2009.9.26(Sat)_3

≪つづき≫

そろそろ行こうか、と、沼を回った先の道を辿ります。次に向かうは弥陀ヶ池〜。ちょっと登りがありますが、すぐに終わります。途中、座禅山へ向かう道も分かれていましたが、すっかりまったりムードになっていた私らは「もうイイよね〜」と平坦なコースを選びました。この途中にもテント張りたくなるような空き地がありましたよ。いいなあ、白根山。弥陀ヶ池は五色沼より小さく、植生回復中なのか、岸の植物の周りがいちいちロープで囲ってありました。菅沼から登ってくると、この池にまず出るんですね。

日光白根山

五色沼のほとりをぐるっと回って弥陀ヶ池へ

日光白根山

ちょこっとだけ登って、少し下ると……

日光白根山

弥陀ヶ池です

日光白根山

もいっちょ、弥陀ヶ池

ここから「白根山」の標識に従って登ります。いやいや、もう一度山頂に登るワケではありません。途中でちゃんと道が分岐し、そこからはひたすら下り〜。すぐに林の中に入りますが、しっとりとした展望のないこの雰囲気もなかなか好きです(さっきさんざん展望を楽しんだから言えるコトですが)。急な部分もありますが、白根山から五色沼に下りる砂礫の道と比べると格段に歩きやすい。さくさくさくっと下って下って下って〜。……かなり長いな。

日光白根山

大岩も華やかに彩られています

日光白根山

分岐前、最後のひと登り

日光白根山

樹林帯に入ると雰囲気が一変します

日光白根山

その中でも、ときおり目を楽しませてくれる紅葉が

日光白根山

赤と黄色の葉が重なって

日光白根山

お陽さまをあびる、苔の森♡

ずずずずんと下りると、最初に歩いた散策路エリアに戻ります。「七色平へ」の標識を横目に、私たちは「六地蔵」方面へ。散策路に入ると、ほとんど傾斜はなくなりました。地図に載っていた「血ノ池地獄」もちょっと気になったのですが、今回はなんとなくパス。ただひたすらまっすぐまっすぐ。30分くらいだったかな? 着いた「六地蔵」は―――ごめん、でも祠がどう見ても犬小屋にしか見えない……。まだ、野晒しのほうが、風情があったよ……。ちょっとガッカリして、すぐ先の「展望台」に向かいます。

日光白根山

散策エリアに入ると、あとはほとんど平坦な道です

日光白根山

……祠に、見えます? 「六地蔵」

日光白根山

ガッカリのおいちゃん

ここは、展望台ってよりスキー場のゲレンデの頂上って感じ? 林間コースで滑ってきて、ここから一気に滑降って感じかな? でも目の前が開けているのは気持ちがいいです。誰もいなくて静かだし、ごろんと横になって休憩―――と思ったのですが、2人とも30秒も経たないうちに飛び起きました。羽虫がウルサすぎ! 刺す虫ではありませんが、顔にぴょんぴょん飛び乗られちゃあ、さすがに無視はできません。仕方ないのでロープウェイの頂上駅に戻るコトにします。

日光白根山

この道、冬は林間コースかしら

この先はずっと林道みたいに広い道を歩いていくのかと思いましたが、道は途中でまた細くなり、林の中を微妙に登っていきます。そして展望が開けたら、もうすぐそこに山頂駅。空いてたら足湯もいいね、と言っていたのですが、かなり混んでいたので諦めました。すぐにゴンドラに乗り込み、朝よりちょっと色鮮やかになった山の斜面を眺めながら駐車場へ下ります。色が鮮やかになったのは天気がよくなったから? それとも紅葉が進んだから?

日光白根山

山頂駅が見えてきました

日光白根山

朝は雲がかかっていた山頂まで、キレイに見えるように

日光白根山

ロープウェイのおかげで、ずいぶん楽ができました

日光白根山

朝より紅葉が進んでないですか? 気のせい?

ゴンドラからは、下のゲレンデを滑る人たちが見えました。草スキーなのかと思いましたけど、後で調べたらプラスノースキーってヤツだそうです。朝、スキーをかついだ人を見て不思議に思っていたのですが、これで納得。しかし夏までスキーとは、ホントに好きなんですねえ(←冬に海に潜る人間に言われたくないかもしれないけど)。さあ帰ろうかと車に乗り、帰りは沼田ICを目指します。途中から(あれ? なんだか知ってる道……)と思ったら、尾瀬ツアーのバスが走る道か! へえ〜。地理が苦手なんで、どことどこがどう繋がっているのかさっぱりです。

日光白根山

プラスノースキーをする人たち

おいちゃんが「小腹が空いた」と言うので、途中の食堂に立ち寄り、尾瀬蕎麦お蕎麦を食べました。蕎麦にのっていた舞茸の天ぷらが美味しかった♪ で、昨日収穫した大根が「ご自由にお持ちください」になっていたので、ありがたくいただいて帰りました。それから、おいちゃんオススメの「吹割の滝」にも寄り道しました。東洋のナイアガラとか書いてあって鼻で笑っていたのだけれど、でも確かに面白い滝!(ただし、アナウンスはうるさすぎます)。渓谷も、川床が一枚岩だったりして見応えありました。巨大な岩を抉ってできた水の道なのね〜。

吹割の滝

高台から「吹割の滝」を見下ろしてみました

吹割の滝

間近によってみました。いつもより水量は少ないそう

吹割の滝

切れ目なし。どんだけ巨大な岩なんでしょう

帰りはガンバろう、と思っていたのに、高速に入ったらまた寝てしまいました。いつもゴメンよ>おいちゃん。で、おいちゃんちの最寄駅で降ろしてもらって、そこから2時間かけて帰宅。もうちょっと、家が近かったらイイのになあ。

■山頂駅(8:32)→白根山2,577m(10:28-11:00)→五色沼(12:22-12:53)→弥陀ヶ池(13:27)→六地蔵(14:31)→山頂駅(14:56)

2009.9.26(Sat)_2

≪つづき≫

登った頂上には白根権現の祠がありましたが、そのまだ先、小さな窪地を隔てた向こうに、どうやらホントの山頂があるようです。岩を下って登って……山頂標識が2つあったので両方で写真を撮りたかったのですが、片方で「百名山達成おめでとう!」の横断幕を持ったグループが盛り上がっていたので、片方だけで諦めました。私は目指してませんけど、シャンパン開けてお祝いってのも楽しいでしょうねえ。理由もなくシャンパン持って行こうかな。山頂はあまり広くないので、写真を何枚か撮った後は人の邪魔にならない場所に移動します。

日光白根山

最初に到達するピーク

日光白根山

から、小さな窪地に下ってまた登ります

日光白根山

お、あれは五色沼ですね!

日光白根山日光白根山

左:白根山2,577m到達〜。……って、山頂標識隠してるし/右:コンビニで仕入れたかぼちゃのモンブラン。バックは中禅寺湖

しかし素晴らしい展望だ〜! 中禅寺湖も大きく見えるし、地図を広げてKおいちゃんと山座同定に励みます。燧ケ岳、至仏山、武尊山。もちろん男体山、女峰山、大真名子山、小真名子山もばーっちり(おおなまここなまこって早口言葉みたい)。嬉しいなあ。火口跡とその周りぐるっとが草原みたいになっていて、のーんびり料理をしている人たちもいました。いい山ですねえ。私たちはまだお昼にはちょっと早いかなって腹具合でしたので、お八つ……じゃなくてお十時だけ食べて山頂とはさようなら(お十時って言葉、久しぶりに使ったなあ!)。

日光白根山

相談の結果、武尊山という結論に

日光白根山

至仏山、ではなかろうか(←2回も登っているのに頼りないなあ)

日光白根山

さすが百名山、人が多いです

日光白根山

気持ちイイねえ

日光白根山

男体山と中禅寺湖

下山コースは山頂で決めよう、と言っていたのですが、思っていたより簡単に登れてしまったし、山頂から見下ろした五色沼が美しいしで、五色沼を経由して帰るコトにします。この下山路はけっこう急で、しかも細かい石でできていて滑りやすいので、下りが苦手なKおいちゃんはそろそろと下っていました。でも景色がいいからいい道です!(きっぱり)。山腹には茶色く枯れた植物が残っていて、見てみるとどうもアザミみたい。「アザミの花が咲き誇っていたら、それはそれでキレイかもね〜」。ちょっと見てみたいです。

日光白根山

「滑りそうだから、ゆっくり行こうね」

日光白根山

中央下よりに登山者がいるの、分かります? ひたすら下り〜

日光白根山

五色沼がだんだん大きくなってきました

日光白根山

麓では全然紅葉していなかったのにねえ

日光白根山

すっかり青空が広がりました

最後は樹林帯に入り、それを抜けたら広い空間に出ました。テントを張りたくなるような気持ち良さそうな草地です。ちょっと行くと先行者が道の横を向いてカメラを構えていました。なんだろ?と見ると、鹿の親子。全然人間を恐れる様子がありません。鹿避けのゲートを通ってきたハズだけど、ここに鹿がいてイイの? そう思いながらも可愛いので、ついカメラを向けてしまいます。

日光白根山

下りきった辺り。ここから緩やかな道になります

日光白根山

美しい紅葉に背を向けて、彼は何を撮っているのだろう…?

日光白根山

鹿の親子。カワイイのう

最初のうち、のんびりと草を食べていた親子ですが、途中で子どものほうが何かに驚いてぱっと跳ね、斜面を駆け上がっていってしまいました。母鹿は草を食べ続けています。「ちょっとお母さん、子ども行っちゃったよ。放っておいていいの?」。声をかけると彼女はちらっとこちらを見て、また食事に戻ってしまいます。「……無視かい」「これがホントの、しかと ♥」「………」。

日光白根山

逃げ出す子どもと、食事に夢中の母

そこから平坦な道を歩いて、見えてくるのが五色沼避難小屋。中を確認してみようとしてる人たちもいましたが、扉が開いていないようでした。「冬限定なのかなあ? でも夏でも必要なコトってあるよね? 必要なときに使えなくて遭難しちゃったらどうするんだろ」「非難されるんだよ〜」「………」。おいちゃん、力が抜けるってばよーっ!たぶん、どっかから、入れるんだと思います!

日光白根山

非難……じゃない、避難小屋

日光白根山

この辺りの紅葉はいいですねえ

前白根山への道は小屋の横手から伸びていましたが、急な登りに見えました。私らは、林の中の緩やかな下り坂を歩いていきます。と、また視界が開け、今度は目の前に五色沼が広がります。思わず、うわあ、と声をあげてしまいました。なんだこの気持ちいい空間は! 周りを山に囲まれた平坦な空間で、静かな湖が広がっています(いや湖というには小さくて、小さい湖を沼と呼ぶのはわかっているんですが、沼ってなんだか濁っているというイメージないですか?)。あちこちに人が点在してはいるんですが、広いから少しも気にならない。風もなく、ぽっかぽかです。NZのトレッキングルートみたい。

日光白根山日光白根山

着いた〜五色沼〜

日光白根山

どこかで見たような気のする、懐かしい風景

この頃にはだいぶおなかが空いていましたので、適当な石に腰をかけて周りの景色を眺めながらの昼食にします。この辺りの山の斜面は、紅葉の見頃を迎えかけていました。「麓では全然かと思ったけど、キレイだね〜」が何回も何回も口に出てきます。すごくのどかで、お昼寝したくなるくらい。ここにテント張って夜を迎えたら、気持ちいいだろうなあ〜。昔、おいちゃんが歩いたコースの話など聞きながら、ゆったり休憩。

日光白根山

パッチワークみたいな色合いの山肌

日光白根山

う〜ん、落ち着く

≪つづく≫

2009.9.26(Sat)_1

北アルプスから帰って1週間も経っていないというのに、今度はKおいちゃんと日光白根山に出かけてきました。いつものように金曜日の夜においちゃんの家に泊めてもらい、土曜は4時にに出発です。睡眠時間、短すぎ〜。「寝てていいよ」とは言われても、助手席でぐーぐー寝るのは失礼……とは思っていたのですが、気がつくとしっかり寝ていました。途中で夜明けを迎え、一般道路をひた走っていた車は日光に。日光なんて、中学の修学旅行以来じゃないかしら。ろくに覚えていないから、一度ゆっくり観光に来てみたいなあ。

紅葉は、まだ全然でした。ですので、いろは坂もすんなり通れます。「中禅寺湖の近くにコンビニがあったハズだから、そこで食糧を仕入れよう」というおいちゃんにお任せで、久しぶり(つか初めてみたいなもんだ)のいろは坂をきょろきょろと見物していましたら、なんと中禅寺湖畔にコンビニらしきお店がありません。お土産物屋はあるので、もっと遅い時間なら何か買えたのかもしれませんが……。集落があればそこに1軒くらいコンビニがあるもんだ、と思い込んでしまっているのは、東京暮しの弊害でしょうか。

「またいろは坂を下りたくない」と言うので、集落をぐるぐる回りましたが、やっぱり店はありません。かと言って何も持たずに行くのはダメでしょう。と、仕方なくいろは坂を下りるコトにしました。まぁ私は乗ってるだけなんで、途中で猿を見かけて喜んだりしてのん気なものです。無事に食糧を仕入れた後はまたいろは坂を登って中禅寺湖畔のテーブルを見つけて、朝食。まだ陽も差していないので、じっとしていると寒いくらいの気温でした。

食後は戦場ヶ原を横目に見つつ走り、白根山の北をぐるっと通る道路で丸沼に向かいます。おいちゃんは最初、菅沼からのコースを考えていたのですが、北アルプス後でまったりしたかった私の希望で、ロープウェイ利用のお気楽コースになったのでした。金精峠や菅沼登山口を通過し、着いた丸沼高原レストハウスの駐車場はかなり混んでいます。菅沼の駐車場もいっぱいぽかったし、こりゃ人出もスゴいのかなあ。ロープウェイでも待たされるかも、と思ったのですが、ぐるぐると回っているのはスキー場のゴンドラだったので、待ち時間は0でした。

日光白根山日光白根山

日光白根山ロープウェイ

日光白根山

駐車場には車がぎっしり

日光白根山

ぐんぐんと高度を上げていきますよー

日光白根山

下に見えるは丸沼? 菅沼?

