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2003.9.16

昨日の夜、3日ぶりの我が部屋に戻ると留守電にメッセージが入っていた。母からである。「おーい、いないのー? また遊び歩いているのかーい?」。………失礼な! 私を何だと思っているのさ!

月がぽっかりとゆうワケで、三連休は伊豆に行ってきた。今回は友人と2人で、土日続けてのダイビング。金曜の夜に最寄り駅に着くと、お馴染みのダイビングショップの車が見える。ショップに宿泊する客を迎えにきているらしい。これは混んでるかもなー、と思いつつ、私らは友人家の別宅に向かい、ぽっかり浮かんだ月を眺めただけで酒も飲まずに早寝。次の日にダイビングが控えているときだけ、品行方正な私たちである。

次の朝ショップに行くと、小さな部屋はいつになく混んでいた。ガイドもいつものSさんTさんだけでは足りず、Yさんがヘルプに加わっている。たまに手伝いにくるというYさんとは初対面だったが、すごくいい人だった。彼が私(30数本)と友人(30数本)、それにショップに初来店のMさん(50数本)Kさん(30数本)をまとめて担当するコトになる。あ、カッコ内は経験本数ね。ショップではだいたい経験本数でグループ分けが決まるのだ。「グループ分けどうする?」って話をしてるとき、ショップオーナーのSさんが私らを指して「こっちはベテランだから」と言うからギョッとしたが、聞いてみると他のグループはファンダイブ初めてって人の集まりだったのだ。ま、まあそれに較べりゃ、ね。

さて、土曜日は伊豆海洋公園。今年は西より東がイイのかなー。去年は海洋公園にほとんど行けなかったのに、今年は「ココでこんな静かなのは珍しい」ってほどの凪ばかり。この日も空は快晴、海は西からの風が入っているものの、かなり静かだった。ダイバーで激混みだったけど、まあそれは仕方ないね。こんな天気なら海に入りたくもなるってもんだ。さて、1本目のポイントは1の根。エントリーポイントから潜降すると……うわあ、今日はキレイだあ! 上層の暖かい部分も澄んでいて、しかも天気がいいから色がブルー。嬉しい〜。最近グレーや緑の海ばっかだったもの。それだけですっかりりラックスしてしまう。魚の種類も多かったけど、たぶん何もいなくても楽しめた。あと最後の頃にツムブリが出てきたのは嬉しかった。やっぱ大きな魚は好きだわ。気持ちイイ。

伊豆海洋公園伊豆海洋公園伊豆海洋公園
左:西からの風がちょっとだけ。 中:木の向こうにはダイバーの群れ。 右:休憩場所から。

お昼休憩を挟んでの2本目は、正面の砂地へと潜る。「そろそろイケるかしら…」と思ってウエイトを1kg減らしてみたら、少し潜降に手間取ってしまった。ガッカリ。砂地との境目の岩場を降りていくと…うひゃー、またサーモクライン! しかも下の層、冷たすぎ! 水温が17度しかない。この季節だと下でも22〜23度あるのが普通なのに、どうも今年はおかしいらしい。その分水は澄んで透明度は15mくらいあるけれど、いくら何でも寒すぎる。長居をするとガタガタ震えてくるくらい。んでもその寒い層に南洋系のツノダシが1匹だけいたのだ。ダイジョウブかよ。

寒さのせいで友人のエア消費が早くなり、それに焦ったのか海洋公園は久々だというYさん、エキジットポイントにかなり遠い場所で、浮上の指示を出してしまう。海面に顔を出した私らが「えーっこんなに水面移動するの〜っ」って表情をしていたのか、「曳航してあげるから手を繋いで」と申し出てくれるYさん。そのまま4人を引っ張って岸へと向かう。スゴイ! いや私らもちゃんと協力して泳いだ。泳いだけど、それでもスゴイ。ぐいぐい引かれるのが分かるんだもの。キック力が違うんだなあ…。水が澄んでいるおかげで、水面移動中も色んな種類の魚が楽しませてくれた。ふふー。

