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2003.8.29

今日の親指情報。2度目の病院。昨日会った友人に「水圧かかるんだから、ちゃんとダイビングのコト聞いときな」と釘を刺されてしまったので(もう人の言いなりだよオレ)、お伺いをたててみると「あー、止めておいた方がいいね。汚染されるかも知れないから」と一刀両断に切り捨てられました。それでもシツコク聞いているうちに「…すっかり行く気になってるね?」とバレてしまい、「じゃー、終わったらしっかり洗ってたっぷり消毒するように。おすすめはできないんだけどねぇ」と快く許可を出してくださいました。やた。それにしても「血が出るのはいいんだよ。ちゃんと血が流れてる証拠だから」って……ホントおおおお?

さて。昨日は鴻上尚史さん初のミュージカル戯曲『シンデレラストーリー』を見てきました。“大人も子供も納得できる本物のシンデレラ”という謳い文句だったので、もっと大胆にストーリーを変えて、鴻上さんならではの新しい見方を示してもらえるのかと思っていたのですが、意外にオーソドックス。多少今風にアレンジされているものの、基本から外れないストーリー展開で、ちょっと拍子抜けしちゃいました。台詞のところどころに鴻上さんらしさはありましたけどね。でも“大人でも納得できる”ものにするために、しなくてもいい説明が多かった気がするし、最後の最後のオチは何よ。シンデレラの家柄云々で揉めていたらいきなり「クロアチア王家の血筋でした」って。唐突すぎる。これなら昔見た古い映画だか何だかのオチのつけ方の方が納得できます。(↓)

弱小王国の後継ぎのさだめとして、大国の王女との結婚を迫られる王子。しかし王子はシンデレラと恋に落ちてしまう。大国の王女の輿入れがなければこの国は滅んでしまうのだ、と、国の現状を説明し、身を引くように迫る王と王妃。シンデレラは涙ながらにそれを承諾……しようとしたとき、魔法使い登場。杖の一振りで、大国の王女は、王子の国の大臣(老人)に恋してしまう。要は大国の王女が嫁に来てくれれば婿は誰でもいいので、王女は大臣と結婚、シンデレラは王子と結婚。シンデレラがシアワセになれば他の人はどうでもイイ、という強引なオチのつけ方に唖然とした。

でも。ツマラなかったワケじゃありません。楽しみましたよ。お城の庭で王子とシンデレラがいちゃいちゃしてるのを見ながら、(あー私こうゆう他愛ないおとぎ話がキライじゃないよなー)と思ってました。自然に頬が緩んでるんですもん。キャストは豪華ですし、歌も(ときどき歌詞が聞き取りにくかったけど)踊りも楽しみました。ネズミ役にえらく踊れる人がいて、惚れ惚れしちゃった。ミュージカルじゃなきゃこの盛り上げ方はできない!って作品ではなかったけど、ミュージカルの楽しさを味あわせてくれる舞台でした。

見ながら(もし私がやるとしたら、やっぱシンデレラよりイジワル母さんか姉さんがイイなー)、とも思ってました。ただ可愛くて優しければいい、誰にでもできるようなシンデレラには、あまり魅力を感じません。や、シンデレラ役の大塚ちひろさんは可愛かったですよ。歌う声もキレイだったし。でも彼女にしかできないシンデレラじゃなかったと思う。初舞台じゃこんなものかなー、って感じでした。ずーっと両手を胸の辺りで組み合わせたお願いポーズで、小さくて、可愛らしくて、ただそれだけ。それより池田成志さんの継母が、もうもう素晴らしかったです。特にシンデレラの舞踏会の招待状を破くシーンの恐ろしさと言ったら……。大笑いしました。

宮地雅子さんのイジワル姉さんは、もったいなかったなあ。彼女はもっと一人で目立てる役をやった方がイイと思います。王子は人気の方らしいですね。私にはシンデレラに次いでどうでもよい存在でしたが。あ、足は長かった。あとマントに躓くのは王子としてマズイんではないかしら。デーモン閣下は、出すぎ。閣下がミュージカルに出ると、流れが滞るくらい長々歌うのはナゼ? 役者の1人として公平に扱って欲しいですわ。王様役の川崎麻世は、ノリすぎの感もあったけど、まあ楽しげでよかったです。おっとりした王妃さまは、なかなか好みでした。

そしてそして。最後に取っておいた伝令士ピエール役の橋本さとしさん。ラヴ!最高! 彼と池田さんがいたから、この舞台は楽しいものになったんです。王子の歌の真似をするシーンでは腹が痛くなるくらい笑いましたし、王子のどんな仕草よりもピエールのウィンクにどきどきしましたよ私は。人が芝居してる後ろで小芝居してるし、それがまた主の芝居より面白かったりするし、一緒にやってる役者さんは食われないようにするのが大変だと思うけど、見てる分には面白かった〜。

ホントに久々のミュージカルでした。この後しばらく観劇の予定がないのが寂しい〜。ダイビングに金使いすぎて、他にちっとも回してない気がします。ああ、金…。

2003.8.28

今日の親指情報(すいませんちょっと不安なのでしばらく続くかも)。絆創膏だとふやけてしまうという理由で、ガーゼと包帯で「大げさじゃありませんか」ってくらいぐるぐる巻きにされてしまった我が親指ですが、きゅっと押さえ込む絆創膏から開放されていい気になっているのか、ガーゼ交換のたびに出血します。い、いいんですか先生これで。開口部も微妙に大きくなってる気がするんですけど。「線じゃなくて面で治さなくちゃいけなくなったから、2〜3週間はかかるよ」とは言われたけど、まずは乾いてくれなくちゃ話になりませんよぅ。かーさーぶーたー。(←切望)。

さてなつやすみ話最終回。最後の日はウチの敷地内を流れる川を遡って、村の散策コースを歩き、コース途中にある広場でお昼を食べる、という予定。川はこんな感じ(一番下の写真)なので、の〜んびり遊びながら歩こう、と思っていた。ところどころで川を渡ったりもしなくちゃいけないから、濡れるのは必然だけど、まあ膝ぐらいまでしか濡れないだろう、と思っていた。だから「水着いる?」って友達に聞かれたとき、「泳ぐつもりなら。歩くだけならいらないよ」と答えた。…が。私たちがいる間中、空はよく晴れて暑かったけど、そのつい2、3日前までは雨が降り続いていたのであった。川は、増水していた。いつもの150%増しくらいで流れていた。……ヤバイかも。

水着を着てきたのは友人1人だけ。私を含む3人はTシャツに短パン姿である。一番長身で慣れてる私は大丈夫なんだけど、小柄で非力なコもいるので、「…もし、ヤバイ、これ以上行けない、と思ったら言ってね?」と念を押して出発。途中、泳げるくらい開けているトコロで水着を着てきたコが水につかる。そしてそれを見ていた1人がコケ、「一度濡れたらもう同じだーっ」と服のまま泳ぎはじめる。彼女を見ていると、私もなんだか泳ぎたくなってしまい、下(パンツじゃなくて!)だけ脱いで水に入る。うひゃーっ、相変わらず冷たいっ。けど気持ちいい〜っ。