ロープウェイでぐぐんと標高を上げる途中の山肌は「わ、少し紅葉してるよ」! 見頃とは言えませんが、なかなかキレイ。ただちょっと曇り空なので、写真では色がくすんでしまうのが残念です。「肉眼ではキレイに見えているのにねえ」。んであっさり2,000mの高みまで到着しまして。さあゆっくり行きましょうか。キレイに整えられた花壇があったり、ソフトクリームの売店があったり、足湯(その名も「天空の足湯」)まであったりする観光客エリアの端っこの二荒山神社から歩き始めます。

日光白根山

山肌の紅葉は、こんな

日光白根山日光白根山

左:公園みたいに整備された山頂駅の周り/右:目指す白根山の山頂にはちょっと雲がかかっています

日光白根山

二荒山神社

日光白根山

「無事に、楽しく歩けますように」

と、この山域でも鹿害が進んでいるのか、まずは鹿避けの電気柵がありました。ゲートを通っての先しばらくは、平坦な樹林帯歩きです。木にスノーシューのコース番号がかかっていたりして、散策路にもなってるみたいですね。「登り始めから急登じゃないってのはいいねえ。いいウォーミングアップになるね」。苔の美しい道をのんびり歩いて体が温まってくると、やがて道はちょっとずつ勾配を増してきます。七色平分岐を右に取り、樹林帯コースを歩きます。直登コースってのもあったらしいですが、今は通れないみたいですね。ま、登れたとしても樹林帯コースを選ぶと思うけど。

日光白根山日光白根山

左:「シラネアオイの保護区域です」と書いてありました/右:最初のうちは、広い、勾配のない道を歩けます

日光白根山

不動岩ってコレだったかなあ?(違うかも)

日光白根山

おっ薄日が差してきたかな?

日光白根山

大日如来さま

このコース、山腹を巻くようにして登っていくので、だんだんどっちに向かって歩いているだか今どこにいるんだか分からなくなります(コンパス見ろよ)。展望もほとんどないしね。ちょーっとだけ色付いている木を見つけては、Kおいちゃんやたまたま通りかかったご夫婦と感嘆しあい、展望が一部開けたと言っては歓声をあげます。ちょっとしたコトがいちいち嬉しいですよね、山では。やがて森林限界を超えると、一気に視界が開けます。「え? これ登ったらもう山頂?」とKおいちゃん。拍子抜けしたようですが、そりゃ2,000mまでロープウェイですもん。

日光白根山

ところどころで、紅葉が進んでいました

日光白根山

もうちょっとで視界が開けそうなんだけど

日光白根山

道の両脇にロープが張られているのは、土が流出ぎみだから?

日光白根山

おお、視界が開けたぞー

そこからはザレた道を一歩一歩登ってゆきます。ときどき置いた足がズッと滑るような感じもあるけれども、段差はないのでそれほど歩きにくくはありません。Kおいちゃんは「那須岳みたいだなあ」と言っていました。最初、山頂を振り仰いだときは(けっこうキツい登りかな?)と思ったのですが、意外にあっけなく山頂にたどり着きます。止まるとちょっと風が冷たいぐらいの気候だったので、歩くのが楽だったおかげかも。最後にちょこっとだけ岩場があって、全然危なくも大変でもないんですが、慣れてない感じの若い女性が苦労してました。

日光白根山

振り返ってこんなだと、テンション上がります

日光白根山

ちょっと青空も見えてきた。登ってゆく人がぽつぽつ見えます

日光白根山

視界が開けてから、足元はずーっとこんな感じ

日光白根山

写真の真ん中にぽつんと木のないのが、ロープウェイ山頂駅

日光白根山

一番高いのはたぶん錫ヶ岳(2,388m)

日光白根山

かなり山頂に近い辺り

日光白根山

「待って〜動かないで〜」と撮った鳥。なんて名前だろ?

≪つづく≫

2009.9.23(Wed)

連休最後、秋分の日は休養日です。ゆーっくり寝るつもりだったのですが、8:30に携帯のアラームで目覚めました。なんで私、こんな時間にアラームセットしたんだっけ……10時ごろまで寝ていたかったのに……。そう思いながら携帯の液晶を見て、慌ててTVを点けます。そう、前々から楽しみにしていた『ウッチーの北アルプス大縦走』の日だったのでした。NHK名古屋の中多キャスター(すみません、知りませんでした)が、登山家の田部井淳子さんにガイドされて、3週間かけて北アルプスを大縦走するのです!

―――が。えーーーっ。3週間の縦走を、あの見所たっぷりのコースを、たった1時間10分の番組にしちゃうの? 面白かったけど、景色もステキだったけど、あれじゃダイジェストじゃーん。ちゃんと見せてよー。ぶーぶー文句を言いたくなります。他の登山者や山小屋の管理者さんとの触れあいは、ないの? もったいなさすぎます。1週間くらい番組続けるだけのネタは十分、あっただろうに。自分で行って見ろってコトかい? しかしお仕事でしかも万全のバックアップであのコースを歩けるなんて、羨ましいなあ。

この番組のおかげで寝過ごさずには済みまして、この日のうちにやっとかなきゃの荷物の片付けに入ります。―――片づけしてる途中から(あれ?)とは思っていたんですが、どこかに紛れているだけだと思い込もうとはしていたんですけど、荷物が全部無くなって確定しました。どこかに、キミーを、落としてきちゃった……。記憶を辿ってみると、どうも帰りの松本電鉄が怪しい。ひまわり畑があると告げる親切なアナウンスに、慌ててカメラを引っ張りだしたときだ。

ぬいぐるみにいちいち名前をつけたりしてないし、そんなに思い入れもないつもりだったけど、自分でもビックリするくらいの喪失感に襲われています。くすん。

キミーとの山

キミー最後の山、燕岳。1年弱のおつきあいでした

2009.9.22(Tue)_3

≪つづき≫

タイミングのいいコトに、徳沢園に着くちょっと前に雨はあがってくれていました。ここからは観光客もだんだん増えてゆくのですが、徳沢園の前は「これから行くぜ!」な登山者のほうがまだ多かったですねー。つか、いきなりの人の群にちょっとビックリしたくらい。さすがは5連休です。ほんのちょっとだけ休憩をして「さあ行こう」と、明神を目指して歩き出します。

上高地上高地

登山者のほとんどは、まだ雨支度の人が多いです

上高地

徳沢からはずっと、前後に人が歩いていました

上高地上高地

左:野紺菊(ノコンギク)かな?/右:池でちょっと一休み

徳沢園に着いた時点で(よし後ちょっとだ!)と思ってしまったからか、今回は明神までが長く感じました。頭は岩魚でいっぱいで、脇目もふらずにずんずんずんずん歩き、やっと着いた明神館は―――何この人の山は! と思わず叫んでしまうくらい、大盛況でした。うぎゃーっ。これじゃ嘉門次小屋はもっとスゴいかなあ。入れないかなあ。心配しながらも、とりあえず橋を渡って対岸に渡ります。明神池の前にも観光客はい〜っぱいでしたが、あれ? 嘉門次小屋はそれほどでもない? 外のテーブルはさすがに満席でしたが、小屋の中のテーブルには空きがあります。やた! すぐに席を確保し、きのこ蕎麦と岩魚の塩焼きを注文してビールを買って、Yとやっとのお疲れ様乾杯です。

上高地上高地

きのこ蕎麦(\800)とビール(\400)、そしてお待ちかねの岩魚(\900)。岩魚は小ぶりで、私にはちょっと塩がキツかったです

上高地

嘉門次小屋。今度は外で食べたいな

上高地

穂高神社奥宮の鳥居

しっかり休んで元気を回復して、お土産に燻製チーズ(\1,000)を買って、今度こそ最後のもう一頑張りで河童橋までの道を辿ります。だいぶ気も緩んできていたので、さっき飲んだビールが効いてきて眠くてたまりませんでした。人が多すぎるからか、今回は猿を1匹も見ずに河童橋に到着します。回復した元気もこの頃にはまた磨り減ってきてしまっていましたので、「この荷物を背負ってもう歩きたくない〜」とお風呂に行く前に荷物は預けちゃうコトにしました。おっとその前にバスの予約をしなくっちゃ。バスターミナルに向かうと、なんだか長い列ができています。なに?

上高地

上高地

上高地

上高地

上高地に来るのはこれで3度目だけど、つい写真を撮ってしまう

分からないながらも素通りし、チケット売場で松本までの席を確保しました。着いたのが13時前。14時のバスにも空きはありましたが、お風呂タイムに余裕が欲しかったので、14:40のを予約。下手すると満席で長時間の待ちがあるかもと思っていたから、案外あっさりと予約ができてホッとしました。人が多いときは同時刻に何台もバスを出すみたいですね。んで余分な荷物を預け(サイズごとに料金が違います。私のは\500也)、身軽になって以前もお世話になったアルペンホテルへ。日帰り入浴料\500を払い、まずはこの3日間の汚れを流そうと洗い場へ行って……。

鏡を見て愕然としました。なにこの山姥は! 風に吹かれ雨に濡れて転んで木の葉がついた私の髪は、ぼっさぼっさです。私、この格好であの観光客でいっぱいの上高地を歩いてきたの? 教えてよ!>Y。徳沢園で、せめて手櫛でも整えていたら、ずいぶんマシだったのにーっ。ぎゃーっと内心赤面しながら髪を洗い、やっと人間に戻りました。山から下りてきた風の人たちが次から次へとやってきましたが、私らがいた間はそれほど混雑しないでゆっくりできてよかったです。

上高地上高地

左:人で溢れるバスターミナル/右:3日間、私を運んでくれた靴。ドロドロだ〜。お疲れさま

最後に急いでお土産を買い込み、バスターミナルまで戻ると、さっきの行列がまた長くなっていました。最後尾で「沢渡行きのバスの行列はここで〜す」と叫んでいる人がいます。へ? 沢渡行きのバス待ち行列なのこれって? いったい何台待つんだろ……。預けた荷物を引き取り、私らは松本行きのバス乗り場に向かいます。こっちのバスは3台出るみたい。後部座席に大きなザックが次々と積まれ、上高地とはお別れです。

バスは新島々駅までしか行きません。ここから松本までは松本電鉄の電車に乗ります。電車が来るまで改札が開かず、待ち時間が少しありましたが、やがてワンマン運転の電車がやってきます。それに乗り込んだら後は松本駅に向かうだけ〜。と、思っていたら、途中で「沿線のひまわり畑が見頃を迎えています」というアナウンスが入りました。最初はどの駅から歩いて何分とか言っているので、車窓からは見えないのかと思っていたら、「進行方向左手にひまわり畑が見えます」とまるで観光バスみたいに親切に教えてくれます。慌ててカメラを引っぱりだしたけど、動いている電車からはあまりキレイに撮れませんでした。

上高地

松本電鉄上高地線

上高地

車窓から撮ったひまわり畑

それをきっかけに乗り合わせた地元の方と言葉を交わしているうちに、電車は松本駅に到着します。一度改札を出て特急の切符を買い、あずさに乗り込んで、ここでやっと山旅が終わったんだな〜って実感が湧きました。大きな荷物を網棚に上げられなくて困っていたら、車両の端の席の方たちが「ここの、座席の後ろのスペースに入れていいよ」と声をかけてくださいます。山帰りの格好をした方たちで、さすがは苦労をわかっていらっしゃる。ありがたくご好意に甘えさせてもらったので、おかげで最後に窮屈な思いをせずにすみました。

新宿までは今回の山の話をしていれば、あっという間でした。Yと別れて、へろへろ状態で家に辿りつき、今回の旅は終わりです。自分の体力の無さが情けなかったし、疲れた疲れたとずいぶん弱音も愚痴も吐いたけど、でもそれでも楽しかったし嬉しかった。行って、良かった。しばらくしたらバテたコトなんかは忘れちゃって、あの展望、あの空気だけを懐かしく想いだすんだろうな。んでまた行っちゃうんだろな。だってもう、帰り道から「楽しかったよね〜」の気持ちが勝っているんだもの。

初めての山中2泊はお天気にも恵まれ、最高の展望の旅でした。山の神さま、ありがとう。

■蝶ヶ岳ヒュッテ(6:40)→長塀山(7:37)→徳沢(9:57)→嘉門次小屋(10:50-11:37)→上高地バスターミナル(12:39)

2009.9.22(Tue)_2

≪つづき≫

しかし寒い。ガスがかかって日差しがないうえ、風がぴゅーぴゅー吹いています。テント内の気温はこの日も5〜6℃あって問題なしでしたが、外でじっとしてるのはツライ。さっさと歩くといたしましょう。「長塀山へ」の標識に従って歩き始めるとすぐ、「蝶ヶ岳山頂」の標識がありました。へ? こっち? 昨日の方位盤があるところが山頂じゃなかったんだ。とりあえず写真を、とやっていると、「うっすらだけど富士山見えるよ」と、もう少し先にいた単独男性が声をかけてくれました。せっかくなのでそれも見て。

蝶ヶ岳蝶ヶ岳

左:山頂標識の傍らにナゼか笠が/右:こんな標識も

蝶ヶ岳

蝶ヶ岳山頂から常念岳の見納め。さようなら、また来るよ〜

蝶ヶ岳

大滝山に向かう稜線を、すごい勢いで雲が乗り越えて落ちていきます。次はあっちにも行ってみたい。肉眼では、この遠くにうっすら富士山

さあ行こう、こっちだよね?と、ハイマツの間に伸びる踏み跡を辿ります。……「ホントにこっち?」「……違うかも」。戻ろう戻ろう。標識まで戻ったら、登山道はすぐにわかりました。さあ今度こそ本当に行こう。下り始めてすぐに、道は樹林帯に突入します。色付いている葉もあって、なかなかいい雰囲気でした。30分くらい下ると妖精の池です。ここにも小さなイモリがたくさんいました。水のある風景はなんだかホッとするもので、しばし景色を楽しみます。

長塀尾根

これは正しい方の道(^^;

長塀尾根

振り返ると、あ、まだ蝶ヶ岳ヒュッテも常念岳も見えてるじゃん

長塀尾根

遙か下には梓川。あそこまで下りるんだよ〜

長塀尾根

低木の色づき具合がいい感じです

長塀尾根

近づいていくとこんな。ここから樹林帯に入ります

長塀尾根

妖精の池、到着〜

長塀尾根

周囲の風景がキレイに池に映っていました

その後の長塀山への登り返しの辺りで、雨がぽつぽつ降ってきました。「この天気が今日で良かったね〜」。降ってきたとはいっても、葉っぱに遮られて、雨粒はほとんど気になりません。しばらくはそのまま歩いていましたが、だんだんに道の両側の低木が本格的に濡れ始めましたので、途中でザックカバーだけつけます。

長塀尾根

だんだん周囲の木が高くなって薄暗い感じになってきました

出発時は風除けのために着ていた雨具はもう脱いでいて、また着ると蒸れちゃいそうだったし寒くもなかったし、結局最後まで無しで済ませました。ちょっと濡れるのがちょうどいいクールダウンって感じ。前日同様、登りにぜいぜい息を切らしまたまたCTをオーバーして、長塀山へ到着します。展望のない、静かな山頂。

長塀尾根長塀尾根

長塀山2,564m  徳沢まではあと4.4km

さあ後は下るだけー。長い長い下り坂の始まりです。途中に、晴れてさえいればちょっとは展望あるのかなーって場所もありましたが、ほとんどはただただ林の中を歩きます。事前にいくつかのレポで予習をしたとき、この長塀尾根を使っての下山を「退屈」と評していらっしゃる方が何人もいらっしゃいました。う〜ん? 私はキライじゃないなあ。下山に使うなら、ですけど。展望もなく延々と登るのは、たしかにかなりキツいかも。

長塀尾根

苔がわさわさ。濡れて生き生きしています

長塀尾根

こんな雰囲気もキライじゃない

しかしこの道を登ってくる方もたくさんいらしゃいました。初日がこの天気ってのはお気の毒です。これから回復するのかな? ほとんどが年配の方でした。長塀山から1時間以上も下った辺りですれ違った単独女性から「頂上まであと20分くらい?」と聞かれたのには困ったなあ。―――えーっと、まだまだかかると思います。少なくとも1時間は……と答えてお別れして、後からYと「山頂って長塀山のことだよね?」「なんで20分?」「CTだとそのくらいで着く予定なんじゃない?」と囁き合ってしまいました。

あと、何箇所か、踏み後が複数個所あったり、どこを通っていいのかわからない場所があったりしました。下のほうで大声で呼び交わすグループがいたので、何かあったのかと思って声をかけてみると、どうやら遅れて付いて来ている1人が変な踏み後に入りこんでしまって、合流しようとしているところみたい。「大丈夫です」と言うのでそのまま下っていくと、その人らしい女性が変な踏み後から登山道に戻ってきているトコロに出くわしました。確かに、登ってきた道をそのまま直進する、はっきりした踏み跡があります。こりゃ間違えても不思議じゃないや。

長塀尾根長塀尾根

左:御前橘(ゴゼンタチバナ)の実/右:ボケててはっきりしないけど、秋の麒麟草(アキノキリンソウ)かな?