その夜は、ショップでBBQと花火大会。久々のBBQも楽しかったし、花火はお客さんの1人がわざわざ浅草橋の問屋で買ってきてくれただけあって、上物ばかりだった。私はムカデに刺されたけど、普段あまり話せない他のお客さんと一緒に楽しめて、大満足。Mさんは初来店とは思えない馴染みっぷりだったし、彼女の連れのKさんもおっとりしていてステキな人だ。次の日また一緒に潜れるのが、楽しみで仕方なかった。10時頃お開きでまた明日。

BBQ大会BBQ大会
「女のコが買い出しすると野菜が多いねー」と言われたけど、多いのは野菜ばっかじゃないんですぜ?

この日のログはコチラコチラ。写真あり。

2003.9.12

会社でカタカタカタカタ…と文書を作っていた。ふと気付くと「その3」がタイプミスで「そも3」になっていた。気付いた瞬間、脳裏に「せっぱ!」と声が響き、ニヤけてしまった。そもさん!せっぱ! 口にするだけで楽しくなってくる言葉の一つだ。お坊さんが羨ましい。

さて。とりあえず感想は全部書くコトにしました>『十二国記』。(私信:ねえちょっと心配なんだけどY子さん。私にこのシリーズを貸したコトを後悔してない? それなりに楽しんで読んでるのよ、ホントのホントに。だからまたオススメあったら貸してねー。)

まずはシリーズ2作目『風の海 迷宮の岸』。これは面白かった。「う〜ん」と思う部分もあるんだけど、私は絆の物語に弱いから。これを読み終わった段階で、気になるコト。

続いてシリーズ3作目『東の海神 西の滄海』。これはまた、主人公の片割れ(六太)が好きになれませんでした。何もしないくせに文句ばっかりな人は、どうもダメ。彼が王という地位にある人を信用できないのは別にイイんだけど、選んでしまったんだから覚悟を決めようよ。決められないんならせめて、不満は自分の胸のウチにしまっておきましょう。王がバカだと言いふらしたトコロで、足を引っ張るだけで何の益もないんだから。つか、小野不由美さんのキャラはあまり悩まない方がイイです。やたら頑なになるんだもん。2作目の要程度なら可愛いけどね。

あと悪役! 悪役の美学は〜っ? ラストであんな醜態さらしちゃダメだー。それか、どちらにも理があり、それを信じる人がいて、でも両雄並び立たずってのがイイ。…って私の好みは置いておいて。まあああゆう人物造形もアリなんだけど、それだったら前半に「あれ? この人って立派そうなコト言ってるけどひょっとして…」と思えるような伏線が欲しかった。「州の自治が目的だった筈なのに、なんでいきなり王位(上帝位だっけ?)を要求すんの?」とか「巷の風評だけで王を判断して、いきなり謀反っつーのはどうよ?」とかは引っかかったけど、これは伏線というより穴に思える。

3作目を読み終わった時点で一番気になるのは、「この世界の天帝は何をしたいのか。どうゆう世界を創りたかったのか」ってコト。↑で書いた“2作目読了段階で気になるコト”の1個目もそうなんだけど、神と世界との関わり具合、距離感が今イチ掴めない。例えば王が蓬山で天勅を受けるときの描写や、他国を侵略したら王も麒麟も死んじゃうなんて設定からすると、天帝の存在はすんごく近しいようなんだけど、でもそのワリにあちこち抜けている。だって王が玉座にいないと国が乱れてしまうのに、こんなに見つけるのが難しくてどうするよ。面倒みたいなら手取り足取りとことん面倒みろ、王や麒麟や人間たちに世界を任せるなら信用して任せてやれって感じ。

