行っちゃいそう。かなりキツいですが、気持ちの拠り所は紅葉です。勝手にもう終わったものだと思い込んでいましたけど、いやいやまだ全然キレイじゃないですか。800mくらいから(おおっ?)って感じになってきて、1,000mちょい過ぎまで今が盛りといった風です。これは嬉しい驚きで、テンション上がってにんまりです。陽もあたってキレイ。

鳥屋戸尾根鳥屋戸尾根

左:秋の彩り/右:こうゆう尾根道ばっかだとありがたいのに

鳥屋戸尾根

おっ?

鳥屋戸尾根

おおっ?

鳥屋戸尾根

おおおおお〜♪

紅葉はキレイですが、1,000mに着かないうちから(登山計画、失敗したかなー)って気がしてきました。計画では笙ノ岩山まで1.5時間、蕎麦粒までさらに1.5時間の計3時間。しかし登山口から笙ノ岩山までは標高差で800m以上あります。亀足の私が1.5時間で行けるワケがない。今日は調子いいほうだけど、それでも2時間で行けたら上出来でしょう。まぁ11時までに蕎麦粒山に着けなかったら下山ルート変更する予定はあるし、今さら考えても仕方ない。しばらくはこの好天と紅葉を楽しみましょう。

鳥屋戸尾根鳥屋戸尾根

左:「東京市」の境界石?/右:なにが削って巣にしていたんだろう? 今は空っぽのようでした

鳥屋戸尾根

2時間ちょっとで笙ノ岩山到着〜♪ 落葉した木々の間に、石尾根から長沢背稜までぐるっと見えるこのコース、いいですねぇ〜

笙ノ岩山から蕎麦粒山までは標高差で200mちょっと。後は楽に行けそうなもんですが、そう甘くはありません。今まではずーっと登りっぱなしだったのが、今度は下ったり登ったりを繰り返すようになります。足もけっこう疲れてきているので、地味な登りも堪えます。破線ルートなこのコース、よく踏まれているし基本的に尾根道づたでわかりやすいのですけど、松岩ノ頭を下りた辺りかな、尾根が2方向に伸びていて1回だけ迷いそうになりました。赤テープとコンパスを頼りに、直進ではなく左手の道を尾根を選びます。地形図とコンパス、今回はけっこう使いました。

そしてこの辺りの、何てことはない平坦な道で派手に転びました。一般ルートほどは人の歩かないこのルート、落ち葉が踏みしだかれていなくてふかふかで気持いいのですけど、その落ち葉に隠れていた木の枝に足を引っ掛けました。んでその枝ともう片方の足がどう絡まったのか両足をすくわれた形になって、ビッターン!って擬音がしそうなくらいの勢いで顔から地面に突っ込みます。手をつく暇もなかったよ……。しばらく痛みで動けません。痛い……。とりあえずまずは、骨折してないのを確認します。人って、えらく簡単に骨が折れてしまうから。

骨折も捻挫もなさそうだったのでホッとして、人に見られなくてよかったと思いつつもぞもぞ起き上がって被害を調べます。とっさに体をひねったらしく、怪我は全部体の左側でした。顔に怪我してるのはわかったんだけど、どの程度かがさっぱりわからない。考えた挙句、カメラで自分撮りして目立つ怪我じゃないのを確認して、またホッとします(結局、顔の左側から首にかけての擦り傷、左肩の打撲、左膝のおっきな痣で済みました)。突っ込んだ場所に岩とか無くって、ラッキーでした。

鳥屋戸尾根

落葉しきって日当たりのよくなった稜線

鳥屋戸尾根鳥屋戸尾根

左:鳥屋戸尾根ルートには小さな手書きの標識ばかりで、一杯水方面への分岐点でやっと立派な道標が出てきました/右:最後のひと登り

蕎麦粒山

笙ノ岩山から蕎麦粒山まではほぼ予定どおりで1.5時間

蕎麦粒山の山頂では先行していた山ガールが休憩しています。結局、鳥屋戸尾根では彼女の姿しか見なかったなあ。時間はまだ10:30ですが、朝食を電車の中で食べたのは5時過ぎくらい。もうお昼にしてもいいでしょう。川苔山経由で下山するという彼女を見送り、行く手を眺めつつお弁当をパクつきます。しばらくすると鳥屋戸尾根から2人組、一杯水方面から単独の登山者がやってきましたが、連休なのに意外と静かな山頂でした。さて。30分遅れだけど、一応予定のルートは行けそう、かな。

蕎麦粒山で蕎麦粒山

左:お握りとインスタント味噌汁/右:これから行く道

≪つづく≫

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