ひとしきり遊んで、あとは30分ほど川を遡るだけ。…だけ、じゃないな。濡れても膝までのつもりだったのに、ところどころで太ももの上くらいの深さで、しかも流れが速い箇所を渡らなくちゃいけなかったのだから。水着のコともう濡れてしまった転んだコはいいとしても、私ともう1人はまだ救いようがある。釣り人がたま〜に来るくらいだし、もう恥ずかしがるような付き合いじゃないし、で、救いようのある2人は、他人さまにはお見せできない格好(=パンツ姿)で川を登りきった。「釣り人がきたらどうする?」「…謝ろう!」。そのあとは川の中を歩いたり、岸辺の岩をよじ登ったり、手を繋いで流れを乗り切ったり。ちょっとした冒険気分である。「To-koの親って、よくこんなトコロで子供を遊ばせたね」と言われたが、いや、だからいつもはこんなんじゃないんだってば。

散策コースはこんな感じ(下の3枚)。リンク先の写真は冬なので、脳内で適当に夏に修正してくださいな。今回の写真がないのは、デジカメを持って歩けるような悠長な川遊びじゃなかったせいと、途中であられもない格好をしているから(…撮ったけど)。で。この林だが、今まで80年くらい人の手が入っていなかったとかで、ホントに素敵な木がいっぱいあるのだ。ブナとかホオノキとか白樺とか桜とか。ウチの田舎に遊びにきたら、絶対に見せたいポイントである。予定通り、木に囲まれた広場でお弁当を食べ、その場で沸かしたコーヒーを飲む。電車の時間が決まっていたので、最後少し慌しくなってしまったのだけが、残念。それ意外は言うことナシだった。

でもまあ今回はお試し旅行だったから。他にも案内したいトコロはいっぱいあるので、気に入ったらまた来てください。あーーー、いい夏休みだったあ。

2003.8.27

今日の親指情報。昨日の日記をUPした後、「血が出てなくてもくっついてるとは限らない」と教えていただき、一晩寝たらまたコロッと考えが変わりました。てなワケで通勤経路途中にある病院に。絆創膏で隠れるくらいの傷なので「鼻で笑われちゃうかしら」と思っていたのですが、先生は傷を一目見た途端「ああ〜こりゃ縫わなきゃいけない傷だったね。今さら縫えないけど。なんで切ってすぐにこなかったの」とおっしゃいました。「田舎にいたもんで…(えへ)」。消毒薬と抗生物質で治るかどうか様子をみて、治らなかったら盛り上がってしまった部分を切り取って縫い合わせるそうです。ぎゃあ。ダメって言われそうなので、「今週末ダイビングに行ってもいいですか?」と聞くのは忘れました。

さあ、なつやすみ話の続き。2日目の土曜日は山に登ってきた。地元ではわりと人気のある山で、標高は700mそこそこだけど頂上からの眺めは抜群。しかも滝あり沢あり鎖場ありで飽きないお得な山である。私が登ったのは何年も前だけど、たしか2時間足らずで登った記憶があった。だから友達には「ハイキングに毛が生えたくらいだよ。本格的な登山の格好してこなくても平気。ただ鎖場があるから、手袋だけは持ってきた方がイイかもね」と話していた。…ら、あれ? け、けっこう苦労するじゃないですか。記憶にあるより長い沢歩き、記憶にあるより濡れた岩場(これはつい最近まで雨続きだったせい?)、そして最後に記憶にほとんどなかった長い鎖場。

私はイイのだ。濡れた石の上を歩くのも怖くないし、鎖場で鎖に体重をかけてひょいひょい登っていくのも、好き(ただ途中で下を見ちゃいけない、とは思った)。が、忘れていたが、一行の中には岩場が大の苦手という人がいたのであった。苦手…というより、岩場ではすんごく慎重になる人、と言った方が確かかな。ああいうのは考えちゃダメである。考えると怖くなるから、一気に勢いで進むのだ。…という理屈で体が動くハズもなく。「大丈夫、その岩さえ越えれば足場があるから!」「あ、もうちょっと左に足がかりがあるよ!」とひっきりなしに声をかけながら、頂上に向かってつき進む。「今度からTo-koの言うことは150%増しで聞くよ…」のツブヤキが耳に痛い。ゴメンよ。

山登り1  こんな滝の脇をよじ登って、

山登り2  こんな沢の際を歩くと、

山登り3  この絶景。

山登り4  反対側は山ばかり。

山登り5
上の2枚の写真を撮ったのは、稜線に突き出た2つの岩の左側のてっぺんから。

下山ルートもちょっと急で、思ったより長くかかる。私の予定では4時間半くらいで降りてこられるハズだったのだが、結局6時間近くかかってしまった。んー、人の記憶って当てにならないもんだわあ。でも両親の見込みも私と同じくらいだったので、「あまりにも帰りが遅い」と心配して電話をかけてきた。「今どこよ」と聞かれ、「たった今下山したトコ」と答えると爆笑されてしまった。ふん。

この夜は簡単メニューで焼肉。サンチュにくるくる巻いて食べる。私が指を切ったのはポテトサラダを作ろうとしてた、このとき。途中で料理番を変わってもらう。ああ、山に登る前に切らなくてよかった。

2003.8.26

綿棒でつんつんツツきまくってみた結果、指先の感覚は死んでいるのではなく、ふやけてバカになっているだけ、という結論を得た(←希望的観測)。ので、病院には行かずにマキロンと回復力に頼るコトにする。がんばれ血小板。まけるな白血球。私は君たちを信じているぞ。

さて心配事が片付いたので(?)、帰省の話をじっくり。今回はいつもダイビングやら旅行やらでつるんでる友達3人が遊びに来てくれた。私がときどき田舎の話をするので「一度行ってみたいね〜」という話はずいぶん前から出ていたのだけど、それが今回やっと実現したのだ。しかし私はちょっと不安だった。だって「To-koの田舎を見てみたい」と行ってる彼女は、虫が1匹出ただけでキャーキャー言うような人なのだ。「田舎って言っても、好きなのは“ある程度管理された、小綺麗な田舎”なんじゃないのー? 虫はぶんぶん飛び回ってるし、トイレは水洗じゃないし、風呂にはシャワーもないし、料理は薪ストーブだよ?」と事前にくどいほど念っ入りに脅かしておく。

私が帰省したのは21日の木曜日。その2、3日前まではザンザカ降りで寒かったそうだけど、私の帰省に合わせて一気に晴れ上がり、気温も10度近く上がってくれた。友達に「寒いらしいから、暖かめの服を持ってきた方がいいよ」と言っておいたのに、私も長袖持ってきたのに、大嘘つきになってしまった。まぁでも、自分一人なら雨音聞きながらマンガ読んでぼーっと過ごすのも大好きなんだけど、今回は山登りや川遊びをしたいと思っていたので、ちょうどいいときに天気が変わってくれたのはホントありがたかった。日頃の行いがイイからでしょうね。おほほ。

