さて当日。6時半に起床して朝食をとります。外は薄い雲のかかる青空。風はすっかりおさまって、ショップの前の海もベタ凪でした。Tさんも「今までで一番いいコンディション。これで潮がなければ最高♪」と上機嫌です。7時半にはショップを出て、スタート地点の富戸へと向かいました。海に持って入らない荷物は全部車に残し、陸番のSさんに預けます。ウェットに着替えたらあとはする事もないので長〜い待ち時間。普通に潜るダイバーたちがエントリーしていくのを見物してました。
ゴール地点のI.O.P.で受付をしていたSさんが戻ってきて、開会式が始まったのは9時半くらいだったかな? マイクの音量が小さく、何を言っているのかさっぱりでした。そして10時のスタートまでに各自海に入ります。私らはかなり早く入ったので、15分くらい海でぷかぷか浮いていました。重器材もウエイトもつけずに海に入るってなかなかないけど、ウェットの浮力で自然に浮かんでこりゃいいや。10分前、5分前、3分前、1分前、30秒前、10秒前とカウントダウンがあって、いよいよスタート。
富戸のスタート地点は湾内にあるので、最初は平和でした。海の透明度もこの季節にしては上々で、海底近くを泳ぐ魚もしっかり見えます。Tさんがコース取りをしながら、後ろ向きになってメンバーの様子を見つつ泳いでくれるので、安心―――だったんですが。富戸の港から外海に出る辺りから、ゆったり泳ぐTさんに付いていけなくなりました。abさんもE川さんも、私より柔らかいフィンをはいているKも難なく付いていっているのに、私はダメ。
そこからはもう必死です。息は荒くなるわ気は焦るわ。Tさんが「30分経ちましたよ〜」「灯台が見えましたよ〜」「イワツバメが飛んでますよ〜」と声をかけてくれるのに応える余裕はありません(でも前夜にKが、一昨年参加したときにゲットした遠泳コースの地形をプリントしたタオルを見せてくれていたので、灯台はいい目安になりました)。海底もずっと見えているワケではなく、白く濁ってしまう箇所では自分が進んでる実感がなくなってしまって、ちとツラい。
そんな中、私の真下でぼんやり何かが動きました。ピンときて目を凝らすと、やはりカメではありませんか。これは皆に教えなくてはなりません。顔を上げて「カメ〜っ!」と叫ぶと、数メートル先にいたTさんがすぐに気づいてくれました。それからはしばらくカメタイム。カメは私たちのすぐ下で悠々と泳いでいたので、かなりしっかり観察できました。やがて追いついてきたグループが私らの動きに気づき、カメカメと騒ぎ始めたので、私らはそこを離れます。このカメの出現で、折れかけていた気持ちが少ししゃっきりしました。
ダイナミックな地形、灯台、イワツバメ、吊り橋と、いつもは見えない角度から風景を楽しむのもこのイベントの肝である筈ですが、そんなのたま〜に顔を上げてチラッと見るのが精一杯。だって見所のある辺りは潮が流れているんですもん。それより濁ったトコロで陽が照ると、光が放射線状に海に射しこんでキラキラして、現実感が薄れてきます。ただ息のキツさは現実で、ホントに泳ぎきれるかはずっと不安でした。何とかなりそう、と思えたのはゴールの海洋公園が見えてから。
しかし海洋公園は広く、公園沖に入ってからエキジットポイントの近く(オクリダシの入江かな?)の海上に張られた、「ゴール」の文字が飾られたロープをくぐるまでも、けっこう長く感じました。やっと、やっとゴールしてE川さんと初参加で完泳のハイタッチを交わしますヽ(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ノ やったよ〜。ホントに海から上がる箇所では、スタート地点から車で移動してきたSさんが待っていてくれました。Tさんが「意外に流れてたよ〜」と報告してるのが聞こえます。やっぱ、流れてたんだ……。
