『十二国記』シリーズの『黄昏の岸 暁の天』読了。2作目の『風の海 迷宮の岸』を読んだときから気になっていた、戴国で何が起こったのかの物語である。んで、今までで一番面白かった。驍宗と泰麒ペアに比較的好意を抱いているせいもあるし、話そのものも興味を引っぱる出来だったと思う。…が、何これ!終わってないの?驍宗は?なんで上下巻にして完結させてないのよーっ! ま、まあイイや。借りてる本はまだ2冊ある。きっとこのうちのどちらかが続きで……ひーっ続きがないっ。番外編じゃない、この2冊。なんでこんなトコで止まっているのよーっ。気になるじゃんよーっ!!!
ま、それは続きを待つとして。前に書いた、「天帝と世界との関わり方の中途半端さ加減」のひずみが、やっと登場人物たちにも認識されるようになってきたらしい。最初のうちは「いくら不条理であろうと、ありのままに受け入れるしかないんだ」という感じだったので、(おお、開き直りましたな。ま、『ここはこうゆう世界なんだから受け入れろ』と来られちゃ文句も言えなくなるけど)と思ったのだけれども、後半、玄君が天意を尋ねに行くに及んでどんどんヤバイ気がしてきた。聞きに行っちゃマズイっしょ。それをしちゃったら、ホントに天帝が介入してこないとおかしくなっちゃう。んじゃなきゃ、この十二国記の世界は全て誰かの妄想でした、とか、実は誰かが構築したゲーム世界でした、とかってオチをつけなきゃ収まりつかなくなっちゃいそう。それをしたら終わりだよ。
あとね。ここまで読んできて、自分はデータの羅列には興味がないんだな、というのもつくづく感じた。丹念に作りこまれた物語世界ってのは大好きなんだけれども、それは登場人物たちの思い入れあってのコトなんだ、とゆうか。例えば十二国記には、「ここは○○宮、こっちは××宮。主上が仕事をするのは何とか宮で、仕事をするのは何とか宮。麒麟が住むのは何とか宮。何とかの仕事をするのが何とか官で、それを束ねるのが何とか官で、彼らの仕事を監視するのが何とか官」という感じの説明が、すごくすごくたくさんある。考えるの大変だなーとは思うけど、それでは世界のリアリティを感じないんだよね、私は。いっぺんに言われても覚えきれないし。そうゆう固有名詞はさり気に描写の中にでてきて、だんだんと自然に覚えられるくらいが心地いいのだ。
『指輪物語』のホビット庄が、裂け谷が、ロスロリエンが、ファンゴルンの森が、カザド=ドゥムがあんなにもリアルで印象深いのは、それに対する思い入れがあるからだ。ちゃんと歴史があって、その場所を愛する人がいて、怖がる人がいて、ずっと住んできた人がいて、かつて追われた場所に憧れを抱く者がいて…。それが単なる説明文でだけではなく、登場人物たちの言葉で語られるからだ。そこに対する想いがわかれば、イメージが伝われば、細かい描写がなくたって細部まで想像できる。私は、そうゆう描写の方が好き。
『十二国記』とは銘打ってないものの、はっきり外伝の『魔性の子』も読了。『黄昏の岸 暁の天』の裏側の物語。んーーーー。途中まではけっこう読めたんだけど、最後の方は「人は人であるだけで、こんなにも汚い」の連発に辟易。思春期の女子学生じゃあるまいし。
潜りに行かないのが惜しくなるような秋晴れの週末だったが、そう毎週潜っていたのではお金がもたない(つか現段階でも相当ヤバい)。ので、土曜日は何もせずに怠惰に過ごし、日曜は知人宅で開催されたカクテルパーティに行ってきた。あ、土曜は携帯を新しいのに変えたんだった。前のは3年以上使っていたので、店員さんに「よく持ちましたねぇ」と感嘆されてしまったんだけど、え? 普通そんなに早くダメになっちゃうものなの? メーカーも違うし機能も段違いなので、慣れるまでまた3年くらい掛かりそうなんだけど。…なんにせよ、結局財布は軽くなってたわ…。
