2009.10.31(Sat)_4

≪つづき≫

その後もずーっと、静かな道が続きます。つか、パノラマ台から最後の舗装道路に出るまで、この日は誰にも会いませんでした。心細さはいつしか消え、周囲の風景を楽しむ余裕も出てきます。道は気持ちのいい雑木林。ほとんど傾斜もなく、つい歌いながら歩いてしまいました。標識もかなり頻繁に出てくるので、安心です。で、次のポイントは白山。「白山展望台」の標識に従ってルートをほんのちょっとだけ離れ、視界が開けたとたんに「うわああ!」と歓声を上げてしまいました。

羅漢寺山羅漢寺山

どなたが管理してくださっているのか、手書きの道標がカワイイ道です

羅漢寺山

こ〜んな平坦で

羅漢寺山

こ〜んな木洩れ日で

羅漢寺山

こ〜んな紅葉の道が続くんですもん。歌の一つも飛び出るってもんです

羅漢寺山

「白山展望台」の道標に従うと、こんなトコロに飛び出します。
うおっ、何ここ!? 砂浜!?

この山頂、この日のルートで一番気に入りました。目の前に緩やかに落ちていく白い砂の地形が、まるで海岸みたいで不思議な雰囲気です。たぶん展望が良いのはココが最後だろうと、腰を下ろして昇仙峡で買った草餅を食べます。風もなく、暖かで、のんびりできるポイントでした。

羅漢寺山

景色を肴に、草餅で一休み〜。右の近いほうの山は太刀岡山、中央奥は茅ヶ岳。(……だと、思う。方角的には合っているハズ)

羅漢寺山

ぼんやりと沖を眺めたくなりますね―――て、あれ?

羅漢寺山羅漢寺山

左:To-ko、近影/右:弥三郎岳で見たのと同じ木かな?

縦走路に戻り、獅子平分岐を過ぎるとまた道の様子が変わってきます。獅子平への道のほうがよく歩かれているのかしら? 荒れている、とまでは言いませんが、あまり人が歩いていないような雰囲気です。道の真ん中の落ち葉や枯れ枝に踏まれた後がなかったり、石がゴロゴロしていたり。で、ずっとそんな感じなのかと思えば、急に林道みたいな立派な道になって、その後また荒れた感じになったりします。変なの。

羅漢寺山

いい感じの色合いの道、まだまだ続きます

羅漢寺山羅漢寺山

左:獅子平分岐の道標/右:近くには、ちょっとホラーな道標も

羅漢寺山羅漢寺山

この辺りには、ホントに懇切丁寧に案内がありました。
……この辺りには、ね

羅漢寺山

太刀の抜き岩

羅漢寺山

あまり人が通ってないのかな?と思った辺り。ご覧のとおり、道がわかりにくいワケではありません

羅漢寺山羅漢寺山

車の通ったような跡もある、明るい広い道に出たかと思ったら、また暗い山道に逆戻り―――。印象の定まらない道でした

羅漢寺山羅漢寺山

左:見たことあるような気がするんだけど、何でしたっけ?/右:むくむくの殻にくるまった実。これも何だろ?(追:櫟(クヌギ)もしくはd(アベマキ)らしいです)

羅漢寺山

視界が開けて、かなり下のほうに舗装道路が見えました

羅漢寺山

この季節、花に逢えると嬉しいです(でも名前わかんない)

そんな道を下っていくと、やがて舗装道路に出ました。地形図だとこの舗装道路を横断して、また山道になるように読めるのですが、道路の向こうに入口が見当たりません。ので道標に従って道を右に取ります。きっともう少し先で、山道に復帰できるのでしょう。……が、しばらく歩いても、それらしき道は見当たりません。このまま舗装道路歩いていいの? ちゃんと長潭橋に着けるの?

羅漢寺山

舗装道路にぶつかる直前です

徐々に不安になってきて、地形図と地図を両方引っぱりだして見比べます。うん、地形図だと車道は横切るだけになっている。んで地図は……そもそも、車道が描いてない! もし地形図の車道を歩いているとすると―――長瀞橋までずいぶん遠回りするコトになりそうです。そもそも舗装道路に出たときの標識、なんて書いてあったっけ? 「迷ったときは引き返す」。もうかなり歩いてきてしまったけど、さっきの場所まで戻るコトにしました。下りなのでとっとこ歩いてきた道を、今度は登ってゆきます。

途中で脇道がないかどうか確認しながら道標のあった場所まで引き返し、やはり間違いはないのを確認します。でも距離とか時間とか書いてない。これが車のためのもので、歩行者にはショートカットの道があるんじゃないの? 今度は脇道を見逃さないように、また車道を歩きます。……ない。でも仕方ありません。道はどこかに続く。暗くなってもヘッドランプがある。車道にいるんだから、なんとかなる。……夕暮れを感じる時間で、自分が正しい道にいると確信できていないのは、かなり不安でした。

実は、計画を立てるとき、ヘッドランプ使うの前提で、ちょっと遅くの登り始めでもイイかな、とか思っていました。こうなって分かった。絶対、ムリ。いやそうゆう羽目に陥ったらガンバるしかないけど、白山から下りてくる道には、わかり辛い箇所もありました。ロープウェイで登れる山なんだから、きっと整備されているだろうと思っていたけど、甘かった。舗装道路でさえ心細いんんだから、山道はそれ以上に決まってます。どんな低山でも、特に、初めて歩く土地勘のない山は、舐めたらダメだ。改めて、痛感しました。

不安を抱えつつどんどこ歩いて歩いて歩いて。かなり経った頃、進行方向から何台か車がやってきました。ああ、人里が近いのかも! とどんどこ進むと―――道をフェンスが塞いでいます。ええええっ行止り? 反対方向に歩かなきゃいけなかったの? 愕然としながらもよく見ると、フェンスには扉がついています。そしてそこをくぐると、やっと、やっと、人里が見えました! よよよ良かった〜。

羅漢寺山羅漢寺山

左:舗装道路にぶつかったトコロにあった道標。ちゃんと「長瀞橋」と書いてありましたね〜/右:道をふさぐフェンスにぎょっとさせられました。鳥獣害防止のために設置してあるそうです

羅漢寺山羅漢寺山

左:人里に出られて、こんなにホッとしたのは初めてかも/右:ぶどうがたわわに実ってました。美味しそ〜

民家とぶどう畑を見ながらこの道を下っていくと、昇仙峡入口バス停の近くに出ます。つコトは、私、正しい道を歩いてきたの? どうも地図や地形図と違う気がするんだけど―――ねえココみんな、迷わないの? 迷うのは方向音痴な私だけ? 釈然としませんが、とにかく無事でよかったです。狙っていたバスにも、遅れずに済みました。やってきたバスは昇仙峡帰りの観光客でいっぱいで座れませんでしたが、駅まで30分くらいなので、そうツラくはありませんでした。

甲府駅からは、ビールを飲みつつ途中まで特急。後は電車を乗り継いで家に帰りました。紅葉も楽しめたし、山もなかなか面白かったです。最後の舗装道路ももうわかったし、今度は友達とのんびり行きたい山でした。

■昇仙峡口バス停(9:45)→昇仙峡滝上(11:21-11:45)→羅漢寺山登山口(12:13)→パノラマ台(12:52-13:00)→弥三郎岳(13:19-13:24)→パノラマ台(13:37)→白砂山(13:57-14:03)→白山(14:26-14:39)→獅子平分岐(14:47)→昇仙峡口バス停(16:00)

2009.10.31(Sat)_3

≪つづき≫

大黒屋のおばさんが「昇仙峡の紅葉はまだちょっと早いのよー。今見頃なのは荒川ダムの辺りね」と教えてくれたのですが、たしかに車道を登っていくに従って、紅葉も見応えあるようになってきます。舗装道路を歩くのはあまり嬉しくありませんが、車があまり通らないのはありがたい。歩道を歩くのも私1人だけなので、「夫婦木神社へ」の標識に従って、のんびりゆっくり登っていきます。夫婦木神社に着く前に分岐があり、そこから山に向かいます。

羅漢寺山へ羅漢寺山

左:色づいた木々を眺めながら車道を歩いて/右:ここから坂を登ります。「羅漢寺山」の道標あり

羅漢寺山

坂の途中で振り返ると、目の前にこんなカワイイ山が

とは言っても、まだ舗装道路だ……。立派な車道で、なんのために作られたモノなんだか理解に苦しみます。先がどこにも通じておらず、車も通らなくなったのですが、そろそろ舗装道路も終わろうかという頃、上からいきなり四駆の車が出てきてビビりました。車を予期していない場所で、1人で歩いているときに車に遭うのって、怖いです。ドキドキしながら車をやり過ごし、未舗装の、林道のような幅広い道に入ってしばらくして、やっと落ち着きました。

羅漢寺山羅漢寺山

左:登ってきた立派な舗装道路/右:未舗装になっても車が通れそうな広い道が続きます

羅漢寺山

陽が差し込んで、いい雰囲気になってきました

木漏れ日の気持ちいい林道に入ったかと思うと、すぐに前方が賑やかになってきます。ロープウェイの山頂駅かな?と進むと、八雲神社の裏手に飛び出しました。右手には「約束の丘」とかいう展望の良さそうな高台がありましたが、スルーして一路、ロープウェイに向かいます。ナゼかというと、このとき、とーっても!……トイレに行きたかったから。ホッと一安心してからやっと、駅の周囲の和合権現(あまりご利益に預かれそうもない)やパノラマ台を見て回りました。パノラマ台からは富士山や南アルプスを一望できるそうですが、この日は遠くが霞んでしまって全く見えません。残念!

さあて。では、羅漢寺山の最高峰の弥三郎岳に行くとしましょう。あ、ちなみに羅漢寺山というのはパノラマ台(金剛ガ峰)、展望台(鷲ガ峰)、弥三郎岳の3つのピークの総称だそうです。中でも一番高いのが、1,058mの弥三郎岳です。ロープウェイ駅から弥三郎岳までは、今まで1人きりだったのが嘘のように賑わっています。ちゃんとした登山靴を履いている人なんて、1人もいません。まぁたいていの人はスニーカーだったのですが、でも中にはヒールのあるブーツ姿の女のコや、ローヒールを履いた女性も……。

パノラマ台周辺や、途中の展望台までならいいのです。道も広いし、そんなに傾斜もありません(それでも、腰が引けてる人もいましたけど)。途中、弥三郎岳らしきピークに人がいるのが見え、その先は道も細く急になります。岩に刻まれた階段を登ったりもします。この辺ではヒールのある靴を履いたコがきゃーきゃー言っていて、見ているこっちが怖いくらいでした。だって弥三郎岳の上って、つるっと丸い卵みたいな一枚岩なんですもん。私、真ん中にしかいられませんでした。端に行ったら落ちてしまいそうで。

羅漢寺山

こんなにしっかり刻まれた段差でも、ヒールでは怖いみたいですぞ

羅漢寺山羅漢寺山

左:山頂。巨大な卵に乗ってるみたいでしょ?/右:登ってきたところを上から。つるんと落ちてしまいそう

山頂からもやっぱり遠くは見えませんが、でも荒川ダムも含め、見えている近場だけでもなかなかの眺めです。しばし眺めを楽しんでから、さあパノラマ台まで戻りましょう。おっと、来るときは人がいてスルーしちゃった弥三郎権現に寄らなくちゃ。ここは酒造りの名人、弥三郎を祀る祠だそうです。由来(酒での失敗が多く諫められ、禁酒を誓って、その夜に天狗になってしまった)も書いてありましたが、どうして酒の神さまとして祭られているのか、今イチよくわかりませんでした。

羅漢寺山

山頂からの眺め その1:荒川ダムが見下ろせます

羅漢寺山

山頂からの眺め その2

羅漢寺山羅漢寺山

左:一応(^^;/右:山頂近くの低木がキレイに色づいていました

羅漢寺山羅漢寺山

左:弥三郎権現。禁酒もできないくらい酒好きだったから、酒の神さまになったってコト?/右:戻ったパノラマ台駅。観光客で賑わっています

羅漢寺山羅漢寺山

左:ロープウェイがお客をたくさん乗せて登ってきました/右:パノラマ台駅近くの八雲神社

パノラマ台から、「白砂山へ」の道標に従い、細い道に入ります。いきなり、細すぎです。おまけに暗くて、誰も歩いていなさそうです。賑やかな場所からいきなり寂しくなったせいなのか、賑やかな場所を避けた熊がこっちにいそうな気がして、急に怖くなってきました。まだ頭上からは楽しげな声が聞こえてきますが、りんりんと熊鈴を振り鳴らして歩きます。薄暗い林の中を下っていくのが、えーん、心細いよう。

羅漢寺山羅漢寺山

道標に従い、細い道を下って行きます

羅漢寺山

写真で見ると、なんであんなに心細くなったかわからないんですけど

羅漢寺山

暗くもないし、気持ちよさそうな道じゃん!