しばらくすると閉会式が始まりました。コンディションのいい今回は186人の参加者のうち、183人が泳ぎきるという驚異の完泳率。落伍者を拾うために並走していた漁船はさぞかし暇だったでしょう。Kが参加した一昨年は半分くらいしか完泳できなかったそうで、その海況だったら私もリタイアしていましたね。1時間半の制限時間内で、私らの記録は1時間10分。Sさんによると遠泳部門のなかでちょうど真ん中くらいのゴールだったそうです。
しかし驚いたのは、タイムを競うレース部門の成績です。男女別々に表彰されたのですが、総合でのトップはなんと女性。細い体のどこにそんなパワーがあるんだか、記録は大会新の30分45秒でした(ひえええ〜)。女性はよっぽど自信のある人しかエントリーしないのか、2位も40分何秒という好タイム(男性の1位〜3位は31分〜36分でした)で3位は無し。つまり2人しか参加していなかったのです。私でも、エントリーさえしておけば3位になれたのに……! と、そこにいた全ての女性が思ったコトでしょう。もちろん私も思いましたとも。
ゆっくりお昼休憩を取った後は、通常どおりのダイビングを1本。私は午前中で燃え尽きていたので、午後はおまけでした。まだ水温が低いのでと持ってきたドライに着替えるのも面倒で、SさんTさんが「寒いよ、絶対後悔するよ」と言うのも聞かず、午前の装備にフードベストだけ加えて海に入ります。だって他の3人もウェットだと言うし……。イベントの流れでそのまま海洋公園で潜るダイバーが多かったので、海のなかは大混雑で目玉生物のイバラタツを見るのも順番待ちです。
そのままクエ穴まで進み、Sさんが何かを探しているので、何の気なしに近くの穴を覗きこむと、なんとベニケロ発見! これを皆がカメラに収めたトコロで引き返したから、Sさんが探していたのはこのケロだったのかな? コースは1の根廻りの予定でしたが、人ごみのキライなSさん、せめて最後に静かな場所をと思ったんでしょう、砂地に向かいます。透明度がいいので砂地は泳いでいるだけで気持ちいい。しかし30分を越えるとさすがに寒くなってきましたよ。「短めに済ます」とSさん言っていたのにぃ。
砂地では前回潜ったときに見たというムラサキウミコチョウを探していたらしいのですが、見つからないうちにabさんのエア残が少なくなってしまい、今日のダイビングはタイムリミット。ちょっと震えが出始めていたので助かりました。着替えてショップに戻り、のんびりログ付けをしてから帰路につきます。今日の夕食はKが早めに帰りたいというので、お手軽にラーメン。私生活が忙しいKにはフラれるコトが多いのですが、珍しく2回続けてお泊まりイベントを一緒できました。嬉しい。
途中駅でKとは別れてぐったり家へと帰ったのですが、お昼には遠泳イベント参加は一生に一度でいいと思ったのですが、どうしよう、心の奥底でリベンジしたい気持ちがムズムズ生まれ始めている気がします。
日曜日の今日は伊豆の馴染みのショップに連れられて、「海を泳ごう」というイベントに参加してきました。
ウェットスーツとマスク・シュノーケル・フィンの3点セットを身につけて、富戸から海洋公園までの2.7kmを水面移動するというこのイベントには、ショップとしてはここ数年参加している話を聞いていたので、私も気にはなっていました。が、私は水面移動があんまり得意じゃなくて、自信がない。それにここ2年はイベント開催日にたまたま先約があったのを言い訳に、参加を見送っていたのです。なのに、なのに今年はショップHPにイベントの告知がされた時点で、スケジュールは空いていました! おまけに前回黄金崎に行ったとき、初参加を目論んでいるE川さんに誘われ、さらに参加経験のあるKが付き合ってもいいよ、と言ってくれたので、ついうっかり申し込んでしまったのです……。
さて参加前週になってショップから当日の日程表が届きました。それには「朝が早いので前泊をお勧めします」とあります。げっ……! 聞いてないよお〜。日曜日帰りの気でいたから、土曜日は午前午後ともに予定を入れてしまっているではないですか。慌ててKに連絡をとり、土曜20時半に伊豆に着く電車に乗り合わせる約束をします。これに乗るには私は18時ちょい前に最寄り駅を出発しなくてはなりません。ま、間に合うかな……。