こんなコトばっかり書いてると、私が“細部まで綿密に作りこまれた、隙のない世界”じゃないと楽しめないようだけど、そんなコトはない。まず物語に力が、勢いがあればいい。隙があっても読んでる最中は気付かせないくらい。あとから考えて「そういえば変だ」と思っても、読んでる最中は夢中になれるなら、問題ない。それにツッコミどころのある物語は、ある意味好きだったりする。アシモフの『ファウンデーション・シリーズ』なんか口から出任せなのが丸分かりで、「も〜、巨匠ってばあ。この理屈、後付けでしょう絶対! 最初はこんなコト考えてもいなかったでしょう!」と思うけど、実はけっこう好きだ。或いは言い訳がイイ方に転がってる場合とか。そうゆう場合、最初から意図した設定だったのか、後から苦し紛れに捻り出した言い訳がハマったのか、憶測を巡らすのも楽しい。

とゆうワケでがんばれ『十二国記』。シリーズ完結までに「ああ! 最初は変だと思ったけど、そうゆうコトだったのか! 私の読み方が浅かった!」と思わせるコトができたら、君の勝ちだ。

2003.9.11

ヤツを見るのは多くても1年に1度、という平和な我が家だったのですが、ここ数週間で3匹も見てしまいました。プラス、妹も1匹。これはもうどこかで繁殖してるに違いない。まるでホラーハウスに住んでいるかの如くドキドキしています。昨日など、いきなり飛びながら登場。そっこう財布を握り締めて近所のコンビニに走ってシューッと吹きかければ済むやつを買いました。戻ってヤツを探しだし、仕留めるまで30分以上かかりました。もう半泣き。スリッパでパーンッとかできる、逞しい女になりたいです。つか、平気な人、婿に来て。この際、嫁でも文句はいいません。

さて。日常話ばっかり書いていたら本の感想が溜まってしまう。先日、佐々木譲さんの『犬どもの栄光』を読了しました。これは、氷室冴子さんが『ホンの幸せ』の中で 「自分はこの本を、『すべてが等価で、男と女も等価で、だからこそ普通の女も読めるハードボイルド』と読んだのに、男友達は『女がアホなばっかりに男がヒドい目にあう物語』と言った。男と女の間には、やっぱり暗くて深い河が横たわっているのかなー」 (要約)と書いていたので、自分はどっちの読み方をするんだろう…と興味を持った本です。結論は(うーん、どっちの言うコトも分かるなあ)、でした。

ヒロインの啓子は、よくハードボイルドに出てくる「いねーよ、こんな女」ってタイプでは、まず、ないです。「女がアホなせいで男がヒドい目にあう」という言葉で連想するような、賑やかしでキャーキャー言って、考えナシで、事態を悪化させるくせに思わせぶりな(ホントはただ内容がないだけなんだけど)言葉を呟いたり色気を振りまいたりしているだけで女神扱いされるような、そんなヒロインではない。彼女の造形はリアルだと思います。…けど、彼女の軽率な行動のおかげで亮平が大変な目にあったのも、ホントなんだよなー。

ところで、人が面白いと言った本を読んで「今イチ」と感じるときって、「趣味が合わない」と思う場合と「共感能力の差だな」と思う場合に分かれません? その人の褒めてる理由は頷けるけど、他に気になるトコロがあってノれない場合が後者で、氷室さんだとそっちが多いです。自分と同じ性格のヒロインにしか感情移入できないワケじゃ決してないんだけど、納得ができないとダメなんですよ。この本の場合だと、啓子がなんでそんなに亮平の正体を詮索したがるのかがよく分からなくて、話にノり損ねてしまいました。たぶん、彼女が彼の正体を探り出さなくてはいけないもっと強い理由があったら、もっと素直に世界に入れた気がするんだけど。

んで、ノれなかったときの悪いくせで「こういう場合、自分だったらどうするだろう」と考えながら読んでました。初対面でいきなり男に殴り倒されて気がついたら縛られてて、でも話したら誤解が解けて「人違いでしたゴメンなさい」で釈放されたら。…警察に行くか、もう関わろうとはしないだろうな。まず無難なトコロでは。でもそれじゃ話が進まないので、「では男に興味を持ってしまって、彼が何を隠しているのか知りたいと思ったら?」。最初は、啓子と同じ行動を取るかもしれません。彼に家を貸している不動産屋とか、彼の勤め先に行って、さりげなく話を聞いてみるかも。なんせ最初に殴り倒されているんだから、いきなり彼にぶつかってはいかないでしょう。