羅漢寺山羅漢寺山

左:この道の案内表示にはかわいいイラストが描いてありました/右:木が邪魔ですが、イラストと同じ形の鞍かけ岩。わかりやす〜い!

途中、ルートから外れて白砂山を往復します。薄暗い斜面を一登りすると花崗岩の白い山頂に飛び出します(て、どこが山頂だかよくわからなかったのですが)。さっきまでいた弥三郎岳の全体が間近に見えるし、弥三郎岳と違って誰もいなくて静かだし、のんびり落ち着いてもイイ山頂なのですけど、さっきの心細さがまだ尾を引いていたのか、風景だけぐるっと見ただけでそそくさと山頂を後にしました。

羅漢寺山羅漢寺山

左:分岐から、ちょっと寄り道/右:この辺りが山頂かな?

羅漢寺山羅漢寺山

左:ロープをかけるのにちょうど良さそう/右:さっきまでいた弥三郎岳

羅漢寺山

弥三郎岳、ズーム。人がいるの、分かります?

羅漢寺山

来た方を振り返るとこんな感じ

羅漢寺山

名前のとおり、白い砂(花崗岩?)の山でした

≪つづく≫

2009.10.31(Sat)_2

≪つづき≫

天鼓林のちょっと先、“愛のかけ橋”を横目で睨みつつ通り過ぎ、有明橋にやってきます。橋には、そこから羅漢寺までハイキングコースがある、と書いてありました。全然予定はしていなかったし、昇仙峡にかかった時間によってはこの先ショートカットもあり得るという状況なのに、ふらふらと橋を渡ります。渡った先は、細い山道。ん〜やっぱ、こうゆう道がいいわあ。ふと気付くと、道を踏み外しでもしようものなら渓谷まで落ちちゃいそうな箇所もあり、ぷらぷら気分を引き締めます。が、予想以上にあっけなく、羅漢寺の裏手に出てしまいました。

昇仙峡昇仙峡

「ちょっと寄り道してみませんか」の看板に誘われ、有明橋へ

昇仙峡

渓谷道路も悪くなかったけど、こうゆう道に入るとホッとします

このお寺には、五百羅漢さまがいらっしゃいます。ただし、後で写真を見せたら「トイレ?」と聞かれたような建物の中です。入口にガラスの扉が嵌っていて、覗き込むと中に並ぶ像がぼんやりと見えるだけ。山形県指定有形文化財の木造五百羅漢像154躯と木造阿弥陀如来像は、どちらも室町時代の彫刻だそうで、そりゃすごく貴重で警備とか保存とかいろいろあるんだろうけど、もうちょっと、風情が欲しいなあ。

昇仙峡昇仙峡

左:五百羅漢堂ですが、どう見ても……ねえ?/右:羅漢寺の山号額

昇仙峡

雨ざらしの石仏さまのほうが、よほどいい表情を見せてくれました

昇仙峡

鮮やかな紅葉をバックってのもイイですねえ

昇仙峡

葉が色づく途中の、この絶妙な色バランス!

お寺の前の羅漢寺橋を渡って渓谷道路に戻り、少し歩くと馬車乗降場があって、そこで歩行者専用道路は終わりです。グリーンラインバス停で降りると、この辺りに出るのかな。土産物屋さんが並び、人通りも少し増えてきました。なのにその賑やかな道に、この日はじめて目にする「熊注意」の看板が。よく見ると、目撃情報の日付が近いです。うわー。よ、よかった、熊鈴持ってきてて。観光地っぽいからいらないかな〜とも思っていたのよね。

昇仙峡昇仙峡

左:羅漢寺橋/右:こちらでは白い馬が待っていました

昇仙峡昇仙峡

左:空に向かって伸びる、真っ黄色の銀杏がとても目立っていました/右:今年の9月20日ですってよ……

高さ180mもあるという覚円峰(澤庵禅師の弟子、覚円が頂上で修行したといわれているそうな。説明文丸写しです)が聳えて見えたのも、この辺りじゃなかったかな。気持ち良さそうなお茶屋さんもありましたが、ここでは草もちを買うだけにして、先を急ぎます。また車は通れない遊歩道になって、巨大な花崗岩で出来た石門をくぐると、見えてくるのが仙娥滝。さすがに滝の前の道には人だかりができていました。そこから階段を上がると、お土産物屋や食堂が立ち並ぶ、賑やかな広場に出ます。私もここでお昼をと、ほうとうのメニューを出しているお店に入りました。

昇仙峡

昇仙峡の主峰、覚円峰。どーんっ!

昇仙峡

場所を変えてもう1枚

昇仙峡

この辺りは陽当たりもよくて、散歩にぴったり

昇仙峡

遊歩道、こんな感じでついてます

昇仙峡

石門。花崗岩でできているそうです

昇仙峡

かがまないと通れない、こんな箇所もありました

昇仙峡

仙娥滝。虹が出てるの、わかります?

昇仙峡

もう1枚

昇仙峡昇仙峡

左:階段を登りきったトコロにある鳥居。神額には「金櫻神社」とありました/右:パワーストーンを売る店が並んでいるせいか、願いを叶えてくれるという「天幸五龍神」像がありました。「猜疑心を捨て、信ずる心でお願いをして下さい」と言われても……

昇仙峡昇仙峡

左:シンプルなほうとう。700円也/右:入ったのは大黒屋滝上店。窓から入る風が気持ちよかったです

ほうとうが出てくるのを待つ間に地図を広げて確認すると、やはり地図のCTはおかしいようです。うん、これなら予定どおりに歩けそう。とりあえず歩いて登って、もし時間がキツくなりそうだったらロープウェイで下りちゃってもイイんだし。はふはふーと熱いほうとうをいただき、さあ、いよいよ山ですよー。とは言っても、ここからしばらく車道歩きです。ちょっと気になる夫婦木姫の宮や山梨ワイン王国は、残念ながら今回パス。いつか友達と、昇仙峡メインで来るコトがあったら寄りたいな。

昇仙峡

道から見上げた姫の宮

≪つづく≫

2009.10.31(Sat)_1

この週末は当初、瑞牆山を予定していました。富士見平小屋にテントを張って、2日目に黒森ルートからぐるりと回る予定でした。が、どうにもこうにも日曜の天気予報が悪すぎる。メインで歩く日が雨で、しかも岩々の山ってのはムリでしょう。公共交通機関利用だと金曜日に移動ってのもムリ、前後の予定も埋まっていて日程変更もムリ。絶対に紅葉の時期に行きたいこのルートは、もう来年以降のお楽しみにとっておくしかないでしょう。

でも、土曜日は晴の予報が出ています。どこか日帰りで行きたいなあ。せっかくなら紅葉も楽しみたいなあ。ネットの紅葉情報を見ていると、まず目に飛び込んでくるのが「昇仙峡」です。昇仙峡かあ……名前は知ってる。でも、どこ?(←地理音痴)。地図を広げてみると、おお、山梨か。さらに近くにお山もあります。羅漢寺山。……らかんじやま? 聞いたコト、ないなあ。しかしググればすぐにレポが読めるのが、ネット社会の便利なトコロ。どーれどれ?

おお、気持ちを低山まったりモードに切替えれば、なかなか面白そうではないですか。昇仙峡は混むかもしれないけど、山と絡めたら静かなパートも楽しめるでしょう―――て、山頂までロープウェイでいけるのか! それじゃ、山も賑やかかもなあ。まぁ他に案もなし、地形図をプリントアウトして予定時間を書き込んでいきます。……と、え? 昇仙峡を先にして途中でお昼を食べるとすると、羅漢寺山登山口から登り始めるのが13:40? 低山とはいえ、これはちょとマズくない? しかし山と高原地図(2008年版)のCTに従うと、そうなってしまいます。

うーん、うーん。でもなあ。観光地エリア(昇仙峡)を後にすれば、多少遅くなっても安心だろうけど、でもやっぱり混んでる部分を先にしたい。それに渓谷を歩くのは、上流に向かっていくほうがいい気がする。なんとなく。それに地図の、昇仙峡口バス停からグリーンライン駐車場までが1:40というCTは、おかしくない? 昇仙峡のHPではさらにその上の仙娥滝までで1時間半になっているよ? さんざん迷ったあげく、やはり昇仙峡から歩き始めるコトにしました。ロープウェイって奥の手もあるコトだしね!

さて当日はピーカン(て、死語?)の日和。朝早くに家を出て、電車を乗り継ぎ乗り継ぎして向かうは甲府駅。出発時にはまだ山を先にするプランも残ってましたが、車窓からの風景で「今日は遠くは見えない天気」と判断し、やはり昇仙峡を先に回るコトにしました。改札外の観光案内所で昇仙峡のイラストマップをもらい、混みあうバス停に向かいます。一番の見所、仙娥滝に近いグリーンライン駐車場で降りる人たちの群が先発のバスに消え、残った私らはちょっと遅れた次のバスで出発。全部歩く場合は、昇仙峡口かもしくは天神森バス停で降ります。運賃は570円也。

私は列の先頭のほうにいたので、難なく席を確保し30分。昇仙峡口でバスを降り、まだ開いていない土産物屋の立ち並ぶ道を、長潭橋(ながとろばし)に向かって歩き始めます。長潭橋は思っていたより、小ぢんまりしていました。紅葉は、ところどころに色付いている木もある程度で、まだちょっと早いかなー。橋を渡ったたもとには、馬車が停まっていました。へえ〜。土日の渓谷道路は歩行者専用と地図にありましたが、馬車も通るようです。

昇仙峡

長潭橋。記念写真の撮影ポイントですね

昇仙峡

力のありそうなたくましい足のお馬さん

昇仙峡昇仙峡

左:歩き始め。舗装道路ですが車がこないので、なかなかいい雰囲気です/右:渓谷の上に伸びた枝は、ほんのり色づき始め

ここからは、いろんな名前のついた岩を探しながら歩きます。地図には、投げ出したくなるくらい名前がずらっと並んでいますが、道路にもいちいち看板がありますので、地図がなくても大丈夫。なるほどね〜な形の岩もあり、え?どこをどうしたらそう見えるの?って岩もあります。途中の、天鼓林(地面を踏むと鼓のような音が聞こえるそうです)辺りの紅葉はとてもキレイでした。ゆっくり休めそうなテーブルもいくつかありましたが、日陰だったので今の季節はちょっと寒いかも。

昇仙峡昇仙峡

さあ行くぞ〜。想像力をたくましくて見てください。まずは左、「亀石」。右は「オットセイ岩」。う〜ん、写真じゃよりキツいなあ

昇仙峡

大きめの岩がゴロゴロあるので、名前つけ放題

昇仙峡昇仙峡

左が「大砲岩」(たぶん)。右は「トーフ岩」。矢印があっても、ときどきどの岩を指しているんだかわかりません

昇仙峡

紅葉の造形って、なんでこんなに見事なんでしょう……

昇仙峡昇仙峡

左が「猿岩」。右の「らくだ石」は波打ってる辺りがラクダの背中?

昇仙峡昇仙峡

「富士石」は―――これ? それとも、あっち?

昇仙峡昇仙峡

左が「熊石」。これは納得。右の「猫石」は……う〜ん?