金曜日ははるばるやってきた友人たちを車で迎えに行き(恐ろしいコトに今回は私が運転手だ!)、食料と酒と花火を山ほど買って帰る。ウチは山の中だけど、そう遠くない場所に漁港があるので市場にも寄る。すんごくキレイな秋刀魚に惹かれつつも、今回は各種刺身を購入。それから山の中を走って走って走って走って…、辿り着いた村のどん詰まりがウチである。敷地の中をさらっと案内して(おお、大地主みたいな言い方!)、あとはのんびり。夜は最初のメニューの手巻き寿司を楽しみ、花火。「えーっ、こんなに買うの?」ってくらい大人買いした花火を、一気にやる。かなり高いトコロまで打ち上げる、田舎じゃなきゃできない花火も堪能。飛んできた蛾がだいぶ焼かれていた。

花火が終わると、星がよく見えるようになっていた。何となくだけど、天の川だって分かる。ああ、これを見せてあげたかったんだよー。山の端には赤々と輝く火星(接近中)。こんな風に、「わたしのなつやすみ」と題して絵日記を描きたくなるような、夏休みらし〜い3日間が始まった。

2003.8.25

また包丁で指を切ってしまった。想像過多かも知れないけど「こつん」と何かに当たったような気がした(何かって、骨しかないじゃん…)。そういえば今年私は本厄なのだ。あまり実感はないが、手だけは厄年を満喫しているかも、と思う。まず3月に手を切った。肉を削いだかと思うくらい深かった。それが治りかけたころ、ダイビング器材をいじっていて手を滑らし、指の皮をぺろん、と剥いてしまった。これは深くはなかったけれど、ひどく痛かった。そこに新しい皮が出てきて、お風呂に入っても痛まなくなったかと思うとコレである。しかも3月のなんかメじゃないくらい、深く切ってしまった。

だいたい凶器がいけない。実家の包丁はよく砥いであって切れすぎるのだ。それにちょっと扱いづらいくらい大きい。更に私にはちょっぴりアルコールが入っていた。それでじゃが芋の皮を剥こうとしたのが間違いだった。菜切り包丁を使うべきであった。するっと芋を逸れた包丁は、左手の親指に食い込んだ。ヤバっと思った瞬間、シンクに血がぼとぼとっと落ちた。(普通、深く切ったときって一瞬血が止まるのに!)と思いながら悲鳴をあげた。「ど、どうしたのっ」「手ぇ切った!」「だいじょぶ!?」「ダメ!なんかべろべろって出てきたよ!傷から!」。

一緒にいた友達に絆創膏を出してもらって、キツめに巻き、しばらくバンザイポーズで過ごす。ああ悲しい。けどご飯作りを代わってくれる友人がいるのはありがたい。…数時間後、指先がイヤな感じで痛くなってきたので、キツめに巻いた絆創膏がマズいのだろうと判断し、新しく絆創膏を巻きなおしてもらう。相当時間が経っているし、別に血が流れ出してもいないから、と油断していたのだが、絆創膏を取った途端にまたぼとぼとっと血が落ちる。「あ〜、こりゃ相当深いよ」「何かはみ出てるよね…?」「うん、出てる。後ででもいいから、病院行った方がイイかも」。

しかし私の実家は夜遅くに指を切ったくらいで病院に行けるほど街中にはないのであった。次の朝、痛いからイヤだっつーのに、消毒しろしろという友人に負けて消毒。また絆創膏を巻きなおす。そして外で遊んだので、また出血。うーん、切ってからこんなに時間が経ってるのに、すぐ傷口が開いちゃうってコトはやっぱ気のせいじゃなく深いのか。んでその日、東京に戻り、初めて自分で絆創膏を巻きなおす。さすがに血は止まっているので、しげしげと傷口を眺める。…やっぱ、中身が出ちゃってる…。包丁で切った傷口って、たいていちょっと凹むのに。

そして次の日。今日。病院に行くべきかどうか悩み中。腐ったりしないなら、行きたくない。傷跡くらい残ってもいい。指先だもの。ただ、今でも胸より低いところに手を下ろすと心臓が指先に移動してきちゃうのと、感覚が死んでるトコロがあるのが、ちょと不安。

2003.8.20

アリステア・マクリーンの『女王陛下のユリシーズ号』読了。どこかのサイトで、こないだ読んだ『亡国のイージス』と並べて評されていて、興味を引かれた作品。名前は知っていたが初読である。翻訳小説は読みなれている私ではあるが、この作品には参った。船の名前と人の名前が頭っからがんがん出てきて、しかも索引がついてないのだ。ユリシーズ号が辿った航路と、船の各部の名称は図解して載せてあるんだけど、そんなのより人名の索引を付けてくれ〜と叫びたくなった。

そのせいか、後半に入るまでは「面白いけど、私は『亡国〜』の方が好きかなあ」と思っていた。登場人物が多すぎて、個別認識ができなくて、誰に感情移入していいのか分からなかったのだ。『亡国〜』は感情移入を誰にすればイイのかってのがハッキリ示されているので、入りやすい。クライマックスまでの緊迫感も、人物の描き方も好みだった。ラストが甘すぎるな、とは思ったけど、ハッピーエンドは好きなので「甘すぎるけど、いいや」って感じだった。

『女王陛下〜』は、全く逆である。入り込みにくいし、全編これクライマックスとばかりに次から次へと災厄が襲ってくる。登場人物は、やっと名前を覚えたと思ったら死んでしまう。だけどそれを我慢して読み進めているうちに、いつの間にかしっかりと入り込んでいるのだ。そして最後の最後…。もう涙が止まらなかった。極限状態に置かれた男たちの、そうゆう状況でやっと見出せる何か。人の心の芯にあると私が信じている、何か。国に対する忠義心も、恋人や家族を守るという目的もリアルではなってしまった(←ココんトコ、すごくリアルに感じた)後に残った何か。そしてそれを体現する人物。ああもう。

こうなっちゃうと、やっぱ『亡国のイージス』は感傷的で、甘い。それはそれで良かったんだけど、『女王陛下のユリシーズ号』には敵わないな、と思う。ラストに、生き残った1人が、(ヴァレリー艦長ならこう言うだろう)と思って微笑う一文が、大好きだ。

「彼らを裁いてはいけない。わかる人たちではないのだ。」

アリステア・マクリーン『女王陛下のユリシーズ号』より

2003.8.19

続き。よく太って美味そうなカンパチは、前日まで群れでいたそうで、「釣られちゃったかなぁ」とショップの人はガッカリしていた。でも私は充分に満足。ダイバーの吐いた泡を小魚だと思うらしく、すぐ近くまで寄ってきてくれるし、大きいってだけで見応えあるもの。群れじゃないって言っても、10匹くらいは集まってきてたしね。他にもコロダイやらクロダイやらが揃って大きいくて興奮する。それに三戸浜のボートは地形も面白い。根を乗り越えたり砂場で遊んだり、バリエーションがあって1度じゃ見きれない! こりゃ次は仲間たちを連れてこなくっちゃ、だ。