小さな梯子や剥き出しで複雑に絡まる木の根が滑り、私も2回はコケました。1回は転んだ体勢からザックがずるずると滑ってしまい、どうしても1人じゃ起き上がれない状態になり、ひっくり返ったまま「たーすーけーてーーー」。1人だったら黙ってザックを外して起き上がるしかないですけど、単独じゃないと、こうゆうとき笑えるのがイイですよね。途中で何度も休憩を入れながら下り続けます。長いなあ〜。私の高度計が、どこかをいじった拍子にフィート表示になってしまっていて戻し方が分からず、標高がざくっとしかわからないのも堪えました。

長塀尾根

つるつるに磨かれたみたいで、赤茶が鮮やか

しかしどんな道も歩き続けているうちに終わるもの。下のほうに徳沢園の赤い屋根が見え、懐かしの広いテント場に飛び出すと山道は終了です。やったー。ずーっと前後して歩いていたカップルとは、到着もほぼ一緒でした。しかしまだ上高地までは6.7kmあります。いやその前に、下山後のご褒美を確保しなくてはなりません。「徳沢園に着いたら休憩ね〜」というYに、「ダメ! 明神までガンバって!」と発破をかけたのにはワケがあります。3度目の上高地、今度こそ、嘉門次小屋の岩魚を食べるのだ!

長塀尾根

あっ見えた見えた、屋根があるよ!

長塀尾根

徳沢園のテント場。また来たよ〜

長塀尾根

到着〜♪ 長い下りだったなあ

≪つづく≫

2009.9.22(Tue)_1

≪つづき≫

前夜、20時に目を閉じてすぐ眠りは訪れました。―――でも長居はしてくれませんでした。バタバタバタバタバタバタッて音で目が覚めます。か、風? ごうごうと吹く風にテントが歪みます。谷からごうっと吹き上がる風の音が聞こえ、次の瞬間テントが強風にあおられます。ぎゃー、こんな風、初めてだっ。一度は寝静まった周囲からも「大丈夫かな」「すごいね」と声が聞こえてきました。

止みそうもない風の音を聞いているうちに、徐々に心配になってきます。ろくにペグ打ってないけど、石で押さえてるだけで大丈夫なのかなー。フライ飛んじゃってないの? ポールが歪んだ話も聞いたコトあるけど、大丈夫かしら……。そのうち、石の押さえは全部飛んじゃっているような気になってさえ、きます。今、このテントは私の体重だけで地上に留まっているのではないかしら。

トイレに行きたいような気もするけれど、外に出た途端にテントが吹き飛ばされそうで怖くて出られないっ。少なくとも、入口を押さえた石がテントのゴムから外れてしまったのは確かでした。前室のスペースを作っているハズのフライが、テント本体に押し付けられているんですもん(でもこれでフライが飛んでいってしまってないのは確認できた。……ホッ……)。

ゴムをかけ直しても、そんなやっつけ仕事では直ぐにまた外れてしまうのは目に見えています。前室は諦めるコトにして、外に置いてあった靴とサンダルはテント内に避難させました。雨が降ってないのもそのときに確認できましたので、これまた一安心です。風が吹くたびにテントが体に押し付けられるけど、シュラフカバーがあるので夜露が染みとおる心配もない。……でも、眠れません。少〜し寝ては風の音で起きるの繰り返しで、結局、この晩はほとんど寝られませんでした。

教訓:たとえ日影でも、風の当たらない場所を選ぼう!

最終日は下山だけなので、出発は6時半を予定していました。ほとんど寝てはいなかったのですが、だからこそよけいシュラフから去りがたい。4時頃から(起きなくちゃなあ……)と思い始めて、実際に動き始めたのはどのくらい後だったか。朝食は前夜の鍋の残りにパスタを入れたの。食後に梅昆布茶を飲んで、やっと体が動くようになりました。前日までとうって変わって、テント場は霧に包まれています。こりゃご来光は期待できないかしら、と思っていたら、雲がキレイに赤く染まってドラマチックな光景を見せてくれました。Yは朝食が5時半で、これを見逃してしまったそう。残念。

蝶ヶ岳

さあ今日もショーの始まり。まずはまだ暗い、5:19

蝶ヶ岳

少し明るくなってきた5:25  雲が多いけど大丈夫か?

蝶ヶ岳

5:30  雲の染まり方は昨日よりドラマチック

蝶ヶ岳

5:32  空はとってもキレイだけれど、ご来光は雲の向こうかな?

蝶ヶ岳

5:33  まだ薄暗いテント場も朝焼け色に染まっているよう

蝶ヶ岳

5:34  あ……っ!

蝶ヶ岳

5:34  諦めかけたご来光だあ♡ ズームっ!

蝶ヶ岳蝶ヶ岳

ご来光を見ている最中、右からぐんぐん雲が流れてくるので、いつ見えなくなるかとドキドキしていました。なんとか間に合ってくれて良かったぁ

明るくなったので、本格的にテントの撤収に取りかかります。意外にもテントを押さえた石は、入口部分以外全部ちゃんと残っていました。ポールも曲がってなかったし、そんな大騒ぎするほどの風じゃなかったのかな?(でも私はあれで十分ですけど)。夜中よりは収まったとはいえ、まだまだ風は強いです。その中で1人でテントを畳むのは至難の業でした。四苦八苦しているうちに出発予定時間が近付き、Yがやってきてしまいます。「いいトコロに来た〜。手伝って!」。テント本体とフライを畳むのに手を貸してもらい、どうやらこうやら撤収完了です。

蝶ヶ岳蝶ヶ岳

左:太陽が見えるとついカメラを向けてしまいます/右:テントを押さえた石。ガンバってくれて、ありがとう!

蝶ヶ岳

明るくなると、ヒュッテから次々登山者が旅立っていきます

蝶ヶ岳

空の色も落ち着きました。雲海に浮かぶ山の姿、いいですね〜

蝶ヶ岳

テント場もだいぶ空いてきました。私らもそろそろ出発

≪まだ歩いてもいないけど、つづく≫

2009.9.21(Mon)_4

≪つづき≫

しかし蝶槍から目指す蝶ヶ岳ヒュッテは、まだまだ遠く感じます。アップダウンとも言えないくらいの起伏の、ゆるやかな道が伸びているのですが、私の気力は蝶槍の登りで使い果たしてしまったみたい。この先がとっても長く感じました。蝶槍の下でお話しした、バテバテ(←ご本人がそうおっしゃっていたのです)3人組にもあっさり抜かれてしまいます。そう言えばこの辺りは二重稜線となっているそうですが、それを確かめる余裕はありませんでした。

パノラマ銀座

蝶槍の先。こんなに優しい丸い稜線なのにねえ

パノラマ銀座

上の写真の一部を拡大。色とりどりのテントが見えます

よろよろと横尾への分岐点を通過し、へろへろと瞑想ノ丘瞑想ノ丘の方位盤(この日、私は方位盤のあるここが山頂だと思ってました)へ辿りついたら、蝶ヶ岳ヒュッテはもうすぐ。入口でザックを下ろしていたら、小屋のベランダから声がかかります。先ほど私らを抜かしていった3人組のおじさまたちが、ビール片手に笑ってらっしゃいました。

閑話。この数日後に会社の縞さんが同じルートを歩いたのですが、私が蝶ヶ岳ヒュッテに16時過ぎに着いたという話をしたところ、「えっ、何してたの?」と聞かれました。―――バ・テ・て・た・ん・だ・よっ! ちなみに彼は1日目は燕山荘に泊まり、そこを5時に出発して、大天井・常念と縦走し、ヒュッテには14時半に着いたそうです。……ふんっ。

パノラマ銀座

瞑想ノ丘から。やっとヒュッテが間近に見えました。テント場、まだ空きあるかしら…

小屋で受付を済ませ(幕営料1人\500)、私は小屋を通り抜けた先にあるテント場へ。疲れ果てていたのですぐに動く気になれず、かと言ってのんびりしていると場所もなくなってしまいそうで、とりあえず平らな場所を確保します。風が当たらなそうな場所はすでに日影になってしまっていて、寒そう。もうちょっと太陽の恩恵に与りたかったし、今は風も全然ないので大丈夫だろうと、テント場のド真ん中くらいに場所を取りました。ここもペグが刺さりにくそうな地面だったので、のろのろと石を集めたりして、やっとテントが立ち上がったところで、Y登場。「また着替えさせて〜」。

パノラマ銀座

myテント。中でYが着替え中

まだ空っぽのテントを彼女に明け渡し、私は外でマットを膨らませたり、小屋まで水を買い(2L\300)に行ったり。Yの夕食が18時からというので、小屋でお疲れ様乾杯をしようと誘われたのですが、でも待って明るいうちに巣作りをしたいの! というコトで、今日はこれで解散と相成りました。んで荷物を整理したり私も着替えをしたりしているうちに、外は暗くなってしまいます。ああ、夕陽が沈むときにはやるべきことは全て終わっていて、ビール片手にそれを眺められるような、そんな余裕のあるテント旅がした〜いっ!

パノラマ銀座

テントが空くのを待って、周囲をうろうろ

パノラマ銀座

常念岳は大きいなあ〜

パノラマ銀座

これは巣作りが終わってやっと落ち着いた頃、テントの入口から。槍様が見えるグッドポジションでしたが、寒くてほとんど閉めたまま。残念〜

この日の夕食は野菜たっぷりの鍋。長ネギ・ニラ・シメジ・もやし……あと何入れたっけな。生肉を持ってくるのはちょっと怖かったので、真空パックのベーコンを持ってきました。まあ、ちょっと洋風ってコトで。高山だから平気かと思っていたけど、天気が良くて休憩中も上着が必要ないくらいの感じだったので、もやしはかなりギリギリでした。ホントは最後にうどんを入れるつもりだったのですが、お握りが残っていたので主食はそれで間に合ってしまいます。熱いものをはふはふ食べているうちに、やっと人心地もついてきました。でも―――あれ? なんか暗い?

最初は気のせいかと思いましたが、時間が経つにつれてヘッドランプの光量が少なくなっているのがハッキリしてきます。やば、電池だ! あ、しかも予備電池忘れてるし!(こないだ買っておいたのに!)。どうだろう、暗くはあっても一晩くらいは保つものなんだろうか……。しばらく様子を見ていましたが、ランプはますます暗くなるし、すぐに寝るワケじゃないし、トイレにだって行きたいし、明日の朝だって必要だし……。でもYのを借りるくらいしか、対処法が思いつきません。なんて間抜けなんだよ>私!

―――が、ちょっと待て。たぶん間抜けは私だけじゃないハズだ。小屋で電池を売っているかもしれない! やっとのコトでそこに思い至った私は外に出ました。おお、街の灯りが前夜よりもずっと近く、大きく広がっています。キレイな夜景〜。反対側を見ると暗く浮かび上がる山の稜線に、灯りが2つ。梓川を挟んだあちらの稜線にあるのは南岳小屋と北穂高小屋かなあ。……なーんて見惚れてる場合じゃなかった。電池電池。外を歩くと光が弱っているのがますますハッキリ分かります。こりゃダメだ、保たないよ。

パノラマ銀座パノラマ銀座

左:鍋。この時はまだ明るかった/右:この夜は星はほとんど見えなかったけど、安曇野の街の夜景が大きくとてもキレイに見えました

小屋に入って売店のお兄さんに聞くと、あっさり「ありますよー」の返事が戻ってきました。ああああ〜良かった〜。必要なのは単4が3本だったのですが、2本セットでの販売ということで、2セット購入します。2本\400なので、計\800也。高い? 高いなんて言ってられませんがなー。忘れた私が悪いんだし。電池が切れたのが夜道とかじゃなくて良かった!(もちろん家に帰ってすぐ、予備電池を非常用袋に入れました)。これで一安心。

周囲を見回すと、売店前の寛ぎスペースで皆さんTVのニュースに見入っていました。ストーブを焚いているのか、陽が落ちて急速に冷え込んでいる外に比べて、ぽかぽか居心地が良さそうです。Yを探して、ワインかコーヒーでも買って、ちょっと寛いでいこうかな。が、寛いでいる人たちのなかにYは見つかりません。割り当てられた寝床が階段の近くのスペースとは聞いていましたので、ちょっと覗いてみると―――布団にくるまって、もうぐっすり寝ていました。ま、まだ19時半にもなっていないのに……。彼女もけっこう疲れているようです。

仕方ない。テントで1人飲むといたしましょうか。持参の梅酒を飲みつつ、明るくなったヘッドライトで本を読みます。すぐに睡魔が襲ってきて、前夜より早く、20時すぎに就寝。先ほどまで賑やかだった周囲はもう静かになっていましたが、ちょっと風が出てきてフライがパタつきはじめてました。

■大天荘(6:00)→東天井岳近くの道標(6:54)→常念乗越(8:33-9:07)→常念岳(10:43-11:14)→蝶槍(15:24)→瞑想ノ丘(16:15)→蝶ヶ岳ヒュッテ(16:18)

■蝶ヶ岳ヒュッテ:中で休憩もしなかったのであまり様子が分からないけれど、売店のお兄さんはとても感じが良かったです。水は1L\150。テント泊者は小屋の外のトイレを使います。男女別でキレイ。ドラム缶に雨水が貯めてあって、手を洗えるのは嬉しかった。先述のように、小屋内では大きなTVが点けっぱなしになっています。外では風力発電機が回っていました。今回みたいに宿泊者が多い場合、食事は回転式になっているみたい。遅れて到着した人が多かったのか、かなり遅くまで食券番号で呼び出すアナウンスがスピーカーから流れていました。寝る場所がオープンスペースみたいだから、小屋泊だと周囲の音が気になるかも。

≪つづく≫

2009.9.21(Mon)_3

≪つづき≫

時間が許すものならば、この山頂からの絶景をも少しゆっくり楽しみたいトコロでしたが、何とか暗くなるまでに蝶ヶ岳ヒュッテに辿りつきたい!(←この時点で予定より遅れるコトは必須でした)。重たい荷物を背負って、さあ行きましょう。ここからは岩場をひたすらひたすら下っていきます。―――うん、登りより全然楽だ。それにこうゆう道は、キライじゃありません。重荷と疲れた体が許す範囲で、調子よく下りていきます。……と、今度はYが遅れ始めました。「だってリーチが全然違うんだもん!」だそうです。えー? 小回り効くって利点も、あるじゃん?