昇仙峡

それしかないってネーミングの「大佛岩」。だって光背まであるんだもの

昇仙峡

岩ばかりじゃなくて、紅葉もね

昇仙峡昇仙峡

左が「松茸石」で、右は「ハマグリ石」

昇仙峡昇仙峡

左が「ふぐ石」。うんうん、ふぐっておちょぼ口がカワイイんだよね。右の「五月雨岩」は……これで、合ってる?(自信なし)

昇仙峡

昇仙峡

ああ、気持ちイイなあ

昇仙峡

天鼓林の辺りは、木々の葉がまとめて赤く染まっていました

≪つづく≫

2009.10.28(Wed)

公開初日にUを誘って、『THIS IS IT』を見に行ってきました。6月に彼の訃報を聞いたときはそりゃショックではありましたが、正直言ってマイケル・ジャクソンは私の中では終わっちゃってた人で、最後のコンサートがもしワールドツアーだったとしてもチケットを取るために努力なんかしなかっただろうし、今回映画館に足を運んだのも、変な言い方ですが“昔あんなにハマった人への義理立て”みたいな感覚で、でした。

なのに映画が終わった途端、Uと顔を見合わせて、「惜しい人をなくした……」「マイケル〜、なんで死んじゃったの〜!」と嘆きあうコトになろうとは、ホントにホントに予想外でした。考えてみりゃ、歌ったり踊ったりしているその時現在の彼の姿を、私たちは何年も何年も見ていなかったのでした……。同じように感じた人が多いのか、開場前は閑古鳥だった映画館の売店に、終わった後はMJグッズを求める人で長蛇の列ができていましたよ。さもありなん。やっぱ凄い人だったよ……。

彼と一緒にステージを作り上げようとしていた人たちの映像も、たまりませんでした。MJの訃報を、彼らはどう受け取ったんだろう。MJにステージをやり遂げる体力・気力があったのかどうかは知る由もありませんが、でもあんなに一生懸命リハを重ねていた人たちに、あんなに初日を楽しみにしていた人たちに、1度だけでも舞台を踏ませてあげたかった。

―――公開中に、もう1度見に行こうかな。

2009.10.26(Mon)

フィギュアスケート、グランプリシリーズのロシア大会。今回はちゃんと全部見ましたよ〜(大会のほんの一部だけの、放映された分はな!)。小塚崇彦はグランプリシリーズと相性がいいのでしょうか。久しぶりに、彼の会心の演技を見れた気がします。特にフリーの演技は良かったな〜。

ショートはノーミスで、プルシェンコの点数を上回れなかったときは「ちょっとプルシェンコへのそれ、復帰のご祝儀点数なんじゃないの?」と思ったくらい。ただ、フリーの演技見ちゃうと、プルシェンコの優勝には納得せざるを得ませんでした。小塚くんも良かったけど、プルシェンコはもっと良かった。あの憎たらしい終わり方見たら、ひれ伏すしかないんじゃないでしょうかねー。あと佐野稔が面白かったです。彼の解説、好きだなあ。正直で。

女子では、安藤美姫がやっぱり良かった。演技力でまた一皮むけた感があります。特にショートの『レクイエム』は素晴らしく、直前にプログラムを変えたなんて言われなきゃ分かりませんでした。フリーも、以前の彼女だったら力みすぎちゃうんじゃないかってテーマの『クレオパトラ』を、上手に品よくまとめていましたね〜。ところでアメリカのアシュリー・ワグナーとアリッサ・シズニーは、系統が同じじゃありません? フリーでシズニーが出てきたときに(あれ? さっき滑らなかったっけ?)と思っちゃった。

ロシアのアリーナ・レオノワには今年も注目です。一番の魅力はなんといっても、ジャンプが成功したときのはじける笑顔。見ているほうまで楽しくなってくる、そんな演技ができる選手で、ノったときが怖いです。浅田真央はねえ。ああいうのは見ていてツラいなあ。勝って当たり前と思われるプレッシャーなんて想像もできないけど、どうかどうか、立て直してきてくれますように。審査員も彼女に対しては期待値高すぎなんでは? と思いますよ。ほかの選手が失敗したときよりも厳しい気がする。

エキシビションは、楽しかったです。ジョニー・ウィアーなんて、普通で見たらそんなに美男子だと思わないけど、氷上ではホントにプリンスになるから不思議。あそこまで酔われちゃ、こっちもうっとりするしかなくなります。あと彼の体のバランスはすごくキレイ。だからポーズがいちいち絵になるんですね。

小塚くんのプログラムも良かった。前シーズンの、ちょっと照れながら踊る彼も好きでしたけど、今シーズンはちょっと遊ぶ余裕まで感じます。いいねー。安藤美姫のセクシー路線も(おおっ)な感じ。これまた照れずに演技できるようになったんですねぇ。今大会の安藤美姫は、ショート・フリー・エキシビションと全部雰囲気が違って、しかもどれも良かった。嬉しいです。

さあ次は中国大会。鈴木明子が楽しみです。

2009.10.24(Sat)

ムラマツエリコさんとなかがわみどりさんのユニット、『k.m.p.のぐるぐるノート。』読了。以前から彼女たちの本を読むたびに、ちょっと(う〜ん?)と思うコトがあったのだけれども、この本でなんとなく、その微妙に私を逆なでするものの正体が、わかった気がする。彼女たちの本、楽しい部分も多いし共感できる部分やすごいなと思える部分もあるんだけど、でもナゼか諸手を挙げて歓迎はできない。それはたぶん彼女らの“壁”を感じるから。“私たち”と“世間の人たち”で分けられてしまうと、読者である私は後者の役割を、勝手に振り当てられてしまうから。

んで何で“分けられている”と感じるかというと、彼女らのぐるぐるのかなりのウェイトを「わかってもらえない」ってのが、占めているからじゃないかと思う。でも―――わからないよ。だって言ってくれないんだもの、と、何の関係もない私が言いたくなる。例えばこの本の「かわいそうな人たちと思われちゃう」って話も、それは彼女たちがそう思わせたからでしょ?

たしかに「謙遜のしすぎはよくないと思い知った」とは書いてあるけど、でもあの描き方じゃ、相手が早とちりで誤解をしたみたい。「そんなに気楽なもんじゃないけど、うん、でもやっぱ楽しいかな」と言えばそれで、済む話なんじゃないの? ぐるぐるしてないで。話せば全てわかるなんてのは幻想だけど、でも話してわかるコトだってたくさんあるし、だいたい話しても分からない人に話さないで通じるハズがないよ。

“私たち”と“世間の人たち”の行動への評価も、ダブルスタンダードに思える。そりゃあるよ? わかるよ? 自分が説明に労力裂くのはメンドくさいけど相手にはちゃんと説明して欲しいとか、つまるところ「私はあなたに気を遣わないけど、あなたは私に気を遣って優しくして欲しい!」な感じの要求は。だけどそれを(あ〜甘えちゃってるな、わたし)と自覚しているかどうかが大事で、どうも彼女たちは無自覚なんじゃないかと感じてしまう。自分たちの言い訳は「相手を思いやってのものだからOK」で、相手の言い訳は事情を斟酌しようとしないトコロなんかで。

て、実際のやり取りみてるワケじゃないから、同じ言い訳でも全然違うのかもしれないけどね。でもそうだとしても、それがk.m.p.のお二人の描き方からは伝わってこない。そう……どうも表現を仕事にしているにしては、彼女たち、伝えるのがあんまり上手じゃない気がする。その不器用な感じが彼女たちの持ち味だと思うのに、それを棚に上げて「わかってくれない」と言われてもねえ。だって―――彼女らのいう「ぬるい共感目当てのコミックエッセイ」と彼女たちの本との差が、私にはわかんないんだもん。

具体例挙げてないからホントには比べられないけど、そんなのが世に溢れてるような口ぶりからすると、きっとそのうちの何冊かは読んでるよね、私? 彼女らがどんなに真剣にテーマを決めて深いコトを伝えようとしていても、結果にそこまで明確な差が出ているとは思えないなあ。彼女らのいう「浅い、ただの生活エッセイ」だって、作者は本当は何かを伝えようとしているのかもしれないよ? ただ伝え方が下手なだけで。相手の言い回しで、相手が思ってもいない(かもしれない)コトを想像して傷ついているワリに、その辺は想像しないのかしら。

どうも彼女らのぐるぐるの大半は、空回りに見えて仕方ないのでした。それはさぞかし、疲れるだろうなあ。

2009.10.22(Thu)

ずいぶん長いこと一緒に潜っていないUと潜りたく、週末に休みの取れない彼女に合わせて木曜日の今日、伊豆に行ってきました。Uは車、私は電車での伊豆入りです。6時前に家を出たときはまだ暗く、途中の電車の中で日の出を迎えます。ああ、日が短くなったなあ〜。夜まではすっきり秋晴れ、の予報のとおり、キレイな青空が広がりそう―――と、この時は思っていました。いつもの駅でSさんに迎えてもらってショップに行くと、Uが無事に到着していました。ゲストは私ら2人だけで、貸切です。

今日はどこでも潜れるよと言われ、相談した結果、先週も良かったという海洋公園をリクエストしました。途中でお昼を買って着いた海洋公園は、がらがら〜。うわ、平日ってイイなあ! 季節的にもドライが増える頃合ですもんね。あ、私も今回からドライです。結局今年は伊豆では3回しか、ウェット着なかったよ……。ドライに苦手意識持ってた頃は、多少寒くてもウェットで11月頃まではガンバったんだけどなあ。

常連2人だけなので、準備を進めるのも手馴れたもの。ブリーフィングだって「残圧70になったら教えてね」だけです。コースも「とりあえず2の狙い。入ってみて流れがあったら1の根辺りで遊ぼう」とざっくり。生物の狙いも「群がいるといいね〜」くらいで、海に向かいます。凪ではないですが、心配するほどでもない、そんな波。エントリー口でも並ばずに済むのは嬉しいですねえ。

水に顔をつけた瞬間、ヒンヤリとしました。水、けっこう冷たいかも。それでもやっぱりドライは偉大です。冷たいのは手と顔だけで、体はしばらく陸での熱を保っていられました。水は……なんか、緑だ……。浮遊物も多いし、ちょっとうねりも入っています。う〜ん残念。秋のブルーを期待していたんだけどなー。

それでも予定を変更するほどの海況ではなく、水深5mくらいで2の根に向かいます。うん、見えなくはない。5mの位置から、一応海底も見えている。キビナゴらしき大群も見えます。クリアな水だと空を飛んでいるようでホントに気持ちいいのですが、まあ海に文句を言っても仕方ない。今の状況を楽しむとしましょう。

2の根には「え? もう?」ってくらい、あっさりと到着してしまいました。ずいぶん久しぶりに来たけれど、こんなに近かったっけ? と思いながら、さあ2の根の上で遊ぼうと泳ぐのを止めた途端……流されそうに、なりました。今まで流れに乗っていたから全然気付いていなかったけど、実は流れている? 激流ってワケじゃないのですが、ドライなのでかなり体が引っぱられます。根の上にいるキンギョハナダイたちも一方を見て必死に泳いで位置を保っています。こうゆうの、けっこうシャッターチャンスなんだけど、自分のほうも安定しない〜。

どうにかこうにか岩を掴み体を落ち着かせ、岩の隙間を覗きこんで生き物を探していると、大きなイソギンチャクエビが見つかりました。なんだか今年は多い気がするなあ。しかも大きい。でもとりあえず写真を……とカメラを構えると、視界の隅でピンクの何かがふっと動きます。藻かと思ってスルーしてたそれ、よく見ると目がついている。タツノイトコかな? Uも呼んで写真を撮っていると、Sさんがやってきて「ホソウミヤッコ?」とスレートに書いてくれました。

2の根に来ると、根を乗り越えてドロップオフしてるほうに下り、先端を回るようなコースを取るコトが多いのですが、流れがあるせいで今日は大人しく来たほうの斜面で深度を下げます。向きを変えると流れに逆らう形になるので、なかなか前に進みません。行きはよいよい帰りは怖いの、あまり嬉しくないパターンです。あまり体力を使わないよう、岩を伝うようにしてずりずりと進みました。昔はここでガンバって泳いで、エアを無駄に消費したりしていたなあ。ホント、ダイビングって慣れれば慣れるほど体力使わなくなります。痩せないハズだ!

最初のうちはけっこう流れを感じましたが、ホッとすることに半分を過ぎた辺りから、だいぶ流れが弱くなってきました。この辺りでイワシの稚魚の群に巻かれます。群がいっせいに向きを変えるたびに、ぱーっと銀色が光るこの景色。迫力です。ホソウミヤッコの、今度は茶色バージョンをSさんが見つけてくれ、イソギンチャクエビをもう何匹か、これは自力で見つけました。あと見たのはオハグロベラ(♀)の縄張り争い。繁殖シーズンにオスがよく闘っているけど、メスのケンカは珍しいそうです。

最後にオクリダシの入江で、さっき見たのよりもうちょっと大きなイワシの群にアタックしてくるイナダを見ることができました。しかしアタックして成功しているの、見たことないなあ。あれで捕まるイワシがいるのかしら。なんだかとっても効率悪そうな狩に見えてしまいます。あと最後の最後、エキジットロープの脇にはカゴカキダイが1匹だけいました。人がいないので波の合間を見計らってスムーズにエキジット……すると、海に入るまでは気持ちよく晴れていた空が(多少雲はありましたが)、どーんよりと曇っていました。えーっ、今日は夜までは晴れって言ってたのに!