臨時バディのArさんは、とても安心感を与えてくれるダイバーさんだった。あんまり水中での停止が見事だったので後から褒めたら、「体力ないからズルしてるんですよ〜。ガンガン泳ぐタイプのダイビングって苦手なの」と笑っていたけれど、無駄な体力は使わないに限る。私が彼女を探して振り向くと、すぐに目を合わせてOKサインを出してくれるのも好印象。いつも潜ってる仲間だとその辺の呼吸はバッチリなんだけど、初めて会う人と組むと、バディとは名ばかりでお互いに一度もサインを出さなかったりして、ちょと不安になるのだ。しかし今回はそんな不満は一度も感じなかった。

あと、三戸浜はやたらウツボの多いポイントだった。普通ウツボは岩の間や穴に体を隠していて、見えるのは頭と体ちょっとぐらいなんだけど、三戸浜のは体全体を晒して堂々としている。何かを観察していると寄ってくる賢いのもいた。ダイバーが頭をつき合わせてじーっとしていると、その中央には小さな生物がいるってのが分かっているに違いない。1回など穴の中にいるハゼを探していたら、穴とダイバーの間の狭い隙間ににょろんっと入ってきて、ビックリ。おーい、ウツボって臆病なんじゃなかったけーっ? 結局、ウツボが邪魔でハゼは観察できず。

大きな魚と面白い地形とベタ凪ぎの海とArさんのおかげで、何のストレスもなく1本目終了。しかーし。2本目はちょっとドキドキしてしまった。初めて私のダイコンDECOマークが点滅してしまったのだ。浮上をし始めたときに出たので、7mでの安全停止中はじっとダイコンを睨みっぱなし。3mで1分の指示だったので、7mではなかなか消えてくれなかったが、ガイドが浮上の指示を出す直前にふっと消えてくれた。あああ〜、良かった。初めて出したけど心臓に悪いよコレ。でもそこからすぐに上がってしまったのは良くなかったかも。後で調べてみたら、DECOマークが消えてから更に安全停止をした方がヨイらしい。ただ、ガイドに引率されてる場合はどうするのが正しいのかしら。今度ちゃんと聞いておかねば。

2本終わって器材の片付けをして着替えて、それから昼食とログ付け。全部が終わったのが4時。うわー、嬉しいなぁ。しかも車での移動がなくて渋滞関係なしだから、家に明るいうちに帰りつける。ショップの雰囲気はいつもお世話になっている伊豆のショップの方が好きだけど、こっちも近場の候補としてキープしておこう。ビーチも行きたいし、ボートもあと何回か潜っても飽きなさそう。予想外に楽しいダイブができて、面白いポイントと気軽に利用できるショップが見つかって、大満足でした。うふふー。

今回のログはコチラ(29本目)コチラ(30本目)。写真はナシ。

2003.8.18

土曜日は友達の家でお好み焼きパーティー。皆で何かを一緒に作って食べるのって、大好き。手巻き寿司とか、餃子とか、ピザ、なんてのもいい。単純なトコロでは鍋や焼肉だって楽しい。それぞれの家の味があるので、ああだこうだ言い合いながら作るのがイイのだ。新しい味にも出会えるし。今回のお好み焼きはオーソドックスなシーフードや豚肉の他に、納豆や梅入りのも作ってみる。両方とも美味しかったけど、特に梅入りのが気に入った。さっぱりしてて、うまー。

土曜日には回復し始め、日曜は晴れる、というのが数日前の天気予報だったハズ。なのに土曜になっても雨はしとしとしとしと降り続く。先週台風でダメになった埋め合わせのダイビングを予定しているのに、日頃の行いが悪いのだろうか。今回は初めて潜るポイントで、初めて利用するショップ。しかも仲間なしだ。どきどき。土曜に、ポイントと同じ三浦半島に住む友人からメールが入る。「ホントに明日潜るの? 電車止まってるし、あちこちで土砂崩れが起きてるよ」。ひーん、私だって不安なんだよぅ。この長雨じゃ水温も下がっているだろうし、透明度だって悪いだろう。でもショップから中止の連絡がないんだもの。調べてみると波は高くないらしいから、そこに期待を繋ぐしかないんだよぅ。

お好み焼きパーティーに来ていた驚異の晴れ女に「お願いだから明日晴れさせて!」と哀願するも、「えー。そこまで面倒みきれないしー」と冷たくあしらわれ、雨音を聞きながら眠りにつく頃には、もう潜りたいんだか潜りたくないんだかさえ分からなくなっていた。いや潜りたいのはヤマヤマなのだ。でもあんまりにも海況が悪いなら、いっそ中止になってくれって感じ。初めての利用だから、実はいい加減なショップで中止の連絡を入れ忘れてるだけだったらどうしよう、海況が悪くても潜っちゃうイケイケショップだったらどうしよう、と不安が募る。弱気になるのは得意なのだ。

日曜に目覚めてみると、やはりまだ空はどんよりとしている。今にも降りそうだが、かろうじて持ちそうでもある。「…イケるかも」。私は重い器材を引きずって、三浦半島は三崎口駅に向かった。現地近くで穏やかな海が見えた。一瞬だが陽の光も差し込んだ。「イケるかも!」。集合場所にはショップの車が迎えに来ていて、私の他に3人の客が乗っていた。このときは知らなかったが、彼らが私と一緒に潜るメンバーである。うち2人は常連さんらしい。三戸浜はボートがいい、と聞いていたので、他のお客さんに便乗できるならボートでお願いします(一人ではボートは出してくれない)、とお願いしていたのだが、予約時には「今のところボートの予定はない」という返事だった。それで少しガッカリしていたのだけど、行ってみたら他のお客さんが入ってボートも出ると言う。やった。

器材のセッティングを済ませ、バディを組んで漁船に乗り込む。この日のバディは私と同じように1人で参加していたArさん。やはり三戸浜は初めてらしい。「潜降苦手なんですよー」とか「潜る前って、いつもドキドキしちゃいますよね」とか言っていたので、「あ、私も同じです〜」と親近感丸出しで話をしていたが、後で話を聞いてみたらもう70本も潜っている人だった。海外では潜ったコトはないのだけれど、日本ではかなり色んな場所に行っているそうで、面白い話も聞かせてもらう。こないだ初日本海で佐渡に潜り、今度は初淡水で本栖湖に潜るそうな。ステキ。

さて漁船。海はベタ凪ぎで、ポイントまでは5分もかからない近さ。酔う心配もない楽ちんダイブである。シッティング・バックロール・エントリーでドボンと海に入り(今回初めて一回転してしまった。くそぅ)、設置してある潜降ロープにつかまって海底を目指す。今日はちょっと深めである。水面近くでは「やっぱちょっと透明度が悪いかなー」と思ったが、下の方は、おお! すこーんと抜けている。天気が今イチなのでちょっと暗いが、ここんとこではベストの視界ではなかろうか。「どうせ透明度悪いに決まってるしぃ」と思ってカメラを持ってこなかったのが悔やまれる。着底した途端に、大きなカンパチがすーっと近づいてきた。うわあああ〜っ、と、嬉しい悲鳴。

……………スミマセン。明日に続きます。

2003.8.17

最近、お風呂に負けっぱなしだ。用意万端でお風呂の蓋を開けてやっと、「あ、焚くの忘れてた」と気付く。服を脱いだ無防備な状態で冷たい水を眺めるのは、とても悲しい。

2、3回繰り返してやってしまったので、昨日は慎重だった。お風呂のスイッチを入れて、事前にちゃんと「追いだき」ランプが点灯しているのを確認して、それからやっと服を脱いだ。リラックスしきって風呂の蓋を開けた私は、次の瞬間、呆然として固まってしまった。……なぜ? なぜ水がないの? ……そう。冷たい水さえ、ありはしなかった。お風呂は空っぽだった。私は混乱してボタンの並んだパネルを見やり、そしてガックリと肩を落とした。

洗濯して風呂洗ったんじゃん! 「追いだき」じゃダメじゃん。「自動」を押さないと、お湯張りはできないんじゃん! ばーかばーか!

