2005.2.17

いよいよ引越しでございます。荷物がまだ全然まとまっていなかったり、手伝いを頼んでいた人がインフルエンザに倒れたり、天気予報がよろしくなかったりと、不安要素はあたたたたたたありますが、何とかなるでしょう。今日は上司に少し長めの昼休みをもらって、新居の鍵を受け取りに行ってきました。受け取ったその足ですぐに合鍵を作り、ちゃんと使えるかどうか4本(不動産屋にもらったの2本、予備に作ったの2本)全部の確認をしていましたら、背後から声がかかりました。大家さんです。まるでピッキングの現場を押さえられたような形で大家さんとの初対面を果たした私でしたが、やっと挨拶できたので気にしないコトにします。

妄想女王の私と妄想大臣の妹の中では、大家さん親子について……というより、大家さんの息子さんについての物語がもうできあがっていたのです。「あの家、人に貸すために建てられた家じゃないよね」「きっと息子のために建てたんだよ。結婚したら別世帯で住めるように」「なのに息子は結婚できなかったのね…」「しない、じゃなくて、できない、だよねこの場合。いい年して自活しようともしないで親のすねを齧ってるんだよ」「んでお母さんは泣く泣く家を貸してるのかー、少しでも生活の助けにするように!」「年くってるのに可哀想に…」……てな感じで。

が、妄想というのはたいてい的中はしないものです。的中したら妄想じゃなくなっちゃいますからね。今週末からお世話になる大家さんは、嬉しいコトに、感じのよい老婦人でありました。たぶん息子さんも普通の方でしょう。妄想が爆走する前に(←これでも前、なのです)、現実と会えてよかったです。というワケで、次回の更新は新居からになります。私にとっての引越しは珍しいイベントなので、今回の転居顛末記も再開できたら書くつもり。そろそろ仕事も落ち着きますからね。

パソの引越しも初めてなので、なんかいろいろありそうな気もしますが、順調にいけば来週には再開します。音沙汰なかったらトラブってんなーと思って憐れんでください。それでは、お元気で。

2005.2.14

先が見えてはきたものの、仕事は相変わらず忙しいっす。が、私的に忙しいのは自業自得な部分も大きいってワケで、引越し一週間前の修羅場だというのに行ってきました今冬初スキーin栃木。ほんとは新潟に行きたかったんだけど、のんびりしていたら予約が取れなくなってしまったのです。まあ冬の初めに「お客が来てくれない〜」と新潟の観光関係の方々が嘆いていたのを思えば、喜ばしいコトではありますね。……行きたかったけど。

三連休の初日の金曜日に出発し、土曜日はたっぷり遊んで日曜朝に帰路につき、帰ったらすぐに引越しの荷造りを始めるという完璧なスケジュールのもと、行ってきた栃木は寒かったです。しかし心配していた積雪は街中では全然なく、レンタカーでの運転練習もできました。ヒヤヒヤしてよけい体感温度が下がりました。

昼頃現地に着き、買い物をして宿泊地へ。ストーブ2つをフル稼働させて冷え切った部屋を暖め、3月にもう一度くらいは行きたいスキーについて相談し(予定がなかなか折り合わず、「じゃあ2月の最終週にしよう!」と言われたのはさすがに断りました。スキーして次の週に引っ越してその次の週にまたスキーなんて、いくら私でもやれません)、ついでに今年11月のビッグ旅行について話し合います。今年は「死ぬまでにやりたいリスト」の上位に入っているあるコトをしようと目論んでいるので、早め早めの話し合いをしなくちゃなのですよー。実現できるといいなあ。うふふ。

たっぷり食べて温泉に入ってゲームで遊んで夜更かしした金曜日。次の日の6:00の起床はキツうございました。簡単な朝食を済ませ、シャトルバスの発着所まで車を走らせ、バスに乗り込んでスキー場を目指します。行ったのはハンターマウンテン塩原です。雪質も良かったし、私のレベルからすればちょうどイイ練習ができるコースがあり、日帰りとしてはOKなスキー場だったのですが、いかんせん規模に見合わないほど混んでいた。スキーセットを借りるのに並びリフトで並び……。おまけにこの日はとにかく寒かったのです。「スキーってこんなに寒かったっけ?」というくらい、深々と冷え込みます。