日差しがないとちょっと寒いくらいの気温だったので、ぬくぬく着込んで(着替えはやっぱりドライだと楽)、食事で中からも体を温めます。海の話やらなにやらかにやらお喋りしながらの〜んびり過ごし、2本目は砂地から1の根に行くコトも決めます。クエ穴の付近にピカチューがいるそうなんだけど(冬の生き物のイメージがあるので意外)、「何度か探したんだけど見つからないんだよね〜」とSさん。……うん、Sさん、あまり運がないものね? じゃあさくっとだけ見て、いなかったら仕方ないってコトで!と、海に入ります。

お、水がちょっと良くなったかな。さっきよりは浮遊物が減って落ち着いた気がします。んではまず砂地に下りて、Uのお目当てのジョーフィッシュに逢いに行きましょう(とは言っても、まだとても小さくて臆病なので、これも逢える確率は低いという話でした)。砂地に下りてすぐ、岩場と砂地の境目くらいでSさんがカミソリウオを見つけてくれます。ペアだし、他に人もいないし、色も赤でフォトジェニックなのに、うねりで右に左に揺れるカミソリウオに、なかなかピントが合いません。

四苦八苦して振り返ると、その先に石で作ったサークルが見えます。おっあそこだなジョーフィッシュは……と思いましたが、なんとサークルの中で数匹のヒメジが這いずり回っているではありませんか。臆病なジョーフィッシュが、こんな状態で顔を出しているハズがない……! 残念ですが早々に諦め、途中でネンブツダイやスズメダイの群を眺めつつ、次はクエ穴に向かいます。穴でナミマツカサを見た後、Sさんがピカチューを探してくれましたが、案の定見つかりませんでした。ご縁があれば、また今度。

その後は浅瀬に移動し、安全停止がてら遊んでエキジット。50分を超えるダイビングだったので、最後のほうはかなり寒かったです。つか、水温19度ですよ。10月なのに! 寒い寒いと言いながら乾いた服に着替えて(やっぱドライで正解でした)、テーブルで簡単にログ付けをしちゃいます。売店も覗きに行ったりして(私はタラコ唇のコケギンポ財布を購入。カワイイ)、好き勝手にのんびりさせてもらってから、ショップに戻りました。

ショップで器材を洗って干して、今日撮った写真を確認してログを完成させ、Uの車で帰路につきます。助手席に座るの久しぶりだったけど、Uの運転は何度か1人で来てるだけあって危なげなく、ほとんどするコトありませんでした。平日なので渋滞もなかったしね。Uの自宅近くまで戻ったトコロで夕食休憩を入れ、駅まで送ってもらってお別れ。久しぶりにUと潜れて嬉しかったけど、なんだか今度はドライブに行きたくなってきちゃったぞ?

脳の90何パーセントだかが欲望でできているTo-ko、留まるところを知りません。

2009.10.19(Mon)

スケートシーズンが始まりました。ぱふぱふー。しかもグランプリシリーズ最初のフランス大会で、私のお気に・織田くんが優勝!―――したらしいのに、見てません(orz)。放映情報はキャッチしてたのに、すっかり忘れてた……。どこかに出かけていたワケじゃなく、覚えていたら見れたのがまた悔しい。私が気付いたのは、男子が全部終わって女子のフリーが始まるトコロ。せめて、キムヨナのショート、見たかった……!(←ダイジェストで流れた限りではとても好みっぽかった)。

女子のフリーで言えば、今回のプログラムは私は浅田真央のが好きだなあ。キムヨナは演技力あるんだから、もっとドラマチックなのにすればイイのに。あとショートで2位、総合でも3位につけたのに、今朝のニュースでは一言も触れられていなかった中野友加里。不憫だ……。私はもともと彼女が好きなのだけれど、今回のプログラムの火の鳥は、彼女にぴったり。特に昨日の演技はスピード感あって、今までの彼女にはない迫力だったよ。ドーナッツスピンだけでなく、もっと彼女に注目しようよぅ。

んで今日は、エキシビション。キムヨナの演技はいいなあ〜。そうなの、私が彼女に求めるのはこうゆうのなの。おまけに抜群の安定感。素晴らしいです。ただファンの勝手な感想としては、真央ちゃんとあまりに差がついてしまうのもツマラないです。追いつ追われつの関係がいいよねえ(TVで見る限りではそんなに差がついているとは思えないんだけどなー。生で見るとまた違うのかしら?)。

真央ちゃんの演技も、好き。ここ数年でかなり表現力をつけてきた彼女ですが、ショートやフリーのときもエキシビションみたいに表情が出たら、もっと点数伸びると思うんだけどなあ。プレッシャーが全然違うんだろうけど、でもそこは演技力で! 中野友加里のは、ちょっと今イチでした。内容がどうの、ではなくて、彼女の雰囲気にあんまり合ってると思えない。セクシー路線なら、もっと極めちゃってもイイんじゃないかしら。

織田くんの演技は―――微妙〜。彼のコミカルな演技はキライではないのに、今回のあれはオヤジギャグみたいな感じで、もうちょっとでスベっちゃいそうな気がするよ。うーんと楽しそうに滑るか、すごく真面目に滑ってるふりででもなんかおかしいってのが、いいなあ。今のはね「ほら面白いでしょう? 笑えるでしょう?」とアピールされてる気が、しちゃう。エキシビションではスケート技術はすごく安心して見ていらるので、その辺もうちょっと上手い演出ができればイイよねえ。

最後に。毎回毎回同じ文句をつけているから、今回はあえて言うまいと思っていたけど―――やっぱ言わせて。

日本人選手以外も映せ!

2009.10.12(Mon)_3

≪つづき≫

で、ですねー。この先がワタシ的にはちょっとミラクルでした。二里観音さまから先、道が良くなるのです。大きな段差も傾斜もない。ちょっと広い。ゆるやかな下り。先がちゃんと見えている。ので、いきなりスピードアップしちゃいました。二里観音からあまり遠くに行かないうちに、まず4人グループを追いつきます。……て、彼らは白泰山へ寄り道してたからなんですけど。分岐にザックが4つ、デポしてありました。私も時間の余裕があったら、とは思っていたのですが、余裕もないし、分岐の道標に手書きで書いてあるメモがあまり魅力的ではないのです。

旧秩父往還旧秩父往還

左:ザックを見て私も行こうかとちょっと迷ったのですが/右:「ヤブあり、展望なし、三角点あり」じゃキャッチーとは言えませんね

というワケで分岐を無視して先に進みます。やがて、今度は単独男性に追いつきました。後ろからの足音に振り返った彼が、私を見て「早っ」って言います。ふっふっふ、下り限定だけどねー。抜かさせてもらって、たかたかたかたか歩きます。下りとはいえ、テン泊装備でこれだけ早く歩けるってのは自分でもビックリです。アルプスでバテバテになったのも無駄じゃなかったのかも。それとザックの背負い方が、今回はちゃんとしていたのかも。

旧秩父往還旧秩父往還

低山みたいな雰囲気ですが、標高は1,700mを切ったばかり

旧秩父往還

紅葉のあるところも、

旧秩父往還

ないところも、のんびり穏やかな雰囲気

旧秩父往還

この辺りは緑一色で、まだ夏のよう

CT1時間20分のところを1時間に縮め、最後の一里観音さまに着いた時点で「間に合う!」と思いました。その先も順調に飛ばし(あくまで私基準では)、車道を横切って、植生林に入ります。もうゴールも近いか?と思われたのですが、意外にここからが長かった。まず林に入ってからしばらく、ほとんど標高が変わりません。あり? この斜面を下るんでないの? それに、また山道っぽい雰囲気になったり。へえ〜。なんだか面白いです。途中で、もう間に合うのは確定でしたので、両面神社にも寄ってみました。

旧秩父往還

最後に出逢う、一里観音さま

旧秩父往還

植林地帯に入ってしばらくすると、

旧秩父往還

舗装道路にぶつかります。ここは横切るだけ〜

旧秩父往還

後は下るだけかと思ったけど、あれ? 予想と違うぞ

旧秩父往還

東屋があったり。この辺りに「十二天尾根」の標識も

旧秩父往還旧秩父往還

左:鉄塔があると空が見えます/右:両面神社へ寄り道

旧秩父往還

旧秩父往還

両面神社の狛犬さまたち。狼なのかな?

旧秩父往還

お社はこんな

また車道に出るとすぐ、栃本関所跡バス停に到着です。CT1時間30分をまた20分縮めましたので、だいぶ時間の余裕もありました。関所跡を道路から覗いたり(観光名所っぽかったから見学できるのかと思ってましたが、鎖が張られていました。間近に見られる機会もあるのかな?)辺りをぷらぷらしているうちに、追い抜いた男性も到着します。間に合ってよかったですねえ、お互いに。13:44のバスの次は15:44。2時間の差は大きいです。

旧秩父往還

舗装道路をたったか下りて集落に向かうと、まず迎えてくれるのが、このキレイに積まれた薪の山

旧秩父往還

旧秩父往還

もっと間近に見たかったな〜。栃本関跡

旧秩父往還

周囲をぷらぷら。左の壁の内側が関所跡

ところでこのバス停、ナゼか土日の運行時間が全部、白く塗りつぶされていました。平日の時刻表はちゃんとしてるのに、ナゼ? まさか土日の運行シーズン終わっちゃったの? 一抹の不安がよぎります。事前に調べては来ていたけれど、HPの情報がちゃんとアップデートされてるとは限らないもんなあ。時刻表に書いてある「運行状況問合せ先」に電話してみようとするものの、携帯、圏外。―――使えねえ!(男性のは電池切れでした)。

こうゆうとき、私はすぐに不安になってオタオタしちゃうのですけど、おじさんは「来なかったら考えればいいよ〜」と余裕の構えです。おかげで私もちょっと落ち着き、バスもほぼ時間どおりにちゃんと来てくれました。heppocoさんのレポでは、ここから秩父湖まで“メロディバス”が走っている、とありましたが、この日来たのは普通のマイクロバス。関所を見に来たらしい女性が降り、空になったバスに私たち2人が乗り込みました。待っている間に車やバイクで観光客が来ていたけど、わざわざ見に来るには寂しいかもねえ>関所跡。

途中、秩父湖でバスを乗り換え、混み混みのバスでなんとか席をゲットして西武秩父駅へ。特急レッドアロー号の出発までにちょっと時間があったので、仲見世をうろうろしていたら、子ども歌舞伎が練り歩いているのが見れました。そして胡桃焼き鳥とビールを確保して、レッドアロー号へ。池袋駅まで、ビールを飲みつつ1人今回の旅を反芻して過ごしました。

西武バス

秩父湖までこのバスでした。ココで乗り換え

西武秩父駅

子ども歌舞伎

お疲れさま体力的にもそれほどムリがなかったし、それなりに長く歩けたし、天気はいいし道はいいし小屋はいいし、ホントに満足度の高い山旅でした。

■十文字小屋(6:18)→四里観音(6:45)→四里観音避難小屋分岐(7:10)→三里観音(8:34)→白泰山避難小屋/のぞき岩/二里観音(10:21-10:47)→一里観音(11:46)→栃本関所跡バス停(12:56)

2009.10.12(Mon)_2

≪つづき≫

林道は一瞬だけで、「白泰山・栃本」の道標に従い、またすぐに細い山道に入ります。この先ほぼずっと、道は北の斜面に作られています。陽はほとんど当たりませんが、この日は寒さを感じずに気持ちよく歩けました。三里観音さまのお顔を見たときは「やっと〜?」な気分です。まだまだ先は長いよぅ。

旧秩父往還

やっと、やっとの三里観音さま

道は細いけどしっかりしていて、迷うようなところはありませんでした。木々の間からは、ちらちらと迫力ある岩々の山が見えます。あれは十文字小屋のトイレからも見えた妙義山―――にしては近いから、両神山だったのかも。鍾乳洞入口(鍾乳洞はどこにあるのかわからず)の道標を過ぎ、道をふさぐようにしている倒木を跨ぎ越えて、先に進みます。足が短いとちょと大変。そんななんで、なかなかペースも上がりません。

旧秩父往還

岩に苔がついているのも、好き

旧秩父往還

北斜面の道はこんな感じ。落ち葉がもっと多いとわかりにくくなっちゃうかもだけど、赤テープはちゃんとついてます

旧秩父往還

木々の間から見える景色もなかなかです

旧秩父往還

どこに、入口?

旧秩父往還

岩々の山は両神山かと思ったのですが(それにしてもまだ近すぎか?)、全体が見えなくて分からない〜

旧秩父往還

足元の楽しみも忘れちゃいけません

道は尾根に乗ったり、南面に出たり。そのたびに景色が変わり、木々の色づきが変わり、足元の風景が変わりと、飽きている暇がありません。地図にある「岩ドヤ」とか「弁慶」ってのはこれかな?と、大きな岩が出てくるたびに思います。途中、四里観音避難小屋に泊まっていたという噂の4人グループが休憩をしているのに追いつきましたが、すぐに、歩きを再会した彼らに抜かされました。そしてそのちょっと後、白泰山避難小屋に辿りつきます。

旧秩父往還

北斜面から見える稜線はギザギザ

旧秩父往還

南斜面だとがらっと雰囲気が変わります

旧秩父往還

見える稜線もなんだか優しげ

旧秩父往還

両側から光の入る尾根はやっぱり気持ちいい

旧秩父往還

カワイイ ♡

旧秩父往還

これは「岩ドヤ」かな〜? それとも「弁慶」?(どっちも違うかも)

旧秩父往還

まるまるつやつやのドングリ

旧秩父往還

白泰山避難小屋。中は確認しませんでした

4人グループが小屋前で休憩していましたので、私はまず「のぞき岩」へ。ルートから外れてほんの1分ほどで、目の前がぱあっと開ける岩の上に出ます。うわあ! 岩の上では、十文字小屋泊の男性が休憩を取っていました。あれ? あまり差をつけられてはいなかったのかなあ? そのうち4人グループもやってきて、一気に岩は賑やかになります。見下ろす谷では、そこかしこにちょっとづつ色付いた木々がある程度でした。ここ、紅葉の盛りに来たらキレイだろうなあ。

旧秩父往還

よ〜し、のぞくぞ〜

旧秩父往還

雁坂嶺〜破風山〜甲武信ヶ岳の稜線を、雲が乗り越えてきています

あっと言う間に4人組は去っていき、私がお昼のパンを齧っている間に単独男性も出発します。わあ、貸切だあ。予定よりも1時間以上も遅れ、この時点でもう狙ってたバスはダメだろうなあと思っていたので、ほんの数分間ですけど静かな展望を独り占めして楽しみました。さてザックを背負いなおして小屋まで戻り、あ、そうそう、二里観音さまを忘れないようにしなくっちゃ! 見つけづらい場所にあるのかなあと思っていましたが、小屋のちょっと先の道端にちゃんといらっしゃいました。

旧秩父往還

よし! 人がいなくなった!