日曜のカクテルパーティーでは、カクテル作りを趣味とする人がバーテンダーとなり、シェーカーをせっせと振ってくれた。私らは座って出来上がってくるカクテルを回し飲み。モスコミュールやスクリュードライバーやソルティードッグなんてメジャーなのも、目の前で作ってもらうと格別に美味しいしキレイだ。集まった面子は、ほとんど飲めない人といくらでも飲める人との両極端だったが、テンションの差はあんまりなかった。飲まない人がおめでたいのか、飲める人が冷静なのか、どっち? 私はかなりいい気分になってしまったので、一番美味しかったカクテルの名前をド忘れしちゃったのが悔しい。帰り際にバーテンダー役の彼が「こんなに喜んでもらえると作り甲斐があるなあ」と言ってくれたので、またの機会を期待できるかも。彼の調合具合は私好みだ。
その後は友達だけになって、ファミレスで夕食。ここんとこ落ち込んでいたのが嘘のようにケラケラ笑いっぱなしの何時間かを過ごしてきた。最近足場を固めかけてる人が多いので、話を聞いているとちょっと焦るのだけど…。(んー。てコトはまだモンモンモードから抜けてないのね。)
水樹和佳子さんの『イティハーサ』を読む。初めて読んだのだけど、読んでる間中ずっと(そうだよー私が物語に求めているのはコレなんだよー)と思ってた。あ、ずっとじゃないや。冒頭数ページは(うーん、面白そうな匂いはするんだけど、絵が好みじゃないなー)と思っていたんだっけ。でも絵はどんどんこなれてくるし、物語世界にはますます引き込まれるしで、途中から「もうこの絵しかない」ってくらい馴染んでくれた。そして迎えたラストの気持ちよかったコト! ぼろぼろ泣いてしまったけど、ホントに気持ちよかった。物語とは、こうゆうのを言うのだよ。
私は迷う人が好きだ。迷って迷って、ときどき立ち竦んだりもするけれど、それでも何とか歩き続けようとする人が好きだ。人生に起きる全てのコトを、出会った人を、考えを、全部カテゴライズして片付けてしまうコトは、実に安易で、そして危険だ。わかったような気持ちになるだけで、実はちっともわかっていない。自分では解決したつもりで、ただ単に他人をオミットしているだけだったりする。立派そうに聞こえる“真理”に飛びついて理解しえたかのような気になって安心して止まってしまう人ではなく、どこかで「これでイイのだろうか?」と常に問い掛け、確信なんか持てないままに、そのとき自分にできる、自分に見える精一杯をやり通そうとする人が好き。
それにしても『イティハーサ』の登場人物はみんな可愛いなあ。“善”と呼ばれる側にも“悪”と呼ばれる側にも、それぞれの可愛げがあってキライにはなれないもの。神だって可愛いもんなー。みんな一生懸命で精一杯で愚かで、そこを愛さずにはいられない。
私も解釈に困る夢を見た。見知らぬおじいちゃんの夢だ。彼にはケンカ友達のおじいちゃんがいて、その彼と久々に碁を打とうと訪ねていく。が、その友人の様子がどうもおかしい。物陰から見ていると、どうやら彼にしか見えない人を相手に碁を打っているようである。最初は「ああボケてしまったのか」と思うのだが、一人で碁を打つ彼はとても楽しそうで、それを見ているうちに、寂しいような愛おしいような悲しいような微笑ましいような、何とも言えない気持ちになってくる…という夢。さて、どうゆう意味でしょう?