というワケで昨日、午前中は仕事関連で某資格を受けに行きます。通勤より早い時間に家を出なくちゃならないのがキツかったけど、多分ギリギリ合格♪ んで12時に試験が終わって家に帰って車のキーをひっ掴み、愛車ムッ君を法定点検に出しに行きます。これが18時までかかると言うのを「可能な限り早く終わらせてくださいっ。でき上がる30分前に連絡くださいっ」と頼み込み、それからやっと昼ご飯。買い物して家に帰って荷造りして、ちょっとPCをいじっていたらもう16時半をまわっています。
そろそろディーラーから連絡が来ないと間に合わない(←無理なお願いしているくせに)……とヤキモキしていると、45分になってやっと電話が鳴りました。徒歩30分の道のりを汗だくになって駆けつけ、整備の説明もそこそこにムッ君を引き取ります。が、今度は帰り道に当たる幹線道路が渋滞……! 大人しく待っていたら絶対電車に遅れるので、ままよと遠回りの脇道に突っ込みます。これが効を奏して出発リミットの5分前に家に辿りつくコトができました。ナビさまありがとう。
用意していた荷物をひっ掴み、またもや汗だくになりつつ駅まで走ります。おかしいな、なかなか海の話にならないな。んで何とか電車に間に合いまして、途中駅でKと合流。伊豆のショップの最寄り駅で夕食がてら軽く飲んで、翌朝の朝食(と寝酒)を買いにコンビニに寄ります。ここでちょいアクシデントがありまして、八ヶ岳で打った仙骨がほぼ治ったばかりだと言うのに、また後ろ向きに転んで車止めのコンクリに腰骨を強打してしまいました。イタタタタ。こう次から次へと体に傷をつけていたら、接骨院の先生に怒られそう。
そんなこんなでショップに着いたのは22時近く。明日の参加者、abさんとE川さんはとっくに着いていて、すっかり出来あがっていました。ガイドのSさん、Tさんも加わってそこからまたお喋り飲みタイムが始まり、温泉につかって部屋に入ってからも、またKと2人飲み。気づいたら日付が変わってました。日曜は6時半起きで体力イベントに参加するというのに、ナメまくってます。 この日の伊豆は強風が吹きまくっていたのですが、眠りにつく頃にはさすがにだいぶ静かになっていました。
≪当日まで辿りつけてないけど、つづく≫
この週末は1泊2日のいつもの強行軍で田舎に帰ってました。片道250kmの運転も渋滞さえなければ慣れたもの(と思い始めた頃が危ないんだろうなあ)。仙骨を痛めていてアクセルとブレーキを踏み変えるだけで痛いという今の状態では力仕事はできないというのを言い訳に、家ではちょろっと片づけをしただけで、のんびり過ごしてきました。こないだ、GWに帰ったときにも「懐かしくなって様子を見に来た」という釣り人が訪ねてきていましたが、今回も敷地内の川に釣りに来ている親子がいて「(汚染されてて)誰も釣らないから大きくなってる。それに放流ものから天然ものに変わってる」と言ってました。その人もキャッチ&リリースだそうです。川の水はいちおう基準内に収まっているけど、住んでる魚はまた違うからなあ〜。
山の緑もすっかり濃く気温も高く、山の上らしくない気候でした。家の前に植えてある木が大きくなりすぎていて(冬になったら枝を切らなくちゃあ)なんて考えながら、ビール片手にぼんやり外を眺めます。毎年数回は必ず帰っていた田舎だけど、父母がどれだけ手入れをしていたのかよく知らなかったんだなあ、と木々の伸びるスピードで実感します。岩魚山女もそうだけど、木々だって雑草だって人が手出しをしなければ勢いよく育って(ときには育ちすぎて)しまうんだなあ。良くも悪しくも、たくましいです。私の家も、敷地内に常駐する人がいなくなれば、あっという間に緑に埋もれてしまうでしょう。
日曜は昼過ぎに家を出て、久しぶりに麓の町に住む春日ちゃんを訪ねます。楽しくお喋りして、帰りには畑でとれたばかりの野菜をどっちゃり持たせてもらいました。田舎じゃ考えられないくらい野菜が腐りやすい東京だけど、無駄にしないようにせっせと消費させてもらいます。いつもいつもありがとう! 帰りも渋滞なしで20時半には帰宅しました。いつもこうスムーズだと帰りやすいんだけどな。