この辺の彼女の行動が軽率なのは、まだ仕方ないと思えます。暴力と無縁の世界で生きてる人間が、いきなり「おれは命を狙われてる」と言われても本気にはできないでしょう。「へー、スゴイね」とか「頭ダイジョウブ?」とか言ってしまいそう。新聞記者の男友達に、犯罪にかかわって逃げている人間じゃないか調べてもらうのも、まあ許容範囲かな。でもその先は、プライベートに踏み込みすぎだと思います。緊急連絡先に電話してみるとか、免許の本籍地を調べて連絡取ろうとしてみたりとか。家族や親戚だからいいだろう、と、勝手に彼の現住所を教えるのなんか問題外。それがホントの家族だとしても、どんな事情があるのか分からないのに。

それに。彼に仕事を頼むなら。彼の家を訪れる理由ができたなら、もう裏でこそこそ調べるのをやめますね。本人に直接聞くわ。それだけの価値があると思うなら、一歩ずつでも信頼関係を作り上げて話してくれるのを待つし、そう思わないなら、ガンバる価値がないと思うなら、詮索もしません。ビジネスライクなおつきあいだけにしておきます。ましてや、「もう詮索しない」と約束しておきながら詮索を続けるってのは、絶対にしない。絶対に。…ああ、要するに私は「相手の人生に関わる覚悟が見えないくせに、好奇心だけで踏み込みすぎる」のが気に食わなかったのかな。そゆコトか。

……書いてて思ったけど、ハードボイルドに向いてる性格ではないんですね。私が主人公だったら、何の事件も起こらずに話が終わってしまうだけかも。

2003.9.10

徹夜の疲れが日曜だけじゃ抜けず、お疲れモードのまま月曜は別の友人とデエト。まだ誰にも言っていなかった、ここ数ヶ月間のモヤモヤを話し、「真っ当な反応じゃない?」と言ってもらって、ちょっと軽くなった。ありがと。これで「友人が少ない」なんてボヤいたらバチが当たるな私ゃ(いや実際、数は少ないけど)。今度は体調万全なときに、ちゃんと濃いお酒を飲みに行こうねえ。

昨日の日記にちょっと関連するのだけれど。「諦めない」人を見て嬉しくなったのは、半年ほど前にそれとは全く正反対の対応をした人の話を聞いて、悲しくなったのを思い出したから。シチュエーションは全然違うのだけれど、そっちの人の諦めっぷりを聞いて「それでイイの? もったいない!」と思った。「去るものを追わず」と表現すると、カッコいいように、潔いように聞こえる。でもその人の相手は、傍から見ている限り、去ろうとはしていなかったんである。それなのに「じゃあもうイイよ」で済ませてしまうのは、どうだろう。相手が「私はあなたにとってその程度なんだ」と思っちゃうのも、仕方ないんじゃないだろか。関係って、お互いの気持ちがあって初めて成り立つもんなんだから。

うーん、上手く言えないなあ。とにかく、もったいない気がしてやりきれないのです。世の中に“合う”人はたくさんいるかもしれないけど、次々に切れ間なく“合う”人が見つかるほど世の中狭くないし、せっかく巡りあった“合う”人との関係を些細なすれ違いでダメにしてしまうには、人生は短すぎる。私たちの時間は無限じゃない。と、最近つくづく思う。…トシかしら。それとも『エースをねらえ!』を2度も読み返したせいかしら。どっちでもイイけど。どっちでもイイから、人との関係は大事にしたい。どうしようもないときだってままあるけれど、どうしようもないと思えるまでは努力したい。多少みっともなくたって。