さて、ワケもなくショゲているので、愚痴日記でも書〜こうっと。つい先日、友達が「話が伝わらない人」相手にどうしようもない戦いを繰り広げている、という話をしてくれた。ふむふむなーるほど、と聞いていた私のアドバイスは、これ↓。
「もう理屈を言っても通じないと思うよ、それ。これこれこうでしょ?ああでしょ?だからこうなるでしょ?と言っても、『またそんな理屈ばっかり言って、私の気持ちなんかちっともわかってくれない!なんて冷たい人なの!ヒドイ!』って展開しかないよ。だからもう感情的になっちゃえ。向こうが泣く前にこっちが泣くのよ。北島マヤばりの演技力を総動員して『わああああっ、私がこんなに考えてるのに、一生懸命やってるのに、ちっとも分かってくれない!もうどうすればイイのかわからない、辛すぎるっわあああっ』ってやっちゃえ。それでも話は進展しないかもしれないけど、とりあえずこっちも悩んでてツライってのは伝わるかもよ。ダメモトでどう?」。
友達はひとしきり笑ったあと、ふっと遠くを見て「私にそれができると思う…?」と言った。………そうなんだよねー。できれば苦労はしないんだよね。理屈っぽく見える性格って、損だと思う。どんな性格にもプラマイがあるんだろうし、違う性格の人には違う言い分があるのは重々承知。でもそれは所詮他人事なので棚上げして断言しよう。ホント、損だと思う。私らは理屈が好きなワケじゃないのだ。なにか食い違いがあったときに、相手に自分の気持ちを、考えをわかってもらおう、自分が筋違いのコトで怒ってないのかちゃんと考えよう。そう思って話しているだけなのだ。なのに言われるのは「冷たい」とか「理屈ばっかり」とか。挙句の果てには「人間なんてそう割り切れるモンじゃないでしょ?」とか「あなたは頭がいいから私の気持ちがわからない」だ。ホント、叫びだしたくなる。
友達も私も、そんなに言葉を操るのが上手いワケじゃない。考えて考えてやっと脳みそから言葉を搾り出しているのだ。ケンカをすれば、相手と同じように怒るしツライし悲しいし寂しい。その場の感情に任せて投げかけられた言葉に傷付く。なのになんで、まるで感情がない人間のように言われなきゃいけないんだろう。何をされても傷付かないかのような扱われ方をされなきゃいけないんだろう。そうゆう人たちは私に何をして欲しいんだろう。私は何ができるんだろう。…ときどき、溜まりたまった小さな事柄が押し寄せてきて、ツブされそうになる。
『十二国記』シリーズ、チャクチャクと読み続けております。まずは『風の万里 黎明の空』。えええええーーーーっと……。こないだ「小野不由美さんのキャラは悩まない方がいい」と書いたような気がするんですが、それ以上に、それ以上に、小野不由美さんのキャラは説教しちゃダメだ。ええええーん、頼むよー。恥ずかしいのよー。もうもうもう。まともな感想書こうという気力もなくすほど、恥ずかしかったよー。なんつーか、真夜中に酔っぱらって書いたラブレターを朝の光の中で素面で人前で朗読させられたかのような。読みながら、赤面して「ややややめてよー」とか「うおおーきたー」とか声にして身悶えせずにはいられなかったのよ、イヤ文字どおりに。
最初の頃はまだよかった。鈴や祥瓊が「ひどいひどいひどいなんで私だけがこんな目に…」と言いまくってる辺りは、(ああまた好きになれそうもない人たちが出てきちゃった…)と思ってるだけで済んだ。(もうアンタたち「ひどい」って言うの禁止!)と、心の中でボヤいているだけで済んだ。んで、(なんかなー、この“救われなくちゃいけない人”つか、“何かを学ばなきゃいけない人”ってのがあからさま過ぎるんだよなあ。この子たちが苦労して「今までの私はバカだったわ」と目覚めるんだよね。なーんか上から見下ろして救いの手を差し伸べてるっぽいのよ。構図がモロ透けなのよ。そこがなー)と、分析めいたコトを考えているだけで済んだ。けどっ。
“目覚める人”と“目覚めさせる人”の対のうち、祥瓊と楽俊のペアは辛うじて許容範囲の中にいるとしても、鈴と清秀の会話はもうもうホントに勘弁してって感じ。そりゃ私だってアツくなれば「人生いかに生きるべきか」なんつーテーマで一席ぶったりもしますさ。興奮して「人間はねっ自分でシアワセにならなきゃダメなのよっ」と口走ったりもしますさ。でも、イヤ、だからこそ、読んでて恥ずかしくて恥ずかしくて堪らなかったのよー。何これ、同族嫌悪? …違うと思いたいけどーっ。そうかもーっ。
いかんいかん。恥ずかしいあまりに取り乱しました。ま、それを置いておいても、鈴のキャラクターは情けなさすぎ。「祥瓊はまだイイ」と思えるのは、鈴の存在があるからだ。だって祥瓊は30年も(仙人なので年は取らない)お嬢扱いで真綿にくるまれてぬくぬくと暮らしていて、いきなりの謀反で仙籍を剥奪され下働きに落とされたワケでしょ? 3年くらい恨みを抱いたままでも仕方ないと思えるの。それに彼女は何もしていなかった。その「何もしていなかった」のが問題だったと気付くのも、時間がかかるだろうと納得できるのね。“目覚めた”あとも、ちゃんと景王の心境を忖度しようとしているトコロが好印象。鈴に較べてまだ、ね。
だいたいねー、鈴の不幸自慢の一番が「言葉が通じない」ってアンタ…。周囲に同じ言葉を喋る人がいない環境で、100年も言葉を覚えない方が難しいと思いますぜ? ただの旅行だって、1週間もいれば何となく言葉がわかるようになるんだよ? いや私の言ってるのはヨーロッパだから英語と似てる言葉もあるし文法も似てるし、それで有利だったってのはあるけど。でもたった一言の言葉から内容を推測して答えて、それでけっこう通じたんだよ? 4年も暮らしたら、しかも牢屋に入れられていたワケじゃなく、旅芸人の一座の下働きをして暮らしているなら、覚えろよー。頼むよ。その後も世間の噂を鵜呑みにして景王を恨むし。それで景王に「どうしてもって言うなら行ってあげるわ」って、何様? 自分に何ができると、何に役立つと思ってるのさ。それに陽子は少なくとも宮殿に閉じこもって泣き暮らしてはいなかったんだよ? そこを評価するとか、ないの?
