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2002.2.28

先週末図書館で、予約していた宮部みゆきさんの『模倣犯』を受け取った。実はこれ、予約を入れたときに「待ち順、1009番目になりますけど、いいですか?」と聞かれた代物である。『模倣犯』はかなり分厚い上下巻セット。宮部さんは読みやすいので、2〜3日で読みきる人もいるだろう。が、図書館の貸出最長期間(2週間)かかる人もいるだろう。延長はこれだけ予約が入っているのだからできない、としても、ちゃんと期限内に返しにこない人もいるだろう。あと、順番が回ってきてから本を受け取るまで、1週間の猶予期間。平均して1人10日として(←かなり希望的観測だと思うが)、1009×10/365=27.4年!げ!

いやいや、ベストセラーなんだから、たった1セットしかないってコトはないだろう。少なくとも10セットは…。それでも 27.4/10=2.7年。うーん、そのくらいはかかるかも…とは思ったものの、すぐに読みたいワケじゃなかったし、いったいどのくらいかかるか興味があったので、待ってみるコトにした。それが来たのである。さて結局どのくらいかかったか。過去ログを探すと、その日記を書いたのが去年の8/22。…たった半年前である。なんだ、半年で来たんじゃん。ちょっと拍子抜け。27年かかったらある意味面白かったのに。私が考えたよりもセット数が多かったのか、それとも途中で諦める根性無しが多かったのか。後者じゃないかと思うんだけど。

んなワケで辞書みたいな本を抱えて通勤中。多分2週間はかからないと思うんだけど、延長はできないので念のため。久しぶりに読んだが、やっぱ宮部さんは達者だなー、と思う。まだ上巻の1/3くらいなのに、大勢の登場人物がちゃんと把握できるし、先が気になる。文章は読みやすいし、内容もけっこう面白い。感情移入もできる。もう2回は涙ぐんでしまった。なのに、多分これも読み返したくはならないんだよなー。1回読めばそれでいい。私の「お気に入り作家リスト」に名前を連ねるのに、宮部さんはいったい何が足りないんだろう。いや、別に私のリストに入らなくてもいいだろうけどさ。

うーん。………沈思黙考30分………(←暇人)。……ユーモア、かなぁ。

2002.2.27

氷室冴子さんの『いっぱしの女』を読んで『カラーパープル』が見たくなり、TSUTAYAに走ってきた。私には多分にレズビアンの要素があるのだが、氷室さんが同じような感情について『カラーパープル』に絡めて書いていて、それを読んでいるうちに無性に見たくなったのである。あの映画が公開されたのは、たしか私が高校生の頃。何でそんな重たい映画を見に行ったのか全然覚えていないし、正直、当時は面白いとは思わなかった。それが今回は胸にせまった。自分が年をくったせいかもしれないし、原作を読んだせいかも知れない。…両方かな。見方も変わったし(高校生の頃よりは、多少なりとも共感力が増したのだと思いたい)、エピソードが削られて言葉足らずになっている部分を、頭の中で補完しながら見れたのも大きかった。

「女が女に、その社会的成功や美しさだけではなく、その魂において、いきる姿の強さと凛々しさにおいて、心を揺さぶられるほどの感動をもらい、深く愛してゆくということはあるのだ。」
(氷室冴子『いっぱしの女』より)

例えば『カラーパープル』にめちゃくちゃ素敵な黒人男性が出てきたとして。素敵な理由は、社会に認められた地位でも人格でも信念でも容貌でも、何でもいいのだけど、とにかく尊敬できるような男性が出てきたとして。それでもシャグに惹かれるほどには、セリーは彼に惹かれないだろう。いくら魅力的な男性でも、それは自分とは違う生き物だ。「男だから自由に振舞うコトができる。男だから認められる。男だから許される」と考え、自分にもできるかも知れない、と考えられはしないだろう。セリーがシャグに惹かれるのは、同じ女でありながら、シャグが自由に生きているからだ。自分に暴力をふるう(ふるい得る)男の前でも怯まないからだ。

