2005.12.28

例年どおりに会社の仕事納めをサボり、餅つきに行ってきました。毎年サボらず参加する私、妹、従兄弟の兄ちゃんが今や主な働き手となり、親の世代もそれぞれに参加します。次の世代に続いていないのは誰も結婚しないからです。餅米をツブしながら「これって子供の仕事だよねー、兄ちゃんが25で子供作っておけば今頃立派な働き手に……」「25で結婚なんてヤだよ」「じゃあ30でもいいよ。それでも今頃は楽だったのに」「……To-koこそ」「……手が足りなくて大変なのは自業自得だってコトで」と、悲しい会話をケタケタ笑いながら交わしつつ、その傍らでは親の世代が体の不調をゲラゲラ笑いながら交わしつつ、ああこの親戚好きだなーの親戚行事をしてきました。つきたての餅はやはり美味いです。ウチにも伸し餅3枚とお供え1組を持って帰って、一安心。

これで年末行事は済ませたので、明日から携帯も通じない僻地な田舎へ里帰りです。高校時代の友達と会う他は、酒呑んで餅喰ってのいつもの正月を楽しんできます。今年は寒いってのが難ですが、薪ストーブにガンバってもらいましょう。それでは皆さま、良いお年を。来年も宜しければまたよろしくお願いします。

2005.12.26

皆さま実りある三連休を過ごされましたでしょうか? 私は非生産的な、怠惰な週末を楽しみました。わーい。

その怠惰の記録。23日金曜日、三浦に住む友人K宅に向かう。のんびりしたいから早めに行くねーとか言っておいたのに、起きるのが遅れたうえに読みかけてた本が佳境で読み終わるまで動けず先延ばしにしていたモロモロを片付けねばならず、なんだかんだで結局夕食時を狙ったような時間になってしまった。ここで友人が出してくれた煮物がめちゃくちゃ美味しく、山盛りの大皿をほとんど一人でたいらげてしまう。三浦大根バンザイ。この日は酒も飲んでいないのに、まるで酔っ払いのように最近のニュースについて熱く語ってしまう私。だいぶ溜まっていたらしい。

翌24日土曜日。クリスマス前の人ごみの中、重たい思いをして抱えてきた荷物を持って、迎えのKMさんの車に乗り込む。途中でYも合流。向かうは小坪マリーナ……そう、この寒いのにダイビングをしようというんであるこのばかたちは。おばか仲間には山梨からやってきたというKM2さん(年配男性)とMさん(年下女性)もいて、わざわざクリスマスイブにおばかをするご褒美に、全員がKMさんからプレゼントをもらった。久しぶりにドライを着るので、ちょと不安である。おまけにアンクルウエイトを忘れてしまった。

セッティングを済ませ、ボートに乗ってポイントへついたトコロで、Kにタンクのバルブを開けてもらった。ちゃんと開いているのを確認するためレギュを咥えて息を吸い込むと、残圧計の針が微妙〜に振れる。あれ? 「ねえ、バルブ、開けてくれたんだよね?」(再度確認)「うん開いてるよー」。しかしやっぱり針が振れる。あれえ? でも針の振れ具合はホントに微妙〜で、再度確認もしてもらったコトだし、「今までも振れてたけど気付かなかっただけ?」と思ってしまう。「……うん、たぶん平気……」。

海は前日まで荒れていたそうで、透明度は期待しないでね、と潜る前から言われていた。が、思っていた以上にヒドかった。この寒いのにわざわざ潜りに来たのは冬の透明な海を期待したからである。せめて10mは見えて欲しい。なのにこの日の透明度は3〜5mだった。更に、潜ったトコロで気付いたのだが、久しぶりに使うドライの調子がおかしい気がする。排気バルブから空気が抜けづらい……ような、気がするのだ。私はちょっぴりナーバスになった。そしてKMさんが指し示すウミウシを皆が順番に見ているとき、ふと、自分のゲージを確認した。

―――針が、残圧計の針が、振れている! 陸上でのようにかすかな振れでなく、息を吸うたびに残圧が50以上変わる。これはあれだ、Uが体験したバルブの半開けだ! 慌ててKMさんのところに飛んでいき、ゲージを見せて訴えるとKMさんもすぐに分かったようで、バルブを開けなおしてくれる。これで針は振れなくなった。ホッ……。後で聞いたら、バルブはほとんど開いていなかったそうである。……―――K? なにか私に含むところでも?