「寒い寒い」と言いながら、初心者コースを滑ります。ここも人さえいなければ……! 私がトロいせいもあるのだけれど、両脇をがんがん人がすり抜けて行くので怖くて仕方ありません。自分のペースで滑れさえすればきっといい練習になるのになーと残念。一度平日に来たいくらいです。何本か滑って昼食を取り、さらに何本か滑った後、私は中級コースに連れていかれました。「私は初級で滑ってるから行ってきて」と言ったのに、「To-koが見えないトコロで大転倒してたら怖いじゃん」とムリヤリです。初級コースではあまり転ばなくなってきた私ですが、やっぱ中級ではダメ。友人らが心配そうに見守る中、がんがん転んで滑り落ちてきました。見えてりゃいいのか大転倒も。

でも中級滑ってるときに思ったんだけど、今の私にとっての中級クラスの傾斜度は、初めてスキーをやったときの私にとっての日陰第三ペア(in野沢)と同じ感覚ですね! あのときは初級も初級な日陰が急斜面に見えて、怖くて怖くて仕方なかったもんなー。今回の中級クラスは目の前がぱーっと開けてて、雪をかぶった山並みがハッキリ見えて、気持ちのいいコースではありました(私は転んだときくらいしか景色見る余裕はなかったけどね!)。ハンタマの初級コースは確認の練習にちょうどよくて、中級コースはチャレンジな練習にイイ感じでした。空いてさえいればね。

ま、今シーズン初滑りだし、怪我さえしなけりゃ上々です。疲れはて爆睡しながら街まで戻り、ちょっと復活したのでその夜も遅くまで遊びました。日曜日、そのまま会社に直行の友人と私だけが先に帰ったのですが、帰ってからの引越し準備は当然ロクロク進みませんでした。自分で自分の首を絞めるのが大好きなM子さんな気分で生きてます。

2005.2.7

引越し話、順調に進行中。昨日は新居の寸法を測りに行った。詳細は後日書くが、あまりちゃんと見ないで決めてしまったので、「へー、ここ、こうゆう風になってるんだ」な新発見がいろいろあって(窓を開けようとしたらいきなり外れたきゃーっなハプニングもあって)、楽しんできた。あとは引越しを待つばかりなのだが、実はまだ大家さんの顔を見ていない。大家さんの家の敷地内の家を借りる形になるし、家賃も手渡しなのでちゃんとお付き合いしなくちゃで、留守でなかったら挨拶したかったのだけど。

今回の物件、古いとはいえかなり安いので、「どこかに落とし穴があるんじゃないか」という不安が未だに消えない。んで、落とし穴があるとすればあとは大家さんくらいなのだ。最初に家の内見をしたときには「年配のご夫婦」だったハズの大家さんが、契約のときにはいきなり「お母さんと同居している息子さん」になっていたときから、一抹の不安を覚えている。全国の孝行息子にはゴメンなさいだけど、どうも私の中には「年配の母親と同居している独身の息子」に対する抜きがたい偏見があるようで…。顔見てそうじゃなかったら霧散する偏見なのだけど、ああ早く挨拶したーいっ。

引越しといえば、待ちに待った『LotR』のSEE。届きました。届きましたとも。―――泣く泣く、引越し荷物に封印です。だって見る時間がどうしても取れないんだものっ! 悔しいので感想を書いてありそうなサイトにはしばらく足を運びません。人の感想読むの好きだし、どんな感じなのか知りたいけど、自分が見る前には読みたくない。悔しくて堪らなくなるしなー。引越と仕事が一段落ついてからのお楽しみにしておきます。くそー。

さてと。先日書いたダイビングフェスティバルでも、も一つ面白いコトがあったのだった。とあるブースで「あなたは水中でバディに○○と言いたいと伝えられますか?」というアンケートに答えていたときのコトである。その下には「見て!あそこにキレイな青い魚がいる」「タンクのベルトが緩んでいるよ」「穴の中にサメがいるから気をつけて」など、10個ほどの文章が並んでいた。私はいちいちマジメに、どんな動作をすれば伝えられるかを考えて、○×をつけていった。10個のうち、×がついたのは3つか4つだったと思う。