『図南の翼』はさくさくっと。んー、やっぱ迷わない(つか、少なくとも迷ったトコロを見せまいとする意地っ張りの)キャラクターのが、冷静に読めるなあ。それに子供だとちょっとは寛容になれるし。えと、文章量の差は、喚起された感情の差ってコトで一つヨロシク。
そいえば土曜のダイビングに1人で来ている男の人がいたのだけれど、彼が微妙に気に障ったのもダイビングを楽しめなかった一因だったなあ、と思い出した。何つーかな。自分からは話しかけてこないくせに、“オレに話しかけろ”オーラをぷんぷん出してる人だった。そうゆう、無言で期待だけするタイプが苦手なのだ私は。つかウザったいのだ。なんで自分から話し掛けないの? 人に向かって「寒かったですねー」と言やあイイじゃん。なんで聞こえよがしの大声で「うわー寒かったっ! 寒かったよっ」って言うの?(←文章だけじゃ伝わらないけど、独り言じゃないの。絶対に誰かが「ホントに寒かったね〜」と答えるのを期待してる言い方)。
そりゃ1人で来てたら寂しいのはわかる。他の客と話したいのもわかる。私も、1人で参加するときだって黙りこくっていたくないから、積極的に話しかけるようにする。いや、友達といるときだって、他のお客さんとなるべく話すようにしている。だってダイビングという共通の話題があるのだから。あれを見たこれを見たという話で盛り上がるのも楽しいし、自分たちの行ったコトのないポイントの話を聞くのも楽しい。技術的にだって勉強になる話が多い。行って潜って帰ってくるだけじゃ、ツマラナイでしょ。私は、某友人のように知らない同士が話しやすい雰囲気を作ったりはできないけど、それでも1人で行ってずっと寂しかったなんてコトはない。
土曜の彼は、コミュニケーション能力の低い私から見ても、下手くそだなーと思う。人との接し方が。普通は1人だと何かと気を使ってもらったりするのに、変なオーラを出してるせいでガイド以外の皆に敬遠されてるし、臨時で組んだバディにまで「私のコトは気にしなくてイイですから(=勝手に潜ってください)」と言われている。あーあ。でも、ときどきいるんだよね、このタイプの人。何なんだろう。話したがっているのは明白なのに、ナゼ素直に話しかけようとしないんだろう。何が邪魔をしているんだろう。……そゆのって露骨にバレるし、損なだけの態度だと思うんだけどなあ。
わかっていて無視するこっちが冷たいと言えばそれまでだが、実際に目の前にするとつい「甘えるなよなー」とムカついちゃうのだ。コンディションが悪いときは心が特に狭くなっているので、こうゆう態度は取らないのが吉だと思う。
ショップに泊ったので、日曜の起床は7時半の予定だった。が、7時にメールの着信音で目が覚める。Kからだ。「一応そっちに向かっているけど、他にダイバーいないよ〜。1人だけいたんだけど、途中で引き返しちゃったよ〜」。外を覗くと、ショップの目の前の海は沖まで白波がたっていて、波音も風音も凄い。うーん。とりあえず朝風呂に入って体を温め、気を落ち着かせたところでSさんに「どうですか?」と聞いてみる。自信たっぷりの「大丈夫。思ったよりいいよ。波の間隔が短いでしょ? こうゆうときは意外と海の中に影響ないんだよ」という彼の言葉を聞き、「冒険はしないから」という台詞を聞き、何となくやれる気になってきた。その勢いでKに返信。「Sさんはヤル気だ!」。
9時少し前、不安そうな顔のK到着。心強い。結局他の客は全員キャンセルしちゃったので、私ら3人だけになっちゃったのだ。そして、湾の湾なので年間通じてほとんどクローズしないという、西伊豆の大瀬崎に向かう。この雨と風の中、大荷物を抱えてやってきたKを迎え、くだらないコトを言い合って大笑いしていると、自然に意気もあがってくる。おーし、やるぞー。海の状態はどうせ良くないだろうけど、もう鍛錬だと思おう! 「ま、空いてる大瀬に潜れるってのだけは嬉しいですね」とも言っていたが、着いてみるとびっくり。意外とたくさんの人がいる。「うひゃー、こんなに根性ある人たちが!」「この雨の中、物好きだよねー、よくやるよ」。他の場所から流れ着いた人たちも多いんだろうなあ。