旧秩父往還

のぞき岩、独り占め(奥のザックがお地蔵さまみたい)

旧秩父往還

さあ、再出発。二里観音さまに別れを告げて

≪つづく≫

2009.10.12(Mon)_1

≪つづき≫

最終日は4時起き、6時出発の予定だったのですが、また寝坊しました……orz。アラームをセットした腕時計を顔の近くに置いておいたのに全然ダメで、起きたのは予定の15分過ぎ。前日みたいに1時間も遅れなかったのが救いです。

十文字小屋

5:37  昨日よりちょっと雲が多いかな?

十文字小屋

テント前の地面。真っ白に霜が降りていました

この日の朝食は……なに食べたんだっけ。スープパスタだったか、パンとスープだったか。なるべく急ごうと思いながらも、外が暗いうちはどうも動きがトロく、明るくなりだしてやっとエンジンがかかります。うっすら氷のついたテントをザックに押し込み(冷え込みは前日と同じくらいでした)、小屋に挨拶をして出発したのは予定ちょい押しの6:15。

十文字小屋

6:10  テントを張っていた場所から、出発前に最後の1枚

この日は旧秩父往還の信州路だという、栃本関所跡への道を辿ります。公共交通機関利用の身では、ウチから梓山へのアクセスがあまりにも悪く、往復とも梓山はキツいなあ〜と思って他のアクセスがないかを調べていたとき、十文字小屋のHPで紹介されていたこのルートを見て、西武秩父へ抜けられるなら、とその気になったのでした。でもこの道、人のレポで見たコトないなあ。通る人ってどのくらいいるんだろう? 長いし、荒れていたら怖いなあ。分かりにくかったりしないかなあ?

計画を立てながらもちょっと不安になっていた出発前、なんとheppocoさん栃本ルートのレポをUPしてくださいました! あまりメジャーなルートじゃないと思い込んでいたものですから、先を越された!と、ちょっぴり悔しいような気もしたのですけど、でも直前に歩いた方のレポは心強い! 出発前に無事完結編まで読み終え、二里観音を見逃さないぞ〜との決意を胸に、出かけることができました。ありがとうございます>heppocoさん。

前夜の小屋で、「この辺りは苔がキレイで嬉しい」と私が話していたら、みち子さんに「栃本に向かう道もスゴイよ」と言われました。その言葉どおり、最初っからムードたっぷりの道が続きます。陽はまだ低く、森は薄暗く、誰もいない。苔に覆われた平坦な地面に、細〜く道が伸びています。なんて静かなんでしょう。自然に顔もゆるみます。股の沢・川又への分岐の辺りで、四里観音避難小屋に泊まったというい男性とすれ違いました。他に4人グループも泊まっていて、彼らは栃本に向かったそうです。「追いつくと思いますよー」と言われたけど、私のスローペースじゃどうかなあ。

旧秩父往還

歩き始めから、いきなりこんな濃い雰囲気です

旧秩父往還

細い道のぎりぎりまで苔がもこもこ迫っていました

旧秩父往還

もっさもっさ。わっさわっさ。スゴいなあ

旧秩父往還

朝焼けの色の残る空に、ほんのり山々が浮かびます

旧秩父往還

写真の奥に分岐の道標。右は「股の沢・川又」。私は左へ

分岐のすぐ先で、の後、まずは四里観音さまに出逢います。そこからちょこっと下った辺りには、避難小屋への分岐。ここで上着を脱いで水分補給して―――と休んでいると、前の晩、十文字小屋に泊まっていた単独男性が追いついてきました。同じルートを辿る予定は聞いていたので挨拶をして、道がここからちょっと登りになっていたので、お先にどうぞと先に行ってもらいます。避難小屋もちょっと見てみたかったのですが、ルートから少し外れるようでしたのでパスしました。テン泊装備のときの登りは堪えるのが身に沁みているので、ゆっくり登っていきます。

旧秩父往還

苔の道の傍らに佇む四里観音さま

旧秩父往還

谷間には取り残された雲がまだ居座っています

旧秩父往還

この辺は岩峰が多いのかな。稜線の形が面白いです

旧秩父往還

ここらでちょっと一休み

旧秩父往還

落ちたの? 鳥か獣が落としたの?

旧秩父往還

今日も青空が広がってきたようです

旧秩父往還

落ち葉たっぷり、かさこその道

旧秩父往還

南斜面に道がついている箇所では日だまりハイクといった雰囲気

旧秩父往還

ほんのり紅葉

旧秩父往還

足元に目を向けても、紅葉が楽しめたりして♪

地形図では、この先いくつかの小ピークを踏んでいくように見えるのですが、実際の登山道は稜線から少し外れてついています。heppocoさんのレポで、二里観音さままでのCTがちょっと厳しいとは覚悟していました。一応13:44のバスを狙ってはいたものの、出発は遅れたし、私のほうが遅いだろうし、まぁ次のでもイイやな気分で歩きます。道が立派になったなあ〜と思うと、開けたスペースに出ました。地図で林道とぶつかっている箇所ですね。う〜ん、やっぱCTより遅れているようです。

旧秩父往還

人工物もちらほら見える広い道に出ると、

旧秩父往還

すぐに林道の終点らしき、広いスペースに飛び出します

≪つづく≫

2009.10.11(Sun)_3

≪つづき≫

三宝山でもちょこっと休憩をして、今度は下りにかかります。苔の森を下って下って下りきったトコロにあるのが、尻岩。んでここから、今度は武信白岩(ぶしんしろいわ)山に向かって登ります。この登りはそれほど長くもキツくもないので助かりました。岩にかけられた可愛らしい梯子を登ると、そこが山頂―――いや、ちょっと待て。目の前にもうちょっと高そうな岩場が見えますぞ? あっちが山頂なのかな? よくわからないけれど、ここも展望が良かったので、しばらく周囲を見回して楽しみました。

甲武信岳

三宝山を過ぎると、苔がいっそう深くなった気がします

甲武信岳

苔の間から針葉樹(樅?)の若木も伸びていました

甲武信岳

これだけたくさんあるうちで、大きくなれるのは1本くらい?

甲武信岳

「尻岩」のネーミングには、なるほど〜と納得。ここが甲武信ヶ岳と十文字峠のちょうど中間くらいです

甲武信岳

道は急に岩だらけになりました

甲武信岳

ここを登ると展望が開けます

甲武信岳

ちょっと先に目立つピークが。あっちのほうが高そうです

甲武信岳甲武信岳

左:通ってきた三宝山/右:こっちは破風山かな?

甲武信岳

三宝山から先は人も少なく、こんな展望を独り占め

甲武信岳

米栂(コメツガ)? 可愛い実がたくさんついていました

ここから下ると、道は小高いエリアを巻くように―――あれ? さっきの岩場にはいかないのかなあ、と思っていると、その岩場に向かいそうな道にロープが張ってあり、大きく×印がついていました。あっ、地図に「東側の岩峰は登山禁止」とあったのは、ココのことかあ。本来は東峰が武信白岩山の山頂なんでしょうし、気持ちも良さそうだったけど、危ないんだったら仕方ない。単独のときは余計に無理は禁物です。次の大山に向かいましょう。

甲武信岳

出ました、鎖場。難しくはないけど、気をつけよう

甲武信岳

進行方向右側(東側)が開けている箇所もあって

甲武信岳

こ〜んな風景が楽しめます

甲武信岳

こっちは両神山方面。しかし景色に見とれていると……

甲武信岳

踏み外してしまいそう! この高度感、わかるかな〜

三宝山を出てからこっち、ほとんど人に会わない静かな山歩きです。苔がふかふかに豊かなコトもあって、音が吸いこまれていくみたい。1人で歩いていると熊が心配でビクビクしちゃうときもあるのですが、ナゼかこのときはそうゆう恐怖はちっともなく(熊鈴は鳴らしてましたけど)、その静かさが楽しかったです。最後の登りをガンバると、そこが今日の最後のピーク、大山でした。これまた景色が楽しめます。なにより私1人の貸切なのがイイ!

甲武信岳

これから登る大山(…だったと思う)

前夜に小屋で皆さんと喋っているときに、「今まで登った中で一番好きな山」の話になりました。そのとき、お1人が挙げていたのがこの大山だったのですよね〜。なんでもそれが初めての登山で、大山からの眺めで「山っていいなあ〜」と思ったのだとか。それを聞いてから、私もこの山を楽しみにしていました。ああでも、その後いろんな山に登ってもココを選ぶというのは渋くていいなあ。静かで、気持ちのいい山頂でした。

甲武信岳

下に見えるは、昨日出発した川上村かな? と思ったのですが、方角を確認してないので自信はないです

甲武信岳

ぐるっと周りが見渡せる山頂でした

大山の下りにも鎖が出てきます。短いし、そう難しくもないのですが、疲れてきているので慎重に〜。その後は小屋まで、苔の気持ちいい道が続きます。小屋に帰着後、持って歩いていたのに使わなかったガスでお湯を沸かし、外の誰もいない静かなテーブルでコーヒー休憩をしました。うんうん、こうゆうのんびり時間が北アルプスのときには無かったのよ。ゆっくり飲んで、でもまだ日差しもあるし、展望台にでも行こうかな。おっとその前に、みち子さんに徳さんからの挨拶を届けなくちゃ。

甲武信岳

大山下りの鎖場。高度感を出そうと四苦八苦中

甲武信岳

下りてきた道を振り返ったトコロ。岩々です

甲武信岳

今日は十文字峠に帰りますが、明日はココから右に進みます

甲武信岳甲武信岳

左:ただいま〜〜/右:お疲れさま〜〜

……と、小屋に入ったのが失敗でした。「おかえり〜」と声をかけてもらって、徳さんの挨拶を伝え、今日歩いた道の話なんかをしていたら、薪ストーブの周りで既に寛いでいたお客さんが話に入ってきて、そのまま私も寛ぎモードに入ってしまい―――ええ、結局、展望台には行けませんでした。まぁ山頂でたっぷり展望を楽しんできた後ですから、問題ナシです。この日の十文字小屋のお客さんは、単独男性と関西のご夫婦の3人。他に4人組の予約が入っていたそうですが、甲武信小屋から「今日はこちらで泊まるので」とキャンセルされちゃったそうです。

「だからポトフ食べない? 余っちゃうから」とみち子さん。えええーっ、テント泊なのにそんな申し訳ない、あっそか、じゃあ夕食分のお金を……と言い出そうとしたら、「お金はいいから」とすかさず言われてしまいます。即答しなかったので勘違いされたのでしょうか。それとも私の貧乏オーラのせい? キッカケを外してそのままぐだぐだと流されてしまい「じゃあ―――ありがとうございます」とか言っちゃうのが、ちょっと大人としてダメかも……。もうホントに、温かい温かい小屋でした。次回は小屋にお金落とすような計画を立てようっと。

途中で一度テントに戻り、明日の行動食を作ります。夕食の主食も作ろうかと思ったんですが、昼のお握りが残っていたのでそれで済ましちゃうコトにしました。小屋に戻って、大きな野菜がごろっと入ったポトフをいただきながら、皆さんとまた消灯時間までお喋り……。ご夫婦が目指しているという百名山の話(翌日は甲武信に登り、下山後に移動。翌々日には大菩薩に登るんだとか)、みち子さんの三百名山の話、あちこちの山小屋の話。

私が一番経験が少ないので、いろんな話が聞けて楽しかったです。でも―――「穂高なんかそんなに難しくないよ(←単独男性)」とかいう話、信じちゃってイイんでしょうか? ご夫婦はツアー登山にも積極的に参加されているそうですが、そっちにも怖い話があったし。みち子さんから聞いた、営利一辺倒の小屋の話も嘘みたいなヒドい話でした。山が大好き!という、みち子さんのような小屋番さんは、もう貴重な存在なのかなあ。そうだとしたら、悲しい話です。

消灯時間におやすみなさいを言ってテントに引き上げようとすると、みち子さんが「そういえば今朝は氷点下まで行ってたけど、寒くなかった?」と聞いてくれました。ああ、テントも薄く氷がついてたもんなあ。でもテント内は2度くらいありましたので、明け方ちょっと寒いなとは思いましたけど、シュラフにくるまっていたら大丈夫でした。今日もしっかりストーブで暖まらせてもらったし、なんとかなるでしょう。実際、その後で歯を磨いたりトイレに行ったり、外でうろうろしてても全然寒くならなかったですもん。薪ストーブの力は偉大です!