2003.9.9

珍しく何の予定もない土日。掃除をして洗濯をしてゆっくりメールを書いて忙しくて書けなかった分の日記をUPして、あ、携帯の機種変更にも行っちゃおうかなー、なんて思っていたら、友人から電話が入った。「あのさ、Aのコトなんだけど、一度会って話聞いた方がいいと思うんだ。今日、忙しい?」。Aとは、電話をかけてきた彼女(B)と私、共通の友人で、もうずっととある懸案事項を抱えている人である。最近、その懸案事項が更に悪化するかも…という話は聞いて心配していたので、二つ返事で「全然ヒマ。大丈夫」と答え、ざっと掃除だけしてAの家に向かう。

話を聞く、だけのつもりだったのに、Aのダンナが寝てしまった夜半すぎから、なんとなくの流れでめちゃ深い話し合いになってしまった。3時。まだ話す。4時。まだまだ話す。5時。「ねぇ…そろそろ寝ない?」という言葉も宙に浮く。6時。もう外は明るい。マジですか。徹夜コースですか。7時。やっと話が沈静化。7時半。休日出勤のBが帰る。徹夜明けで仕事かよー、タフだなー、と言いながら、私とAは昼まで爆睡。起きてから、またちょっとだけ話す。徹夜なんかする予定じゃなかったので、すんごく疲れた。そして、すんごく、面白かった。

私は最初、AとBが話しているのを、マンガ片手に聞いていたんだった。その時点では、Bの意見は行き過ぎに思えた。とても出来ないコトを、しろと言っているように聞こえた。でも。マンガ片手にした私の生反論に、ちゃんと答えてくれるBの話を聞いているうちに、「あ」と思った。やっと彼女の言ってる意味がわかった。事態を変えるには半端じゃない覚悟が必要で、それはBも重々承知している。その上であえて、ハラを決めて事態を動かせ、と言っているのだった。それは、私の考えが及ぶ外側にあった。「この人、すごい…」と思ってしまい、マンガどころじゃなくなった。

話しているうちに、「彼女ってホントに諦めない人なんだなー」と感じ、そこもスゴイと思う。私はけっこう欲張りな方じゃないかと自負しているのだけど、彼女には全然敵わない。年齢を重ねるに従って、事情ばかりが増えていき、諦めるコトや言い訳ばかりが上手くなってしまうものなのに。人がそれをやっているのに気付くと寂しく思ってしまうくせに、私も「仕方ないな」と努力をサボって、諦めてしまうときがあるんだもの。タフなのはもともと知っていたけど、何歳も年上の彼女がこんなにも物事に対して真摯で一生懸命なのを、改めてつくづく感じる。嬉しくなる。

それでもやはりBの示す道はAに対してキツイのも確かなので、Aの今やってるコトもスゴイと思っている私としては、「でもさー。このままでいるコトで生じる不利益を甘受するつもりがあるんなら、それも一つの道なんでない? 覚悟を決めない覚悟ってのもあるんじゃない?」とぽつりぽつりと言葉を探してみたのだけれど。自分にも、他人にも厳しいBの言葉の正しさ(つか、効用?)は認めながらも、それに全面的に同調はできなかったのだけれども。夜を明かして語りながら、頭の、話とは関係ないどこかでずーっと、「この人と知り合えてよかったなあ」と考えていました。ホントに、シアワセ者だ。私は。

予定にはなかった、貴重な一夜。……でも、徹夜はキツかった…。

2003.9.3

同じ会社で働いている派遣仲間が、10月頃を目途に辞めようかと考えている、と話してくれた。何年もずーっとお昼を一緒にしていた人なので、すごく寂しくなっちゃうって私のワガママは置いといて、「自分で疲れてるのがわかるから、ちょっと休みたい」という彼女の言葉には、心底納得してしまった。その理由だったら、思い直すコトなくホントに辞めちゃうだろうなあ…。

思えば私も6月頃にはすっかり辞める気になっていたんだった。辞めたら、せめて半月は間を空けて休もうと思っていた。それが仕事が忙しくなって時期を逃してしまい、今は遊びすぎでお金がなくて自分からは辞められない状況。今の職場に入って、もう5年? 6年? 一つ所にこんなに長くいたのは初めてで、それを考えると何となく気詰まりになる。一度全部白紙に戻してやり直したいような気になる。…あ、別に今の仕事に不満があるとか後悔してるとか、そうゆう話ではなく。馴染みすぎて「鬱陶しい」とまでは行かなくても、それに近い感覚。なにか、新しく、始めたい。