横殴りの雨の中でのセッティングはさすがにツライ。まるで台風中継のときのような状況なのだ。てか、実際台風が近付いているんだけど。しかし、実際波はそう高くない。見てヤバイ感じはしない。寒いかなって心配が先にたつくらいだ。台風がどんどん近づいてくるので早めに2本潜ってしまおうと、1本目のポイントの岬の先端に向かう。途中、風がかなり強い。あはは。もう笑うしかないって心境である。先端で器材を背負い、海へ。水面移動はしないでそのまま潜降するが、水深1mではやはり浮き気味になってしまったので、海底から漬物石サイズの石を拾って抱きかかえる。そのみっともない格好のままSさんを見ると「息を吐いて」の指示を出していた。(吐いてるよ〜)と思いつつ、更に意識して息を吐き出す。と、体がすーっと沈んで安定した。あら。
石を離すと、やっと周囲を見回す余裕が出てきた。………え? …ええええっ? ナゼ? ナゼこんなに明るいの? 曇りや雨のときって水の中も暗くなるのに、予想外に明るい。それに魚の数が、種類が、スゴイ! しかもカラフルだ。キンギョハナダイやイトヒキベラが群れをつくって泳ぎ回っている。ああ何だかトロピカル〜。水温も高く、うねりも流れもなく、外が台風だってコトをすっかり忘れてしまう快適さだ。いきなり、キンギョハナダイの群れに黒い大きな固まりが突っ込んでくる。何?と思って見ていると、ばっと足を広げて急停止。タコだ〜っ! 視線を移すと、そこにはサクラダイ。普通はもっと深い場所にいる魚なので、この深度で見られるのは大瀬だけらしい。うわー、うわー。邪魔になるだけだってカメラを置いてきちゃった私のばかーっ。
そんな状況で1本目終了。外のが断然寒いよ〜。早く海の中に潜りたい〜。とはいえ、やっぱり体は冷えているので温泉に入って体を温めたり、チョコでエネルギー補給をしたりして、あっという間に休憩終了。2本目は湾内に潜る。波打ち際はさすがに濁りまくりだが、沖に行って潜降すれば中はクリア。先端に較べたらちょっと暗い印象があるけど、3人だけで私たちのペースで潜れるのも嬉しい。暗くてダイバーの数も少ない(皆早めに引き上げたので、この時点ではかなり空いてきていた)からこそ出てきている魚たち。顔だけをちょこっと覗かせているハナアナゴ、仏頂面のオキエソペア。やたらに多いカサゴにカワハギ。大物ではクロダイ。南洋系ではチョウチョウウオ。ヒメジ系のウミヒゴイはキレイだし、ヨウジウオやオキゴンベをじっくり見られたのも嬉しかった。うひひー。
とにかくもう大満足でした。帰っちゃった人たち、失敗だったよ。土曜の黄金崎より断然良かった。楽しかった。ま、私らは私らだけで潜れた方が良かったので、有り難かったけど。帰りの車の中でSさんTさんに「上手くなったよねー」と褒められ、ますます気分がよくなる。しかし2人ともが初来店時の私らをクリアーに覚えているってのは、よっぽどヒドかったんだろうなあ。「波打ち際でゴロゴロ転がっちゃって」とか聞いているうちに、私らも「次々にフィンを流されて取ってもらった」とか「フィンをつけるときに顔を水に漬けないで怒られたっけ」とか次々に思いだしてしまった。ああ、見捨てないでくれてありがとう。SさんTさんには、ずいぶんたくさん教えてもらってるなあ。
電車が止まるのが心配だったので、ショップでのログ付け後はさっさと関東に引き返し、夕食を一緒に取って解散。その夕食時に、真っ白だった10月の週末の予定がほぼ埋まる。きゃー。が、ガンバって稼がねば!!!