パノラマ銀座

パノラマ銀座パノラマ銀座

岩爪草(イワツメクサ)。岩と岩との間のわずかな土に根付いている、この小さな花たちが愛しくなってくる

パノラマ銀座

剥がれ落ちたような形の岩の転がる道を、ひたすら下る

しかしこの下りもなかなか長かったです。落石が怖いので、鞍部に出るまで休憩もなかなか取れません。下からも、ひっきりなしに人が上がってきていました。途中ですれ違った若い男性2人組のうち、先頭の人が私らを見てひょいと谷側に避けて歩こうとしてくれたのですが―――Yの悲鳴に驚いて振り返ると、登山道の下に彼が転がり落ちていました。けっこう急な斜面だったので転がり方によっては危なかったでしょうけど、幸い怪我はなかったようです。私は落ちる瞬間は見ていないのですが、目の前で見ていたYは相当怖かったみたい。人が歩いていないところは浮石があるから気をつけなきゃですね〜。

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さっき見下ろした道を、近くで見るとこんな。いかにもアルプス!

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常念岳を振り返る。もうこんなに下りてきちゃった

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あの、ぴょこっと出てるのが蝶槍ってヤツかな?

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わからない? ほらあれ。ズームっ。……や、槍?

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こっちがホントの槍。と、天空の城を守るロボット兵?

下っている途中で、これから歩く稜線の左手斜面(東側)を白い霧が駆け上がっていくのが見えました。天気予報は晴れだったけど、こりゃ蝶ヶ岳に着くころには霧に包まれてしまうかも……と心配して見ていると、斜面を駆け上って稜線近くまで達した霧は、反対側の斜面を吹き上がってくる風に押し戻され、稜線からふわーっと高い空に巻き上げられ、次から次へとぽっかりした白い雲に姿を変えていました。う〜ん、スペクタクルだぜ。

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さっきまでキレイに見えていた大キレットを、雲が乗り越えてきました

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進行方向にも雲が。写真じゃわかりにくいけど、稜線から風でどんどん押し戻されています

下りきると、道は樹林帯へ突入しました。Yは「直射日光が当たらないから楽だ〜」と喜んでいましたが、私は先の展望がないのがちょっと……。おまけにデカザックが木の枝に思わぬトコロで引っかかって、体が後ろに引っぱられるのがストレスでした。1つめのピークを越えてまた下り、道は展望のないまま2つのピークに向かいます。ここもキツかった……! 登りになるとがくっとペースの落ちる私のせいで、予定よりも遅れまくり。だからってペースを上げる体力はありません。

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裏白七竈(ウラジロナナカマド)

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2つめのピークに向かう辺りだったかな? ちょっとの間だけ、雲が行く手の道を覆い隠してしまいました

パノラマ銀座

秋ですねえ〜

パノラマ銀座

足元をよく見ると、ここでも秋が進行中です

この辺りでは、しきりに(雷を心配しなくちゃいけない季節じゃなくて良かった……)と考えていました。今回だって、CTどおりなら15時前には宿泊地に着く予定ではあったんですけどねー。自分の体力を過信してました。これからはもっともっと計画に余裕を持たせなくちゃ。2つめのピークにちょっとスペースがあったので、休憩を取ります。展望もないし日影だけど仕方ない、と思いながら。が、再び歩き出して10mも行くと日当たりのいいホントのピークがありました。ふん、そんなもんよね。

パノラマ銀座

だんだん「槍」と呼んでもいいような気がしてきた

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山母子(ヤマハハコ)

ここからガクッとまた下り、小さな池(イモリがたくさん泳いでいました)を過ぎ、さていよいよ蝶槍への登りってところで、また長めの休憩を取りました。もうホント疲れ果てていて、水さえあったら平らで気持ちのいいそのスペースでテント張りたいくらいでしたよ。やはり疲れ果てている中年男性3人組と、「この登りだけで2時間かかるよ……」と蝶槍への登りを眺めながらボヤきあいます。下から見ると、常念小屋から常念岳への登りくらいキツそうに見えたのですよね。ところが登り始めてみるとあら意外。大きな段差がないせいか、それほど立ち止まることもなく登れます。覚悟してたよりずいぶん楽に、蝶槍へは到着できました。

パノラマ銀座

不意に池が出てきて、嬉しビックリ

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蝶槍への登りに備えて休憩中。空が青いなあ〜

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深山猪独活(ミヤマシシウド)? 違うかなあ〜?

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登りの途中で振り返ると、今日歩いてきた道が一望。右の大きいのが常念岳、左の高いのが大天井岳

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またまたズームっ。ほら、大天荘が(写真じゃちょっとキツいな)

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蝶槍&槍

≪つづく≫

2009.9.21(Mon)_2

≪つづき≫

ちょっと休んで1枚脱いで、もう少し進んでまた1枚脱いで。写真を撮るためにもよく立ち止まったのに、東天井岳を巻いたところのチェックポイントの道標には、1時間もかからずに着きました。CTで1時間半って、ここ、おかしくね? 他の部分はCTと同じかオーバーで、ここだけでしたもん、やけにあっさり着いてしまったのは。ここから道はちょっと下りになり、また少〜しずつ登って今度は横通岳を巻いて歩きます。巻き終わるとかなり下に常念小屋が見え、その向こうにはどどんと常念岳が。登り返しがキツそうです。

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槍ヶ岳の右に延びるのが噂の北鎌尾根? そしてその右…

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この真ん中に埋もれたギザギザの稜線が気になりました。
地図で見ると硫黄尾根ってヤツかなあ?
(気になるって、行きたいって意味じゃないですよ!)

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これが1時間かからず着いてしまったチェックポイント

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行く先にはどどんと常念岳。
斜面にジグザグについた登山道が、うひー、キツそう!

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稚児車(チングルマ)もすっかりこんな姿に。これが実?

パノラマ銀座パノラマ銀座

左:標識から一度下った辺り/右:岩の隙間でガンバっている岩爪草(イワツメクサ)。カワイイ

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北穂〜大キレット〜槍ヶ岳の稜線

パノラマ銀座

横通岳を巻いてる辺り。あの端まで行けば常念小屋が見えるかしら?

パノラマ銀座

やっと小屋が見えました。その向こうに続く道は見ない見ない!

しかし登る前に下らなくては。小屋のある常念乗越までの下りは、かなり長く感じました。私はどうやらこの下りで足の親指の爪を傷めてしまったようです。下って下って下って、やーっと小屋に着いたときには両足の親指がじんじんしていました(数日後、爪の内側が内出血で紫色になりました)。また疲れ始めていたので、小屋の前の広〜いスペースで長めの休憩を取ることにします。この日私は2Lの水を持っていたのですが、好天気のせいか減りが早く、この先も長くて足りなくなるのが怖かったので、小屋で減った分の500ml(\100)を購入しました。

パノラマ銀座

疲れだすと途端に写真撮らなくなるな私。……というワケで、いきなり常念乗越到着でーす

パノラマ銀座パノラマ銀座

左:常念岳とバームクーヘン(て、また撮る前に囓ってるし!)
/右:部分的には紅葉が始まってました

地図を眺めながらお八つを食べて、工事現場にあるような簡易トイレ(チップ\100)に寄って、さあ。見るからに大変そうな常念岳に登るといたしましょうか。下から見上げるだけでうんざりするほど登っているし、強い日差しに照りつけられてちょっと……いやだいぶ弱っていただけに、登り始めから「ここCT、1時間って書いてあるけど、絶対ムリ!」と諦めの台詞も飛び出します。そして見た目どおり、ここの登りはとーーーーーってもキツかった! 今回の行程のなかで一番キツい登りとなりました。

パノラマ銀座

なので、登りで撮った写真はこの1枚だけ。岩ゴロです

5歩歩いては空を見上げ、10歩歩いてはため息をつき、50歩歩いては座り込む―――。後ろからはぞくぞくと人がやってきましたので、ほぼ全員に「お先にどうぞ〜」と抜いてもらいます(私らより遅かったのは、山に慣れていなさそうな高齢の女性を連れたご家族だけでした)。ホントに何度休憩したかなあ。もし同じコースを歩くとしたら、次は燕山荘で1泊、常念小屋で1泊、元気な状態で常念岳ってメニューにしようと決意も固まります。へろんへろんになって、CT1時間のところをなんと、1時間40分もかかって頂上に辿りつきました。

パノラマ銀座

パノラマ銀座

狭い山頂にあったのは、祠と方位盤

常念岳山頂は狭く、しかも次々と人がやってきますので、急いで写真だけ撮って場所を譲ります。ただ、少し下にはちゃんと休めるスペースがあり、たくさんの人が休憩を取っていました。私らも空いた場所を見つけて腰を下ろします。目の前に槍ヶ岳〜穂高の稜線が迫るここからの景色、苦労して登っただけあってか、今回の山旅の中で一番素晴らしかったような気がします。あちこちから山座を同定する声があがっていて(「キレットの向こうに白山が見える」とか)、それを聞くともなしに聞きながら、ぼーっと山を眺めているのは最高の時間でした。

パノラマ銀座

山を眺める人々

パノラマ銀座

こ〜んな眺めや

パノラマ銀座

こ〜んな眺め。この旅の中で一番気持ち良かった

が、まだまだまだまだ先は長いです。山頂に着いたときは疲れ果てていて食事をする気もおきませんでしたが、休んでいるうちにちょうどいい時間になったのでお昼を食べます。Yは持参のパン、私は昨日炊いたご飯で作ったお握り。……マズい……。今までで一番酷い炊きあがりです。昨晩はカレーでごまかし、今朝は雑炊にしてごまかしましたが、お握りはダメ。ウチに帰ったら炊き方のコツが書いてあるサイトを再訪しなくちゃ! もそもそと食事をしながら、これから歩くほうを眺めます。うーん、まだまだ遠そうだ。

パノラマ銀座

おっ、なんかカッコいい!

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引いてみると、これから歩いていく方です(こうして見るとそう大した起伏に見えないなあ)。中央辺りが今日の終点、蝶ヶ岳

≪つづく≫

2009.9.21(Mon)_1

≪つづき≫

氷点下になると聞いていた稜線の夜。寒がりだしシュラフは3シーズン用なので、上下ダウンを着込み帽子と手袋もしてカイロを貼り付け、と万全の備えで挑んだのですが―――暑くて目が覚めました。なんどか目覚めてはすぐに眠りに引き戻されて、耐え切れず帽子と手袋をむしり取りシュラフの口を緩めて外気が入るようにします。そしてまたぐっすり……。前夜の寝不足もあって、かなりよく眠れました。テント内の気温は明け方で5℃くらい。まだもうちょっとは行けそうです。

起きたのは3時半くらいだったかな? でも6時にならないとYはこないし……とゆるゆると朝を過ごしました。外はまだ暗く星空はやっぱり見事でしたが、明け方の気配でちょっと空が明るくなりかけていたのか、天の川はもう見えなくなっていました。生野菜のサラダとお茶漬けで朝食を済ませ、食後のお茶もゆっくり飲んで、さあそろそろ明るくなってきたから荷物をまとめ始めようか……というとき、「To-ko〜」の声が―――ええっ! Y、もう来たのっ?

パノラマ銀座

5:05

パノラマ銀座

5:05、その2
小高いトコロで光っているのは、ご来光待ちの人のヘッドランプですね

パノラマ銀座

5:15

時計を見ると5:18です。ちょっとちょっと約束より40分も早いんですけど! 慌てましたが、どうしたって私のほうの用意は6時まで終わりそうにありません。「いいよー、ご来光見てくるから」とYは小高いほうに歩いて行ってしまいました。私も荷物を丸めて詰めて放り出してまた詰め込んで。途中「出たっ」の声にカメラを掴んでテント場の端に走ります。うわあ、ご来光だあ……。ゆっくりと、でも劇的に変わっていく空の色。何度見ても見飽きるコトはありません。

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5:22   そろそろかなー?

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5:31   「出たっ」の声に飛び出す人々

パノラマ銀座

おおっ……!

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似たような写真ばかりですみません。これでも選んではいるんですが、どれも捨てがたくって……(^^;  ところで昨日から気になっていた正面のこのお山、ひょっとして浅間山?

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ちょっと引いてみると、混雑っぷりがわかりますねー

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出きったかな? 5:34
たった3分のショーだったのか、と記録された時間を見てビックリ

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5:36   西に見える山はまだ暗い

パノラマ銀座

薄闇の中から山々の姿が徐々に浮かび上がってきます

パノラマ銀座

太陽が昇るとあっという間に明るくなります。安曇野の街の向こうに、低い雲の帯が流れていました

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5:45   こちらにも朝日が当たり始めます

しばしカメラ片手に空を眺めていましたが、見飽きなくてもパッキングの続きはしなくちゃね。まとめた荷物をザックに詰めなおしている頃、Yが戻ってきました。最後にトイレに行って、ほぼ予定どおりに出発。もう何人もの人が歩いていった道を辿ります。ここからの道はホントに気持ちよかった〜。最初のうちはほとんどずっと平坦な道で、道端の花に目を向ける余裕もやっと出てきます。稜線の両側に山々が連なって見えるのも嬉しい。絶景です。歩き出したときはまだヒンヤリとした空気でしたが、ちょっと歩くと陽が当たりだしてすぐに暑くなってきました。

パノラマ銀座

槍〜穂高の稜線。カッコいいなあ〜

パノラマ銀座

さよなら、大天荘と大天井岳。またきっと来るよ

パノラマ銀座

これから歩いていくほう。ひときわ高いのがきっと常念岳ね?