答え終わると、ブースのお姉ちゃんが用紙を回収しながらこう聞いた。「どうですかー? 一つでも○をつけられるの、ありました?」 彼女は私の用紙にちらっと目をやり、けげんそうな顔で「こんなに伝えられるんですか? すごいですね! “タンクのベルトが緩んでる”って、どうやって伝えます?」と聞いてきた。その瞬間、私は自分の勘違いに気づいた。

水中での会話は、基本的にハンドシグナルによるものである。スレートに書くこともできるが、別に水中で人生相談する必要もないんで、普通は「気をつけて」「落ち着け」「待て」「寒い」「助けて」「おかしい」「大丈夫」「エアがない」などの基本的な言葉を伝えるだけで事足りる。だから設問にあったような、細かいニュアンスを表す動作はないハズなのだ。あのアンケートは、全部に×をつけさせ、「そうですよねー、ハンドシグナルだけじゃ、言いたいことを上手く伝えられませんよね。でも、伝えたいと思いませんかー?」と話を展開させるためのものだったんである。よく見ると、ブースには何とか手話を覚えよう!というポスターが貼られてあった。

私はちょっと恥ずかしくなって、小さな声で答えた。「すみません……。私が伝えられるのは、この人たち限定なんです……」。それを聞いて、友人たちも口々に言った。「あ、私もそのパターンで考えていた!」「私も!」。彼女たちの用紙を見ると、1人のにはやっぱり6〜7個の○が、もう1人のにはなんと10個の○がついていた。ブースの姉ちゃんは「ああ! じゃあ、誰にでも伝えられる共通のじゃないんですねー」と納得した様子で、「でも、それも大事ですよね」とあまり効かないフォローを入れていた。

水中で私らが、複雑な内容を伝えようとして、身振り手振り顔振りでバタバタやってる様子がリアルに想像できて、ちょと笑った。

2005.2.4

友人宅に泊まった次の日はビッグサイトへ。『ダイビングフェスティバル2005 〜リゾート&ツアー〜』というイベントに誘われたからである。ダイビング仲間4人が揃っていく予定だったのだが、1人はもうすでに自分用のドライを購入した余裕からかドタキャンで、残り3人で足を運んだ。そうゆうのに行くのは初めてだったから、器材の即売会の大規模なのかなーと思っていたら、駄菓子菓子。各ブースの内容は盛り沢山で、たっぷり4時間楽しんで足が棒になってしまったのである。2時間くらいで回れるかと思ったのにー。

入ってすぐの辺りは器材メーカーのブースが多かった。まずはさらっと流して会場の端っこに行ったとき、まず最初に捉まったのが沖縄の海底洞窟を紹介するブースだった。ここのメイン展示は1/87のスケールで作られた海底洞窟のミニチュアで、怖いくせに洞窟に惹かれる性の私が歓声をあげつつ眺めていたら、ブースのお姉ちゃんが話しかけてきた。

私らの質問に答えその人が興奮気味に語った話(「入り口は35mのところにあるんですよー!」「最初の4mくらいは狭いです。ぶつからないように気をつけて進むと広くなっていて……」「ここに大広間があるんですよ!それが明かりに浮かび上がる様子がもうもうなんて言ったらいいのか……!とにかく見てください」「まだ全部調査はされていないんです」「タンクを2つ担いで入るんですよ!」「生き物?いるんですよ、それがー。この洞窟でしか見つかっていないカニとか…」)を聞いているうちに、むくむくと「今はムリだけどいつか……」という想いが頭をもたげてくる。

以前テレビでアメリカかどこかの地下洞窟(もちろん水中の)をマッピングしつつ探検している男の人たちを見たときは「こっわー、この人たち、変! 私には絶対ムリだよう!」と思ったものだけど、実際に潜った人が目の前にいて「もうがーっと」「ぶわーっと」「どわーっと」を連発しながら話していて、「男の人より女の人の方が好奇心旺盛みたいで、お客さんも女性が多い」とか言われちゃうと、私にもできるんじゃないかなーと思えてきちゃう。しかし洞窟に対する恐怖心と、それでも妙に惹かれる気持ちは、トム・ソーヤの影響なのか、それとも怪人二十面相の影響なのか。