基本的に私は「あなたは○○した経験がないから、私の気持ちがわからないのよ」って台詞がキライだ。これは「○○した経験がない」人の発言を封じコミュニケーションを拒む、ズルい台詞である。そんな言い方をする人はたいてい、自分の経験をちゃんと説明しようとしてくれないし。それなのに、この台詞を言われて「そっか私にはわからないのか」と妙に悲しくなってしまうのは、私自身がときどき、「これは男にはわからない」と考えてしまうコトがあるからだと思う。私は自分が女でよかったと思っているし、女であるのを楽しんでいる。それでも、これは女性には珍しい感情ではないと思うのだが、自分の性が疎ましくなる瞬間が、ある。この感覚を男性が、ホントに肌で感じるのは難しいんじゃないだろうか。そう思うから変に「○○した経験がないから、わからない」って台詞に弱いのだ。

(余談:女だからって、全ての女性が“肌で感じ”られるワケじゃない。悲しいコトに。以前私はあるサイトの文を好んで読んでいたのだが、その人が「痴漢には罪がない。黙ってやらせてる女が悪い」と書いているのを読んでから、そのサイトに行くのをキッパリやめた。たぶんその人はシアワセな人で、ただの軽口だったのかもしれないけど、絶対に…しかも女性が…書いてはいけない文だ。当たり障りのない日常をいかに美しく書ける人でも、こんな無神経な発言をする人間とは関わりたくない。)

たぶん男性には男性の「女性にはわからない」部分があるんだろうけど、私はやっぱ女なので、同じ土壌に立っている女性の強さに、より励まされる。私が、強い/優しい/たくましい/自由な…とにかくイイ女に惹かれるのは、それでだ。イイ男だってもちろん好きなのだけど、それとは種類が違う。自分と同じところからスタートした人間が、輝いているのが好きなのだ。その憧れは、見かけとか才能とか性質とかの差を軽く飛び越える。例えその女性が自分よりも美しく、恵まれていて、才能に溢れていようとも、それは私の共感の妨げにはならない。だから私は、そうゆう強さを私に与えてくれる女性を、愛さずにはいられないのである。あくまで精神的に、だけど。

2002.2.26

温泉旅行に行ったくせに、筋肉痛ばりばりです。何してきたんだ。て歩いてきたんですが。今回は好天に恵まれたので、とにかく歩きました。もともと足は丈夫なので、平地で片道2〜3kmなら迷わず歩きます。荷物が少なくて天気が良かったら、5kmくらいは楽勝です。雑踏だとすぐに疲れてしまうのに、同じ舗装道路でも車が少なくて景色がキレイだと、どんどん行けます。1人旅だったので人に気を使う必要もなかったし。ちょっと入り組んでそうな造りの建物を見て「これがもっと大規模になったのが、『千と千尋〜』の湯屋なんだなー」と思ったり、不意に現れた公園に迷い込んだり、知らない街を歩くのは大好きです。

私は方向音痴なので「今どこにいるんだろう…」ってなるのも珍しくないんですが、さんざん歩いたあげくに行き止まりでも1人なら「てへ、失敗」で済みます。嬉しいコトに、ちょっと景色が開ける場所にはベンチが置いてあるコトが多く、疲れたら座ってぼーっと景色を眺めて。文庫本開いたり、考え事をしたりして。また歩き出して。1人でいたくないときに独りになっちゃうのは寂しいけれど、自主的に選んだ状況である限り、周りに誰も知ってる人がいない状況も、気持ちいいもんでございます。

泊まった宿は、予想してたよりずっとまともでした。部屋も暖めておいてくれたし、布団も敷いてくれたし…ってこれ、当たり前? けっこうヒドイ宿に泊まった経験があるので、これだけしてくれれば私的には問題ないです。や、別に「きれいな娘さん」なんて言われちゃったから点が甘いワケじゃないです。そんな、みのもんたに「お嬢さん」と呼ばれて大喜びするおばさんのような要素は私には………げ、ヤバ。あるかも。いや、みのもんたは願い下げなんですが…。えっと、お風呂もしっかり温泉だったし! いい宿でしたよ! うん。

そう、近くのホテルの、大きな窓つきのお風呂にも立ち寄りで行ったのですが、そっちのお湯は薄めてる感じでサラサラでした。自慢の景色は良かったし、キレイな夕陽を見られたので、それはそれでイイのですが。宿の方は、景色は見られないし風情も何もあったもんじゃなかったけど、たっぷりのお湯は温泉の成分でぬるぬるしてて、すごくあったまります。接客はやっぱり笑っちゃうレベルで、感じ悪くはないんだけど要領が悪いって言うか、手馴れてないって言うか…建物は古いのにねー。「君ら、接客に対する美意識ってないでしょ」って感じでした。はは。