少し本を読みながら寝酒を飲んで(今回持ってきたのは畠中恵のしゃばけシリーズ『うそうそ』。箱根の関所の出てくる話が、今回のルートにぴったり!)、21時半頃、就寝。

■十文字小屋(5:57)→分岐(7:01)→ナメ滝(8:32)→水源地標(9:37-9:43)→尾根道標(10:00)→甲武信岳(10:24-11:12)→甲武信小屋→三宝山(12:07-12:15)→武信白岩山手前のピーク(13:40)→大山(14:21)→十文字小屋(14:59)

■十文字小屋:泊まってはいないけれども、温かい小屋でした。薪ストーブのある空間は気持ちよく、暗くなるとランプが灯ります。(ただ、泊まった人の話によると、寝る部屋は相当冷えたとのこと)。トイレは小屋の外。窓にガラスもないから開放感は抜群で、窓から妙義山が見えていました。

≪つづく≫

2009.10.11(Sun)_2

≪つづき≫

水源から、霜柱の残る道をぐぐっと登ると、尾根に出ます。目の前がちょっとだけ開けていて、右は国師ヶ岳・金峰山、左は甲武信ヶ岳・甲武信小屋の道標がありました。右の道も気になりますが、今日のところは左へ。展望はないけど気持ちのいい尾根をちょこっと歩くとすぐ樹木が途切れ、目の前には岩の山が現れました。ここを登る途中で振り返ると、今度こそ大展望! うあわ〜。少し上、山頂らしきところからは賑やかな声が聞こえてきます。よしっと登って、甲武信ヶ岳2,475mに登頂〜。

甲武信岳甲武信岳

左みたいな道標もあると安心するけれど、嬉しいのは右みたいなの(特に手書きの「30分」が嬉しいです)

甲武信岳甲武信岳

左:尾根道。寒かったので陽射しが嬉しい〜/右:横を見ると、木々の向こうに山々が重なっています

甲武信岳

あともう少し。岩がザラザラの斜面をぐっと登りましょう

甲武信岳

振り返ると、こんなです!

甲武信岳

尾根を見るたび思う。これを辿ってどこまで行けるんだろう…

山頂に着いた途端、ぴゅーっと冷たい風が吹きつけてきました。こりゃいかん。慌てて持っている服を全部着込みます。が、登る途中で自覚していた以上に体が冷えていたみたいで、写真を撮ったり景色を見たりうろちょろしてみましたが、体がちっとも温まってくれません。これじゃ座ってゆっくりお昼を食べるのは無理そう。でもおなかは空いていましたので、なるべく風の当たらないところを選んで座り込み、お菓子をパクついて空腹をごまかしました。遠くに見えるのは南アルプスらしいです。周囲の人の話から、やっと北岳だけわかりました。

甲武信岳

文字はほとんど消えちゃってるけど、山頂!

甲武信岳

八ヶ岳方面。なんていい天気なんだろう

甲武信岳

あの山の間(国師ヶ岳と金峰山の間)に見えるのが北岳

甲武信岳

と聞いて、ズームっ!
……お、右のぽっちは金峰山の五丈石?

そろそろ十文字小屋の4人組と会ってもいいのに、なかなか姿が見えません。賑やかな声がするたびにきょろきょろしていたのだけれど、小屋でゆっくりの朝を過ごしているのでしょうか。ちょっと待ちの態勢でいましたが、寒くてたまらなくなってきたのでそろそろ動こうと腰を上げたとき、近くを通った人から「あっちに富士山見に行こう!」という台詞が聞こえてきました。そうだ富士山。登る途中ですれ違った人に「今日は富士山が最高キレイ」と聞いていたのに、そういえばまだ見てなかった。

甲武信岳

写真じゃ空気の冷たさはわかりませんね

甲武信岳

ま、一応

その人に続いて小道を数メートル進むと、反対側も景色がうわ〜っと開けていました。標識のある辺りでは狭い山頂ってイメージだったのに、こっちがこんなに開けているなんて。そして何てことでしょう。こっち側は全然風が吹いていない! ですので、こっちでも景色を楽しんでいくことにしました。

適当な場所を選んで座ると、岩がぽかぽか暖かい! ガラパゴスのウミイグアナのように、太陽の光を浴びて、冷えた体を温めます。気持ちいいので(もう少しゆっくりしよう)と、さっきお菓子を食べたばかりなのに、お握りを1つ齧ってしまいました。あ、で、富士山ですが。景色は遠くまでよく見えるのに、富士山の前にだけ嫌がらせのように雲があって、富士山だけは見えませんでした。たぶんホントは、最初に登った標識の辺りからも見えるんでしょうね?

甲武信岳

これは暖かいほうに移動してから

甲武信岳

右側の雲の厚い辺り、その向こうに富士山があるハズなのにー

体がしっかり温まったところで、さてそろそろ行くとしましょうか。地図だと山頂から三宝山に直接向かうルートがあるハズでしたが、もうちょっと先かな?と歩いているうちに、気付くとずいぶん下りてしまっていました。う〜ん、これは甲武信小屋に向かう道よね。山頂でバタバタしているうちに、三宝山への道を見落としてしまったかしら。下から登ってくる人に聞いてみると、小屋からも三宝山に行けますよ、とのコト。甲武信小屋も気になっていたし、じゃあ小屋経由で行きますか。

が、この回り道で十文字小屋泊の4人とはすれ違ってしまったみたいで、それはとっても残念でした。せめて朝、一声かけておけば良かった……。またどこかの山で、お会いできるとイイのですが。

山頂から15分くらい下った場所に建つ、甲武信小屋の前のテラスは、大勢の登山者で賑わっていました。玄関前では頭に手拭いを巻いた男性が、ネコ車を押しています。写真で知っていた、小屋番の徳さんですね〜。仕事をしながらも周囲の登山客と言葉を交わしている徳さんをつい眺めていると、「なんだ姉ちゃん、1人かい」と声をかけられました。それをきっかけにちょっとだけお話をし、みち子さんへの挨拶を預り、三宝山へ続く道を教えてもらって出発します。ここにもまた泊まりに来なくっちゃ。

甲武信岳

甲武信小屋。窓ガラスに徳さんが映っています

甲武信岳甲武信岳

左:賑わう小屋前/右:どこが水源なのだろう?

甲武信岳

冬への備えが着々と進められているようです

小屋の横、荒川水源の碑の傍から、鹿除けなのかな? 網に区切られた向こうに道が続いています。扉をくぐって賑やかな小屋から静かな山道へ―――と思ったのですが、小屋からの道が甲武信ヶ岳からの道と合流すると、人の姿がぽつぽつ出てきました。甲武信ヶ岳より三宝山のほうがちょっと標高が高いから、三宝山までは足を伸ばす人も多いのかな?

甲武信岳甲武信岳

左:小屋から合流点までは、とっても静か/右:合流点。十文字峠まであとまだ4時間ですか……

ところでワタクシ、十文字小屋を出発してから、もうかなり歩いてきております。ですのでこの三宝山への登りが堪えました。身軽装備なのになあ。ふうふういいながら登っていたので、三宝岩という眺めのよい岩があるそうなのですが、すこんと通り過ぎてしまいました。下ばかり見て歩いていて標識に気付かなかったみたい。残念ですが、また次に来たときのお楽しみに取っておきましょう。そして到着した三宝山山頂は、展望はないけど気持ちのいい空間でした。風もまったく無くてぽっかぽか。

甲武信岳甲武信岳

三宝山の山頂標識と三角点

≪つづく≫

2009.10.11(Sun)_1

≪つづき≫

途中ほとんど目を覚まさずにぐっすり眠って、最初に時計を見たときはまだ3時でした。ちょっと寒くて起きてしまったようです。この日の予定は4時起床、5時半出発(←朝の準備が遅い)だったので、まだ早いな……とシュラフの中に潜りこみ、首の周りにしっかり布をたぐり込んで、また眠りに落ちます。次に目を開けたとき、外はぼんやり明るくなりかけて―――え? 今、何時!? 時計を見ると 5時!ええっアラームは!?

確認すると、どうやらちゃんと鳴ったらしいです。シュラフにしっかりくるまっていると、小さなアラームじゃ聞こえないのね……。なーんてショボけている場合じゃありません。ヤバい! 慌てて跳ね起きて着替えつつ朝ご飯の支度。昨日の鍋にご飯をぶち込んで雑炊を、と思ったら手を滑らしてテント内にスープをこぼしてしまいます。ぎゃー!……とこの辺で、慌ててたらかえって時間がかかると頭が冷えまして、掃除をしつつ朝食を作って着替えて。歯を磨いてトイレに行って。出かける準備が出来たのは6時近く。

甲武信岳

急いでいるけど1枚だけ!  5:31

小屋のほうを見ると、4人組がそろそろ起きだしているようです。挨拶しに行こうかなと思ったのですが、予定より遅れて気が焦っていたのと、途中で絶対に会えるハズなので、そのときお話しすればいいやと思ってしまったのとで、小屋には寄らずにそのまま出発してしまいます。ちなみに4人組の予定は、三宝山経由で甲武信ヶ岳に登って千曲川源流コースで毛木平に下りるというもの。私は反対回りで歩くつもりだったので、どこかですれ違うハズだったのです。

というワケで、私は昨日せっせと登ってきた毛木平からの道を、まずは逆に辿ります。この予定を話したときに4人に「もったいない! ここまで登ってきてまた下るなんて! 何があなたをそうさせるのか、知りたい!」と言われましたが―――何がってねえ。あえて言うなら、いつも楽しく読ませてもらってる『山あり谷あり!』この記事でしょうか。これで千曲川源流コースを歩きたくなったのですよねー。毛木平までのアクセスは大変だから、この機会にぐるっと回っておきたかったし。

毛木平近くの、千曲川源流方面への分岐までは、昨日歩いたばかりとあってちょっと急ぎめに歩きます。甲武信岳急いでみて分かるけれど、ここ本当に歩きやすい道なのですねー。大きな段差もないし、急なのもほんの一部だけ。飛ばしても危険な感じは全然しません。途中、十文字小屋のお手伝いさんが登ってくるのともすれ違って(前夜の話題に出てきたのでわかりました)、調子よく分岐まで下りてきます。CT1時間半のところを1時間! これで出発の遅れをほぼ取り戻せました。

分岐からはさあいよいよ初めて歩く道! とは言っても、最初は車も通れる広さの平坦な道です。地形図で予想してたより遠かった大山祇神社を過ぎ、慰霊碑を過ぎ。源流コースというだけあって、途中からはずっと道に沿って沢の景色を楽しめます。つか、今日中に源流まで行くのってくらい水量が豊かです。水のある景色は大好きだし、道はあまり傾斜がなくて楽だし、こっちもいい道だなあ。あ、書き忘れてましたがこの日の天気は快晴。このくらいの時間になると、ときおり木漏れ日が楽しめるようになりました。

甲武信岳

分岐を過ぎてから。空を見上げるとまだ月が見えていました

甲武信岳

最初のうちは幅の広い林道です

甲武信岳

すぐに沢沿いの道になりました

甲武信岳

今日も紅葉は期待できそう

甲武信岳

鳥居には「大山祇大神」の神額がかかっていました

甲武信岳

ちょっと傾いだ足場を乗り越え

甲武信岳

落差が小さくても滝は滝

甲武信岳

人が住んでいそうな洞穴。ちょっと覗いて見たくなる……

甲武信岳

ずーっと川に沿って歩きます

甲武信岳

山津波で亡くなった林業関係者のための慰霊碑だそうです

いつの間にか道は登山道らしく細くなっています。この辺でだったかな。気配を感じて振り向くと、可愛い小型犬が私をじっと見つめていました。見るからにペットなのに、飼い主は? 連れてきてちょっと自由に歩かせているだけなのか、それとも迷い犬なのか……気になって首輪を確認しようとしたのですが、近付いてくるくせに触らせてはくれない。その後しばらく近くにいて、何度か手を伸ばしたのですが、捉まえられませんでした。飼い主の元に無事に戻ったのだといいのだけれど。

甲武信岳

こんな光景があるから、上を見るのを止められません

甲武信岳

手作り感ありありなのが、微笑ましい

甲武信岳

これまた微笑ましい。ガンバレ、つっかえ棒!