ああ。また、負けてしまった気分。連敗。どうやったら勝てるのだろう。

2003.8.15

他の日記書きさんに聞いてみたい。読んでると予想できる人が深読みしかねないネガティブな内容の日記を書きたくなったときって、どうしてるんだろう。「こう書いたらあの人への皮肉と取られるかしら」とか「当てこすりみたいかなあ」とか「遠まわしに悪口言ってると思われちゃうかも」と気をまわしてしまうような内容を、書きたくなったとき。それはほとんどの場合、当人とは関係なくて、全然別の人に対して思っているコトだったり、例えその人に端を発していても、そこから膨らんで当人とは関係なく考えているコトだったりするんだけど。…やっぱ、自粛するのが賢いのかしら。

私は他に日記を書く場所を持っていないし、ココじゃなければたぶん日記は書かない。そして日記には、そのとき一番言いたいコトしか書けない。書かないコトはいくらもあるし、脚色も多少するときがある。でも、ホントは何かすごく気にかかっていて書きたいコトがあるのに、それを無視して別のコトを書くのなら意味がない気がする。だから私の書きたいコトが他人の心配のタネになりそうだなーと思ってしまっても、迷った挙句、書いてしまうコトも多々ある。サイトを始めて2年半にもなると(うわお!)、読んでくれている方の顔が少しだけだけど見えてきてしまって、迷う。

そんなときって、ないですか?

2003.8.13

会社でまたもやウィルス騒動勃発。今回はかなり迷惑を蒙ったので、「気分転換ができて楽しかった」なぞと言う気分にはなれない。しかも安全対策を施すのにやたら時間がかかったのは、私がWindows Updateを怠っていたせいなので、人にも当たれない。ううーっ!

梅雨が明けて2週間も経っていないのに秋雨前線ですと? 米は大丈夫なんだろうか、と田舎が気にかかる。寝苦しいほどの熱帯夜ってのも、今年はまだほとんどない。8月だってのに扇風機も出してないしなー。気候のせいか人に会いたい。言うべきコトをまだ伝えていない気がするのに。それとも、もう、望まれてはいないんだろうか? このまま夏が終わっちゃうのは、とても寂しい。

TVをつけると、ここんとこナゼか物件案内のコーナーによく当たる気がする。つい熱心に見てしまう。そう広くなくてもいい。広く感じられれば。収納が大きくて、風が通って、台所が広いといい。台所の、お皿を何枚も並べられるカウンターの向こうに、くつろげる部屋が見えるといい。料理をしながらお喋りができるように。或いはただ眺められるように。座って、もたれて、寝転がるコトができる部屋。光と風の入る、大きな窓があるといい。窓辺に緑があって、そしてその向こうに海が広がっていれば、他に望むものは何もない。   (…って、充分ゼイタクな。)

2003.8.12

さて日曜日に再読した山本鈴美香さんの『エースをねらえ!』。これが“捨てる本”ダンボールに入っているのは飽きたからじゃなく、友人が全巻持っているのを知ったから。好きとはいえ、読みたくなるのは3〜5年に一度なので、身近に貸してくれる人がいるなら自分で持ってなくてもイイのです。(彼女とは末永く仲良くせねば!)。いやー、何度読んでもぼろぼろ泣けます。後半は外に持っていけない。お蝶夫人は素晴らしいし、ひろみは一生懸命で可愛いし。

そう! このマンガが名作なのは、ちゃんと主人公の岡ひろみを応援したくなるからだと思うんですよ。彼女とお蝶夫人との関係は古き良き少女マンガの黄金パターンの一つなんだけど、そゆ場合、岡ひろみの立場にいる子って今イチ好きになれないんです私。聖真澄にしろ北島マヤにしろ「なんかよく分かんないけど出来ちゃった。だって天才なんだもーん」って感じ。『昴』の主人公もそうですね。でも岡ひろみは一途で真摯な上に、もともとの才能はもちろんあるんだけど、努力をキッチリしてる。彼女が「苦しい苦しい」と言っていても、そりゃ苦しかろう、と、素直に納得できます。

そしてお蝶夫人がやっぱイイんですよねー。話が進むにつれて、どんどんカッコよくなっていくんです。誇り高い人って好きにならずにいられません。やたら人格高潔な高校生が多い西高にあって、一際高校生らしからぬ高校生。高校生なのに夫人。10代の男にどうこうできる女じゃないとか言われちゃうし。がんばれ尾崎。「だらけた気持ちでコートに立つなんて、テニスに対しての冒涜です」なんて言っちゃうトコロも好きだけど、私の中での永遠の名台詞は、「けれどわたくしは、わたくしこそは孤独だわ」です。王者の悲哀。んー堪らない。

年齢にそぐわない、といえば宗方コーチ。死んだのが27歳(てコトは登場時は25歳?)なんて嘘だーっ。絶対に年齢を誤魔化していたんだと思います。でもいくら年齢を詐称していようと、あの死にっぷりは賞賛に値すると言えましょう。『SWAN』でルシィが病気になろうが死のうが涙の一滴も出ないどころか悲しくさえならないけれど、宗方コーチの死では必ず号泣しちゃいます。その後も彼の思い出話が出てくるだけで、反射的にぼろぼろ泣ける。死ぬ死ぬと言いながらいつまでも死なない月影先生に比べて、なんとイサギよい最後でしょう。

あと今回読み返して思いました。『エースをねらえ!』が良いのは最初の方で主要キャストが出揃うトコロだな、と。こうやって主人公がどんどん成長して活躍の場が広がっていくと、打ち勝たなくてはいけないライバルも次から次へと出てきて消えてゆくってのが普通ですよね。少年マンガだけじゃなくて、少女マンガでもそのパターンは多いです。次々と意味ありげにライバルが登場するんだけど、すーぐに消えてしまうんですよ。そっちの方がリアルっちゃリアルなのかも知れないけれど、でも人間関係は薄くなりますよね。

『エース…』では、藤堂さんも尾崎さんも千葉先輩も“加賀のお蘭”こと緑川蘭子も“お蝶夫人”こと竜崎麗香も宗方コーチも、最初っから最後まで主要キャストのままです。そう簡単に主人公に追い抜かれないためにも、初めから周囲にやたら優れた人がいるってコトにはなりますけど、このおかげでそれぞれの登場人物に肩入れできるんですよねー。世界が舞台になって新しい登場人物もどんどん出てくるけど、古くからの人が消えないトコロが好きです。

しかしてナゼに昔のマンガの登場人物たちはすぐに葉っぱを咥えたがるのでしょうね?