根本的に浮気性なんだろうか。派遣仲間の彼女も私も、あんま一つ所に属したくないタイプなんだよね。仕事にそうゆうのは求めていないんだ。プライベートの人間関係は長く大事にしたいけど、仕事は違う。一度キレイに断ち切ったらスッキリするだろう。そして、真っ白になって、次になにをするか考える。そしたら、この何となく圧し掛かる重みも、消えてなくなるのは知っている。

…………知っているのに。「キッカケが欲しい」と思ってしまう私は、怠惰にすぎるよな(派遣仲間の彼女には立派なキッカケがある)。10月からまた3ヶ月の契約更新の決定を聞いて、半分安堵し、半分、落胆する。

2003.9.2

複数の方からかなり強力にプッシュされていた小野不由美さんの『十二国記』。こないだの正月休みに友人からまとめて貸してもらった『十二国記』。ずっと部屋の片隅に積んであった『十二国記』。今度の正月休みには返さなきゃなーと思っていた『十二国記』。…に、やっと手をつけました。シリーズ最初の『月の影 影の海』を読み始めて30分後、(ナゼ陽子(←主人公)を好きになれないのだろう…)と分析を始めてる私がいました。えええええっ? 『十二国記』もダメ?私? 小野不由美さん苦手? Y子さんゴメン〜。すごく楽しみにしてたのにー。

小野不由美さんとの出会いは遅く、いきなり『屍鬼』でした。おぼろげな記憶を辿ると「全体の雰囲気は好みだったけど、人物にはちっとも感情移入できなかった」という感想が掘り起こされるのですが、読了後すぐに書いた文章を読み返してみると、もっとボロクソですね。我ながら(そこまで言うかよ)ってくらい、言ってます。「鬱陶しい」ってアンタ…。んで、この文章を頼りに更に記憶を掘り続けてみると、私がダメだったのは小野不由美さんが描く人物たちの、視界の狭さだったような気がしてきました。「こうするしかないんだ!」「他に方法はないんだ!」って、あるよ。あるから。もっと広い視野を持とうぜ、みたいな。

<さて以下、ネタバレしまくりなのでご注意を。>

『月の影〜』の陽子にも、ゴメンなさい、似たような感想を持ちました。最初の態度は、まあイイです。ごくごく平凡な女子高生がいきなり妖魔の群れに襲われて、得体の知れない男にワケの分かんないコト言われて、闘えと剣を渡されて、あまつさえ何処かへ連れ去られようとして、はいそうですか分かりました闘いましょうえいやーっ、と、納得できるハズがない。事態を飲み込めるワケがない。だから最初の態度が、まるで古いB級SFに出てくる、キャーキャー悲鳴あげて邪魔ばっかりする女みたいなのは、いい。気に食わないけれど、陽子が目を瞑るシーンも見逃しましょう。

あ、剣を知らない陽子に剣を振るわせるため、陽子の体には彼女の体を操るコトのできる妖魔が憑いているのです。陽子が目を瞑っちゃうとこの妖魔が何にもできなくなっちゃうの。なのにそれが分かっていながら陽子は、妖魔の群れに襲われて闘う必要があるって場面で、目を瞑るのです。生き物を斬るのが耐えられない、自分が目を瞑れば斬らずに済む、という理由で。……私、こうゆう「牛さん食べちゃうなんて可哀想」的感覚って好きじゃないんですが、まあ、最初っから平気でばんばん斬りまくっちゃうヒロインってのもナンでしょうから、私も目を瞑りましょう。