もともと私はカラスの行水で、ゆーったりお風呂に入る習慣はなかったのですけど、平気で2〜3時間温泉につかる友人たちのおかげで、長風呂を楽しめるようになりました。もちろん景色がキレイだとか、露天だとか、気を紛らす要素がなくちゃダメなんだけど。今回、露天なんかほとんど貸しきり状態だったので、どうせなら本持って入ればよかったと後悔したほど。室内には人が入っていたのに、露天に出てくる人がほとんどいなかったのは、外気温が冷たかったから? 一度体が温まってしまえば、楽勝でしたが。あと残念だったのは、「おお!これは!」って体の女性が見られなかったコトくらいでした。1つの温泉に1人くらい、見事な肢体の持ち主がいればイイのになー。

実は最近、精神的にちょっぴりモヤモヤしてました。「私って今のまんまでイイのかなー」って漠とした不安を感じる時期が、私には定期的にやってきます。たいていは、特に具体的なきっかけはないです。ちょっと体調が悪かったり、悲しいニュースを聞いたり、その程度。今回も何の事件もなかったのに、しばらく前からその時期に差し掛かっていました。でも、どうやらモヤモヤは温泉に全て流れて溶けてしまったようで、妙にすっきりしちゃいました。

考えてもなるようにしかならないし、やりたいコトしか出来ないし、他人に強制されて人生やってるワケじゃない……って、至極当たり前のいつもの開き直りに、結局は落ち着いてます。だいたい「今何か悩みがありますか?」と問われて「うーん…?」と考え込んでしまうような人間が、そう長く落ちていられるハズがないんです。自省が足りないだけの気もしますが。もちろん今の自分はパーフェクトじゃないけど、別に明日死ぬワケでもないですからね。多分。変に焦っても仕方ないのです。

…なーんて悟りも開ける1人旅。1度失恋旅行ってのもやってみたいんですが、失恋旅行するには、まず恋愛しなくちゃいけないんだよなー。京都の竹林にでも行けば、ステキな悟りが開ける気がするんですけどね。雰囲気に流されやすい人間なので。…失恋しないとダメかなぁ。

全然関係ないけど、今、青池保子さんの『修道士ファルコ』2巻を読んでます。9年ぶりの新刊だってさ。エリス・ピーターズの『カドフェル・シリーズ』といい、修道院ものって大好きです。

2002.2.22

復刊される『シャンペンシャワー』には番外編が収録されないそうだ。がっくり。どんな事情があるのか知らないけど、ファンの気持ちが分かってないよ白泉社! 入れれば、売上げ跳ね上がるのに!

オススメマンガ家さんの2人目、波津彬子さんUP。ちょっと短めにできました。

2002.2.21

Accessのマニュアル本に出てきた「イベントドリブン・プログラミング」って言葉を、「イベント丼プログラミング」と読み間違えた。知らない言葉が出てきたので、つい馴染みの単語に置き換えてしまったのだと思われ…ひーん、言葉もわからないマニュアルを読むのって疲れるよぅ。

CHIAKIさんの2/20の日記を読んで、また思い出さなくてもいいコトを思い出してしまった。友達から、「寄せてまくってあげまくってムリヤリ胸を作るプロ(下着売り場の店員さん?)」の技術の素晴らしさを語ってもらっていたときの話である。ちなみに彼女はTVでやっているのを見ただけで、自分ではその種の技術を必要としていない。おまけに、おっとりした日本美人で、性格も私よりよっぽど優しい人である。…たいていの場合は。以下、女同士の忌憚のない会話。

友人:「すごいんだよ、背中からわき腹から、ありとあらゆるトコロから肉を持ってくるの!」私:「持ってきても流れちゃんじゃないの?」「だから流れないように、補正下着で締めて固定するんだよ。体の他の部分はサイボーグのようにがちがちなんだけど、胸はふっくら、谷間はくっきり。あの技術使ったら、どんな人でも胸が作れるね」「でもさ、持ってくる肉もなかったらダメでしょ。私の体型じゃムリ…」「そんなコトないって。To-koさんでもできるって」「なんでよ。TVでやってもらってた人も私程度の体型だったの?」「そんなレベルじゃなかったよ! To-koさんのは平らなだけだけど、あの人はえぐれてたもん!」「……あんた自分がデカいと思って……」