甲武信岳

どんどんいい雰囲気になってゆきます

沢の近くだけあって、この道には大好きな苔がたっぷりです。景色を楽しみながらゆっくり登っていって、ちょっと疲れだした頃にナメ滝に到着。そうそう、この滝が見たかったの。岩を滑っていく滝は、夏だったら入って遊びたくなりそうな感じ!……今は、寒いですけど。ってそう、この源流コースは甲武信ヶ岳の北斜面についているので、寒かったです! 途中で着込んでいた服を脱いでしまったのだけど、そしたら微妙に冷えを感じるようになってきて、でもときどき陽が当たれば暖かいし、歩き続けていたら寒くもないし、手袋だけでもすれば良かったんだけど、タイミングを逸してそのままでいて、気がついたら指先が冷た〜くなっていました。

甲武信岳

苔もよく見るといろんな種類があって面白い

甲武信岳

苔がもっさもさ。わっさわさ。元気すぎ(笑)

甲武信岳

滝もつい撮ってしまう被写体です

甲武信岳

ナメ滝。滑ってみたい〜

途中で橋を渡ったりしながらずーっと沢沿いに歩きます。途中、広場みたいにぽっかり空いた、気持ちのいい空間もありました。そしてやっと、千曲川・信濃川水源に到着〜。木の根の下から、湧いているのかな? 小さな水溜りみたいで汲むのは大変そうです。周囲には他の人もいたので、掬って味見をするだけで満足しました。んですっかり日陰なもんでまた体が冷えて、今度こそ上着を着ようかと思うのですが、ここから道がきゅっと登っているようなのでまた着そびれてしまいます。

甲武信岳

沢沿いだけあって、足元がぬかるんでいるトコロもあり

甲武信岳

ピクニックのお弁当を広げてみたくなりますね〜

甲武信岳

「幽玄」ってこんな雰囲気に使う言葉じゃない?

甲武信岳

「千曲川信濃川水源地標」

甲武信岳

中央の落ち葉がない辺り。ここが水源だそうです

≪つづく≫

2009.10.10(Sat)_2

≪つづき≫

駐車場から車止めのゲートの脇を通ってしばらく、林道のような広い平坦な道を歩きます。この辺りがキャンプ禁止なんじゃなかったら、ここに泊まって朝早くから歩き始められるのになー。歩き始めてすぐ、道は「十文字峠」と「千曲川源流遊歩道」とに分かれます。私が取るのは左の十文字峠。この先にやけに立派な橋がありました。あら、すごく整備されてる道なのかしら?と思ったけど、立派な橋は1つだけ。これを渡ると道も細くなります。

甲武信岳甲武信岳

左:出発点の車止め/右:別荘地みたいです

甲武信岳甲武信岳

左:最初の分岐点です/右:立派な橋は「千曲源流霧橋」

甲武信岳

引いてみると、こんな感じ

甲武信岳

あ、いい色づき

甲武信岳

立派な橋の後は、いきなりこんなです

甲武信岳

こんな混ざり方もイイなあ〜

ちょっと進むと、五里観音さまを見つけます。標識には一里観音菩薩とあったけど、一里観音さまには明後日会いに行くハズなので、これは間違い。写真を撮って先に進むといたしましょう。道は木陰でひんやりしていて、歩いていて気持ちのいい温度です。傾斜もほとんどないし、この辺りはとっても楽な道でした。橋がかかっていたり飛び石があったりの小さな沢を何度か渡り、周囲の森の広がりを楽しみ、最後に枯れた沢っぽいところを渡ると、いきなり道は急登となります。

甲武信岳

木洩れ日の中の平坦な道は、ただただ気持ちいい

甲武信岳

五里観音さま

甲武信岳

対岸の赤い丸印目指して、ここは石の上を渡ります

甲武信岳

苔と落ち葉と雑木林。……楽しいんですけどー(^^)

甲武信岳

これもまた、“立派な橋”

甲武信岳

紅葉始まりの、こんな優しい色合いもステキだなあ

甲武信岳

かと思うと、こんな鮮やかな紅葉にも目をひかれちゃう

こないだの反省がありますから、バテないように一歩一歩、ゆっくり坂を登ります。でも……確かに荷物は重いしキツいんだけど、ちょっと楽なような? 今日はショルダーハーネスを緩めにしてみましたが、これが正しいポジションなのか、こないだのように荷物が背中で傾くコトがありません。荷重も今まで以上にしっかり腰にかかっているようだし、やっぱ、今までが締めすぎだったのかも。

甲武信岳

秋!

それでもテントを背負って急な坂を登るのは大変です。途中途中で休憩を入れ、高度計と地形図を見比べ現在地を推測して自分を励ましながら登ります。稜線にあがるちょっと手前に割った薪が積んであり「1本でもいいので十文字小屋まで持ってきてください」と張り紙がしてありました。お世話になる身としては、これは持っていかねばなりますまい。……と言いつつ、いい加減キツいので、細めのを選んで荷物にくくりつけました。非力ですみません。

甲武信岳甲武信岳

左:薪の山がいくつもありました/右:けど、2本だけ…

稜線に出るとまた道は平坦になり、ぽてぽて歩いていくと目的地、十文字小屋に到着しました。心配していたテント場は……あれ? テントが1つも見えないんですけど……。とりあえず小屋に行って、受付を済ませます。女性の小屋主さんに2泊分の幕営料を払い(1泊\500)、薪を渡すと、「落ち着いたらお茶でも飲みにいらっしゃい」と誘っていただきました。テントを張る場所を聞くと、やはり誰もいない小屋前の広場です。小屋に着く頃から周囲に霧が流れ出していたコトもあり、ちょ、ちょっと寂しい……。

甲武信岳

「25分じゃ着かねぇよ!」って、心の叫びなのかしら?

甲武信岳

また歩きやすい道に戻りました

甲武信岳

薪ストーブの煙が嬉しい十文字小屋

空きすぎていてどこに張ったらいいのか困るようなテント場でしたが、先人が使ったらしき跡を見つけてテントを広げ、巣作りをしてから小屋を覗きに行ってみます。テントを張っている最中に賑やかな男女4人組がやってきたのですが、彼らは展望台に行っているらしく、小屋には小屋番のみち子さんしかいませんでした。みち子さんの入れてくれたお茶を、薪ストーブの周りのベンチでいただきながら、明日の予定や十文字小屋の話などをしていると、やがて出かけていた4人が戻ってきます。

甲武信岳

急にガスってきてしまいました

甲武信岳

今夜の巣、完了〜

お客さんだけど友達で、他にお客もいないので、良かったら晩ご飯持ってきてここで食べなよ、とまた誘っていただきました。暖かいストーブの周りは居心地がよく、1人のテント場も寂しいので、ありがたくそうさせてもらうコトにします。十文字小屋に泊まりたいな、と思ったのはずっと前『山と渓谷』に初心者向きのテントサイトとして載っているのを読んでから。女性の小屋番ならではの温かいサービスがどうのこうのと書いてありましたが、この後の展開も含めて、ホントにその通りの小屋でした。

甲武信岳

落ちかけた太陽が、ガスと林越しにスゴいことになってます

適当な時間で一度テントに戻り、自分の食事作りにかかります。まずはご飯を炊いて、半分は明日の行動食のお握りに。半分は朝食用に(久しぶりに炊飯が成功して、嬉しかった〜)。晩ご飯にはベーコンと野菜の鍋。〆にうどんを入れるつもりでしたが、小屋に持っていくので最初からうどんも投入しちゃいます。おつまみにはキュウリや燻製チーズ(上高地で買ったヤツの最後)に練り梅乗っけて紫蘇でくるんだの(←珍しく、ガンバってみました。美味かった)。鍋が適当に煮えたトコロで、自分の食糧を抱えて小屋に向かいました。もう外はすっかり暗くなっていて、小屋の窓から温かいランプの灯りが漏れています。

甲武信岳甲武信岳

左:風通しのよいトイレ。建物は古いけどキレイです/右:小屋前の水道。他に水場もあるそうですが、私はここの水を使わせてもらいました

甲武信岳

本当に、暖かかった十文字小屋

十文字小屋の夕食はポトフと決まっているそうで、私が行ったときにはもう皆さん食卓を囲んでいらっしゃいました。最初は遠慮しいしい薪ストーブに当たらせてもらっていた私ですが、お客の4人組が本当に愉快な方々で、途中で泡盛も分けてもらってしまったりして、結局はえらく図々しくお仲間に加えてもらっちゃいます。お客の1人とみち子さんがヨン様ファン同士の“ヨン友”だそうで、韓国ドラマの話もいろいろ聞きましたし、もちろん行った山の話や、そこでのハプニング話もしました。消灯時間(20:30?)になるまで……。

消灯時間になったのをキッカケに席を立ち、また明日お会いしましょうと挨拶をしてテントに戻ります。小屋に行く前に、だいたいの用意を済ませておいて良かった〜。後は歯を磨いてトイレに行って、寝るだけ。残念ながら曇天で星は見えませんでした。みち子さんからは「もしテントが寒かったら小屋で寝ていい」とまで言ってもらいましたけど、薪ストーブで芯までぽかぽか暖まっていたので、シュラフに入ってすぐに眠りに落ちます。お休みなさ〜い。

■梓山バス停(11:12)→毛木平(12:18-12:42)→十文字小屋(14:55)

≪つづく≫

2009.10.10(Sat)_1

10月の連休は甲武信ヶ岳へ行ってきました。甲武信ヶ岳へ東京から公共交通機関利用でだと、おそらく一番楽なアプローチは西沢渓谷からの往復になるのでしょう。私も最初はそのつもりでした。が、今回の連休は3日とも天気の心配はなさそうで、それならば3日をフルに使った計画、前々から考えていたあのコースにしちゃっても良さそうです。金曜日の夜にまたまた時間をかけて荷物を詰め込み、連休初日、土曜日は朝早〜い電車に乗って遠い遠い駅へ……。

4本の電車を乗り継ぎ乗り継ぎ、小淵沢で最後の小海線に乗り換えます。遠いなあ〜。スイカが使えないらしく、ホームで駅員さんが切符を売っていました。信濃川上駅までの切符を買ったのが私で数人目だったので、駅員さんに「今日、何かあるの?」と聞かれましたが……登山者が利用する駅だって、認識されてないのかなあ? まぁ車で行く人のほうが多いのかも。普通電車だと、ウチの最寄駅から信濃川上まで5時間以上ですもんね〜。

小海線信濃川上駅でバスへの乗り換えに2分しかないというのに、新宿駅を出るとき電光掲示板に「小海線○○のため遅延」(←忘れたけどあまり聞いたことのない原因だった)の表示を見つけて心配していましたが、小淵沢に着いたときには○○は解決していたようでした。いかにもローカル線らしいワンマン車両に乗り込んで、さあ一安心と思ったら、今度は「上りが遅れているので待ちます」ですって。おいおい。

まぁでもココまで来たらなるようになるさ、の気持ちになっています。同じバスに乗る予定だった人もいるだろうから、タクシーつかまえて相乗りさせてもらえるかもしれないし。バスは電車に合わせて運行してるみたいだから、多少の遅れなら待っていてくれるかもしれないし。もともと2分ってのが賭けだし(特急を使えばもう少し余裕もできたのですが、それでも結局同じバスにしか間に合わないのに、高い特急料金払う気にならなかったのです)。

そして電車は、定刻の10:38から2分遅れて信濃川上駅に到着しました。これなら間に合うかも! 急ぎ足で外に飛び出すと、慣れたふうに私の先を歩いていたおじさまが「バス停がない!」と叫んでいます。え? すると誰かを迎えに来ていたらしき地元の方が「今、工事中でバス停が移動してるんだよ〜。そっち歩いていったらあるから」と車の中から教えてくれました。ザックを背負った数人と一緒に、私も教えてもらった道を急ぎます。

ちょっと歩いて大きめの道路に出会う辺りで、ちゃんとバスが待っていてくれました。町営バスだそうで行き先も書いていないので、「梓山、行きますよね?」と運転手さんに確認して乗り込みます。ほーっ。これで安心。……と思ったら甘かった。このバス、運賃の表示もありません。アナウンスもありません。途中、ほとんど止まりません。え、今、どこ走ってんの? 途中で地元の方が乗ってこられましたが、なんのアナウンスもない場所でブザーを押して降りていかれました。どうゆうシステムなのこれーっ!

(さ、さっき「梓山」って行ったから、着いたらきっと、教えてくれるよね……)。ドキドキしながら運転手さんの後頭部に向かって祈ります。一声かけろよ!って感じなのですが、こうゆうときぱっと声をかけられないのは、自分でも情けない。しかしやはり地元民でない人のほとんどは山へ行くのか、梓山の前で駅を出てから初めてのアナウンスが入りました。良かった〜。降りたトコロにもバス停が見当たらなかったので、「ここ、梓山ですよね?」と念押ししてバスを降ります。料金550円。ここで降りたのは私のほかにおじさん1人だけ。他の山登らーの方々は、もっと先まで行くようです。終点の川端下から金峰山かな?