パノラマ銀座

「谷の向こうに小さく見えるの、梓川じゃない? 明日はあそこに下りるんだよー」

パノラマ銀座

遠く、薄い紫に浮かぶ山脈は南アルプスかしら……?

パノラマ銀座

登山道にも陽が当たり始めるました

パノラマ銀座

いいね〜いいね〜。それしか言えない

パノラマ銀座

歩き始めて30分。ただただ平坦な、歩きやすい道

≪まだ歩き始めたばかりですが、つづく≫

2009.9.20(Sun)_3

≪つづき≫

燕山荘からしばらく、道は緩やかに下っていきます。この辺りはさすが表銀座で、本当に素晴らしい展望でした。目の前にはこれから歩いていく稜線が続き、遠くに今宵の宿の大天荘が見え、右側にはずらっと有名どころのお山さまたちが。休憩でちょっと回復していましたが、少し進んでは足を止め、少し進んではカメラを構え、今度は別の意味で進めません。燕山荘でストップした人たちも多かったようですが、同じ稜線を歩いている人はたくさんいました。このうち、どのくらいが常念方向に行くんだろうね? 槍に行く人も多いんだろうなあ。

パノラマ銀座

幸せな稜線歩きです(ほぉ……、とため息)

パノラマ銀座

富士山は何度も何度も撮ってしまう。日本人だなあ

そんな感じで稜線を辿ります。岩の形がまた面白い。道が大きな岩に挟まれているような箇所もありました。だいぶ進んでまた疲れを感じ始めて、でもまだまだ遠いなあ……と思っていたとき、Yが道端の標識を指差して「カエル岩だってー」と声をあげます。「それ(蛙岩)、げえろいわって読むんだよ」と教えながらもちょとショック。なぜなら、歩いてきた時間から言って蛙岩はとっくに過ぎたと思っていたからです。蛙の形わからなかったなあ、と思っていたら、まだだったのか!

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手前の岩もちょっと槍っぽいと思って。へへっ

その辺りには大きな岩がいくつかありましたので、「どれだろうね」「どれも蛙には見えないなあ」とやっていると、後からやってきたカップルが「蛙岩はさっき私らが写真を撮っていた場所だよ、だから撮ってたんだもん」と声をかけてきました。えっさっきの、岩の間を通った場所?(←「写真を撮るから(写らないように)どいてくれ」と言われていたので、どこのコトだかすぐにわかった。) 意識はしてなかったけど、蛙に見えたかなあ。んで何でこの標識はこんな場所にあるんだよー。

パノラマ銀座パノラマ銀座

左:ここが蛙岩と聞きましたが、後で他の人のレポを読むとどうも違うっぽい……/右:景色のいい「大下りの頭」

パノラマ銀座

大下っている途中に撮った写真かな。大天荘、まだまだ遠いです……(小屋があるのは奥のピークの左の稜線)

事前に同じコースを歩いた方のレポをいくつか読んではいたのですが、蛙岩だの為右衛門吊岩だの切通岩だのがどんな岩だったか、その辺りはさっぱり覚えていませんでした。ですので、鎖と梯子があった場所が切通岩だというのも、分からず。しかも鎖場に向かうところで変な方向に2つの踏み跡があって、鎖に気付いていなかった私はそっちに向かいそうになります。その踏み跡がどう見ても崖を下るような感じになっていて「えっこんなトコ通るの?」とビビっているうちに、Yが鎖の頭を見つけてくれました。よよよ良かった〜。

小さくV字に切れ込んでいる箇所を、しっかりした梯子で下ってまた登って。この辺りに喜作レリーフもあるそうですが、私はレリーフは大天井岳直下の分岐辺りだと勘違いしていたので、これにも気付きませんでした(そして分岐に着いたときには疲れ果てていてそれどころじゃなかった)。んでそろそろ限界が近付いてきましたよ。歩みはますます遅くなり、ほんの僅かな登りもキツく感じます。分岐に着くまでがひどく長く感じたし、分岐から大天荘への登り返しは本当に本当に苦しかった。写真を全然撮ってないコトから、どれだけ限界だったのかわかります……。

パノラマ銀座パノラマ銀座

左:御山竜胆(オヤマリンドウ)/右:槍ヶ岳と常念岳との分岐

この頃になるとヘロヘロになっている人もそこここにいて、分岐から小屋まで、CT40分の道のりのあちらこちらに腰を下ろして休んでいる人たちがいました。中でも限界の私たち――いや「私」か。Yはまだ余力がありそうでしたから――は、この斜面だけで2回か3回は休んだんじゃないでしょうか。斜面を登っている間ずっと小屋が見えないのも気力を殺ぎます。まだかーまだかー。あそこまで登ったら、あの辺まで行ったら小屋が見える……という期待を何度か裏切られ、しかし小屋が視界に飛び込んできたとき、それはもうすぐ近くにありました。やった〜〜〜。

まずは小屋で受付をしますが、受付前には長い列ができていて、けっこうな時間がかかります。幕営料\500也。今日のうちに大天井岳は登っておきたかったので、「落ち着いたらテント場まで来てね」とひとまずYと別れます。テント場はもうかなり混んでいて、受付前に場所を取っておけば良かったと後悔しました。他のテントとかなり近くになりますので、先に張ってあるテントの入口を見てなるべくお互いのプライバシーが保てるように……。ペグが打ち込みにくそうだったので、数箇所だけにペグを使い後は石を集めてペグ代わりに使いました。

そろそろ終わりって頃にYがやってきたので最後の石集めを手伝ってもらい、荷物は全てテントに放り込んで必要最小限のものだけ持って、大天井岳へ。小屋からは10分ほどで登れます。重荷から解き放たれので、私たちもその時間で登れました。頂上も混み混みでしたが、今日歩いてきた道がずーーーっと見えます。遠くには、とーっても小さくなった燕山荘。すごいなあ。私ら、ここを歩いてきたんだなあ。いや燕山荘までも登ったんだから、もっともっと歩いたんだよ、がんばったね。例えヘロヘロでも、ちゃんと辿りついたもんね。

パノラマ銀座パノラマ銀座

大天井岳山頂(おいおいここまで写真なし?)。小さな祠がありました

パノラマ銀座

今日ずーっと歩いてきた稜線。肉眼では燕山荘も見えました

パノラマ銀座

槍ヶ岳へと向かう稜線。いつかこっちも歩けるかなあ

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明日歩いてゆく稜線……だった、かな?(自信なし)

パノラマ銀座

これはどこだったかな? 雪渓がそのまま沢に接しているように見えるんだけど、違うかしら?

パノラマ銀座

小屋とその向こうのテント場。明日はさらにその向こうに歩いていきます

今日歩いてきた道、明日歩いていく道をしばらく眺めていましたが、じっとしていると体が冷えるので小屋に戻ってお疲れ様乾杯をするコトとします。私は生ビール(\700)、Yはチューハイ(\400だったかな?)を買って、外のテーブルはもう日陰になっていて寒いので、談話室で席を見つけました(食事の支度に入る時間までは食堂も開放しているようです)。乾杯をして、今日の話をいろいろとして、地形図を見ながら明日の予定を話します。

パノラマ銀座パノラマ銀座

左:「今日一日、お疲れさま〜」「よく歩いたね!」/右:混み混みのテント場。中央の黄色いのが私のです

パノラマ銀座パノラマ銀座

大天荘の外観

心配なのは時間です。この日、なんと私らはトータルでCTより2時間近く遅れました。予定より30分早く出発できたし、もともとの予定が13:40到着だったから2時間遅れても15時に小屋に着けたけど、明日はCTどおり歩いても14時半の到着予定です。今日みたいに遅れたら16時半。疲れが出たりしたら暗くなってしまう。明るいうちには着きたいよね、などと話しながらも、出発は予定どおりの6時としました。Yの朝食の時間が5時からで、しかも混んでるので順番待ちになるかもしれなかったからです。

そうこうしているうちにYの夕食時間の17時近くになりましたので、私はテントに引き上げます。放り込んだままだった荷物を片付けて巣作りをし、水(2Lで\400)を買ってご飯の支度をしていると、外から「To-ko〜」と呼ぶYの声が聞こえました。この日は1つの布団に2人詰め込まれていてプライバシーも何もないので、後でテントで着替えさせて欲しいとは頼まれていたのですが、えっもうご飯終わったの? のんびり(つか、ぐったり)しているうちに、外では1時間が経過していたようです。

パノラマ銀座パノラマ銀座

左:外トイレ。コンクリの床がちょっと怖かったけど(抜けそうで)、キレイでした/右:おっ、空の色が変わってきましたよー

パノラマ銀座

山々の上の空の、この微妙な色合いが好き

パノラマ銀座

反対側。小さく街が見え、暗くなった後はキラキラ光ってました

着替えをしているYの横でご飯を炊き(寒くて外で料理をする気にはなれません〜)、Yを送り出してから晩ご飯レトルトカレーを温めサラダ(めかぶ、ミニトマト、キュウリ)を用意して、山でのお約束のメニューをパクつきます。う〜ん、今回もご飯の炊き加減、失敗だなあ。芯はないけど、逆に火を通しすぎた感じ。まぁカレーをかけちゃえばOKです。残ったご飯で明日の行動食のお結びを2つ作って、さらに残ったご飯は朝食用。持ってきた梅酒をちびちび飲みながら地図を見たりクッカーをキレイにしたりしているうちに、眠くなってきました。あ〜ん、もっと余裕な時間が欲しいよぅ。

トイレに行こうと外に出ると、うわあ、天の川! 雲ひとつ無い空に星がいっぱいに広がっています。下を見れば遠くに街の夜景も。しばし寒さを忘れて見入ってしまいました。クタクタに疲れても、今日みたいな大展望やこんな星空を見てしまうと、やっぱり来て良かったと思ってしまうんだなあ。

20:30頃、就寝。

■中房温泉登山口1,462m(6:00)→第一ベンチ(6:38-6:43)→第二ベンチ(7:12-7:19)→第三ベンチ(7:52-7:58)→富士見ベンチ(8:34-8:40)→合戦小屋2,363m(9:17-9:28)→合戦沢ノ頭(9:51-9:55)→燕山荘2,704m(10:45-11:33)→蛙岩(12:12)→大下りの頭(12:33-12:39)→分岐(14:15)→大天荘(15:00-15:46)→大天井岳2,921m(15:54-16:05)→大天荘(16:14)

■大天荘。寛ぎ空間がいっぱいあるのは嬉しいです。あと生ビールが飲めるのも。水は1Lで\200。テント泊者には外にコンクリ作りのトイレがあります。床のコンクリと便器の間に隙間があるのが、ちょっと怖かった。男女一緒で、出発する人が多い時間帯には順番待ちの行列ができていました。

≪つづく≫

2009.9.20(Sun)_2

≪つづき≫

私のペースが上がらないせいか、Yはまだまだ余力が有り余っているようです。スイカを食べ終わってすぐに「さあ行こうか!」。えー、私はもうちょっと休んでいてもいいと思っていたのにー。でも少しずつ、CTからは遅れています。この時点で出発時間が早くなった分の30分を食いつぶしていました。それにまだまだ先は長い。しぶしぶザックを背負いなおし、小屋の脇から合戦沢の頭を目指します。小屋までが急登というけれど、小屋の先も、やっぱキツい気がするのよねえ。ふうふう言いながら登った合戦沢ノ頭では森林限界を超え、一気に視界が開けます。

合戦尾根合戦尾根

左:だんだん稜線が近くなってきます/右:あっ槍! 頭がちょこっと見えただけで、テンションあがる〜

合戦尾根

右の、遠くに富士山。左下に広がるのは松本の街かな?

合戦尾根

文句なしの快晴! こんないい条件でアルプスに登れるなんて♪

合戦尾根

合戦沢ノ頭。「中房温泉4.2km、燕山荘1.3km」

合戦尾根

槍ヶ岳と紅葉

合戦尾根

燕山荘をズームっ!

合戦尾根

富士山もズームっ!

「うひゃあ、天気がいいとココからもう燕山荘が見えるんだねえ!」。スイスの小屋みたいな山荘に喜ぶ私たちでしたが、遠くから見えるってコトはなかなか辿りつかないってコト。合戦沢ノ頭からこんなにかかったっけ? 低木に遮られて見えたり見えなかったりする小屋に、なかなか近付けません。小屋の少し下にあるテント場の脇を通って稜線に上がり、小屋へと続く階段を登る頃には相当ヨロヨロしている私なのでした。あ、Yはあと少しで到着ってトコロで待ちきれなくなったのか、私を抜かしてさっさと歩いていきます。そうゆう人なのよあなたは……。

合戦尾根合戦尾根

左:「あれ、燕岳だよね?」。今回は行かないけど……/右:やっぱりさっきのが大天荘みたい。最後の登りがキツそうだなあ

合戦尾根

右の、雲の上に頭だけ出してる山はどこのお山だろう?

合戦尾根合戦尾根

どっちもよく見そうな花なんだけど、名前わからず

合戦尾根

稜線に乗っかると目の前には裏銀座の稜線♥

合戦尾根

向こうのピークが燕岳

燕山荘

女性に人気No.1の燕山荘。私も大好き

燕山荘

小屋横。休憩している人がたくさんいました

ここで槍ヶ岳や裏銀座の稜線のパノラマを見つつ、お昼にします。なにか甘い飲み物が欲しい〜と売店に行くと、よく冷えたネクターピーチ(\300)がありました。う〜ま〜。これ、こんなに美味しいジュースだったっけ? 持ってきたパンを食べつつ、冷たいジュースに感動します。あ、もちろん目の前に広がる大展望にも。いつかは歩きたい裏銀座、こっちから見ると平坦に見えるねえ〜。たぶん近くに行ったらアップダウンあるんだろうけどねえ〜。そんな話をしながらも気になるのは今日の残りのコース。

燕山荘

方位盤にある山は全部見えそう

燕山荘

あっちもこっちも、丸見え。手前のは何尾根かな?