とにかく私はこれですっかりナーバスになってしまった。こんな不安な気持ちでダイビングをしたのは久しぶりである。明るければ色鮮やかなソフトコーラルも楽しめず、魚も見えず(大きなマダイはいたけど)、寒い。途中で空気の消費の早かったKM2さんとYを浮上させ、残り3人はもう少し散策をしたけど「もう上がろうよ〜」って気持ち満々だった。新しいカメラでウミウシを撮る余裕もない。40分くらい潜ったトコロで、アンカーロープに沿って浮上。排気がちゃんと出来ている気がしないので急浮上が不安で仕方なく、ロープから手が離せなかった。

「2本目、どうしようかな…。でもせっかく来たんだし今年最後だしなー」と内心迷いながら、潜った後の濡れた体に堪える寒風に吹かれつつ港へと戻り、ボートから降りようとしたとき。ここで私はトドメの失敗をした。普通タンクを背負うとき、私はBCをしっかり着て背中で背負う。が、この日は力持ちのKの真似をしてBCに片手を通しただけで、肩でタンクを持とうとしたのだ。一瞬は持てたように思えた。が、次の瞬間、バランスを崩し―――ぴき。……ぴき?

腰を、痛めました。ぎっくり腰じゃないのが救いだけど、たぶん筋を違えただけだけど、これが決め手となって2本目を断念。海況の悪さにやっぱり2本目を諦めたKM2さん、Yと一緒にのーんびり過ごさざるを得なくなってしまった。こうなるとちょと悔しい。しかも2本目の方が海が回復していたらしい。魚も多かったらしい。悔しい。2本目を終えたMさんとKを待って近くの食堂で昼食。ボリュームたっぷりの白子定食は美味しかったけど、この日消費したカロリーより絶対多いよこれ! K宅まで送ってくれたKMさんに「今年もお世話になりました」の挨拶をして、今年最後のダイビング終了。合計52本で去年の記録44本を更新した。2回も海外行ってしまったのが効いたね。今年もよく潜りました。

今回のログはコチラ(144本目)。写真なし。

夜だけ参加のUがケーキを買ってやってきて、宴。ケアンズで撮った写真を見せあいっこしたり、ボートスタッフが撮ってくれたDVDを鑑賞したり。来年の予定もちょっと決めて、日付の変わる頃にU帰宅。Uからもらった手袋が嬉しかった。残った私らも早々にダウンし、翌25日は何もせず怠惰に過ごし、夕方家に戻る。妹に土下座(←年末ジャンボを買いそびれたので)。女子フィギュアを見て、三連休は終わった。見応えあったけど、恩田は残念だったなぁ。

2005.12.23

今市子さんの『文鳥様と私 愛蔵版 1』読了(……って言葉マンガにも使えるのか?)。ウカツながら今まで『文鳥様と私』とゆう作品があるのを知りませんでした。7巻も本が出てるのに! 『百鬼夜行抄』の中でもとりわけ尾白・尾黒が好きなのに! マンガの巻末に収録されている文鳥ネタのマンガが大好きだったのに!

あ、でもワタクシ、文鳥を飼ったコトはありません。幼い頃にインコを飼っていたような朧げな記憶があるだけでございます。それでも今市子さんの文鳥話は面白い! 飼い主の思惑通りにちっともならない複雑怪奇な人間関係――じゃなかった鳥関係がすんごくおかしくて、ニヤニヤしっぱなしです。文鳥の行動も面白いんだろうけど、それを見てお話を作り上げたり台詞をつけたりする今市子さん目線があってこそなんだろうなあ。ナイゾウが成長するまでの話も、いやその前に孵化への長い道のりも初めて読む話で、とても面白かったです。

この巻には福ピーが死んじゃったコトしか描かれていないけれど、寿命からいって、他の個性的な鳥たちも何羽かは死んじゃっているのでしょう。動物を飼うのって楽しいことばっかりじゃないけど、でもいいもんだよねえ。こんなに留守がちじゃなかったら、絶対に何か飼っていると思います。そのマンガを読むと「鳥もいいかも」と夢想してしまうけど、でも賃貸物件でよくやるよなー。ホント、感心しちゃいます。今市子さんは好きで、でもBLはちょっと……と思ってる方にオススメしたいけど、ナゼかその要素がゼロではないトコロが笑えます。鳥の話題で“倒錯の館”ってなによもう。

