今さらですが、修道女フィデルマシリーズを読み進めています。
修道士カドフェルシリーズに出会ったのはもうずいぶん昔。大好きになったし、何度も読み返していて、今でも大好きなシリーズです。んでフィデルマは「カドフェルファンなら絶対ハマる」という謳い文句で知りました。いつかは読まなきゃなあ、と思いながら幾星霜(?)。このたび知人に貸してもらったのをきっかけに読み始めたのです。しかし読んでみてビックリ。時代背景も舞台もが全然違う(カドフェルは12世紀イングランド、フィデルマは7世紀アイルランド)し、フィデルマは修道女というよりドーリィー(弁護士かつ裁判官と説明されてますが、どっちかというと検察官みたい)だし、何よりフィデルマがかわいくないっ。
修道士修道女という共通点だけで出版業界が煽ったんじゃないのー、と邪推したくもなりますが、7世紀アイルランドのしかも宗教界ってのは未知の世界です。へー、へー、そうなんだー、と興味をひかれて読み進め、とうとう長編第4作の『蛇、もっとも禍し』まで読了しました。しかし読めば読むほどフィデルマの性格にツッコミ入れたくなってきます。プライドが山より高いのはいいとして、誰かに反撃されたり弱味を見られたりする度にカチャーンと鎧を装着して冷たくなるのはいかがなもんか。常に上から目線で人が自分の権威に従わないと「高慢を正してやらねば」となるくせに、自分より上位の人の前では「私は世俗の権威には従いません」と好き放題。目がいたずらっぽくきらめくワリに、その直前直後に口から出る言葉はちっともきらめかない。考えるのは私に任せておけ、と自分の知力を確信しているくせに、事件解決の功を讃えられると謙遜するのが嘘っぽいい。
人が「強すぎて可愛いげがない」という女性キャラクター(例えばアン・マキャフリーの描く女性とか)でもたいてい受け入れられちゃう……つか好む私がこれなんだから、フィデルマの性格が好きって人は少ないんじゃないかなあ、と思っていたら案の定、普通はお愛想ででも誉めるはずの解説(第2作の『サクソンの司教冠』は若竹七海、第4作は田中芳樹)にまでボロクソに言われているのには笑いました。まあ、田中芳樹に関しちゃあ 、私が作者のトレメインだったら「お前には言われたくないよ!」と思うでしょうけどね。田中芳樹の書く女は単なる記号で、魅力的な女性キャラなんか見たことないもん。
でも2人の解説にはほぼ同意です。田中芳樹が「今回のはフィデルマがちょっとだけ人間らしかった」と書いてあるのにも、同意。不評が作者の耳に入りでもしたんですかねえ? 舞台設定は面白いので、ちょっとずつでもフィデルマが魅力を見せてくれるようになればいいなあ、と思ってます。とりあえず続けて読むつもり。