燕山荘

燕山荘のテント場。この時間からまったりって、イイですねえ

燕山荘

それにしても人が多いなあ

燕山荘

幸せな休憩時間ですね。ずーっと座っていても飽きなさそう

燕山荘

合戦尾根と、遠くにうっすら富士山

CTでは中房温泉から燕山荘までが4時間10分。燕山荘から大天荘までが2時間30分。燕山荘から先は、地形図を見ても最後の大天荘への登り以外にはあまりアップダウンがなさそうで、るるるんと稜線歩きを楽しめそうです。―――燕山荘までの登りで、体力がエンプティに近付いていなければ、ね。そんな罠には気がつかず、昼食と展望で気持ちも回復したところで、最後にトイレを借りて出発します。燕山荘はトイレを無料で使わせてくれ、しかもそれが特筆モノにキレイ! さすがは女性に人気No.1の山小屋でした。空いてる時期を狙って、また泊まりに来たいなあ。

パノラマ銀座

これから歩いていく道。左のピークが大天井(おてんしょう)岳で、その左の平らな稜線に大天荘が見えます

パノラマ銀座

右に目をやると裏銀座がくっきりはっきり

パノラマ銀座

進行方向には槍ヶ岳。さあ、行くとしましょうか

≪つづく≫

2009.9.20(Sun)_1

≪つづき≫

出発から2回のトイレ休憩を挟み、バスは4時半前に穂高神社に到着しました。まだ外は真っ暗です。トランクから次々に大型ザックが降ろされ、予約したタクシーに乗り込む人たち以外は皆、自分の荷物を手にした順にぞくぞくと駅に向かって歩き出します。中房温泉行きのバスが出発するのは5:05。駅前の乗り場にはまだバスの姿はありませんでした。

バスの到着を待つ列の、私たちのすぐ後ろに“さわやか信州号”での席も前後ろだったカップルがいました。列を離れていた男性が戻ってきて「タクシー、4人で割り勘ならバスと同じくらいだって」と言っているのが聞こえたので、何の気なしにそっちを見ると女性のほうとふと目が合います。次の瞬間、「一緒に乗りませんか?」とありがたいお誘いをいただきました。もちろん快諾し、駅前に数台停まっていたタクシーに乗り込みます。

運転手さんは登山客を運ぶコトも多いのでしょう。うっすらと明るくなりだした空に浮かぶ山々をせっせと解説してくれました。誘ってくれたお2人はは燕山荘1泊の燕岳だそうです。燕山荘泊まりもいいですねー。私ももう1回、泊まりに行きたいくらいです。でも今は混んでるでしょうね。そんな感じでちょこちょこお話をしつつ、タクシーは5:30頃に中房温泉に到着しました。予定よりも早く着けて助かったのですが、タクシー代金をまとめて払ってくれた男性が、私たちからは少な目の額しか受け取ってくれなくて申し訳なかったです。ありがとうございました!

登山口はもう既に混みあっていましたが、運よくテーブルを確保できましたので、朝食&荷物のまとめなおしの時間を取ります。中房温泉行きバス乗り場で登山計画書の用紙も配られていましたが、私は家から用意してきたものを登山ポストに投函しました。登山ポスト、この時点で溢れんばかりにいっぱいでしたよ。もし遭難があったら、この中から該当の登山計画書を探し出すのは大変だろうなあ。着いたときはまだ薄暗かった周囲も、コンビニで買ったお握り弁当を食べているうちにすっかり明るくなりました。空は快晴。稜線に出たときの展望が期待できます。

さて、いよいよ荷物を背負って歩き始めるとしましょうか。小屋泊で荷物の少ないYは「休みはTo-koのペースに合わせるよ」と余裕の発言をかましています。じゃあゆっくり、でも確実に、第一ベンチまで行っちゃおうかなー。―――最初はそんな、甘い考えを抱いていました。今までの経験から言って、テント泊の荷物でもコースタイムからそう遅れずには歩けるはずです。バテバテになった鳳凰三山だって、ほぼCTどおりに歩いているんだから。が、今回の私は違いました。やっぱ体調が悪かったのかなあ。でもこの時にはもう熱がある自覚はなくなっていたから、単に筋力が足りないだけってほうが可能性が高いかも。

合戦尾根合戦尾根

左:さあ、出発点ですよ/右:歩き始めて30分。常に前後に人がいます

さて合戦尾根は北アルプス三大急登と言われています。が、前回登ったときも思いましたけど、そんなに特別キツいかなあ? いやキツいはキツいですよ。キツいんですけど、「他と同じくらいキツい」と思うのです。ここが特に、ではなくて。んでその普通にキツい上り坂を、私は休み休み歩きます。第一ベンチまで辿りつかないうちに、立ったままの休憩を何度か入れます。おやー? でもまあ焦っても仕方ないです。一歩一歩歩いていくしかないのです。

合戦尾根合戦尾根

左:第一ベンチ。「中房温泉口1.0km、燕山荘4.5km」/右:今回のコース唯一の水場。まだ歩き始めたばっかりで、さすがに必要ないなあ

合戦小屋に着くまでは、第一ベンチ、第二ベンチ、第三ベンチ、富士見ベンチと定期的に休憩ポイントが出てきます。ザックを下ろしての休憩を入れたのはベンチでだけでしたが、途中でもちょこちょこ休みます。なんだかザックがとても重たく感じるのですよ。重さは18〜19kgくらいかなあ。テント装備のときはいつも、このくらいだと思うんだけど。あとナゼかザックが背中で安定してくれません。左に左に傾いていくので、ときどきゆすって右側に重心を移します。う〜ん、これも初めての感触。左右でそんなに重さが違うハズ、ないのになあ。

合戦尾根合戦尾根

左:マンガに出てきそうな可愛いキノコ/右:第二ベンチ。「中房温泉口1.7km、燕山荘3.8km」

タクシーに相乗りしたお2人に追いつかれたのは第二ベンチだったかな? 写真を頼まれたのですが、彼の持っていたのがCanonのD10! 防水&耐衝撃で、天気が期待できないときの山行用にちょっと欲しいなと思っているヤツです。一度店頭に見に行ったときには他の小型デジカメと比べて大きいし重い、と思ったのですけど、山で実際に持ってみると軽くていい感じ。彼もオススメしてくれましたし、うわ、またちょっと購入意欲が湧いてきましたよ。彼らとはしばらく前後して歩いていたのですが、いつの間にか間が開いて置いていかれてしまいました。

合戦尾根合戦尾根

両方ともボケボケだし名前も分からないけど(右はひょっとして御前橘(ゴゼンタチバナ)の実かなあ?)、紅白でめでたい!、かも

しかしさすがにまだ元気です。富士見ベンチから富士山が見えた(前回は天気が悪くて見えなかった)とか、これから歩いていく稜線が見えたとか、はる〜か遠くに見える小屋は宿泊予定の大天荘じゃないかとか、いちいちカメラを構えて喜びます。疲れてきた頃に出てきた「合戦小屋まであと7分」「あと3分」の標識に励まされ、懐かしの合戦小屋到着〜。嬉しいコトに名物のスイカが売られていました。前のときはもう終わっていたのになあ。さすがシルバーウィーク。一切れ800円のスイカを、Yと半分こして貪ります。おーいーしー。

合戦尾根合戦尾根

左:第三ベンチ。「中房温泉口2.7km、燕山荘2.8km」。燕山荘までの、やっと半分/右:第三ベンチ上の空を見上げる。快晴です

合戦尾根合戦尾根

左:富士見ベンチ。「中房温泉口3.1km、燕山荘2.4km」。えっ、第三ベンチからまだたったの400m?/右:名前どおりちゃんと富士山が!

合戦尾根

引いてみるとこんな。富士山、わかります?

合戦尾根

色づいた木も現れました。そろそろ視界が開けそう

合戦尾根

「今日これから歩くの、あの稜線じゃないのかな」

合戦尾根

「あれ、大天荘? あんなトコロまで歩けるかなー」

合戦尾根

白い砂の道と木の幹、色づき始めた木々の葉。青い空に映えますね〜

合戦尾根合戦尾根

左:さっきの風景のちょい手前。「合戦小屋まで3分」。さらにその前には「小屋まで7分」の表示もありました/右:海の家みたい

合戦尾根合戦尾根

左:すいか小屋脇の案内。まだまだ先は長いなあ
/右:冷え冷えの甘々でした

合戦尾根合戦尾根

小屋前ではたくさんの人が休憩とってました。
スイカ、何個売れたんだろう?

≪つづく≫

2009.9.19(Sat)

9月の5連休は山に行くと、最初っから決めていました。5連休?何それ?って職種の人もいるし、家族と予定を立ててる人もいて、どうも今年の休みは友人らとばらばらに過ごすコトになりそうだ。ならば単独で、山に行こう。せっかくだから初めての山中2泊に挑戦したい。もちろんテント泊で、いつもはいけない山に行こう。その条件で考えて候補に挙がったのは、1.白馬岳方面。2.八ヶ岳。3.白峰三山。4.北アルプスのパノラマ銀座。でした。

白峰三山かー。いつかは絶対行きたいけれど、7月に鳳凰三山に行ったからなあ。今回はちょっと違う山域に行きたいなあ。八ヶ岳はこの中では一番近いし、ちょこちょこ歩くコトもできそうだし、じゃあ何も5連休に行かなくてもいいかな? 北アルプスに行くなら燕から上高地までが危険箇所もなくて良さそうだけど、どうせなら1度行った燕岳より初対面の白馬さまかなあ―――という感じで、最初、私の心は白馬・唐松辺りに傾いておりました。

それがころっと変わったのはこの日。伊豆のI.O.P.の芝生でのーんびりしているときに、Yがこう言い出したのです。「ねえ、連休の予定もう決めちゃった? 私、遊ぶ予定だった友達にフラれちゃったからさー。また伊豆に泊まってどこか伊豆の山歩きしない?」。え、伊豆の山? 伊豆の山でも興味のある山はありますが、9月に歩くのはちょと暑くない? それにせっかくの5連休、いつもならいけない場所に行こうよ!

Yと一緒に行く、という条件が加わっただけで、私の中での候補は順序をころっと入れ替えました。Yはしっかり歩ける人だけど、でもかなり人任せなトコロがある。じゃあ危険マークもなく、何かあったときにすぐに逃げこめる小屋が多く、出発点だけだけど歩いたことのある(←なんとなく安心)北アルプスだ! その場で、天気が良かったら北アルプスへ行く、天気が悪そうだったら伊豆でいつものように遊ぶ、とあっさり予定が決まりました。私は当初の予定どおりテント泊、装備を持っていないYは小屋泊になります。

パノラマ銀座を歩くとなると、天気が良くなくてはなりません。ですので、出発も金曜か土曜と選択の余地を残しておき、ぎりぎりまでバスの予約はしないコトにしました。ところが! 直前になって発生したのが台風14号。非常に強い台風でどうやら連休のスタートに合わせて関東付近に接近するらしい。これは上陸するの? 逸れてくれるの? 逸れたとしても山への影響は? もう毎日毎日台風情報をチェックです。なのに台風は、発生した場所からちっとも動いてくれません。はっきりしてよ!

う〜んしかしさすがにそろそろバスの予約をしないと席が取れなくなってしまうねぇ、という15日の火曜日に、Yと「どうしようね」の電話をします。私としては今の段階で中止を決めちゃうのはもったいない気がするのよ。もちろん台風が直撃したら行かないし、そしたらキャンセル料がかかってしまうけれども、とりあえず予約をしない? Yからも「じゃあ土曜日出発なら(←台風が通り過ぎていそうだから)」と返事をもらい、翌水曜日にバスの予約を入れました。中房温泉まで直通の“毎日アルペン号”は既に満席だったので、穂高までの“さわやか信州号”です。こちらも残席は僅か、とのコトでした。どうやら台風の本州上陸が無さそうだ、との予報が出たのはその夜じゃなかったかな?

そして土曜日。集合は22時なので荷造りはこの日に十分できます。―――でき、ます……。できるハズなんですけど……。いややりましたけどね。でもたっぷり4時間もかかりました。なんでたかだか2泊3日なのにこんなに膨れ上がるんだーって荷物をまとめるのに。テント装備で持っていくものは決まっているので、時間がかかったのは服選びと食糧の用意です。事前に小屋に問い合わせたトコロによると、夜は氷点下になるらしい。昼も10度くらいらしい。んでも20度以上ある場所で、10度の服を決めるのって難しいんですよー。いつ頃の気温? その頃、何を着てたっけ?

おまけに荷物をまとめているうちに、なんだか妙に暑いコトに気付きました。これはおかしい、と体温を測ってみると微熱が〜。ちょっとちょっと体! 5連休ったって休むワケじゃないのよ? むしろいつもより体力を使うのよ? 気を緩めてどうするの! 自分の体に言い聞かせながら何とか荷物をまとめあげ、掃除を済ませ、まだ数時間の余裕があるので寝ます。思ったよりしっかりと寝てしまい、ああやっぱ熱があるんだな〜って感じでした。でも他の症状は何もないので、夕食を食べて重たい荷物を担ぎ、家を出ます。動けばきっと下がるでしょう。

22時ちょっと前に、新宿は都庁地下の大型バス駐車場に到着します。周囲は大きなザックを持った人たちでざわざわしていました。大規模災害を前に都心を逃げ出す集団みたいだ……。受付を済ませ、やってきたYと落ち合い、大きな荷物は荷物用トランクに預けて、バスへ。毎度毎度山に行くまでが長い日記ですが、やっと出発まで辿りつきました。バスは、ほぼ予定どおりの22:30に出発しました。穂高は最初の降車地になります。

≪つづく≫

2009.9.13(Sun)

久しぶりにTOEICのテストを受けてきました。以前、何回か続けて受けてはいたのですが、毎度変わり映えのしない結果で(ほとんど勉強しなかったんだから当たり前なんですが)、「次はちゃんと勉強してからにしよう」と受けるのを中断していたんですね。んでお察しのとおり、何も目的がないと勉強をする私ではないのでした、私は。ですので「やっぱり締切がないとね」と、またもや態度を変えてのテストです。テスト前の勉強は……なにもしなかった、と、少しだけした、の中間くらいかな。

そのワリに、今回は意外とわかった気がします。時間もギリギリ足りたしね。ただ今までの経験でいうと「できた」と思ったときの方が点数が低かったのですよね〜。実力より勘のほうが頼りになるって感じなんでしょうか。ま、とにかく私に足りないのは単語力だってのは前から分かっているので、またぼちぼちやっていこうと思います。旅行で出会った人と、気軽にお喋りができるくらいのレベルは取り戻したいですもん。

その他は無為に過ごしたこの2日。久しぶりに引っぱりだしてきた『スケルトン探偵』シリーズにハマってしまい、2日で4冊も読んでしまいました。この暇人め!