2005.12.20

仕事が忙しい忙しいと言うのってあんまり恰好よろしくないと思うんだけど日常を書くと忙しいとしか言いようのない今日この頃よ。くそー。とゆうワケで昨日書き忘れたコトを簡単に。

昨日書いた『十二人の怒れる男』(たち、はつきませせんでした。原題が“men”だし、「たち」とつけた方が語呂もよいと思うのだが語尾が弱くなっちゃうかな? まぁ今なら『トゥエルブ・アングリー・マン(←メンではない)』とか気の抜ける邦題がつけられそうだから、それよりマシか)は舞台を見て無性〜に見たくなっちゃって、帰り道にビデオ屋に寄って借りてきたんだけど、その前に借りてたビデオが2本あって、その感想をついでに書こうと思っていたんだった。頭の悪い文章ですみません。

1本目はジョン・トラボルタの『閉ざされた森』。最初に大事件が起こって、生き残った人間の証言から何があったのかを突き止めようとするのだが、証言が食い違って二転三転……という作りなんだけど、いかんせん登場人物たちの顔が覚えられなくて、証言がどう覆ったのか把握しきれずノリ損ねた。事件現場が嵐のジャングルで暗いんだものー! リバイバル上映をしていた『グリース』を見てゲラゲラ笑って以来、トラボルタのバカっぽいトコロが好きなので、お気楽なラストは良かったけどねー。

2本目は『宋家の三姉妹』。淡々と描いてるんだけどなんせ時代が時代で生き方が生き方なんで面白かった(三姉妹は富豪の娘で、長女は孔子の子孫の資産家と、次女は孫文と、三女は蒋介石と結婚)。しかしさー、冒頭の『一人は金を愛し、一人は権力を愛し、一人は国を愛した』ってのは違うんでない? その言い方だと、おとぎ話の悪い姉たちといい妹のパターンを想像してしまうではないか。少なくとも映画の中じゃ三姉妹は皆それぞれ一生懸命生きてたぜ? ……原語とはニュアンスが違うのかなあ?

あと蒋介石がどんどんハゲるのは史実なんだろうか? 最初は青年将校って感じなのに結婚式のときにはハゲあがっていて、「婚約したときはこんなじゃなかったのにー!」と三女は思ってしまったんじゃないかと余計な気を回してしまったコトよ。んでその三女は話が進むに従ってどんどん野沢直子に見えてくる。次女も知り合いに似てて妙な気がした――って、時代が時代なのにこんな感想で申し訳ない。あと鹿をちゃんと食べたのかも気になった。

2005.12.19

16日の金曜日は、パルコ劇場に三谷幸喜の『12人の優しい日本人』を観に行ってきた。まず最初に文句を言っておくと、パルコの三谷公演、チケット取れなさすぎ! 劇場の作りは好きだしもっと客席数を増やして欲しいなんて願わないけれど、どうにかしてチケット取れるようにしてくれー! どのくらい取れないかっつーと、友人2人と3人がかりで複数のチケット取扱団体に申し込み(それも抽選!)、電話もかけまくり、当日もキャンセル待ちの整理番号ゲットに挑戦したにも関わらず、3人のうち観れたのは私だけという寂しさ……。面白い芝居観て話さず帰るなんてー! くそー。

さてそれでも観てる間は文句なく面白かった。『12人〜』は三谷さんの劇団である東京サンシャインボーイズ(現在冬眠期間中)のために書かれた脚本で、たぶん人気があったのだろう。後で映画にもなっている。元ネタはもちろん『十二人の怒れる男たち』だ。誰の目にも明らかに見えた裁判が終わり、陪審員たちが有罪・無罪の決を採る。即座に11人が有罪と手を挙げる中、たった1人が無罪を主張する。確かな根拠があるワケではなく、ただ「そんなに簡単に電気椅子の判決を下してしまっていいのか?」というだけの理由で。彼はなんとか外の面子を説得し、証拠を一つ一つ検証し始める……。さてこれが日本だったら?という話。

これ、どっちも面白い。両方未見ならば元ネタ→三谷版で観るのを薦める。舞台は見に来れなくても映画版なら見られるだろう。映画版を見たのはかなり前なのでハッキリしないが、ちょこちょこ台詞は変わっていても、大きな改変はなかったと思う。『十二人』のどのキャラクターをどの台詞をどの駆け引きを、どう料理してどう遊んでいるのか比べて見るのが面白い。遊びの入った方を後にした方が両方楽しめると思うしね。