……歯に衣着せぬ率直さは大好きなんだけど……私の友達って情け容赦ないと、ときどき思う。

2002.2.20

昨日は1日中喉が痛かったので、何気に額に手をあててみたら、いつもよりちょっと熱いような気がした。そう言えば夜なのに鼻がぐずぐずしている(慢性鼻炎気味なので朝なら当たり前の状態)。ひょっとして風邪? 慌てて体温計を咥えてみると、やっぱ発熱している。微熱だけど。うわ、やめてくれ。私は今、風邪をひきたくないのだよ。じゃ、いつならイイのかと聞かれても困るけど、とにかく今はホントにまずい。とりあえず葛根湯を飲んで、精のつきそうなモノをざざっと作って食べて、寝る。朝起きたら………治ってた。ちょいと丈夫すぎるんじゃないだろかオレ。もし私の周りに屍鬼がはびこったら、絶対に病院なんて行こうとせず、あっさり死んじゃうに違いない。

昨日書いた「ナゼ自分は神に疎まれるのか。ナゼ神は愛してくれないのか。ナゼ神は許してくれないのか。私は何も悪いコトをしていないのに…」について。自分はどうなのか。私は悪いコトをしていると思っている。悪いコトと言うと、ニュアンスが違うなー。でも他の生命を奪わなきゃ生きていけないし、生きているだけでいろいろ害をたれ流しているだろうし、自覚のあるなしに関わらず人を傷つけてるし、言い出したらキリがない。要するに、自分は潔白には程遠いってコト。私は罪を持っている(原罪思想とも違うんだけど)。でもそれを神に許してもらおいたいとは思っていない。…ってトコロでしょうか。そんなの本人がちゃんと自覚して抱えてりゃいいんだ、と思ってる。今のところ(いやーいつどんな宗教に転ぶか分からないからさ)。

さて。ずーっと前から『ドロ沼劇場』にマンガコーナーを作ろう、と考えていた。小説にしたって紹介したいのはまだまだ山ほどあるのだが、でも「も一度読み直してから…」なんて言っているうちに、すっかり更新が止まってしまった。うーん更新したい。でも好きな小説はシリーズものが多いから、読み返すのは時間がかかる。嬉しいコトに未読の“読みたい本リスト”は長くなる一方なので、シリーズものに手をつけるのはいつになるか分からない。そうだ、マンガならすぐに読める。とりあえずマンガコーナーに手をつけよう。好きなマンガがありすぎて、それを全部一度にやろうとするから、手の付け所が分からなかったのだ。まずは好きなマンガ家のリストアップから始めよう。

……してみました。すぐに名前があがったのが25人。あ、人じゃなくて作品ってのもあるので、正確には23人+2作品。うひゃー、これを一度にやろうと考えてた方がバカでした。多分実家の本棚を見れば、もう少し増えるに違いない。よし、少しずつやろう。マンガだと紹介文もきっと短く書けるから、少しずつ書いて、5人分ずつまとめてUPしよう。とりあえずまず1人目を書いて……書いてみました。全然短くないじゃん! なんで好きなモノを語ろうとすると、こう長くなるんだろ。簡潔にまとめられる文章力のある人が羨ましい。なーんて言っていても仕方ないので、書けるときにちょっとずつ書くコトにします。マンガ好きな方、気長におつきあいいただけると嬉しいです。

というワケで、新刊の『蛇神さまといっしょ』を読んだ勢いに乗って、1人目の桑田乃梨子さんUP。全部が全部こんなに長くなるとは思わないんだけどねー。

2002.2.19

小野不由美さんの『屍鬼』読了。ひー重たかった。内容がじゃなくて文字通り。厚すぎ。以下、ネタバレしまくりの感想を。

最初に言い訳しておくと、読んだ本に片っ端から文句つけたいんじゃないんです、私は。ただノれないと読みながら「どうしてノれないのか」を分析しはじめちゃうんですよね。下手すると違う展開の方がいいんじゃないか…とアナザーストーリーまで考えながら読んでます。一度ハマれば多少…いやかなりムリがあっても全然気にしないんですけど。まず褒めるトコ褒めておくと、小野不由美さんの文章は読みやすかったです。あとは…えーっと…えーっと………それだけ、か! 一応盛り上がりもあるし、それなりに楽しみはしたんですが。積極的に集めないし読まないけど「あれが面白い」とススメられれば喜んで、というと、宮部みゆきさんちょい下レベルかな。私内ランキングでは。