さあ。家を出てから6時間以上が経過し、やっとスタート地点に辿りつきました。こんなの連休じゃなきゃできません。ここからマイカーな方々の出発点の毛木平までは、CTで1時間半、車道歩きです。一緒に降りたおじさんは別の方向に歩いていってしまったので、荷物を詰めなおして軽く屈伸して歩き始めます。車道歩きはあまり好きではありませんが、ここはほとんど車どおりがなく、のんびり歩けました。が、歩き始めてすぐ雨がぱらぱらと降ってきます。聞いてないよっ。でも青空も見えるから、通り雨よね?

川上村川上村

左:橋の手前が梓山バス停。橋を渡って出発です/右:この分岐は右へ。青空も見えていますが、このちょっと後に雨が降りはじめました

そのまましばらく歩き続けましたが、周囲に人家がなくなった頃、雨がさーっと降ってきました。こりゃいかん。ちょうど倉庫らしき建物があったので、軒先をお借りしてザックカバーだけ着けます。雨具はまだイイや。んでもうちょい歩くと、道の両脇に白菜畑の広がるのどかな風景に入り込みました。ここで、変な方向を指している標識があったので、道を間違えてしまいます。ちょっとだけ歩いて、でもどう考えても地図と違うだろ!と、元の道に戻って最初に歩いていた方向を目指します。方向音痴には自信があるので、こうゆうコトがあると途端に不安になっちゃうんですよね〜。

川上村

一番広い道をまーーーーっすぐ歩いて行くのが正解です

周りの景色を楽しみながらも、ちょっと不安を覚えつつ歩いていると、嬉しいことに反対側からザックを背負った人がやってきました。「駐車場まであと30分くらいですよ」とも教えてもらいます。よし、合ってた! やがて後ろからも、さっき一緒にバスに乗っていたおじさんがやってきました。毛木平に行きたかったのに、地元の人につられて間違った方向に歩き始めちゃったんだそうです。彼はしっかり雨具も着込んでいましたが、この頃になると雨はほとんどあがっていました。

川上村

道の両脇には白菜畑が広がります。まだ巻いていませんね

おじさんに追い抜かれて、1人のんびりと歩いていきます。道が未舗装道路に変わってちょっとすると、もうその先に広い空間と建物が見えました。駐車場には車がたくさん停まっています。う〜ん、さすがは百名山(だったよね?)。私が泊まる予定の十文字小屋は、地図に「テント5張」と書いてあるんだけど、大丈夫かなあ? いっぱいでも、泣きつけばなんとかなるかしら。自販機もある立派な東屋に荷物を下ろすと、さっきのおじさんもそこで休憩をしていました。もうすぐに出発するみたいです。

川上村

未舗装道路に入りました

川上村

おっ、陽が差してきましたよ〜♪

毛木平

毛木平駐車場には、車がぎっしり

彼も大きな荷物を持っていたので、テント場がいっぱいになる前に着きたいですね〜とか話をしたのですが、ちょっと話すとなにやら話が食い違います。「暗くなる前に着けるか心配」とか言うのでよくよく聞いてみると、彼は甲武信小屋のテント場まで行く予定だそう。うっわ〜、私はトライしてみる気にさえならないよ! だってもうお昼だよ? 急いで出発していく彼を見送り、私は座ってお握りを齧ります。それからトイレ脇の登山ポストに計画書を入れて、最後にトイレにも寄って、ゆっくり出発。

毛木平毛木平

左:自販機付きの東屋/右:壁に登山ポストのついたトイレ

≪つづく≫

2009.10.4(Sun)

遊びと仕事の合間に休養日が1日欲しい&土曜のほうが仲間の参加率が高い、という2つの理由で土曜日にダイビングの予定を入れるコトが多いのですが、今週はガイドのTさんが珍しく土曜日に休みを取っていて、さらに既に初心者の方の予約が入っていると聞いたので、予定をあっさり日曜に変更しました。

初心者と潜るのは別にイヤじゃないけど、こないだもやったばかりだし、前回も平日でいなかったTさんと久しぶりに逢いたい。それに天気予報は日曜のほうが期待できるとあっては、変えない理由がないでしょう。土曜日はここんとこずっと頑張っている秋雨前線が予報どおりに動かず、ときどき降る雨の音を聞きながら「今日でなくて良かった……」と自堕落しまくってました。

さて明けて日曜日。前日は昼間にだらだらしすぎたせいで夜になかなか眠れず、それで早起きするのは自業自得ですがツライです。のそのそ起き上がって準備をし、薄明るいなか、家を出ます(そしたら夜の間にどこかのバカが人んちの入口でゲロッパしてた……。電車に乗り遅れるワケにいかないので、申し訳ないが妹に連絡入れて片づけてもらいました)。空は青空が見えるような見えないような……まだ空の大部分が厚い雲に覆われています。でも予報によればこれからどんどんよくなるハズ! 何度裏切られても、よい予報を聞かされれば信じたくなるのが人の性ってもんでしょう。

途中の駅でKと落ち合い、伊豆へ。やはり土曜日に遊びたがる人が多いのか、電車はいつもより空いています。途中の車窓からの海は、荒れてはいないものの表面がさざなみだっている感じ。台風の影響がもう出ているのかなあ、なんて話をしているうちに、いつもの駅に到着しました。Tさんのお迎えを受けたのは、私らのほかに男性3人組(お父さん&息子さん2人)と1人参加の男性。ショップに着くと車組の男性1人が待っていて、今日のゲストは計7人です。日曜だから少人数かと思ったのに、思ってたより多いなあ。珍しく皆さん初対面の方ばかりでした。

ゲストのうちの誰かがI.O.P.のリクエストを出していたようですが、ちょっと波があるので……と、富戸に向かうコトになりました。富戸では最近事故があったばかり(潜水事故ではなく転落事故ですが)。まだお花が供えられていると聞いて、複雑な気持ちになります。レジャーの最中の事故ってのは、どうにもこうにもやりきれない―――。

富戸は、夏の最盛期に比べればかなり空いていました。日曜だからかなあ? 施設に近いほうの駐車場も空いていましたが、私たちは人ごみを避けて下の湾沿いのスペースに車を置きます。雲の切れ間もだんだん多くなってきていたので、久しぶりの日差しを楽しみながら着替えをし、エントリーポイント近くまで移動して器材をセッティング。私らは単独男性2人と一緒にSさんチームになりました。「昨日の富戸は群がすごかったから、今日も群狙い」だそうです。

そんなに混んではいない富戸でしたが、ちょうどエントリー時間が重なってしまったらしく、スロープには渋滞ができていました。待って待って待ってやっと海に入ると―――うわ、なかなかイイんでない? ときどき差し込む日の光で、ソラスズメダイがキラキラ青く光っています。そういえば富戸のソフトコーラルはこんなに豊かだった。浅瀬を移動していく途中も、キンギョハナダイやミツボシクロスズメダイ、クマノミの幼魚たちが賑やかでした。ああ秋!

しば〜らく行くと、Sさんが「群、いないかも」とスレートに書いてきました。……やっぱり。Sさんが「これは必ず見られる!」と予言したときって、外れるコトが多いのですよねえ〜〜。でも群がいなくても見るものはたっぷりあります。自力でイソギンチャクエビとツユベラ、コガネキュウセンを見つけました。どれも久しぶりで嬉しい♪ なのにこんな日に限って、私はデジカメのメモリを忘れてきているんですよね……。毎日のお弁当記録用に使っている、一番小さなのしか持ってきておらず、おかげでこの日の写真は全部最小サイズでしか取れませんでした。

エントリー口に近い辺りでは海の中も混みあっている感がありましたけど、浅瀬をずーっと遠くまでというコース取りをするグループは少ないのか、やがて他のダイバーは見えなくなります。この頃から群も見かけるようになりました。イワシの群が頭上を、右を、左を通り抜けていき、そこにカンパチがアタックをかけてきます。うひゃあ、気持ちいいっ。水面を見上げると正体不明の大きめの魚の群が、ゆーったりと通り過ぎていったりもします。入った瞬間はひやっとした水も、慣れると冷たいというほどではありません。ちょっと流れはあったのですが、でものーんびり。まーったり。

しばらくするとSさんが残圧を聞いてきました。実はしばらく前から、やけに空気の減りが早くて首を捻っていた私、「90」の合図を返します。ここまでの潜水時間は20分ちょっと。深さも10m以浅です。ちょっといつもよりすーはーすーはーしてた自覚はありましたので、なんでこんなに減りが早いんだろ?と思いながらも、無自覚に緊張してるのかなーなんて思っておりました。

が、私の返事を聞いてSさんが「90? ホントに?」と何度も何度も聞いてきます。いや何でだか90なんですよーと、もう一度残圧計を見て……あれっ? 140でした。な、なんでか数値を50ズラして読んでしまっていたみたいです。背中のファスナーも上げ忘れて器材背負っちゃうし(←エントリー直前に気付きました)、なんか今日はボケているなあ。

その後ちょっと深めのトコロで遊びます。岩場と砂地の境目にはキンギョハナダイが舞い踊っていいました。サキシマミノウミウシやイセエビなんかを見てまた浅瀬に戻り、来たときは先客がいてゆっくり見られなかったツノハタタテダイを見に行きます。他の人が写真を撮っている間にツノハタタテのいる岩の隣の隙間を覗いていると、中からイタチウオがぬおっと出てきてお互いビックリしちゃいました。ゴメンよ、君の家とは知らなかったのよー。

海の中で見る限り、まだときどき太陽が雲に隠れているようでしたが、1本目が終わる頃には「晴れ」と言っていい天気になってくれていました。海の中では寒さを感じていなかったけど、陸にあがると急に寒く感じるので、太陽がありがたかったです。2本目のセッティングをしてシャワーを浴びてウェットを脱ぎ、太陽をいっぱいに浴びながらゆっくり昼食。日焼けを恐れる気持ちより熱を吸収するコトのほうが大事でした、このときは(もちろん日焼け止めは塗りなおしましたけど)。食事のあとはごろんと横になって、もうひと休憩。う〜ん、シアワセ。

1本目が楽しかったので、2本目も同じ辺りを、ちょっとコースを変えて潜るコトになりました。先にちょっと深めの砂地を探索し、最後に浅場を楽しむコースです。砂地に下りようとするとまたイワシの大群がやってきました。うわーー気持ちいいーーー。最近水族館でもイワシやらサンマやらの群を売りにしているトコロがありますが、群に巻かれる感覚は海でないとちょっと味わえない。後ろからわーっとやってきた群が私たちのところでキレイに別れて右から左から追い抜いていく。と思うとカンパチがアタックをかけてきて群がいっせいに方向を変える。鮮やかな銀色が青くきらめく。ああダイバーで良かった……。

なかなか中層から去りがたかったのですが、Sさんが先で呼んでいます。2本目で見せてくれたのはオトメハゼやササハゼのペア、マツカサウオ(近くにムレハタタテダイがいたのに無視されてました)、目玉はやっぱり小さい小さいネジリンボウ! 貝や石でサークルが作ってあったから何かいるんだなとは分かったけど、よくよく見ないとネジリンボウに気付きませんでした。それでもいっちょ前にホバリングしていて、穴の中には共生エビもいましたよ。卵から、どうやってこういう状態になるのかなあ。

1本目が異常に浅いダイブだったので、どうしても2本目は1本目より深くなってしまいます。ですので私はなるべく人より浅いトコロにいるように心がけました。同行の男性2人はDECOが出そうだったそうで、途中からしきりにダイコンを気にしていましたが、私はそこまではいかなかったな。その後、安全停止を兼ねて浅瀬でしばらく遊びます。この辺りでスミゾメミノウミウシを自力で見つけました。あと最後の最後でイスズミのこれまた大群がさーっと横切っていきました。迫力〜。

ほかにも小魚系が賑やかで、やーいい海だったね、楽しかったね、と言い合いながら後始末をしてショップへ向かいます。そしていつものようにゆっくりログ付け。この時間が好きなんですが、昼食が足りなかったのかおなかがめちゃくちゃ空いてきて、ご飯!ご飯!とKを急きたててしまいました。雲はすっかりなくなって、空は夕暮れの微妙な色合いを見せています。海も、朝よりずいぶん穏やかになっていました。波だっていたのは、台風の影響じゃなかったのかな?

駅に直行した皆さんと別れを告げ、私たちは駅近くで夕食。やっと人心地ついて外に出ると、まだ空の低い位置に満月が輝いていました。中秋の名月は前の日だったけど、いや〜今晩のもずいぶん名月♪ 秋の海、秋の空にすっかり満足の1日でした。

……これで翌日が、仕事じゃなきゃなあ。

Copyright© 2001-2012 To-ko.All Rights Reserved.