2003.8.11

土曜日、吹き荒れる風の音を聞きながら友人と電話。「どうしようねえ」「どうしようかあ」を連発した末、日曜に予定していたダイビングは断念。台風一過で晴れるのは分かってたけど、お願いしていたのが三浦のショップで、台風後でも潜れそうなのが伊豆ってのがネックになってしまった。車での長時間の移動を考えると体力的に不安だったので。晴れたけど、き、きっと海の中は砂が巻き上がってて暗かったに違いないさ! だから中止もどうってコトないさ! ……くそぅ

晴れ上がった日曜日はシーツを洗ったり布団を干したり掃除をしたりしているうちに、いつの間にか“捨てる本”ダンボールの中のマンガの「最後の一読」モードに突入。シリーズものを読み漁る。まずは槙村さとるさんの『ダンシング・ゼネレーション』4巻と『NY★バード』3巻。うーーーーむむむむーーー。槙村節、ホントにダメになったなぁと思う。このシリーズなんか、中学校生の頃はかなり大事なマンガだったのに。人物の心境に「あれ?」と思うことはあっても、ダンスものだってだけで面白くて、その「面白かった」って印象だけで今まで捨てられなかったのに。

ヒロイン愛子の突っ走りっぷりは、マンガの中でさえ「ずっぽり思い込んじゃう少女体質」と表現されているけれども、他の登場人物たちもスゴイよ。まあ1人で盛り上がる盛り上がる。よくそこまで相手を無視して盛り上がれると思う。もっと対話しようよ! 話そうと思っても拒まれたり、話が通じなかったり、どうしても歩み寄れなかったり、するコトはある。それなら1人で煮詰まっちゃうのも理解できるけどさ。でもそうじゃないシチュエーションで勝手に妄想を膨らませて思いつめて失踪ってパターンが、槙村さんってば、この頃から好きだったんだなあ…と、ある意味感心。

次は有吉京子さんの『SWAN−白鳥−』21巻。ダンス繋がり。これは初読がいい大人になってからだったので(作品は古い)、最初っからヒロインが大っキライだったけど、やっぱりバレエものだってだけで今まで捨てられなかった作品。ここんとこ、こうゆう古い作品を読み返してなかったので、絵の古さや演出の古さに「うわ背景に星が!花が!オーロラが!汗がキラめいてるよ!登場人物が熱いよ!志が高いよ!夢が大きいよ!目玉落としすぎだよ!」と、しばらく笑いが止まらなかった。そゆ意味では面白かったんだけど、やっぱ登場人物たちが…。

まずヒロインの聖真澄。「北島マヤ」or「岡ひろみ」のポジションにいる人なんだけど、この子に全っ然感情移入ができない。例えば途中に、「姫川亜弓」or「お蝶夫人」キャラの天才バレリーナ京極小夜子が国際的なデビューを果たし、一夜にして「世界のプリマ」になるってエピソードがあるのね。しかし次の日の公演で悲劇は起きる。彼女は舞台上でアキレス腱を切って「もうバレエはできない」と医者に言われてしまうのであった…。当然彼女は悲嘆に暮れ、自殺未遂まで起こしてしまう。それを発見した聖真澄、泣きながら「見ないで! 見ないでえぇっ! こんなの京極さんじゃない! あたしの憧れた京極さんはこんなコトしないっ!」。

うわあああ気持ち悪い。京極さんが可哀想だよ、てめぇが見るなって感じである。しかもこの後こいつは、弱音を吐く京極さんに向かって「贅沢です! 京極さんは今まで恵まれすぎていて、他の人が持ちたくても持てないものをいっぱい持っていて、他の人は京極さんが苦しんでなかったトコロで苦しんでるんだから。つまり京極さんはアキレス腱を切ってやっと他の人と同じくらい苦しむようになっただけなのに、そこで諦めるんですか!(意訳)」とヌカすんである。どうよ。しかもこのマンガの中で、私が一番キライなのは彼女ではないんである。どうよ。

最悪なのは、後半、彼女がアメリカに渡ったときに恋人となるルシィである。この男の女々しさったら。最初は理解ありげに出てきたくせに、そのうち「真澄は僕がいるのにレオン(出来の悪いカツラばりの不自然な髪型をした、真澄の運命のパートナー)と踊るのか」だの「真澄は僕とバレエとどっちを取るんだ」だのと喚きはじめ、それに真澄が泣きながら「あなたがいいの! バレエなんか捨てるわ!」と追いすがる。もうそのまま手に手を取って2人の世界を極めてくれ、このマンガから抜け出してどこかに行ってしまってくれって気分になる。この2人さえいなければ、かなり面白いのに…。

でも真澄はヒロインなのでそうゆうワケにもいかず、『SWAN』は“捨てる本”ダンボールの中に収まり続けるコトになったんだけど。そして私は「明日の日本のバレエ界を担うのはあなたたちです!」の世界から「明日の日本のテニス界を担うのはあなたたちです!」の世界に突入し、『エースをねらえ!』18巻を読破するのだけど。思ってたより長くなったので、その話はまた明日。

2003.8.8

夏なので沖縄料理を食べに行きましょう!という約束があったので、ここ一週間くらいスーパーでゴーヤに惹かれてもグッと我慢の日々を送っていた。それなのにせっかく行った店は満員で、入れなかったのである。夏は沖縄料理だ!と同じように楽しみにしていた人が多かったんだろうか。ガッカリ。私のゴーヤと泡盛が〜。それでも、代わりに入った日本料理のお店はなかなか美味しく(高かったけど)、久しぶりにお会いできた方との話も相変わらず楽しくて、4時間も喋ったのにまだ喋り足りない気になりました。いったいいつから私はこんなにお喋りになったのか(てか、気のない人には相変わらず無愛想なんだけど)。つワケで、またぜひお付き合いくださいませね。あとぜひ体験ダイビングやって感想聞かせてくださいなーっ。

誰かの日記に「怖がりなのでホラーが苦手」と書いてあるのを見て、ふとこないだやらかしたバカなコトを思い出した。その日、私は友人2人と一緒に近場の旅行に出かけていたのである。宿泊場所はダイビングに行くときによく泊めてもらう場所で、夜10時というその時間だとタクシーでしか行けない。いつもは大荷物を抱えているので宿泊地の真ん前までタクシーを乗りつけるのだけど、その時は珍しくあまり荷物を持っていなかった。そこで私はふと思い出してしまったのだ。細い脇道があるコトを。車だとぐるっと大回りをしなくちゃいけないけど、脇道を使えばさくっと行けるじゃないか。

私は「ここで降りて脇道使っちゃってもイイよね」と言ってしまった。友人も「あ、そっか。今日は荷物少ないもんね」と同意した。私たちはタクシーを止め、車から降りた。道端に友人Aと立ち、友人Bがお金を払い終わるのを待っている間に、私はまた別のコトに気付いた。「…ねぇ。今、ココって明るいけど、ひょっとしてタクシーが行っちゃったら…」「…あっ!」。私と友人Aが顔を見合わせた瞬間、「ありがとうございましたー」という友人Bの声が聞こえ、次の瞬間素早くドアを閉めたタクシーは走り去ってしまった。街灯も何もない暗闇に私たちを残して。