『屍鬼』はもろ、スティーブン・キングの『呪われた町』の日本バージョン。おぼろげな記憶によると、キングは後書きで、「この作品はブラム・ストーカーの作品の模倣品でしかない」、と書いていたような気がします。でも私は『呪われた町』を楽しみました。もともと吸血鬼モノ好きだし、お約束にのっとっていると言っても、そのお約束が吸血鬼の魅力だったら外せないのは当たり前だと思います。その「お約束」にいかに味付けするかが大事で、キングの味付けはかなり好みでした(読んだのがしばらく前なので具体的に書けなくてすいません)。それに比べて『屍鬼』にノれなかったのは…。

まず「世界の閉ざし方」にムリがあるのです。閉鎖された空間で人間が次々と襲われていく場合、「ナゼ逃げないのか、外に助けを求めないのか」って理由が必要です。こゆ場合、人間サイドに「外に情報が漏れては都合の悪い誰か」がいると分かりやすいと思うのですよ。例えば映画『エイリアン』だと、エイリアンを利用しようとしている企業の上層部が情報を隠すワケです。彼らは人間側に多少の犠牲が出るのを覚悟している。しかしエイリアンの力を過小評価しているので、とり返しのつかない事態になるのです。でもエイリアンと直接対決をする人は、そんなノンキなコトは言ってられません。なんせ自分の命もかかっているのですから。つまり、情報を隠す立場の人と、エイリアンを退治しようとしている人は別人でなくてはなりません。そうでないなら、自分の命をかける価値のある思惑が必要です。

『屍鬼』では、食い止めようとする人と情報を隠そうとする人が同一なのです。最初は吸血鬼だとは気付いていなくて伝染病だと思っていたのに、それを止めようとする人が同時に情報を隠そうとしている。よほど納得のいく理由がなくちゃ成り立ちません。「伝染病だと思われれば村が封じ込められてしまう」とゆう理由では弱すぎます。んなコトしてるうちにどんどん人が死ぬんですもん。伝染病じゃなくて屍鬼(=吸血鬼)だと気付いてからも、何も言おうとしないのも変。「今の段階では言っても信じてもらえない」ってのが理由で、それがずーっとラストまで続くのですが、後ろ向きすぎると思います。とりあえず言ってみりゃいいのに。ダメもとで。言ったら中には信じてくれる人もいるかも知れないじゃないですか。「言ってもどうせダメ」「やってもどうせダメ」で、最初っから諦めてる人多すぎ。

あと吸血鬼の存在に最初に気付くのが敏夫(村の医者)ってのも、ちょいムリがあると思います。「自分にはわからない伝染病だから、常識外の存在に原因があるに違いない」って飛躍するか普通。「自分は専門医ではない」とか強調してるだけに、余計変。この医者がもともとオカルト趣味があったとか言うなら分かるのですが、そんな感じは全然ないし、吸血鬼だと思いついてからも、も1人の中心人物の静信(寺の副住職)が吸血鬼の伝承を話すと「そりゃ単に死体が膨張しただけだろ」とか妙に現実的なんですよね。自分の村には吸血鬼がいるけど、伝承のは嘘に決まってるってか? 副住職の傍ら作家業も営んでて、タイムリーに死体が起き上がる話を書いてる静信が気付いて、でも医者が全然信じてくれないって方が自然じゃないのかなー。それじゃありきたりすぎると思ったのかもしれないけど、意外ならいいってもんじゃないでしょ。

静信も何考えてるんだかわからない。寺の住職っていう設定なのに、とってもキリスト教信者チックです。だいたい静信を含め、村の住民には鬱屈した怒りや恨みを抱えてる人が多すぎて鬱陶しいです。こうゆう人たちがみっともないお酒の飲み方するのですよ。普段言えないコトを酒の勢いで言ってみたり、絡んでみたり。不自然に欲求を押さえ込みすぎてるから、タガが外れたとき怖いのです。お酒は楽しく飲まなくちゃ。………話がズレちゃった。えーっと、とにかく、そうだ、自分で何かしようとする人が少ない。吸血鬼の親玉の沙子と静信の会話なんかスゴいです。「ナゼ自分は神に疎まれるのか。ナゼ神は愛してくれないのか。ナゼ神は許してくれないのか。私は何も悪いコトをしていないのに」。延々。「ナゼ神に許してもらわなきゃいけないのか」と私が聞きたい。絶対の正義なんか求めてもさ。そんな静信が最後にいきなり生に執着するのもよく分からんし。