さて舞台。三谷さんの舞台は隙がない。遊びはあってもいらないシーンはないし、12人の登場人物がどれも個性的で印象的だ。舞台のどこをいつ向いても世界が崩れないのがイイ。安心して没頭できる。中でも今回良かったのは、人のいいおばちゃんの陪審員10号(堀内敬子さん)、仕切りたがりの陪審員12号(山寺宏一さん)。調子に乗りすぎの陪審員7号(温水洋一さん)は強すぎるくらい印象的だったけど、ごめん生理的にダメ……(←それだけ見事な“オヤジ”だった)。そしてサンシャインでは西村さんが演じたのかなーという理屈屋の陪審員9号(小日向文世さん)も良かった。仮説を思いついたときの嬉しそうな顔ったら!

しかしゴメン。何と言っても一番は陪審員2号の生瀬勝久さんである(江口洋介? あぁまぁ喋る場面は良かったと思います)。『人間風車』という芝居を見てからというものの、彼がキレてその後ガックリ肩を落としていると“おお!”と思ってしまう私にとっては至福の舞台でございました。マニアックですいません。最初っから熱くなりやすくて怒鳴ってばかりいる役だったんだけど、最後の最後に抑制を失って声が裏返りだしてからというもの、シーンを顧みず喜んじゃった。爬虫類顔も髪質も体格も好みなのです。カーテンコールのちょこんと膝を折った挨拶は可愛かったし……!

てな感じで友達と観られなかったコトを除けば、かなりいい夜だったのでした。(―――除けないけどな!)

2005.12.15

年末までの予定はほぼ決まった。もち米も頼んだし、年賀状代わりのクリスマスカードも出した。……あとは旅行記を年内に書けるかどうかだ……(弱気)。

最近週一のペースで遠出をしている。千葉とか近い場所への外出もあるのだが、乗り継ぎ等でやっぱり片道2時間ほどかかる。そうゆうので半日以上も潰れてひーひー言っているワケである。今週の火曜日は甲府まで行ってきた。仕事を終え、駅までの途中にある舞鶴城公園に寄ってみる。天守閣はなくて、ただ復元された石垣や門、櫓だけがあるのだ―――が、残念。城がなくても石垣を眺めながら散策するだけで充分なのに、「この高い建物がなかった昔は壮観だったろうなー、四方にキレイな山並みが見えて」と、かつての有様を想像するだけでも楽しいのに、へ、変な(←失礼)イルミネーションが……!

ひょっとすると地元の人は楽しんでるのかも、しれない。あるのが当たり前の城址をクリスマス前くらいはキレイに飾って、夜のステキな散策ポイントになっているのかも、しれない。でも、でもその地に1時間しかいない旅行者にとっちゃあ、在りし日に想いを馳せようとしてるときに目に飛び込んで来るのがスフィンクスの電飾じゃあ……もう台無し! 見ず知らずの初老の男性に「あんまりいい趣味じゃねえなぁ」と嘆かれ、「ホントですよねえ、ガッカリしちゃう」と相槌を打ってしまいましたよ、おばちゃんは。

まぁそれでも周囲の風景を眺めてぼーっとしていたら、また違う初老の男性に話しかけられた。「今日は山がキレイだねえ」。雪を被った山並みは本当にキレイだったので、これにも相槌を打ったら、おじさんは雪山を指して教え始めた。「あれが何とか。左から何とか岳、何とか岳、北岳はちょっと隠れちゃってるなあ。それからあっちは鳳凰三山。聞いたコトあるだろ? んであっちのぽこっと突き出しているのが甲斐駒ケ岳。覚えておきなさい」。―――覚えておきなさい、と言われても……最初の2つはもう忘れました。ゴメンなさい。でも覚えているのはどれも登ってみたい山だ。特に北岳には登ってみたいなあ。

山梨に来たならワイン!といきたいトコロだったが、その日は会社に戻らなくてはいけなかったので、ほうとうと馬刺しを食べて信玄餅を買って帰った。んまー。ああ仕事する気しねえ、という感じ。