そこからはもう、「いつか行きたーい」「いつかやりたーい」「いつか見たーい」の嵐。スマトラ津波で打撃を蒙った地域からも「この地域なら全然問題ないのでぜひ来てください」と復興の様子を伝える写真や資料の展示があって、ほんの数日前に撮られた街や海の様子を見ると予想外の回復ぶりでビックリした。そうゆうの、全然テレビじゃやってくれないんだものなー。あの辺には、下手すりゃ数年はいけないものだと覚悟していたのだ。新潟みたいに「もう大丈夫なのに観光客が怖がって来てくれなくて困ってる」なら行きたいけど、「今は復興で手いっぱいで観光客どころじゃない」って感じのところに、無神経に遊びに行っちゃいけないんだと思っていた。でもそうゆうことなら、来年か再来年には絶対に行きたいな。今年は先約があってムリだけど。

マスクやフィンの展示ブースで新製品を触ったりつけたりさせてもらい、ついに出た小型ビデオ(ハウジングつき。しかもそう高くない!)にクラクラし、写真コンテストで好みの1枚を選ぶのに迷い、会場のほとんどを回ってやっと、今回のイベントの招待券をくれた三浦のダイビングショップのKさんにめぐり会えた。彼も三浦の海を紹介する展示をしていたのである。ここで彼が声をひそめて教えてくれた。「あのさ、WorldDiveのドライ買う気なら、急いで買った方がいいよ」。

私は去年の暮れ、WDのドライを買った。伊豆で馴染みのショップで破格の割引キャンペーンをやっていたからで、そこのオーナーで私が信頼しているSさんが「ドライはここのがいい。量販店なんかだと値引き後のWDよりももっと安いのがあるかも知れないけど、質が違う」と強力にプッシュしていたからである。この前三浦でKさんに連れられて潜ったとき、Kさんが着ていたのもやっぱりWDので、Kさんも「ここのが一番いい」と言っていた。だから、この日一緒だった2人も「ドライはいつか買うけど、買うんだったらWDの」と思っていたじゃなかろうか。それを「早く買った方がいい」と言われちゃ「どうしてですかっ」と食いつかないワケにはいかない。

「オレもWDの来年のカタログ見てビックリしたんだけどさ、ほら、原油が値上がりしてるじゃん。原材料が値上がりしたせいらしいんだけど、みんな2〜3万上がってるんだよ。4月頃には上がるから、買うなら今だよ!」。2人がグラグラ揺れてるのが、わかった。1人飛び上がって喜んだ(←性悪)のは旧価格で、しかもさらに割引で買った私である。「ほーらほら、だから一緒に買おうって言ったじゃーん」。……いや別に、人の不幸を喜んだんじゃないんである。買っておいてよかった〜とは、思ったけど。これで2人が買う気になってくれたら、一緒に冬のダイビングができるから、喜んだんである。

展示の残りを見てまわり、会場を出る前、最後にもう一度入り口近くのWDのブースに行った。最初にちらっと見たときと違って、今度は2人の目が真剣である。私が買ったエントリーモデルを見てあれこれ話していると、ブースの責任者らしいおじさんが話しかけてきた。この人がまた、私らが弱い「自社の製品が好きでたまりませんっ」なトークをする人で、その人からWDの特長(縫製に自信があるそうだ)やオプションでつけられるオススメ機能、スーツのタイプの違いなどを聞かされて、2人はすっかり買う気になり、私はWDのを買ったコトににんまりし……。Kさんが「うちで買うなら2人には特別割引するよ」と言ってくれたコトもあって、4人揃って潜りに行ける日はそう遠くなさそうです。

その後DECKSに寄って、食事とショッピングでまた4時間以上を費やした。ウィンドウショッピングはすぐに疲れてしまう私だけど、自分の好きなモンなら平気なんだなー。最初にアウトドアの店に行ったら、最近海海で山の店にちっとも行ってなかったせいか楽しくて仕方なくて、友人は見るだけのつもりだったリュックを買い、私は買うつもりもなかった(ぼんやりと欲しいなーとは思っていたけど)1〜2泊の旅行用のバッグを買い、もう1人はスキーウェアにも使える防水ジャケットを買……いそうになったけど、「やば、私ドライ買うんだ」とすんでのトコロで思いとどまった。