唯一自分の存在を割り切っているように見える辰巳も、結局あまり建設的ではないです。虚無主義って何だ。しかしまぁ皆よく喋る喋る。追っ手に囲まれていようと死にかけていようと、おかまいなしに長台詞。そいった話はもう少し落ち着けるシチュエーションでしたら?と言いたくなります。最後に、エピローグは蛇足だと。それなりに終わったのに、エピローグに入ったとたん「『夜明けのヴァンパイア』かい!」と笑ってしまいました。舞台を日本にした意味もよく分からない。宗教観ひっくるめ、そのまま海外の小さな村にしてもOKなんじゃないでしょか。それじゃ『呪われた町』そのまんまになっちゃうか。

今現在の好きな吸血鬼物語(長編限定)というと、ジョージ・R・R・マーティンの『フィーヴァードリーム』です。あれはいい。お約束のポイントを抑えながらも工夫があって、美しい情景がリアルに思い浮かびます。絵が先にあって、それを言葉で表したような感じなの。朝靄のたつミシシッピ川、その靄の中から現れる美しい蒸気船…。ああキレイ。中心人物の1人がやたら可哀相で、彼にもちょっとくらいイイ目を見させてやれよ!とは思うのですが、それも物語の必然。エピローグでは毎度泣かされます。

2002.2.18

わお。『シャンペンシャワー』に反応が! あんな古いマンガにまだファンがいるなんて、なんだか妙に嬉しいなぁ。LaLaはマイナーな雑誌じゃないから、当然かも知れないけど。要望が多かったから復刊したんだしね。でもまだ問い合わせに返事がこないので、さっさと売り切れちゃわないで欲しい。知らない人にもぜひ読んで欲しいのに、私の分も残しておいて欲しい。矛盾。しかし改めて復刊希望者のコメントや掲示板を読んでみたら「番外編の『ダイヤモンド・ガイ』も収録してくれ」って要求が多い多い。そうですよね、やっぱあれが入っていなくっちゃ。マルロ〜! カ〜ムバ〜ック!!

さて。髪が伸び放題に伸びて、まるで『リング』の貞子のようになっていたので、ばっさり切るコトにした。ところで私は髪型の注文をつけるのが苦手である。「これ!」とゆう確固たるイメージを持っていかない方が悪いのだ。それはわかっている。それに切り抜きを持っていったコトもない。切り抜きを持っていって「こうしてください」と言って「えっ?」って顔されて「うわーわかってます髪質と顔が違うのは! イメージでいいんです。べつにこのモデルと同じにしてくれなんて無茶を言ってるワケでは…!」と言い訳しちゃいそうでイヤなのだ(←ある意味自意識過剰)。それぐらいならプロのセンスにお任せします、と下手にでるのがいつものパターン。

でも最近はこれで上手くいっていたのだ。このくらいの長さで軽く、とか、そのまま伸ばせるように、とかの注文で失敗はなかった。が、今まで担当してくれてた人が他の店に移ってしまったので、仕方なく初めての人にお願いしてみた。最初っから話がかみ合わない気がする。その時点で悪い予感はしていた。切っている最中も「もっと上の方からどんどん切ってくれ、刈ってくれ」と2、3回は頼んだのに、「大丈夫、あとでちゃんとやりますから」といなされ、途中で注文つける方が面倒くさくなってしまった。根競べしてるんじゃないのに。全部切ってブローしてから「も一度全部やり直してくれ」なんて言える心臓は私にはないっつーの。くそー。もう2度と頼まん。

んなワケで、貞子ではなくなった代わりに、マルサの女になってしまいました。くすん。凹む。

2002.2.17

昨晩受信したメールのおかげで、頭は古いマンガのコトでいっぱいです。買おうか買うまいか懊悩していたら、いろんなシーンや台詞を思い出しちゃって、1人部屋でけらけら笑ってしまいました。ま、とりあえず『シャンペンシャワー』(byかわみなみさん)復刊、めでたいぞ! とゆうワケで今脳みそ腐ってます。マンガオタクモード炸裂中。