とゆうワケで、台風15号がじわじわと近づいてくる中、行ってきましたダイビング。とはいえ、土曜朝の段階ではあまり心配してはいなかった。ナゼかというと、驚異の晴れ女が一緒だったから。今まで「どう考えても降らなきゃおかしい」というような予報のときに快晴だったり、四方の空がどんよりしているのに頭上だけ青空だったりした経験が何度もある。それに台風はまだ沖縄。速度もゆっくりだというし、土曜は余裕でもつだろう。ひょっとしたら日曜だってぱらぱら雨程度で済むだろう。
…そう思っていたのだ。ところが結果はご存知の通り。伊豆には「強風・波浪・大雨」注意報が出るほどの天気になってしまった。だって…他のお客さんに、自称「雨男」と「ハリケーンを呼ぶ男」と「嵐を呼ぶ女」と、3人もいたんだよ? 「嵐を呼ぶ女」なんか、「ログブックに“晴れ”って書いたコトないんです。日焼けもしないんですよー」と言ってて、(何で今日来るんだ〜)と思った。私らは逆に、ログブックに“雨”の字を書いたのは初めてだっつーのに。友人は、「さすがの私も3人がかりで来られちゃ敵わないよ…」とため息をつきつつ悔しそうにしていた。
おっと。話が先走りすぎた。話を金曜に戻そう。金曜日、最近一緒に潜っていなかったダイビング仲間のKからメールが入った。「土日、一緒に行こうかな」。急だけど嬉しい話なので、早速お世話になってるショップに連絡を入れてみると、土曜は珍しくも予約でいっぱいと言われる。仕方なく、Kは日曜日に遅れて参加するコトになった。土曜日に友人Y(晴れ女)と連れだってショップに着くと、「今日はこれから東風が入りそうだから、西伊豆の黄金崎に行きましょう」という話になっていた。黄金崎はショップからはちょっと遠いのだが、ネジリンボウがたくさんいるらしく、前々から一度行ってみたかった場所だったので、喜んで他のお客たちと一緒に車に乗り込む。
客は全部で12人いた。ガイドはいつものSさんTさんだけでヘルプは入っていないので、このショップにしてはガイド1人あたりの客数が多い。うーん、混んでるのが季節柄だったらイイなあ(勝手な要望ではあるが、このショップにはあまり大きくなって欲しくないのだ)。目的地はショップから山を越えて1時間半。早起きをした私らがぐーぐー寝てる隙に黄金崎公園に到着する。車を降りたのは海岸よりもかなり上の方にある場所で、そこから見下ろす海は静かそうに見えた。景勝地として有名なのか、観光バスが何台か駐車場に並んでいて、明らかにダイバーではない方々が群れている。雨も降り始めておらず、まだ私たちは呑気に構えていた。
そこから海岸には怪しげなモノレールに乗って降りる。…イヤちゃんと車も通れる道路もあるのだが、人数が多すぎたらしく、人の一部はモノレールで運ばれたのだった。ジェットコースター並みの傾斜をガタガタノロノロ降りるモノレール。ある意味怖い。モノレールに運ばれた下で集合して器材のセッティングをしてるうちに、雨が降ってきた。しかもいきなり本降りだ。この辺でやっと「おいおい…」と思う。遅すぎ。用意を済ませてふと見ると、Sさんがグループ分けに苦労していた。連れ同士で同レベルなら問題ないのだが、この日は連れ同士でレベルが違う人が多かったので、大変だったみたい。何とか6人ずつに分けて、SさんTさん先導で海に入る。私らはSさんチーム。
が、どうもTさんチームに初心者が多かったらしく、水面で更に2人がSさんチームに移動。私らのグループはガイド1人に客8人になってしまった。ちょっと多すぎる。そして「潜降」の指示。BCDからエアを抜き息を吐いて………っ! うひー潜れないっ! 久々のアルミタンクだから、スチールの2kg+2kg+余分1kgの5kgにしたのに! 焦れば焦るほど沈まなくなってしまう。何度か失敗した挙句、もうムリヤリ頭から潜ってしまったのだが、海底でもすぐに浮き上がりそうになって必死で岩を掴んで体を支える。水面にはまだ潜れていない人がジタバタしているけど、その中から自分のバディを探す余裕もない。と、後ろから肩を叩かれた。振り返るとSさんで、「浮上」の合図を出している。