2009.9.9(Wed)

さて本日は母が上京してきたメインの目的、ダイビングです。よほど日頃の行いが悪いのか(もちろん、母の)、1週間前には台風が発生。もし本土方向に来るなら、もろ水曜日に東海〜関東を直撃するというスピードでヤキモキしましたが、どうにか本土には近づかないでくれました。しかし風やうねりの影響はあるかもしれません。ショップから中止の連絡がないので、たぶん潜れるのだろうなー、ただ風向きからいって西になるかなーと予想をたてます。前日寝るときには晴/曇だった予報が、朝になると曇に変わっていました。やっぱり行いが……?

今日はKが参加してくれています。途中の駅で落ち合って、西へ西へと移動する途中、今度は雨が降ってきました。朝の予報じゃ、傘はいらないって言ってたのにー。雨の用意なんか、全然してきてないよ! かなり激しく降る雨にガックリしつつ、伊豆へ。最寄の駅にはSさんが迎えに来てくれていました。雨もようやく上がったみたい。ギリギリで許してもらってよかったね>母。平日なのでてっきり私らだけかと思っていたら、若い女のコ2人組も一緒でした。経験本数一桁でおまけに2〜3年ぶりのダイビングだそうです。母も1年ぶりのダイビングなので、今日はホントにまったりモードになりそう。

ポイントは、やっぱり西伊豆の黄金崎になりました。久しぶりだ〜。この日はガイドのTさんがお休みだったので、Sさんは大変でした。あまり手助けできないのが申し訳ないなあ。ショップでレンタルの器材を3人分用意して、久しぶりの彼女たちのCカードをチェックして、1時間半かけて移動して(途中でときどき雨が。しつこい!)、着いた黄金崎ではレンタル3人分のセッティングをしてあげて、いつもより丁寧にブリーフィングをして―――という状況だったので、1本目のエントリーはもうお昼になろうかという時間でした。

さて海は。波は全然ありません。青くて透明度も悪くない。顔を水に着けると浅瀬ではソラスズメダイがキラキラと青く光っていて、ボラが何匹かすーっと泳ぎ回っています。いいじゃない〜。初心者グループは潜降にも時間がかかるので、近くを見渡してのんびりします。つか、この日は終始のんびりダイブでした。一応母にトラブルがないコトだけはちょくちょく確認していましたが、ほとんどの時間はKと一緒に好き勝手。中層でぼんやりしたり、イワシの群に巻かれてみたり、見える範囲で生物を探してうろうろしたり。

おっとそう言えば、潜降すぐに母にトラブルがあったんだった。なんだか息の吐き方が変で、でも「大丈夫?」と聞けばOKサインを返してくる。久しぶりだから緊張して息が荒くなっているだけかな?と思ったのですが、後で聞いたらレギュから水が入ってきていたのだそう。かなり焦ったと言っていましたが、ならOKサイン出すなよ〜。原因はどうやらくわえ方だったみたいです。マウスピースがちゃんと口の中に入っていなかったのね。女のコたちもおかしかった。潜降して体のバランスも取れていないので(大丈夫かな〜)と見ていると、ひっくり返った姿勢のままでカメラを取り出して写真撮ったりしているの。余裕があるんだかないんだか。

さて黄金崎といえばネジリンボウ。のワリに、当たった記憶があんまりないのでこの日も期待してはいなかったのですが、ようやく全員が揃って砂地に下りてすぐ、Sさんがストップの合図を出してきました。そして私に「写真を撮れ」と言ってきます。普通、生物を見る場合はカメラを持っていない人が先、持っている人が後です(写真を撮るのに時間がかかるから)。けど今日は初心者が多く、ネジリンボウを引っ込めてしまうかも知れないから私を先にしてくれたようでした。……緊張するんですけどーっ! これで私が引っ込めてしまったら非難轟々ではないですか。

そろそろと近寄って遠めの位置からズームで証拠写真を押さえたところで「もう寄ってもらってOK」とサインを出します。初心者だと、ときどき生物に勢いよく突っ込んできてしまうコトもあるのですが、今回の皆さんは冷静でちゃんと遠巻きに観察をしていました。皆が満足して、Sさんに次の生き物を教えてもらっているのを確認し、私はさらにネジリンボウに寄ります。できたら共生しているエビと一緒に撮りたかったのですが、エビはネジリンボウより敏感でさっさと引っ込まれてしまいました。でも本命のほうは、かなり近づけたので良かったかな。

後はもうひたすらまったりです。小さな魚の群に、捕食者のカンパチが突っ込んできていたりもします。天気のせいか人も少なく、海のなかで他のグループとぶつかるコトもありません。久々ダイブなので深場には行かないし、広々とした砂地でときどき水面を眺めて(ああきれいだなあ……)とぼ〜んやり。珍しい生き物はいなかったけど、アミメハギやカワハギ、メバル、ヒメジの子供たちが目立っていて、賑やかな楽しい海でした。最後にはKがマツカサウオも見つけてくれました。

水温は23度あるのですが、ナゼかこの日は水を冷たく感じます。寒くてたまらないって感じではなく、ウェットの中で水が動いているような感じ。入った瞬間なんか、背中のファスナーを閉め忘れたかと思ったくらい。ですので水から上がる頃にはかなり寒さを感じていました。こうゆうときはお風呂のあるポイントがありがたいですよね〜。上がって2本目の器材をセットして(お手伝いで、母の分も)から温まりに行き、ホッとしたところで昼食休憩。

2本目はいつも行く、エントリーポイントから見て左手のコースです。女のコたちは相変わらずひっくり返りながら写真を撮っていましたが、母はちゃんとレギュを咥えて1本目よりリラックスしているみたい。母がSさんにぴったり付いていっているのを確認し、私はKと1本目以上に自由気ままに遊びます。2本目の目玉はハナタツ。これも久しぶりに見て嬉しかったのですが、私、タツ系と相性が悪いのですよね……。何枚も撮った写真、全部ピン呆けでした。仲良くペアになっているクロホシイシモチ(♂はだいぶ顎が膨らんでいます)たちやイワシの群は相変わらず。1本目にはいなかったアオサハギも見つけました。

母が写真を欲しがるので、いつもは撮らないような伊豆の魚も被写体になります。いつもの魚も、意外に可愛いのよね〜。コウライトラギスのハート型の目を撮りたいとガンバってみましたが、やっぱコンデジでは無理でした。あとヒメユリハゼが、やけに大きく見えました。Kと「東伊豆でいつも見るののと違うよね?」と意見が一致しましたが、伊豆のプロのSさんの同意は得られませんでした。光の当たり方で大きく見えただけなのかなあ? 2本目も、初心者がいるワリにたっぷり潜り、満足してエキジット。久々の黄金崎、やっぱりいいです。落ち着くわ。

ショップに戻ってログ付けをし、夕食を食べに行きます。よく通っていた美味しい定食屋さんが無くなってしまっていたのはショックでした。最近、あんまり行ってなかったのにー。海沿いのくせに、美味しい魚が食べられるご飯屋さんがあまりないのですよね、この町には。仕方ないのでこの日は地魚を使っている回転寿司屋に行きました。ここもけっこう美味しいのだけど、毎回ってワケにはねえ。Sさんたちが他のお店も探してくれているそうなので、そっちに期待です。

すんごい勢いで食べて飲んだおかげで、19時ちょっと過ぎの電車に乗り込むコトができました。祖母宅に向かう母、K、と順番に電車を降りていき、最後は1人で帰宅。体は今日が休日だとすっかり思い込んでしまったらしく、長い眠りを求めています。―――明日会社、行きたくないなあ……。(追:行きましたよ、ちゃんと)。

2009.9.8(Tue)

上京してきている母と、母となるべく遊びたい祖母と一緒に、4度目の文楽に行ってきました。9月公演第3部の『天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)』。数年前にロンドン公演に持って行くつもりで作った新作だそうです。この演目を選んだのは、1.開始時間が18時半からで仕事を休まなくても見にいける、2.新作ってどんなもんだか一度見てみたい、3.ヒロイン美登里を桐竹勘十郎さんが操られる、の3つの理由から。事前にシェイクスピアの『テンペスト』は読んでおくつもりでしたが、手配するのを忘れちゃって粗筋だけネットで仕入れ、昔読んだときの記憶をどうにかこうにか呼び覚まして国立劇場に向かいました。

―――んでいきなり感想ですが……文楽というより人形劇みたいだった。私は当分、古典(というのかな?)でイイや、と思います。いろんな工夫はされていました。普通文楽では使わない楽器を使ったり、変な人形を使ったり。舞台はとにかく賑やかです。床に大夫と三味線が2人だけって時間は、全体の半分あったかなかったか。すごく分かりやすいし(今回はイヤホンガイド、いりませんでした。借りたけど、無駄だった)、賑やかだし、文楽をとっつきにくいと感じている人にはいいかも知れません。確かに外人受けもしそうだった。

けど、私は「いかにも文楽っ」の文楽が観たいのよ〜。劇場を出るとき、通りかかった女のコたちが「面白かった〜。私、もう一度観たい!」と言っていたけど、私は一度でイイや。母も同じ感想だったようです。あと残念だったのは、小道具が少なかったコト! いつも文楽を観るたびに、人形たちの細かい所作や道具の扱い方に感心するのですが、今回はあまりそれがなかった。まぁ舞台が人里離れた島ではねえ。桐竹勘十郎さんも、今回は特に面白いとは思いませんでした。残念ながら。あと人形の後ろに顔があるのが邪魔だという意見を反映してか、主遣いさんたちも全部黒い頭巾を被っていたのも残念でした。私はちっとも邪魔だとは思わないし、かえって面白いのに。あ、美登里に足があったのもちょっとビックリ。

三味線は相変わらず分かりません。浄瑠璃は―――演技の良し悪しまで、まだ全然気が回らないのよねー。ただ声が伸びやかで聞きやすい、と思ったのは呂勢大夫と咲甫大夫でした。おっ、どっちも豊竹姓ですね。咲甫大夫は初めてのときも「いいな」と思った記憶があるな〜。お2人とも、中堅の大夫になるのでしょうか。ただ今回は、前回のような異常な眠気はありませんでした。あとは……そうそう、蜘蛛のお化けがちょっとカッコよかったな。あれは日本の妖怪っぽく見えたけど、何かの使いまわしなんでしょうか?

さて次回は―――あ、嬉しい、八百屋お七やるんだ! 八百屋お七は前に舞台で観たコトがあって(小劇場の舞台だったから、かなりアレンジされてましたが)、そのとき、火の見櫓に登って半鐘を打ち鳴らすシーンの辺りを文楽っぽい演出でやっていたんですよね。役者の後ろに黒子がついて、操っているように見せていたのね。そのときの役者の芝居が素晴らしくて、観たのはたぶん10年以上前だというのに、あのシーンだけはまだ鮮明に思い出せます。それを、本当の文楽と比べてみるのが楽しみ♪

まだしばらく、文楽熱は冷めそうにありません。

2009.9.5(Sat)_3

≪つづき≫

帰り道は、行きにまだ開いていなかったエゾリンドウとヒツジグサの様子をチェックしながら歩くコトにします。―――が、先頭を歩くペースメーカーのUの足が早い早い。どうしちゃったの?というくらい早いです。私は帰りにも写真を撮ったりしていたので、ときおり追いかけて走りました。でもこれが、たぶん標準ペースなのですよねー。スゴいな世間の皆さまは。お昼に近くなり日も登り青空が広がったので、帰り道はかなり暑かったです。エゾリンドウもほころびかけ、ヒツジグサは……。

ヒツジグサって面白いですね! 行きは白い固い蕾がちょこちょこあるくらいで「もう終わりかけなのかなー」とか言っていたのに、帰り道ではぽこぽこぽこと池の表面に顔を出しているではないですか。まだ開いていないのも、キレイに開いているのもありますけど、行きよりずっとずっと目立っています。これは嬉しかったな〜。ただ、花が甘いのか、すごく虫にたかられていました。遠目に見るとわからないけど、後から写真見るとちょっと怖かったくらい。

尾瀬

引き返すと、今度は目の前に至仏山

尾瀬尾瀬

左:蝦夷竜胆(エゾリンドウ)は開いているような開いていないような……/右:苔桃(コケモモ)の実?

尾瀬尾瀬

左:未草(ヒツジグサ)。最初はこのくらいで喜んでいましたが…/右:次から次に開いた花が見つかるようになってきます。ただ遠かったり虫が付いていたりで、なかなかキレイに撮れません

尾瀬

振り返ると燧ヶ岳。青空がだいぶ広がってきました

尾瀬

行く手の至仏山と尾瀬ヶ原

尾瀬尾瀬

池塘を覗くとサンショウウオが―――と思いこんでいたのですが、サンショウウオは流れのある水に住むのだそうで、池塘にいるのはアカハライモリだそうです

尾瀬

行きと同じ場所でまた写真を撮りました。木道の色が全然違う〜。色は帰りのときのほうが鮮やかだったけど、ちょっと風が出てきて水面が揺れるので、行きのほうが水面の燧ヶ岳は鮮明でした

尾瀬

何枚も何枚も撮ったけど、これが今日のベストショット

ヒツジグサ撮影ではたっぷり時間を使ったのに、さくさく歩いたおかげでほぼCTどおりに山ノ鼻に帰り着きました。ここでお昼休憩。至仏山荘の食堂でカレーライスをいただきます。そして植物見本園の入口をちょっとだけ歩いて、もう一度ビジターセンターに寄って見てきた花を確認して、鳩待峠に向けて歩き始めました。平坦な道はCTで歩けたけど、上り坂になるとさすがにCTはムリだろうなあと思っていた私たち。が、木道で歩きやすいおかげか、Uのペースは落ちません。行きよりずっと暑いというのに、調子よく歩いて鳩待峠到着〜。CTどおり1時間10分!