その後、台場一丁目商店街をブラつき、おなかがすいて死にそうになってきたので台場小香港で食事をし、さらにブラつき。かなり疲れたけど楽しい週末でございました。

2005.2.2

今度は桶川に行ってきました。蔵が建ち並ぶ通りはなかったけど、ぽつんと立派な蔵があったり店構えの立派な老舗があったりで、バスの窓から外を眺めるのが楽しかった〜。昔の城下町や宿場町はばかにできないね! ところで本当に古いものの横に並べるなら、“形だけ古っぽく作った偽モノ”じゃなくて“新しいけれど古くなればなるほど味の出そうな本モノ”だと思うんだけど、どうよ? 初期投資は大変だろうけど、いいモノは年ふる様子がいちいち絵になるんだから、長い目で見たらお徳だと思うんだけど。

さて先週の金曜日は、THEATRE COCOONにNODA MAPの公演の『走れメルス〜少女の唇からはダイナマイト!』を観に行ってきた。後ろ寄りの席でもほぼ舞台の中央だったので、野田さん得意の舞台美術を堪能できて大満足。NODA MAPの最近の話は国や民族の興亡だったり周囲を巻き込んでの大恋愛だったりで、ギャグシーンをあちこちに散りばめながらも、最終的に壮大な感動物語を謳いあげるというパターンが多かった。だけど今回の感想は「久しぶりに遊眠社っぽかったねー! 何やってるんだか何を言いたいんだかサッパリ分からなかったけど面白かった!」だった。ホントに話はわからなかった。でも、言葉遊びと体力で勝負する役者たちが、面白かった。しかし友人によるとそれは当然で、今回の舞台は遊眠社時代にやったものの再演なのだそうだ。うわー、オリジナルメンバーの舞台と比べてみたいー!

古田さんは相変わらず良かった! 舞台で引っ張りだこなのがよく分かる。ギャグやろうとシリアスやろうとアドリブやろうと一級品だもの。それに今回の役はすごくイメージに合っていた。野田さんも相変わらず。女性役がよく似合う。一時期あの芝居が癇にさわるときがあったけど、最近は好きよ。間の取り方とか上手いんだよなー。古田さんと野田さんの2人のシーンは絶品でした。中村勘太郎もなかなかいい雰囲気を出していたし、小西真奈美もガンバっていた。舞台での演技も悪くないし、意外によく声が通る。

河原雅彦は苦しかった。滑舌が今イチで、立て板に水の如くに台詞を喋らなくちゃいけない野田さんの脚本だと、何を言っているのかよくわからない。彼と小西真奈美の2人のシーンはキツかったなー。小西真奈美もときどき台詞が流れて聞きづらくなるのだ。でも河原雅彦と深津絵里とのシーンだと比較的聞きやすくなるから不思議。片方がしっかり聞き取れると、もう片方も見当がつくからかしら? すっかり野田さんの舞台の常連となっている深津絵里も、相変わらずいい感じだった。

脇役に、馴染みの役者が2人いた。本公演は欠かさず見に行っているカムカムミニキーナの代表で脚本・演出をやっている(もちろん舞台にも立つ)松村武さんと、今はもう解散してしまったけど大好きだった惑星ピスタチオの座長、腹筋善之介さんだ。―――言いたくないけど、明暗がわかれたなーという感じ。

松村さんは良かった。もともとカムカムは「遊眠社っぽい」と言われていた劇団だ。言葉遊びや立て板に水の長台詞はお手のもの。自分の劇団では八嶋さん以外に止められる人がいなくて、好き放題に暴走している松村さんが、脇で周囲に合わせた演技をしているだけで新鮮に感じるし、台詞は少なくても一言一言が胸にきちんと落ちてくる。反対に腹筋さんは……存在感がなかったし、挙動不審だった……。彼は脇役のできる人じゃないのだ。主役クラスじゃないとダメなのだ。つか、ピスタチオ以降、彼が光っているのを見ていない。好きなのに。とても魅力のある人なのに。とてもとてもとても残念だ。

この日は一緒に見た友人の家に泊まる。会ってから急遽決めたので、必要なものを買い揃えるのが大変だった。パンツを探して三千里、って感じの夜。

Copyright© 2001-2012 To-ko.All Rights Reserved.