しかしその後がいかーん。その後、陽子は積極的に剣を使うようになります。ナゼ? それが分からない。いつ彼女は気を変えたんでしょう。1人きりになった陽子は、闘わなくちゃいけません。いつまでも目を瞑ったままじゃ、話も進まない。けど「自分が傷ついても他の生き物を殺すよりいい」というトコロから「生きのびるために、斬るしかない」に移行するには、それなりの決意ってもんがいるんじゃないのかい? 自分が戦いを避けたせいで、仲間とはぐれ、或いは傷つけてしまった。闘わなくてはいけない。闘わなくては生き残れない、と、覚悟を決める必要があるんじゃないでしょうか。どの時点でその覚悟ができたのかがサッパリわからなかった私は、山の中で魔物に襲われた陽子が自ら剣を手に取った時点で、すごい違和感を覚えました。

そいから、陽子がいきなり男言葉を使うようになったも、唐突すぎました。服装を男物にしたからそれに合わせたのかしらん(それでも一言説明しろよなー)、とは思ったけど、蒼猿相手でも独り言でも男言葉を貫くのは変。“強く(or 強かに)なった陽子”を表現したいためだけの、作者の都合でしかないように感じます。同じように、陽子が「もう誰も信じない」モードに入ってしまうのにも、ついていけませんでした。そこまで頑なに他人を否定する前に、「もっと人を見る目を養おう」とか「甘い言葉の裏を読むようにしよう」といった段階はないのかい?と思ってしまいます。極端すぎ。

たぶん、「そうゆうマイルドな移行をするには陽子の絶望が深すぎ、心を守るためには固い殻を纏うしかなかったんだ」という読み方をするべきなんでしょうね。だけどこうゆう極端な反応を納得させるほどの絶望が、私には伝わってこないんですよ〜。感受性足りませんか。

こんな感じで全体の2/3までを読みました。ホッとしたことに、その辺で陽子が自分が頑なすぎたと気付いてくれ、性格的には引っかからなくなったのですが、そしたら話も全てがするすると動き出し、他のな〜んにも引っかからず、そのまま終わってしまったって感じ。景麒を助け出すのもやたらあっさり流すし、敵の王の動機も弱すぎる感がありました。うーん、不由美さんが書きたかったのは、陽子の心の成長…なんだろうなあ。この構成からすると。でもそれを中心に据えるには、陽子の心の動きが極端から極端に走りすぎで、一本筋が通ってないんだよなー。

さてしかし。続きは読みますよ。次の話はまた主人公が違うトコロを見ると、十二国を舞台にいろんな人をいろんな目線で描いて、やがて全体が浮かび上がってくるって構成? そういうのは好きです。時間や地域や登場人物たちを糸に、壮大な一枚のタペストリーを織り上げる感じの物語。ある物語の主人公が別の物語では脇役でちょろっと出てきたり、年を取って再登場したり、そういうの大好き。最初はちょっと躓きましたが、この先の話によってはころっと評価を一変させるかもしれませんし、楽しみにしています。つーか、楽しませて欲しいのです。

2003.9.1

今日の親指情報。3度目の、そして最後の病院。週末にいきなり好転してかさぶたが出来た! 「もう来なくていいよ」と言ってもらえた! 実は金曜日の治療中、“滲む”ではなく“流れる”レベルで出血し、「切ってから1週間近く経つのに塞がらないなんて…」と凹んでいたんですが、治療後につけてもらった指サックみたいな指専用の包帯(?)が効いた!ような気がします。指全体を軽く圧迫するみたいな感じで、金曜の夜にはもう傷が乾き始めていたもの。ダイビング中も、海から上がるたびにまめに消毒してたのが効果あったかな。やー、心配してくれた方、ありがとう。嬉しかったです。

というワケで、土曜日は友人と2人で伊豆海洋公園にダイビングに行ってきました。今回一緒だったのは、まだ10本くらいしか潜っていない初心者のご夫婦。しかも3月に沖縄で潜って以来の、久々ダイブだそうです。私と友人も30本そこそこの初心者レベルなので、4人が組になってガイドが2人ついて潜るコトになりました。8月も最後で海も凪、天気だって悪くないってコトで、かなり期待していたんですが、残念ながら今回の透明度はよくありません。しかも海洋公園、めちゃ混み。なるべく空いてるときに入れるように時間を遅めにズラしたんですが、1本目は混雑時とカブってしまいました。