尾瀬

植物見本園のこの景色、なんだか好きなんですよねー。落ち着く

尾瀬尾瀬

左:至仏山荘のカレー\900也/右:檀(マユミ)の実

「すごい、早くても1時間半はかかると思ったのに〜」「私も!」と歓声をあげ(←普段どんだけ遅いんだか)、お祝いに花豆ジェラートを食べました。嘘。花豆ジェラートを目当てに頑張って歩いていたのでした。食べ終わったのがちょうど14時頃で、帰りのバスもやってきます。14時にバスが来ます、とは聞いていたものの、集合時間は14:40。「どうせまだ帰ってきてない人いるだろうけど、荷物を置いておこうか」とバスに行き、荷物を整理していると「全員揃ったので出発します」との声が。へ? 時計を見ると14:04。

今回のバスの乗客は、皆さん早め早めの行動の方ばかりだったようです。「もう1台のバスはまだ揃っていないので、お風呂に先に入れますよ〜」という運転手さんの台詞が嬉しい。しかし分からないもんだなあ。私ら、たまたま14時前には戻ってきていましたけど、ホントは多少遅れてもイイと思っていたんですよね。まさか全員14時に戻ってくるとは思っていなかった。前のときは出発時間の15時ギリギリまで帰ってこない人がいたものなあ。ま、早めの出発は嬉しいことです。目をつぶってすぐに寝てしまったらしく、あっという間に尾瀬高原ホテルに到着しました。

お風呂も同じバスに乗ってた女性7人だけで、のびのび。時間が40分だけなので、さっと洗って浸かってですが、でも汗が流せて着替えができるだけでありがたいものです。ホテルの外でKの飲んでいる地ビールをちょっとだけもらって出発時間までまったりし、バスに戻ると地ワインのハーフボトルを抱えたYが戻ってきました。そ、それバスで飲むの? いそいそと紙コップに手酌をしているY。さすがです……。

行きと同じように途中でトイレ休憩を2回挟み、バスは新宿に向けて走ります。出発は予定より1時間も早かったし、高速もいい感じに流れていたのに、熊谷辺りで事故渋滞に巻き込まれてしまいました。前夜ほとんど寝ていないのでさすがに帰りはよく眠り、起きたのがちょうど事故現場の手前。玉突き事故らしい現場を過ぎると、目の前に「2km先に事故車有。20分」の電光掲示が……。え? 別の事故も? 間違いかな、と思いましたがホントに少し先に別の事故車がありました。怖いな〜。

そこを過ぎると「遅れを取り戻すぞ!」とばかりにバスはぴゅんぴゅん走ります。んで予定の30分前、19時半に新宿到着。夕食を一緒にとってさあ解散、と思ったら、今度は山手線が人身事故で止まった……! 改札の外には消防車や救急車がサイレンを鳴らして止まっているし、こりゃしばらく動かないかもと、遠回りをして家に帰りました。最後は事故事故でちょっとヤラれたな〜。

尾瀬尾瀬

左:鳩待峠の花豆ジェラート\500也。おじさんが「水芭蕉に見える?」と言いながら盛ってくれました/右:新宿でお疲れさま乾杯

鳩待峠(5:42)→山ノ鼻(7:00-7:28)→分岐(8:37)→竜宮(9:20-10:00)→分岐(10:35-10:39)→山ノ鼻(11:21-12:21)→鳩待峠(13:31)

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≪つづき≫

しかし、ここからが尾瀬の怖ろしいところ。私は尾瀬は3度目になりますが、尾瀬ヶ原を歩くのは1年ぶり。しかもこの季節は初めてです。Uは初めての尾瀬、YとKは遥か昔に来たコトがあるという程度なので、花があると言っては足を止め、燧ヶ岳が見えると言っては足を止め、色づいている草があると言っては足を止め、池塘に景色が映ると言っては足を止め―――ちっとも先に進めません

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左:湿原に延びる木道。尾瀬ですなあ/右:尾瀬水菊(オゼミズギク)

尾瀬

梅鉢草(ウメバチソウ)。水滴がついてキラキラです

尾瀬

蜘蛛の巣もキラキラ。巣がかかっているのは油茅(アブラガヤ)かな?

尾瀬尾瀬

左:開きかけの岩菖蒲(イワショウブ)/右:深山秋の麒麟草(ミヤマアキノキリンソウ)かなあ? 金光花(キンコウカ)じゃないよね?

尾瀬尾瀬

左:燧ヶ岳の頭はまだ雲の中/右:ふお〜池塘〜

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左:これは満開、岩菖蒲/右:池塘に山が映ります

尾瀬

池塘手前の細い白樺が、いいアクセント

尾瀬

風ひとつなく、池塘にはっきり燧ヶ岳。そりゃ覗きこみたくもなりますね

尾瀬

水面に映る景色のほうに、青空が多い気がする……?

尾瀬

木道脇の湿原は、草が色づき始めてました

尾瀬

あっ燧ヶ岳の頭が! シャッターチャンス!

山ノ鼻から牛首分岐までのCTは40分。なのに1時間以上もかかってやっと分岐に到着です。もともと足が遅いのにこの景色じゃ仕方ないけど、これだと予定していた(ツアー会社のオススメコース)ヨッピ橋を経由して竜宮十字路に出、山ノ鼻に戻るというコースはちょと不安。鳩待峠に14時に戻るとすると、12時半には山ノ鼻を出たいのです。でもこの道を急いで歩きたくないし……というコトで、とりあえず龍宮小屋を目指し、余裕があったらそこからヨッピ橋、なかったら引き返すというコトにいたします。

時間的な余裕ができたので、またまたのんびり歩き始めます。草紅葉にはまだ早いと思っていたけど、実際に湿原が黄金色に染まるという風景にはまだなっていないけど、でもところどころに色づいた低木や草があり、イトトンボが飛び、気配はすっかり秋です。ちょっと雲が多くて燧ケ岳の頭も隠れてしまっていますが、当初覚悟していた雨と比べれば上々の天気。風がないので地塘にはすごくハッキリと景色が映ります。やっぱ好きだな〜尾瀬。

尾瀬

平らに広がる湿原に、長く長く延びる木道

尾瀬

秋の気配がむんむんです

尾瀬尾瀬

左:大丸葉保呂之(オオマルバノホロシ)の実/右:大苦菜(オオニガナ)

尾瀬

赤い色はやっぱり映えますね〜

尾瀬

こんなに紅葉が楽しめるとはは、思ってもいなかった

少しずつ雲の切れ間が大きくなっていって、かなり温度も上がってきた頃、タイミングよく龍宮小屋へ到着しました。氷を浮かべた大きな箱にラムネやジュースや―――「ビールがある! 銘柄違うのが!」。尾瀬某有名銘柄がキラいなKと私は顔を見合わせ……「買っちゃう?」。というコトでラガーを購入。小屋の外のテーブルに陣取り、ビールにはちょっと合わないけれど、私の持ってきた和菓子(栗三昧)で一休み。途中のSAでKの買った鳥皮も摘みます。Yはコーヒーをお願いしてました。しかし統一感、ないなー。

少し減り始めていたおなかが落ち着いたところで、今回はヨッピ橋は諦めて山ノ鼻に引き返すコトにします。初めての尾瀬(4人での)だし、お楽しみはまた今度に残しておこう、という感じです。そろそろ……と腰を上げかけたときに、トンボの名前を教えてくれた方とちょっとお話ししました。聞いてみると尾瀬のガイドさんで「ここから見える山は全部登っているよ〜」とのコト(1つだけ入山禁止で入れない山がある、とおっしゃってましたが、どの山だったか忘れちゃった)。この日はプライベートで写真を撮りに来られたそうです。思わず、いろいろお聞きしてしまいました。

≪つづく≫

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草紅葉にはまだちょっと早いだろうけど、U・Y・K・私の仲間4人が珍しく揃うとあって、尾瀬へ行くことにしました。9月4日の金曜日、新宿発22時半のバスですので、会社から一度家に帰って荷物をまとめてお風呂に入って夕食を食べて出発です。週の中頃まではすっきりしない予報だったのが、出発の時点では「晴れて行楽日和」の予報に変わっていました。やほー。……て、やほーはイイんだけど、着るものどうしよう? 木曜日は肌寒かったので「防寒着必携」と皆にメールを送ったばかりです。でも……今の予報じゃ、いらなそう。

尾瀬だしな〜今回は山登りなしだしな〜という気持ちと、いやいや甘くみちゃいかん天気予報は当てにならんという気持ちがせめぎ合い、フリースを出したり入れたり出したり入れたり―――。雨具も迷います。折りたたみ傘があったら、それで平気な気がする。余分な荷物はバスに置いて歩けるんだから念のため万全の準備をしていくか、勘を信じて身軽に行くか。さんざん迷った挙句、迷ったものは全部置いて行くコトにしました。防寒着&雨具はしっかりね、と言ってた私が一番身軽だったので、後で皆にさんざん責められます。……だって、天気予報が変わったんだものー。

と、話が先走った。集合場所に向かうと、周囲には大きなザックを背負った人たちがうろうろとしています。どこに行くんだろう? さわやか信州号は都庁地下から出発だし、他にもいろいろバスが出ているんだなあ〜。私らの乗るバスは日帰りだけあって、大きな荷物を持った人はいませんでした。4人参加というコトでたぶん気を利かしてくれたのでしょう。最後部の5人座れるスペースが割り当てられます。……が、これでけっこうツライ目に。他の席ほどリクライニングができないし、座席が高くて足の置き場に困る。結果、今までの夜行バスの経験の中で、一番眠れない夜を過ごすコトになったのでした。

と、また話が先走った。バスは予定どおり22:30に出発します。途中、高速のSAでトイレ休憩30分。一般道の道の駅で休憩20分。最後に尾瀬高原ホテルで……1時間弱?、だったかな。眠れないし、そんなに頻繁にトイレに行かなくてもいいのですが、体を伸ばさないとやってられない。休憩のたびにバスを降りてストレッチに励みました。最後の休憩ポイント、高原ホテルに着いたのは土曜日の4時ちょっと前でしたが、空はまだ真っ暗。星がキレイに光っています。出発のときには小雨がパラついていたのに、嬉しいなあ。それと日が短くなったなあ。前に来たときは、最後の休憩ではもう 明るかったのに。

鳩待峠にバスが着いたのは5時ちょっと過ぎ。ずーっと起きていたようなものでおなかがペコペコだったので、まずは休憩所で朝ご飯にします。朝からがっつり定食くらい食べられそうだったのですが、この時間はお握りとうどん類しかなかったので、けんちんうどん。寒いというほどではないのですが、かなり空気がひんやりしていたので温かい食事が嬉しかったです。温かくなったところで、さて行くとしましょうか。「今、花あるかなー」「本を見たけど、8月で花のカレンダーが終わってるんだよね」「草紅葉にはまだちょっと早いだろうし」。お喋りしながらゆっくりと坂を下っていきます。

尾瀬尾瀬

左:けんちんうどん\800也/右:薄暗いなかを、さあ出発

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左:水木(ミズキ)の実/右:秋の麒麟草(アキノキリンソウ)?

尾瀬

道には朝靄がかかっていましたが、遠くには青空も見え始めました

尾瀬

小さな蜘蛛の巣がたくさん

尾瀬尾瀬

う〜ん、これは両方わからない

尾瀬尾瀬

左:虫狩(ムシカリ)?/右:角榛(ツノハシバミ)

尾瀬

「支えあって生きている」……って感じ

ゆっくりなので、どんどん人に抜かれます。足もとがちょっとおぼつかない感じの老婦人にも抜かれます。ま、いつものことです。今日もゆっくり行きましょう。最初にけっこう下った後はのんびりの木道歩き。思ってたよりもたくさん咲いている花を観察したり、ふざけた写真を撮ったり、小芝居をしたりしながらゆるゆる歩きます。同じ頃に出発した人には抜かれきったらしく、途中からはほとんど人の姿を見かけませんでした。木道はしっとり濡れていて、木々から水滴が滴る音が響きます。朝露? 雨粒?

尾瀬尾瀬

蕾→開きかけの晒菜升麻(サラシナショウマ)?

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左:満開の晒菜升麻/右:蕎麦菜(ソバナ)

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左:溝蕎麦(ミゾソバ)かなあ?/右:山鳥兜(ヤマトリカブト)

尾瀬

反魂草(ハンゴンソウ)?と山鳥兜。鳩待峠〜山ノ鼻の間にたくさん咲いてました

尾瀬尾瀬

左:胡麻菜(ゴマナ)?/右:キノコ

CTより20分ほどオーバーして、ようやく山ノ鼻に到着しました。まずはビジターセンターに寄って、今見られる花をチェックチェック。係の方から、オコジョやツキノワグマの話を聞かせてもらいました。その後トイレに寄って(利用料\100)、いよいよ尾瀬ヶ原に向かって歩き始めます。

≪つづく≫

2009.9.2(Wed)

頭痛がしてしんどいので会社を早退して帰って横になったら、なんだか楽になってきてしまいました(←出勤拒否かよ)。ので、横になったまま、金邦夫さんの『金副隊長の山岳救助隊日誌 山は本当に危険がいっぱい』を開きます。このところ続けて遭難本を読んでいたのですが、もうちょっと身近な山のを読んでみたいな〜と思って手に取った本で―――うわ、身近すぎ! 歩いたことのあるコースやこれから歩きたいコースでの遭難事例に、地図を引っぱりだして照らし合わせずにはいられません。

それにしても、余りに軽装での登山の例を読むと、奥多摩の山ってそんなに“山”だと認識されてないのかなーと不思議です。高尾辺りならわかるんだけど、あの辺の山ってかなりしっかり「山深い」ですよね? 登ってて「これが東京なんだもんなー」と何度感心したコトか。う〜んでも、一度も登ったコトないと騙されちゃうのかな、住所に。ケーブルカーで登れる低山に行って、歩いてないから全然疲れてなくて、標識を見たら駅まで2時間で下りられそう―――なんて状況だったら、私でも歩き始めちゃうかもと思うもんなあ。例え知識や装備がなくっても。

あ、上の例は≪御岳山にケーブルカーで登って、大塚山経由で古里駅に下りようとして遭難≫です。このルート、今度御岳山に行くときに登りに使おうと思ってるルートなのよねえ(あ、前述の遭難は、危険箇所があったせいではなくて、お年寄りで体力不足だったからです)。ことほど左様に、とっても身近な話が満載でした。なんとなく名前がたくさん出てきた印象があるのが、川苔山と天祖山。川苔山は再訪したい山だし、天祖山もそのうち行くかもしれません。気をつけなきゃね。

もちろん私でも「いくら何でもそれはムチャ」と思うような無謀な人たちも出てきて、そうゆう相手でも助けに行かなきゃいけない山岳救助隊の方々には頭が下がります。山に行ったコトもないような人(TVのコメンテーターとか)が遭難のときに「山を舐めて安易にどうちゃらこうちゃら」とか言い出すと軽くムカついてしまう私ですが(例え遭難者が本当に無謀でも)、現場の人の苦言には素直に耳を傾けます。でも単独行はこれからもしちゃうだろうなー。なるべくご迷惑をかけないように心がけるつもりですが。

山岳雑誌とかで知っていた山の事件を、山岳救助隊の立場から読めたのも興味深かったです。あと著者の金さんはかなりの読書家らしく、文章もとても読みやすい。奥多摩の山に登られる方にはお薦めの一冊ですね〜。あとこれは忘れずに言っておかなきゃ。「奥多摩小屋の岡部仙人、カッコよすぎ!」。引退される前に、一度お会いしてみたかったなあ。

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