タクシーのライトが見えなくなると、光源は何もなくなった。天気は曇り。星明りも月明かりも当てにはできない。「そうだよ、こうなるんだったよ…」「ねぇ、私らってすごいバカ?」「…かも」。私らは脇道の先を見やった。細い道には両側から木の枝が覆い被さってきていて、私らの立っている場所よりも一段と暗くなっていた。「でも、行かなきゃ、ね」「…そだね…」「ちょ、ちょっと待って! 手を繋いで行こうよっ」。私らは手をしっかり繋いで歩き出した。まるで肝試しである。そして私はこうゆうのに弱い。更に友人Aはイジワルだった。自分だって怖がりのくせに、人が自分より怖がっているのに気付くと「あのさあ…」と声を低くして語りだすのだ。「うわーっ止めてっ今ここで怖い話始めたらマジ泣くからねっ」とゆう私の声が山にコダマする。恥も外聞もあったもんじゃない。

…なのに、ホラーはけっこう読むんだよね、私。田舎に住んでた子供時代にも、夜の暗闇に怯えつつ江戸川乱歩なぞ読み漁ってたし、やっぱマゾかしら。でも、とにかくあの頃は、今よりも少し暗闇が平気だった気がする。少なくとも人といれば平気だった。東京に暮らしているうちに弱っちくなっちゃったかなぁ、と思うと少し残念だ。2週間先、同じ友人たちを連れて田舎に帰る。そしたら夜、散歩をしてみようかなあ。育った田舎でもやっぱり怖いのかしら、と、少し不安なような楽しみなような。

2003.8.5

よしながふみさん、イイなぁ…。もともと好きだったけど、最近名前が売れて活動の場が広がったせいか、やおい絡みじゃない作品を目にする機会が増えて嬉しい。いや彼女のならやおいだって読むけど、でもできたらやおい抜きかせめて軽めのが読みたいと、ずーっと思っていたんだ。間の取り方とか表情とか台詞とか展開とか、上手いなあといつも嘆息させられる。それも「あー上手いねぇ、ぱちぱち」って距離を置いた見方じゃなくて、「ああ上手いなあ好きだなあ好き好き好き」とぐんぐん引っ張り込まれて、ラストでぐっとヤラれる感じ。堪りません。

さて。先週の土曜日も行ってきましたよダイビング。場所はIOP(伊豆海洋公園)! ショップで「今日は海洋公園です」と言われて、思わず歓声あげてしまいました。いや東伊豆のダイビングのメッカなんですけど、今まで行きたくても行けなかったポイントなんですよ。波がちょっと高くなるとすぐにクローズしちゃうので、去年の秋は何度涙を呑んだコトか…。

いそいそと車に乗り込み、一路IOPを目指します(ガイドが)。関東は今日にも梅雨明け……のハズだったのに、途中夕立のような雨が降り出してしまい、不安が募ります。が、すかさずガイドさんのフォローが入りました。「こっちはもうとっくに梅雨明けしてるんですよ。最近こんな風に朝に雨が降るコトが多いんですけど、すぐ晴れますから」。その言葉どおり、目的地についたときにはピーカン。やった! 公園、というだけあってIOPは広々としていて南国っぽくてゆったりできる感じ。ダイビングのシーズンじゃなかったらお弁当持って遊びにきてみたいくらいです。

週末で梅雨も明けて、となるともちろん人気のスポットは混んでいます。エントリー口にはダイバーの行列。でもダイビング施設も充実していて、シャワー待ちなどはほとんどありませんでした。こりゃ人気があるのが分かるなぁ。友達から「IOPはエントリーが大変だよ。波があって。それに水面移動も長いよ」と聞いていたんですが、この日の海はベタ凪ぎ。中に入ると少し流れていたんですが、エントリーポイントも潜降ポイントも静かで、水面移動も楽だったし落ち着いて潜れました。

2週間前、アルミタンク使用時に6kgのウエイトで潜降に苦労したので、軽すぎるかなーと不安を抱きながらも今回はウエイトを3kgにしてみたのですが、これが重たい重たい。BCDの空気を抜いた途端、息を吐く間もなくすとーんと沈んでしまいます。潜降が早いのはいいけど、下に危険な生物でもいたら大変なので、これも危険なパターン。早くムラをなくしてスムーズに潜れるようになりたいのですが、潜れるときと潜れないときの差がありすぎて、なかなか自分の適正ウエイト量が掴めません。今回なんか息を吸おうが暴れようがお構いなしに沈むんだものなあ。

さあ、1本目のポイントは1の根と呼ばれるトコロです。こんなにいい天気のときに潜るのは久しぶりなので、海の中が明るい〜。透明度は実は富戸の方が良かったらしいのですが、主観的には今年一番の海でした。それに魚の種類が多いこと多いこと。今年はIOP当たりなんだよ、と後でショップの人が言っていました。季節柄か、幼魚が多かったです。特に小指の先くらいのミナミハコフグの可愛いコト。あんなに小さいのに、ちゃーんとフグの形してるんだものー。あと2本目に見たヒラメかカレイの子供は、1cmもないのにちゃんと砂地に身を隠そうとしてましたよ。可愛いったらもう。

2本目は砂地でした。事前にガイドさんから「海底に沈めてある木にアオリイカが卵を産みつけにやってくるんだけど、泳いでいったら逃げちゃうから手前で着底して腹ばいで進んで見に行きます。で、帰るときも少し離れてから泳ぐように」と言われたので、お行儀よく言われたとおりに離れた場所で着底します。すると木の近くで白いひらひらするものが…。あ、アオリイカ!と思ったら、別のダイバーのフィンでした。後でガイドさんが怒っていたけど、この日はマナー違反のダイバーが多すぎて、アオリイカが寄り付かなかった模様。ざ〜んねん。でも、諦めてふっと頭上を仰いだとき、私たちの上をゆったり泳いでいくアオリイカの姿は見られました。キレイ。

浅瀬の混雑っぷりはスゴかったです。みんなが安全停止のために同じような場所で同じように過ごしているので、魚の群れに夢中になっているとバディを見失って「私の群れはどこーっ?」ってコトになります。でもソラスズメダイの群れが色鮮やかで、全然飽きませんでした。エキジットもロープに掴まるのはムリそうだったので、浅瀬でフィンを脱いでバディと手をつないで支えあって陸に上がりました。2本目なんかフィンを脱いでる最中に足をつりかけて、足元が覚束なくなっちゃうし、いくら波がないとはいえゴロタの上を歩くのはなかなか大変。でも、ホント楽しかった! 初のIOP満喫しました。

さてこの日は、友人の都合で外食。楽しみにしていた料理はできなかったけど、美味しいお店を見つけたので、これまた満足です。次の日曜はプールと温泉に浸かって帰ってきました。郊外から戻ると都心の湿度の高さはまるで拷問のようでした。早く脱出しなくっちゃ!