先に潜っていたベテランチームに「下まで行くと抜けてるけど、寒いっ」と聞いていた通り。3〜10mの深度では透明度が5mくらいなのに、15mを越えるとすこーんと視界が開けます。水の色も濁った緑から深い青に変わって、他のダイバーの吐く息の泡が美しい……けど寒いっ。だって上の方の水温は23℃くらいあるのに、下は18℃ですよ! 差がありすぎて、サーモクラインを越えた途端に氷水に入ったみたいにヒヤッとします。絶対に長居はできないし、流れがあって進めない〜。仕方なしにウミウシ観察をしたり、今年生まれたばかりの可愛いアオリイカと遊んだりしてました。

そうそう、今回初めて自分たちのレベルがあがってるのを実感しました。いつもベテランさんと一緒なので、器材の装着にもたつき潜降に手間取り、お待たせしちゃってばかりいる印象があったんですが、今回は違いました。私らが先に器材を装着して待つ! 潜降も1度で決めて海底で待つ! しまいにはガイドさんが「先に行ってる」サインを出して、私ら2人と先に泳ぎだす(ご夫婦にはもちろんもう1人のガイドさんが付いてます)。…今まで置き去りにされるのは私らの方だったのにー。10本くらいの頃と比べると少しは上手くなっているのね〜、とやっと実感できました。

それにしても、このご夫婦は気の毒でした。前回潜ったのが透明度20m越えの沖縄。伊豆は去年の大瀬のみで、しかもそのときもコンディション最高だったそうです。それがいきなりコレでは暗くて不安だったでしょう。2本目、海中ですれ違ったときにダンナさんしかいなかったので「あれ?」と思っていたら、奥さんは1度タンクを背負って海に入ったものの、怖くなってキャンセルしてしまったらしいです。ちょっと波が出てきていたし、1本目より更に暗かったですもんね。時間をズラしたおかげで海は空いたけど、海況までは好転してくれませんでした。ショップの人の言じゃないけど、これで伊豆をキライにならなければイイなあ。「また来ます」が社交辞令じゃないコトを祈ります。

2本目の目玉はクマノミのチビと、ヤマドリの求愛行動。クマノミは体長1cmくらい。なのに一人前にイソギンチャクに隠れてるの〜。超カワイかったです。ヤマドリは最初に私がオスを見つけて、「これ何?」とガイドに合図を出しました。するとスレートに「ヤマドリ」と書いて、「触るな!」の合図。あれ? ヤマドリって毒あったっけ? …いや違う。「触るな」ではなく、「邪魔するな」の合図でした。近くにメスがいたのです。そのままジ〜っとデバガメしていると、メスを見つけたオスがヒレを広げて求愛! 地味な外見のくせにヒレは不釣合いなくらいキレイで大きい。つい最近このヤマドリの求愛行動がクイズになってるのをTVで見ていたので、何だか嬉しくなっちゃいました。

でも両方とも写真は撮れなかったです。ナゼかというと流れていたから。漕いでも漕いでも進まないんですもん。たぶん、すごく狭い範囲をウロウロしてました。あとはイワシやイサキの群れが見応えありました。前日には、イワシの群れにブリの群れが突っ込んできて捕食ってのが見られたらしいんですが、この日はブリにはお目にかかれなくて残念。でも、ふと振り仰ぐと一面に銀の魚がキラキラ群れて泳いでるってのだけでも、見事なもんです。でもとにかくこの2本目は体力使いました。上がった途端、友人とガイドさんと3人で異口同音に「あ"ーー、つかれたーー」です。「そろそろ『もう言うコトない!完璧!』ってコンディション味わいたくない?」って友人の言葉には、心から同意。

この日は伊豆に泊まって、日曜は温泉に入って帰ってきました。次のダイビングは9月の連休。今年は海外ダイブもするので、ブランク作らないように励んでます。励みすぎ。

今回のログはコチラコチラ。1本目に写真少々。

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