2005.12.12

吉屋信子さんの『女人平家』読了(なんだかケアンズからどんどん遠ざかっているなー)。先月、瀬戸内寂聴さんの『女人源氏物語』を読んだのだけれど、この本を手にしたとき「あれ、これって高校時代に読んだんじゃなかったっけ?」とふと記憶が動いた。しかし読み始めてみると全然覚えがなく「源氏じゃなくて平家だったかも」と『女人平家』に手を出した次第なのだが、こちらを読み出すと甦る思い出思い出って感じで、高校時代に読んだのにけっこう内容を覚えているなーとビックリするくらい。

この本を読むまで、私の中の平清盛のイメージは“傲岸不遜のハゲ親父”(たぶん手塚治虫の『火の鳥』のイメージ)で、よく描いてもせいぜい“権力者の孤独”どまりだったから、若く美々しい清盛ってのが新鮮で、印象的だったのだった。私が平家びいきなのは『女人平家』と河村恵理さんの『時代ロマンシリーズ』のせいだと思う(河村さんは源氏も描いているけれど、なぜか平家の方が印象が強い)。歴史上の人物の好き嫌いなんか、ほとんどがフィクションからくるイメージに左右されてるのね。少なくとも私の場合はそうだ。源氏では義経と実朝が好きで、頼朝はダメ。

さすがは少女小説の吉屋信子さんで、『女人平家』の世界は美しい色彩に溢れ、平家の滅びが既知のものであるからこそ、その世界が愛しくてたまらなく哀しくなる。夢と陰謀と恋と戦と、潔い死とそれを悼む心と、もう乙女心を刺激しっぱなしで瞼がはれ上がるほど泣いてしまい、高校時代からちっとも成長してないなオレ、とちょと反省したり。中心となる平家の姫たちがお互いをいたわりあい、どこまでも助けあうのもまた涙を誘う。これを少女趣味と笑わば笑え。世に薄っぺらい友情もあるだろうが、そうでない関係だってホントにあるんである。

……が、この物語の中の一大(?)悲恋には、私は残念ながらちーっとも心動かされない。佑姫はできすぎでツマラナイし、広元は頭デッカチちゃんで好きになれない。佑姫の方は運命に流されながらもその中でしぶとく生きてく感じが、後半ではしてくるのでまだイイのだが、広元はダメだ。もともと無位無冠でいいとか言ってたくせして恋に破れた途端に「平家の世では大成できない運命」とか拗ねだして、友達に「じゃあ源氏に賭けてみない?」と誘われただけなのに「広元、男の一生を賭けると見込んだ方」とか頼朝命になっちゃって、なんか自分の恋が叶わなかったのはみんな世間が悪いんだーみたいな、往生際の悪さを感じさせる。男の含羞がなんぼのもんだっちゅーのよ!と文机を蹴り飛ばしたくなる。

しかし『源氏』に比べて『平家』の方が女性が気軽に男性と対面してるのって、時代の差なのかしら?とちょっと不思議。2〜300年も経てば、決まりごとも緩やかになったのかしらねぇ。そりとも平家が武家だからかしら。ともあれ、高校時代の同じ頃に読んだ時代物を再読したくなりました。お江の方が出てくるのは吉屋さんの『徳川の夫人たち』だったか、それとも永井路子さんの『乱紋』だったか……。どちらも聞き覚えがあるから始末に悪いが、とりあえず吉屋さん繋がりで『徳川』から手を出してみようかな。年末だし。

2005.12.8

旅行記を書くと言ったきりしーんと間を空けてしまいました。くすん。2日の金曜日から4日の日曜までは某イベントのお手伝いに行っていて、この寒いのに戸外で何時間か震えて過ごしたり、トンカチ片手に肉体労働に励んだりしてました。合間には友達の『辺境警備』物語を聞かせてもらってゲラゲラ笑ったりも。『辺境警備』というのは紫堂恭子さんのマンガなのですけど、ジャンル的には……なんだろう? 世界の成り立ちはファンタジーなんですけどね。まぁ少女マンガに間違いはない作品なのです。それを知っているとばかり思い込んでいた友達と話していて「なんか話が噛み合わないなあ」と思っていたら、彼女は『辺境警備』を知らなかったのですね。そして『辺境警備』というタイトルだけを聞いて、全然違うものを想像してしまっていたのです。

<「死ぬな、お前はこんな辺境で死ぬようなヤツじゃない…!」>とか熱い漢たちが繰り広げる辺境警備物語を聞かせてもらって、でも私の頭の中では少女マンガなお気楽キャラクターたちがきゃわきゃわやってる絵柄でしか出てこなくって、おかしくておかしくて、「神官さんも出てくるんだけど…」とつい続きを促してしまいました。「神官さんは都から送られてきたスパイなの。だけど隊長の人柄に惚れ込んで任務と人情の板ばさみで苦しむの…」。「も一個言うとね、兵隊さんたちはカワイイんだ」。すると彼女は宇宙の辺境で活躍する少女戦士たちの物語(パクリ多し)を作り上げてくれました。あははー、惚れるよーその想像力!