今回のログはコチラ(27本目)コチラ(28本目)。写真もちょっとだけ。

2003.8.4

最近妙に「男と女のすれ違いはどうして起きるのか」って話を、TVで見かける気がする。それを目当てにTVをつけるコトはないにしろ、見かけるとつい最後まで見てしまうのだけれども、見るたびに「こうゆうの、止めて欲しいなぁ」と思う。男とはこうゆうものだ、女とは…という話に、ちっとも納得できないせいだ。理想的な想定問答なぞ見ると「きもっ」とさえ思う。あんな白々しい上っ面だけの受け答え(役者の演技力のせいじゃなく)された日にゃあ、椅子蹴飛ばして帰るぞ私ゃ。

まぁ電車の吊り広告見ても「彼に好かれる女になろう」的な特集はよく目につくし、その性別逆バージョンもあるし、今に始まったコトじゃないけどさ。でもとにかく「あなたはこうでしょう! だって女なんだから(女ならトーゼンそう思うハズ)」と決め付けられるのは、何よりキライ。そうゆう思い込みを助長させるようなコトは止めて欲しい。もちろん全てが外れてるワケじゃない(例えば、花を贈られれば私も嬉しい)けど、でも外れてるコトの方が圧倒的に多いのだから。

特に止めて欲しいのが「女性の言葉には裏があるんだから、キチンと裏を読みましょう」ってヤツだ。ない裏を読まれても困るんだってば。思わせぶりなコトを言って欲しい言葉を引き出そうとしたり、要求を伝えようとしたり、そうゆうのってメンドくさくってダメ。そうゆうコトをやろうとしてる自分を自覚したら、恥ずかしくって穴掘って自分を埋めなくちゃ気が済まない。私が気にしてないと言ったらホントに気にしていない。別に我慢してるワケじゃない。分からないと言ったらホントに分かっていない。鈍感なフリしてるワケじゃない。なーのーにー。

なんだかなー。人の気持ちを思い遣るのと、勝手に気を回して人の反応を決め付けるのって、紙一重だから困っちゃうよな。あとちょっとズレるけど、何でも話せるのと、何でも受け入れてもらえると思い込んじゃうのも紙一重だから困っちゃう(←これは自分がそうやってないかって方で)。心の奥底を話すのが苦痛って人もいるし、どっちがイイってのは言えないんだけど、少なくとも私を相手にする限りなるべく多くのコトをちゃんと直接聞いて欲しい。私の答えを勝手に予想しないで。聞かれるコトで傷つくときもあるけれど、それよりも勝手に私の答えを決め付けられてしまう方が、私にはキツい。

2003.8.3

宝くじが当たったらどうしよう、というのは宝くじを買って結果が出るまでの期間、毎度考えるコトだけど、毎回「中途半端に当たるのが一番やっかいだなー」と思う。億の単位で当たるか、あるいは10万以下で当たる場合の使い道を考えるのはそう難しくないのだけど、何百万が当たったら頭を捻りそうだ。というのも、私は「何に使うか」じゃなくて「どう分配するか」を考えるからだ(自分一人だけお金を持ってても仕方ないじゃん?)。親と妹といつも遊んでる仲間と仲の良い従姉妹と…となると他の親族はどうすりゃイイんだ、とか、友人関係もどこまで、とか考え始めると止まらなくなる。ああ困った。でもいくら頭を捻るハメになる額だろうと当たって欲しいんだけど。もちろん。

さて先日、スイスの友人からメールが届いた。たまたまそうゆうモードだったので珍しくもすぐに返事を書いたら、またまた珍しくも相手からもすぐにメールが返ってきた。彼と知り合ったのは6年前にNZに滞在していたときで、くだらねーコト言って笑う(笑わせる)のが大好きな彼と、理由は何でも笑うのが大好きな私はすぐさま意気投合して、よく一緒に遊んだ。語学学校では一番仲が良かったと思う。けどお互いに帰国してからは、私がちゃんとメールに返事を書かないせいで徐々に疎遠になってしまい(だって英語で書くのってメンドくさいんだもん)、ここんとこは1年に1度メールのやり取りをすればいいくらいになっていた。しかもメールが来てから返事を書くまでのインターバルが、お互いに何ヶ月もあるダメダメル友。しかし今回はナゼ?

前回の彼からのメールは「引っ越しました」という、複数の友人にCCで送ったものだった。それに私は自分の近況と「最近何か変化はあった?」という質問を書いて返した。彼の返信には「There was a big change in my life, because Dxxxx and I decided 」で始まる文章があった。D(xxxx)とは語学留学も一緒にしていたし、つい最近も世界各地を巡る長期の旅を一緒にしていた彼のカノジョである。NZにいたとき、私と彼(C)と彼女ともう1人の男のコの4人で週末旅行をしたコトがある。そこで夕食を食べながら、Cは「僕とDは近いうちに別れると思う。彼女は結婚して子供を産んで落ち着くコトを望んでいるけど、僕はもっといろいろ体験してみたいから」という話をした。

もちろんその席にはDもいたので、(彼女の前でそこまでフランクに話すかよ)とびっくりした。私はたまに、主にホントに外国の方との付き合いがない人から、「外国人みたいだ」と言われるのだけれど、自分ではやっぱり日本人なのである。海外で暮らしてみると、感覚の違いに戸惑うコトがときどきあって、自分の日本人っぷりを肌で実感したのだ(別にそれがイヤってワケじゃない)。その時、Dも彼女の考えを話してくれた。そっちにも頷ける点が多かった。でも別に私はジャッジを求められてはいなかったし、それは彼らの問題なので、話はそのまま別の話に紛れてしまった。その後私たちは酔っ払って、異国の町を腕を組んで歌いながら歩いた。

しばらくして、スイスに戻ったCとDが別れた、という噂を聞いた。私もその直後に日本に戻った。その頃Cから頻繁に手紙が来た。「あの自由な生活の後での会社勤めがキツい」とか、あとまぁ別の話とか、未練たらしい内容のが多かった。んでさっき書いたように、彼との連絡は次第に間遠になってゆき…今年の春くらいに「また長期の旅行をしている」というメールが届いた。写真が添付されていて、CとDが一緒に笑っていた。あ、ヨリを戻したのか、と思った。そこへ今回のメールである。思えば彼もそろそろ30のお年頃だ。おお、結婚を決めたのか!と思うじゃないか。

……反対、だった。さっきの文章は、別れるコトに決めた、と続いた。ずいぶん長く付き合っていたし、彼女とは今でもいい友人だけど、もうそれだけじゃ関係を続けるには足りないのだ、と。引越しも、私が予想したのとは逆で、2人暮らしの解消の結果らしかった。(あ"ーーーー)と、ぼんやり思った。ちょっと考えてみりゃ、彼がマメに便りをよこすのは、凹んでいるときや寂しいときなのだった。(暮らしてる国は違うけど、お互いお年頃だし、いろいろあるよね…)と感慨にひたり、私はもう一度(あ"ーーーー)と思う。そして和英辞典に手を伸ばす。…あ"ーあ。

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