えーっ、せっかく苦労して潜ったのに!と思いつつ、1人で海底に取り残されるのもイヤなので浮上する。海面に顔を出すとSさんが開口一番で「どうしちゃったのーっ」と笑っていた。なんと、8人全員スムーズな潜降ができていなかったのである。なんとか潜ったのは私を含めて2人だけで、その2人も危なっかしい。Sさんが余分のウエイトを8人分も持っているハズはなく、一度全員で岸に戻るコトになった。こんなのも初めてだ。せっかく海に入ったのに水面で暴れただけですぐに戻ってくる人たち。誰かが傍から見ていたら、さぞかし変なグループに見えただろう。恥ずかし〜。
岸で1〜2kgのウエイトを足して、再度海に。さすがに今度は潜降に成功し、やっとダイビングが始まった。この日の水温はちょっと冷たく、天気も天気なので海も暗く、透明度もそう良くない。それでも、そんなコンディションが初めてってワケじゃあなかったから、少人数なら楽しめたと思う。しかし、8人の大所帯ではさすがに動きづらかった。人にぶつかるし、何か見るときもお互いにタイミングを計っていて、結果遠巻きに見るだけ。黄金崎は小物系が多いので、それでは充分に楽しめないのだ。他の人を待たせて長々写真を撮る人もいたりして、私は途中でカメラを諦めてしまった。2本目に見た念願のネジリンボウを含め珍しい魚も何体かいたんんだけど、今イチ今ニ、不満の残るダイビングになった。久しぶりに「なんで私お金払ってこんなコトやってるんだろう…」と思っちゃった程。
行きも遠けりゃ帰りも遠い。時間も遅めだったし疲れたし、帰りの車の中でも爆睡。目を覚ますたび、真っ暗な空と風に揺らされている木々とと横殴りの雨だけが目に入る。(うひー、これで明日はどうなるんだよー)。ショップに着いてログ付けを済ませ外に食事に行くと、その最中に私らと同じ“1泊挟んで4ダイブ”の予約をしていた3人組は、「明日のダイビングはキャンセルして温泉にでも入って帰ろう」という相談をまとめてしまった。日曜の予約をしていた客からは、次々とキャンセルの電話が入っている様子。私の携帯にもKから「明日はホントに潜れるの?」ってメールが入った。心の中の声がだんだん大きくなる。
………(ねえ、この天気の中でホントに潜りたいの? ホントに?)。
ダイビング話を書き終えたら次のダイビングがもう明日とはこれ如何に。
◇かなり前に、どっかのTV番組で好意的に(自費出版なのに増刷を繰り返してるスゴイ本があるぜ!、と)取り上げられていたときは全然興味が湧かなかったのに、ネット上でのあまりの酷評っぷりを知るにつれ、どんどん読みたくなってきてしまいました>『リアル鬼ごっこ』。ああもう何でこう悪趣味なの私ってば! そこまで貶されるなんて、どんななんだろ…と負の興味がむくむく湧いてきちゃいます。そんなのに手を出さなくったって、読みたい本は山ほどあるのにー。
◇来月、実家のある県に会社の用事でお出かけ。…お出かけって距離じゃないけど、出張ってほどの用事じゃない。とにかく来月中に行けばいいので、週末にからめて実家に帰っちゃおうかな、と画策中。こないだの夏休みは友人を連れて帰ったので、賑やかで楽しかったけど、あんまゆっくりはできなかった。ここんとこ週末はダイビングダイビングだし、たまには何もしないでただただ怠惰に過ごしたい。ただただ怠惰に…は東京の自分の部屋でもできるんだけど、田舎でゴロゴロするのと東京でゴロゴロするのはくっきりハッキリ違うのだ。
◇某銀行の口座を解約。今まで口座解約をしたときって必ず、「失礼ですが解約の理由をお伺いしても宜しいでしょうか」と聞かれたもんだ。んで私はそのたびに不意をつかれて、内心(なんでそんなプライベートを)と思いつつも変にマジメに、「え…。給料の振込先を指定されたもんで…そっちに統一しようかと思って…」とか、「いや…。海外に長期で行くんで、そっちの銀行に移し変えようかなーと…」とかもごもご答えてしまって、何となく負けた気分になっていた。しかーし。今度は立派な理由があるのだ。質問されたら「土曜日のATM利用に手数料がかかるようになったからです!」とキッパリ答えよう、と、ヤル気満々で窓口に向かった。