『シャンペンシャワー』はLaLaで読んでたときから大好きでした。うわ、1983年からの連載だ! あの頃は今みたいにサッカーがメジャーじゃなかったんですよね。少女マンガでは珍しかった。…今でも少女マンガでサッカーってのは、あまりないかな? 南米エスペランサのサッカーリーグが舞台なのですが、キャプ翼みたいなマジメ(?)な努力!友情!ってマンガではないです。コメディです。なんたって試合中に秘技の応酬があるのですよ。選手がずらっと並んで一緒に足を振り上げてるところで、解説が「秘技・ラインダンス! 誰が蹴るのかわかりませーん!」とか叫ぶのですよ。相手チームの選手にチャージした瞬間に、ウェアのパンツのゴムを抜き取って「ふふふ…。秘技・赤い靴。サッカーでは手が使えないから、パンツが落ちないように押さえるコトもできまい」とか言っちゃうのですよ。

でも完璧なナンセンスコメディなのかと言うと、そうではなくてですね、しんみりさせるトコロも多いのです。笑わせといてほろりとさせるってのが、昔から好きだったのですね。とにかく魅力的なキャラが多くて。主人公のアドルは才能があって一生懸命で可愛い、ま、マンガによくいるパターン。特別好きではなかったけど、好感は持てるキャラでした。最初一番好きだったのは、顔はキレイなくせに性格が曲がっているエキセントリックな変態、ジョゼ。彼は一番人気だったんではないかなー。そして話が進むに従ってどんどん好きになっていって、今でも「好きなキャラBest5」に余裕で入るのが、マルロ。ほかにも、そのマルロに振り回される損な役回りのアンドレや、学校の先生と呼ばれてる、いつも冷静なディッコも好きでした。

マルロを語り出すと止まらないのですが、ちょっとだけ。彼はもう選手の中では年を取っている方で、よく新人のアドルに中年呼ばわりされてました。抜け毛も気にしていましたね。勝利への執着がモノ凄くて、勝つためなら多少汚い手も使います。その辺アンドレとは意見の相違があって、アンドレはマルロにキレイに勝って欲しいのに、マルロが汚い手ばっかり使うのをイヤがっていたりします。アンドレとの会話で「お前のは王者のサッカー。俺のは職人のサッカー」と言うシーンが好きでした。そのあとにマルロが決め台詞を吐くのですよね。あ、男の前ではやたらカッコいい台詞を吐くのも、彼のクセでした。

アンドレとのコンビももちろん好きなのですけど、マルロとディッコの会話もすごく好き。選抜チームで一緒に戦っていたとき、試合中に2人ともケガを押してムリを重ねるのですが、その試合後の会話…「なんでそのケガで、あんなに走り回ってタックルかけるんだ」とマルロに言われたディッコの答え! きゃー! あれはあのマンガで一番好きなやり取りかも。思い出すとにまにましちゃうシーンは、他にも多数。強化合宿の話も好きだったなー。気持ちのいい痴漢のジョゼ兄さんとか。

…こんなに好きなくせに、ナゼ買うのを躊躇っているのかと言えば………だってコミックス全部持ってるんですもん。問題は、コミックス未収録の番外編が入ってるかどうかなのです。復刊ドットコムにリクエストするときも「番外編も収録してください。そしたら買います」と書いたのに、それが入ってるかどうかはっきり明記してないのですよね。今問い合わせメール送ってるのだけど、ちゃんと答えてくれるか心配です。返信が来る前に売り切れちゃいそうなら、買っちゃいますけど。

だってその番外編はマルロの若い頃、新人のアドル(マルロに憧れていた)と出会ったときの話。憧れていたマルロが実は裏で八百長をしていて、ショックを受けたアンドレが…って、とにかくこれこそマルロの魅力!って話なのです。雑誌で掲載されてから10数年、ずっと、も一度読みたいと思っていたのです。ああお願い、収録してー! 同じリクエストしてた人、他にもたくさんいたのにー。

知らない方は読んでもさっぱりでしょうが、もし面白そうだなーと思ったら、この機会にぜひ。笑ってほろりが好きな方にはオススメです。

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