そんな感じで楽しく過ごした週末なんですが、体には疲れがたまっていたのか月曜日仕事中に電池切れを起こし早退。月初だというのに火曜日は休んでしまい(一応絶対にしなくちゃいけない仕事は片付けましたが)、今日の今日まで休みを取ったツケの後始末に追われておりました。ああケアンズが遠くかすんでゆく……。とりあえずこの週末に生活立て直すつもりです。お弁当もサボりっぱなしだし。そう言えばこないだの健康診断で、初めて中性脂肪で引っかかってしまったのです。正常値に満たなくて。脂が足りなくてなんか困るコトあるのか、と思っていたら、医学に詳しい人に「血管がモロくなるよ」と脅かされました。どうも潤いが必要なようです私には。いろんな意味で。

2005.12.1

行ってきました新潟県。ほんの一週間前には南の海で泳いでいたのに昨日は極寒(←甘やかされた東京人の感想)の地に! トンネルを抜けて雪国に入った途端に「なんてトコロに来ちゃったんだ」と思いましたよ。あのトンネルを境とした天気の変わりようには、毎度毎度驚いてしまいます。トンネルに入る前は青空が高く山が遠く見えて「ああ冬だー」という感じだったのに、トンネルを出ると雪景色でしかも雨まじりの雪が窓を叩いているんですもん。会社に行ってから「はい今日新潟」って感じだったのでロクに身支度もしていなくて、そのまま雪の中に出るのかと思ったらひええーって気分になりました。

でも私の行き先は県庁所在地。雪の降っていたのはほんの一部分で、すぐに乾いた地面が見えてきました。ああ良かった濡れなくて済む、と思ったけれどもそこはやっぱり日本海。風が冷たい〜。耳が痛くなります。東京で言ったら1〜2月の気温じゃないんでしょうか。少なくても気分的にはそんな感じ。仕事は単純なブツの受け渡しだったので(そうでなければ私が行くハズもない)、終わったら後は自由行動です。「直帰しまーす」と出てきたので、帰りの時間を気にする必要もない。となるとまっすぐ帰るのはバカみたいです。とりあえず、新潟駅まで歩くコトにしました。

距離は3kmくらいでしょうか。30分もあれば着くだろう、と歩き始めましたが、知らない街を歩くときの常で「こっち行ってみよう〜」と脇道に入って迷ってムダに距離を稼ぎ、新潟駅に着いたときにはすっかり夕暮れの気配になっていました。うーむどうしよう、できたら気の利いた小料理屋にでも入って海の幸と日本酒といきたいトコロですが、小料理屋が開くにはまだ時間がありそうです。次の日会社が休みなワケでなし、そんなに遅くはなりたくない。しかもここは馴染みのない土地。おまけにかなり歩いたので足は疲れてしまっています。ああ会社を出る前に美味しいお店の情報くらい仕入れてくるのだった!と思っても後の祭り(つかそんな暇はなかった)。新潟在住の方に電話してオススメの店聞こうかなーと思って携帯を出しましたが、ちょっと考えてみれば向こうはまだ仕事中のハズです。……迷惑だよなあ……。

結局気力が尽きてしまい、駅構内のチェーン店みたいな場所で目当てに近いオーダーをしたのですが、刺身はまあ言わぬが花(とくに赤身はヒドかった)。でも当てずっぽうで頼んだ日本酒がけっこう美味しく、しかも必要以上になみなみと注いでくれたので、なんか満足してしまいました。写メールで「升酒呑んでまーす」とか送ってみたり。そして「つかまだ夕方だし!」と呆れられたり。―――念のため名誉のため言っておきますが、もちろんこの時間は就業時間ではないですからね! 「せっかくここまで来たんだから」で土産まで買ってしまったりして、思わぬ出費の1日なのでした。来ちゃったんだからねえ。楽しまなきゃ。

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