………何も、聞かれませんでした。ナゼ!? どうして今回に限って聞いてくれないのよぅ。解約されて当然と思っているからなのか、それとも口座に2千円しか残っていなかったからなのか、どっちだーっ。
さて日曜も雲ひとつない快晴。この日もショップは混んでいた。前日の客のほとんどが泊まって連続でダイブするんだから当たり前だけど。前日のYさんに代わって、ガイドは同じく初対面のヘルパー、Tさん。バディは前日と一緒で、我が友人とMさんとKさん。この日のダイブ中に気付いたのだが、私を含めたこの4人、ほとんどエアの速さが変わらない。おかげで気兼ねもしなくて済んだし、すごく潜りやすかった。彼女たちも常連になる気むんむんなので、また一緒に潜れるだろう。嬉しい。この日も行き先は海洋公園。Tさんは「昨日が海洋公園なら今日は富戸にすればイイのに」と言っていたが、私はまだ海洋公園に飽きていない。富戸も安心して潜れて好きだけど、去年一年お預けをくった分、海洋公園にはアリガタミがあるのだ。
……あるのだが。この日の海洋公園は記録的な混み方だった。人気のあるポイントなので、ある程度の混雑は仕方ないと受け入れる。海に入ってしまえば、エントリー/エキジット口近く以外、他のグループはそんなに気にならないし。けどこの日は…。まず器材をセッティングする場所がないし、海の中でも他のグループとよくぶつかったし、しまいにはエア詰めが間に合わなくてタンク待ちになる始末。うひょー。私らは早め早めで潜ったので、待たずに済んでホッとした。あの暑い中、ウェットを着て待ってなんかいられるかい。人を掻き分け海に入り、エントリーポイントまで水面移動。んー。ちょっと濁ってるなあ。でも天気がイイので色はキレイ。魚も多そう。
前日、ウエイトを減らしたら潜るのにちょっと手間取ったので、また3kgに戻そうか…と迷ったのだが、何となくガンバればできる気がして、この日もウエイト2kgに挑戦。昨日のガイドのYさんにもらったアドバイスを思い出しながら、潜降開始。……あっ、潜れる! ちょっと体勢がみっともないけど、それは練習で何とかなる! きっと! 潜降が苦手だったのでスゴク嬉しい。一度潜っちゃえば、もう2kgで全然平気だもーん。全員スムーズに潜降を決めたトコロで、揃って砂地に向かう。今日のガイドのTさんは砂地好きなのだ。大物を見るより、地道な小物を探すのに醍醐味を覚えるらしい。やー、同じ場所でもガイドによって全然違うものを見せてもらえるもんだなぁ。
冷たい層との境目はかなり下がったが、水深20mを越えるとやっぱり寒い。冷たい層に入った途端、Tさんがスレートに「さみぃ〜」と書いた。書いてそのまま進んでいく。行くんかい! と、思わず笑う。Tさんはホントに砂地が好きで、セレベスゴチやらコウベダルマガレイやらセミホウボウやらをじっくり見せてくれた。海底の辺りはかなりの透明度だったので、私らもお互いを見失わない範囲で生き物探しをしてみたり。砂地の生き物を見つけるのはまだ難しいけれど、覗き込んだ岩陰や海草の後ろに、思いがけない生き物を見つけると、ホント嬉しい。「見て見て〜」と他の人を呼んで見せびらかす。それに熱中していると、びっくりするくらい間近でウツボが睨んでいてギョッとしたり。
この日は2本とも同じようなじっくり観察パターン。ポイントも同じだったので、何となく見覚えのある場所もできて面白い。もっと回数潜るような人はこうやって地形を覚えて、ガイドなしで潜るようになるんだろうなー。私らはその域にはまだまだだ。まあゆっくりやっていくさあ。前日のYさんもこの日のTさんも1000本以上潜っている人だけど、私らの経験本数聞いて「一番楽しい時期だねー」と言っていたもの。思いっきり楽しもっと。あ、あとTさんのログブックがめちゃ良かった。「今日のめだま」がイラストで描いてあるの。あれは後から見て楽しいなあ。真似しちゃおっかしら。
2日のダイブでさすがに疲れ、月曜日は他の用事もあったので早々に帰京。